説明

給湯暖房機

【課題】 暖房用2次熱交換器を通過させた後の燃焼排ガスに未回収のままで残る潜熱を有効かつ十分に回収して、熱効率のさらなる高効率化を図り得る給湯暖房機を提供する。
【解決手段】 給湯側2次熱交換器81が内蔵された上側ケース83と、暖房側2次熱交換器82が内蔵された下側ケース84との間の仕切り板85,86を段差状に配置して間に隙間87を形成する。暖房側1次熱交換器52から流れてきた燃焼排ガスを後側開口49から下側ケースに入れ、暖房側2次熱交換器内の低温水との熱交換で潜熱を回収する。その後、暖房側の燃焼排ガスを隙間87から上側ケース内に流入させ、給湯側2次熱交換器内の入水との熱交換により、暖房側では未回収のまま残った潜熱を燃焼排ガスから十分に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯用及び暖房用の2つの缶体を備えて2缶2回路又は2缶3回路に構成された給湯暖房機であって、燃焼バーナ、1次熱交換器及び2次熱交換器の組み合わせが上記の2缶体のそれぞれに設けられ、1次熱交換器において燃焼排ガスの顕熱を吸収して通過水が主加熱され、2次熱交換器において1次熱交換器通過後の燃焼排ガスから潜熱を吸収・回収して通過水が予熱されるというコンデンシングタイプの給湯暖房機に関し、特に給湯・暖房の各特性に着目して潜熱回収のさらなる高効率化を図り得る技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の2缶2回路でコンデンシングタイプに構成された給湯暖房機においては、例えば図11に示すように給湯用缶体200及び暖房用缶体400の各缶体内において燃焼バーナ310,510からの燃焼排ガスの上流側に1次熱交換器320,520を、下流側に2次熱交換器330,530をそれぞれ配設する一方、加熱対象の湯水をまず2次熱交換器330,530内に通過させて予熱した後に1次熱交換器320,520内に通過させて主加熱するようにしている。そして、給湯用缶体200で給湯側燃焼バーナ310の燃焼により発生した燃焼排ガスは給湯側1次熱交換器320を通過した後に給湯側2次熱交換器330を通過して外部に排出される一方、暖房用缶体400で暖房側燃焼バーナ510の燃焼により発生した燃焼排ガスも暖房側1次熱交換器520を通過した後に暖房側2次熱交換器530を通過して外部に排出されるようになっている。すなわち、給湯用缶体200及び暖房用缶体400のそれぞれで発生する燃焼排ガスは給湯用及び暖房用の各缶体200,400で別個に熱消費された後はそのまま外部に排出されるようになっている。但し、外部に排出させる際には、給湯側2次熱交換器330を通過した後の燃焼排ガスと、暖房側2次熱交換器530を通過した後の燃焼排ガスとを、各2次熱交換器330,530の下流側で集合排気筒100により集合させた上で外部に排出させることが行われている。
【0003】
又、それぞれ多管式熱交換器により構成した給湯用2次熱交換器と、暖房用2次熱交換器とを上下に配置して一体化した上で、給湯用缶体と暖房用缶体とに跨るようにして連結させる構造も提案されている(例えば特許文献1又は本出願人の先願である特願2005−200950にて提案)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−274043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の2缶2回路でコンデンシングタイプに構成された上記の給湯暖房機では、暖房用2次熱交換器において燃焼排ガスからの潜熱の回収が極めて不十分であり、未回収のまま潜熱が排出されてしまうことにより熱効率のさらなる高効率化を阻害する事態を招いている。すなわち、潜熱の回収効率は潜熱を有する燃焼排ガスと、その潜熱吸収により予熱される湯水との温度差の大小如何により左右され、その温度差が小さければ潜熱の回収効率も低くなって潜熱が未回収のままの燃焼排ガスが外部に排出されてしまうことになるため、特に暖房用2次熱交換器の側で潜熱の回収が不十分となっている。例えば暖房用缶体の側では暖房端末で放熱された後の低温水(例えば60℃)が暖房用2次熱交換器に戻されて暖房用1次熱交換器からは加熱された後の高温水(例えば80℃)が上記暖房端末に循環供給されるのに対し、通常は20℃程度の水が入水される給湯用2次熱交換器とは際だった特性上の相違がある。このため、暖房用1次熱交換器を通過した後に暖房用2次熱交換器に流れてくる燃焼排ガス温度が例えば70〜80℃であったとしても、その暖房用2次熱交換器に入水される戻り温水との温度差があまりないために、給湯用2次熱交換器の場合と比べ燃焼排ガスからの潜熱回収が不十分になって、潜熱回収が不十分なままで比較的高温の燃焼排ガスを外部に排出させてしまうことになる。
