説明

統制ルール及びポリシーに基づくデータを追跡するための方法及びシステム

【課題】複数の多機能デバイス(MFD)の出力機能を制御するのに適したプリンタ管理システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、複数のユーザによって複数のMFD(22)に送られた複数のタスクに関連するデータを分析するデータ・モジュール(30)と、複数のMFDに送られた複数のタスクから集められたデータを保存するストレージ・ステーション(32)とを備える。このデータは、複数のユーザ及び複数のMFDに関連する既存の出力統制ルールに基づいて分析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷管理システム及び用紙削減技術に関し、より詳細には、既存の統制ルール及びポリシー(方針)を利用することによってタスク追跡データを分析する方法並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織(例えば、企業、教育機関、行政機関、及び医療機関)は、紙のドキュメントの印刷に関する支出が多額となることが多く、近年、多機能システムの印刷量は急増しているため、印刷されたドキュメントによる情報の流れを制御するのは困難であることが多い。印刷環境における重要課題は、高性能多機能システムの1ページ当たりのコストである。ほとんどのエンティティ(事業体)において、高性能多機能システムの印刷量及びそれに関連するコスト増を制御しようとする試みは、概ね不成功に終わっている。更に悪いことには、高性能多機能システムに関する潜在的な環境問題が懸念を呼んでいる。このような問題を解決することが、ビジネスニーズのために複数の多機能デバイス(MFD)を使用するIT専門家及び企業の間での最優先事項である。
【0003】
更に、コピー機は、それがもたらす機能性及び柔軟性の点で進歩し続けている。例えば、現在、多くのコピー機は、かつてそうであったような独立型の機械ではなく、デジタル処理機能と、コンピュータ・ネットワークに接続可能とするネットワーク・インタフェースとを備える。これにより、様々な利点がもたらされる。このような利点の1つは、コピー機が、従来のコピーを行うだけでなく、ネットワークに接続されたコンピュータによって生成されたドキュメントの印刷もする、多機能デバイス(MFD)として用いられ得る、という点である。更に、コピー機がコンピュータ・ネットワークに接続されている場合には、ネットワーク・サーバ又はその他のネットワーク端末を介して間接的に、コンピュータから状態及び使用情報を収集することが可能となる。ネットワーク化されたコピー機又はMFDを有することの別の利点は、このようなMFDの使用を監視して把握することができるという点である。
【0004】
デジタル印刷及びコピーの分野では、MFDに対する需要が増加してきている。このMFDは、1つの印刷エンジン(例えば、ゼログラフィック又はサーマル・インクジェット印刷エンジン)が複数の異なる画像入力デバイス(又は「サービス」)とつながれている構造形式を取り得る。この画像入力デバイスは、プリンタが用いるための或いはネットワークを介して送信される画像関連情報を作り出すように構成されている。一例において、この画像関連情報は、ビデオ・ファクシミリ信号、マイクロフィルム、データ処理情報、フルサイズ・ドキュメント用の光走査盤、アパーチュア・カード、及びマイクロフィッシュを源とし得る。MFDは、従来の単機能デバイス(例えば、専用プリンタ、コピー機、及びスキャナ)よりも広範囲の機能を提供する。結果として、この機能にネットワーク送信機能が組み合わされるため、例えば複数のMFDに関連する印刷ジョブ追跡データを効率的に分析することは有用であろう。
【0005】
近年、電子ドキュメントによるストレージ(保存)が進んでいるにもかかわらず、依然として、紙のドキュメントが、多くの理由(例えば、読みやすさや記録管理)から企業によって必要とされている。その結果、MFDの使用が広がって増えている。このMFDに関連するコストは、(特にカラー印刷に関しては)かなり高くなり得るため、プリンタ資源の使用法を知ってそれに関連するコストを会計目的で算出することは、多くの企業にとって非常に有益であり得る。
【0006】
従って、オフィス・プリンタの製造業者は、企業のオフィス環境におけるより多くのカラー印刷機能を売り出すため、顧客は、MFDにアクセスするマネージド出力サービス・プロバイダが、(一般的に白黒印刷よりもカラー印刷の方が費用が高いので)カラー生成機能が追跡されて制御されることを保証することを望む。更に、顧客は、過剰分を個人又は部署にチャージバック(charge back)することができるように、多量のカラー印刷物(color volume)を生成している人を洞察することを望む。更に、顧客は、カラーで印刷及びコピーできる人を統制/制御することを望む。多くの場合、これらの保証は、マネージド出力サービス・プロバイダが顧客と結ぶサービスレベル合意(サービス品質保証制度)の一部である。従って、統制におけるあらゆるギャップは見逃されるコスト削減となり得るので、出力管理ソリューションは確実に効果的に統制するよう正確に管理されることが望ましい。しかしながら、統制範囲におけるギャップを検出することは、出力管理ソリューションの管理者にとって、厄介で時間のかかることであり得る。
なお、関連する発明として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-252556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
