説明

給紙搬送装置及び画像形成装置

【課題】 用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙を、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させる場合に、ピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出された際に、用紙の後端部が前ガイド部材に衝突して衝撃音が発生するのを適切に抑制する。
【解決手段】 給紙カセット11に収容された用紙Sをピックアップローラー12により給紙し、給紙された用紙を、前ガイド部材13を介して給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させるにあたり、前ガイド部材を、搬送される用紙から離れる方向に移動又は弾性変形可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙カセットなどの用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙をガイドする前ガイド部材を介して、上記の用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させる給紙搬送装置及びこのような給紙搬送装置を用いた画像形成装置に関するものである。特に、ピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出された際に、この用紙の後端部が、前記の前ガイド部材に衝突して衝撃音が発生するのを低減できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの複合機からなる画像形成装置等においては、一般に、給紙カセットなどの用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、用紙が複数枚重送されてきた場合には、この給紙ローラーと分離ローラーとの間で重送された用紙を分離させて、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して一枚の用紙を搬送させるようにした給紙搬送装置が使用されている。
【0003】
また、上記のような給紙搬送装置においては、用紙収容部からピックアップローラーによって給紙された用紙が、給紙ローラーと分離ローラーとの間に適切に導かれるようにするために、例えば、特許文献1等に示されるように、給紙された用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に案内する前ガイド部材を設けることが行われている。
【0004】
ここで、この特許文献1のものにおいては、用紙収容部からピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が、前ガイドの上面より下の壁面に当たって騒音が発生したり、用紙が紙詰まりしたりするのを防止するため、用紙収容部から用紙の搬送方向に沿って延在するようにして前ガイドにガイド面を設けるようにしている。
【0005】
しかし、この特許文献1のものにおいては、上記のように用紙収容部からピックアップローラーによって給紙された用紙を、上記の前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させる場合において、ピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出されると、用紙の腰によって用紙の後端部が用紙収容部から前ガイド部材に向かって付勢され、用紙の後端部が前ガイド部材に衝突して衝突音が発生し、特に厚紙等の腰の強い用紙の場合には、用紙の後端部が用紙収容部から前ガイド部材に向かって付勢される力が強くなって、用紙の後端部が前ガイド部材に強く衝突して、大きな衝突音が発生するという問題が存在した。
【0006】
また、従来においては、特許文献2において、給紙ローラーと傾斜部材とのニップ部を通過した用紙が、傾斜部材のガイド面に衝突して発生する異常音を抑制するために、傾斜部材のニップ部よりも用紙の導出側に導出側傾斜面を設けるようにしたものが提案されている。
【0007】
しかし、この特許文献2のものは、上記のように給紙ローラーと傾斜部材とのニップ部を通過した用紙が、傾斜部材のガイド面に衝突して発生する異常音を抑制するものであり、上記のように用紙収容部からピックアップローラーによって給紙された用紙を、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して搬送させる場合に、給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出された際に、給紙された用紙の後端部が前ガイド部材に衝突して衝撃音が発生するのを抑制することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−51668号公報
【特許文献2】特開2004−284734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙を、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させるようにした給紙搬送装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