【0006】
このような事情は、上記の従来の給湯暖房機における如く、集合排気筒により各2次熱交換器から出た燃焼排ガスを集合させたり、あるいは、両2次熱交換器をまとめて一体化した構造にしたりしたとしても、暖房用2次熱交換器を通過した後の燃焼排ガスがそのまま外部に排出されることに変わりはなく、上記の不都合はそのまま残ることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、暖房用2次熱交換器を通過させた後の燃焼排ガスに未回収のままで残る潜熱を有効かつ十分に回収して、熱効率のさらなる高効率化を図り得る給湯暖房機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、暖房回路の燃焼作動により生じて暖房回路側の2次熱交換器で潜熱回収した後の燃焼排ガスであっても、さらに給湯回路側の2次熱交換器側に供給することにより、未回収のまま残っている潜熱を十分に回収するようにしたものである。
【0009】
具体的には、給湯回路と、温水循環式の暖房回路とがそれぞれ潜熱回収用の2次熱交換器を備えた給湯暖房機を対象にして、暖房回路の燃焼作動により生じた燃焼排ガスが暖房回路側の2次熱交換器を通過した後に給湯回路側の2次熱交換器に向けて供給されるよう両2次熱交換器間を連通させる連通路を備えるようにした(請求項1)。
【0010】
この発明の場合、暖房回路側の2次熱交換器により潜熱は回収されたが、その潜熱回収が不十分で未回収の潜熱が残ったままの燃焼排ガスが連通路を通して給湯回路側の2次熱交換器に供給されるため、この給湯回路側の2次熱交換器内に通される冷たい入水との熱交換によって上記燃焼排ガスから潜熱を十分に回収することが可能となる。これにより、従来はそのまま外部に排出させていた暖房側の燃焼排ガスから、より十分な潜熱回収が図られるため、さらなる高効率化が図られる。
【0011】
この発明においては、上記給湯回路と暖房回路とを互いに独立して燃焼作動可能なように2缶2回路に構成し、給湯回路側の2次熱交換器と暖房回路側の2次熱交換器とを上下各位置に配置して間を仕切られた状態で一体化する一方、その仕切りを貫通して連通路を設けるようにすることもできる(請求項2)。又、上記給湯回路と暖房回路とを互いに独立して燃焼作動可能なように2缶2回路に構成し、給湯回路側の2次熱交換器と暖房回路側の2次熱交換器とを互いに独立して設ける一方、両2次熱交換器の設置空間を、連通路を介して互いに連通接続させるようにすることができる(請求項3)。これらにより、給湯回路側及び暖房回路側の両2次熱交換器を一体配置にしても別個配置にしてもいずれにしても、連通路を設けることが可能となって、上記の熱効率の高効率化が図られる。
【0012】
さらに、上記連通路を、上記給湯回路の燃焼作動により生じた燃焼排ガスが給湯回路側の2次熱交換器に向けて供給される際の下流側に対応する部位に向けて、上記暖房回路の燃焼作動により生じた燃焼排ガスが供給されるよう、配置させることもできる(請求項4)。このようにすることにより、連通路を通して供給される暖房回路側の燃焼排ガスと、潜熱を吸収する媒体であって給湯回路側の2次熱交換器内の入水との間の温度差をより大きくさせることが可能となって、潜熱回収の効率をより一層高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、請求項1〜請求項4のいずれかの給湯暖房機によれば、暖房回路側の2次熱交換器により一応の潜熱回収はされたが、その潜熱回収が不十分で未回収の潜熱が残っている燃焼排ガスから、給湯回路側の2次熱交換器内に通される冷たい入水との熱交換によって潜熱を十分に回収することができようになり、潜熱回収のさらなる高効率化を図ることができる。
【0014】
特に請求項2又は請求項3によれば、給湯回路側及び暖房回路側の両2次熱交換器を一体配置にしても別個配置にしても、いずれの構成の場合にも連通路を設けることができ、熱効率の高効率化を図ることができるようになる。
【0015】
