説明

給電システム、及び制御方法

【課題】罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部が稼動できる状態を保持する保持時間を長くする。
【解決手段】給電システムは、複数の給電系統であって、それぞれの給電系統が、交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を対応する負荷部に対応する電力供給線を介して供給する整流装置と、整流装置が供給する直流電力が不足した場合に電力供給線を介して負荷部に電力を供給する蓄電池とを有する複数の給電系統と、複数の給電系統における電力供給線のそれぞれの間を選択的に導通状態にするスイッチ部と、複数の給電系統がそれぞれ有する整流装置のうちの少なくとも1つが、対応する負荷部に必要な直流電力を供給できない異常状態になった場合に、異常状態になった給電系統である異常系統の電力供給線と、複数の給電系統のうちの異常系統とは異なる給電系統である他系統の電力供給線との間をスイッチ部により導通状態にさせる制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源からの交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を負荷部(電力を消費する装置など)に供給する給電システムが知られている。このような給電システムでは、交流電力を直流電力に変換する整流装置の出力線に負荷部と共に、停電等の異常が発生した場合に一時的に電力を供給する蓄電池が接続される場合がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−195079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓄電池は、経年劣化により負荷部に供給できる電力が低下することがある。また、上述のような給電システムは、複数の給電系統を備えており、整流装置などが故障した場合の罹障(りしょう)範囲を狭くするために、給電系統ごとに異なる負荷部に電力を供給することがある。このような罹障範囲を狭くした給電システムは、給電系統ごとに整流装置及び蓄電池を備えており、負荷部には同じ電力供給線の整流装置又は蓄電池から電力が供給される。例えば、蓄電池が経年劣化している給電系統において停電が発生して整流装置から電力を供給できなくなった場合(異常状態の場合)に、このような罹障範囲を狭くした給電システムは、経年劣化している蓄電池から負荷部に電力を供給する。この場合、罹障範囲を狭くした給電システムは、負荷部に供給できる蓄電池の電力が低下しているため、負荷部が稼動できる状態を保持する保持時間が短くなるという問題がある。
このように、上述のような給電システムは、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる給電システム、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、複数の給電系統であって、それぞれの給電系統が、交流電力を直流電力に変換し、変換した前記直流電力を対応する負荷部に対応する電力供給線を介して供給する整流装置と、前記整流装置が供給する前記直流電力が不足した場合に前記電力供給線を介して前記負荷部に電力を供給する蓄電池とを有する複数の給電系統と、前記複数の給電系統における前記電力供給線のそれぞれの間を選択的に導通状態にするスイッチ部と、前記複数の給電系統がそれぞれ有する前記整流装置のうちの、少なくとも1つの前記整流装置が、当該整流装置に対応する前記負荷部に必要な直流電力を供給できない異常状態になった場合に、前記異常状態になった前記給電系統である異常系統の前記電力供給線と、前記複数の給電系統のうちの前記異常系統とは異なる前記給電系統である他系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる制御部と、を備えることを特徴とする給電システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記整流装置は、前記整流装置の動作状態を検出する状態検出部を備え、前記制御部は、前記状態検出部によって検出された前記整流装置の動作状態に基づいて、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になったか否かを判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記整流装置の動作状態には、前記整流装置が出力可能な電力を示す出力可能電力の情報が含まれ、前記制御部は、前記出力可能電力と、対応する前記負荷部が消費する負荷電力とに基づいて、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になったか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記制御部は、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になった場合に、前記他系統における前記出力可能電力及び対応する前記負荷電力に基づいて算出した前記他系統における余剰電力と、前記異常系統における不足電力とに基づいて、前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記制御部は、前記他系統ごとに、前記余剰電力が前記不足電力以上であるか否かを判定し、前記余剰電力が前記不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記制御部は、複数の前記他系統のうちの少なくとも2つの前記他系統ごとに、前記少なくとも2つの前記他系統における前記余剰電力の総量が前記不足電力以上であるか否かを判定し、前記余剰電力の総量が前記不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された前記少なくとも2つの前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記複数の給電系統は、前記電力供給線における前記負荷部が接続される端部に配置され、前記負荷部に供給される電圧及び電流を検出する負荷端検出部をそれぞれ備え、前記負荷電力は、前記負荷端検出部によって検出された前記負荷部に供給される電圧及び電流に基づいて算出されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記負荷端検出部は、検出された前記負荷部に供給される電圧及び電流に基づいて前記負荷電力を算出し、算出した前記負荷電力を前記制御部に出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記制御部は、前記異常系統における前記整流装置の出力可能電力及び前記負荷電力に基づいて前記不足電力を算出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記制御部は、前記異常系統における前記蓄電池から放電される放電電力に基づいて前記不足電力を算出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記複数の給電系統は、前記電力供給線における前記蓄電池が接続される端部に配置され、前記蓄電池が接続される端部における電圧を前記蓄電池の電圧として検出する電池端検出部をそれぞれ備え、前記制御部は、前記電池端検出部によって検出された前記蓄電池の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になったかと判定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記複数の給電系統は、前記電力供給線における前記蓄電池が接続される端部に配置され、前記蓄電池が接続される端部における電圧及び前記蓄電池が接続される端部に流れる電流を検出する電池端検出部をそれぞれ備え、前記放電電力は、電池端検出部によって検出された前記端部における電圧及び前記端部に流れる電流に基づいて算出されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記電池端検出部は、前記端部における電圧を前記蓄電池の電圧として検出し、前記制御部は、前記異常系統において、前記電池端検出部によって検出された前記蓄電池の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記電池端検出部は、検出した前記端部における電圧及び前記端部に流れる電流に基づいて前記放電電力を算出し、算出した前記放電電力を前記制御部に出力することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記電池端検出部は、前記蓄電池が接続される端部に流れる電流を検出し、前記制御部は、前記電池端検出部によって検出された前記蓄電池が接続される端部に流れる電流に基づいて、前記複数の給電系統のうちの全ての前記給電系統における前記蓄電池が、前記負荷部に電力を供給していないことを示す非放電状態であるか否かを判定し、前記全ての前記蓄電池が非放電状態である場合に、導通状態にされている全ての前記電力供給線の間を前記スイッチ部により非導通状態にさせることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の一態様は、上記の給電システムにおいて、前記制御部は、前記複数の給電系統がそれぞれ有する前記整流装置のうちの全ての前記整流装置が、対応する前記負荷部に必要な直流電力を供給できている正常状態になった場合に、導通状態にされている全ての前記電力供給線の間を前記スイッチ部により非導通状態にさせることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様は、複数の給電系統であって、それぞれの給電系統が、交流電力を直流電力に変換し、変換した前記直流電力を対応する負荷部に対応する電力供給線を介して供給する整流装置と、前記整流装置が供給する前記直流電力が不足した場合に前記電力供給線を介して前記負荷部に電力を供給する蓄電池とを有する複数の給電系統と、前記複数の給電系統における前記電力供給線のそれぞれの間を選択的に導通状態にするスイッチ部と、を備える給電システムの制御方法であって、前記複数の給電系統がそれぞれ有する前記整流装置のうちの、少なくとも1つの前記整流装置が、当該整流装置に対応する前記負荷部に必要な直流電力を供給できない異常状態になった場合に、前記異常状態になった前記給電系統である異常系統の前記電力供給線と、前記複数の給電系統のうちの前記異常系統とは異なる前記給電系統である他系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる手順を、を含むことを特徴とする制御方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態による給電システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における整流装置(RF)の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における補助スイッチの構成を示す概略ブロック図である。
