説明

給湯装置

【課題】小流量におけるハンチング現象の防止ができるとともに高温出湯の防止が図れる給湯装置を実現する。
【解決手段】制御装置200は、流量カウンタ72で検出された流量が少ないときに、湯側の開度が所定開度に固定される混合比率に混合弁16を制御し、かつPID制御によって混合弁16を制御しているときに、流量カウンタ72で検出された流量が所定値未満に変化したときに、所定値未満を検出した後の所定時間は、所定値未満を検出したときの混合比率を維持するように混合弁16を制御し、所定時間経過後は、湯側の開度が所定開度に固定される混合比率に混合弁16を制御する。これにより、ハンチング現象の防止ができるとともに高温出湯の防止が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関するものであり、特に、湯と水との混合手段を備えた貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置として、例えば、特許文献1に示すように、貯湯タンク内に貯えられた蓄熱用流体と水とを熱交換器で熱交換して温水を作成して給湯する給湯装置が知られている。この装置では、熱交換器で熱交換された湯の給湯温度を調節する混合手段が設けられ、給湯温度が給湯設定温度となるように混合手段を制御している。
【0003】
より具体的には、熱交換器の湯水通路を通る流量を検出する出湯量検出手段と、混合手段から出湯する給湯温度を検出する給湯温度検出手段とを設けている。そして、給湯温度検出手段で検出された給湯温度が給湯設定温度となる混合比率に混合手段をPID制御(フィードバック制御)している。
【0004】
ここで、PID制御(フィードバック制御)は、出湯量検出手段が一定流量(例えば、約0.1リットル)を検出する毎に混合手段の混合比率を変化させる制御を行うものであって、これにより、湯水通路を通る流量が小流量(例えば、約1.5リットル/分)から大流量(例えば、約15リットル/分)に変化があっても同様な立ち上がり時間で給湯設定温度への温度制御を行うことができる。
【0005】
また、この種の混合手段では、例えば、特許文献2に示すように、給湯時には、給湯設定温度に応じて混合手段の混合比率を制御し、給湯停止時には、所定時間、混合手段の混合比率を給湯停止時の状態の混合比率に保持し、所定時間経過後に、混合手段の湯水通路側が閉塞される混合比率に混合手段を制御している。つまり、給湯停止時後の所定時間内に再給湯が行われたときに速やかに対応できるように給湯停止時の状態の混合比率に保持する制御をしている。
【特許文献1】特開平14−122352号公報
【特許文献2】特公平7−72620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献1では、湯水通路を通る流量が小流量(例えば、約1.5リットル/分)未満の領域まで絞られると、出湯量検出手段の出力パルス自体の検出精度が低下し、PID制御(フィードバック制御)が不安定となって混合手段を出湯する給湯温度にハンチング現象が発生する問題がある。
【0007】
また、上記文献2では、さらに、流量が低下して、例えば、微少流量(例えば、約0.5リットル/分)未満の領域になると、出湯量検出手段が検出不能の状態となる。ここで、給湯停止時後の所定時間内にこのような超微少流量で給湯されると、この場合には、出湯量検出手段が給湯停止状態と検出され、給湯停止時の状態の混合比率に保持された状態が継続され、そこに超微少流量が通過することになる。
【0008】
つまり、この場合のPID制御する混合手段では、一般的に小流量(例えば、約1.5リットル/分)未満の領域になると、出湯する給湯温度が高温側に上昇する特性(例えば、特開2003−83614号公報の図3に基づく記載によれば)を有している。これにより、高温の湯が出湯される問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであり、小流量におけるハンチング現象の防止ができるとともに高温出湯の防止が図れる給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項6に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、加熱手段(2)により内部の水を加熱して、内部に湯として貯える貯湯タンク(1)と、この貯湯タンク(1)に水を送る給水経路(12)と、貯湯タンク(1)に貯えられた湯を送る給湯経路(14)と、給水経路(12)から分岐し、貯湯タンク(1)を迂回するバイパス回路(15)と、給湯経路(14)とバイパス回路(15)とが合流した混合湯経路(17)と、この混合湯経路(17)に設けられ、混合湯経路(17)を通る混合湯の流量を検出するとともに、混合湯経路(17)を通る混合湯の供給の有無を検出する出湯量検出手段(72)と、給湯経路(14)とバイパス回路(15)との合流点に設けられ、前記給湯経路(14)を通る湯と前記バイパス回路(15)を通る水との混合比率を、それぞれの経路(14、15)の開度を調節することで制御する混合手段(16)と、この混合手段(16)の下流側に設けられ、混合手段(16)を出湯する給湯温度を検出する給湯温度検出手段(71)と、この給湯温度検出手段(71)により検出された給湯温度が給湯設定温度になるPID制御によって混合手段(16)の混合比率を制御する制御手段(200)とを備える給湯装置において、