又、請求項4によれば、連通路を通して供給される暖房回路側の燃焼排ガスと、潜熱を吸収する媒体であって給湯回路側の2次熱交換器内の入水との間の温度差をより大きくとることができ、これにより、潜熱回収の効率をより一層高めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る給湯暖房機の原理的な模式図を示す。この給湯暖房機は、給湯用缶体2を有する給湯回路3と、暖房用缶体4を有する暖房回路5とから2缶2回路に構成されたものである。すなわち、給湯回路3と、暖房回路5とが互いに独立した缶体2,4において燃焼加熱を受ける構成を備えたものである。しかも、上記の給湯回路3及び暖房回路5のそれぞれが後述の如く1次熱交換器32,52及び2次熱交換器33,53を備えたコンデンシングタイプに構成されている。
【0018】
上記給湯用缶体2は、給湯側燃焼バーナ31を内蔵した燃焼ケース部21と、給湯側1次熱交換器32を内蔵した1次熱交換ケース部22と、給湯側2次熱交換器33を内蔵した2次熱交換ケース部23と、排気筒部24とが組み付けられて基本構成されたものである。上記給湯側燃焼バーナ31は燃料(例えば燃料ガス)の供給と、燃焼ケース部21の下側に連結された送風ファン34からの燃焼用空気の供給とを受けて燃焼されるようになっている。そして、給湯側燃焼バーナ31が燃焼作動されると、発生した燃焼排ガスは給湯側1次熱交換ケース部22及び2次熱交換ケース部23の各内部を順に通過した後に、排気筒部24を通して外部に排出されることになり、その際に1次熱交換器32との熱交換により顕熱が吸収され、2次熱交換器33との熱交換により潜熱が吸収されるようになっている。上記の1次熱交換器32は例えばフィンアンドチューブ式のもので構成され、2次熱交換器33は例えば多管式のもので構成されている。上記2次熱交換器33の入口331には入水路35の下流端が接続され、その出口332が上記1次熱交換器32の入口321に接続され、その出口322が出湯路36の上流端に接続されている。そして、この給湯回路3においては、入水路35の上流端側に水道管等の図外の給水配管から給水を受け、これを上記2次熱交換器33内に入口331から導入して予熱させた後、出口332及び入口321を通して1次熱交換器32内に入水させ、熱交換加熱により昇温した湯が出口322から出湯路36に出湯され、この出湯路36及びこれに接続された図外の給湯配管を通して給湯栓等へ給湯されるようになっている。
【0019】
一方、上記暖房用缶体4も、上記の給湯用缶体2とほぼ同様構成を備えている。すなわち、暖房用缶体4は、暖房側燃焼バーナ51を内蔵した燃焼ケース部41と、暖房側1次熱交換器52を内蔵した1次熱交換ケース部42と、暖房側2次熱交換器53を内蔵した2次熱交換ケース部43とが組み付けられて基本構成されたものである。上記暖房側燃焼バーナ51は上記の燃料の供給と、燃焼ケース部41の下側に連結された送風ファン54からの燃焼用空気の供給とを受けて燃焼されるようになっている。そして、暖房側燃焼バーナ51が燃焼作動されると、発生した燃焼排ガスは暖房側1次熱交換ケース部42及び2次熱交換ケース部43の各内部を順に通過した後に、連通路6を通して給湯用の2次熱交換ケース部23内に供給され、この2次熱交換ケース部23内を通って排気筒部24から外部に排出されるようになっている。これにより、1次熱交換器52との熱交換により顕熱が吸収され、2次熱交換器53との熱交換により潜熱が吸収され、さらに給湯側の2次熱交換器33との熱交換により未回収の潜熱が吸収されるようになっている。上記の1次熱交換器52は例えばフィンアンドチューブ式のもので構成され、2次熱交換器53は例えば多管式のもので構成されている。上記2次熱交換器53の入口531には戻り路55の下流端が接続され、この戻り路55を通して1又は2以上(図1には1つのみ図示)の暖房端末7で放熱された後の低温水が2次熱交換器53に戻されるようになっている。この2次熱交換器53の出口532は1次熱交換器52の入口521と接続され、1次熱交換器52の出口522が上記暖房端末7へ延びる往き路56の上流端に接続されている。これにより、2次熱交換器53で予熱された低温水が1次熱交換器52に流入され、この1次熱交換器52での熱交換加熱により暖房用の熱源として必要な所定温度まで昇温されて高温水となり、この高温水が上記往き路56を通して暖房端末7に供給される。この往き路56及び戻り路55を通した暖房端末7と暖房用缶体4との間の循環供給は循環ポンプ57の作動により実現されるようになっている。