【図4】第1の実施形態における給電システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態による給電システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図6】第2の実施形態における給電システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態による給電システムについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による給電システム1の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、給電システム1は、複数の給電系統(K1〜K3)、補助スイッチ部50、及び監視部60を備えている。給電システム1は、例えば、直流給電システムであり、交流電力源71〜73から供給された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を負荷部31〜33に供給する。本実施形態では、一例として、給電システム1が3つの給電系統(K1〜K3)を備える形態について説明する。ここで、3つの給電系統(K1〜K3)は、第1の給電系統K1、第2の給電系統K2、及び第3の給電系統K3である。
【0026】
第1の給電系統K1は、交流電力源71から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を負荷部31に、電力供給線L1を介して供給する。第1の給電系統K1は、整流装置(RF:Rectifier)11、蓄電池21、及び負荷端スイッチ41を備えている。整流装置11、蓄電池21、負荷端スイッチ41、及び負荷部31は、電力供給線L1を介して接続されている。すなわち、蓄電池21と整流装置11とが、電力供給線L1を介して対応する負荷部31に接続されている。
【0027】
整流装置11は、例えば、直流電源装置であり、交流電力源71から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を対応する負荷部31に対応する電力供給線L1を介して供給する。整流装置11は、整流装置11は、自装置の動作状態(例えば、直流電力の変換状態、出力可能電力の情報など)を検出し、検出した自装置の状態を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に出力する。整流装置11は、整流装置11の動作状態を検出する電源制御部(図2の111)を備えている。整流装置11の詳細な構成については、図2を参照して後述する。
【0028】
蓄電池21は、例えば、リチウムイオン電池や鉛蓄電池などの二次電池である。蓄電池21は、第1の給電系統K1が正常状態にある場合に、整流装置11から供給される直流電力を蓄積する。ここで、正常状態とは、例えば、整流装置11が負荷部31に対して十分な直流電力を供給することができ、電力供給線L1における電圧が所定の電圧よりも高い状態である。また、蓄電池21は、第1の給電系統K1が異常状態にある場合に、蓄積している直流電力を負荷部31に電力供給線L1を介して供給する。すなわち、蓄電池21は、整流装置11が供給する直流電力が不足した場合に電力供給線L1を介して負荷部31に電力を供給する。また、異常状態とは、例えば、交流電力源71の停電や整流装置11の故障が発生し、整流装置11が当該整流装置11に対応する負荷部31に必要な直流電力を供給できない状態である。
【0029】
負荷端スイッチ41(負荷端検出部)は、電力供給線L1における負荷部31が接続される端部に配置され、負荷部31に供給される電圧及び電流を検出する。負荷端スイッチ41は、検出した電圧値及び電流値を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に出力する。また、負荷端スイッチ41は、検出した負荷部31に供給される電圧及び電流に基づいて負荷電力を算出し、算出した負荷電力を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に出力する。ここで、負荷電力とは、対応する負荷部31が消費する電力のことであり、上述のように、負荷端スイッチ41によって検出された負荷部31に供給される電圧及び電流に基づいて算出される。
なお、負荷端スイッチ41は、検出した負荷部31に供給される電流が予め定められた閾値以上である場合に、電力供給線L1と負荷部31との間を遮断する負荷遮断器の機能を有している。
【0030】
第2の給電系統K2、及び第3の給電系統K3は、第1の給電系統K1と同様の構成である。すなわち、第2の給電系統K2は、交流電力源72から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を負荷部32に、電力供給線L2を介して供給する。第2の給電系統K2は、整流装置(RF)12、蓄電池22、及び負荷端スイッチ42を備えている。整流装置12、蓄電池22、負荷端スイッチ42、及び負荷部32は、電力供給線L2を介して接続されている。すなわち、蓄電池22と整流装置12とが、電力供給線L2を介して対応する負荷部32に接続されている。
【0031】
また、第3の給電系統K3は、交流電力源73から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を負荷部33に、電力供給線L3を介して供給する。第3の給電系統K3は、整流装置(RF)13、蓄電池23、及び負荷端スイッチ43を備えている。整流装置13、蓄電池23、負荷端スイッチ43、及び負荷部33は、電力供給線L3を介して接続されている。すなわち、蓄電池23と整流装置13とが、電力供給線L3を介して対応する負荷部33に接続されている。
ここで、整流装置(12、13)は整流装置11と同様の構成であり、蓄電池(22、23)は蓄電池21と同様の構成であり、負荷端スイッチ(42、43)は負荷端スイッチ41と同様の構成であり、説明を省略する。
【0032】
交流電力源71〜73は、例えば、商用電源やエンジン発動機などの電力源である。
負荷部31〜33は、例えば、通信装置や情報装置などの電力を消費する装置であり、図示を省略するが複数の通信装置や情報装置などの装置を有する装置群である。
【0033】
補助スイッチ部50(スイッチ部)は、電力供給線L1〜L3の間に配置され、3つの給電系統(K1〜K3)における電力供給線L1〜L3のそれぞれの間を選択的に導通状態にする。補助スイッチ部50は、3つの給電系統(K1〜K3)の全てが正常状態にある場合に、非導通状態(遮断状態)にされる。また、補助スイッチ部50(スイッチ部)は、3つの給電系統(K1〜K3)のうちの少なくとも1つの整流装置(11〜13のいづれか)が異常状態になった場合に、電力供給線L1〜L3のそれぞれの間を選択的に導通状態にする。すなわち、補助スイッチ部50は、3つの給電系統(K1〜K3)のうちのいずれかが異常状態になった場合に、監視部60の指令に応じて、電力供給線L1〜L3のそれぞれの間を相互に直流電力を供給できる状態にする。また、補助スイッチ部50は、補助スイッチ51〜53を備えている。
【0034】
補助スイッチ51は、例えば、半導体スイッチ(半導体遮断器)であり、電力供給線L1と電力供給線L2との間に配置される。補助スイッチ51は、無線通信により監視部60から供給された指令に応じて、電力供給線L1と電力供給線L2との間を導通状態、又は非導通状態(遮断状態)にする。
【0035】
補助スイッチ52は、例えば、半導体スイッチ(半導体遮断器)であり、電力供給線L2と電力供給線L3との間に配置される。補助スイッチ52は、無線通信により監視部60から供給された指令に応じて、電力供給線L2と電力供給線L3との間を導通状態、又は非導通状態(遮断状態)にする。
【0036】
補助スイッチ53は、例えば、半導体スイッチ(半導体遮断器)であり、電力供給線L1と電力供給線L3との間に配置される。補助スイッチ53は、無線通信により監視部60から供給された指令に応じて、電力供給線L1と電力供給線L3との間を導通状態、又は非導通状態(遮断状態)にする。
【0037】
なお、本実施形態において、負荷端スイッチ41〜43、及び補助スイッチ51〜53には、同様の構成のスイッチが用いられている。負荷端スイッチ41〜43、及び補助スイッチ51〜53の詳細な構成については、図3を参照して後述する。
【0038】
監視部60(制御部)は、例えば、監視センタに設置され、給電システム1全体を監視し管理する監視装置である。監視部60は、論理ネットワーク61に接続されており、例えば、無線通信により論理ネットワーク61を介して、整流装置11〜13、負荷端スイッチ41〜43、及び補助スイッチ部50の補助スイッチ51〜53との情報の送受信を行う。
【0039】
