説明

継手装置

【課題】連結部材と被連結部材との軸線が略平行してズレている場合に対応することができる継手装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、連結部材と被連結部材とを連結する継手装置であって、前記連結部材と前記被連結部材とが連結する連結方向に開口する挿通孔を有し、前記連結部材が接続される収容体と、前記収容体内を揺動できると共に前記収容体内を前記連結方向に対して略直交する方向に移動できるように収容され、前記被連結部材が接続される可動体と、が設けられ、前記可動体が前記収容体内を揺動したときに前記可動体の揺動を戻すように付勢して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結部材と被連結部材とを連結する継手装置に関するものである。特に、連結部材と被連結部材との軸が同軸でない場合に用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来から連結部材と被連結部材とを連結するために継手装置が用いられている。継手装置の中には連結部材と被連結部材との間の軸のズレを吸収した上で連結できるように構成されているものがある。軸のズレを吸収することができる代表的な継手装置に、球体を有する関節軸が設けられたフローティングジョイントといわれるものがある(例えば、特許文献1参照)。フローティングジョイントは、主にケーシングと、ケーシング内の球受けに収められる球体を有する関節軸と、から構成されている。
【0003】
ここで、フローティングジョイントが用いられた図5に示す装置を参照して、フローティングジョイントの作用について説明する。図5は、任意の製品を製造するときに使用される組み立て治具装置の一例を示す図である。治具装置100は、固定基台101と、エアーシリンダー102と、フローティングジョイント103と、押込み部材104と、取付部材105とを有している。固定基台101は、垂直板と水平板とによってL字状に形成されている。固定基台101の垂直板には、エアーシリンダー102が固定されている。
【0004】
エアーシリンダー102は、シリンダー102aと、ピストンロッド102bとを有している。エアーシリンダー102は、ピストンロッド102bが垂直下方向に駆動するように垂直方向に沿って配置されている。エアーシリンダー102のピストンロッド102bの先端には、フローティングジョイント103が接続されている。
フローティングジョイント103は、後述するようにケーシングと、関節軸とを有している。ケーシングと関節軸との間は、角度を可変できるように構成されている。フローティングジョイント103の先端には、押込み部材104が接続されている。このように、フローティングジョイント103は、エアーシリンダー102のピストンロッド102bと、押込み部材104とを連結する継手装置として機能する。
【0005】
押込み部材104の下側であって、固定基台101の垂直板には、取付部材105が固定されている。取付部材105は、円弧状に折り曲げて成形された載置部105aと、固定基台101に取り付けられる取付部105bとを有している。図5に示す取付部材105の載置部105aには、任意の製品の中間部品を構成する円筒体106が垂直方向に沿って載置されている。円筒体106は、例えば上側開口をテーパ状に形成されている。
ここで、図5に示す治具装置100は、円筒体106内に予め定められた部品(以下、圧入部品(図示しない))を圧入することで製品の中間部品が完成するものとする。
【0006】
次に、図6に示す図を参照して、円筒体106内に圧入部品を圧入するときのフローティングジョイントの作用について説明する。図6(a)は、圧入部品を圧入する前の状態を示す図である。図6(b)は、圧入部品を圧入している途中の状態を示す図である。
図6に示すフローティングジョイント103は、ケーシング103aと、関節軸103bと、を有している。ケーシング103aは、ネジ部を介してピストンロッド102bを接続している。また、ケーシング103aは、関節軸103bの先端に形成された球体を回転自在に収容することができる空間が形成されている。関節軸103bは、球体の反対側の端部にネジ部を介して押込み部材104を接続している。このように構成されたフローティングジョイント103の関節軸103bは、ケーシング103aに対して球体を中心にして、所定角度α°(例えば、5°)の範囲で可変される。
【0007】