制御手段(200)は、出湯量検出手段(72)で検出された流量が少ないときに、給湯経路(14)側の開度が所定開度に固定される混合比率、もしくはPID制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率のいずれか一方の混合比率に混合手段(16)を制御することを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、流量が少ない(例えば、約1.5リットル/分未満)ときは湯側の開度が固定される混合比率に制御することにより、給湯温度が安定することでハンチング現象の防止ができる。
【0012】
また、一定流量を検出する毎に混合比率を制御するPID制御を用いずに、それよりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御することにより、給湯温度が安定することでハンチング現象の防止ができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、PID制御によって混合手段(16)を制御しているときにおいて、制御手段(200)は、出湯量検出手段(72)で検出された流量が所定値未満に変化したときに、所定値未満を検出した後の所定時間は、所定値未満を検出したときの混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を維持するように混合手段(16)を制御し、所定時間経過後は、給湯経路(14)側の開度が所定開度に固定される混合比率、もしくはPID制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率のいずれか一方の混合比率に混合手段(16)を制御することを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、上記所定時間内に再度流量が増加する再給湯があったときに速やかに温度調節が対応することができる。ただし、流量の少ない状態が所定時間継続する給湯のときは所定時間経過後に給湯温度を安定させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、PID制御によって混合手段(16)を制御しているときにおいて、制御手段(200)は、出湯量検出手段(72)で検出された流量が所定値未満を所定時間連続して検出したときに、給湯経路(14)側の開度が所定開度に固定される混合比率、もしくはPID制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率のいずれか一方の混合比率に混合手段(16)を制御することを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、給湯を行っているときに、流量が少ない(例えば、約1.5リットル/分未満)側に変化したときは湯側の開度が固定される混合比率に、もしくは所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御することにより、給湯温度が安定することでハンチング現象の防止ができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、制御手段(200)は、給湯温度検出手段(71)で検出された給湯温度が所定値以上のときに、給湯経路(14)側の開度が閉塞される混合比率に混合手段(16)を制御することを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、特に、給湯経路(14)側の開度が開いている上記所定時間内もしくは開度が所定開度に固定される混合比率のいずれかの場合において、流量が少ない(例えば、約1.5リットル/分未満)ときは、例えば、チョロ出しのような微少流量(例えば、約0.5リットル/分)未満の領域になると、出湯量検出手段(72)が検出不能となるが、給湯温度を監視することで高温のチョロ出し出湯の防止が図れる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、制御手段(200)は、出湯量検出手段(72)が混合湯経路(17)を通る給湯停止を検出したときに、給湯停止を検出した後の所定時間は、給湯停止を検出したときの混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を維持するように混合手段(16)を制御し、所定時間経過後は、給湯経路(14)側の開度が閉塞される混合比率に混合手段(16)を制御することを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、上記所定時間内に再給湯があったときに速やかに温度調節が対応することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、給湯経路(14)、バイパス回路(15)のいずれか一方もしくは両方には、逆流を防止する逆止弁(23)を介して混合手段(16)に設けられていることを特徴としている。