結果として、従来のシステムでは、出力統制におけるギャップ(即ち、ユーザ間の不一致、MFD間の不一致、並びに、ユーザ及びMFDに関する予め設定されたルール及びポリシー間の不一致)を自動的に確認する方法がない。従って、現在のシステムには、例えば印刷ジョブ追跡データを効果的に分析する機能が欠けている。本開示は、複数のユーザ及び複数のMFDに関する既存の統制ルール及びポリシーを利用して、効果的な印刷/スキャン/コピー/ファックス・ジョブ追跡システム及び方法を提供することによって、他の方法の欠点を克服するよう意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様は、複数の多機能デバイス(MFD)の出力機能を制御するのに適したプリンタ管理システムであって、複数のユーザによって前記複数のMFDに送られた複数のタスクに関連するデータを分析する、データ・モジュールと、前記複数のMFDに送られた前記複数のタスクから集められたデータを保存する、ストレージ・ステーションと、を備える、システムであって、前記データが、前記複数のユーザ及び前記複数のMFDに関連する既存の出力統制ルールに基づいて分析される。
【0010】
本開示の第2の態様は、複数の多機能デバイス(MFD)の出力機能を制御するのに適した方法であって、複数のユーザによって前記複数のMFDに送られた複数のタスクに関連するデータを、データ・モジュールによって分析し、前記複数のMFDに送られた前記複数のタスクから集められたデータを、ストレージ・ステーションによって保存する、方法であって、前記データが、前記複数のユーザ及び前記複数のMFDに関連する既存の出力統制ルールに基づいて分析される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示による、出力統制におけるギャップを自動的に確認するジョブ追跡システムの、ハイレベル略図である。
【図2】本開示による、複数のMFDがネットワーク・バスを介してデータ追跡モジュールに接続されている、出力統制におけるギャップを自動的に確認するジョブ追跡システムの、詳細略図である。
【図3】本開示による、複数のユーザ及び複数のMFDに関連するジョブ追跡データを含む表を示す、図である。
【図4】本開示による、複数のユーザ及び複数のMFDに関連するジョブ追跡データを含む表を示す、図である。
【図5】本開示による、出力統制ルールに関連するソフトウェア・コードの一部を示す、図である。
【図6】本開示による、複数のユーザ及び複数のMFDに関連するギャップ結果を含む表を示す、図である。
【図7】本開示による、出力統制におけるギャップを自動的に確認するジョブ追跡システムを示す、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、ジョブ追跡データを分析すると共に、このようなジョブ追跡データを現行の印刷ルール及びポリシー(例えば、既に実施されている統制ルール及びポリシー)と比較する、方法を提案する。この方法は、どの統制ルール及び/又はポリシーによってもカバーされないユーザ又はMFDを示すデータを識別することを試みる。また、この方法は、ユーザ・セット、部署、及びMFDの変更を把握するため、周期的に又はリアルタイムで(例えば、毎日又は毎時又はリアルタイムで)行われる。ユーザ及びMFDがギャップとして識別された(例えば、未登録ユーザ及び/又はMFDが検出された)場合、出力統制ルールは更新されるべきである。従って、ジョブ追跡データを、実施されている1セットのルール及び/又はポリシーと比較することによって、複数のMFDを含むプリンタ管理システムをより効果的に監視する、ツールが提示される。
【0013】
更に、本開示は、出力管理ソリューションにおけるジョブ追跡データを分析すると共に、このようなジョブ追跡データを現行の印刷ルール及びポリシーと比較して、管理されている部署の統制ルールにおけるギャップを探す、システムを提案する。従来のシステムは、ジョブ追跡データをこのように用いるのではなく、印刷管理者に対してチャージバック期間(chargeback period)の終わりに手動でジョブ追跡データを調査して潜在ギャップ(例えば、プリンタ又は印刷ユーザがシステムに認知されていない場合)を探すように要求する。本開示のシステム及び方法は、連続的にジョブ追跡データを出力統制ルール及びポリシーと比較する。この統制ルール及び/又はポリシーによって現在カバーされていないユーザ又はMFDがあった場合、本開示のシステム及び方法は、このユーザ又はMFDに対して統制ルール及び/又はポリシーを更新及び/又は作成するか、このようなユーザ及び/又はMFDを印刷管理システムから除外するべきである、とシステム管理者に警告することによって、このユーザ又はMFDにフラグを立てる。
【0014】
ゆえに、本開示の目的は、MFD資源のより効率的な配分を決定するために分析され得るMFD使用情報を生成し、その結果、複数のMFDをより責任を持って使用するように、且つ、これらのMFDに関連する印刷コストをより良く理解するように促す、コンピュータ・ネットワーク及びそれに関連した方法を提供することである。印刷評価によって、印刷及び出力に関連する多くのコストが露わになり得ると共に、顧客がどのように事務機器を使っているかが明らかとなる。エンティティの印刷及び出力ソリューションをその特定ニーズに合わせることが目標である。印刷/出力評価を行うことによって、エンティティ(例えば、会社や組織)は、ネットワーク上の出力装置量を減らすことができ、これによって、エンティティ全体の効率及びサービスレベルが高くなり得る。
【0015】