次に、エアーシリンダー102は、押込み部材104を介して、図示しない圧入部材を円筒体106内に圧入するために、ピストンロッド102bを下方に駆動させる。ここで、図6(a)に示す円筒体106は、円筒体106の中心軸とピストンロッド102bの中心軸とがズレて配置されている。これは、円筒体106を製造したときの寸法誤差や作業者が円筒体106を載置部105aに載置したときの取り付け誤差等によるものである。次に、エアーシリンダー102が、ピストンロッド102b、すなわち押込み部材104をさらに下方に移動させる。上述したように、押込み部材104と円筒体106とは同軸ではないため、押込み部材104の先端は、図6(a)に示すように、円筒体106の片側のテーパに当接してしまう。
【0008】
しかしながら、押込み部材104はフローティングジョイント103と接続されていることから、フローティングジョイント103の関節軸103bの球体を中心として回転することができる。したがって、エアーシリンダー102が押込み部材104をさらに下方に移動させることで、図6(b)に示すように、押込み部材104は、円筒体106のテーパに沿って、円筒体106の中心軸側に移動する。すなわち、押込み部材104の先端を、円筒体106内に挿入することができる。したがって、押込み部材104は、圧入部材を円筒体106内に圧入することができる。
【0009】
このように、フローティングジョイント103を使用することで、ピストンロッド102bと押込み部材104との軸がズレている場合であっても、両者を連結することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平2−176207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、例えば図6(b)に示す状態から、さらに、圧入部材を円筒体106内に圧入するような場合を想定する。上述したフローティングジョイント103は、連結する部材同士の軸のズレを、関節軸103bの球体を中心として角度を変えることで吸収している。したがって、エアーシリンダー102が押込み部材104を下方向に移動すると、円筒体106自体は垂直方向に沿って載置されていることから、押込み部材104の先端が円筒体106内に接触してしまう。したがって、押込み部材104をさらに下方向に移動させると、円筒体106が破損してしまうおそれがある。すなわち、上述したフローティングジョイント103では、連結する連結部材と被連結部材との軸がズレている場合であっても、両者の軸線が略平行に配設されているような場合では対応することができないという問題がある。
【0012】
本発明は上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、連結部材と被連結部材との軸線が略平行してズレている場合に対応することができる継手装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の継手装置は、連結部材と被連結部材とを連結する継手装置であって、前記連結部材と前記被連結部材とが連結する連結方向に開口する挿通孔を有し、前記連結部材が接続される収容体と、前記収容体内を揺動できると共に前記収容体内を前記連結方向に対して略直交する方向に移動できるように収容され、前記被連結部材が接続される可動体と、が設けられ、前記可動体が前記収容体内を揺動したときに前記可動体の揺動を戻すように付勢して構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の継手装置によれば、連結部材と被連結部材との軸線が略平行してズレている場合であっても、両者を連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の継手装置1の構成について、図1、図2及び図3を参照して説明する。以下の説明において、図1及び図2に示される矢印方向を連結方向といい、連結方向に直交する方向を直交方向というものとする。
図1は、継手装置1の全体の構成を示す斜視図である。図2は、継手装置1を分解した斜視図である。図3は、継手装置1の動作について説明するための継手装置1の一部断面を示す図である。継手装置1は、第一の部材(連結部材)と第二の部材(被連結部材)とを連結することができるように構成されている。
【0016】
継手装置1は、連結部材が接続される収容体10と、被連結部材が接続される可動体20とを有している。
まず、収容体10について説明する。収容体10は、第一収容体構成部材11と、第二収容体構成部材12と、スペーサ13と、ナット14とを含んで構成されている。