本実施形態では、監視部60は、3つの給電系統(K1〜K3)を監視する。監視部60は、3つの給電系統(K1〜K3)がそれぞれ有する整流装置11〜13が全て正常状態にある場合に、全ての電力供給線L1〜L3の間を補助スイッチ部50により非導通状態(遮断状態)にさせる。
【0040】
また、監視部60は、3つの給電系統(K1〜K3)がそれぞれ有する整流装置11〜13のうちの、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になった場合に、異常系統の電力供給線と、他系統の電力供給線との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。ここで、異常状態とは、停電や故障が発生して、又は、負荷が増大して、整流装置(11〜13のいずれか)が当該整流装置(11〜13のいずれか)に対応する負荷部(31〜33のいずれか)に必要な直流電力を供給できない状態を示す。また、異常系統とは、異常状態になった給電系統を示し、他系統とは、3つの給電系統(K1〜K3)のうちの異常系統と異なる給電系統を示す。
例えば、第3の給電系統K3の整流装置13が異常状態になった場合に、監視部60は、異常系統(K3)の電力供給線L3と他系統(K1、K2)の電力供給線(L1、L2)との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。以下、第3の給電系統K3が異常系統になり、第1の給電系統K1及び第2の給電系統K2が他系統である場合の例を説明する。
【0041】
また、監視部60は、後述する電源制御部(図2の111)によって検出された整流装置11〜13の動作状態に基づいて、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になったか否かを判定する。ここで、整流装置11〜13の動作状態には、例えば、整流装置11〜13が出力可能な電力を示す出力可能電力の情報が含まれる。監視部60は、この出力可能電力と、対応する負荷部31〜33が消費する負荷電力とに基づいて、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になったか否かを判定する。
【0042】
また、監視部60は、他系統(K1、K2)における整流装置(11、12)の出力可能電力及び対応する負荷部(31、32)が消費する負荷電力に基づいて、他系統(K1、K2)における余剰電力を算出する。すなわち、監視部60は、出力可能電力と負荷電力との差分を生成することにより、余剰電力を算出する。監視部60は、算出した他系統(K1、K2)における余剰電力と、異常系統(K3)における不足電力とに基づいて、他系統(K1、K2)の電力供給線(L1、L2)と異常系統(K3)の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。
本実施形態では、監視部60は、異常系統(K3)における整流装置13の出力可能電力及び負荷電力に基づいて不足電力を算出する。すなわち、監視部60は、出力可能電力と負荷電力との差分を生成することにより、不足電力を算出する。
【0043】
また、監視部60は、他系統(K1、K2)ごとに、余剰電力が不足電力以上であるか否かを判定する。すなわち、監視部60は、他系統(K1、K2)それぞれが異常系統(K3)の不足電力を補えるか否かを判定する。監視部60は、余剰電力が不足電力以上であると判定した場合に、当該判定された他系統(K1、又はK2)の電力供給線L1(又はL2)と異常系統(K3)の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。
【0044】
さらに、監視部60は、他系統(K1、K2)のそれぞれが単独では、異常系統(K3)の不足電力を補えない場合に、複数の他系統(K1、K2)のにより異常系統(K3)の不足電力を補えるか否かを判定する。すなわち、監視部60は、少なくとも2つの他系統(K1、K2)における余剰電力の総量が不足電力以上であるか否かを判定する。監視部60は、この余剰電力の総量が不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された2つの他系統(K1、K2)の電力供給線(L1、L2)と異常系統(K3)の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。
【0045】
次に、整流装置11〜13の構成について説明する。
整流装置11〜13は、同様の構成であり、ここでは、一例として、整流装置11の構成として説明する。
図2は、本実施形態における整流装置(RF)11の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、整流装置11は、複数(N個)の直流電源ユニット101〜10N、電源制御部111、電流検出部112、及び通信部113を備えている。
【0046】
直流電源ユニット101〜10Nは、交流電力源71と電流検出部112との間に並列に配置されている。直流電源ユニット101〜10Nは、それぞれ交流電力源71から供給された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を電力供給線L1に電流検出部112を介して出力する。また、直流電源ユニット101〜10Nは、それぞれ直流電力の動作状態を電源制御部111に信号線S1〜SNを介して出力する。
【0047】
電流検出部112は、直流電源ユニット101〜10Nと電力供給線L1との間に配置され、整流装置11から出力される直流電流を検出し、電源制御部111に出力する。
【0048】
電源制御部111(状態検出部)は、整流装置11を制御する制御部であり、例えば、整流装置11の動作状態を検出する。すなわち、電源制御部111は、直流電源ユニット101〜10Nから出力される各電源ユニットの動作状態と、電流検出部112によって検出された直流電流とを含む情報を整流装置11の動作状態として通信部113を介して監視部60に出力する。ここで、整流装置11の動作状態には、例えば、直流電源ユニット101〜10Nの故障情報、交流電力源71の停電情報、整流装置11の出力電流情報、整流装置11の出力可能電力などが含まれる。すなわち、整流装置11の動作状態には、例えば、整流装置11が出力可能な電力を示す出力可能電力や直流電源ユニット101〜10Nの故障情報など、整流装置11が異常状態であるか否かを判定することができる情報が含くまれている。
【0049】
通信部113は、無線通信により論理ネットワーク61を介して、整流装置11と監視部60との間における情報の送受信を行う。すなわち、通信部113は、電源制御部111から供給された情報(例えば、整流装置11の動作状態)を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に送信(出力)する。また、通信部113は、無線通信により監視部60から論理ネットワーク61を介して受信した情報を電源制御部111に供給する。
【0050】
次に、補助スイッチ51〜53の構成について説明する。
補助スイッチ51〜53は、同様の構成であり、ここでは、一例として、補助スイッチ51の構成として説明する。また、本実施形態では、負荷端スイッチ41〜43は、補助スイッチ51〜53と同様の構成のスイッチが用いられており、負荷端スイッチ41〜43も同様の構成である。
図3は、本実施形態における補助スイッチ51の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、補助スイッチ51は、端子T1と端子T2との間を導通状態又は非導通状態(遮断状態)にするスイッチである。補助スイッチ51は、電流検出部511、電圧検出部512、半導体スイッチ部513、SW(スイッチ)制御回路514、及び通信部515を備えている。
【0051】
端子T1と端子T2との間には、電流検出部511と半導体スイッチ部513とが直列に接続されている。
電流検出部511は、端子T1と端子T2との間に流れる電流を検出して、検出した電流値をSW制御回路514に出力する。
半導体スイッチ部513は、SW制御回路514から供給される制御信号に基づいて、端子T1と端子T2との間を導通状態又は非導通状態(遮断状態)にする。
電圧検出部512は、端子T2における電圧を検出し、検出した電圧値をSW制御回路514に出力する。
【0052】
SW制御回路514は、電流検出部511が検出した電流値と、電圧検出部512が検出した電圧値とに基づいて、補助スイッチ51における電力を算出する。また、SW制御回路514は、検出した電流値及び電圧値と、算出した電力と、半導体スイッチ部513の状態情報とを、通信部515を介して監視部60に出力する。
また、SW制御回路514は、無線通信により監視部60から供給された指令に応じて、端子T1と端子T2との間を半導体スイッチ部513により導通状態、又は非導通状態(遮断状態)にさせる。
なお、補助スイッチ51は、ヒューズ機能を有している。SW制御回路514は、電流検出部511によって検出した電流値が、予め定められた閾値以上になった場合に、端子T1と端子T2との間を半導体スイッチ部513により非導通状態(遮断状態)にさせる。
【0053】
通信部515は、無線通信により論理ネットワーク61を介して、補助スイッチ51と監視部60との間における情報の送受信を行う。すなわち、通信部515は、SW制御回路514から供給された上述のような情報(例えば、電流値及び電圧値など)を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に送信(出力)する。また、通信部515は、無線通信により監視部60から論理ネットワーク61を介して受信した情報(たとえば、導通状態又は非導通状態にする指令など)をSW制御回路514に供給する。
【0054】
次に、本実施形態における給電システム1の動作について説明する。
図4は、本実施形態における給電システム1の動作を示すフローチャートである。
この図において、第3の給電系統K3が整流装置13の故障などにより異常状態になった場合の一例について説明する。なお、給電システム1では、正常状態にある場合に、監視部60は、3つの給電系統(K1〜K3)の電力供給線L1〜L3の間を補助スイッチ部50に非導通状態にさせている。