本開示の例としての実施形態は、認定販売業者によってクライアントに分配されて、エンティティ全体にわたるコピー機及び印刷コストの評価、管理、制御、並びに、コストの最適化を容易にする、パッケージを提示する。本開示の印刷システムは、組み込み式の報告、追跡、分析、及び更新モジュールを用いることによって、顧客のデバイス・グループ(fleet)(例えば、MFD)性能の分析データを測定及び生成する。得られたデータによって、エンティティの目標に合わせたサービス戦略及び支払請求モデルを作成することができる。コピー機及びプリンタのコスト評価は、様々な基準(例えば、ユーザ、部署、プロジェクト、及び、クライアント又は機械番号)を用いて測定することができる。全ての印刷ジョブは、量及びユーザによって分類することができ、カラー及び白黒ジョブ、用紙フォーマット、並びに、用紙タイプを正確に区別することも可能である。結果として、このシステムは、ユーザから受信した入力データ又はデータ追跡モジュールから受信した入力データに従って選択的に且つ動的に且つ自動的に更新されるため、動的システムである。
【0016】
本開示は、更に、印刷管理方法及びシステムに関する。通常、ルールに基づく本開示のシステム・コンポーネントは、ルールを作成、テスト、及び修正したり、全ての印刷使用法並びにルール及び/又はポリシーの適用並びにそれに対するユーザ反応を追跡したり、印刷使用法及び様々な認定ユーザに対する行動修正に関して報告し得る。本開示は、各ユーザが各MFDに費やした額又は1人のユーザが複数のMFDに費やした額をシステム管理者が算出するのを助けることによって、複数のユーザ及び/又は複数のMFDに関連するデータを効率的に集めることができる。更に、複数のMFDで印刷する場合には、複数のユーザが権利を与えられ、他のデバイスをより良く理解するよう指導される。
【0017】
本開示を更に詳細に説明する前に、まず、以下の論議を通して用いられる様々な語を定義しておくのが有用であろう。
【0018】
「印刷」という語は、多数の方法のうちのいずれか1つによってドキュメントをプリンタに送ることを意味するよう多重定義(overload)されている。更に、「プリンタ」という語は、あらゆるタイプのコンピュータ・デバイスからテキスト及びグラフィック出力データを受信して、この情報をあらゆる印刷可能媒体へ転写する、あらゆるデバイスを指し得る。「プリンタ」とは、多様な印刷可能媒体上へ印刷するのに用いられる、あらゆるタイプのゼログラフィック、固体インク、液体インク、カットシート、又はウェブベースのデバイスを指し得る。本明細書中で用いるこの「プリンタ」という語は、あらゆる目的で印刷出力機能を行うあらゆる装置(例えば、デジタルコピー機、製本機械、ファックス、多機能機器など)を含む。
【0019】
本明細書中に開示するMFDには、「接続」MFDと「非接続」MFDとの両方が含まれる。「非接続」MFDは、ネットワーク(例えば、インターネット)にアクセスしない。「接続」MFDは、一般に、イーサネット(登録商標)カードなどを介してネットワークに接続される。本実施形態では、MFDは、ネットワークにアクセスすることのできるワイヤレス・デバイスと動作可能に通じている非接続MFDであってもよい。これらの多機能デバイスとワイヤレス・デバイスとは、多機能デバイスに設けられた双方向通信チャネルを介して接続される。
【0020】
「MFD」という語は、コンピュータ・デバイス及び/又はネットワークに接続して、印刷、スキャン、コピー、及び/又はファックスのような機能のうちの1つ以上を行う、あらゆる機器を指し得る。デジタルコピー機、ファックス、プリンタ、及びスキャナを組み合わせたものは全て、MFDの例である。更に、この「MFD」という語は、1つのユニットにおいていくつかの機能を組み合わせる、あらゆるハードウェアも指し得る。例えば、MFDは、独立型プリンタ、又はあらゆるタイプの独立型機器/デバイス/装置/コンポーネントであり得る。例えば、MFDは、パーソナル・コンピュータ(PC)(1台以上)、独立型プリンタ、独立型スキャナ、携帯電話、MP3プレーヤー、オーディオ電子機器、ビデオ電子機器、GPSシステム、テレビ、記録及び/又は再生媒体(例えば、CD、DVD、ビデオカメラ、カメラなど)、或いは、その他あらゆるタイプの家庭用又は非家庭用のアナログ及び/若しくはデジタル電化製品であってよい。このような家庭用及び/又は非家庭用の電化製品は、あらゆるタイプの娯楽、通信、家庭、及び/又はオフィス用途(capacity)に適用することができる。従って、この「MFD」という語は、回路基板と共に用いるのに適し、様々な目的で複数の個人によって用いられるよう意図された、あらゆるタイプの電子機器を指し得る。
【0021】
「ストレージ」という語は、データ・ストレージを指し得る。「データ・ストレージ」とは、あらゆる他の物又はデバイスの助けを借りて或いは借りずに情報を再生することのできる、あらゆる物又は材料(例えば、ハード・ディスク)を指し得る。「データ・ストレージ」とは、コンピュータ・プロセッサがアクセスできるようにデータを電子的形態で保持したものを指し得る。一次ストレージとは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及びその他の「組み込み式」デバイスにおけるデータのことである。二次ストレージとは、ハード・ディスク、テープ、及びその他の外部デバイスにおけるデータのことである。また、「データ・ストレージ」とは、デジタル・データを意図的に消去するまで永久的に保持する場所も指し得る。「ストレージ」とは、電力なしでコンテントを保つリポジトリを示唆する。「ストレージ」とは、主に、磁気ディスク、磁気テープ、及び光ディスク(CD、DVDなど)を意味する。また、「ストレージ」とは、不揮発性メモリチップ(例えば、フラッシュ、読み出し専用メモリ(ROM)、及び/又は電気的消去・プログラム可能型読み出し専用メモリ(EEPROM))も指し得る。
【0022】
本明細書中において、「印刷ジョブ」とは、当業者には恐らく認められるように、特定の電子フォーマット(例えば、ビットマップ)に限定されず、あらゆる適切なフォーマット(例えば、PDF、ワープロ・フォーマット、リッチ・テキスト(RTF)など)を含み得る。