第一収容体構成部材11は、連結方向に直交する矩形板状に形成されている。第一収容体構成部材11の上部(上面)には、連結部材を接続するために、ネジを形成した軸部11aが連結方向に沿って、一体的に設けられている。また、第一収容体構成部材11の下部には、連結方向に直交する平面が形成されている。さらに、第一収容体構成部材11の下部(下面)の四隅には、後述する第二収容体構成部材12に形成された透過孔12bの位置に対応して、図示しない雌ネジ部が形成されている。
【0017】
第二収容体構成部材12は、連結方向に直交する矩形板状に形成されている。第二収容体構成部材12の上面は、連結方向に直交する平面が形成されている。第二収容体構成部材12の中央には、連結方向に開口する挿通孔12aが穿設されている。挿通孔12aは、円形状に形成されている。挿通孔12aの大きさは、後述する可動体20に設けられた軸部20aが、挿通孔12aに挿通された状態で、直交方向に移動できるような大きさである。また、第二収容体構成部材12の四隅には、後述するスペーサ13の雄ネジ部が挿通する透過孔12bが形成されている。
【0018】
スペーサ13は、両端に雄ネジ部を有して軸状に形成されている。
ここで、スペーサ13の上側に有する雄ネジ部を第一収容体構成部材11の下面に形成された雌ネジ部に螺合する。また、スペーサ13の下側に有する雄ネジ部を第二収容体構成部材12に形成された透過孔12bに挿通し、ナット14で固定する。このように構成することにより、第一収容体構成部材11と、第二収容体構成部材12とを、所定の間隔に保持することができ、収容体10には、第一収容体構成部材11と第二収容体構成部材12とで囲まれる空間が形成される。
【0019】
次に、可動体20について説明する。
可動体20は、連結方向に直交する円形板状に形成されている。可動体20の上部には、収容体10の第一収容体構成部材11の下面に形成された平面と対峙する平面が形成されている。また、可動体20の下面は、収容体10の第二収容体構成部材12の上面に形成された平面と対峙する平面が形成されている。さらに、可動体20の下部(下面)には、被連結部材を接続するために、ネジを形成した軸部20aが連結方向に沿って、一体的に設けられている。
【0020】
ここで、可動体20は、収容体10内、すなわち第一収容体構成部材11と第二収容体構成部材12とで囲まれる空間内に収容できる大きさに形成されている。より詳細には、可動体20は、収容体10内を連結方向に対して揺動(例えば、所定角度5°の範囲)できると共に、収容体10内を連結方向及び直交方向に移動できる大きさに形成されている。また、可動体20は、例えばウレタンゴム等の弾性を有する材質により構成されている。したがって、可動体20が収容体10内で揺動し、可動体20の弾性部分が収容体10内に当接したとき、弾性部分は、可動体20の揺動を戻すように作用する。
【0021】
可動体20は、家具用脚等に用いられるアジャスターボルトのうち床面との接地部(図2に示す鎖線20c)にウレタンゴム等を被覆することにより製造することができる。また、可動体20は、単にボルトの頭部にウレタンゴム等を被覆することにより製造することができる。なお、可動体20の製造は、上述した場合に限られない。また、可動体20のうち、少なくとも収容体10に当接する部分を弾性を有する材質にして構成してもよい。
【0022】
軸部20aには、ナット23と、ナット24とが螺合される。ナット23は、図3に示すように、可動体20が収容体10内に収容されている状態で収容体10から、僅かに離間した位置に螺合されている。軸部20aに螺合されるナット23の位置は、可動体20が収容体10内を移動するときの移動量に応じて調整することができる。すなわち、ナット23と収容体10との間の離間している距離が近接している場合には、可動体20の収容体10内で揺動できる範囲が規制され、可動体20が直交方向に一度に移動する移動量を制限することができる。
ナット24は、図3に示すように、軸部20aに接続された被連結部材2を固定するため、被連結部材2に当接するように軸部20aに螺合されている。
【0023】
上述したような継手装置1を組み立てるときは、まず、収容体10の第二収容体構成部材12の挿通孔12aに可動体20の軸部20aを挿通する。次に、スペーサ13の両端をそれぞれ第一収容体構成部材11と、第二収容体構成部材12とに固定することにより継手装置1を組み立てることができる。また、継手装置1を用いて連結部材と被連結部材とを連結しようとするときは、収容体10の第一収容体構成部材11に設けられた軸部11aに連結部材を接続し、可動体20の軸部20aに被連結部材を接続する。このように継手装置1は、簡単な構造で連結部材と被連結部材とを連結することができる。なお、継手装置1の各構成要素は上述したような形状に限られない。例えば、収容体10は、収容体10内に可動体20を収容できるように構成してあればどのような構成であってもよい。