【0020】
上記の2次熱交換ケース部23,43、及び、両者を連通接続する連通路6などについて、図1の原理的な構造を具体的な形状・構造にした例を示す図2に基づいてより具体的に説明する。給湯用缶体2において、1次熱交換ケース部22と、2次熱交換ケース部23とは、燃焼排ガスを集合させて流すための集合ケース部25を介して連結されている。又、暖房用缶体4においても、1次熱交換ケース部42と、2次熱交換ケース部43とは、同様の集合ケース部45を介して連結されている。各集合ケース部25,45は、1次熱交換ケース部22,42の上面開口を覆って1次熱交換器32,52(図1参照)を通過した後の燃焼排ガスを集合させ、集合した燃焼排ガスを各缶体2,4の後側に導いた上で後面開口26,46を通して各2次熱交換ケース部23,43内に対し後から導入させるようになっている。そして、給湯側2次熱交換ケース部23の前面開口27と、暖房側2次熱交換ケース部43の前面開口47とに跨って前側位置を横に延びる連通路6が形成されており、暖房側2次熱交換ケース部43内を前方に流れた燃焼排ガスが前面開口47から連通路6及び前面開口27を通して給湯側2次熱交換ケース部23内の前側に流入されるようになっている。給湯側2次熱交換ケース部23の前面上側位置には排気筒24が前方に突出して開口形成されており、給湯側2次熱交換ケース部23に対し後面開口26から流入した燃焼排ガスと、前面開口27から流入した燃焼排ガスとが排気筒24から外部に排出されるようになっている。ここで、上記の給湯側2次熱交換ケース部23内においては、後面開口26から給湯側1次熱交換ケース部22からの燃焼排ガスが流入され、この燃焼排ガスは排気筒24のある前方に流れることになる。つまり、暖房側2次熱交換ケース部43からの燃焼排ガスが流入される給湯側2次熱交換ケース部23の前側とは、給湯側2次熱交換ケース部23あるいは2次熱交換器33の下流側に相当する。なお、上記の排気筒24は前方に突出させる他、符号24aで示すように上方に突出させるようにしてもよい。
【0021】
図3(a)は図2のA−A線における断面説明図を、図3(b)は図2のB−B線における断面説明図をそれぞれ示し、図4は多管式に構成した場合における給湯側及び暖房側の両2次熱交換器33,53の構造説明図を示している。給湯側2次熱交換器33は、入口331に連通する入口側ヘッダ333及び出口332に連通する出口側ヘッダ334と、折返しヘッダ335との間に、往き側及び戻り側の2群の細管群33a,33bが掛け渡されて連通接続されたものである。入口331から入った入水は入口側ヘッダ333で複数の細管からなる往き側細管群33aに分流されて折返しヘッダ335に至り、折返しヘッダ335で一旦合流した後に再度戻り側細管群33bに分流されて出口側ヘッダ334に至る。そして、出口側ヘッダ334で合流されて出口332を通して1次熱交換器32に送られることになる。上記の入水は往き側及び戻り側の細管群33a,33bを通過する間に2次熱交換ケース部23内に流される燃焼排ガスと熱交換して燃焼排ガスの有する潜熱を吸収して予熱されることになる。暖房側2次熱交換器53も給湯側2次熱交換器33と同じ構造とされ、入口531に連通する入口側ヘッダ533及び出口532に連通する出口側ヘッダ534と、折返しヘッダ535との間に、往き側及び戻り側の2群の細管群53a,53bが掛け渡されて連通接続されている。
【0022】
なお、図3中の符号231,431はそれぞれ排ガスドレンを集めて集水するドレン管であり、符号232,432はそれぞれ邪魔板である。邪魔板232は給湯側2次熱交換ケース部23の上面から下から垂下されて後面開口26からの燃焼排ガスが排気筒24に向けて直線的に流れるのを邪魔し、邪魔板432は暖房側2次熱交換ケース部43の下面から上に立設されて後面開口46からの燃焼排ガスが前面開口47に向けて直線的に流れるのを邪魔するようになっている。
【0023】