この発明によれば、特に、給湯経路(14)側の開度が開いている上記所定時間内の給湯停止したときに、混合手段(16)において、給湯経路(14)とバイパス経路(15)との自然対流による湯と水の移動を禁止させることができる。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による給湯装置を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は本実施形態の給湯装置の概略構成を示す模式図であり、図2は制御装置200の温度制御の制御処理を示すフローチャートである。また、図3は流量カウンタ72で検出された検出値に対する混合弁16の混合比率を制御する制御形態の遷移図である。
【0024】
本実施形態の給湯装置は、図1に示すように、貯湯タンク1、給水経路である導入管12、給湯経路である導出管14、混合湯経路である配管17、バイパス経路である給水配管15、混合手段である混合弁16、加熱手段であるヒートポンプユニット2、制御手段である制御装置200などから構成されている。
【0025】
1は耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)の貯湯タンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用水を長時間に渡って保温することができるようになっている。貯湯タンク1は縦長形状であり、その底面には導入口11が設けられ、この導入口11には貯湯タンク1内に水道水を導入する給水経路である導入管12が接続されている。
【0026】
導入管12には温度検出手段である給水サーミスタ21が設けられており、導入管12内の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。また、導入管12には導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節する減圧弁51が設けられている。そして、導入管12の給水サーミスタ21および減圧弁51が設けられた位置より下流側と後述する混合手段である混合弁16とはバイパス経路である給水配管15により繋がれている。
【0027】
一方、貯湯タンク1の最上部には導出口13が設けられ、導出口13には貯湯タンク1内の湯を導出するための給湯経路である導出管14が接続されている。導出管14の経路途中には逃がし弁53を配設した排出配管52が接続しており、貯湯タンク1内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、貯湯タンク1内の湯を外部に排出して、貯湯タンク1等にダメージを与えないようになっている。
【0028】
16は混合手段である混合弁であり、導出管14と給水配管15との合流点に配置されている。そして、混合弁16は混合比率である開口面積比(導出管14に連通する湯側の開度と給水配管15に連通する水側の開度の比率)を調節することにより、導出管14からの湯と給水配管15からの水道水との混合比を調節できるようになっている。
【0029】
また、混合弁16はサーボモータ等の駆動源により弁体を駆動して各経路の開度を調節する電動弁であり、後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0030】
なお、導出管14および給水配管15のそれぞれの下流側には、逆流防止のための逆止弁23が設けられている。この逆止弁23は、混合弁16の開度が保持されたまま給湯停止しているときに、この混合弁16を介して導出管14の湯と給水配管15の水とが自然対流によって湯が給水配管15、水が導出管14への移動を防止している。
【0031】
そして、混合弁16の出口側には蛇口、シャワー、風呂等への混合湯経路である配管17が接続している。配管17には給湯温度検出手段である給湯サーミスタ71と出湯量検出手段である流量カウンタ72が設けられており、給湯サーミスタ71は配管17内の温度情報を、流量カウンタ72は配管17内の流量情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0032】
