説明

給油所用のマンホール構造、その工事方法および配管構造

【課題】マンホールに荷重がかかっても該荷重が地下タンクに伝わるのを防止したマンホール構造を提供する。
【解決手段】本発明のマンホール構造は、燃料油を貯留する地下タンク10の真上において、前記地下タンク10に接続された配管の一部を収容する空間を形成するマンホール装置1の周囲に、上面が路面Gを構成する舗装された舗装層18が設けられたマンホール構造であって、マンホール蓋6の蓋受部60を支持する上筒部51と、該上筒部51の下方で、かつ、前記地下タンク10の上方に配置される下筒部52とを備え、前記上筒部の少なくとも上部が前記舗装層18に囲まれ、前記下筒部52は前記地下タンク10に直接または間接に支持されており、前記上筒部51の下端部が前記下筒部52の上端部にスライド移動可能に嵌合しており、前記上筒部51が前記舗装層18で支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所において地下タンクの上方に設けられるマンホール構造や配管構造等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンクレベルとグランド面とのレベル合わせの調整をするためにマンホールプロテクタに高さ調整用の部材を取り付けて施工していたが、施工後も該高さ調整用部材を残したままの構成としているためマンホールに車などによる上からの荷重がかかるとその荷重は地下タンクにかかることになってしまう。その対策として、下記特許文献1ではプロテクタを直接地下タンク上部に接合するのではなく、地下タンクのマンホール部に水平方向に延びるたわみ部を設け荷重を吸収しようとしていると考えられる。
また、マンホールプロテクタから管を配設する構造として、下記特許文献2の構造がある。
【特許文献1】西独特許出願公告3056324号(FIG1)
【特許文献2】特開2004−34995号(要約)
【発明の開示】
【0003】
しかし、前記特許文献1の装置では、たわみ部は荷重のすべてを吸収することはできないので、吸収されなかった荷重は地下タンクに伝わることになる。また、たわみ部が変形してプロテクタ部の下方でシールが緩んで油液が漏れ出したり、たわみ部が破損したりするおそれがある。
【0004】
また、従来ガソリンスタンドでの地下配管は鋼管で行うのが一般的であったが、近年では、腐食などの問題から樹脂製のフレキシブル配管を使用する配管工事が行われるようになってきている。かかるフレキシブル配管はロール状で現場に納品されるため曲がり癖がついており、これを角製のマンホールプロテクタから配設する場合に問題が生じる。すなわち、従来の地下配管では、プロテクタ側壁とフレキシブル配管とを直交して止め付けをする際に、前記フレキシブル配管の曲がり癖によりプロテクタ側壁およびフレキシブル配管に不要な応力がかかることになる。
【0005】
本発明の目的は、マンホールに荷重がかかっても該荷重が地下タンクに伝わるのを防止したマンホール構造を提供することである。
本発明の別の目的は、曲がり癖のある樹脂製フレキシブル配管などをプロテクタから配設する場合に、配管やプロテクタに不要な応力がかからない配管構造を提供することである。
【0006】
本発明のあるマンホール構造は、燃料油を貯留する地下タンクの真上において、前記地下タンクに接続された配管の一部を収容する空間を形成すると共に、前記空間の上方をマンホール蓋により覆うマンホール装置の周囲に、上面が地表面を構成する舗装された舗装層が設けられたマンホール構造であって、前記マンホール装置は、前記マンホール蓋の蓋受部を支持する上筒部と、該上筒部の下方で、かつ、前記地下タンクの上方に配置される下筒部とを備え、前記上筒部の少なくとも上部が前記舗装層に囲まれ、前記下筒部は前記地下タンクに直接または間接に支持されており、前記上筒部の下端部が前記下筒部の上端部にスライド移動可能に嵌合しており、前記上筒部が前記舗装層で支持されていることで、前記マンホール蓋の蓋受部に負荷された荷重が前記下筒部に負荷されるのを防止したマンホール構造。