すなわち、本発明は、上記のような給紙搬送装置において、ピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出された際に、この用紙の後端部が、上記の前ガイド部材に衝突して衝撃音が発生するのを適切に抑制することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る給紙搬送装置においては、上記の課題を解決するため、用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙をガイドする前ガイド部材を介して、上記の用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させる給紙搬送装置において、前記の前ガイド部材を、搬送される用紙から離れる方向に移動又は弾性変形可能に設けるようにした。
【0012】
そして、本発明に係る給紙搬送装置において、ピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出される時点において、前記の前ガイド部材が、搬送される用紙から離れる方向に移動し又は弾性変形すると、用紙収容部から搬出された用紙の後端部が前ガイド部材に衝突するとしても、衝突する際の力が緩和されるようになる。
【0013】
また、上記の給紙搬送装置において、ピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれるまで、前記の前ガイド部材が用紙から離れる方向に移動又は弾性変形するのを抑止する抑止手段を設けると、ピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が、前ガイド部材によって給紙ローラーと分離ローラーとの間に適切に導かれるようになる。
【0014】
そして、本発明の画像形成装置においては、用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙をガイドする前ガイド部材を介して、上記の用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させるにあたり、上記のような給紙搬送装置を用いるようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の給紙搬送装置においては、用紙収容部からピックアップローラーによって給紙された用紙を、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させるにあたり、前記の前ガイド部材を、搬送される用紙から離れる方向に移動又は弾性変形可能に設け、ピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出される時点において、前ガイド部材が搬送される用紙から離れる方向に移動し又は弾性変形するようにしたため、用紙収容部から搬出された用紙の後端部が前ガイド部材に衝突する際の力が緩和され、給紙された用紙の後端部が前ガイド部材に衝突して衝撃音が発生するのが抑制されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る給紙搬送装置を使用する画像形成装置の例を示した概略説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る給紙搬送装置において、(A)は給紙カセットからピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた状態を示した概略説明図、(B)は給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた用紙の後端が給紙カセットから搬出されて、用紙の後端部が前ガイド部材に衝突する状態を示した概略説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る給紙搬送装置において、(A)は給紙カセットからピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた状態を示した概略説明図、(B)は給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた用紙の後端が給紙カセットから搬出されて、用紙の後端部が前ガイド部材に衝突する状態を示した概略説明図である。
【図4】上記の第2の実施形態に係る給紙搬送装置の変更例を示し、給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた用紙の後端が給紙カセットから排出された場合に、前ガイド部材を用紙の後端部と衝突しない位置まで移動させた状態を示した概略説明図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る給紙搬送装置において、(A)は給紙カセットからピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が、前ガイド部材を介して給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた状態を示した概略説明図、(B)は給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれた用紙の後端が給紙カセットから排出された場合に、前ガイド部材を用紙の後端部と衝突しない位置まで移動させた状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、この発明の実施形態に係る給紙搬送装置及びこの給紙搬送装置を用いる画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る給紙搬送装置及び画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0018】
この実施形態においては、図1に示すように、画像形成装置1内に、給紙部10、用紙搬送路20、画像形成部30、定着部40、排紙部50などを備えている。
【0019】
