説明

継手機構及びそのクリップ

【課題】フレキシブルシートの取り付け・取り外しを容易に行うことができるようにする。
【解決手段】トラフ1からトラフ1の外部側に突出されたトラフ側連結部1aと、トラフ1とカバー11との間に設けられたフレキシブルシート15からトラフ側連結部1aに対向するように形成されたシート側連結部15aとをクリップ20で開放可能に挟持する。また、カバー11からカバー11の外部側に突出されたカバー側連結部11aと、フレキシブルシート15からカバー側連結部11aに対向するように形成されたシート側連結部15bとをクリップ20で開放可能に挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動する装置と固定された装置との連結に用いられる継手機構及びこの継手機構に用いられるクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却灰類等の粉体を搬送する手段として、加振機により振動される振動コンベア等が知られている。振動コンベア等により搬送される焼却灰類等の粉体には有害物質が含まれているおそれがあるため、搬送時に粉体が飛散しないようにする必要がある。
【0003】
特許文献1には、粉体が飛散しないように振動コンベアと非振動装置との間をシールするための接続機構として、振動コンベアまたは非振動装置の端部側外周面に設けた張出部と、この張出部を両側から狭持する弾性部材とからなるラビリンス構造の接続機構が開示されている。この接続機構は、断面が角筒形または円筒形の振動コンベアに適用されるものである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−29342号公報
【0005】
一方、上方が開口した振動コンベアにおいては、振動コンベアの上方に逆U字状のカバーを設けて粉体の飛散を防止している。ここで、カバーは地面に対して固定されているため、振動される振動コンベアと固定されたカバーとの隙間から粉体が飛散するのを防止するために、この隙間をシールするフレキシブルシートが用いられる。フレキシブルシートの取り付けは、振動コンベアとカバーの双方へのボルト固定により行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ボルト固定されたフレキシブルシートにおいては、振動コンベアの稼動時にボルトが緩んで、隙間から粉体が飛散する可能性がある。また、フレキシブルシートの交換や振動コンベア内の清掃等の作業を行う際には、フレキシブルシートを取り外す前のボルトの取り外し作業、及び、フレキシブルシートを取り付けた後のボルトの取り付け作業を行わなければならず、時間と労力を要するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、フレキシブルシートの取り付け・取り外しを容易に行うことが可能な継手機構、及び、この継手機構に使用されるクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の継手機構は、振動を利用して処理を実行する振動処理装置と固定状態に設けられた固定側装置とを振動を吸収しながら連結する継手機構であって、前記振動処理装置及び前記固定側装置からそれぞれ装置外部側に突出された装置側連結部と、前記振動処理装置と前記固定側装置との間に設けられ、前記振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部と、該振動吸収部から前記装置側連結部に対向するように形成された機構側連結部とを有した振動吸収部材と、前記装置側連結部と前記機構側連結部とを開放可能に挟持するクリップと、を有することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、振動処理装置及び固定側装置と振動吸収部材との連結は、振動処理装置及び固定側装置のそれぞれに設けられた装置側連結部と、振動吸収部材の機構側連結部とを対向させてクリップで挟持することにより行うことができる。また、装置側連結部と機構側連結部とを挟持したクリップを開放すれば、装置側連結部と機構側連結部との連結状態が解除されるため、振動処理装置及び固定側装置と振動吸収部材との連結を解除することができる。これにより、従来のように、振動吸収部材を取り外す前のボルトの取り外し作業及び振動吸収部材を取り付けた後のボルトの取り付け作業が不要となり、振動吸収部材の取り付け・取り外しを容易に行うことができる。
【0010】
本発明の継手機構において、前記装置側連結部には、前記機構側連結部に対向する面とは反対側の面に装置側突出部が設けられており、前記クリップには、前記装置側突出部に係合する凹部が形成されていてよい。上記の構成によれば、クリップで装置側連結部と機構側連結部とを挟持したときに、装置側連結部に設けられた装置側突出部がクリップに形成された凹部に係合するため、クリップに付加される振動やクリップ自体の滑動などによりクリップが容易に外れてしまわないようにすることができる。
【0011】