【0055】
図4において、まず、給電システム1では、整流装置11〜13のいずれかに故障が発生したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、給電システム1の監視部60は、例えば、整流装置11〜13の動作状態を整流装置11〜13から取得し、取得した動作状態に基づいて、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になったか否かを判定する。監視部60は、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になったと判定した場合に、処理をステップS102に進める。また、監視部60は、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になっていない(全てが正常状態)と判定した場合に、処理をステップS107に進める。
例えば、整流装置13の動作状態が停電により動作が停止している状態にある場合に、監視部60は、整流装置13が異常状態であると判定する。すなわち、ここでは、給電システム1は、第3の給電系統K3に異常状態であると判定する。
また、上述の動作状態には、整流装置11〜13が出力可能な電力を示す出力可能電力の情報が含まれ、監視部60は、この出力可能電力と、負荷部31〜33が消費する負荷電力とに基づいて、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になったか否かを判定してもよい。
【0056】
ステップS102において、監視部60は、整流装置11〜13の動作状態(RFデータ)を取得する。すなわち、監視部60は、整流装置11〜13の動作状態を、整流装置11〜13から無線通信により論理ネットワーク61を介して取得する。
【0057】
次に、監視部60は、負荷端スイッチ41〜43のデータ(電圧値、電流値、電力などの情報)を取得する(ステップS103)。すなわち、監視部60は、負荷端スイッチ41〜43のデータ(電圧値、電流値、負荷電力などの情報)を負荷端スイッチ41〜43から無線通信により論理ネットワーク61を介して取得する。
【0058】
次に、ステップS104からステップS106において、監視部60は、異常系統の電力供給線と他系統の電力供給線とを導通状態にさせてよいか判定を行う。また、ステップS108からステップS110において、監視部60は、ステップS104からステップS106における判定結果に基づいて、異常系統の電力供給線と他系統の電力供給線とを導通状態にさせる。ここでは、異常系統が第3の給電系統K3であり、他系統が第1の給電系統K1及び第2の給電系統K2である場合の例について説明する。
【0059】
まず、ステップS104において、監視部60は、他系統(K1)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上か否かを判定する。すなわち、監視部60は、整流装置11の出力可能電力と負荷端スイッチ41の負荷電力とに基づいて、第1の給電系統K1の余剰電力(出力可能電力−負荷電力)を算出する。また、監視部60は、整流装置13の出力可能電力と負荷端スイッチ43の負荷電力とに基づいて、第3の給電系統K3(異常系統)の不足電力(負荷電力−出力可能電力)を算出する。次に、監視部60は、算出した他系統(K1)の余剰電力と異常系統(K3)の不足電力を比較し、他系統(K1)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上か否かを判定する。監視部60は、他系統(K1)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上である場合に、処理をステップS108に進める。また、監視部60は、他系統(K1)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力未満である場合に、処理をステップS105に進める。
【0060】
ステップS108において、監視部60は、異常系統(K3)と他系統(K1)との間の補助スイッチ53を導通状態(オン状態)にさせる。すなわち、監視部60は、第1の給電系統K1の電力供給線L1と第3の給電系統K3の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50の補助スイッチ53により導通状態にさせ、処理をステップS111に進める。
【0061】
次に、ステップS105において、監視部60は、他系統(K2)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上か否かを判定する。すなわち、監視部60は、整流装置12の出力可能電力と負荷端スイッチ42の負荷電力とに基づいて、第2の給電系統K2の余剰電力(出力可能電力−負荷電力)を算出する。次に、監視部60は、算出した他系統(K2)の余剰電力と異常系統(K3)の不足電力を比較し、他系統(K2)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上か否かを判定する。監視部60は、他系統(K2)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上である場合に、処理をステップS109に進める。また、監視部60は、他系統(K2)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力未満である場合に、処理をステップS106に進める。
【0062】
ステップS109において、監視部60は、異常系統(K3)と他系統(K2)との間の補助スイッチ52を導通状態(オン状態)にさせる。すなわち、監視部60は、第2の給電系統K2の電力供給線L2と第3の給電系統K3の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50の補助スイッチ52により導通状態にさせ、処理をステップS111に進める。
【0063】
次に、ステップS106において、監視部60は、他系統(K1+K2)の余剰電力が異常系統(K3)の不足電力以上か否かを判定する。すなわち、監視部60は、第1の給電系統K1の余剰電力と第2の給電系統K2の余剰電力とを加算し余剰電力の総量を算出する。次に、監視部60は、算出した他系統(K1+K2)の余剰電力の総量と異常系統(K3)の不足電力を比較し、他系統(K1+K2)の余剰電力の総量が異常系統(K3)の不足電力以上か否かを判定する。監視部60は、他系統(K1+K2)の余剰電力の総量が異常系統(K3)の不足電力以上である場合に、処理をステップS110に進める。また、監視部60は、他系統(K1+K2)の余剰電力の総量が異常系統(K3)の不足電力未満である場合に、処理をステップS107に進める。
【0064】
ステップS110において、監視部60は、異常系統(K3)と他系統(K1、K2)との間の全補助スイッチ51〜53を導通状態(オン状態)にさせる。すなわち、監視部60は、第1の給電系統K1の電力供給線L1と、第2の給電系統K2の電力供給線L2と、第3の給電系統K3の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50の全補助スイッチ51〜53により導通状態にさせ、処理をステップS111に進める。
【0065】
次に、給電システム1は、整流装置11〜13のいずれかで故障が発生中か否かを判定する(ステップS111)。すなわち、監視部60は、ステップS101と同様に、整流装置11〜13の動作状態を整流装置11〜13から取得し、取得した動作状態に基づいて、整流装置11〜13のいずれかで故障が発生中か否かを判定する。つまり、監視部60は、整流装置11〜13が全て正常状態になったか否かを判定する。監視部60は、整流装置11〜13のいずれかで故障が発生中である場合に、ステップS111の処理を繰り返す。監視部60は、整流装置11〜13のいずれも故障が発生していない場合(整流装置11〜13が全て正常状態になった場合)に、処理をステップS112に進める。
【0066】
ステップS112において、給電システム1は、補助スイッチ部50の全補助スイッチ51〜53を非導通状態(オフ状態)にする。すなわち、監視部60は、補助スイッチ部50の全補助スイッチ51〜53を非導通状態(オフ状態)にさせ、電力供給線L1〜L3の間を遮断状態にさせる。監視部60は、全補助スイッチ51〜53を非導通状態(オフ状態)にさせた後に、処理をステップS101に戻す。
また、ステップS107において、給電システム1は、現在の状態を維持して、処理をステップS101に戻す。
【0067】
以上説明したように、本実施形態における給電システム1は、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)が、それぞれが異なる負荷部31〜33に直流電力を供給する。すなわち、それぞれの給電系統が、整流装置と蓄電池とを有している。また、補助スイッチ部50は、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)における電力供給線L1〜L3のそれぞれの間を選択的に導通状態にする。監視部60は、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)がそれぞれ有する整流装置11〜13のうちの少なくとも1つが、異常状態になった場合に、異常状態になった給電系統を示す異常系統の電力供給線(例えば、L3)と、異常系統と異なる給電系統を示す他系統の電力供給線(例えば、L1、L2)との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。ここで、異常状態とは、整流装置11〜13の少なくとも1つが、対応する負荷部(31〜33のいずれか)に必要な直流電力を供給できない状態を示す。
【0068】