以上の第1実施形態では、暖房側2次熱交換ケース部43に対し暖房側1次熱交換ケース部42からの燃焼排ガスが後面開口46を通して流入し、2次熱交換器53の細管群53b,53aを通過して前面開口47に向けて流れる間に、燃焼排ガスの潜熱が細管群53a,53b内の低温水と熱交換により吸収されて低温水が予熱される。ここで、暖房端末7が例えば80℃の高温水の供給を受けて放熱し、放熱後に60℃の低温水となって暖房用缶体4に戻されるとした場合、暖房側1次熱交換器42を熱交換加熱した後の燃焼排ガスが例えば80℃であると、予熱対象の低温水と燃焼排ガスとの温度差が僅かであるため、潜熱の回収が不十分なままで燃焼排ガスが前面開口47から連通路6及び前面開口27を通して給湯側2次熱交換ケース部23内に送られることになる。一方、給湯側2次熱交換ケース部23では給湯側1次熱交換ケース部22からの燃焼排ガスが後面開口26を通して流入し、2次熱交換器33の細管群33b,33aを通過して排気筒24に向けて流れる間に、燃焼排ガスの潜熱が細管群33a,33b内の入水と熱交換により吸収されて入水が予熱される上に、暖房側からの燃焼排ガスによっても予熱されることになる。例えば、入水の水道水が20℃であり、この入水が給湯側1次熱交換器32からの燃焼排ガスにより予熱されて30℃まで予熱されたとしても、連通路6を通して暖房側2次熱交換ケース部43から供給される燃焼排ガスの潜熱を吸収してより一層高温まで予熱させることができるようになる。要するに、暖房側の燃焼排ガスを暖房側2次熱交換器53に通過させた後にそのまま排出させずに、給湯側2次熱交換器33に導入させることにより、暖房側で潜熱回収が不十分で未回収の潜熱を給湯側において十分に回収することができ、これにより、潜熱回収効率を可及的に高めてより一層の高効率化を図ることができるようになる。
【0024】
しかも、暖房側からの燃焼排ガスを給湯側2次熱交換ケース部23の前側位置(下流側位置)、すなわち入口側ヘッダ333からの往き側細管群33aの配設位置、要するに入水路35から最初に入水される最も低温の水が流される位置に供給するようにしているため、暖房側からの燃焼排ガスの潜熱をより高い回収効率によって十分に回収することができることになる。
【0025】
ここで、給湯運転が停止状態(給湯側燃焼バーナ31が燃焼停止状態)で、暖房運転のみ継続中の場合には、暖房側2次熱交換ケース部43から給湯側2次熱交換ケース部23に供給される燃焼排ガスによって給湯側2次熱交換器33内の水が滞留状態のまま予熱されることになるため、給湯側2次熱交換器33を一種の蓄熱槽として機能させることもできるようになる。逆に、暖房運転が停止状態(暖房側燃焼バーナ51が燃焼停止状態)で、給湯運転のみが実行中において、給湯側2次熱交換ケース部23から暖房側への逆流防止のために暖房側の送風ファン54だけ作動させて送風した場合に、この送風が連通路6を通して給湯側2次熱交換ケース部23に流れたとしても、最も低温側の入水が流される位置であるため、送風に起因する熱効率の損失を最小限に抑制することができる。
【0026】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る給湯暖房機の原理的な模式図を示す。この給湯暖房機は、第1実施形態と同様に給湯用缶体2を有する給湯回路3と、暖房用缶体4を有する暖房回路5とから2缶2回路に構成され、かつ、コンデンシングタイプに構成されている点は同じであるが、給湯側2次熱交換器81と暖房側2次熱交換器82とを上下に重ねて一体化した2次熱交換器8を用いている点で第1実施形態と異なる。なお、以下において特に説明を加えたものを除き、第1実施形態と同じ構成要素については第1実施形態と尾など符号を付して重複した詳細説明を省略する。
【0027】
この2次熱交換器8は互いに独立して構成された給湯用缶体2と暖房用缶体4とを跨いで両者を連結するような状態に設置される。この連結構造は次のようになっている。すなわち、図6に示すように2次熱交換器8は上側ケース83内に給湯側2次熱交換器81が配設され、下側ケース84内に暖房側2次熱交換器82が配設されている。上側ケース83は図7にも示すように給湯側の集合ケース部25内と後側開口29を通して連通され、下側ケース84は暖房側の集合ケース部45内と後側開口49を通して連通されている。上側ケース83と下側ケース84とは内部において互いに上下方向に段差を設けて配置された2つの仕切り板85,86により仕切られると同時に、前側位置において連通路としての隙間87を通して互いに連通されている。加えて、上側ケース83の前面には排気筒88が前方に突出して開口されている。なお、排気筒88は図7に符号88aで示すように上向きに突出して配置させるようにしてもよい。又、図7中の符号831は第1実施形態でも説明したドレン管である。