本発明の継手機構において、前記クリップの前記機構側連結部に接触する面には、前記機構側連結部から離間する方向に湾曲し、前記振動吸収部に当接する端部を有する押さえ板が設けられていてよい。上記の構成によれば、押さえ板の湾曲した端部が振動吸収部に当接することで、振動吸収部材の振動吸収部と機構側連結部との角度を緩やかに維持することができるため、振動吸収部が機構側連結部に対して鋭角に折れ曲がることで疲労し、振動吸収部と機構側連結部との境目が破れ易くなるのを防止することができる。また、クリップに押さえ板を設けておくことで、別部材としてクリップと押さえ板とをそれぞれ取り付ける作業を行う場合に比べて、取り付けの作業工程を減少させることができる。
【0012】
本発明のクリップは、振動を利用して処理を実行し、装置外部側に突出された装置側連結部を有する振動処理装置と、固定状態に設けられ、装置外部側に突出された装置側連結部を有する固定側装置とを振動を吸収しながら連結し、前記振動処理装置と前記固定側装置との間に設けられ、前記振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部と、該振動吸収部から前記装置側連結部に対向するように形成された機構側連結部とを有した振動吸収部材を備えた継手機構のクリップであって、前記装置側連結部の前記機構側連結部に対向する面とは反対側の面に設けられた装置側突出部に係合する凹部が形成された第1分体と、前記第1分体とヒンジ結合され、該第1分体との間で前記装置側連結部と前記機構側連結部とを挟持可能な第2分体と、前記第1分体と前記第2分体との間に挟持力を生じさせる弾性体と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、第1分体と第2分体とで装置側連結部と機構側連結部とを挟持する際に、第1分体に形成されている凹部を装置側連結部に設けられた装置側突出部に係合させることで、クリップに付加される振動やクリップ自体の滑動などによりクリップが容易に外れてしまわないようにすることができる。
【0014】
本発明のクリップにおいて、前記第2分体の前記機構側連結部に接触する面には、前記機構側連結部から離間する方向に湾曲し、前記振動吸収部に当接する端部を有する押さえ板が設けられていてよい。上記の構成によれば、第1分体と第2分体とで装置側連結部と機構側連結部とを挟持した際に、第2分体に設けられた押さえ板の湾曲した端部が振動吸収部に当接して、振動吸収部材の振動吸収部と機構側連結部との角度を緩やかに維持するため、振動吸収部が機構側連結部に対して鋭角に折れ曲がることを防止することができて、振動吸収部と機構側連結部との境目を破れ難くすることができる。また、第2分体に押さえ板を設けておくことで、別部材としてクリップと押さえ板とをそれぞれ取り付ける作業を行う場合に比べて、取り付けの作業工程を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1乃至図4を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(振動コンベア10)
本実施の形態にかかる継手機構は、振動処理装置としての振動コンベア10と、固定側装置としてのカバー11とを繋ぎ合わせるものである。側面図である図1及び図1のA−A断面図である図2に示すように、振動処理装置としての振動コンベア10は、断面形状がほぼU字状で長尺のトラフ1と、このトラフ1の下方に設けられた長尺の基体2と、この基体2を、長手方向に略等間隔で配置された複数のバネ3を介して支持する長尺のベース4と、長手方向に等間隔で配置された複数の弾性具5を介してベース4を弾性支持する複数の取付部材6と、ベース4の略中央に装備された加振機7と、から構成されている。バネ3、弾性具5、及び取付部材6は、トラフ1の長手方向に沿って左右対称に装備されている。
【0017】
加振機7は、基体2とともにトラフ1を振動させる。弾性具5はベース4を工場のフロアや大地等の装置固定部8に対して弾性変位可能に支持するものであり、巻きバネやゴム塊等の弾性材によって構成されている。取付部材6は弾性具5を装置固定部8に取り付けるためのものであり、各弾性具5毎に装備されている。
【0018】
(カバー11)
固定側装置としてのカバー11は、図1及び図2に示すように、トラフ1と同様に長尺であり、トラフ1の上方に設けられ、トラフ1の開口を覆うように、断面形状が逆U字状に形成されている。このカバー11には、複数の点検窓16が設けられている。カバー11は、装置固定部8から立設された複数のカバー支持体12により、非振動状態(固定状態)で支持されている。カバー支持体12は、カバー11の長手方向に沿って左右対称に装備されている。
【0019】
(フレキシブルシート15)
振動コンベア10のトラフ1とカバー11との間には、振動吸収部材としてのフレキシブルシート15がカバー11の長手方向全長に亙って設けられ、トラフ1とカバー11との隙間をシールしている。フレキシブルシート15はキャンバス布、ポリエステルなどの布、コーネックス製の布(コーネックスは帝人株式会社の登録商標)、シリコンゴムシート、塩ビシート、ポリシート、クロロプレフォールシートなどのゴムシート等で形成されている。
【0020】
(継手機構)
