説明

継ぎ目を備えたプレス・フェルト、プレス・フェルト、及びベース織地を製造するための方法

本発明は、継ぎ目を有するプレス・フェルトを製造するための方法、プレス・フェルト、及びプレス・フェルトのベース織地に係る。このベース織地(1)は、継ぎ目ループ(12)を形成する縦方向ヤーン(10a,10b)、及びウエブ側の表面レイヤ(A)の中を伸びる縦方向ヤーン(7)を備えたワン・ベース構造である。縦方向ヤーンは、クロス・ヤーン(8)とともに織り合わされる。表面レイヤの縦方向ヤーンの、中間レイヤ及びボトム・レイヤの縦方向ヤーンに対するヤーン比は、少なくとも、2:1:1である。それに加えて、表面レイヤの縦方向ヤーンは、長いランを有していて、それらの断面積は、継ぎ目ループを形成するヤーンより小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継ぎ目を有するプレス・フェルトを製造するための方法に係る。この方法において、プレス・フェルトのベース織地(base fabric)は、織られた、幾つかの、縦方向(MF:machine direction)ヤーン及び幅方向(CMD:cross-machine direction)ヤーンであって、縦方向ヤーンの少なくとも一部は、幅方向に、ベース織地のエッジを接続する継ぎ目ループ(seam loops)を形成するように配置されている。継ぎ目ループは、プレス・セクションの上に重なるように配置されることが可能であり、それにより、接続エンドを接続する一つまたはそれ以上の継ぎ目ヤーンが、形成された継ぎ目ループ・チャネルに配置されることが可能である。更に、織った後に、一つまたはそれ以上のバット・ファイバー・レイヤ(batt fibre layers)が、ベース織地に、少なくともそのウエブ側の表面上に固定され、構造をより緻密にする。
【0002】
本発明はまた、プレス・フェルト及びそのベース織地に係る。本発明の主題は、独立請求項の前書き部分に詳細に規定されている。
【背景技術】
【0003】
プレス・フェルトは、抄紙機のプレス・セクションの中で、乾燥されるウエブの中の水がその中に浸透することがあるように使用される。プレスの構造に依存して、プレス・フェルトは、乾燥されるウエブの片側または両側の何れかに配置されても良い。プレス・フェルトの目的は、プレスの後で、水がウエブの中に再び戻ることができないように、水を移送することである。プレスの間、ペーパー・ウエブは、フェルトの上で二つのロールの間のギャップ(即ち、ニップ)へ移送される。フェルトの構造は、ニップの中で水がウエブからフェルトへ容易に移るように、作られるべきである。プレス・フェルトは、ベース織地を有していて、このベース織地は、とりわけ、フェルトに必要な水のボリュームをもたらす。フェルト表面を平滑にするために、バット・ファイバーが、少なくとも、ベース織地のウエブ側の表面に固定される。ベース織地は、典型的に、織機の中で織り合わされることにより作られる。
【0004】
更に、織っている間に、プレス・フェルトの端部に、継ぎ目ループを形成することが可能であり、それにより、接続エンドを接続することによって、クローズド・ループの形状のプレス・フェルトを製造することになる。そのような、抄紙機へ継ぎ目を有するプレス・フェルトを取り付けることは、既にクローズド・ループの形状のプレス・フェルトを取り付けるときと比べて、一般的に、より容易であり且つより速やかに行うことができる。継ぎ目ループを作るヤーンは、継ぎ目に十分な引張強度を与えるように、且つ、継ぎ目を接続する際にループの取り扱いが容易であるように、比較的厚い。しかしながら、このタイプの厚いヤーンの、織り合わせ点及び継ぎ目ループがウエブ上に模様(marking)を生じさせることがある。それ故に、ウエブのウエブ側の表面の上に、表面レイヤを配置することが知られている。
【0005】
しかしながら、現行の表面レイヤは、所望のやり方で継ぎ目ループを形成する厚いヤーンにより引き起こされる模様を防止することができず、それが、多数のバット・ファイバーを使用することが必要になる理由になっている。大量のバット・ファイバーを備えたフェルトは、閉塞し易い。このようにして、模様の発生を防ぐように、継ぎ目ループを有するボトム・レイヤの一部を保護する際の、現在の表面レイヤの不十分な能力から問題が生ずる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、継ぎ目を有するプレス・フェルトを製造するための新規且つ改善された方法、新規且つ改善された継ぎ目を有するプレス・フェルト、及び、そのベース織地を提供することにある。
【0007】
本発明の方法の特徴は、表面レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度比を、中間レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度、及びボトム・レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度と比較して少なくとも2倍になるように構成し;表面レイヤの縦方向ヤーンとして、継ぎ目ループを形成する縦方向ヤーンの断面積と比べて本質的により小さい断面積を備えたヤーンを使用し;表面レイヤの縦方向ヤーンに対して、少なくとも5つの幅方向ヤーンの上で長い自由ランを構成すること;にある。
【0008】