これにより、正常状態にある場合に、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)が、それぞれが異なる負荷部31〜33に直流電力を供給する分散給電を行うため、給電システム1は、罹障範囲を狭くすることができる。そして、異常状態にある場合に、補助スイッチ部50が、異常系統の電力供給線(例えば、L3)と他系統の電力供給線(例えば、L1、L2)との間を導通状態にさせるので、給電システム1は、異常系統における給電を他系統による給電によって補うことができる。
なお、ここで、罹障範囲とは、故障の影響を受ける範囲のことである。罹障範囲を狭くすると、例えば、1つの給電系統において故障が発生した場合であっても、狭い範囲だけの影響に留めることができるため、給電システム1の信頼性を向上させることができる。
【0069】
すなわち、例えば、停電、整流装置11〜13の故障、負荷の増大による過負荷状態、等の異常が発生した場合であっても、給電システム1は、システム全体で異常系統への給電を補償する。なお、この場合、例えば、蓄電池21〜23が経年劣化している場合であっても異常系統における給電を他系統による給電によって補うことができる。そのため、給電システム1は、異常状態の場合に、負荷部31〜33が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる。このように、本実施形態による給電システム1は、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部31〜33が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる。
例えば、蓄電池21〜23が経年劣化や故障により交換する必要があって交換するまでに時間がかかる場合に、給電システム1は、蓄電池21〜23の交換工事が終わるまでの期間におけるシステムの運用リスクを低減することができる。また、給電システム1は、非常時(緊急時に)経年劣化や故障していない他系統の蓄電池を有効に利用することができる。よって、本実施形態による給電システム1は、直流電力を負荷部31〜33に給電する信頼性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、整流装置11〜13は、整流装置11〜13の動作状態を検出する電源制御部111を備えている。監視部60は、電源制御部111によって検出された整流装置11〜13の動作状態に基づいて、少なくとも1つが異常状態になったか否かを判定する。
これにより、給電システム1は、簡易な手段により、給電系統(K1〜K3)の異常状態を検出することができる。
【0071】
また、本実施形態では、整流装置11〜13の動作状態には、整流装置11〜13が出力可能な電力を示す出力可能電力の情報が含まれる。監視部60は、出力可能電力と、対応する負荷部31〜33が消費する負荷電力とに基づいて、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になったか否かを判定する。
これにより、給電システム1は、出力可能電力と負荷電力とに基づいて異常状態を判定するため、異常状態になったか否かを正確に判定することができる。
【0072】
また、本実施形態では、監視部60は、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になった場合に、他系統における余剰電力と、異常系統における不足電力とに基づいて、他系統の電力供給線(例えば、L1、L2)と異常系統の電力供給線(例えば、L3)との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。なお、監視部60は、他系統における出力可能電力及び対応する負荷電力に基づいて、他系統における余剰電力を算出する。
これにより、給電システム1は、異常系統に電力を供給可能な他系統を選択して、補助スイッチ部50により導通状態にさせるので、適切に異常系統の給電を補完することができる。
【0073】
また、本実施形態では、監視部60は、他系統ごとに、余剰電力が不足電力以上であるか否かを判定し、余剰電力が不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された他系統の電力供給線と異常系統の電力供給線との間をスイッチ部により導通状態にさせる。
これにより、給電システム1は、異常系統に電力を供給可能な他系統を正確に選択して、補助スイッチ部50により導通状態にさせるので、適切に異常系統の給電を補完することができる。
【0074】
また、本実施形態では、監視部60は、複数の他系統のうちの少なくとも2つの他系統ごとに、少なくとも2つの他系統における余剰電力の総量が不足電力以上であるか否かを判定する。監視部60は、余剰電力の総量が不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された少なくとも2つの他系統の電力供給線と異常系統の電力供給線との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。
これにより、給電システム1は、1系統で異常系統に電力を供給できない場合に、少なくとも2つの他系統によって適切に異常系統に電力を供給することができ、適切に異常系統の給電を補完することができる。
【0075】
また、本実施形態では、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)は、電力供給線L1〜L3における負荷部31〜33が接続される端部に配置され、負荷部31〜33に供給される電圧及び電流を検出する負荷端スイッチ41〜43をそれぞれ備える。負荷電力は、負荷端スイッチ41〜43によって検出された負荷部31〜33に供給される電圧及び電流に基づいて算出される。
これにより、監視部60は、簡易な構成により正確に負荷電力を取得することができる。
【0076】
また、本実施形態では、負荷端スイッチ41〜43は、検出された負荷部31〜33に供給される電圧及び電流に基づいて負荷電力を算出し、算出した負荷電力を監視部60に出力する。
これにより、監視部60が負荷電力を算出する必要がなく、簡易な構成により正確に負荷電力を取得することができる。そのため、給電システム1は、監視部60の処理量を低減することができる。
【0077】
また、本実施形態では、監視部60は、異常系統における出力可能電力及び負荷電力に基づいて不足電力を算出する。これにより、監視部60は、正確に不足電力を取得することができる。
また、本実施形態では、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)がそれぞれ有する整流装置11〜13のうちの全てが、対応する負荷部31〜33に必要な直流電力を供給できている正常状態になった場合に、導通状態にされている全ての電力供給線L1〜L3の間を補助スイッチ部50により非導通状態(遮断状態)にさせる。
これにより、正常状態にある場合に、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)が、それぞれが異なる負荷部31〜33に直流電力を供給する分散給電を行うため、給電システム1は、罹障範囲を狭くすることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、負荷端スイッチ41〜43は、検出した負荷部31〜33に供給される電流が予め定められた閾値以上である場合に、電力供給線L1〜L3と負荷部31〜33との間を遮断する負荷遮断器の機能を有している。
これにより、給電システム1は、各給電系統(K1〜K3)が過負荷状態になった場合に、安全に負荷部31〜33を切り離すことができる。
【0079】
また、本実施形態では、一例として、第3の給電系統K3が異常系統である形態を説明したが、給電システム1は、他の給電系統(K1、K2)が異常系統である場合にも同様に対応することができる。また、給電システム1(1a)は、複数の給電系統が異常系統であっても問題なく対応することができる。
また、本実施形態によれば、給電システム1の制御方法は、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)を監視し、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)がそれぞれ有する整流装置11〜13のうちの、少なくとも1つが異常状態になった場合に、異常状態になった給電系統を示す異常系統の電力供給線(例えば、L3)と、他系統の電力供給線(例えば、L1、L2)との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる手順を、を含んでいる。
これにより、本実施形態による給電システム1の制御方法は、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部31〜33が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる。また、給電システム1の制御方法は、非常時(緊急時に)経年劣化や故障していない他系統の蓄電池を有効に利用することができるので、直流電力を負荷部31〜33に給電する信頼性を向上させることができる。
【0080】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態による給電システム1aについて説明する。
図5は、本実施形態による給電システム1aの構成を示す概略ブロック図である。
この図において、給電システム1aは、複数の給電系統(K1〜K3)、補助スイッチ部50、及び監視部60を備えている。本実施形態では、3つの給電系統(K1〜K3)が、蓄電池端スイッチ81〜83をそれぞれ備えている点が、第1の実施形態における給電システム1と異なる。また、蓄電池端スイッチ81〜83が追加されたことにより、監視部60の制御が第1の実施形態における給電システム1と異なる。以下、蓄電池端スイッチ81〜83及び監視部60について説明する。
【0081】
本実施形態では、第1の給電系統K1は、整流装置11、蓄電池21、負荷端スイッチ41、及び蓄電池端スイッチ81を備えている。