図2の要部Bを拡大した図3に示すように、トラフ1の上端には、振動コンベア10の外部側に突出した装置側連結部としてのトラフ側連結部1aが設けられている。また、カバー11の下端には、カバー11の外部側に突出した装置側連結部としてのカバー側連結部11aが設けられている。ここで、トラフ側連結部1aとカバー側連結部11aとを総称して装置側連結部1a,11aという。トラフ側連結部1aの下面には装置側突出部としてのトラフ側突出部1bが設けられているとともに、カバー側連結部11aの上面には装置側突出部としてのカバー側突出部11bが設けられている。ここで、トラフ側突出部1bとカバー側突出部11bとを総称して装置側突出部1b,11bという。
【0021】
フレキシブルシート15は、振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部15cと、振動吸収部15cからトラフ側連結部1aに対向するように形成された機構側連結部としてのシート側連結部15aと、振動吸収部15cからカバー側連結部11aに対向するように形成された機構側連結部としてのシート側連結部15bとを有する。
【0022】
シート側連結部15aとトラフ側連結部1aとは、クリップ20により開放可能に挟持されている。また、シート側連結部15bとカバー側連結部11aとは、別のクリップ20により開放可能に挟持されている。これらクリップ20・20は、図1に示すように、トラフ1又はカバー11の長手方向に略等間隔で配置されている。
【0023】
本実施の形態の継手機構は、図3に示すように、装置側連結部1a,11aと、シート側連結部(機構側連結部)15a,15b及び振動吸収部15cを有するフレキシブルシート15と、クリップ20・20とから構成されている。この継手機構は、図1に示すトラフ1とカバー11との間に、カバー11の長手方向全長に亙って設けられている。
【0024】
(クリップ20)
図3に示すように、本実施の形態のクリップ20は、凹部21が形成された第1分体20aと、第1分体20aとヒンジ結合され、第1分体20aとの間で装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとを挟持可能な第2分体20bと、ヒンジ結合における軸20cと、軸20cに巻回されて第1分体20aと第2分体20bとの間に挟持力を生じさせるコイルバネ20dとで構成されている。
【0025】
図面下側において、シート側連結部15aとトラフ側連結部1aとを開放可能に挟持しているクリップ20の第1分体20aは、トラフ1のトラフ側連結部1aに接触しており、第2分体20bは、フレキシブルシート15のシート側連結部15aに接触している。一方、図面上側において、シート側連結部15bとカバー側連結部11aとを開放可能に挟持しているクリップ20の第1分体20aは、カバー11のカバー側連結部11aに接触しており、第2分体20bは、フレキシブルシート15のシート側連結部15bに接触している。
【0026】
図面下側のクリップ20がトラフ側連結部1aとシート側連結部15aとを挟持した際に、第1分体20aに形成された凹部21はトラフ側突出部1bと係合する。同様に、図面上側のクリップ20がカバー側連結部11aとシート側連結部15bとを挟持した際に、第1分体20aに形成された凹部21はカバー側突出部11bと係合する。凹部21,21が装置側突出部1b,11bに係合することにより、クリップ20,20に振動等の外的付加が加わってもクリップ20,20が滑ったりしないため、クリップ20,20が容易に外れてしまうことがない。
【0027】
また、図面下側のクリップ20の第2分体20bのシート側連結部15aに接触する面には、シート側連結部15aから離間する方向、即ち上方に湾曲し、フレキシブルシート15の振動吸収部15cに当接する端部22aを有する押さえ板22が設けられている。また、図面上側のクリップ20の第2分体20bのシート側連結部15bに接触する面には、シート側連結部15bから離間する方向、即ち下方に湾曲し、フレキシブルシート15の振動吸収部15cに当接する端部22aを有する押さえ板22が設けられている。端部22a・22aが振動吸収部15cに当接することにより、振動吸収部15cとシート側連結部15aとの間の角度、及び、振動吸収部15cとシート側連結部15bとの間の角度がそれぞれ緩やか(鈍角)に維持される。これにより、振動吸収部15cがシート側連結部15a,15bに対して鋭角に折れ曲がることで疲労し、振動吸収部15cとシート側連結部15a,15bとの境目が破れ易くなるといったことがない。
【0028】
(フレキシブルシート15の取り付け・取り外しに係る動作)
次に、上記の構成において、図4を用いてフレキシブルシート15の取り付け・取り外しに係る動作について説明する。図4は図3と同じく、図2の要部Bの拡大図である。
【0029】