本発明のプレス・フェルトの特徴は、表面レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度比が、中間レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度、及びボトム・レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度と比較して少なくとも2倍であること;表面レイヤの縦方向ヤーンの断面積が、継ぎ目ループを形成する縦方向ヤーンの断面積より小さいこと;及び、、表面レイヤの縦方向ヤーンが、少なくとも5つの幅方向ヤーンの上で長い自由ランを有していること;にある。
【0009】
本発明のベース織地の特徴は、表面レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度比が、中間レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度、及びボトム・レイヤの縦方向ヤーンのヤーン密度と比較して少なくとも2倍であること;表面レイヤの縦方向ヤーンの断面積が、継ぎ目ループを形成する縦方向ヤーンの断面積より小さいこと;及び、表面レイヤの縦方向ヤーンが、少なくとも5つの幅方向ヤーンの上で長い自由ランを有していること;にある。
【0010】
本発明のアイデアは、互いに接続される少なくとも二つの接続エンドが、シングル・ベースのプレス・フェルトのベース織地に形成されると言うことである。ベース織地は、少なくとも3つの層を有している、即ち、少なくとも3つの層をなす縦方向ヤーンを有している。表面レイヤの下側で、縦方向ヤーンが二つのレイヤの中を伸びる。中間及びボトム・レイヤの中の幾つかのヤーンは、接続エンドに接続可能な継ぎ目ループを形成するように配置されている。中間レイヤまたはボトム・レイヤの中と比べてより高い縦方向ヤーンの密度が、表面レイヤの中に配置されている。ヤーン密度の比(即ち、ヤーン比)は、少なくとも、2:1:1であって、これは、表面レイヤの中の単位寸法当りの縦方向ヤーンの数が、中間及びボトム・レイヤと比べて少なくとも2倍であると言うことを意味している。
【0011】
更に、本発明のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンの断面積が、継ぎ目ループを形成する縦方向ヤーンの断面積と比べて本質的に小さいと言うことである。それに加えて、表面レイヤの縦方向ヤーンは、少なくとも5つのクロス・ヤーンの上で長い自由ランを有している。
【0012】
本発明は、表面レイヤのために、プレス・フェルトのベース織地が、乾燥されるウエブ上での模様の発生を避けることを可能にする平滑な表面を有している、と言う効果をもたらす。高い縦方向ヤーン密度を備えた構造を使用することにより、表面レイヤに対して平滑な表面をもたらすことが可能である。それに加えて、バット・ファイバー・レイヤが、緻密な表面レイヤにしっかり固定され、それ故に、耐摩耗性を有している。ベース織地の表面レイヤが平滑であるとき、フェルトの中に突き刺されたバット・ファイバーの量をより少なくすることが可能である。このようにして、フェルトの閉塞を防止することもまた可能になる。
【0013】
表面レイヤの平滑さもまた、より小さい断面積を有するヤーンを使用することにより、影響されることが可能である。即ち、薄いヤーンは、厚いヤーンと比べて、表面織地の中により緻密に配置することが容易であり、更にまた、厚いヤーンと比べて、薄いヤーンを織り混ぜたものを配置する方が容易である。それに加えて、より小さい断面積を備えたヤーンは、厚いヤーンと比べて、通常、模様を生じにくい。その代わりに、継ぎ目ループを形成するヤーンは厚く、それによって、それらは、使用中に発生する縦方向の力を受けることが可能である。厚いヤーンで作られた継ぎ目ループはまた、継ぎ目を接続するとき、より容易に取り扱うことが可能である。更に、表面織地のウエブ側の表面上での、長手方向のヤーンの長い自由ランは、ヤーンの接触領域を増大させ、それは、次に、表面織地をより平滑にし、且つ模様を減らすことになる。表面レイヤの織布は、サテン状であっても良い。
【0014】
実施形態のアイデアは、ヤーン密度比が少なくとも、3:1:1、即ち、表面レイヤの縦方向ヤーン密度が中間及びボトム・レイヤと比較して少なくとも3倍であると言うことである。
【0015】
実施形態のアイデアは、ヤーン密度比が少なくとも、4:1:1、即ち、表面レイヤの縦方向ヤーン密度が中間及びボトム・レイヤと比較して少なくとも4倍であると言うことである。
【0016】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、接続エンドでそれらの進行方向に対して反対方向に方向転換され、接続エンドに接続可能な継ぎ目ループを形成することがない、と言うことである。表面レイヤの縦方向ヤーンが後方に方向が転換されるとき、それらは、織った後に切断される必要がない。それに加えて、進行方向の転換点で耳が形成され、そのために、構造が容易に解けることが無い。
【0017】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、接続エンドでそれらの進行方向に対して反対方向に方向転換され、接続エンドに接続可能な継ぎ目ループを形成すると言うことである。ベース織地の表面レイヤは、その場合、継ぎ目の強度を改善する場合がある補助的な継ぎ目を有している。更に、補助的な継ぎ目を使用することにより、継ぎ目により引き起こされる模様を減らすことが可能である。