【0007】
このマンホール構造によれば、マンホール蓋が沈下した際に上筒部が下筒部に対し下方に摺動することが可能である。すなわち、上筒部が下筒部に対して自由状態にあるので、マンホール蓋受部に車両などの荷重が負荷された場合でも、蓋受部および上筒部のみが沈下し、地下タンクに荷重が伝わるのを防止できる。
【0008】
本マンホール構造では、前記舗装層の下層には土砂層が設けられており、前記上筒部の下端が前記土砂層と舗装層の境界面よりも下方に位置し、前記上筒部の下端よりも下方において前記下筒部が前記土砂層に囲まれているのが好ましい。
【0009】
この場合、マンホール蓋受部に負荷される荷重が上筒部を介して比較的粗い土砂層に伝わり、当該土砂層の圧縮で荷重を吸収できる。
【0010】
本マンホール構造では、前記下筒部と前記地下タンクとの間に、前記配管の一部を収容し上下に開口した1以上の別の部材が設けられており、前記下筒部が前記別の部材を介して前記地下タンクに支持されていてもよい。
この場合、下筒部が小型化でき、運搬や設置作業の負担が軽減できる。
【0011】
前記マンホール構造を構築するある工事方法は、前記地下タンクの上方に前記マンホール装置を設置する工程と、前記下筒部に対する前記上筒部の上下の相対位置を調節するジャッキにより、前記上筒部の相対位置を調整する工程と、前記ジャッキによる調整の後に、地表面の高さまで前記舗装層を形成して、前記上筒部の少なくとも一部を前記舗装層で支持する工程と、前記舗装層の形成の後に、前記ジャッキを取り外す工程とを備える。
【0012】
この場合、ジャッキにより上下の筒部の相対高さを調整できるようにしたのでレベル調整が容易で施工が簡単になると共に、レベル調整後にジャッキを取り外すことで施工後のマンホール構造が前述のように地下タンクに荷重が伝わるのを防止するものとなる。
【0013】
本工事方法では、前記ジャッキによる調整の後で、かつ、前記舗装層の形成の前に、前記上筒部の下端よりも上方の位置まで土砂を埋めて土砂層を形成する工程を更に備え、前記舗装層が前記土砂層の上に形成されてもよい。
【0014】
また、本発明のある配管構造では、燃料油を貯留する地下タンクと、前記地下タンクから燃料油を移送するための配管材と、前記地下タンクの上方において前記配管材の一部を収容するプロテクタ部とを備えた配管構造であって、前記プロテクタ部は、4枚の側壁パネルが互いに接合されることで角筒状に形成されており、前記配管材は前記地下タンクから略鉛直上方へ延びる第1送油パイプと、前記第1送油パイプから横方向に延び前記プロテクタ部を通って前記プロテクタ部の外方に向かって延びて配設される第2の送油パイプとを含み、前記側壁パネルは、平面断面が波形に形成されていることで斜め部を有し、前記第2の送油パイプは前記斜め部において前記側壁パネルの壁面に略直交する状態で当該側壁パネルを貫通している。
【0015】
この配管構造によれば、側壁パネルに斜め部を設け、該斜め部において第2の送油パイプが側壁パネルを貫通しているので、樹脂製配管の曲がり癖による応力を軽減することがのできる。また、従来の鋼管による配管でも配管の行き先の機器の位置によってはプロテクタの各側壁を貫通する配管を必ずしも直交して設ける必要がなく、角度を持たせることで配管長さを短くできる。また、斜め部を設けることにより、上下方向または横方向の圧縮荷重に対する強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例にかかるマンホール構造を図面に従って説明する。
【0017】
給油所:
図1は、本実施例のマンホール構造が設けられた給油所の一例を示す。図1に示すように、給油所の地下には、油種毎に燃料油Lを貯留する地下タンク10が埋設されている。一方、給油所の地上には、1台ないし複数台の給油機14が設置されている。該給油機14と前記地下タンク10との間には、地下タンク10の燃料油Lを地上の給油機14に導くための送油管(配管材の一例)12が配管されて地中に埋設されている。給油所の地中は、コンクリートやアスファルトなどからなる表層の舗装層18とその下層の比較的粗く圧縮し易い土砂層17とからなる(図2(c))。舗装層18の上面は地表面Gを構成する。