【0023】
「タスク」という語は、印刷、スキャン、コピー、及び/又はファックス・ジョブ、或いは、MFDによって行われ得るあらゆるタイプの機能を指す。この「タスク」という語は、アドレス空間を通る実行経路(例えば、データ・ストレージ手段にローディングされる1セットのプログラム命令)も指し得る。また、この「タスク」という語は、オペレーティング・システムが制御するプログラミングの基本ユニットも指し得る。オペレーティング・システムがその設計においてタスクをどのように定義するかによって、このプログラミング・ユニットは、プログラム全体であってもよいし、プログラムの逐次呼び出しそれぞれであってもよい。
【0024】
「出力統制ルール」という語は、複数のMFDに関連する出力タスクを統制する方針又は条件を指す。
【0025】
「モジュール」という語は、他のコンポーネントと組み合わせて用いられる内蔵型コンポーネント(ユニット若しくはアイテム)、及び/又は、システム(例えば、複数のMFDを含む印刷システム)においてコンポーネントとして用いられ得る分離した別個のハードウェア若しくはソフトウェア・ユニットを指し得る。また、この「モジュール」という語は、電子コンポーネント及び回路の内蔵型アセンブリ(例えば、コンピュータにおいてユニットとして取り付けられる段(stage))も指し得る。
【0026】
「ルール」という語は、タスクが要求されたときに、この方針及び/又は条件の結果として予め設定/決定されたデフォルト・モードに従って、1つ以上のMFDに、1つ以上の要求されたタスクを行わせる、方針及び/又は条件を指し得る。また、この「ルール」という語は、複数のMFDの動作に対する規定の指針も指し得る。このルールの例としては、特定のユーザにだけカラー印刷をさせる、特定のユーザにだけ白黒印刷をさせる、特定のユーザにだけプリンタ1台当たりの予め設定された量よりも多くのコピーをさせる、特定のユーザにだけスキャン又はファックス又はコピーをさせる、特定のユーザにだけグラフィックスを印刷させる、ほとんどのユーザにテキストを印刷させる、特定のユーザにだけインターネットからの情報を印刷させる、特定のユーザにだけ片面印刷をさせる、特定のユーザにだけ無制限の情報を印刷させる、1つの端末から1つの又は複数のMFDへの一定量の印刷ジョブを可能とする、割当て数に達した場合にMFDの切り替えを可能とする、あらゆるMFDに対するアクセスの拒否を可能とする、各端末からあらゆる許容MFDへ印刷されたページ数のカウントを可能とする、などのルールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「分析」という語は、複数のMFDのエレメント、本質的特徴、機能、若しくは処理を判定すること、及び/又は、複数のMFDに対して計算処理を行うことを指し得る。更に、この「分析」という語は、リアルタイムで、自動的に、選択的に、且つ/又は手動で、データを追跡、収集、操作、調査、及び/又は更新することも指し得る。
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態について説明する。これらの添付図面は、単なる例であって、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0029】
図1を参照すると、本開示による、出力統制におけるギャップを自動的に確認するジョブ追跡システムの、ハイレベル略図が示されている。このジョブ追跡システム10は、ジョブ追跡データ・モジュール12、出力統制ルール・モジュール14、分析モジュール16、及びギャップ結果モジュール18を備える。
【0030】
この図1において、ジョブ追跡データ・モジュール12は、印刷ジョブ、コピー・ジョブ、ファックス・ジョブ、及び/又はスキャン・ジョブを含み得るが、これらに限定されない。1人以上のユーザが、このようなジョブを、以下で図2に関してより詳細に説明する複数のMFDから起動し得る。ジョブ追跡データ・モジュール12によって送信された出力タスク・ジョブは、分析モジュール16を介して、出力統制ルール・モジュール14に位置するルール及びポリシーと比較される。
【0031】
分析モジュール16は、例えば、ジョブ追跡データにおけるユーザ名を出力統制ルール及びポリシーと比較することによって、出力統制ルール・モジュール14に位置するルール及びポリシーに統制されていないユーザを探索し得る。ユーザ名が見つからない場合、分析モジュール16は、出力統制ルール・モジュール14に位置するいずれのポリシー若しくはルールにも現在統制されていないユーザ又は部署にフラグを立て得る。
【0032】
更に、分析モジュール16は、例えば、出力タスク・ジョブ追跡データにおけるMFDを出力統制ルール及びポリシーと比較することによって、出力統制ルール・モジュール14に位置するルール及びポリシーに統制されていないMFDを探索し得る。MFDが見つからない場合、分析モジュール16は、出力統制ルール・モジュール14に位置するいずれのポリシー若しくはルールにも現在統制されていないMFD又はこのMFDが位置する部署にフラグを立て得る。分析モジュール16は、このような判別を行うと、その結果をギャップ結果モジュール18に送信し、このギャップ結果モジュール18において、これらの結果がデータベースに保存され得る。
【0033】
更に、これらの比較結果は、更なる処理に向けて、ローカル若しくはリモート・データベースに別々に保存され得る。このデータベースは、このような比較データを保存して分析するためだけに設計された特有のデータベースであってよい。また、複数のMFDのそれぞれに対して修正ルールの履歴が収集されて保存されると、この履歴は、その後、どのルール/ポリシーの修正が各MFDに対して最も所望の結果をもたらしたかを判定するために評価され得る。つまり、各MFDに対して行われたルール変更は、保存され、後で(同じMFDに関して)互いに比較され、良い結果をもたらした順にランク付けされ得る。あるMFDに関する最高ランクのルールは、他のMFDのルール/ポリシーの変更に用いられ得る。