【0018】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、接続エンドでそれらの進行方向に対して反対方向に方向転換され、それによって、接続エンドの方向のヤーンの第一部分と、接続エンドから離れる方向の第二部分が、同一平面上で平行に伸びることになる。それに加えて、接続エンドの方向に伸びる第一部分のクロス・ヤーンとの交差と、接続エンドから離れる方向の第二部分のクロス・ヤーンとの交差が、異なる点で生じ、それによって、隣り合う縦方向ヤーンが、長手方向のヤーンがクロス・ヤーンの下側を伸びる織り合わせ点(weaving point)を覆うようになる。その場合、表面レイヤの縦方向ヤーンは、一緒にしっかりまとめられ、ウエブ側の表面上に、広い接触領域を形成する。
【0019】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、接続エンドで、少なくとも一つのクロス・方向のエッジ・ヤーの周りで、それらの進行方向に対して反対方向に方向転換されると言うことである。エッジ・ヤーンは、ベース織地の構造の残りの部分から分かれるヤーンであって、その構造及び材料が、織布の他のクロス・ヤーンと異なっていても良い。エッジ・ヤーンは、ベース織地の中に残されても良く、あるいは、その代わりに、織った後に、バット・ファイバー・レイヤを固定する前に、取り除かれても良い。エッジ・ヤーンの使用は、表面レイヤの縦方向ヤーンの進行方向の転換を容易にする。
【0020】
実施形態のアイデアは、エッジ・ヤーンがベース織地の中に残され、且つ、その断面積、構造、及び材料が、継ぎ目ループ・チャネルとベース織地の間で、領域をより緻密にするように選択されると言うことである。それに加えて、バット・ファイバーが、例えば縫製によって、継ぎ目チャネルの脇にしっかり固定されるようにされることも可能であるように、エッジ・ヤーンが選択されても良い。エッジ・ヤーンは、折り重ねられたモノフィラメントまたはマルチフィラメントで作られても良い。
【0021】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、それらが継ぎ目ループ・チャネルの上に伸びることが無いように、継ぎ目ループ・チャネルのエッジで方向を変えると言うことである。進行方向の転換点は、このようにして、継ぎ目ループ・チャネルとベース織地の境界にある。
【0022】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、縦方向から見たときに、継ぎ目ループ・チャネルで方向を変えると言うことである。表面ヤーンは、その場合、継ぎ目領域を保護し、また、バット・ファイバーの固定を容易にする。
【0023】
実施形態のアイデアは、第一接続エンドで、表面レイヤの縦方向ヤーンが継ぎ目ループの中点よりも遠くに伸び、それによって、継ぎ目ループ・チャネルを保護する継ぎ目フラップを形成すると言うことである。更に、表面レイヤの縦方向ヤーンは、第二接続エンドで、継ぎ目ループの中点の前で、且つ継ぎ目フラップの長さの方向に対して方向が転換される。継ぎ目フラップは、バット・ファイバー・レイヤに対して優れた固定ベースをもたらし、継ぎ目ループにより引き起こされる模様を防止する。
【0024】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、織っている間に、継ぎ目の上でエンドレスに伸ばされると言うことである。表面レイヤの縦方向ヤーンは、バット・ファイバーが固定された後に切断され、それにより継ぎ目フラップを形成するこもある。
【0025】
実施形態のアイデアは、ベース織地のクロス・ヤーンが一つのヤーン方式を有していると言うことである。一つのクロス・ヤーン方式の使用は、生産性を高める。その理由は、経糸ヤーン(warp yarn)の選択が小さく抑えられることが可能であるからである。
【0026】
実施形態のアイデアは、ベース織地のクロス・ヤーンが二つのヤーン方式を有していると言うことである。二つのクロス・ヤーン方式を使用することによって、長手方向のヤーン及びクロス・ヤーンを変更することにより、ベース織地の多くのバリエーションを製造することが可能である。
【0027】
実施形態のアイデアは、継ぎ目ループを形成するヤーンの直径の比が、表面レイヤの縦方向ヤーンと比較して、少なくとも、1.1倍である言うことである。
【0028】
実施形態のアイデアは、継ぎ目ループを形成するヤーンの直径の比が、表面レイヤの縦方向ヤーンと比較して、少なくとも、1.6倍である言うことである。
【0029】
実施形態のアイデアは、継ぎ目ループを形成するヤーンが、本質的に円形断面を有し、0.35から0.50mmの直径のモノフィラメントである言うことである。
【0030】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンが、モノフィラメントまたは折り重ねられたモノフィラメントである言うことである。
【0031】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンの断面が、円形であって、その直径が0.1から0.35mmである言うことである。
【0032】
実施形態のアイデアは、継ぎ目ループを形成するヤーンの断面の直径が0.35mmであり、表面レイヤの縦方向ヤーンの断面の直径が0.2mmであると言うことである。
【0033】
実施形態のアイデアは、表面レイヤの縦方向ヤーンの断面が、平らであり、例えば卵形、楕円形、矩形、または、ベース織地の幅の方向と比べて、厚さの方向により小さい寸法を備えた何か他の形状であると言うことである。
【0034】