【0024】
次に、継手装置1の動作について、図3を参照して説明する。図3(a)、(b)、(c)それぞれ上側に示される図面は、継手装置1の平面図である。また、下側に示される図面は、継手装置1の一部断面を示す図である。図3に示す継手装置1には、連結部材として図示しないエアーシリンダーのピストンロッドが収容体10に接続されているものとする。また、被連結部材として押込み部材2が可動体20に接続されている。また、継手装置1の下側に、任意の製品の中間部品を構成する円筒体30が、垂直方向に沿って配置されている。円筒体30は、上側開口をテーパ状に形成している。ここでは、円筒体30内に図示しない圧入部品を圧入することで中間部品を完成させるものとする。
【0025】
まず、エアーシリンダーは、押込み部材2を介して、図示しない圧入部材を円筒体30内に圧入するために、ピストンロッド、すなわち押込み部材2を下方に駆動させる。ここで、図3(a)に示す円筒体30は、円筒体30の中心軸とピストンロッドに接続する軸部11aの中心軸とがズレて配置されている。すると、押込み部材2の先端は、図3(b)に示すように、円筒体30の片側のテーパに当接する。この当接により、押込み部材2と一体的に構成されている可動体20は、収容体10内を図3(b)に示すように矢印A方向に揺動する。
【0026】
このとき、可動体20の上面の平面のうち揺動する方向(矢印A方向)とは反対側の部分が、収容体10の第一収容体構成部材11の下面の平面と当接する。また、可動体20の下面の平面のうち揺動する方向(矢印A方向)の同じ側の部分が、収容体10の第二収容体構成部材12の上面の平面と当接する。ここで、上述したように可動体20は、弾性を有する材質により構成されている。したがって、可動体20が収容体10内で揺動し、可動体20の弾性部分が収容体10内に当接すると、弾性部分は、可動体20の揺動を図3(b)に示す矢印B方向に戻すように作用する。弾性部分が矢印B方向に揺動を戻すときに、押込み部材2の先端は、円筒体30の片側のテーパに当接しているため、当接しているテーパとは反対側、すなわち直交方向である矢印A´方向の移動を伴う。
【0027】
さらに、エアーシリンダーが、押込み部材2を下方に移動させても、押込み部材2の先端が円筒体30の片側のテーパに当接する場合、可動体20の弾性部分が上述したような作用を繰り返し、押込み部材2は直交方向に移動する。最終的には、図3(c)に示すように、押込み部材2の中心軸と円筒体30の中心軸とを一致させることができる。したがって、この状態でエアーシリンダーが押込み部材2を下方に移動させることで、押込み部材2の先端を、円筒体30内に挿入することができるため、押込み部材2は、圧入部材を円筒体30内に圧入することができる。また、エアーシリンダーが押込み部材2をさらに下方に移動させたとしても、押込み部材2の中心軸と円筒体30の中心軸とは一致しているため、押込む部材2の先端が円筒体30内に接触することによる円筒体30の破損は生じない。
【0028】
このように継手装置1は、連結部材としてのピストンロッドと、被連結部材としての押込み部材2との軸線が略平行してズレている場合であっても、両者を連結することができる。なお、上述した実施形態では、可動体20のうち、少なくとも収容体10に当接する部分を弾性を有する材質にして構成する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、収容体10のうち、少なくとも可動体20に当接する部分を弾性を有する材質にして構成し、可動体20を弾性を有する材質若しくは弾性を有しない材質により構成してもよい。
【0029】
また、押込み部材2の先端が、圧入部材を円筒体30内に圧入するとき、ピストンロッドの連結方向への移動により、収容体10の第一収容体構成部材11の下面と、可動体20の上面とは密接する。ここで、上述したように、第一収容体構成部材11の下面と可動体20の上面とは平面で形成されている。したがって、収容体10が連結方向に移動する駆動力を可動体20に効率的に伝達することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る他の継手装置31について図4を参照して説明する。