【0034】
図2を参照すると、本開示による、複数のMFDがネットワーク・バスを介してデータ追跡モジュールに接続されている、出力統制におけるギャップを自動的に確認するジョブ追跡システムの、詳細略図が示されている。このジョブ追跡システム20は、複数のMFD22、ネットワーク・バス24、データ追跡モジュール26、ルール・エンジン28、分析モジュール30、及び結果データベース32を備える。
【0035】
この図2において、複数のMFD22は、ネットワーク・バス24を介してデータ追跡モジュール26に、出力タスク・ジョブを送信し得る。データ追跡モジュール26は、これらのデータをルール・エンジン28に基づいて比較し、その比較データを更なる処理に向けて分析モジュール30に送信する。分析モジュール30は、特に、そのユーザ及び/又はMFDがシステム20に認知されているかいないかを判定し、その結果を結果データベース32に送信する。
【0036】
通常、ジョブ追跡システム20のコンポーネントは、出力タスク・ジョブ毎の詳細を取得し、その出力タスク・ジョブの環境における企業ルール及び/又はポリシーを評価し、エンドユーザのプロファイル及び行動履歴を評価し、エンドユーザとやりとりしてそのジョブに関する助言又は指示を与え、ユーザの反応を記録する。各ルール処理トランザクションに関する情報は全て、サーバにアップロードされるかデータベースに保存される。このサーバは、ローカル・サーバであってもリモート・サーバであってもよい。
【0037】
データ追跡モジュール26は、新しい印刷ジョブ(又はその他あらゆるタイプの出力タスク・ジョブ)の到着に関し、複数のMFD22における印刷キューを追跡して監視する。データ追跡モジュール26は、新しい出力タスク・ジョブを検出すると、ルール・エンジン28に通知し、このルール・エンジン28は、その印刷ジョブの詳細(例えば、ユーザ名、MFD名、MFD位置など)に関し、複数のMFD22の印刷キューに問い合わせる。データ追跡モジュール26は、印刷部数及び印刷ページ数、そのジョブはカラー印刷するのかどうか、並びに、その他の関連し得る細目のような、情報を検出することを含む。データ追跡モジュール26は、印刷するドキュメントや、エンドユーザが要求するプリンタ設定について説明する。一実施形態では、データ追跡モジュール26は、出力タスク・ジョブ毎にこのような情報を集め、このような情報を保存のために結果データベース32に送信する。ルール・エンジン28は、ユーザに関する情報及びユーザの過去の印刷行動(本明細書中では、ユーザの「使用歴」と呼ぶ)に関しても、データ追跡モジュール26に問い合わせる。
【0038】
ルール・エンジン28は、ルール及び/又はポリシーを、データ追跡モジュール26から収集されたデータ、ユーザ・プロファイル、MFDプロファイル、及び使用歴と比較した後に評価することによって、実行に向けた1セットの候補ルールを得る。次に、ルール・エンジン28は、ルール及び/又はポリシーを、この候補ルール・セット及び状況に基づいて評価し、更にフィルタリング及び/又は優先順位付けする。最後に、ルール・エンジン28は、最終選択ルール及び/又はポリシーを評価することによって、実行する1つ以上のルール及び/又はポリシーを選択する。つまり、ルール・エンジン28は、データ追跡モジュール26から収集されたデータと比較する1つ又はそれ以上のルールを選択するという選択権を有する。このルール選択処理は、ユーザ名、MFD名、ユーザ位置、MFD位置、ユーザの使用歴、MFDの使用歴、アクセス時間、印刷要件、出力ジョブのサイズ、用紙要件、及び/又は、ルール若しくはポリシーの優先順位に基づいて行われ得る。また、このルール選択処理は、例えば、1つ以上の収集、追跡、及び分析データから生成されたパターンに基づいたルールのように、統計的比較データに基づいて行われてもよい。このような統計的技法によれば、ユーザが受容若しくは許容可能なトラフィック・タイプに関する企業ポリシー/ルールが実施可能であり得る。
【0039】
ルール・エンジン28は、選択されたルール及び/又はポリシーによって指定される行うべき動作の説明を、分析モジュール30に送信する。この動作としては、出力タスク・ジョブのコストを表示すること、よりコスト効率の良い代替案についてユーザに助言すること、チャージ・コード(charge code)を入力するよう或いはそのジョブをキャンセルして好適な設定で再実行するようユーザに要求すること、又は、このような動作の組み合わせが挙げられる。
【0040】
データベース32は、何千人(又はそれ以上)にもなり得るユーザのキャッシュであってよく、これらのユーザのアクセス・レベルは、即時アクセスのために各MFD又はローカル若しくはリモート・サーバに保存され得る。このキャッシュは、データベース32においてアクセス・レベル及び分類表が変化するたびに更新され得る。ユーザのアクセス・レベルに基づいて行われる動作は、ルールに基づく決定エンジン28を使用することによって実施され得る。
【0041】
更に、ルール及び/又は方針は、複数のMFDのいずれに対しても、あらゆる所望の時間に、1人又は複数の認定ユーザによって、修正及び/又は更新され得る。つまり、認定ユーザは、1つの又は1グループの又は全てのMFDに対し、全ての又は一部のルールを修正し得る。従って、MFD(複数)は、1ヶ所に位置していても、或いは、同じグループのMFDの一部であっても、使用法、地理的位置、及び/又はユーザ・アクセス要件に基づいて、他のMFDとルールが異なり得る。
【0042】