なお、本実施例では説明を簡略化するため、地下タンク10および給油機14をそれぞれ1台ずつ示している。
【0018】
地下タンク:
前記地下タンク10は、全体が鋼材またはFRPにより略円筒形に形成されいる。完成されたマンホール構造を示す図2(c)のように、地下タンク10は土砂層17に囲まれた状態で埋設されている。前記地下タンク10の上部には、円筒状のタンクフランジ部10aが設けられている。前記タンクフランジ部10aは貫通孔11a(図3)を有するタンク蓋11により閉塞されている。
【0019】
地下タンク11には、送油管12が接続されている。この送油管は地下タンク10から前記タンク蓋11を貫通して(貫通孔11aに挿通されて)略鉛直上方に延びる第1送油パイプ12aと、その上方で概ね水平方向に延びる第2送油パイプ12bとを含み、両パイプ12a,12bは管継手12cにより接続されている。第2送油パイプ12bは、樹脂製フレキシブル配管からなる。
【0020】
マンホール装置:
図2(c)に示すように、本実施例にかかるマンホール装置1は、前記地下タンク10の真上に設けられて、土砂層17および舗装層18中に囲まれた状態で埋設されている。このマンホール装置1は、前記地下タンク10と地表面Gとの間に、前記地下タンク10に接続された送油管12の一部を収容する空間S(マンホール)を形成している。この空間Sの上方は後述のマンホール蓋6により覆われる。前記空間Sには、送油管12の一部の他に図示しないバルブや油面計等が収容されており、これらの点検やメンテナンス、あるいは、バルブの開閉操作などを前記空間S内で行うことが可能である。
【0021】
前記マンホール装置1は、地下タンク10側から順に、架台2、プロテクタ部3、カバー4および上下の筒部51,52を備えている。図3に示すように、前記各部材2〜51,52は、互いに別部材で構成されており、運搬時には分解して運搬可能とされていると共に、施工現場において組み立てることで前記マンホール装置1を形成できるように構成されている。
【0022】
架台:
図2(c)に示すように、架台2は、前記タンクフランジ部10aを取り囲むように地下タンク10の上部に設けられている。この架台2は土砂層17に囲まれた状態で埋設されている。図3に示すように、前記架台2は上下に貫通する角筒部20を有している。該角筒部20の下端は、略円筒形の前記地下タンク10の上部の曲面に沿った形状に形成されている。すなわち、前記角筒部20の下端の4辺のうち、地下タンク10の軸方向に離間して対向する一対の辺21が、地下タンク10の外周面と同心円状に湾曲している。
【0023】
前記架台2は、たとえば、FRP等の樹脂で形成され、前記角筒部20の下端が前記地下タンク10の上部に接合されている。当該接合は、たとえば、角筒部20の下端に塗布した耐油性の接着剤やコーキング材による接着により行われ、架台2と地下タンク10との間がシールされている。これにより、架台2と地下タンク10との間から外部の土砂層17中に油液が漏出するのを防止できると共に、土砂層17中の水分や砂粒、泥等が侵入するのを防止できる。また、地下タンク10に対して架台2を溶接するのに比べ、架台2の取付作業が著しく容易になる。
【0024】
前記角筒部20の上端には、方形枠状のフランジ部24が設けられている。該フランジ部24には、図2(c)に示すように、前記プロテクタ部3が接合される。この接合は、図示しない締結具による締結によって行われ、該締結具を挿通するための複数の貫通孔29(図3)が前記フランジ部24に形成されている。
【0025】
プロテクタ部:
図2(c)に示すように、プロテクタ部3は、地下タンク10に接続された送油管12の一部を収容している。プロテクタ部3は土砂層17に囲まれた状態で埋設されている。図3に示すように、前記プロテクタ部3は、互いに対向する一対の第1側壁パネル30Aと、互いに対向する一対の第2側壁パネル30Bとを備えている。これら4つの側壁パネル30A,30Bが互いに接合されていることで、前記プロテクタ部3は上下に開口した角筒状に形成されている。