蓄電池端スイッチ81(電池端検出部)は、電力供給線L1における蓄電池21が接続される端部に配置され、蓄電池21が接続される端部における電圧及び蓄電池21が接続される端部に流れる電流を検出する。なお、蓄電池端スイッチ81は、蓄電池21が接続される端部における電圧を蓄電池21の電圧として検出する。蓄電池端スイッチ81は、検出した電圧値及び電流値を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に出力する。また、蓄電池端スイッチ81は、検出した蓄電池21における電圧及び蓄電池21が接続される端部に流れる電流に基づいて放電電力を算出し、算出した放電電力を無線通信により論理ネットワーク61を介して監視部60に出力する。ここで、放電電力とは、蓄電池21から放電される電力のことであり、上述のように、蓄電池端スイッチ81によって蓄電池21における電圧及び蓄電池21が接続される端部に流れる電流に基づいて算出される。
なお、蓄電池端スイッチ81は、検出した蓄電池21が接続される端部に流れる電流が予め定められた閾値以上である場合に、電力供給線L1と蓄電池21との間を遮断する電池遮断器の機能を有している。
【0082】
同様に、第2の給電系統K2は、整流装置12、蓄電池22、負荷端スイッチ42、及び蓄電池端スイッチ82を備えており、第3の給電系統K3は、整流装置13、蓄電池23、負荷端スイッチ43、及び蓄電池端スイッチ83を備えている。蓄電池端スイッチ(82、83)の構成は、上述した蓄電池端スイッチ81と同様である。また、蓄電池端スイッチ81〜83は、図3に示される補助スイッチ51の構成と同様である。すなわち、蓄電池端スイッチ81〜83は、負荷端スイッチ41〜43及び補助スイッチ51〜53と同様の構成のスイッチが用いられている。
【0083】
次に、本実施形態における監視部60について説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる部分のみ説明する。また、ここでは、第1の実施形態と同様に、第3の給電系統K3が異常系統になり、第1の給電系統K1及び第2の給電系統K2が他系統である場合の例を説明する。
本実施形態において、監視部60は、異常系統(K3)における蓄電池23から放電される放電電力に基づいて不足電力を算出する。すなわち、監視部60は、蓄電池端スイッチ83によって検出された放電電力を不足電力として取得する。
【0084】
また、監視部60は、異常系統(K3)において、蓄電池端スイッチ83によって検出された蓄電池23の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、他系統(K1、K2)の電力供給線(L1、L2)と異常系統(K3)の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。
また、監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された蓄電池21〜23が接続される端部に流れる電流に基づいて、3つの給電系統(K1〜K3)のうちの全ての給電系統における蓄電池21〜23が非放電状態であるか否かを判定する。監視部60は、全ての蓄電池21〜23が非放電状態である場合に、導通状態されている全ての電力供給線L1〜L3の間を補助スイッチ部50により非導通状態(遮断状態)にさせる。ここで、非放電状態とは、蓄電池21〜23が負荷部31〜33に電力を供給していない状態を示す。
【0085】
次に、本実施形態における給電システム1aの動作について説明する。
図6は、本実施形態における給電システム1aの動作を示すフローチャートである。
この図において、第3の給電系統K3が整流装置13の故障などにより異常状態になった場合の一例について説明する。なお、給電システム1aでは、正常状態にある場合に、監視部60は、3つの給電系統(K1〜K3)の電力供給線L1〜L3の間を補助スイッチ部50に非導通状態にさせている。
【0086】
図6において、まず、給電システム1aでは、整流装置11〜13のいずれかに故障が発生したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、給電システム1aの監視部60は、例えば、整流装置11〜13の動作状態を整流装置11〜13から取得し、取得した動作状態に基づいて、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になったか否かを判定する。監視部60は、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になったと判定した場合に、処理をステップS202に進める。また、監視部60は、整流装置11〜13のいずれかが異常状態になっていない(全てが正常状態)と判定した場合に、処理をステップS209に進める。このステップS201の処理は、図4におけるステップS101の処理と同様である。ここでは、給電システム1aは、例えば、第3の給電系統K3に異常状態であると判定する。以下、第3の給電系統K3に異常状態である場合を説明する。
【0087】
ステップS202において、監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83のデータ(電圧値、電流値、電力などの情報)を取得する。すなわち、監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83のデータ(電圧値、電流値、放電電力などの情報)を蓄電池端スイッチ81〜83から無線通信により論理ネットワーク61を介して取得する。
【0088】
次に、監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83から取得した異常系統(K3)の蓄電池23の電圧(電池端電圧)が予め定められた閾値以下か否かを判定する(ステップS203)。すなわち、監視部60は、異常系統(K3)の蓄電池23が負荷部33に電力を供給困難な状態にあるか否かを判定する。監視部60は、蓄電池23の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、処理をステップS203に進める。また、監視部60は、蓄電池23の電圧が予め定められた閾値をこえる場合に、処理をステップS209に進める。
【0089】
続くステップS204からステップS212までの処理は、図4に示されるステップS102からステップS110までの処理に対応し、第1の実施形態における給電システム1の動作と基本的に同様である。本実施形態では、ステップS206からステップS209において、監視部60における異常系統(K3)の不足電力を蓄電池23の放電電力により取得し、第1の実施形態における給電システム1と異なる。本実施形態では、監視部60は、蓄電池端スイッチ83から取得した異常系統(K3)における蓄電池23から放電される放電電力により不足電力を算出する。
ステップS206からステップS209において、監視部60は、異常系統の電力供給線L3と他系統の電力供給線(L1、L2)とを導通状態にさせてよいかを、蓄電池23の放電電力を不足電力として用いて、判定を行う。
【0090】
また、ステップS210からステップS212までの処理は、上述したように図4に示されるステップS107〜ステップS110までの処理と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0091】
次に、給電システム1aは、蓄電池21〜23のいずれかが放電中であるか否かを判定する(ステップS213)。監視部60は、例えば、蓄電池端スイッチ81〜83のデータ(電圧値、電流値、放電電力などの情報)を取得し、取得したデータに基づいて、蓄電池21〜23のいずれかが放電中であるか否かを判定する。すなわち、監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された電流値に基づいて、3つの給電系統(K1〜K3)のうちの全てにおける蓄電池21〜23が非放電状態であるか否かを判定する。監視部60は、蓄電池21〜23のいずれかが放電中である場合に、ステップS213の処理を繰り返す。監視部60は、蓄電池21〜23のいずれかも放電中でない場合(整流装置11〜13が全て非放電状態になった場合)に、処理をステップS214に進める。
【0092】
次に、給電システム1aは、整流装置11〜13のいずれかで故障が発生中か否かを判定する(ステップS214)。すなわち、監視部60は、ステップS201と同様に、整流装置11〜13の動作状態を整流装置11〜13から取得し、取得した動作状態に基づいて、整流装置11〜13のいずれかで故障が発生中か否かを判定する。つまり、監視部60は、整流装置11〜13が全て正常状態になったか否かを判定する。監視部60は、整流装置11〜13のいずれかで故障が発生中である場合に、処理をステップS213に進め、ステップS213からステップS214までの処理を繰り返す。監視部60は、整流装置11〜13のいずれも故障が発生していない場合(整流装置11〜13が全て正常状態になった場合)に、処理をステップS215に進める。
【0093】
ステップS215において、給電システム1aは、補助スイッチ部50の全補助スイッチ51〜53を非導通状態(オフ状態)にする。すなわち、監視部60は、補助スイッチ部50の全補助スイッチ51〜53を非導通状態(オフ状態)にさせ、電力供給線L1〜L3の間を遮断状態にさせる。監視部60は、全補助スイッチ51〜53を非導通状態(オフ状態)にさせた後に、処理をステップS201に戻す。
このように、給電システム1aは、異常発生(例えば停電発生)した場合に、まず、給電系統ごとに蓄電池による給電を行う。監視部60は、例えば、蓄電池21〜23の電圧が予め定まられた閾値に達したら、補助スイッチ部50を導通状態(オン状態)にさせて、全ての蓄電池21〜23を融合したトータルで負荷部31〜33に直流電力を供給する給電回路を構築する。すなわち、給電システム1aは、正常状態では罹障範囲の狭い分散給電方式となり、異常状態(緊急状態)ではシステム全体で補償するシステム方式となる。
【0094】