図3及び図4を参照すると、本開示による、複数のユーザ及び複数のMFDに関連するジョブ追跡データを含む表が示されている。
【0043】
表40は、複数の列を含む。これらの列には、ネットワーク・ユーザ名42、製造業者44、モデル名46、製造番号48、場所名50、ジョブ・タイプ52、カラーページ数54、白黒ページ数56、ページ数58、カラー60、両面62、印刷部数64、媒体サイズ66、ドキュメント名68、ドキュメント・タイプ70、及びジョブ完了時刻72のような、カテゴリに関連するデータが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0044】
図3及び図4は、ほとんどの出力管理ソリューション・システムによって一般的に収集される、一例であるジョブ追跡データ表40を示している。これらのデータは、出力作業(この場合には、印刷作業)を示している。しかしながら、コピー、スキャン、及びファックス機能を追跡してもよい。出力管理ソリューションが独自のジョブ追跡データ源を有していない場合には、第三者のデータ源を用いてもよい。
【0045】
図5を参照すると、本開示による、出力統制ルールに関連するソフトウェア・コードの一部が示されている。
【0046】
コード80は、カラー・ルール82、送信時間ルール84、コスト・ルール86、及び使用可能ルール88を含む。当然、これらは、図2のルール・エンジン28に組み込まれ得る、単なるサンプル若しくはルールにすぎない。当業者は、システム要件に基づいてルール・エンジン28に組み込むための、大量のルール及び/又はポリシーを検討し得る。これらのルールは、複数のMFDを有する印刷システムと互換性のあるプログラミング言語であれば、どんなタイプのプログラミング言語で書かれてもよい。
【0047】
出力統制ルールは、企業における少なくとも印刷、コピー、ファックス、及びスキャンを統制するために、出力管理ソフトウェアにおいて構成される。これらのルールは、1つの又はグループのMFDと関連付けられることが多い。これらのルールは、ユーザ・レベル(部署内のユーザ・グループ)における印刷を制御するように構成することができる。大規模な配備では、これらのルールの構成及び管理は非常に複雑なタスクとなり得る。しかしながら、本開示の例としての実施形態によれば、ユーザ及びMFD専用に設計されたルール及び/又はポリシーを用いることにより、データが流れやすくなると共に動作が効率的になる。
【0048】
ルールの別の例として、特定の内部報告書を片面フォーマット及び印刷装置から両面フォーマット及び印刷装置へ変換する、というルールがあり得る。これにより、用紙コストが50%減少する。コード80は、多数の最適化ルーチンを提供することができ、プロジェクト・マネージャは、これらのルーチンの中でどれが自分のエンティティに適切であるかを決定する。理論的には、コード80は、各ユーザ又は選択されたユーザに対する所定月の最大印刷及び/又はコピー機予算を定める選択肢を提供することができる。
【0049】
ルールの別の例として、各MFDは特定セットのルールに従って作動されてもよい、というルールがあり得る。例えば、ユーザが週のコピー割当て数に達した場合、MFDはこのユーザに対して作動不能とされ得る。また、低容量のMFDで多すぎるコピーを取ろうとすると、より高容量のMFDに移るように指示される。別のルールとして、週末である場合、1つ又はそれ以上又は全てのMFDでカラーコピー不能とされる、というルールがあり得る。
【0050】
更に、あるネットワーク又は環境では、MFDは様々なレベルの論理グループに編成され得る。1グループのユーザは、例えば、使用許可若しくはアクセス権によって、異なるグループにおけるMFDの使用を禁止され得る。各ユーザには、1セットのアクセス・レベルが付与される。例えば、役員グループ・メンバーは、会社の世界中のMFDのいずれにもアクセスしてよく、管理グループ・メンバーは、ローカルMFDにのみアクセスしてよく、研修グループ・メンバーは、白黒コピーを取ることだけ許可され得る。その結果、特定グループのMFDに適用されるルール及び/又はポリシーが作成され得る。つまり、各MFD又はMFDグループは、様々な要素(例えば、エンティティ内での権限レベル)によって、異なるセットのルール及び/又はポリシーを有し得る。
【0051】
図6を参照すると、本開示による、複数のユーザ及び複数のMFDに関連するギャップ結果を含む表が示されている。
【0052】
表90は、複数の列を含む。これらの列には、ネットワーク・ユーザ名92、製造業者94、モデル名96、製造番号98、場所名100、ジョブ・タイプ102、カラーページ数104、白黒ページ数106、ページ数108、カラー110、両面112、印刷部数114、媒体サイズ116、ドキュメント名118、ドキュメント・タイプ120、及びジョブ完了時刻122のような、カテゴリに関連するデータが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0053】
これらのデータは、出力作業(この場合には、印刷作業)を示している。しかしながら、コピー、スキャン、及びファックス機能を追跡してもよい。出力管理ソリューションが独自のジョブ追跡データ源を有していない場合には、第三者のデータ源を用いてもよい。
【0054】