図4は、継手装置31の一部断面を示す図である。ここで、上述した継手装置1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係る継手装置31の収容体40は、可動体20の周りを囲むように形成されている。ここで、収容体40は、収容体構成部材41と、第一被覆部材42と、第二被覆部材43とを含んで構成されている。
【0031】
収容体構成部材41は、連結方向に直交する円形板状に形成されている。収容体構成部材41の上部(上面)には、連結部材を接続するために、ネジを形成した軸部41aが連結方向に沿って、一体的に設けられている。また、収容体構成部材41の下部には、連結方向に直交する平面が形成されている。さらに、収容体構成部材41の下部(下面)には、後述する付勢部材が収容される複数の収容孔41bが形成されている。
【0032】
第一被覆部材42は、収容体構成部材41を覆うように、筒状に形成されている。第一被覆部材42には、一方に収容体構成部材41が入り込む開口部が形成されている。また、開口部の反対側には、収容体構成部材41に設けられた軸部41aが挿通する挿通孔が形成されている。また、開口部の開口縁であって、その外周には雄ネジ部42aが形成されている。
【0033】
第二被覆部材43は、第一被覆部材42と同様に筒状に形成されている。第二被覆部材43は、一方に可動体20を収容することができる開口部が形成されている。また、開口部の反対側には、連結方向に直交する平面が形成されている。その平面の中央には、挿通孔43aが穿設されている。挿通孔43aは、円形状に形成されている。挿通孔43aの大きさは、可動体20に設けられた軸部20aが、挿通孔43aに挿通された状態で、直交方向に移動できるような大きさである。また、開口部の開口縁であって、その内周には雌ネジ部43bが形成されている。
【0034】
ここで、第一被覆部材42に収容体構成部材41と可動体20とを収容した状態で、第一被覆部材42の雄ネジ部42aに第二被覆部材43の雌ネジ部43bを螺合する。すると、収容体40には、収容体構成部材41と、第一被覆部材42と、第二被覆部材43とで囲まれる空間が形成される。このようにして、収容体40は、可動体20を連結方向に対して揺動できると共に、連結方向及び直交方向に移動できるように収容することができる。
【0035】
収容体40は、可動体20の周りを囲むように形成されているので、継手装置31の見栄えを向上させることができる。また、第二被覆部材43を第一被覆部材42に取り付けるだけで収容体40を構成することができるので継手装置31の組み立てを容易に行うことができる。なお、収容体40は上述したような構成に限られない。例えば、第一被覆部材42と、第二被覆部材43との間の取り付けは、ネジによる取り付けではなく接着、嵌め合い等、これらの組合せにより取り付けてもよい。また、第二被覆部材43を直接、収容体構成部材41に取り付けるようにし、第一被覆部材42を省略して構成してもよい。
【0036】
本実施形態にかかる継手装置31は、収容体40と可動体20との間に付勢部材44を設けている。さらに、継手装置31は、付勢部材44と、可動体20との間に球体45を設けている。ここで、付勢部材44は、例えばコイルスプリングにより構成されている。付勢部材44は、収容体構成部材41に形成された収容孔41bに収容される大きさに形成されている。このように、収容体40と可動体20との間に付勢部材44を設けることで可動体20が収容体40内で揺動したときに、付勢部材44が可動体20の揺動を戻すように作用する。付勢部材44を用いることにより、可動体20が収容体40内で揺動したときにより確実に可動体20の揺動を戻すように作用させることができる。なお、付勢部材44を用いた場合は、可動体20の材質を弾性を有しない材質にしてもよい。
【0037】
また、球体45は、可動体20のプランジャーとして機能する。すなわち、付勢部材44が可動体20の揺動を戻すように作用し可動体20が直交方向の移動を伴うとき、球体45が回転することにより、可動体20の上面の平面と付勢部材44との間に生じる摩擦を減少させることができる。
【0038】
なお、付勢部材44を設ける位置は、可動体20が収容体40内で揺動したときにすぐ可動体20の揺動を戻せるように、収容体構成部材41の下面の中央側より、外側であることが好ましい。また、付勢部材44を設ける数は、可動体20がどのような角度で揺動したときでも、可動体20の揺動を戻せるように、収容体構成部材41の周方向に沿って均等に複数(例えば、3〜8)設けることが好ましい。
【0039】
このように、本発明の継手装置によれば、連結部材と被連結部材との軸線が略平行してズレている場合であっても、連結することができる。