なお、上述した図6のフローチャートでは、ステップS201において、給電システム1aでは、整流装置11〜13の動作状態に基づいて、整流装置11〜13のいずれかに故障が発生したか否かを判定しているが、他の条件によって、故障が発生したか否かを判定してもよい。例えば、給電システム1aの監視部60は、例えば、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された少なくとも1つの蓄電池(21〜23のいずれか)の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になったと判定してもよい。この場合、給電システム1aは、蓄電池21〜23の充電状態及び経年劣化状態を含めて、異常系統を検出することができる。そのため、給電システム1aは、適切に異常系統における給電を他系統による給電によって補うことができる。
また、本実施形態では、一例として、第3の給電系統K3が異常系統である形態を説明したが、給電システム1aは、他の給電系統(K1、K2)が異常系統である場合にも同様に対応することができる。また、給電システム1aは、複数の給電系統が異常系統であっても問題なく対応することができる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態における給電システム1aは、正常状態にある場合に、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)が、それぞれが異なる負荷部31〜33に直流電力を供給する分散給電を行うため、罹障範囲を狭くすることができる。そして、異常状態にある場合に、補助スイッチ部50が、異常系統の電力供給線(例えば、L3)と他系統の電力供給線(例えば、L1、L2)との間を導通状態にさせるので、給電システム1aは、異常系統における給電を他系統による給電によって補うことができる。そのため、本実施形態による給電システム1aは、第1の実施形態と同様に、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部31〜33が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる。
【0096】
また、本実施形態では、監視部60は、異常系統(K3)における蓄電池23から放電される放電電力に基づいて不足電力を算出する。これにより、監視部60は、正確に不足電力を取得することができる。
【0097】
また、本実施形態では、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)は、電力供給線L1〜L3における蓄電池21〜23が接続される端部に配置される蓄電池端スイッチ81〜83、をそれぞれ備えている。蓄電池端スイッチ81〜83は、蓄電池21〜23が接続される端部における電圧及び蓄電池21〜23が接続される端部に流れる電流を検出する。放電電力は、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された電圧及び電流に基づいて算出される。
これにより、実測値に基づいて放電電力を算出するので、監視部60は、正確な放電電力を取得することができる。さらに、正確な放電電力を取得できるため、監視部60は、正確に不足電力を取得することができ、適切に異常系統を判定することができる。そのため、本実施形態による給電システム1aは、罹障範囲を狭くしつつ、異常状態において負荷部31〜33が稼動できる状態を保持する保持時間を長くすることができる。
【0098】
また、本実施形態では、蓄電池端スイッチ81〜83は、蓄電池21〜23が接続される端部における電圧を蓄電池21〜23の電圧として検出する。監視部60は、異常系統(K3)において、蓄電池端スイッチ83によって検出された蓄電池23の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、他系統(K1、K2)の電力供給線(L1、L2)と異常系統(K3)の電力供給線L3との間を補助スイッチ部50により導通状態にさせる。
これにより、例えば、整流装置13が故障や出力電力の低下が発生したとしても、蓄電池23の電圧が低下していない場合には、給電システム1aは、罹障範囲を狭くした状態を保持する。異常系統(K3)の蓄電池21の電圧が低下して、他系統(K1、K2)からの電力供給が必要になった場合に、補助スイッチ部50により導通状態にさせるので、給電システム1aは、罹障範囲を狭くした正常状態の期間を第1の実施形態に比べて長くすることができる。また、給電システム1aは、蓄電池21〜23の電圧低下を検出することができるので、蓄電池21〜23の経年劣化を正確に検出することができる。
【0099】
また、本実施形態では、蓄電池端スイッチ81〜83は、検出した上述の端部における電圧及び上述の端部に流れる電流に基づいて放電電力を算出し、算出した放電電力を監視部60に出力する。
これにより、監視部60が負荷電力を算出する必要がなく、簡易な構成により正確に負荷電力を取得することができる。そのため、給電システム1aは、監視部60の処理量を低減することができる。
【0100】
また、本実施形態では、蓄電池端スイッチ81〜83は、蓄電池21〜23が接続される端部に流れる電流を検出する。監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された蓄電池21〜23が接続される端部に流れる電流に基づいて、複数(3つ)の給電系統(K1〜K3)のうちの全ての給電系統における蓄電池21〜23が、非放電状態であるか否かを判定する。ここで、非放電状態とは、蓄電池21〜23が負荷部31〜33に電力を供給していないことを示す。監視部60は、全ての蓄電池21〜23が非放電状態である場合に、導通状態にされている全ての電力供給線L1〜L3の間を補助スイッチ部50により非導通状態(遮断状態)にさせる。
これにより、給電システム1aは、蓄電池21〜23が非放電状態にある場合に、正常状態に戻ったことを判定するので、第1の実施形態に比べて、正常状態に戻ったことを正確に判定することができる。
【0101】
なお、本実施形態では、給電システム1aが蓄電池端スイッチ81〜83を備えているので、監視部60は、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された蓄電池21〜23の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、少なくとも1つの整流装置(11〜13のいずれか)が異常状態になったと判定してもよい。
これにより、給電システム1aは、蓄電池21〜23の電圧が低下した場合に、異常状態になったと判定するので、簡易な手段により、給電系統(K1〜K3)の異常状態を検出することができる。
【0102】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記の各実施形態において、負荷端スイッチ41〜43は、負荷部31〜33に供給される電圧及び電流を検出するスイッチである形態を説明したが、半導体スイッチ部513を備えない負荷端検出部とする形態でもよい。また、負荷端スイッチ41〜43が、検出した電圧及び電流に基づいて負荷電力を算出する形態を説明したが、監視部60が、負荷端スイッチ41〜43によって検出された電圧及び電流に基づいて負荷電力を算出する形態でもよい。
【0103】
また、上記の各実施形態において、蓄電池端スイッチ81〜83は、蓄電池21〜23が接続される端部における電圧及び電流を検出するスイッチである形態を説明したが、半導体スイッチ部513を備えない電池端検出部とする形態でもよい。また、蓄電池端スイッチ81〜83が、検出した電圧及び電流に基づいて放電電力を算出する形態を説明したが、監視部60が、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された電圧及び電流に基づいて放電電力を算出する形態でもよい。
【0104】
また、上記の各実施形態において、補助スイッチ51〜53は、電圧、電流、及び電力を検出する形態を説明したが、電圧、電流、及び電力を検出する機能を備えない形態でもよい。また、補助スイッチ51〜53は、半導体スイッチ部513を備える形態を説明したが、物理的なスイッチなどの他のスイッチ素子を備える形態でもよい。
【0105】
また、上記の各実施形態において、給電システム1(1a)が3つの給電系統(K1〜K3)を備える形態を説明したが、これに限定されない。例えば、給電システム1(1a)は、2つ又は4つ以上の給電系統を備える形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、一例として、第3の給電系統K3が異常系統である形態を説明したが、給電システム1(1a)は、他の給電系統(K1、K2)が異常系統である場合にも同様に対応することができる。
【0106】
また、上記の各実施形態において、監視部60が、給電システム1(1a)の監視する各部(整流装置11〜13、補助スイッチ51〜53、負荷端スイッチ41〜43、及び蓄電池端スイッチ81〜83)と無線通信により論理ネットワーク61を介して情報の送受信を行う形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、監視部60は、有線通信により、情報の送受信を行う形態でもよいし、論理ネットワーク61を介さずに情報の送受信を各部と直接行う形態でもよい。
【0107】
また、上記の第2の実施形態において、ステップS201の処理では、監視部60は、例えば、蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された少なくとも1つの蓄電池(21〜23のいずれか)の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、異常状態になったと判定してもよいし、蓄電池21〜23の電流、又は放電電力に基づいて、異常状態になったと判定してもよい。