ギャップ結果は、複数のMFDを有する印刷システムのコストをシステム管理者が算出するのに非常に役立つ。例えば、MFDに対して正確に備品を供給するという問題は、実際に使用された事務用品を正確に記録することにかかっている。これは、1ページ当たりの総コストを計算する場合に、特に重要である。使用される事務用品(例えば、トナー・カートリッジ若しくはインク)の寿命、並びに、顧客及びユーザ固有の1ページ当たりのトナーの表面被覆率は、結ばれたサービス契約の収益性に重大な影響を及ぼす。確実にクライアントの仕事が中断されないようにするには、事務用品を適時に再注文することが重要である。一方、事務用品の多すぎる在庫は、絶対に避けるべき費用である。従って、本開示の例としての実施形態によれば、コピー機及び印刷装置(又はMFD)の全維持費が、各MFDのデータベースに保存され得る。いくつかの費用(例えば、空のトナー・カートリッジ又は欠陥ドラムの交換)は、自動的に記録されてもよい。電子価格表に従って、装置1台当たりの実際の発生コストが記録され、更なる全ての分析に利用可能とされる。結果として、この表は、選択的に且つ動的に且つ自動的に更新されるため、動的な表である。
【0055】
図7を参照すると、本開示による、出力統制におけるギャップを自動的に確認するジョブ追跡システムを示す、フローチャートが示されている。
【0056】
フローチャート130は、以下のステップを含む。ステップ132において、複数のドキュメントが、複数のユーザによって複数のMFDから印刷される。ステップ134において、ジョブ追跡データが分析される。ステップ136において、現行の印刷ポリシーが、既存の統制ルールと比較される。ステップ138において、出力管理統制におけるギャップが検出される。ステップ140において、1つ以上のMFD及び/又は1人以上のユーザが統制ルールによってカバーされない場合、フラグが立てられる。ステップ142において、ギャップ結果が、データベースに保存される。次に、処理が終了する。
【0057】
更に、マネージド印刷サービス・プロバイダは、以下のような動作を行い得る。例えば、必要であれば、ユーザがポリシー/ルールに追加されてもよい。システムは、そのユーザの部署内での役割について顧客に確認しなければならないこともある。また、印刷装置は、有効範囲内にあるか確認され得る。有効範囲内にある場合には、その印刷装置に関する契約及び権利が、手動で或いは自動的に見直され得る。更に、必要であれば、印刷装置(例えば、MFD)がポリシー/ルールに追加されてもよい。マネージド印刷サービス・プロバイダは、確実に、ギャップ確認が毎日又は毎時又はリアルタイムで行われることによって、システム管理者がこのようなギャップをすぐに識別して是正することができるようにする。
【0058】
結果として、印刷統制におけるギャップを判別する従来の処理は、時間がかかると共に、マネージド印刷サービス・プロバイダが積極的に問題を識別して是正することができない。例えば、顧客が前月からの印刷及びチャージバック作業を見直すのは、月末(EOM)の支払請求サイクルのときである。ユーザ/部署/MFDに関する印刷作業及びそれに関連するチャージバックを示すには、一般的に、印刷ジョブ追跡データが用いられる。顧客は、予期しなかったあらゆる過剰分(例えば、本来よりも多くのカラー印刷をしている特定のユーザ若しくは部署若しくはMFD、又は、印刷統制が全く実施されていないように見えるMFD)を探す。これにより、マネージド印刷サービス・プロバイダは、苦境に立たされ、印刷統制においてギャップがある理由を説明しなければならなくなる。顧客とのサービスレベル合意によっては、このような過剰分に対して顧客に請求できないこともある。
【0059】
従って、本開示の例としての実施形態には、顧客がデータを見るずっと前にマネージド印刷サービス・プロバイダが印刷統制における潜在ギャップを識別することができるというような、効率的なギャップ確認の利点がある。次に、このプロバイダは、実施されているポリシー/ルールを変更して、問題を解消することができる。
【0060】
本開示は、データ追跡機能に基づいて統制ルールを活用する別の方法を提案する。上記方法は、あらゆるサービス・プロバイダに、データを追跡して統制ルール及び/又はポリシーを利用するいくつかの方法を提供する。更に、複数のMFDから受信したデータに統制ルール及び/又はポリシーを適用するという概念は、当業者が検討するあらゆるタイプのアプリケーションに用いることができるという点で一般概念である。例えば、どんなサービス・プロバイダも、MFDを提供/制御/所有/販売することができる。更に、サービス・プロバイダは、あらゆるタイプのプリンタ及び/又はMFD及び/又は電子装置を用いて、本開示の所望の結果を得ることができる。また、本開示の印刷システムによって、情報技術(IT)グループ及び/又はサービス・プロバイダは、クライアントの印刷環境を管理しやすくなる。
【0061】
サービス・プロバイダは、ソフトウェア及び/又はハードウェア製品を開発、提供、制御、管理、所有、変更、及び/又は販売するのであれば、どんなエンティティであってもよい。また、サービス・プロバイダは、1つ以上の既存のMFD(このサービス・プロバイダによって制御又は所有されていてもいなくてもよい)に対して1つ以上のタスクを行うのであれば、どんなエンティティであってもよい。例えば、このエンティティは、現行のソフトウェア・パッケージを用いたサービス、及び/又は、インターネットを介するあらゆるタイプの現行のインターネットベース・サービスを提供することができる。つまり、サービス・プロバイダは、MFDを所有又は提供しなくてもよい。MFDは、サービス・プロバイダと関係若しくは関連のないどんな第三者によって所有又は提供されてもよい。本開示において、このエンティティ(例えば、サービス・プロバイダ)は、印刷関連サービス及び/又は製品と関連していてもいなくてもよいインターネット・ウェブサイト又は店舗に潜在顧客を差し向けることによって、既存の中古MFDを最適化するためのあらゆるタイプのサービス及び/又は製品を提供することができる、と考えられる。この「エンティティ」という語は、複数の機器(例えば、MFD)のうちの1つ以上を所有、作動、管理、及び/又は制御する、分離した且つ/又は別個のユニットとして存在し得る、あらゆるものを指すことができる。例えば、この「エンティティ」という語には、「会社」という語が含まれ得る。