実施形態のアイデアは、クロス・ヤーンが、モノフィラメントまたは折り重ねられたモノフィラメントであると言うことである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、プレス・フェルトの概略的な斜視図である。
【図2】図2は、本発明のベース織地の概略的な斜視図である。
【図3】図3は、本発明のベース織地の接続エンドの、概略的な幅方向CMDの図である。
【図4】図4は、本発明のベース織地の接続エンドの、概略的なウエブ側の図である。
【図5】図5は、本発明のベース織地の可能である織布構造の、概略的な縦方向MDの図である。
【図6】図6は、本発明のベース織地の可能である織布構造の、概略的な縦方向MDの図である。
【図7】図7は、本発明のベース織地の可能である織布構造の、概略的な縦方向MDの図である。
【図8】図8は、本発明のベース織地の可能である織布構造の、概略的な縦方向MDの図である。
【図9】図9は、本発明のベース織地の可能である織布構造の、概略的な縦方向MDの図である。
【図10】図10は、本発明のベース織地の可能である織布構造の、概略的な縦方向MDの図である。
【図11】図11は、本発明のベース織地の織布構造の、概略的な幅方向CMDの図である。
【図12】図12は、ベース織地の概略的なウエブ側の図であって、その中で、表面レイヤの縦方向ヤーンが、継ぎ目チャネルの根元で後方に方向転換される。
【図13】図13は、図12のベース織地の接続エンドの、概略的な幅方向CMDの図である。
【図14】図14は、ベース織地の概略的なウエブ側の図であって、その中で、表面レイヤの縦方向ヤーンが、継ぎ目チャネルで後方に方向転換される。
【図15】図15は、図14のベース織地の接続エンドの、概略的な幅方向CMDの図である。
【図16】図16は、ベース織地の概略的なウエブ側の図であって、その中で、左側の接続エンドの表面レイヤの縦方向ヤーンが、継ぎ目チャネルを覆う継ぎ目フラップを形成している。
【図17】図17は、図16のベース織地の接続エンドの、概略的な幅方向CMDの図である。
【図18】図18は、ベース織地の概略的な幅方向CMDの図であって、その中で、表面レイヤの縦方向ヤーンは継ぎ目チャネルの上で中断されること無く織られ、且つ、継ぎ目は織った後に切り離されるのみである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の幾つかの実施形態が、添付図面の中で詳細に説明される。
これらの図において、幾つか実施形態は、明瞭性のために単純化されて示されている。同様なパーツは、同じ参照符号で示されている。
【0037】
図1は、クローズド・ループの形状のプレス・フェルトを示していて、このループは、抄紙機プレス・セクションの上に、縦方向(MD:machine direction)に伸ばされることが可能であり、且つ、幅方向(CMD:cross-machine direction)の幅を有している。プレス・フェルトは、更に、乾燥されるウエブの側の上表面R、及び、プレス・セクションのロールに向かい合って配置されロール表面Tを有している。プレス・フェルトは、ワン・ベース(one-base)のベース織地1、及び、少なくともベース織地1のウエブ側の表面Rの上に固定された一つまたはそれ以上のバット・ファイバー・レイヤ(batt fibre layer)を有している。このバット・ファイバー・レイヤ2は、ロール表面Tの側に固定されることが可能である場合もある。
【0038】
更に、ベース織地1は、少なくとも一つの幅方向CMDの継ぎ目領域3を有していて、この領域が、ベース織地1の、第一接続エンド4と第二接続エンド5を接続する。継ぎ目領域3は、縦方向MDに予め定められた幅を有している。継ぎ目領域は、継ぎ目ループ(seam loops)及び一つまたはそれ以上の継ぎ目ヤーンを備えた接続エンドを、少なくとも、有している。
【0039】
図1は、ベース織地1の可能な構造を示す。ベース織地1は、ウエブ側の表面R上に、幾つかの縦方向MDヤーン(即ち、長手方向のヤーン7)を備えた表面レイヤAを有している。長手方向のヤーン7は、織り合わせ点(weaving points)(即ち、結合点)9でクロス・ヤーン8に結合される。ベース織地1の織布は、織り合わせ点9が互いから比較的長い距離にあるようなやり方で選択され、それによって、表面レイヤAの長手方向のヤーン7は、ウエブ側の表面Rの上で、長い自由ランを有している。表面レイヤの長手方向のヤーン7は、5つまたはそれ以上のクロス・ヤーン8の上に、及び一つのクロス・ヤーンの下に、伸びても良く、即ち、長手方向のヤーン7は、6軸の織布構造を有している。その場合、長手方向のヤーン7の可能な限り大きい部分がウエブ側の表面Rの上を伸びる、それが、平滑な表面をもたらすたことを助ける。
【0040】
ベース織地は、更に、縦方向MDヤーン(即ち、ヤーン10a,10b)を有していて、それらは、継ぎ目ループを形成し、且つ、異なるレイヤB及びCの上に積み重ねられて伸びるように構成されている。ヤーン10aは、中間レイヤBの中を伸び、そして、ヤーン10bは、ボトム・レイヤCの中を伸びる。ベース織地1の接続エンド5で、重複するヤーン10が継ぎ目ループ12を形成し、これらの継ぎ目ループが、対応する他の継ぎ目ループと組み合わされて継ぎ目チャネル13を形成するように配置されても良く、このチャネルの中に一つまたはそれ以上の継ぎ目ヤーンが配置されることが可能である。
【0041】