ここで、上記の給紙部10においては、用紙Sを収容させる用紙収容部となる給紙カセット11と、ピックアップローラー12、前ガイド部材13、給紙ローラー14及び分離ローラー15などを備えた給紙搬送装置が設けられている。
【0020】
そして、この給紙部10においては、給紙カセット11内において押上板11bの上に積載された用紙Sをバネ11aにより付勢させて、用紙Sを上記のピックアップローラー12に圧接させるようにしている。
【0021】
また、上記の給紙搬送装置においては、上記のピックアップローラー12を回転させて、給紙カセット11内に収容された用紙Sを給紙カセット11から給紙し、このように給紙された用紙Sを、前ガイド部材13を介して給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導き、給紙ローラー14と分離ローラー15との間に用紙Sが複数枚重送されてきた場合には、この給紙ローラー14と分離ローラー15との間で重送された用紙Sを分離させて、この給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して一枚の用紙Sを用紙搬送路20に搬送させるようにしている。
【0022】
ここで、上記のように給紙ローラー14と分離ローラー15との間で重送された用紙Sを分離させるにあたっては、上記の分離ローラー15の回転軸にトルクリミッタ(図示せず)を設け、このトルクリミッタの回転制限力を、用紙S同士の摩擦力よりも大きく設定する一方、用紙Sと分離ローラー15との間の摩擦力よりも小さく設定している。
【0023】
このようにすると、給紙ローラー14と分離ローラー15との間に一枚の用紙Sが送り込まれた場合には、この一枚の用紙Sと分離ローラー15との間の摩擦力は、上記のトルクリミッタの回転制限力を上回ることになり、分離ローラー15も回転して、一枚の用紙Sが給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して搬送されるようになる。また、給紙ローラー14と分離ローラー15との間に二枚以上の用紙Sが重送されたときには、用紙S同士の摩擦力が上記のトルクリミッタの回転制限力を下回るため、分離ローラー15は回転せず、給紙ローラー14に接触している一枚の用紙Sだけが、給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して搬送されるようになる。
【0024】
また、上記の用紙搬送路20は、画像形成経路20A、排紙/反転経路20B、両面搬送経路20C、これら経路上に配置される各種ローラーなどにより構成される。
【0025】
画像形成経路20Aには、搬送ローラー21、レジストローラー22、二次転写ローラー34、定着部40などが設けられており、上記の給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して送り出された用紙Sは、その下流側に位置する搬送ローラー21を通り、レジストローラー22の箇所で一旦待機され、画像形成のタイミングに合わせてレジストローラー22によって搬送される。
【0026】
排紙/反転経路20Bには、排紙ローラー23A及び反転ローラー23Bが設けられている。片面印刷の場合には、前記の画像形成経路20Aを通過した用紙Sは、排紙/反転経路20Bに導かれ、排紙ローラー23Aが順方向に回転することで排紙部50に排紙される。一方、両面印刷の場合には、前記の画像形成経路20Aを通過した片面印刷済の用紙Sは、切替爪24によって反転ローラー23B側へ導かれ、この反転ローラー23Bが順方向に回転した後、逆方向に回転することにより、後端であった用紙S端が先端となって両面搬送経路20Cへと導かれる。
【0027】
また、上記の画像形成部30には、イエロー用の画像形成ユニット30Yと、マゼンダ用の画像形成ユニット30Mと、シアン用の画像形成ユニット30Cと、ブラック用の画像形成ユニット30Kと、中間転写ベルト33と、二次転写ローラー34とが設けられており、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kにはそれぞれトナー画像が形成される感光体ドラム31が設けられると共に、感光体ドラム31の周囲には、図示していないが、帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写ローラー、及び清掃装置等が設けられている。
【0028】
ここで、上記の画像形成部30においては、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kにおける各感光体ドラム31に形成された各色彩のトナー画像が、中間転写ベルト33の上に順々に一次転写されて、中間転写ベルト33の上にはフルカラーのトナー画像が形成される。そして、この中間転写ベルト33と二次転写ローラー34との間を用紙Sが通過するときに、中間転写ベルト33の上に一次転写されたトナー画像が用紙Sの片側の面に転写される。
【0029】
また、上記の定着部40には、例えば、熱源を有する加熱ローラー41と、この加熱ローラー41に接する加圧ローラー42とが設けられており、この加熱ローラー41と加圧ローラー42との間においてトナー画像が形成された用紙Sが加熱・加圧されて、用紙Sに転写されたトナー画像が用紙Sに定着されるようになっている。
【0030】
そして、このようにトナー画像が定着された用紙Sは、前記の排紙/反転経路20Bに導かれ、片面印刷の場合にはこの用紙Sが排紙部50に排紙される。一方、両面印刷の場合には、この用紙Sを前記の両面搬送経路20Cを通して画像形成経路20Aに導き、前記の画像形成部30においてトナー画像が定着された用紙Sの面とは反対側の面に、前記のようにしてトナー画像を形成するようにしている。
【0031】