【0062】
要約すれば、本開示の例としての実施形態は、データ追跡結果を統制ルール及び/又はポリシーと比較することによって出力管理統制におけるギャップを検出するシステム及び方法を提供することにより、特有且つ有用な方法で、今日の市場におけるほとんどの出力管理ソリューションによって既に収集されたデータを活用する。本開示の更なる利点及び利益は、(1)チャージバック及び支払請求目的で既に収集されている既存のジョブ追跡データを活用すること、(2)管理者が印刷統制範囲におけるギャップに関するデータを手動で詳細に調べる必要がなくなること、(3)月末の支払請求サイクルでの見直しを待つのではなく、より早く潜在ギャップを識別することができること、(4)顧客の場所における印刷コストを積極的に制御する別のツールをマネージド出力サービス・プロバイダに与えることである。
【0063】
更に、この例としての実施形態によれば、顧客は、最小限の労力でシステムをセットアップして管理することにより、印刷コストを削減又は回収することができる。顧客は、このシステムに接続された又は接続が試みられる全てのMFDに関する真の印刷コストを測定することができるであろう。顧客は、印刷の意思決定時において、コスト削減及びチャージアウト(charge-out)のための印刷ポリシー及び/又はルールを実施することもできるであろう。また、このシステムはアクセスしてくるMFD及びユーザを自動的に見つけるため、顧客は、このシステムを容易にセットアップして所望の仕様に構成することができるであろう。また、顧客は、予め設定若しくは決定された1セットのデフォルト・ルール及び/又はポリシー(コスト削減目標、コスト回収目標、及び/又は環境問題への取り組みに基づいて、あらゆる所望の方法で修正されてもよい)を含むシステムを購入し得る。更に、顧客は、部署、組織、及び/又は場所による印刷量及び使用法を分析することによって、その組織における印刷のコスト及び環境影響を測定、理解、及び制御することができるであろう。更に、顧客は、あらゆるIT基盤に対して最小限のリスクで印刷管理目的を達成することができると共に、システム管理者がユーザの整合性レベルに応じてユーザがメッセージを見る頻度を調整することができるようにすることによってエンドユーザの苦情を回避するためのルール及び/又はポリシーを用いることができるであろう。最後に、新しいユーザは組織を通して仕事を行い進歩し、分析報告によってシステム管理者は対象とするユーザ・グループに対するルールの有効性を恐らく測ることができるため、新しいユーザは印刷ルール及びポリシーで訓練され得る。
【0064】
更に、顧客は、MFDグループを管理することができるようになると共に、出力経路をよりコスト効率の良いMFDに切り替えることによってエンティティの印刷コストをかなり削減することができるようになる。また、MFDの予測的且つ積極的なサービス及び備品の自動補給によって、エンドユーザの生産性は実質的には妨害されることがない。事務機器販売業者は、顧客の出力経路をMFDに切り替えることにより、或いは、別の備品供給源及び卓上印刷装置用サービスを提供することにより、オフィスにおける未開拓の卓上印刷量を実現することができる。
【0065】
本開示は、更なる実施形態として、本開示により本明細書中に説明された方法を行う少なくとも1つのプロセッサによって実行されるように構成されたプログラム可能命令を保存するコンピュータ可読媒体も含む。このコンピュータ可読媒体としては、フラッシュ・メモリ、CD−ROM、ハード・ドライブなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
10、20 ジョブ追跡システム
16 分析モジュール
24 ネットワーク・バス
40、90 表
80 コード
82 カラー・ルール
84 送信時間ルール
86 コスト・ルール
88 使用可能ルール
130 フローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多機能デバイス(MFD)の出力機能を制御するのに適したプリンタ管理システムであって、
複数のユーザによって前記複数のMFDに送られた複数のタスクに関連するデータを分析する、データ・モジュールと、
前記複数のMFDに送られた前記複数のタスクから集められたデータを保存する、ストレージ・ステーションと、
を備える、システムであって、
前記データが、前記複数のユーザ及び前記複数のMFDに関連する既存の出力統制ルールに基づいて分析される、
システム。
【請求項2】
前記複数のMFDの前記出力機能が、整合性確認のため、前記既存の出力統制ルールと比較される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
複数の多機能デバイス(MFD)の出力機能を制御するのに適した方法であって、
複数のユーザによって前記複数のMFDに送られた複数のタスクに関連するデータを、データ・モジュールによって分析し、
前記複数のMFDに送られた前記複数のタスクから集められたデータを、ストレージ・ステーションによって保存する、
方法であって、
前記データが、前記複数のユーザ及び前記複数のMFDに関連する既存の出力統制ルールに基づいて分析される、
方法。
【請求項4】
前記複数のユーザのうちの1人以上に関して整合性確認ができなかった場合、これらのユーザは不整合と識別される、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−176674(P2010−176674A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16735(P2010−16735)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】