継ぎ目ループ12を形成するヤーン10は、プレス・セクションの中でプレス・フェルトに作用する縦方向応力に耐えるために、且つ、継ぎ目を接続するときに容易な取り扱いを可能にするために、十分な強さを有するように選択される。反対に、表面レイヤAの長手方向のヤーン7は、ヤーン10a及び10bと比べて薄いくなるように選択されされても良い。その理由は、それらが縦方向MD負荷を受けるために寄与する必要が無いからである。長手方向のヤーン7は、ベース織地1のウエブ側の表面Rの上に平滑なレイヤを形成し、それによって、模様が生ずることがが避けられる場合がある。
【0042】
図2もまた、如何にして、表面レイヤAの長手方向のヤーン7が、進行方向の転換点15で、接続エンド5で、移動方向Dに対して反対の方向Eに方向転換される場合があるかについて、示している。この方向転換のために、接続エンド5は、一つまたはそれ以上のエッジ・ヤーン16を有していても良く、これらの周りで、長手方向のヤーン7が方向を転換して、前進方向Dに伸びるヤーン部分の脇で、戻り方向Eに連続することになる。長手方向のヤーン7は、ループを形成するが、それは、接続のために意図されたものではなく、そして、継ぎ目チャネル13から間隔を開けていても良い。
【0043】
それに加えて、エッジ・ヤーン16が、ベース織地1の中に残されても良い。たとえ、エッジ・ヤーン16が取り除かれたとしても、このようにして形成されたフリー・ループは、依然として接続のために使用されることがない。このようにして、進行方向の転換点15でのエッジ・ヤーン16の捩れは、問題にならない。更に、接続エンド5で、継ぎ目チャネル13から異なる距離に、二つまたはそれ以上の進行方向の転換点15を配置することが可能である場合があり、それによって、表面レイヤAの長手方向のヤーン7が二つまたはそれ以上の点で方向を転換するように構成される。
【0044】
図3は、幅方向CMDの中での、構造接続エンド5の構造を、大幅に簡略化されたやり方で示している。この図は、進行方向の転換点15が、接続エンドの最も外側の部分から距離L1にあっても良いと言う事を示している。
【0045】
図4は、ベース織地1の接続エンド5を、ウエブ側の表面から、大幅に簡略化されたやり方で示している。図5は、如何にして、表面レイヤAの中で伸びる長手方向のヤーン7が、進行方向の転換点15で方向を転換して、接続エンド5の方向に、且つ接続エンドから離れる方向に、同じレベル上で平行に伸びるかについて示している。長手方向のヤーン7は、その場合、ウエブ側の表面R上に長いランを有している。
【0046】
図5から10は、幾つかの可能であるクロス・ヤーン8が伸びて、表面レイヤAの長手方向のヤーン7、及び継ぎ目ループを形成するヤーン10a,10bと結合するところを、縦方向MDから示している。
【0047】
図5は、6軸の織布を示していて、その中で、表面レイヤAの縦方向ヤーン7の、中間レイヤB及びボトム・レイヤCの縦方向ヤーン10a,10bに対するヤーン比は、それぞれ、3:1であって、即ち、表面レイヤAは、一つのループ・ヤーン対に対して3本の縦方向ヤーン7を有している。図5のベース織地1は、一つの幅方向CMDヤーン方式を有していて、この場合において、各クロス・ヤーン8は、全てのヤーン・レイヤA,B及びCの縦方向ヤーン7,10a,10bとともに、織りのパターンの繰り返しにより規定される順番で織られる。織布の中で、各クロス・ヤーン8は、同様なラン・パターンを有している。
【0048】
図6は、6軸の織布を示していて、その中で、表面レイヤAの縦方向ヤーン7の、中間レイヤB及びボトム・レイヤCの縦方向ヤーン10a,10bに対するヤーン比は、それぞれ、2:1であって、即ち、一つのループ・ヤーン対に対して、表面レイヤAは、二つの縦方向ヤーン7を有している。図6のベース織地1は、一つの幅方向CMDヤーン方式を有していて、この場合において、各クロス・ヤーン8は、全てのヤーン・レイヤA,B及びCの縦方向ヤーン7,10a,10bとともに、織りのパターンの繰り返しにより規定される順番で織られる。各クロス・ヤーン8は、織布の中で同様なラン・パターンを有している。
【0049】
図7は、8軸の織布を示していて、その中で、レイヤA,B及びCの間のヤーン比は、3:1:1である。このベース織地1はまた、一つの幅方向CMDヤーン方式を有していて、この場合において、各クロス・ヤーン8は、全てのヤーンのレイヤA,B及びCの縦方向ヤーン7,10a,10bとともに、織りのパターンの繰り返しにより規定される順番で織られる。織布の中で、各クロス・ヤーン8は、同様なラン・パターンを有している。
【0050】
図8は、もう一つの8軸の織布を示していて、その中で、レイヤA,B及びCの間のヤーン比は、3:1:1である。この実施形態において、表面レイヤの縦方向ヤーン7Aは、三つのヤーンのグループの中に配置されている。ベース織地1は、二つの幅方向CMDヤーン方式を有している。第一クロス・ヤーン8aは、表面レイヤの縦方向ヤーン7Aを、中間レイヤBの縦方向ヤーン10aに結合する。第二クロス・ヤーン8bは、ボトム・レイヤCの中で交差するのみである。僅かな変更で、この構造は、それが一つの幅方向CMDヤーン方式のみを有するように実現されることも可能である。
【0051】
図9は、表面レイヤAが、一つのループ・ヤーン対10a、10b当り四つの縦方向ヤーン7を有する織布を示している。縦方向ヤーンのヤーン比は、この場合、ウエブ側の表面Rから計算して、4:1:1である。表面レイヤの縦方向ヤーン7Aは、四つのヤーンのグループの中に配置される。ベース織地1は、一つのクロス・ヤーン8のシステムを有している。
【0052】