【0026】
前記各側壁パネル30A,30Bは、前記プロテクタ部3の側壁を形成する方形の側壁板部35を有している。該側壁板部35には、図3の二点鎖線で示すように、前記送油管12の第2送油パイプ12bを挿通するための配管孔35aが形成される。この配管孔35aの加工を容易にするため、前記各側壁パネル30A,30BはFRP等の樹脂で形成するのが好ましい。こうすれば、ホールソー等の切削加工により前記配管孔35aを容易に形成することができるから、現場での作業性が著しく向上する。側壁板部35は全体がフラットであってもよいが、後述する斜め部を有していてもよい。
【0027】
前記各側壁板部35の周縁には、前記側壁板部35に概ね直交する方向に突出する第1、第2、第3および第4フランジ部31,32,33,34が設けられている。
前記第1および第2フランジ部31,32は、各々、前記各側壁板部35の上下方向に延びる左右の辺に沿って配置されている。前記第3フランジ部33は、前記各側壁板部35の上辺に沿って配置されている。前記第4フランジ部34は、前記各側壁板部35の下辺に沿って配置されている。前記第1〜第4フランジ部31〜34は互いに連なるように形成されていることで、前記各側壁パネル30A,30Bは前記側壁板部35を底面とするトレー状に形成されている。
【0028】
前記4つの側壁パネル30A,30Bの前記第1および第2フランジ部31,32のうち、少なくとも、4つのフランジ部を介して、前記隣接する各側壁パネル30A,30B同士は互いに接合されている。すなわち、第1側壁パネル30Aの第1および第2フランジ部31,32と、第2側壁パネル30Bの側壁板部35とに形成された複数の貫通孔37に締結具を挿通して締結することで、前記4つの側壁パネル30A,30Bが接合されている。なお、第1および第2側壁パネル30A,30B間の各接合部分は、耐油性の接着剤やコーキング材によりシールされている。
【0029】
図2(c)に示すように、前記各側壁パネル30A,30Bの4つの第4フランジ部34は、図示しない締結具により前記架台2のフランジ部24に締結されて接合される。前記第4フランジ部34には、締結具を挿通するための複数の貫通孔39(図3)が形成されている。なお、第4フランジ部34と架台2のフランジ部24との間は、耐油性の接着剤やコーキング材によりシールされている。
【0030】
前記各側壁パネル30A,30Bの4つの第3フランジ部33には、カバー4のフランジ部43が図示しない締結具によって締結されて接合される。前記第3フランジ部33には、締結具を挿通するための複数の貫通孔38(図3)が形成されている。なお、第3フランジ部33とカバー4のフランジ部43との間は、耐油性の接着剤やコーキング材によりシールされている。
【0031】
カバー:
図2(c)に示すように、前記プロテクタ部3の上には、カバー4が載置されている。カバー4は土砂層17に囲まれた状態で埋設されている。前記カバー4は、図3に示すように、ドーム状に湾曲したカバー本体40と、該カバー本体40の上部に突設された筒状の突出部41を有している。前記突出部41は、前記プロテクタ部3の上下の開口よりも小さな上開口41aを形成している。前記カバー本体40の周縁には、方形枠状のフランジ部43が設けられ、該フランジ部43が前記プロテクタ部3の第3フランジ部33に接合される。前記カバー4のフランジ部43には、前記接合に用いる締結具を挿通するための複数の貫通孔48が形成されている。
【0032】
下筒部、上筒部:
図2(c)に示すように、前記カバー4の上には下筒部52が配置されている。図3に示すように、下筒部52は角筒状に形成されている。下筒部52の下端部は前記カバー4の突出部41の外周に外嵌しており、耐油性の接着材やコーキング材によりシールされて接合されている。かかる接合により、下筒部52は、前記カバー4、プロテクタ部3および架台2を介して地下タンク10に支持されている。