流量カウンタ72からは、配管17を流れる混合湯の流量を検出するとともに、その流量により配管17を流れる混合湯の供給の有無を検出するものであり、配管17内の流量情報をパルス信号の速度により制御装置200に出力するようにしている。
【0033】
例えば、制御装置200は、流量カウンタ72からのパルス信号が0pps(pluse/sec)で入力されると、給湯が停止されていると判定する。また、そのパルス信号が、1pps以上であれば、蛇口、シャワー、風呂等のいずれかで湯が使用されていると判定している。
【0034】
ところで、配管17を流れる混合湯の温度調節は混合弁16の混合比率を制御装置200により制御されている。言い換えれば、制御装置200は、給湯設定温度に応じて、まず給水サーミスタ21からの温度情報と後述する出湯サーミスタ32からの温度情報とから混合弁16の開口面積比を概略調節するFF(フィードフォワード)制御をし、その後、給湯サーミスタ71からの給湯温度情報に基づいて、その給湯温度が給湯設定温度となるように混合弁16の混合比率である開口面積比をPID制御(フィードバック制御)による微細制御するようになっている。
【0035】
ここで、FF(フィードフォワード)制御は、給湯設定温度に応じて、給水サーミスタ21からの温度情報と後述する出湯サーミスタ32からの温度情報とから混合弁16の開口面積比を求めて、この面積比の混合比率を初期開度と設定して、暫くの間フィードフォワード制御する。そして、より具体的には、流量カウンタ72が一定流量(例えば、約0.1リットル)を検出する毎に下記に示すPID制御(フィードバック制御)を行うようにしている。
【0036】
Hn=Hn-1+Kp(En−En-1)+Ki×En+Kd(En−2En-1+En-2) ただし、Hn…制御入力値、 En、En-1、En-2 …目標温度との差、 Kp…比例係数、 Ki…積分係数、 Kd…微分係数
このように一定流量を検出する毎にPID制御を行うと、結果として流量の大小に応じて制御時間間隔(インターバル)を変えることができる。これにより、初期状態終了後の定常的な給湯の際には、中流量(例えば、1.5リットル/分)から大流量(例えば、15リットル/分)まで同様の立ち上がり時間で給湯設定温度への温度制御を行うことができる。
【0037】
そこで、本発明では、このPID制御(フィードバック制御)を上記制御定数(Kp、Ki、Kdなど)を大小に2段階に分け、例えば、PID−1制御とPID−2制御とに分けている。
【0038】
ここで、PID−1制御はPID−2制御よりも制御定数(Kp、Ki、Kdなど)が小さくしたものであって、流量が中流量(例えば、1、5〜4.0リットル/分)のときにPID−1制御を行い、この中流量を超えたときにPID−2制御を行うようにしている。また、この中流量未満の小流量(例えば、1.5リットル/分未満)のときは湯側の開度を所定開度に固定させる混合比率に混合弁16を制御している(これについては、後述する)。
【0039】
また、貯湯タンク1の下部には、貯湯タンク1内の水を吸入するための吸入口18が設けられ、貯湯タンク1の上部側面には、貯湯タンク1内に湯を吐出する吐出口19が設けられている。吸入口18と吐出口19とは循環回路20で接続されており、循環回路20の一部はヒートポンプユニット2内に配置されている。
【0040】
そして、循環回路20のヒートポンプユニット2内に配置された部分には、図示しない熱交換器が設けられており、吸入口18から吸入した貯湯タンク1内の水を高温冷媒との熱交換により加熱し、吐出口19から貯湯タンク1内に戻すことにより貯湯タンク1内の水を沸き上げることができるようになっている。
【0041】
ヒートポンプユニット2は、本実施形態における加熱手段である。なお、ヒートポンプユニット2は後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0042】
また、貯湯タンク1の上部外壁面には、貯湯タンク1内上部の水温を検出する出湯サーミスタ32が設けられており、導出口13から導出される水の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0043】
さらに、貯湯タンク1の外壁面には複数の(本例では6つの)水位サーミスタ33が縦方向にほぼ等間隔に配置され、貯湯タンク1内に満たされた水の各水位レベルでの温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。従って、制御装置200は、水位サーミスタ33からの温度情報に基づいて、貯湯タンク1内上方の沸き上げられた湯と貯湯タンク1内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出できるようになっている。
【0044】