フレキシブルシート15を取り付ける場合、図4に示すように、まず、振動吸収部15cの両側にシート側連結部15a・15bを形成させたフレキシブルシート15を、シート側連結部15aがトラフ側連結部1aに、シート側連結部15bがカバー側連結部11aにそれぞれ対向するようにして、トラフ1のトラフ側連結部1aとカバー11のカバー側連結部11aとの間に嵌入させる。そして、クリップ20でシート側連結部15aとトラフ側連結部1aとを挟持させる。このとき、トラフ側突出部1bが凹部21に係合するようにする。同様にして別のクリップ20でシート側連結部15bとカバー側連結部11aとを挟持させる。このとき、カバー側突出部11bが凹部21に係合するようにする。このとき、クリップ20の第2分体20bに押さえ板22が設けられており、クリップ20を取り付ける一度の作業工程で押さえ板22の取り付けが完了するため、複数の部材をそれぞれ取り付ける煩雑な作業を行う必要がない。以上により、トラフ1及びカバー11とフレキシブルシート15とが連結される。クリップ20・20は、トラフ1又はカバー11の長手方向に略等間隔で設置される。
【0030】
フレキシブルシート15を取り外す場合、図4に示す動作と逆の動作を行う。即ち、シート側連結部15aとトラフ側連結部1aとを挟持していたクリップ20及びシート側連結部15bとカバー側連結部11aとを挟持していたクリップ20を全て取り外す。これにより、トラフ1及びカバー11とフレキシブルシート15との連結が解除される。その後、フレキシブルシート15をトラフ1のトラフ側連結部1aとカバー11のカバー側連結部11aとの間から抜脱する。
【0031】
このように、トラフ1及びカバー11とフレキシブルシート15との連結は、トラフ1に設けられたトラフ側連結部1aとフレキシブルシート15のシート側連結部15aとを対向させて、クリップ20で挟持するとともに、カバー11に設けられたカバー側連結部11aとフレキシブルシート15のシート側連結部15bとを対向させて、クリップ20で挟持することにより行うことができる。また、トラフ側連結部1aとシート側連結部15aとを挟持したクリップ20及びカバー側連結部11aとシート側連結部15bとを挟持したクリップ20を全て取り外せば、トラフ側連結部1aとシート側連結部15aとの連結状態及びカバー側連結部11aとシート側連結部15bとの連結状態がそれぞれ解除されるため、トラフ1及びカバー11とフレキシブルシート15との連結を解除することができる。これにより、従来のように、フレキシブルシート15を取り外す前のボルトの取り外し作業及びフレキシブルシート15を取り付けた後のボルトの取り付け作業が不要となり、フレキシブルシート15の取り付け・取り外しを容易に行うことができる。
【0032】
(振動コンベア10の稼動中における動作)
次に、振動コンベア10の稼動中における継手機構及びそのクリップの動作について説明する。
【0033】
図1において、振動コンベア10を稼動させると、加振機7がベース4を搬送方向長手方向(図1左右方向)に反復振動させる。これによってトラフ1の振動方向が斜め上下方向に変換され、かつ、増幅されることでトラフ1が基体2とともに激しく振動される。トラフ1上に載置された被搬送物は、斜め上方に飛ばされながら搬送方向下手側(図1の右方)に順次移動されて行く。このとき、トラフ1を覆うカバー11と、トラフ1とカバー11との隙間をシールするフレキシブルシート15とにより、被搬送物のトラフ1外部への飛散が防止される。そして、被搬送物はトラフ1の先端から排出される。
【0034】
図3において、振動コンベア10の稼動により、トラフ1は上下方向に激しく振動する。一方、カバー11は図1、図2に示すカバー支持体12により固定状態で支持されている。図3において、トラフ1とカバー11との間に設けられたフレキシブルシート15の振動吸収部15cは、上下方向に伸縮を繰り返す。トラフ1の振動及び振動吸収部15cの伸縮により、図面下側のクリップ20及び図面上側のクリップ20は振動されるとともに、クリップ20・20には図面左方、即ちクリップ20・20が外れる方向への力が働く。しかし、クリップ20,20の第1分体20a,20aに形成された凹部21,21が装置側突出部1b,11bに係合しているため、クリップ20・20が左方に滑って外れてしまうことがない。
【0035】
また、上下方向に伸縮を繰り返す振動吸収部15cとクリップ20,20で挟持されるシート側連結部15a,15bとの境目には折り曲げによるストレスが生じる。しかし、クリップ20,20の第2分体20b,20bに設けられた押さえ板22・22の湾曲した端部22a・22aが振動吸収部15cに当接して、振動吸収部15cとシート側連結部15a・15bとの角度を緩やか(鈍角)に維持しているため、振動吸収部15cとシート側連結部15a,15bとの境目に掛かるストレスが低減されている。これにより、境目が容易に破れてしまうことがない。
【0036】
(本実施の形態の概要)
以上のように、本実施の形態の継手機構は、振動を利用して処理を実行する振動コンベア10と固定状態に設けられたカバー11とを振動を吸収しながら連結する継手機構であって、振動コンベア10及びカバー11からそれぞれ装置外部側に突出された装置側連結部1a,11aと、振動コンベア10とカバー11との間に設けられ、振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部15cと、振動吸収部15cから装置側連結部1a,11aに対向するように形成されたシート側連結部(機構側連結部)15a,15bとを有したフレキシブルシート15と、装置側連結部1a・11aとシート側連結部15a・15bとを開放可能に挟持するクリップ20・20と、を有する構成にされている。