【0033】
図2(c)に示すように、前記下筒部52の上には上筒部51が配置されている。図3に示すように、下筒部52は角筒状に形成されている。上筒部51の内周は下筒部52の外周に概ね沿った形状であり、図3のように、上筒部51の下端部は前記下筒部52の上端部の外周に外嵌している。前記上筒部51および下筒部52は、前記カバー4の上開口41aに連なる貫通孔54を形成している。
【0034】
上筒部51の内周は下筒部52の外周よりも大きいので、前記嵌合部分58において両筒部51,52の間には空隙59(図4(a))が形成されている。また、上下の筒部51,52は締結具等で互いに固定されていない。このため、前記上筒部51は下筒部52に対してスライド移動可能である。
【0035】
上筒部51の上部は外周が舗装層18に囲まれて該舗装層18に接合されており、これにより上筒部51は舗装層18により支持されている。土砂層17と舗装層18との間の境界面19は、前記両筒部51,52の嵌合部分58、つまり、前記上筒部51の下端51bと前記下筒部52の上端52tとの間の位置にある。すなわち、上筒部51の下端51bは前記境界面19よりも下方にあり、該下端51bは土砂層17に接している。したがって、上筒部51が荷重を受けて下方に沈み込む際、前記下端51bにより土砂層17が圧縮されて荷重が吸収される。
【0036】
図4(a),(b)に示すように、上筒部51の内側の四隅には上ベース71が固着されており、下筒部52の内側の四隅には下ベース72が固着されている(図3においては両ベース71,72の図示は省略されている)。これらのベース71,72は、設置工事の際にジャッキを装着するために用いるものであり、その説明は後述する。
【0037】
マンホール蓋:
図2(c)に示すように、前記マンホール装置1の上筒部51の上には、マンホール蓋6が嵌め込まれる蓋受部60が載置される。すなわち、上筒部51は蓋受部60を支持している。前記マンホール蓋6は、前記上下の筒部51,52で形成される貫通孔54を覆う大きさに形成されている。前記貫通孔54の大きさは、前記カバー4の上開口41aと同様に前記プロテクタ部3の上下の開口よりも小さいので、マンホール蓋6を小さく形成することができる。したがって、マンホール蓋6を軽量化することができる共に、マンホール蓋6の開閉作業を容易に行うことが可能である。なお、蓋受部60は、締結具などで上筒部51のフランジ51tに固定されていてもよい。
【0038】
斜め部:
なお、前記側壁パネル30A,30Bの側壁板部35は全体がフラットに形成されていてもよいが、図5(a),(b)のように、断面ヘ字状の部分が連続するように平面断面波形に形成されていてもよい。同図の側壁パネル30Aでは、側壁板部35の左右の両端部にフラットなフラット部90が設けられていると共に、両フラット部90の間に前記フラット部に対して斜めに形成された第1斜め部91および第2斜め部92が連続して設けられている。両斜め部91,92の間には頂部93が形成される。斜め部91,92は必ずしも複数設けられている必要はなく、側壁板部に1箇所だけ設けられていてもよい。
【0039】
図5(a)に示すように、この側壁パネル30Aの第1斜め部91には貫通孔35aが形成される。図5(c)に示すように、該貫通孔35aに前記第2送油パイプ12bが挿通されて、該パイプ12bがプロテクタ部3の外方に向かって配設される。貫通部分において、パイプ12bは側壁パネル30Aの壁面に略直交している。
【0040】
図6に示すように、前記貫通部分において第2送油パイプ12bは貫通孔35aに挿通されると共に、バンド15aによりパイプ取付具15に締付固定されており、このパイプ取付具15がボルト15bにより側壁板部35に共締め固定されている。第1斜め部91は、パイプ取付具15のフランジ15cの全面を接合できるように、該フランジ15cの直径よりも大きく設けられている。
【0041】