また、200は制御手段である制御装置であり、各サーミスタ21、32、33、71からの温度情報、流量カウンタ72からの流量情報および図示しない操作盤に設けられた操作スイッチからの信号等に基づいて、後述する手順に従ってヒートポンプユニット2、混合弁16等を制御するように構成されている。
【0045】
なお、図示しない操作盤は、浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置され、操作盤以外は、屋外等の適所に設置されている。
【0046】
次に、以上の構成による給湯装置の作動を図2および図3に基づいて説明する。給湯装置の図示しない電源スイッチがオンされると、図2に示すように、ステップ210にて、制御装置200は温調制御を開始する。このときは混合弁16の湯側の開度を0%とし(湯側を閉じ)、水側の開度を100%とするように混合弁16を制御する。
【0047】
このときに、貯湯タンク1に設けられた各サーミスタからの温度情報等や、図示しない操作盤により設定された時刻情報等に基づいて、適宜ヒートポンプユニット2を作動させ貯湯タンク1内の水を加熱して湯(例えば85℃の湯)とする。
【0048】
そして、ステップ220にて、流量カウンタ72で検出された流量情報が0ppsであるか否かを判定する。ここでは、蛇口等が開かれて配管17を介しての給湯が開始されたか否かを判定しており、具体的には、流量情報が1pps以上であれば給湯が開始されたと判断してステップ230に移行する。そして、流量情報が0ppsであれば、給湯が停止状態と判断して待機している。
【0049】
そして、まず、ステップ230にて、混合弁16の湯側の開度を、例えば20%(水側を80%に固定)に固定する。そして、ステップ260にて、流量情報が14pps(約2リットル/分)以上か否かを判定する。ここでは、給湯している流量が小流量なのか否かを判定するものであり、小流量であればステップ230に戻り、湯側の開度を20%で固定を維持している。小流量以上であればステップ270に移行する。
【0050】
なお、ステップ240、ステップ250では、図3に示すように、混合弁16の湯側の開度を20%に固定している状態のときに、流量カウンタ72で検出された流量情報と給湯サーミスタ71で検出された給湯温度情報とを監視する判定手段であって、このときに、流量情報が0ppsとなれば給湯が停止されたと判定してステップ210に戻って湯側の開度を閉じる。そして、給湯温度情報が65℃以上、10秒間連続しておればステップ210に戻って湯側の開度を閉じる。
【0051】
そして、湯側の開度が20%に固定されているときに、ステップ260にて、流量情報が14pps(約2リットル/分)以上であれば、ステップ270にて、通常制御の第1段階であるPID−1制御を行う。より具体的には、給湯サーミスタ71からの給湯温度情報に基づいて、その給湯温度が給湯設定温度となるように混合弁16の混合比率をフィードバック制御する。
【0052】
なお、PID−1制御を行うときは、具体的には、流量が中流量(例えば、約1.5〜4リットル/分)の範囲内のときに行うようにしている。つまり、ステップ280およびステップ290で流量情報を監視し、ステップ280で10pps(約1.5リットル/分)以上、ステップ290で28pps(約4リットル/分)未満のときにPID−1制御を行う。
【0053】
そして、PID−1制御を行っているときに、ステップ280にて、流量情報が10pps(約1.5リットル/分)未満の小流量に変化したときは、ステップ300にて、流量情報が変化したときの最終開度の混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を保持しておく。また、ステップ290にて、流量情報が28pps(約4リットル/分)以上の大流量に変化したときは、ステップ310に移行する。
【0054】
そして、小流量に変化したときは、ステップ320にて、最終の開度の混合比率を保持してから10分経過したかを判定する。ここで、所定時間が経過しておれば、ステップ230に戻って湯側の開度を20%に固定し、所定時間内のときは、ステップ330〜ステップ360にて、流量情報と給湯温度情報とを監視する。
【0055】
つまり、PID−1制御を行っているときに小流量に変化すると、その時点のそれぞれの開度を最終開度として保持させる。そして、その最終開度を所定時間保持させる。そして、所定時間が経過すれば湯側の開度を20%に固定する。
【0056】
また、その所定時間内においては、流量情報が0ppsであれば給湯が停止されたと判定して、給湯温度情報が、例えば、65℃以上、10秒間連続しておればステップ210に戻って湯側の開度を閉じる。このときに、給湯温度情報が65℃未満であれば所定時間になるまで待機する。
【0057】
また、ステップ350にて、流量情報が14pps以上に回復したときには、ステップ270に戻ってPID−1制御を行う。また、ここで流量情報が14pps未満で、かつステップ360にて、流量情報が1〜9ppsで5秒連続したときはステップ230に戻って湯側の開度を20%に固定する。