【0040】
なお、上述した説明では、継手装置を用いて円筒体に圧入部品を圧入して、中間部品を製造する場合について説明したが、この場合に限られるものではない。例えば、円筒体を加熱し、円筒体内に圧入する部材を樹脂成形用のペレット等にすることにより、継手装置を、円筒体の断面形状の成形品を成形する成形装置に用いてもよい。この場合、円筒部材と押込み部材との間の軸合わせをする必要がないので、作業者が成形装置を用いて製品等を成形するときの作業性を向上させることができる。特に、エアーシリンダー等のアクチュエータにより、一度に大量の圧入部品を圧入して中間部品を製造したり、一度に大量の成形品を成形したりするために複数の円筒体と複数の押込み部材とを用いる場合、その数に応じて行う正確な位置合わせの作業が低減される。
【0041】
なお、円筒体や押込み部材の断面は、円形に限られるものではなく、中間部品又は成形品の形状に合わせて、適宜変更することができる。例えば、円筒体や押込み部材の断面を多角形状、楕円形、特殊な形状にしてもよい。
【0042】
また、上述した説明では、継手装置を中間部品の製造装置や成形装置等に用いる場合について説明したが、この場合に限られるものではなく、単に連結部材と被連結部材とを連結する継手装置として、使用することができる。例えば、軸線が平行してズレている手摺同士を連結する場合等にも用いることができる。
【0043】
また、上述した説明では、継手装置を垂直に構成する場合について説明したが、この場合に限られるものではない。連結部材と被連結部材とが配置される角度に応じて、継手装置を水平状態又は斜めの状態にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係る継手装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る継手装置を分解した斜視図である。
【図3】本実施形態に係る継手装置の動作について説明するための一部断面を示す図である。
【図4】本実施形態に係る他の継手装置の一部断面を示す図である。
【図5】従来の継手装置が用いられた装置の構成を示す斜視図である。
【図6】従来の継手装置の動作について説明するための一部断面を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 継手装置
2 被連結部材
10 収容体
11 第一収容体構成部材
12 第二収容体構成部材
13 スペーサ
20 可動体
31 継手装置
40 収容体
41 収容体構成部材
42 第一被覆部材
43 第二被覆部材
44 付勢部材
45 球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部材と被連結部材とを連結する継手装置であって、
前記連結部材と前記被連結部材とが連結する連結方向に開口する挿通孔を有し、前記連結部材が接続される収容体と、
前記収容体内を揺動できると共に前記収容体内を前記連結方向に対して略直交する方向に移動できるように収容され、前記被連結部材が接続される可動体と、が設けられ、
前記可動体が前記収容体内を揺動したときに前記可動体の揺動を戻すように付勢して構成されていることを特徴とする継手装置。
【請求項2】
前記可動体は、少なくとも前記収容体と当接する部分を弾性を有する材質にして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の継手装置。
【請求項3】
前記可動体と前記収容体との間に付勢部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の継手装置。
【請求項4】
前記付勢部材と前記可動体との間に球体を設けたことを特徴とする請求項3に記載の継手装置。
【請求項5】
前記収容体内には、前記連結方向に対して略直交する平面が形成され、
前記可動体には、前記平面に対峙する平面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の継手装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−185844(P2009−185844A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24404(P2008−24404)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(507309699)
【Fターム(参考)】