このように、斜め部91において、パイプ12bを側壁パネル30Aの壁面に貫通させることで、曲がり癖のついた樹脂製フレキシブル配管や斜めに配管された鋼管であっても、側壁パネルの壁面に対してスムースに直交させることができる。このため、パイプ12b、側壁パネル30A、パイプ取付具15などに不要な応力が生じない。
【0042】
なお、前記パイプ12bの貫通部分にはシールのためにゴム製のアダプターを使用してもよいし、必要に応じて、耐油性の接着剤やコーキング材を用いてシールしてもよい。
また、図5(c)の破線で示すパネル30A,30Bについては、前記斜め部91,92を有する側壁パネルまたは全体がフラットな側壁パネルを配管の状態に応じて適宜用いることができる。
【0043】
本実施例に示す構造は、図2(c)に示すように地下タンクの真上において設けられる場合だけでなく、他の箇所においても用いることができる。
たとえば、図1に示すように、給油所においては、送油管12の配管途中に点検口S1を設ける場合がある。この点検口S1の内部には、たとえば、送油管12の接続部やバルブ等が収容されており、これらを点検することが可能である。前記実施例の構造は、かかる点検口S1を形成するマンホール構造101にも適用することができる。
【0044】
また、図1に示すように、給油機14の地下には、液溜201が設けられている。該液溜201は、給油機14に向って立ち上がる送油管12を収容して、送油管12や給油機14などから漏出した燃料油を収納する。前記実施例の構造は、かかる液溜201の構造にも適用することができる。
【0045】
工事方法:
次に、地中に埋設された地下タンクの上方に前記マンホール構造を地中に構築する工事方法を図2〜図4を参照して説明する。
【0046】
まず、図3に示すように、タンク蓋11を地下タンク10のタンクフランジ部10aに締結具でに固定すると共に、架台2を地下タンク10の上部に接合して取り付ける。さらに、前記タンク蓋11の貫通孔11aに第1送油パイプ12aを挿通させる。
【0047】
続いて、4つの側壁パネル30A,30Bをボルトやタッピングビスなどの締結具(図示せず)と耐油性の接着剤やコーキング材で組み立てて、角筒状のプロテクタ部3を形成する。この際、第2送油パイプ12b(図4(c))の配設方向や状態などを考慮して、全体がフラットなフラットパネル、前記斜め部91,92を有する斜板パネルを適宜組み合わせる。そして、架台のフランジ部24とプロテクタ部の第4フランジ34を接合して図示しない締結具を締めることで、組み立てられたプロテクタ部3を架台2上に固定する。
【0048】
次に、プロテクタ部3のうち第2送油パイプ12bが挿通される側壁パネル30Aに該パイプ12bより多少大きめの配管用の貫通孔35aをホールソーなどで形成する。そして、第2送油パイプ12bを該形成された貫通孔35aに挿通して、第1送油パイプ12aと管継手12c(図2(c))で接続する。なお、第2送油パイプ12bは、貫通孔35aの部分で図6のようにパイプ取付具15により側壁パネル30Aに固定される。プロテクタ部3の配管貫通部分は、漏れのないようゴム製などのアダプターを使用する。
【0049】
次に、プロテクタ部3の第3フランジ33とカバー4のフランジ部43とを接合して図示しない締結具を締めることで、カバー4をプロテクタ部3の上部に固定する。そして、カバー4の上部の突出部41aに下筒部52を嵌め込んで接着する。
なお、前記地下タンク10〜下筒部52の各部材の接合ないし接着には耐油性の接着剤やコーキング材が用いられ、これにより各部材間がシールされる。
【0050】
次に、上筒部51を下筒部52に嵌め込み、上筒部51の下端部を下筒部52の上端部の外周に外嵌させる。
この際、図4(a)のように、上下の筒部51,52に高さ調節用の回転式のジャッキ7が装着されている。このジャッキ7は上筒部51の下筒部52に対する相対高さを調節するためのものである。高さの調節の必要な理由は、地下タンク10の埋設深さが各現場で異なるため、前記マンホール蓋6の高さを地表面に合わせるためのレベル調整が必要とされるからである。ジャッキ7は、図4(b)のように、両筒部51,52の内側の四隅のそれぞれに配置されている。