【0058】
一方、PID−1制御を行っているときに、ステップ290にて、流量情報が28pps(約4リットル/分)以上の大流量に変化したときは、ステップ310にて、FF(フィードフォワード)制御を行う。そして、ステップ320にて、通常制御の第2段階のPID−2制御を行う。
【0059】
そして、このPID−2制御を行っているときに、ステップ380にて、流量情報を監視する。ここでは、流量情報が24pps(約3.5リットル/分)未満であるか否かを判定する。つまり、PID−2制御を行っているときに、流量情報が24pps(約3.5リットル/分)未満であれば、ステップ270に戻ってPID−1制御を行い、24pps(約3.5リットル/分)以上であれば、PID−2制御を継続する。
【0060】
このような制御を行うことにより、混合弁16の混合比率を流量カウンタ72で検出された流量情報に基づいて制御することができる。因みに、図3に示すように、流量情報が24pps(約3.5リットル/分)以上のときはPID−2制御による温度制御を行い。
【0061】
流量情報が10(約1.5リットル/分)〜28(約4リットル/分)ppsのときはPID−1制御による温度制御を行い。そして、流量情報が14(約2リットル/分)pps未満のときは、湯側の開度が20%に固定された混合比率による温度制御を行っている。
【0062】
また、PID−1制御を行っているときに、流量が低下したときは、流量が低下したときの混合比率で開度が保持されている。そして、この開度が保持される所定時間内、および混合弁16が湯側の開度が20%に固定されたときに給湯温度が65℃以上に上昇したときは、開度を閉塞するように制御される。
【0063】
以上の第1実施形態による給湯装置によれば、制御装置200により、流量カウンタ72で検出された流量が少ない(約1.5リットル/分未満)ときに、湯側の開度が所定開度に固定される混合比率に混合弁16を制御する。
【0064】
これによれば、小流量のときにPID制御を行わず、湯側の開度を20%に固定することで、給湯温度を安定させることができる。従って、小流量のときに不安定となるPID制御の欠点である給湯温度のハンチング現象の発生を防止できる。
【0065】
また、PID−1制御によって混合弁16を制御しているときに、制御装置200は、流量カウンタ72で検出された流量が所定値未満に変化したときに、所定値未満を検出した後の所定時間は、所定値未満を検出したときの混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を維持するように混合弁16を制御し、所定時間経過後は、湯側の開度が所定開度に固定される混合比率に混合弁16を制御する。
【0066】
これによれば、上記所定時間内に再度流量が増加する再給湯があったときに速やかに温度調節が対応することができる。ただし、流量の少ない状態が所定時間継続する給湯のときは所定時間経過後に給湯温度を安定させることができる。
【0067】
また、PID制御によって混合弁16を制御しているときに、制御装置200は、流量カウンタ72で検出された流量が所定値未満を所定時間連続して検出したときに、湯側の開度が所定開度に固定される混合比率に混合弁16を制御する。
【0068】
これによれば、給湯を行っているときに、流量が少ない(例えば、約1.5リットル/分未満)側に変化したときは湯側の開度が固定される混合比率により、給湯温度が安定することでハンチング現象の防止ができる。
【0069】
また、給湯サーミスタ71で検出された給湯温度が所定値以上のときに、湯側の開度が閉塞される混合比率に混合弁16を制御することにより、湯側の開度が開いている所定時間内もしくは開度が所定開度に固定される混合比率のいずれかの場合において、流量が少ない(例えば、約1.5リットル/分未満)ときは、例えば、チョロ出しのような微少流量(例えば、約0.5リットル/分)未満の領域になると、流量カウンタ72が検出不能となるが、給湯温度を監視することで高温のチョロ出し出湯の防止が図れる。
【0070】
また、制御装置200は、流量カウンタ72が配管17を通る給湯停止を検出したときに、給湯停止を検出した後の所定時間は、給湯停止を検出したときの混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を維持するように混合弁16を制御し、所定時間経過後は、湯側の開度が閉塞される混合比率に混合弁16を制御することにより、上記所定時間内に再給湯があったときに速やかに温度調節が対応することができる。
【0071】
また、導出管14、給水配管15は、逆流を防止する逆止弁23を介して混合弁16に設けられていることにより、特に、湯側の開度が開いている上記所定時間内の給湯停止したときに、混合弁16において、導出管14と給水配管15との自然対流による湯と水の移動を禁止させることができる。