【0028】
上側ケース83内の給湯側2次熱交換器81は、図8に示すように、入口811に連通する入口側ヘッダ812及び出口813に連通する出口側ヘッダ814と、折返しヘッダ815との間に、往き側及び戻り側の2群の細管群81a,81bが掛け渡されて連通接続されたものである。入口811から入った入水は入口側ヘッダ812で複数の細管からなる往き側細管群81aに分流されて折返しヘッダ815に至り、折返しヘッダ815で一旦合流した後に再度戻り側細管群81bに分流されて出口側ヘッダ814に至る。そして、出口側ヘッダ814で合流されて出口813を通して1次熱交換器32(図5参照)に送られることになる。下側ケース84内の暖房側2次熱交換器82も、構造としては上記と同様であり、入口821に連通する入口側ヘッダ822及び出口823に連通する出口側ヘッダ824と、折返しヘッダ825との間に、往き側及び戻り側の2群の細管群82a,82bが掛け渡されて連通接続されたものである。
【0029】
この第2実施形態の場合も第1実施形態と同様に、暖房側で潜熱回収が不十分なままの燃焼排ガスを給湯側に供給して給湯側において十分に潜熱回収を図ることができるようになる。すなわち、下側ケース84内に対し暖房側1次熱交換ケース部42からの燃焼排ガスが後側開口49を通して流入し、暖房側2次熱交換器82の細管群82b,82aを通過して前側に向けて流れる間に、燃焼排ガスの潜熱が細管群82a,82b内の低温水と熱交換により吸収されて低温水が予熱される。そして、下側ケース84の前側位置まで流れた燃焼排ガスは隙間87から上方の上側ケース83内に流入する。一方、上側ケース83内に対し給湯側1次熱交換ケース部22からの燃焼排ガスが後側開口29を通して流入し、給湯側2次熱交換器81の細管群81b,81aを通過して排気筒88に向けて流れる間に、燃焼排ガスの潜熱が細管群81a,81b内の入水と熱交換により吸収されて入水が予熱される上に、上記の隙間87を通して供給される暖房側からの燃焼排ガスによっても予熱されることになる。これにより、暖房側で未回収の潜熱を暖房側の燃焼排ガスから十分に回収して給湯側の入水をより一層高温まで予熱させることができるようになる。
【0030】
しかも、この第2実施形態の場合も、暖房側からの燃焼排ガスを給湯側2次熱交換器部81の前側位置(下流側位置)の最も低温の水が流される位置に供給するようにしているため、暖房側からの燃焼排ガスの潜熱をより高い回収効率によって十分に回収することができることになる。又、給湯運転が停止状態で暖房運転のみ実行される場合や、逆に、給湯運転のみ実行され暖房運転が停止状態の場合の作用効果等として、第1実施形態で説明したものと同様のものを第2実施形態でも得ることができる。
【0031】
なお、この第2実施形態の両仕切り板85,86を隙間87の側に向けて僅かに下り勾配に配置することにより、上側ケース83内で発生する排ガスドレンを下側ケース84内に落下させてドレン管831を通して処理のために集水することができる。
【0032】
又、上記の仕切り板85,86と、下側ケース84から上側ケース83に対し暖房側からの燃焼排ガスを流入させるための隙間87との態様は各種のものを採用することができる。例えば、図9に示すように、2つの仕切り板91,92を前側位置(同図の左側位置)において前後方向(同図の左右方向)に離隔させ、両者間に所定幅の隙間(連通路)93を形成するようにしてもよい。この場合も両仕切り板91,92を隙間93側に向けて下り勾配に配置すればよい。あるいは、図10に示すように、1乃至2枚以上の仕切板94,95を組み合わせて前側の範囲に2以上の隙間(連通路)96,96,…を開口させるようにしてもよい。この場合、連通路としては隙間状もしくは孔状など形状はいずれでもよく、又、その数も1以上の任意でよい。さらに、仕切り板94から下側ケース84の空間に向けて邪魔板97を垂下させるようにしてもよい。
【0033】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1及び第2実施形態では、2缶2回路に構成された給湯暖房機を示したが、これに限らず、暖房回路5の往き路56の途中に例えば液・液熱交換器を介装させて、この液・液熱交換器と浴槽とを循環路で接続することにより浴槽湯水の追い焚き加熱を行う追い焚き回路を形成し、これにより、2缶3回路に構成してもよい。