ここで、第1の実施形態における給紙搬送装置においては、図2(A),(B)に示すように、前記の前ガイド部材13をホルダー131に保持させると共に、このホルダー131を搬送される用紙Sから離れる方向に移動可能に保持させる保持ガイド133内に圧縮コイルバネ132を設け、この圧縮コイルバネ132の上に上記のホルダー131を保持させるようにしている。
【0032】
そして、上記のように用紙Sをピックアップローラー12に圧接させ、このピックアップローラー12を回転させて、給紙カセット11内に収容された用紙Sを給紙カセット11から給紙し、この用紙Sを給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導く段階においては、図2(A)に示すように、前ガイド部材13を保持するホルダー131が上記の圧縮コイルバネ132によって上方に持ち上げられた状態で維持されるようにする。このようにすると、給紙カセット11から給紙された用紙Sの先端が上記の前ガイド部材13に接触し、この前ガイド部材13により用紙Sがガイドされて、この用紙Sの先端が給紙ローラー14と分離ローラー15との間に適切に導かれるようになる。
【0033】
また、このように給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導かれた用紙Sが給紙ローラー14によって搬送されると、図2(A)に破線で示すように、上記の用紙Sがピックアップローラー12と給紙ローラー14との間で引っ張られた状態になって、用紙Sが前ガイド部材13から離れた状態になる。
【0034】
そして、上記のように用紙Sが給紙ローラー14によって搬送され、この用紙Sの後端が給紙カセット11から搬出されると、この用紙Sの腰によって、図2(B)に示すように、用紙Sの後端部が下方に回動する方向に付勢されて前ガイド部材13と衝突するようになり、特に、腰の強い厚紙等の用紙Sの場合には、用紙Sの後端部が下方に回動する方向に付勢される力が強くなって、前ガイド部材13に強く衝突するようになる。
【0035】
ここで、このように用紙Sの後端部が下方に回動する方向に付勢されて前ガイド部材13と衝突する場合、この実施形態のものにおいては、図2(B)に示すように、前ガイド部材13に衝突する用紙Sの後端部によって前ガイド部材13が下方に押され、これにより前ガイド部材13を保持しているホルダー131が上記の圧縮コイルバネ132に抗して保持ガイド133内の下方に移動し、用紙Sの後端部が前ガイド部材13に衝突する力が緩和されて、衝撃音の発生が抑制されるようになる。
【0036】
また、第2の実施形態における給紙搬送装置においては、図3(A),(B)に示すように、前記の前ガイド部材13を上下方向に回動する保持アーム134の上に取り付け、この保持アーム134の下に設けたスプリング部材135によって保持アーム134を上下方向に回動可能に保持させるようにしている。
【0037】
また、この実施形態においては、用紙Sの先端が給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導かれるまで、上記の前ガイド部材13が用紙Sから離れる方向に移動するのを抑止する抑止手段として、前ガイド部材13が取り付けられた保持アーム134の端部側を保持する第1レバー136を回動可能に設け、この第1レバー136の保持アーム134と反対側の端部を、給紙ローラー14と分離ローラー15との間よりも用紙Sの搬送方向下流側に設けられて回動する第2レバー137の下部側に保持させると共に、この第2レバー137の上部側が起立した状態で給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して搬送される用紙Sの先端と接触するように設けている。なお、上記の第2レバー137の上部側が勝手に倒れないように起立した状態で維持されるようにするため、この第2レバー137をバネ(図示せず)等によって保持させることができる。
【0038】
そして、上記のように用紙Sをピックアップローラー12に圧接させ、このピックアップローラー12を回転させて、給紙カセット11内に収容された用紙Sを給紙カセット11から給紙し、この用紙Sを給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導く段階においては、図3(A)に示すように、上記のように第2レバー137の上部側を起立した状態で維持させて、上記の第1レバー136により前ガイド部材13が取り付けられた保持アーム134が上方に持ち上げられた状態で維持されるようにする。このようにすると、給紙カセット11から給紙された用紙Sの先端が上記の前ガイド部材13に接触し、この前ガイド部材13により用紙Sがガイドされて、この用紙Sの先端が給紙ローラー14と分離ローラー15との間に適切に導かれるようになる。
【0039】
また、このように給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導かれた用紙Sが給紙ローラー14によって搬送されると、図3(A)に破線で示すように、上記の用紙Sがピックアップローラー12と給紙ローラー14との間で引っ張られた状態になって、用紙Sが前ガイド部材13から離れた状態になる。
【0040】
そして、上記のように用紙Sが給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して搬送されると、図3(B)に示すように、この用紙Sの先端が上記の第2レバー137の上部側にあたり、この第2レバー137の上部側が搬送される用紙Sに押されて倒れる方向に回動されると共に、この第2レバー137の下部側に保持された第1レバー136の端部が、この第2レバー137により上方に持ち上げられるように回動し、この第1レバー136において前ガイド部材13が取り付けられた保持アーム134を保持していた端部が下方に回動されて、保持アーム134から離れた状態になる。
【0041】