【0072】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、制御装置200により、流量カウンタ72で検出された流量情報が14(約2リットル/分)pps未満のときは、湯側の開度が20%に固定された混合比率に混合弁16を制御するように構成したが、これに限らず、流量情報が14(約2リットル/分)pps未満のときは、上記PID−1制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率に混合弁16を制御するように構成しても良い。
【0073】
具体的には、図4に示すように、ステップ230aにて、PID−1制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック(FB)制御を行うようにしている。言い換えると、PID−1制御では、流量カウンタ72が一定流量(例えば、約0.1リットル)を検出する毎に給湯温度が設定温度となるように、PID制御(フィードバック制御)を行うようにしている。
【0074】
本実施形態では、このPID−1制御よりも精度を緩和させたものであり、所定時間による制御時間間隔によるフィードバック(FB)制御を行う。しかも、制御定数(Kp、Ki、Kdなど)をPID−1制御よりも遅くなるように設定している。
【0075】
これによれば、PID−1制御のときよりも、小流量のときに給湯温度を安定化させることができる。従って、給湯温度が安定することでハンチング現象の防止ができる。なお、図中に示すその他の符号は、第1実施形態と同じ制御処理については、同一の符号を付すとともに説明は省略する。
【0076】
また、図5に示すように、本実施形態による制御によれば、流量情報が24pps(約3.5リットル/分)以上のときはPID−2制御による温度制御を行い。流量情報が10(約1.5リットル/分)〜28(約4リットル/分)ppsのときはPID−1制御による温度制御を行い。
【0077】
そして、流量情報が14(約2リットル/分)pps未満のときは、上記PID−1制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率による温度制御を行っている。
【0078】
(第3実施形態)
本実施形態では、図7に示すように、制御装置200により、流量カウンタ72で検出された流量情報が24pps(約3.5リットル/分)以上のときはPID−2制御による温度制御を行い。流量情報が24(約3.5リットル/分)pps未満のときは、上記PID−1制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率に混合弁16を制御するように構成している。
【0079】
そして、フィードバック制御を行っているときに、流量情報が0ppsであれば給湯が停止されたと判定し、そのときの混合比率で開度が保持されている。そして、この開度が保持される所定時間内に給湯温度が65℃以上に上昇したときは、開度を閉塞するように制御される。
【0080】
なお、開度が保持される所定時間内に給湯温度が、例えば、65℃以上にならなかったときは、所定時間になったときに開度を閉塞するように制御される。これを具体的に、フローチャートに示したものが図7であって、以上の第1、第2実施形態で説明したステップ250〜ステップ280、ステップ350、およびステップ360を削除することで構成できる。
【0081】
また、流量情報が24(約3.5リットル/分)pps未満のときは、上記PID−1制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率に混合弁16を制御することにより、PID−1制御のときよりも、小流量のときに給湯温度を安定化させることができる。
【0082】
(他の実施形態)
以上の実施形態による流量情報のパルス信号を示す実数値は例示であって、混合弁16の配設位置、配管長さや取り回しなどの給湯装置の諸特性になどに応じて適宜設定し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態における制御装置200の温度制御の制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態における流量カウンタ72で検出された検出値に対する混合弁16の混合比率を制御する制御形態の遷移図である。
【図4】本発明の第2実施形態における制御装置200の温度制御の制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態における流量カウンタ72で検出された検出値に対する混合弁16の混合比率を制御する制御形態の遷移図である。
【図6】本発明の第3実施形態における流量カウンタ72で検出された検出値に対する混合弁16の混合比率を制御する制御形態の遷移図である。