【0051】
ジャッキ7の上面は、前記上筒部51に固着された上ベース71に接合されている。ジャッキ7の下面はスライド金具73を介して、前記下筒部52に固着された下ベース72に接合されている。ジャッキ7の外周面には上下に長い溝状の孔76が複数個設けられており、該孔76にドライバー等を差し込んでジャッキ7を回転させることで、ジャッキ7を上下させることが可能である。
【0052】
なお、ジャッキ7の下面に設けられたピン74がスライド金具73および下ベース72の貫通孔に挿通されて、回転時にジャッキ7が軸ズレしないようにされている。前記スライド金具73は回転時のジャッキ7の揺動を抑制するためのものであるが、これを設けずに前記下面が直接下ベース72に接合されていてもよい。
【0053】
以上のようにして、地下タンク10の上にマンホール装置1が設置される。
なお、上述のように架台2〜上筒部51の各部材を順に上に積み上げ、接合していってもよいが、予め前記各部材が組み立てられた構造体を前記地下タンク10の上に配置するようにしてもよい。
【0054】
次に、前記ジャッキ7の操作により、マンホール蓋6の高さが地表面G(図1)の高さと概ね合致するように、上筒部51の下筒部52に対する相対高さを調節(上昇または下降)する。
【0055】
次に、蓋受部60を上筒部51の上端に載置し、該蓋受部60にマンホール蓋6を嵌め込む。これにより、図2(a)のように、地下タンク10の上方に架台2からマンホール蓋6までの部材が積み上げられた状態となる。
【0056】
次に、図2(b)のように、土砂を前記上筒部の下端51bよりも上方の位置(接合部分58)まで埋めて土砂層17を形成した後、該土砂層17の上にコンクリートやアスファルトなどの舗装材料を敷いて、地表面Gまでの舗装層18を形成する。この際、舗装材料は上筒部51および蓋受部60の外周に接して囲むように敷きつめられており、これにより上筒部51が舗装層18により支持されている。
【0057】
前記舗装層18の形成の後に、前記ジャッキ7を前記上下の筒部51,52から取り外し、図2(c)に示す完成状態になる。これにより、上筒部51が下筒部52に対して固定されておらず、かつ、上筒部51の下端51bが土砂層17に接触した状態となる。したがって、蓋受部60に荷重がかかっても、上筒部51の下端51bが土砂層17を圧縮することで荷重が吸収され、荷重は地下タンク10に伝わらない。
なお、本実施例では、図2(c)の完成状態において、上下のベース71,72が残るが、これらを上下の筒部51,52から取り外せるように構成してもよい。
【0058】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、高さ調節部の上筒部および下筒部は、それぞれ、プロテクタ部と同様に、4つの側壁パネルを組み立てて形成できるようにしてもよい。
また、マンホール装置を構成する各部材は、軽量化や加工性を考慮してFRPなどの樹脂で形成するのが好ましいが、鋼材やアルミニウム等で形成してもよい。
また、上筒部の下端は必ずしも土砂層と舗装層の境界より下である必要はなく、たとえはビニール製の筒を上下の筒部の接合部分に巻き付けた後に上筒部の全体を囲むように舗装層を形成すれば、上筒部を下筒部に対してスライド可能に嵌合させることができる。
また、舗装層と土砂層との境界面は一定の高さにする必要はなく、上下の筒部の接合部分の周囲においてのみ高くしたり、あるいは、低くしたりしてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】給油所を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、それぞれ、実施例にかかるマンホール構造の設置工事の工程を示す断面図である。
【図3】マンホール装置の分解斜視図である。
【図4】(a)は上下の筒部に装着されたジャッキを示す縦断面図、(b)は同横断面図である。
【図5】(a)〜(b)は、それぞれ、側壁パネルを示す正面図、断面図、(c)は側壁パネルに第2送油パイプが挿通されたプロテクタ部の断面図である。