【0034】
また、給湯回路2に循環ポンプを設け、給湯運転が停止状態で暖房運転のみが実行される時にその循環ポンプを作動させて2次熱交換器33,81内の滞留水を給湯回路3内で循環させるようにしてもよい。これにより、暖房側の2次熱交換器53,82を通過した後の燃焼排ガスが給湯側2次熱交換器33,81に供給された際における潜熱回収をより高く効率化させることができる。又、この際に上記循環ポンプとして、暖房回路5側の循環ポンプ57と別個に設けるのではなくて、回転羽根もしくは水車のみを給湯回路3側にも設けておき、暖房側の循環ポンプ57のモータからの回転駆動力を受けるようにしてもよい。
【0035】
さらに、第2実施形態では給湯側2次熱交換器81を上側ケース83内に、暖房側2次熱交換器82を下側ケース84内に配置しているが、必須ではなく、上下逆にしてもよい。上下逆にしても給湯側2次熱交換器が配置されている側のケースに排気筒を設置することで、暖房側から給湯側への燃焼排ガスの流れが生じるからである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態を原理的に示す模式図である。
【図2】缶体のより具体的な形状・構造を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は図2のA−A線における断面説明図、図3(b)は図2のB−B線における断面説明図である。
【図4】2次熱交換器の構造を説明するための斜視図である。
【図5】第2実施形態を原理的に示す模式図である。
【図6】缶体のより具体的に形状・構造を示す斜視図である。
【図7】図7(a)は図6のC−C線における断面説明図、図7(b)は図6のD−D線における断面説明図である。
【図8】2次熱交換器の構造を説明するための分解斜視図である。
【図9】図7とは異なる他の態様を示すものであり、図9(a)は図7(a)の対応図、図9(b)は図7(b)の対応図である。
【図10】図7又は図9とは異なる他の態様を示すものであり、図10(a)は図7(a)の対応図、図10(b)は図7(b)の対応図である。
【図11】従来の給湯暖房機の例を示す図1対応図である。
【符号の説明】
【0037】
2 給湯用缶体
3 給湯回路
4 暖房用缶体
5 暖房回路
6 連通路
33,81 給湯側2次熱交換器
53,82 暖房側2次熱交換器
87,93,96 隙間(連通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯回路と、温水循環式の暖房回路とがそれぞれ潜熱回収用の2次熱交換器を備えた給湯暖房機であって、
暖房回路の燃焼作動により生じた燃焼排ガスが暖房回路側の2次熱交換器を通過した後に給湯回路側の2次熱交換器に向けて供給されるよう両2次熱交換器間を連通させる連通路を備えている
ことを特徴とする給湯暖房機。
【請求項2】
請求項1記載の給湯暖房機であって、
上記給湯回路と暖房回路とは互いに独立して燃焼作動可能なように2缶2回路に構成され、
給湯回路側の2次熱交換器と暖房回路側の2次熱交換器とは上下各位置に配置され間を仕切られた状態で一体化される一方、その仕切りを貫通して連通路が設けられている、給湯暖房機。
【請求項3】
請求項1記載の給湯暖房機であって、
上記給湯回路と暖房回路とは互いに独立して燃焼作動可能なように2缶2回路に構成され、
給湯回路側の2次熱交換器と暖房回路側の2次熱交換器とは互いに独立して設けられる一方、両2次熱交換器の設置空間は連通路を介して互いに連通接続されている、給湯暖房機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の給湯暖房機であって、
上記連通路は、上記給湯回路の燃焼作動により生じた燃焼排ガスが給湯回路側の2次熱交換器に向けて供給される際の下流側に対応する部位に向けて、上記暖房回路の燃焼作動により生じた燃焼排ガスが供給されるよう、配置されている、給湯暖房機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−163039(P2007−163039A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360271(P2005−360271)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】