説明

統合ブラウザ装置およびその動作方法

【課題】BMLブラウザとHTMLブラウザの統合化を図れる技術を提供する。
【解決手段】受信機は、受信されたBMLファイルから情報を取り出すBMLパーサ部22と、受信されたHTMLファイルから情報を取り出すHTMLパーサ部23とを備え、BMLファイルが受信されたなら、BMLパーサ部22により取り出された情報を表示し、HTMLファイルが受信されたならHTMLパーサ部23により取り出された情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送やIPTVを始めとする放送サービスとインターネットを始めとする通信サービスの両サービスに対応する受信機などに使用される統合ブラウザ装置およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタル放送、BSデジタル放送、IPTVの放送サービスのデータ放送は、BMLで記述されており、それに対応するBMLブラウザが利用されている(非特許文献1,2,3参照)。
【0003】
また、インターネットからの様々な情報を収受するためのWebサービスはHTMLで記述されており、それに対応するHTMLブラウザが利用されている(非特許文献4参照)。
【0004】
さらに、図10に示す構成の放送サービス、通信サービスの両方に対応した受信機が増えてきている。例えば、DTV(デジタルテレビ)で、放送サービスのデータ放送を受信したり、インターネットに接続してWebサービスを受けたりすることができるようになってきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「地上デジタルテレビジョン放送運用規定」、ARIB TR−B14
【非特許文献2】「BS/広帯域CSデジタル放送運用規定」、ARIB TR−B15」
【非特許文献3】「NECカタログ BMLブラウザ」、音声信号副搬送波を利用する伝送方式の標準テレビジョン・データ多重放送、NECシステムテクノロジー株式会社
【非特許文献4】「NECカタログ HTMLブラウザ」、NECシステムテクノロジー株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような受信機のためのBMLブラウザやHTMLブラウザは、アプリケーションとして、個別に存在し、受信機が両方に対応するためには、両アプリケーションを実装しなければならず、受信機を始めとするCPUやメモリ容量が限られた組み込み機器では、CPUやメモリ容量のリソースを圧迫するという問題があった。
【0007】

また、BMLブラウザとHTMLブラウザを個別に開発、テスト、維持管理しなければならず、開発コストや維持管理コストが掛かるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、HTMLブラウザエンジン部を共通利用し、BMLブラウザとHTMLブラウザの統合化を図れる技術を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、第1の本発明は、受信されたBMLファイルから情報を取り出すBMLパーサ部と、受信されたHTMLファイルから情報を取り出すHTMLパーサ部と、BMLファイルが受信されたなら、前記BMLパーサ部により取り出された情報を表示し、HTMLファイルが受信されたなら前記HTMLパーサ部により取り出された情報を表示する情報表示手段とを備えることを特徴とする統合ブラウザ装置をもって解決手段とする。
【0010】
第2の本発明は、受信されたBMLファイルから情報を取り出すBMLパーサ部と、受信されたHTMLファイルから情報を取り出すHTMLパーサ部とを備える統合ブラウザ装置の動作方法であって、前記BMLパーサ部が、受信されたBMLファイルから情報を取り出す工程と、前記統合ブラウザ装置の情報表示手段が、前記BMLパーサ部により取り出された情報を表示する工程とを有することを特徴とする統合ブラウザ装置の動作方法をもって解決手段とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、BMLブラウザとHTMLブラウザの統合化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る受信機の全体的な構成を示す図である。
【図2】判別部21の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】BMLファイル11とHTMLファイル12の構成を示す図である。
【図4】BMLパーサ部22の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】HTMLパーサ部23の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】CSS処理部24の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】Java(登録商標)Script処理部25の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係るシステムの構成を示す図である。
【図9】実施例2に係るシステムの構成を示す図である。
【図10】放送サービス、通信サービスの両方に対応した受信機の機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る受信機の全体的な構成を示す図である。
【0015】
受信機は、通信部1、HTMLブラウザエンジン部2を有する。HTMLブラウザエンジン部2は、判別部21、BMLパーサ部22、HTMLパーサ部23、CSS処理部24、JavaScript処理部25、DOMツリー部26、レイアウト部27、レイアウトツリー部28、レンダリング部29を有する。HTMLブラウザエンジン部2は、本発明の統合ブラウザ装置を構成するものである。