【0037】
上記の構成によれば、振動コンベア10及びカバー11とフレキシブルシート15との連結は、振動コンベア10及びカバー11のそれぞれに設けられた装置側連結部1a,11aと、フレキシブルシート15のシート側連結部15a,15bとを対向させてクリップ20,20で挟持することにより行うことができる。また、装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとを挟持したクリップ20,20を開放すれば、装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとの連結状態が解除されるため、振動コンベア10及びカバー11とフレキシブルシート15との連結を解除することができる。これにより、従来のように、フレキシブルシート15を取り外す前のボルトの取り外し作業及びフレキシブルシート15を取り付けた後のボルトの取り付け作業が不要となり、フレキシブルシート15の取り付け・取り外しを容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施の形態の継手機構において、装置側連結部1a,11aには、シート側連結部15a,15bに対向する面とは反対側の面に装置側突出部1b,11bが設けられており、クリップ20,20には、装置側突出部1b,11bに係合する凹部21,21が形成された構成にされている。上記の構成によれば、クリップ20,20で装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとを挟持したときに、装置側連結部1a,11aに設けられた装置側突出部1b,11bがクリップ20,20に設けられた凹部21,21に係合するため、クリップ20,20に付加される振動やクリップ20,20自体の滑動などによりクリップ20,20が容易に外れてしまわないようにすることができる。
【0039】
また、本実施の形態の継手機構において、クリップ20,20のシート側連結部15a,15bに接触する面には、シート側連結部15a,15bから離間する方向に湾曲し、振動吸収部15cに当接する端部22a,22aを有する押さえ板22,22が設けられた構成にされている。上記の構成によれば、押さえ板22・22の湾曲した端部22a・22aが振動吸収部15cに当接することで、フレキシブルシート15の振動吸収部15cとシート側連結部15a,15bとの角度を緩やか(鈍角)に維持することができるため、振動吸収部15cがシート側連結部15a,15bに対して鋭角に折れ曲がることで疲労し、振動吸収部15cとシート側連結部15a,15bとの境目が破れ易くなるのを防止することができる。また、クリップ20に押さえ板22を設けておくことで、別部材としてクリップ20と押さえ板22とをそれぞれ取り付ける作業を行う場合に比べて、取り付けの作業工程を減少させることができる。
【0040】
また、本実施の形態のクリップ20,20は、振動を利用して処理を実行し、装置外部側に突出されたトラフ側連結部1aを有する振動コンベア10と、固定状態に設けられ、装置外部側に突出されたカバー側連結部11aを有するカバー11とを振動を吸収しながら連結し、振動コンベア10とカバー11との間に設けられ、振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部15cと、振動吸収部15cから装置側連結部1a,11aに対向するように形成されたシート側連結部(機構側連結部)15a,15bとを有したフレキシブルシート15を備えた継手機構のクリップ20,20であって、装置側連結部1a,11aのシート側連結部15a,15bに対向する面とは反対側の面に設けられた装置側突出部1b,11bに係合する凹部21,21が形成された第1分体20a,20aと、第1分体20a,20aとヒンジ結合され、第1分体20a,20aとの間で装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとを挟持可能な第2分体20b,20bと、第1分体20a,20aと第2分体20b,20bとの間に挟持力を生じさせるコイルバネ20dと、を備えた構成にされている。
【0041】
上記の構成によれば、第1分体20a,20aと第2分体20b,20bとで装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとを挟持する際に、第1分体20a,20aに形成されている凹部21,21を装置側連結部1a,11aに設けられた装置側突出部1b,11bに係合させることで、クリップ20,20に付加される振動やクリップ20,20自体の滑動などによりクリップ20,20が容易に外れてしまわないようにすることができる。
【0042】