図10は、二つの独立した幅方向CMDヤーン方式を備えたベース織地1を示している。第一クロス・ヤーン8aは、破線で示されていて、表面レイヤの縦方向ヤーン7A及び中間レイヤBの縦方向ヤーン10aと交差する。第二クロス・ヤーン8bは、一点鎖線で示されていて、中間レイヤB及びボトム・レイヤCの縦方向ヤーン10a,10bと交差する。この図の織布において、ヤーン7の、継ぎ目ループを形成するヤーン10a,10bに対するヤーン比は、2:1:1である。ヤーン7は、二つのヤーンのグループの中にある。
【0053】
図11は、幅方向CMDのベース織地1の構造を示している。ベース織地1は、幅方向CMDに二つのヤーン方式を有していても良い。表面レイヤAのクロス・ヤーン8aの少なくとも一部は、中間レイヤBの縦方向ヤーン10aに結合されるように配置されても良い。それに代わって、表面レイヤAのクロス・ヤーン8aは、表面レイヤの縦方向ヤーン7Aとのみ交差しても良く、これによって、中間レイヤB及びボトム・レイヤCの中で交差するクロス・ヤーン8bの少なくとも一部は、所与の織り合わせ点で表面レイヤの縦方向ヤーン7Aと織り合わされる。クロス・ヤーン8aの少なくとも一部がヤーン10aをともに織り合わされること、及び、クロス・ヤーン8bの少なくとも一部がヤーン7をともに織り合わされることも、依然として可能である。
【0054】
図12から18は、継ぎ目及び接続エンド4と5の間の継ぎ目領域を、大幅に単純化された図で示している。
【0055】
図12及び13において、表面レイヤAの縦方向ヤーン7の進行方向の転換点15a,15bは、各接続エンド4及び5で継ぎ目ループ・チャネルのエッジにあり、それによって、ヤーン7は、実際の継ぎ目領域の上に伸びることがない。
【0056】
図14及び15において、表面レイヤAの縦方向ヤーン7の進行方向の転換点15a,15bは、継ぎ目ループ・チャネルにあり、これによって、各接続エンド4及び5のヤーン7は、継ぎ目領域の上に伸びる。
【0057】
図16及び17において、第一接続エンド4の表面レイヤAの縦方向ヤーン7の進行方向の転換点15aは、継ぎ目チャネルの中点から距離L2にあり、このようにして、第二接続エンド5のベース織地まで伸び、継ぎ目領域を保護する継ぎ目フラップ17を形成する。継ぎ目フラップの長さ17は、当然に、要求に応じて、より短くまたはより長く定められることが可能である。第二接続エンド5のヤーン7の進行方向の転換点15bは、ベース織地の方向に、継ぎ目チャネルの中点から対応する距離L2にある。
【0058】
図18は、表面レイヤの縦方向ヤーン7Aが継ぎ目領域の上で中断されずに織られた継ぎ目を示している。織った後に、ヤーン7は、所望の切断点18で切断される。切断点18は、例えば、継ぎ目チャネルであっても良く、または、継ぎ目フラップが形成されるように配置される。更に、ヤーン7が継ぎ目領域のエッジで切断され、従って、継ぎ目領域の上に伸びることがないように二つの切断点18a,18bを使用することが可能である。
【0059】
使用されるヤーンは、以下のように説明されても良い。表面レイヤの縦方向ヤーン7Aは、モノフィラメントであっても良い。あるケースでは、折り重ねられたモノフィラメントまたはマルチフィラメントのヤーンを使用することも可能である。表面レイヤAの縦方向ヤーン7の断面形状は、円形であって、それらの直径は、0.1から0.35mmの範囲内であっても良い。ヤーン7は、卵形、楕円形、または、エッジに丸みが付けられた矩形などのような平らな断面を有しても良い。
【0060】
継ぎ目ループ12を形成する縦方向ヤーン10a,10bは、断面が円形であっても良い。それらの直径は、0.35から0.50mmの範囲内であっても良い。しかしながら、ヤーン10a,10bは、常に表面レイヤの縦方向ヤーン7と比べて厚い。ヤーン10a,10bは、モノフィラメントであっても良い。更に、クロス・ヤーン8は、モノフィラメントまたは折り重ねられたモノフィラメントであっても良い。クロス・ヤーンの断面形状は、円形または平らであっても良く、または、それらは、如何なる断面形状を有していても良い。
【0061】
本発明のベース織地は、可能な限り平滑なウエブ側の表面を有しているべきである。これを実現するために、表面レイヤの縦方向ヤーンに対して、継ぎ目ループを形成するヤーンに対する場合と比べて、より小さい断面積を選択することが可能である。表面レイヤのヤーン密度は、その場合、より高くなる。更に、表面レイヤの縦方向ヤーンがウエブ側の表面の上に長いランを有する織布を選択することが可能である。それに加えて、長いランを有するヤーンの織り合わせ点は、それらが、隣接するヤーンの織り合わせ点から可能な限り離れるように配置されても良い。長いランは、その場合、ウィービング張力、高いヤーン密度、及び熱処理のために、織り合わせ点の上に押し付けられ、少なくとも部分的にそれらを覆っても良い。そのようなサテンまたはサティネット織布の使用は、ベース織地に対して平滑な表面を作り出ししても良い。
【0062】
留意すべきことは、以上において説明された実施形態において、ベース織地の表面レイヤ、中間レイヤ、及びボトム・レイヤは、ベース織地の中で、即ち、端部に位置する継ぎ目領域の間の部分の中で、クロス・ヤーンを使用して一緒に織られる、と言うことである。レイヤは、その場合、多数の織り合わせ点を使用して織られ、ベース織地は、従って、安定なワン・ベース構造である。
【0063】
あるケースでは、この出願の中でもたらされた特徴は、他の特徴にも拘わらず、そのようなものとして使用されても良い。他方、この出願の中でもたらされた特徴は、必要な場合には、結合されて異なる組み合わせを形成しても良い。
【0064】