【0016】
通信部1は、放送サービスを実施する放送局などからBMLファイル11を、通信サービスを実施するサーバなどからHTMLファイル12を受信して、BMLファイル11またHTMLファイル12を判別部21に出力する。
【0017】
図2は、判別部21の処理の流れを示すフローチャートである。図3は、BMLファイル11とHTMLファイル12の構成を示す図である。
【0018】
図3に示すように、BMLファイル11は、文章型宣言40、スタイルシートコード41、スクリプトコード42、ボディコード43を有する。HTMLファイル12は、文章型宣言50、スタイルシートコード51、スクリプトコード52、ボディコード53を有する。
【0019】
BMLファイル11は、BMLファイル11を示す<bml>タグを含んでいる。HTMLファイル12は、HTMLファイル12を示す<html>タグを含んでいる。
【0020】
文章型宣言40は、BMLファイル11を示す内容を含んでいる。文章型宣言50は、HTMLファイル12を示す内容を含んでいる。
【0021】
図2において、判別部21は、通信部1からBMLファイル11またはHTMLファイル12が出力されるのを待機する(S1)。判別部21は、BMLファイル11またはHTMLファイル12が出力されたら、当該ファイルの<bml>タグ、<html>タグを識別して、または、文章型宣言の内容から、当該ファイルがBMLファイル11かHTMLファイル12であるかを判定する(S2)。
【0022】
判別部21は、当該ファイルがBMLファイル11と判定したなら、BMLファイル11をBMLパーサ部22に出力する(S3)。一方、判別部21は、当該ファイルがHTMLファイル12であると判定したなら、HTMLファイル12をHTMLパーサ部23に出力する(S4)。
【0023】
図4は、BMLパーサ部22の処理の流れを示すフローチャートである。
【0024】
BMLパーサ部22は、判別部21からBMLファイル11が出力されるのを待機する(S11)。BMLパーサ部22は、BMLファイル11が出力されたら、まず、BMLファイル11からボディコードを取り出し、DOMツリーの形に分解して、DOMツリー部26に登録する(S12)。
【0025】
次に、BMLパーサ部22は、BMLファイル11からスタイルシートコードを取り出し、CSS処理部24に出力する(S13)。
【0026】
次に、BMLパーサ部22は、BMLファイル11からスクリプトコードを取り出し、JavaScript処理部25に出力する(S14)。
【0027】
図5は、HTMLパーサ部23の処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
HTMLパーサ部23は、判別部21からHTMLファイル12が出力されるのを待機する(S21)。HTMLパーサ部23は、HTMLファイル12が出力されたら、まず、HTMLファイル12からボディコードを取り出し、DOMツリーの形に分解して、DOMツリー部26に登録する(S22)。
【0029】
次に、HTMLパーサ部23は、HTMLファイル12からスタイルシートコードを取り出し、CSS処理部24に出力する(S23)。
【0030】
次に、HTMLパーサ部23は、HTMLファイル12からスクリプトコードを取り出し、JavaScript処理部25に出力する(S14)。
【0031】
図6は、CSS処理部24の処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
CSS処理部24は、BMLパーサ部22またはHTMLパーサ部23からスタイルシートコードが出力されるのを待機する(S31)。CSS処理部24は、スタイルシートコードが出力されたら、スタイルシートコードからフォント情報を読み出し、DOMツリー部26に登録する(S32)。
【0033】
図7は、JavaScript処理部25の処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
JavaScript処理部25は、BMLパーサ部22またはHTMLパーサ部23からスクリプトコードが出力されるのを待機する(S41)。JavaScript処理部25は、スクリプトコードが出力されたら、スクリプトコードの命令を実行して、DOMツリー部26の情報を変更する(S42)。
【0035】
DOMツリー部26は、BMLパーサ部22、HTMLパーサ部23、CSS処理部24、JavaScript処理部25から登録されたDOMツリーをレイアウト部27に出力する。
【0036】
レイアウト部27は、DOMツリー部26から出力されたDOMツリーを用いて、レイアウトツリーを作成し、レイアウトツリー部28に登録する。
【0037】
レイアウトツリー部28は、レイアウト部27から登録されたレイアウトツリーをレンダリング部29に出力する。
【0038】
レンダリング部29は、レイアウトツリー部28から出力されたレイアウトツリーをレンダリングし、得られた表示情報をディスプレイ(図示せず)に出力する。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、HTMLブラウザエンジン部3を共通エンジンとして用い、BMLファイル・HTMLファイルを扱える統合ブラウザが実現できる。よって、受信機などにおけるCPUやメモリ容量のリソースを圧迫するという問題を解決することができる。
【実施例1】
【0040】
[1] 概要の説明
実施例1は、地上デジタル放送とインターネットを利用できるDTV受信機を構成した例である。
【0041】
[2] 構成の説明