【図6】第2送油パイプの挿通された貫通部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1:マンホール装置
10:地下タンク
12:送油管
12a:第1送油パイプ
12b:第2送油パイプ
17:土砂層
18:舗装層
19:境界面
3:プロテクタ部
30A,30B:側壁パネル
51:上筒部
51b:下端
52:下筒部
52t:上端
6:マンホール蓋
60:蓋受部
7:ジャッキ
G:地表面
S:マンホール(空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油を貯留する地下タンクの真上において、前記地下タンクに接続された配管の一部を収容する空間を形成すると共に、前記空間の上方をマンホール蓋により覆うマンホール装置の周囲に、上面が地表面を構成する舗装された舗装層が設けられたマンホール構造であって、
前記マンホール装置は、前記マンホール蓋の蓋受部を支持する上筒部と、該上筒部の下方で、かつ、前記地下タンクの上方に配置される下筒部とを備え、
前記上筒部の少なくとも上部が前記舗装層に囲まれ、
前記下筒部は前記地下タンクに直接または間接に支持されており、
前記上筒部の下端部が前記下筒部の上端部にスライド移動可能に嵌合しており、
前記上筒部が前記舗装層で支持されていることで、前記マンホール蓋の蓋受部に負荷された荷重が前記下筒部に負荷されるのを防止したマンホール構造。
【請求項2】
請求項1において、前記舗装層の下層には土砂層が設けられており、
前記上筒部の下端が前記土砂層と舗装層の境界面よりも下方に位置し、
前記上筒部の下端よりも下方において、前記下筒部が前記土砂層に囲まれているマンホール構造。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記下筒部と前記地下タンクとの間に、前記配管の一部を収容し上下に開口した1以上の別の部材が設けられており、前記下筒部が前記別の部材を介して前記地下タンクに支持されているマンホール構造。
【請求項4】
請求項1,2もしくは3に記載のマンホール構造を構築する工事方法であって、
前記地下タンクの上方に前記マンホール装置を設置する工程と、
前記下筒部に対する前記上筒部の上下の相対位置を調節するジャッキにより、前記上筒部の相対位置を調整する工程と、
前記ジャッキによる調整の後に、地表面の高さまで前記舗装層を形成して、前記上筒部の少なくとも一部を前記舗装層で支持する工程と、
前記舗装層の形成の後に、前記ジャッキを取り外す工程とを備える工事方法。
【請求項5】
前記ジャッキによる調整の後で、かつ、前記舗装層の形成の前に、前記上筒部の下端よりも上方の位置まで土砂を埋めて土砂層を形成する工程を更に備え、
前記舗装層が前記土砂層の上に形成される工事方法。
【請求項6】
燃料油を貯留する地下タンクと、前記地下タンクから燃料油を移送するための配管材と、前記地下タンクの上方において前記配管材の一部を収容するプロテクタ部とを備えた配管構造であって、
前記プロテクタ部は、4枚の側壁パネルが互いに接合されることで角筒状に形成されており、
前記配管材は前記地下タンクから略鉛直上方へ延びる第1送油パイプと、前記第1送油パイプから横方向に延び前記プロテクタ部を通って前記プロテクタ部の外方に向かって延びて配設される第2の送油パイプとを含み、
前記側壁パネルは、平面断面が波形に形成されていることで斜め部を有し、
前記第2の送油パイプは前記斜め部において前記側壁パネルの壁面に略直交する状態で当該側壁パネルを貫通している配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−112466(P2007−112466A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303901(P2005−303901)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】