そして、この状態で用紙Sが給紙ローラー14によって搬送され、この用紙Sの後端が給紙カセット11から搬出されて、用紙Sの後端部が下方に回動する方向に付勢されて前ガイド部材13と衝突した場合、前ガイド部材13が取り付けられた保持アーム134が前記のスプリング部材135に抗して下方に回動され、用紙Sの後端部が前ガイド部材13に衝突する力が緩和されて、衝撃音の発生が抑制されるようになる。
【0042】
なお、上記の第2の実施形態における給紙搬送装置においては、この保持アーム134の下に設けたスプリング部材135によって保持アーム134を保持させるようにしたが、このスプリング部材135によって保持アーム134を下方に引く方向の力を作用させるようにすると、図4に示すように、前ガイド部材13が取り付けられた保持アーム134の端部側が、上記の第1レバー136と一緒に下方に回動されて、前ガイド部材13が用紙Sの後端部と衝突しなくなり、衝撃音が発生しなくなる。
【0043】
また、第3の実施形態における給紙搬送装置においては、図5(A),(B)に示すように、前記の前ガイド部材13をホルダー131に保持させると共に、このホルダー131の下にホルダー131を昇降させるシリンダー等の昇降装置138を設けるようにしている。なお、この昇降装置138は、用紙Sの先端が給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導かれるまで、上記の前ガイド部材13が用紙Sから離れる方向に移動するのを抑止する抑止手段としての機能をも有する。
【0044】
そして、上記のように用紙Sをピックアップローラー12に圧接させ、このピックアップローラー12を回転させて、給紙カセット11内に収容された用紙Sを給紙カセット11から給紙し、この用紙Sを給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導く段階においては、図5(A)に示すように、前ガイド部材13が保持された上記のホルダー131を、上記の昇降装置138によって上昇された位置で保持させるようにする。このようにすると、給紙カセット11から給紙された用紙Sの先端が上記の前ガイド部材13に接触し、この前ガイド部材13により用紙Sがガイドされて、この用紙Sの先端が給紙ローラー14と分離ローラー15との間に適切に導かれるようになる。
【0045】
また、このように給紙ローラー14と分離ローラー15との間に導かれた用紙Sが給紙ローラー14によって搬送されると、図5(A)に破線で示すように、上記の用紙Sがピックアップローラー12と給紙ローラー14との間で引っ張られた状態になって、用紙Sが前ガイド部材13から離れた状態になる。
【0046】
そして、上記のように用紙Sが給紙ローラー14と分離ローラー15との間を通して搬送されると、図5(B)に示すように、前ガイド部材13が保持されたホルダー131を上記の昇降装置138によって下降させ、このホルダー131に保持された前ガイド部材13を、給紙カセット11から搬出された用紙Sの後端部と衝突しない位置まで移動させるようにする。このようにすると、給紙カセット11から搬出された用紙Sの後端部が前ガイド部材13と衝突しなくなり、衝撃音が発生しなくなる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置
10 給紙部
11 給紙カセット(用紙収容部)
12 ピックアップローラー
13 前ガイド部材,131 ホルダー,132 圧縮コイルバネ,133 保持ガイド,134 保持アーム,135 スプリング部材,136 第1レバー,137 第2レバー,138 昇降装置
14 給紙ローラー
15 分離ローラー
20 用紙搬送路
21 搬送ローラー
22 レジストローラー
30 画像形成部
40 定着部
50 排紙部
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙をガイドする前ガイド部材を介して、上記の用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させる給紙搬送装置において、前記の前ガイド部材が、搬送される用紙から離れる方向に移動又は弾性変形可能に設けられていることを特徴とする給紙搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙搬送装置において、前記の前ガイド部材が、前記のピックアップローラーによって給紙された用紙の後端が用紙収容部から搬出される時点において、搬送される用紙から離れる方向に移動又は弾性変形可能になっていることを特徴とする給紙搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給紙搬送装置において、前記のピックアップローラーによって給紙された用紙の先端が給紙ローラーと分離ローラーとの間に導かれるまで、前記の前ガイド部材が用紙から離れる方向に移動又は弾性変形するのを抑止する抑止手段が設けられていることを特徴とする給紙搬送装置。
【請求項4】
用紙収容部に収容された用紙をピックアップローラーにより給紙し、給紙された用紙をガイドする前ガイド部材を介して、上記の用紙を給紙ローラーと分離ローラーとの間に導き、この給紙ローラーと分離ローラーとの間を通して用紙を搬送させるにあたり、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の給紙搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112481(P2013−112481A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261252(P2011−261252)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】