図8に示すように、システムは、デジタル放送局100、Webサーバ101、インターネット102、DTV受信機103で構成される。DTV受信機103は、統合ブラウザ104を有する。
【0042】
[3] 機能の説明
デジタル放送局100は、デジタル放送波100AでBMLファイルを配信する。デジタル放送波100Aには、データ放送ストリームがTS多重されており、データ放送ストリーム中にBMLファイルが含まれている。また、Webサーバ101は、インターネット102でHTMLファイルを送信する。DTV受信機103は、BMLファイルおよびHTMLファイルを受信し、統合ブラウザ104に出力する。統合ブラウザ104は、上記説明した通信部1、HTMLブラウザエンジン部3を有し、BMLファイルおよびHTMLファイルの内容をDTV受信機103のディスプレイに出力する。
【0043】
[4] システムの動作説明
以下、実施例1におけるシステム動作について記述する。
【0044】
(1) デジタル放送局100は、デジタル放送波100Aを用いてBMLファイルを配信する。
【0045】
(2) DTV受信機103は、デジタル放送波100AからBMLファイルを取り出す。
【0046】
(3) DTV受信機103は、統合ブラウザ104でBMLファイルを解析し、DTV受信機103のディスプレイにBMLファイルの内容を表示する。
【0047】
(4) DTV受信機103は、インターネット102経由で、Webサーバ101からHTMLファイルを取得する。
【0048】
(5) DTV受信機103は、統合ブラウザ104でHTMLファイルを解析し、DTV受信機103のディスプレイにHTMLファイルの内容を表示する。
【実施例2】
【0049】
[1] 概要の説明
実施例2は、IP放送とインターネットを利用できるDTV受信機を構成した例である。
【0050】
[2] 構成の説明
図9に示すように、システムは、IP送出サーバ200、CDN(Contents Delivery Network)201、Webサーバ202、インターネット203、DTV受信機204で構成される。DTV受信機204は、統合ブラウザ205を有する。
【0051】
[3] 機能の説明
IP送出サーバ200は、CDN201に映像ストリームを配信する。映像ストリームには、データ放送ストリームがTS多重されており、データ放送ストリーム中にBMLファイルが含まれている。また、Webサーバ202は、インターネット203でHTMLファイルを送信する。DTV受信機204は、BMLファイルおよびHTMLファイルを受信し、統合ブラウザ205に出力する。統合ブラウザ205は、上記説明した通信部1、BML変換部2、HTMLブラウザエンジン部3を有し、BMLファイルおよびHTMLファイルの内容をDTV受信機204のディスプレイに出力する。
【0052】
[4] システムの動作説明
以下、実施例2におけるシステム動作について記述する。
【0053】
(1) IP送出サーバ200は、映像ストリームを用いてBMLファイルを配信する。
【0054】
(2) DTV受信機204は、データ放送ストリームから、BMLファイルを取り出す。
【0055】
(3) DTV受信機204は、統合ブラウザ205でBMLファイルを解析し、DTV受信機204のディスプレイにBMLファイルの内容を表示する。
【0056】
(4) DTV受信機204は、インターネット203経由で、Webサーバ202からHTMLファイルを取得する。
【0057】
(5) DTV受信機204は、統合ブラウザ205でHTMLファイルを解析し、DTV受信機204のディスプレイにHTMLファイルの内容を表示する。
【符号の説明】
【0058】
1…通信部
2…HTMLブラウザエンジン部
11…BMLファイル
12…HTMLファイル
21…判別部
22…BMLパーサ部
23…HTMLパーサ部
24…CSS処理部
25…JavaScript処理部
26…DOMツリー部
27…レイアウト部
28…レイアウトツリー部
29…レンダリング部
40、50…文章型宣言
41、51…スタイルシートコード
42、52…スクリプトコード
43、53…ボディコード
100…デジタル放送局
100A…デジタル放送波
101、202…Webサーバ
102、203…インターネット
103、204…DTV受信機
104、205…統合ブラウザ
200…IP送出サーバ
201…CDN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信されたBMLファイルから情報を取り出すBMLパーサ部と、
受信されたHTMLファイルから情報を取り出すHTMLパーサ部と、
BMLファイルが受信されたなら、前記BMLパーサ部により取り出された情報を表示し、HTMLファイルが受信されたなら前記HTMLパーサ部により取り出された情報を表示する情報表示手段と
を備えることを特徴とする統合ブラウザ装置。
【請求項2】
受信されたBMLファイルから情報を取り出すBMLパーサ部と、受信されたHTMLファイルから情報を取り出すHTMLパーサ部とを備える統合ブラウザ装置の動作方法であって、
前記BMLパーサ部が、受信されたBMLファイルから情報を取り出す工程と、
前記統合ブラウザ装置の情報表示手段が、前記BMLパーサ部により取り出された情報を表示する工程と
を有することを特徴とする統合ブラウザ装置の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−259356(P2011−259356A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133963(P2010−133963)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】