また、本実施の形態のクリップ20,20において、第2分体20b,20bのシート側連結部15a,15bに接触する面には、シート側連結部15a,15bから離間する方向に湾曲し、振動吸収部15cに当接する端部22a,22aを有する押さえ板22,22が設けられた構成にされている。上記の構成によれば、第1分体20a,20aと第2分体20b,20bとで装置側連結部1a,11aとシート側連結部15a,15bとを挟持した際に、第2分体20b,20bに設けられた押さえ板22,22の湾曲した端部22a,22aが振動吸収部15cに当接して、フレキシブルシート15の振動吸収部15cとシート側連結部15a,15bとの角度を緩やか(鈍角)に維持するため、振動吸収部15cがシート側連結部15a,15bに対して鋭角に折れ曲がることを防止することができて、振動吸収部15cとシート側連結部15a,15bとの境目を破れ難くすることができる。また、第2分体20bに押さえ板22を設けておくことで、別部材としてクリップ20と押さえ板22とをそれぞれ取り付ける作業を行う場合に比べて、取り付けの作業工程を減少させることができる。
【0043】
(本実施の形態の変形例)
また、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。即ち、本実施の形態における継手機構及びクリップ20は振動コンベア10に適用される構成としたが、振動篩、乾燥機等に適用されるものであっても良い。
【0044】
また、装置側連結部1a,11aにそれぞれ設けられた装置側突出部1b,11bは、各1個の構成に限定されるものではなく、突出部が直列、並列或いはマトリクス状に複数設けられた構成であってもよい。
【0045】
また、クリップ20の第2分体20bと押さえ板22とを別体としたが、両者は一体となっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】振動コンベア及びカバーを示した側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図2の別の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0047】
1 トラフ
1a トラフ側連結部(装置側連結部)
10 振動コンベア
11 カバー
11a カバー側連結部(装置側連結部)
15 フレキシブルシート
15a,15b シート側連結部(機構側連結部)
15c 振動吸収部
20 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を利用して処理を実行する振動処理装置と固定状態に設けられた固定側装置とを振動を吸収しながら連結する継手機構であって、
前記振動処理装置及び前記固定側装置からそれぞれ装置外部側に突出された装置側連結部と、
前記振動処理装置と前記固定側装置との間に設けられ、前記振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部と、該振動吸収部から前記装置側連結部に対向するように形成された機構側連結部とを有した振動吸収部材と、
前記装置側連結部と前記機構側連結部とを開放可能に挟持するクリップと、
を有することを特徴とする継手機構。
【請求項2】
前記装置側連結部には、前記機構側連結部に対向する面とは反対側の面に装置側突出部が設けられており、
前記クリップには、前記装置側突出部に係合する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の継手機構。
【請求項3】
前記クリップの前記機構側連結部に接触する面には、前記機構側連結部から離間する方向に湾曲し、前記振動吸収部に当接する端部を有する押さえ板が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の継手機構。
【請求項4】
振動を利用して処理を実行し、装置外部側に突出された装置側連結部を有する振動処理装置と、
固定状態に設けられ、装置外部側に突出された装置側連結部を有する固定側装置とを振動を吸収しながら連結し、
前記振動処理装置と前記固定側装置との間に設けられ、前記振動を吸収するように弾性を有した振動吸収部と、該振動吸収部から前記装置側連結部に対向するように形成された機構側連結部とを有した振動吸収部材を備えた継手機構のクリップであって、
前記装置側連結部の前記機構側連結部に対向する面とは反対側の面に設けられた装置側突出部に係合する凹部が形成された第1分体と、
前記第1分体とヒンジ結合され、該第1分体との間で前記装置側連結部と前記機構側連結部とを挟持可能な第2分体と、
前記第1分体と前記第2分体との間に挟持力を生じさせる弾性体と、
を備えたことを特徴とするクリップ。
【請求項5】
前記第2分体の前記機構側連結部に接触する面には、前記機構側連結部から離間する方向に湾曲し、前記振動吸収部に当接する端部を有する押さえ板が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−70014(P2007−70014A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256742(P2005−256742)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】