図面及び関係する説明は、本発明のアイデアを示すことのみを意図している。本発明は、請求項の範囲の範囲内で細部において変化しても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙機のプレス・セクションのための、継ぎ目を有するプレス・フェルトを製造するための方法であって:
ウエブ側(R)の表面レイヤ(A)、中間レイヤ(B)、及びロール側表面(T)上のボトム・レイヤ(C)を有するワン・ベースの三層ベース織地(1)を、織機の中で一回で織り合わせ;
ベース織地の中に、3層の幾つかの縦方向(MD)ヤーン、及び縦方向ヤーンと交差するように配置された幾つかの幅方向(CMD)ヤーン(8)を織り合わせ;
ベース織地(1)の中に、少なくとも第一(4)及び第二(5)の幅方向(CMD)接続エンドを形成し;
接続エンドに、中間レイヤ(B)及びボトム・レイヤ(C)の縦方向ヤーンにより、継ぎ目を形成するための幾つかの継ぎ目ループ(12)を形成し;
織った後に、少なくともベース織地のウエブ側の表面(R)に、少なくとも一つのバット・ファイバー・レイヤ(2)を固定する;
方法において、
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)のヤーン密度比を、中間レイヤ(B)の縦方向ヤーン(10a)のヤーン密度、及びボトム・レイヤ(C)の縦方向ヤーン(10b)のヤーン密度と比較して、それぞれ、少なくとも2倍になるように構成し;
表面レイヤ(6)の縦方向ヤーン(7)として、継ぎ目ループを形成する縦方向ヤーン(10a,10b)と比較して本質的により小さい断面積を有するものを使用し;
表面レイヤ(6)の縦方向ヤーン(7)に対して、長い自由ランを、少なくとも5つの幅方向ヤーン(8)の上に構成すること;
を特徴とする方法。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載の方法:
ベース織地(1)の幅方向ヤーン(8)を、一つの幅方向ヤーン方式を使用することにより織り合わせる。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1に記載の方法:
ベース織地(1)の幅方向ヤーン(8)を、二つの幅方向ヤーン方式を使用することにより織り合わせる。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の方法:
接続エンド(4,5)で、表面レイヤ(A)の中を伸びる縦方向ヤーン(7)は、継ぎ目ループを形成すること無しに、それらの進行方向に対して反対方向に方向が転換される。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の方法:
接続エンド(4,5)で、表面レイヤ(A)の中を伸びる縦方向ヤーン(7)は、それらの進行方向に対して反対方向に方向が転換され、それにより、接続可能な継ぎ目ループを同時に形成する。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項4または5に記載の方法:
接続エンド(4,5)で、表面レイヤ(6)の縦方向ヤーン(7)は、少なくとも一つの幅方向エッジ・ヤーン(16)の周りで、それらの進行方向に対して反対方向に方向が転換される。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項6に記載の方法:
織った後に、且つバット・ファイバー(2)を取り付ける前に、前記エッジ・ヤーン(16)を取り除く。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の方法:
織っている間に、表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)を継ぎ目領域の上に伸ばし;
織った後に、表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)を継ぎ目領域で切断する。
【請求項9】
抄紙機プレス・セクションのプレス・フェルトであって:
積み重ねられた3層、即ち、ウエブ側(R)の表面レイヤ(A)、中間レイヤ(B)、及びロール側表面(T)上のボトム・レイヤ(C)を備えたワン・ベースで織られたベース織地(1)と;
互いに交差する、幾つかの縦方向(MD)ヤーン(7,10)、及び幾つかの幅方向(CMD)ヤーン(8)と;
少なくとも第一(4)及び第二(5)の幅方向(CMD)接続エンドと;
継ぎ目を形成するための、接続エンドの幾つかの継ぎ目ループ(12)と;
少なくともベース織地(1)のウエブ側の表面(R)に固定された、少なくとも一つのバット・ファイバー・レイヤ(2)と;を有し、
これらの継ぎ目ループ(12)が、中間(B)及びボトム・レイヤ(C)の縦方向(MD)ヤーン(10a,10b)の少なくとも一部により形成された、
プレス・フェルトにおいて、
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)のヤーン密度比は、中間レイヤ(B)の縦方向ヤーン(10a)のヤーン密度、及びボトム・レイヤ(C)の縦方向ヤーン(10b)のヤーン密度と比較して、それぞれ、少なくとも2倍であり;
表面レイヤ(6)の縦方向ヤーン(7)の断面積は、継ぎ目ループ(12)を形成する縦方向ヤーン(10a,10b)の断面積と比較して小さく;
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、少なくとも5つの幅方向ヤーン(8)の上に、長い自由ランを有していること;
を特徴とするプレス・フェルト。
【請求項10】
抄紙機プレス・セクションのプレス・フェルトのベース織地であって:
積み重ねられた3層、即ち、ウエブ側(R)の表面レイヤ(A)、中間レイヤ(B)、及びロール側表面(T)上のボトム・レイヤ(C)を備えた、ワン・ベースで織られたベース織地(1)と;
互いに交差する、幾つかの縦方向(MD)ヤーン(7,10)、及び幾つかの幅方向(CMD)ヤーン(8)と;
少なくとも第一(4)及び第二(5)の幅方向(CMD)接続エンドと;
継ぎ目を形成するための、接続エンドの幾つかの継ぎ目ループ(12)と;
を有し、
これらの継ぎ目ループ(12)は、中間(B)及びボトム・レイヤ(C)の縦方向(MD)ヤーン(10a,10b)の少なくとも一部により形成された、
ベース織地において
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)のヤーン密度比は、中間レイヤ(B)の縦方向ヤーン(10a)、及びボトム・レイヤ(C)の縦方向ヤーン(10b)のヤーン密度と比較して、それぞれ、少なくとも2倍であり;
表面レイヤ(6)の縦方向ヤーン(7)の断面積は、継ぎ目ループ(12)を形成する縦方向ヤーン(10a,10b)の断面積と比較して小さく;
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、少なくとも5つの幅方向ヤーン(8)の上に、長い自由ランを有していること;
を特徴とするベース織地。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項10に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)の縦方向ヤーン(7)のヤーン密度比は、中間レイヤ(B)の縦方向ヤーン(10a)、及びボトム・レイヤ(C)の縦方向ヤーン(10b)のヤーン密度と比較して、それぞれ、少なくとも3倍である。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項10に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)のヤーン密度比は、中間レイヤ(B)の縦方向ヤーン(10a)、及びボトム・レイヤ(C)の縦方向ヤーン(10b)のヤーン密度と比較して、それぞれ、少なくとも4倍である。
【請求項13】
下記特徴を有する請求項10から12の何れか1項に記載のベース織地:
ベース織地(1)は、一つの幅方向ヤーン(8)方式を有している。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項10から12の何れか1項に記載のベース織地:
ベース織地(1)は、二つの幅方向ヤーン(8)方式を有している。
【請求項15】
下記特徴を有する請求項10から14の何れか1項に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、接続エンドで接続可能な継ぎ目ループを形成すること無しに、接続エンド(4,5)で、それらの進行方向に対して反対方向に方向が転換される。
【請求項16】
下記特徴を有する請求項15に記載のベース織地:
方向が変えられた縦方向ヤーン(7)は、表面レイヤ(A)の中で接続エンド(4,5)から戻る。
【請求項17】
下記特徴を有する請求項15または16に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、継ぎ目ループ・チャネル(13)の上に伸びること無しに、継ぎ目ループ・チャネル(13)のエッジでその進行方向が転換される。
【請求項18】
下記特徴を有する請求項15または16に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、縦方向から見て、継ぎ目ループ・チャネル(13)でその進行方向が転換される。
【請求項19】
下記特徴を有する請求項15または16に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、第一接続エンド(4)で、継ぎ目ループ(12)の中点を越えて伸び、それにより、それらのヤーンは、継ぎ目ループ・チャネル(13)を保護する継ぎ目フラップ(17)を形成し;
表面レイヤ(A)縦方向ヤーン(7)は、継ぎ目ループ(12)の中点の手前で、且つ継ぎ目フラップ(17)の長さとの関係で、第二接続エンド(4)で、その進行方向が転換される。
【請求項20】
下記特徴を有する請求項10から14の何れか1項に記載のベース織地:
表面レイヤ(A)の縦方向ヤーン(7)は、織っている間に、継ぎ目領域の上に伸ばされ;
表面レイヤ(A)の縦方向ヤーン(7)は、織った後に切断され、それにより、継ぎ目領域を開く。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−540786(P2010−540786A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526329(P2010−526329)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050528
【国際公開番号】WO2009/040469
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(508106013)タムフェルト・ピーエムシー・オーワイ (4)
【Fターム(参考)】