また、上記の第2の実施形態において、ステップS213の処理は、監視部60が蓄電池端スイッチ81〜83によって検出された電流値に基づいて、非放電状態であるか否かを判定する形態を説明したが、放電電力や電圧に基づいて非放電状態であるか否かを判定する形態でもよい。
【0108】
なお、本発明における監視部60の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより給電システム1(1a)の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0109】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1,1a…給電システム、11,12,13…整流装置(RF)、21,22,23…蓄電池、31,32,33…負荷部、41,42,43…負荷端スイッチ、50…補助スイッチ部、51,52,53…補助スイッチ、60…監視部、61…論理ネットワーク、71,72,73…交流電力源、81,82,83…蓄電池端スイッチ、101,10N…直流電源ユニット、111…電源制御部、112,511…電流検出部、113,515…通信部、512…電圧検出部、513…半導体スイッチ部、514…SW制御回路、K1…第1の給電系統、K2…第2の給電系統、K3…第3の給電系統、L1,L2,L3…電力供給線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給電系統であって、それぞれの給電系統が、交流電力を直流電力に変換し、変換した前記直流電力を対応する負荷部に対応する電力供給線を介して供給する整流装置と、前記整流装置が供給する前記直流電力が不足した場合に前記電力供給線を介して前記負荷部に電力を供給する蓄電池とを有する複数の給電系統と、
前記複数の給電系統における前記電力供給線のそれぞれの間を選択的に導通状態にするスイッチ部と、
前記複数の給電系統がそれぞれ有する前記整流装置のうちの、少なくとも1つの前記整流装置が、当該整流装置に対応する前記負荷部に必要な直流電力を供給できない異常状態になった場合に、前記異常状態になった前記給電系統である異常系統の前記電力供給線と、前記複数の給電系統のうちの前記異常系統とは異なる前記給電系統である他系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる制御部と、
を備えることを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記整流装置は、前記整流装置の動作状態を検出する状態検出部を備え、
前記制御部は、
前記状態検出部によって検出された前記整流装置の動作状態に基づいて、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になったか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記整流装置の動作状態には、前記整流装置が出力可能な電力を示す出力可能電力の情報が含まれ、
前記制御部は、
前記出力可能電力と、対応する前記負荷部が消費する負荷電力とに基づいて、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になったか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記制御部は、
少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になった場合に、前記他系統における前記出力可能電力及び対応する前記負荷電力に基づいて算出した前記他系統における余剰電力と、前記異常系統における不足電力とに基づいて、前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項3に記載の給電システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記他系統ごとに、前記余剰電力が前記不足電力以上であるか否かを判定し、前記余剰電力が前記不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項4に記載の給電システム。
【請求項6】
前記制御部は、
複数の前記他系統のうちの少なくとも2つの前記他系統ごとに、前記少なくとも2つの前記他系統における前記余剰電力の総量が前記不足電力以上であるか否かを判定し、前記余剰電力の総量が前記不足電力以上であると判定された場合に、当該判定された前記少なくとも2つの前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の給電システム。
【請求項7】
前記複数の給電系統は、
前記電力供給線における前記負荷部が接続される端部に配置され、前記負荷部に供給される電圧及び電流を検出する負荷端検出部をそれぞれ備え、
前記負荷電力は、前記負荷端検出部によって検出された前記負荷部に供給される電圧及び電流に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項8】
前記負荷端検出部は、
検出された前記負荷部に供給される電圧及び電流に基づいて前記負荷電力を算出し、算出した前記負荷電力を前記制御部に出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の給電システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記異常系統における前記整流装置の出力可能電力及び前記負荷電力に基づいて前記不足電力を算出する
ことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記異常系統における前記蓄電池から放電される放電電力に基づいて前記不足電力を算出する
ことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項11】
前記複数の給電系統は、
前記電力供給線における前記蓄電池が接続される端部に配置され、前記蓄電池が接続される端部における電圧を前記蓄電池の電圧として検出する電池端検出部をそれぞれ備え、
前記制御部は、
前記電池端検出部によって検出された前記蓄電池の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、少なくとも1つの前記整流装置が前記異常状態になったかと判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項12】
前記複数の給電系統は、
前記電力供給線における前記蓄電池が接続される端部に配置され、前記蓄電池が接続される端部における電圧及び前記蓄電池が接続される端部に流れる電流を検出する電池端検出部をそれぞれ備え、
前記放電電力は、電池端検出部によって検出された前記端部における電圧及び前記端部に流れる電流に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項10に記載の給電システム。
【請求項13】
前記電池端検出部は、前記端部における電圧を前記蓄電池の電圧として検出し、
前記制御部は、
前記異常系統において、前記電池端検出部によって検出された前記蓄電池の電圧が予め定められた閾値以下である場合に、前記他系統の前記電力供給線と前記異常系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項12に記載の給電システム。
【請求項14】
前記電池端検出部は、
検出した前記端部における電圧及び前記端部に流れる電流に基づいて前記放電電力を算出し、算出した前記放電電力を前記制御部に出力する
ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の給電システム。
【請求項15】
前記電池端検出部は、前記蓄電池が接続される端部に流れる電流を検出し、
前記制御部は、
前記電池端検出部によって検出された前記蓄電池が接続される端部に流れる電流に基づいて、前記複数の給電系統のうちの全ての前記給電系統における前記蓄電池が、前記負荷部に電力を供給していないことを示す非放電状態であるか否かを判定し、前記全ての前記蓄電池が非放電状態である場合に、導通状態にされている全ての前記電力供給線の間を前記スイッチ部により非導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項16】
前記制御部は、
前記複数の給電系統がそれぞれ有する前記整流装置のうちの全ての前記整流装置が、対応する前記負荷部に必要な直流電力を供給できている正常状態になった場合に、導通状態にされている全ての前記電力供給線の間を前記スイッチ部により非導通状態にさせる
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項17】
複数の給電系統であって、それぞれの給電系統が、交流電力を直流電力に変換し、変換した前記直流電力を対応する負荷部に対応する電力供給線を介して供給する整流装置と、前記整流装置が供給する前記直流電力が不足した場合に前記電力供給線を介して前記負荷部に電力を供給する蓄電池とを有する複数の給電系統と、前記複数の給電系統における前記電力供給線のそれぞれの間を選択的に導通状態にするスイッチ部と、を備える給電システムの制御方法であって、
前記複数の給電系統がそれぞれ有する前記整流装置のうちの、少なくとも1つの前記整流装置が、当該整流装置に対応する前記負荷部に必要な直流電力を供給できない異常状態になった場合に、前記異常状態になった前記給電系統である異常系統の前記電力供給線と、前記複数の給電系統のうちの前記異常系統とは異なる前記給電系統である他系統の前記電力供給線との間を前記スイッチ部により導通状態にさせる手順を、
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−55828(P2013−55828A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193362(P2011−193362)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】