【図7】本発明の第3実施形態における制御装置200の温度制御の制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1…貯湯タンク
2…ヒートポンプユニット(加熱手段)
12…導入管(給水経路)
14…導出管(給湯経路)
15…給水配管(バイパス経路)
16…混合弁(混合手段)
17…配管(混合湯経路)
23…逆止弁
71…給湯サーミスタ(給湯温度検出手段)
72…流量カウンタ(出湯量検出手段)
200…制御装置(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段(2)により内部の水を加熱して、内部に湯として貯える貯湯タンク(1)と、
前記貯湯タンク(1)に水を送る給水経路(12)と、
前記貯湯タンク(1)に貯えられた湯を送る給湯経路(14)と、
前記給水経路(12)から分岐し、前記貯湯タンク(1)を迂回するバイパス回路(15)と、
前記給湯経路(14)と前記バイパス回路(15)とが合流した混合湯経路(17)と、
前記混合湯経路(17)に設けられ、前記混合湯経路(17)を通る混合湯の流量を検出するとともに、前記混合湯経路(17)を通る混合湯の供給の有無を検出する出湯量検出手段(72)と、
前記給湯経路(14)と前記バイパス回路(15)との合流点に設けられ、前記給湯経路(14)を通る湯と前記バイパス回路(15)を通る水との混合比率を、それぞれの経路(14、15)の開度を調節することで制御する混合手段(16)と、
前記混合手段(16)の下流側に設けられ、前記混合手段(16)を出湯する給湯温度を検出する給湯温度検出手段(71)と、
前記給湯温度検出手段(71)により検出された給湯温度が給湯設定温度になるPID制御によって前記混合手段(16)の混合比率を制御する制御手段(200)とを備える給湯装置において、
前記制御手段(200)は、前記出湯量検出手段(72)で検出された流量が少ないときに、前記給湯経路(14)側の開度が所定開度に固定される混合比率、もしくは前記PID制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率のいずれか一方の混合比率に前記混合手段(16)を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記PID制御によって前記混合手段(16)を制御しているときにおいて、
前記制御手段(200)は、前記出湯量検出手段(72)で検出された流量が所定値未満に変化したときに、所定値未満を検出した後の所定時間は、所定値未満を検出したときの混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を維持するように前記混合手段(16)を制御し、前記所定時間経過後は、前記給湯経路(14)側の開度が所定開度に固定される混合比率、もしくは前記PID制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率のいずれか一方の混合比率に前記混合手段(16)を制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記PID制御によって前記混合手段(16)を制御しているときにおいて、
前記制御手段(200)は、前記出湯量検出手段(72)で検出された流量が所定値未満を所定時間連続して検出したときに、前記給湯経路(14)側の開度が所定開度に固定される混合比率、もしくは前記PID制御よりも遅いゲインで所定時間の制御時間間隔とするフィードバック制御による混合比率のいずれか一方の混合比率に前記混合手段(16)を制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記制御手段(200)は、前記給湯温度検出手段(71)で検出された給湯温度が所定値以上のときに、前記給湯経路(14)側の開度が閉塞される混合比率に前記混合手段(16)を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御手段(200)は、前記出湯量検出手段(72)が前記混合湯経路(17)を通る給湯停止を検出したときに、給湯停止を検出した後の所定時間は、給湯停止を検出したときの混合比率もしくはその混合比率よりも水側が大きい混合比率を維持するように前記混合手段(16)を制御し、前記所定時間経過後は、前記給湯経路(14)側の開度が閉塞される混合比率に前記混合手段(16)を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記給湯経路(14)、前記バイパス回路(15)のどちらか一方もしくは両方には、逆流を防止する逆止弁(23)を介して前記混合手段(16)に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の給湯装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate