継手部の離脱防止構造及びそれに用いられる穿孔装置
【課題】前記両筒部の被係合部に装着される係合部材を主体とする合理的な改造により、両筒部の流路方向での相対離脱移動を阻止する機能を良好に発揮させつつ、施工現場での作業工数の削減と装着操作の簡便化を図る。
【解決手段】流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部1,2の嵌合接続部分における特定部位に、筒径方向内方側に開口する状態で互いに筒径方向で連通する被係合部19,20が形成され、前記両被係合部19,20にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材21が筒径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記両筒部1,2の被係合部19,20に装着された係合部材21の筒径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eが設けられている。
【解決手段】流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部1,2の嵌合接続部分における特定部位に、筒径方向内方側に開口する状態で互いに筒径方向で連通する被係合部19,20が形成され、前記両被係合部19,20にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材21が筒径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記両筒部1,2の被係合部19,20に装着された係合部材21の筒径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水道管等の流体管同士又は流体管と仕切弁等の流体機器とが直接嵌合接続されている継手部、或いは、隣接配置される両流体管又は流体管と流体機器とが管継ぎ輪を介して接続されている継手部などのように、流路を構成する両筒部を密封状態で嵌合接続してある継手部の離脱防止構造、及びそれに用いられる穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の継手部の離脱防止構造では、嵌合接続された両筒部のうち、一方の小径側筒部の外周面と他方の大径側筒部の内周面との対向面間を密封する密封手段として種々の構造が提案されているが、例えば、特許文献1に示す密封手段の場合では、小径側筒部の一例である挿口管部の外周面の先端側に漏れ止め用のヤーンを巻回するとともに、大径側筒部の一例である受口管部の大径内周面には径方向外方に窪む抜止め用の環状溝を形成して、挿口管部の外周面と受口管部の大径内周面との対向面間に鉛を流し込むことにより、対向面間を密封し、両管部を接続状態で抜止め保持している。
【0003】
また、特許文献2に示す場合では、小径側筒部の一例である挿口管部の外周面と大径側筒部の一例である受口管部の大径内周面との対向面間に円環状の弾性シール材を装着し、この弾性シール材を管軸芯方向から圧縮可能な押圧部を備えた押輪を挿口管部に外装するとともに、前記受口管部の外周面の端部に形成したフランジ部と押輪とを管軸芯方向で引寄せ固定するボルト・ナットを設けて、前記ボルト・ナットによる締付け固定操作に伴う受口管部と押輪との相対近接移動により、弾性シール材を密封状態に圧縮すると同時に、両管部を接続状態で抜止め保持している。
【0004】
そして、上述のような密封手段だけでは、地震や不同沈下等に起因する大きな引抜力には対抗できないため、継手部の離脱防止構造における離脱阻止機能の向上を図ることが要望されており、その改善方法として、従来では、次の離脱防止方法が提案されている。
(1)特許文献1〜3に示す管継手部の離脱防止方法では、嵌合接続された両筒部の嵌合接続部分における特定部位に、径方向内方側に開口する状態で互いに径方向で連通する被係合部である係合孔が形成され、そのうち、少なくとも大径側筒部の係合孔に径方向内方側から雌ネジが形成され、前記両係合孔にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材であるボルトが径方向内方側から螺合装着されている。
【0005】
【特許文献1】実開昭59−153793号公報
【特許文献2】実開昭60−65497号公報
【特許文献3】特開2007−113644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の継手部の離脱防止構造では、嵌合接続された両筒部の嵌合接続部分における特定部位に電動ドリル等の穿孔装置で係合孔を形成したのち、少なくとも大径側筒部の係合孔にタッピング装置で雌ネジを形成する必要があり、しかも、前記小径側筒部の係合孔を通して大径側筒部の係合孔にボルトを螺合操作する必要があるため、施工現場での作業工数が増加するとともに、装着操作が煩雑化する問題がある。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、前記両筒部の被係合部に装着される係合部材を主体とする合理的な改造により、両筒部の流路方向での相対離脱移動を阻止する機能を良好に発揮させつつ、施工現場での作業工数の削減と装着操作の簡便化を図ることのできる継手部の離脱防止構造と、それの施工時に有効に用いることのできる穿孔装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部の嵌合接続部分における特定部位に、筒径方向内方側に開口する状態で互いに筒径方向で連通する被係合部が形成され、前記両被係合部にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材が筒径方向内方側から挿入装着されている継手部の離脱防止構造であって、
前記両筒部の被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着することにより、両筒部の流路方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。しかも、前記両筒部の被係合部に装着された係合部材に対して他の部位での被係合部の切削加工等に起因する振動が作用しても、前記抜け出し抑制手段による移動抵抗付与作用によって、被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動を抑制することができる。
【0010】
従って、前記両筒部の被係合部に対して係合部材を挿入装着するだけでありながら、装着された係合部材を所定位置に維持することができるから、両筒部の離脱阻止機能を高めつつ、施工現場での作業工数の削減と装着操作の簡便化を図ることができる。
【0011】
本発明による第2の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、この係合部材の筒径方向中間部位に設けた係止部を収縮状態で小径側筒部の被係合部を通過させたのち、この小径側筒部の外周面と大径側筒部の内周面との間に存在する環状空間を利用して拡張させることにより、前記係合部材の係止部を小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に係止させて抜止め保持させることができる。
【0013】
したがって、前記係合部材に離脱防止機能を維持するための抜け出し抑制手段を設けながらも、この係合部材を被係合部に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部のうち、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成されているとともに、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、通過後に前記大径側筒部の被係合部における内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、前記係合部材の筒径方向外方側部位に設けられている係止部を、前記大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過させたのち、開口位置よりも拡大形成されている大径側筒部の被係合部の内部空間において拡張させることにより、係止部を大径側筒部の被係合部の内部に係止させることができる。
【0016】
したがって、前記係合部材に離脱防止機能を維持するための抜け出し抑制手段を設けながらも、この係合部材を被係合部に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられているとともに、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成され、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記小径側筒部の被係合部及び大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、開口通過後に被係合部の内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、前記係合部材の筒径方向外方側部位に設けられている係止部を、小径側筒部の被係合部及び大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過させたのち、開口位置よりも拡大形成されている大径側筒部の被係合部の内部空間において拡張させることにより、係止部を大径側筒部の被係合部の内部に係止させることができる。
【0019】
さらに、前記係合部材の筒径方向中間部位に設けられている係止部を収縮状態で小径側筒部の被係合部を通過させたのち、小径側筒部の外周面と大径側筒部の内周面との間に存在する環状空間を利用して拡張させることにより、係止部を小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に係止させることができる。
【0020】
したがって、前記係合部材の二箇所に設けた両係止部によって離脱防止機能を維持するための抜け出し阻止機能を高めながらも、この係合部材を被係合部に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部の被係合部が同一内径の係止孔から構成され、筒径方向で連通する両係止孔に対して弾性筒部材が筒径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記弾性筒部材内に、該弾性筒部材の内径よりも大なる外径部位を備えたテーパー状で、且つ、先端側の最小外径が前記弾性筒部材の内径と同一又はそれよりも小に形成された係合部材が筒径方向内方側から圧入されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両係止孔に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、前記両係止孔にわたって挿入装着された弾性筒部材に対してテーパー形状の係合部材を筒径方向内方側から圧入することにより、この圧入に連れて両係止孔の内周面と係合部材の外周面との間で弾性筒部材が圧縮され、係合部材の楔効果を利用して両係止孔に確実に抜止め保持させることができる。
【0023】
しかも、前記係合部材の先端側の最小外径が弾性筒部材の内径と同一又はそれよりも小に形成されているので、両係止孔に挿入装着されている弾性筒部材に対して係合部材を簡単にセットすることができる。
【0024】
したがって、前記係合部材の離脱防止機能を維持するための抜け出し抑制手段を設けながらも、このテーパー形状の係合部材を両係止孔に挿入装着されている弾性筒部材に対して圧入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0025】
本発明による第6の特徴構成は、前記係合部材の筒径方向中間部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている点にあり、また、本発明による第7の特徴構成は、前記係合部材の筒径方向外方側部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている点にある。
【0026】
上記構成によれば、前記係合部材を被覆する弾性被覆層により、該係合部材の少なくとも流体と触れる部位の腐食を抑制することができるとともに、前記弾性被覆層の一部が係合部材の外周面と両筒部の被係合部の内面との間に入り込むことによって、両筒部の流路方向でのガタツキを抑制すると同時に、地震や不同沈下等に起因する曲げモーメント等の外力が作用したとき、前記弾性被覆層の弾性変形によって現出される空間の範囲内で両筒部を相対的に屈曲させることにより、前記外力を吸収して流体経路における脆弱部での破損を抑制することができる。
しかも、このための弾性被覆層を利用して、前記係合部材の離脱防止機能を維持するための抜け出し阻止機能を発揮させる係止部を製作面で有利に構成することができる。
【0027】
本発明による第8の特徴構成は、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って隣接配置される両管部であり、他方の大径側筒部が、前記両管部に密封状態で外嵌接続される管継ぎ輪であって、前記両管部と管継ぎ輪の流路方向両側部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている点にある。
【0028】
上記構成によれば、前記流路方向に沿って隣接配置される一方の管部の特定部位に形成された被係合部とこれに筒径方向で相対向する管継ぎ輪の一側部に形成された被係合部とにわたって筒径方向内方側から係合部材を挿入装着し、かつ、他方の管部の特定部位に形成された被係合部とこれに筒径方向で相対向する管継ぎ輪の他側部に形成された被係合部とにわたって筒径方向内方側から係合部材を挿入装着することにより、両管部と管継ぎ輪との流路方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。
【0029】
しかも、前記両管部の被係合部と管継ぎ輪の被係合部とにわたって装着された係合部材に対して、他の部位での被係合部の切削加工等に起因する振動が作用しても、前記抜け出し抑制手段による移動抵抗付与作用によって、前記被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動を抑制することができる。
【0030】
さらに、前記内面バンドを、前記両管部の内周面にわたって当て付けた状態で装着し、この内面バンドを圧着手段で両管部の内周面に押し付け固定することにより、前記係合部材の筒径方向内方側が流路から区画された状態で密封されるため、両管部と管継ぎ輪との間のシール性能の向上を図ることができるとともに、前記係合部材の腐食を抑制することができる。
【0031】
本発明による第9の特徴構成は、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って配置される挿口管部であり、他方の大径側筒部が、前記挿口管部に対して密封状態で外嵌接続される受口管部であって、前記挿口管部と受口管部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている点にある。
【0032】
上記構成によれば、前記挿口管部の特定部位に形成された被係合部とこれに筒径方向で相対向する受口管部に形成された被係合部とにわたって筒径方向内方側から係合部材を挿入装着することにより、両管部と管継ぎ輪との流路方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。しかも、前記両管部の被係合部にわたって装着された係合部材に対して、他の部位での被係合部の切削加工等に起因する振動が作用しても、前記抜け出し抑制手段による移動抵抗付与作用によって、前記被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動を抑制することができる。
【0033】
さらに、前記内面バンドを、前記両管部の内周面にわたって当て付けた状態で装着し、この内面バンドを圧着手段で両管部の内周面に押し付け固定することにより、前記係合部材の筒径方向内方側が流路から区画された状態で密封されるため、両管部と管継ぎ輪との間のシール性能の向上を図ることができる。
【0034】
本発明による第10の特徴構成は、上述の1〜9のいずれか一つの特徴構成を備えた継手部の離脱防止構造の施工に用いられる穿孔装置であって、前記筒部の内壁に対して筒径方向から突っ張り状態で固定ならびに固定解除可能な突っ張り固定手段に、筒部の軸芯又は略軸芯周りで相対回転可能な回転機枠と、該回転機枠を強制回転させる強制回転手段を設けるとともに、前記回転機枠には、前記両筒部にわたって筒径方向から前記被係合部を形成可能な回転穿孔手段と、該回転穿孔手段を筒径方向に移動させる径方向送込み手段と、前記回転穿孔手段を筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って移動させる周方向送込み手段と、前記回転機枠を筒部の内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段が設けられている点にある。
【0035】
上記構成によれば、例えば、前記筒部の内壁の周方向複数箇所の特定部位に被係合部である円形状の係合孔を形成する場合には、前記筒部内の設定作業位置で突っ張り固定手段を固定操作し、前記回転機枠に設けられた回転穿孔手段を内壁の設定穿孔位置に位置させ、この状態で前記径方向送込み手段にて回転穿孔手段を筒径方向に設定量だけ送り込み移動させることにより、前記筒部の内壁の特定部位に被係合部である円形状の係合孔を形成することができる。
【0036】
また、前記筒部の内壁の周方向複数箇所の特定部位に被係合部である長円形状の係合孔を形成する場合には、前記筒部内の設定作業位置で突っ張り固定手段を固定操作し、前記回転機枠に設けられた回転穿孔手段を内壁の設定穿孔位置に位置させ、この状態で前記径方向送込み手段にて回転穿孔手段を筒径方向に設定量だけ送り込み移動させるとともに、前記周方向送込み手段にて回転穿孔手段を筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って設定量だけ送り込み移動させることにより、前記筒部の内壁の特定部位に被係合部である長円形状の係合孔を形成することができる。
この長円形状の係合孔は、前記回転穿孔手段が筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って回動するため、筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも筒径方向外方側ほど内部横断面積が次第に大となる。換言すれば、前記長円形状係合孔は、それの周方向長さが開口位置よりも筒径方向外方側ほど大となるテーパー状に形成されることになり、特に、上述の第3・第4特徴構成においては、前記係合部材の筒径方向外方側部位に設けられている係止部が、大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過したのち、前記テーパーによって長円形状係合孔の内周面に形成される拡大内部空間(係合凹部)において拡張することにより、前記係合部材の係止部を大径側筒部の被係合部の内部(係合凹部)に係止させることができる。
【0037】
さらに、一つの設定穿孔位置での穿孔作業が終了すると、前記強制回転手段にて回転機枠を突っ張り固定手段に対して強制回転させる際、前記回動案内手段にて回転機枠を筒部の内壁に沿って円周方向に沿ってスムーズに回動案内することができる。
【0038】
しかも、前記突っ張り固定手段が固定解除操作された状態では、前記回動案内手段による案内機能を利用して機体を支持することができるから、突っ張り固定手段の突っ張り固定位置の変更及び流路に沿っての移動を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
〔第1実施形態〕
図1〜図3は、水道管やガス管等の流体管Pの配管系に用いられる管継手部(継手部)の一例を示し、この管継手部では、下流路方向に沿って隣接配置される鋳鉄製の両流体管Pの接続管部(小径側筒部の一例)1にわたって、当該両接続管部1に対して管軸芯X方向(流路方向)から鋳鉄製の管継ぎ輪(大径側筒部の一例)2が外嵌接続され、この管継ぎ輪2の内周面2aにおける両嵌合接続部位には、管径方向(筒径方向)外方に窪む横断三角形状の抜止め用環状溝2bが形成されているとともに、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間に形成される環状空間Sで、且つ、前記両抜止め用環状溝2bよりも管継ぎ輪2の管軸芯X方向中央側に少し偏倚した部位には、前記環状空間Sを密封処理する麻等のシール部材3が充填され、さらに、前記環状空間Sにおける前記両シール部材3の管軸芯X方向外側に連続する領域には、離脱阻止部材としての鉛4を前記両抜止め用環状溝2b含めた環状空間部分全体にわたる状態で充填することにより、前記両流体管Pの接続管部1と管継ぎ輪2とが嵌合接続状態で抜止め保持されている。
【0040】
前記両シール部材3及び鉛4をもって、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間を密封する密封手段Aが構成されている。
【0041】
そして、上記管継手部に適用される本発明の離脱防止構造は、図1〜図3に示すように、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1bにおける前記管継ぎ輪2の管軸芯X方向長さよりも大きな領域にわたって、全体が密封用の弾性シール層に構成されている円環状のゴム製の内面バンド5が装着され、この内面バンド5の管軸芯X方向両端部及び中央部を接続管部1の内周面1bに押し付け固定する圧着手段Bと、前記内面バンド5で密封される部位において前記両流体管Pの接続管部1と管継ぎ輪2とを管軸芯X方向での相対移動を阻止する状態で固定連結する固定連結手段Cが設けられているとともに、前記内面バンド5と圧着手段Bとをもって、前記固定連結手段Cを構成する係合部材の一例である係合ピン21を管内部に対して密封状態で覆う管内密封手段Dが構成され、さらに、前記両流体管Pの接続管部1に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔19と管継ぎ輪2に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔20とにわたって挿入装着された前記係合ピン21の管径方向内方側への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eが設けられている。
【0042】
前記内面バンド5は、図1〜図3に示すように、両流体管Pの接続管部1における内周面1bの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に成形されており、この内面バンド5の外周面における管軸芯X方向両側部及び中央部から管径方向外方側に突出形成された環状基台部5Aの各々には、モルタルライニング層7が剥離処理された両流体管Pの接続管部1の内周面1bに接触する複数個(当該実施形態では3個)の横断面半円形状の円環状シール部5aが管軸芯X方向に所定ピッチで一体形成されている。
【0043】
前記内面バンド5の管軸芯X方向両端部5Bの各々は、モルタルライニング層7が剥離処理された両流体管Pの接続管部1の内周面1bに対して前記円環状シール部5aと略同じシール状態で接触するべく、前記円環状シール部5aの先端を通る管軸芯X方向の仮想鉛直線と同じ位置まで管径方向外方側に屈曲形成されているとともに、前記内面バンド5の外周面における環状基台部5Aの隣接間には、前記固定連結手段Cの係合ピン21の管径方向内端側が入り込み可能な環状凹部5Cが形成され、この環状凹部5Cの底面と前記係合ピン21の管径方向内端との対向面間隔が、当該係合ピン21の管径方向外端部と前記管継ぎ輪2との係合深さよりも小に設定されている。
【0044】
また、前記内面バンド5の内周面における少なくとも管軸芯X方向の4箇所(当該実施形態では6箇所)には環状リブ5Dが一体形成され、この環状リブ5Dの隣接間に形成される環状溝5Eのうち、前記環状基台部5Aに対応する三つの環状溝5Eが、前記圧着手段Bを構成する三つの圧着具に対する装着用環状溝に構成されている。
【0045】
前記内面バンド5を構成する粘弾性高分子材料としては、天然ゴム、イソプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等を挙げることができる。
【0046】
前記圧着手段Bを構成する三つの圧着具の各々は、図4〜図8に示すように、前記内面バンド5の装着用環状溝5Eの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に湾曲形成され、かつ、その周方向の一箇所で分断された管径方向(拡径側と縮径側)に弾性変形可能な金属製の圧着帯状体10の内周面の両端部には、管径方向内方に突出する角柱状の係止突起11が設けられているとともに、前記両係止突起11に対して管径方向内方側から係脱自在な係止凹部12aを形成してある係止体12を備え、かつ、両係止体12を内面バンド5の内周面に沿って離間移動させる拡径操作機構B1と、該拡径操作機構B1で拡径された間隔で両係止突起11を固定連結する固定連結機構B2とが設けられている。
【0047】
前記拡径操作機構B1は、両側に螺合方向が逆となる右用と左用のネジ部13aが形成されている操作ネジ軸13のネジ軸芯方向中央位置に断面六角形の回転操作部13bを形成するとともに、前記両回転操作部13bに回転自在に枢支された枢支ピン14には、前記操作ネジ軸13の両ネジ部13aに螺合されるネジ孔を形成して、前記操作ネジ軸13の回転操作部13bの回転操作によって前記両枢支ピン14をネジ軸芯方向に沿って遠近方向に移動させるように構成されている。
【0048】
前記固定連結機構B2を構成するに、前記両係止突起11に形成された管軸芯X方向に沿うネジ孔11aに対してボルト15で螺合固定される固定連結板16の片面に、内面バンド5の内周面に沿って前記圧着帯状体10の両端面間に入り込み可能な先端側ほど幅狭となる両傾斜面17aを備えた台形状の間隔保持板17Aと、該間隔保持板17と同一形状のガイド板17Bとが、前記圧着帯状体10の内周面の両端部に固着される外れ止め板18の厚みに相当する間隔を隔てて固着されている。
【0049】
他方、前記圧着帯状体10の両端面には、前記間隔保持板17Aの両傾斜面17aに当接可能な同一勾配の傾斜面10aが形成されているとともに、前記外れ止め板18が、圧着帯状体10の両傾斜面10aに当て付けられた間隔保持板17Aの管径方向内方への外れ移動を接当阻止するべく、前記傾斜面10aよりも間隔保持板17Aの進入経路側に張り出す状態で圧着帯状体10の内周面の両端部に固着されている。
【0050】
さらに、前記固定連結板16のボルト挿通孔16aは、前記拡径操作機構B1の拡径操作に伴う両係止突起11のネジ孔11aの中心間隔(取付け間隔)の変動を吸収可能な長孔に構成されている。
【0051】
そして、前記拡径操作機構B1の拡径操作で圧着帯状体10が内面バンド5の内周面に所定押圧力で押し付け固定されたとき、前記固定連結機構B2の間隔保持板17Aの両傾斜面17aを、前記圧着帯状体10の両端面に形成された傾斜面10aに当て付け、この状態で固定連結板16の両ボルト挿通孔16aに挿通されたボルト15を圧着帯状体10の両係止突起11のネジ孔11aに螺合固定する。
【0052】
前記固定連結手段Cは、図1〜図3に示すように、両流体管Pの接続管部1のうち、モルタルライニング層7が剥離されている領域の端部近傍箇所における周方向複数の特定箇所と、これに管径方向で相対向する管継ぎ輪2の両嵌合接続部位における周方向複数の特定箇所に、管内部に搬入した穿孔装置によって管径方向で連通する被係合部の一例である円形状の係合孔19,20を管径方向内方に開口する状態で形成し、各管径方向で連通する係合孔19,20にわたって、係合部材の一例である円柱状の係合ピン21を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持することにより、前記内面バンド5で密封される部位において、両管部1,2を管軸芯X方向での相対移動を阻止した状態で固定連結するように構成されている。
【0053】
そして、地震や不同沈下等に起因して管継手部に引張力が作用したとき、この引張力を、前記内面バンド5で密封される部位において前記両流体管Pの接続管部1と管継ぎ輪2とを管軸芯X方向での相対移動を阻止する状態で固定連結する固定連結手段Cの複数の係合ピン21によっても受止めることができるから、前記係合ピン21が剪断又は変形して外れない限り、両管部1,2が接続維持範囲を越えて離脱移動することを強力に阻止することができる。
【0054】
さらに、前記抜け出し抑制手段Eを構成するに、図9、図10に示すように、略円柱状の各係合ピン21の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位に、前記両係合孔19,20の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで係合ピン21の外周面を被覆処理する弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層を構成する有底筒状の防蝕ゴム筒体22が固着されているとともに、前記防蝕ゴム筒体22の管径方向中間部位には、前記両流体管Pの接続管部1の係合孔19に対して弾性復元力に抗して縮径変形させた収縮状態(縮径状態)で通過可能で、且つ、通過後に前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間に形成されている環状空間Sにおいて弾性復元力で拡径変形して、接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に拡張状態で抜止め係止可能な鍔状(円環状)の係止部22Aが外方に一体的に張り出し形成されている。
【0055】
そして、前記両流体管Pの接続管部1の周方向複数箇所に形成された係合孔19と管継ぎ輪2の両嵌合接続部位の周方向複数箇所に形成された係合孔20とにわたって係合ピン21を挿入したとき、該係合ピン21に被覆処理された防蝕ゴム筒体22の圧縮によって前記両係合孔19,20の内周面との間で発生する摩擦抵抗と、前記両接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの間に存在する環状空間Sを利用して弾性復元力で拡張された係止部22Aが接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に係止することによる係止作用とにより、挿入装着された前記係合ピン21の管径方向内方への抜け出し移動を効果的に防止することができる。
【0056】
この第1実施形態では、前記抜け出し抑制手段Eを、係合ピン21に被覆処理された防蝕ゴム筒体22と前記両係合孔19,20の内周面との間で発生する摩擦抵抗と、前記防蝕ゴム筒体22に一体形成されている係止部22Aが接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に係止することによる係止作用とから構成したが、前記係止部22Aによる係止作用だけで構成してもよい。
【0057】
前記穿孔装置は、図11〜図15に示すように、前記流体管Pの接続管部1の管内壁の円周方向における任意の位置に対して管径方向から突っ張り状態で固定保持並びに固定解除操作自在な突っ張り固定手段Fに、前記流体管Pの管軸芯X又は略管軸芯周りで相対回転可能な回転機枠30と、該回転機枠30を強制回転させる強制回転手段Gを設けるとともに、前記回転機枠30には、前記接続管部1と管継ぎ輪2とにわたって管径方向内方側から前記両係合孔19,20を形成可能な回転穿孔手段Hと、該回転穿孔手段Hを管径方向に移動させる径方向送込み手段Jと、前記回転穿孔手段Hを接続管部1の管軸芯X又は略管軸芯X周りで円周方向に沿って移動させる周方向送込み手段Kと、前記回転機枠30を接続管部1の管内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段Lが設けられている。
【0058】
前記突っ張り固定手段Fは、図12、図13に示すように、回転穿孔手段Hの回転穿孔具31として選択的に装着される穿孔ドリル又はエンドミルの回転中心線と平行に配設される一対の第1支柱軸32Aの中間部に横桟部材32Bを架設して、略H字状の保持枠体32を枠組み構成し、この保持枠体32の両第1支柱軸32Aの一端部には、管壁面に対して管径方向に沿う方向から当接する円柱状の当接部材33を設けるとともに、前記両第1支柱軸32Aの他端部に形成されたネジ軸32aには、これのネジ軸芯方向に移動自在な略T字状の押圧部材34と、該押圧部材34を接続管部1の管内壁に向かって管径方向外方に押し出し移動させるナット35を装着して構成されている。
【0059】
前記両当接部材33の管軸芯方向両端面のうち、管軸芯方向で同じ側に位置する端面にわたって第1補強板36が固定連結されているとともに、前記両押圧部材34も同様に、管軸芯方向で同じ側に位置する端面にわたって第2補強板37が固定連結されている。
【0060】
前記回転機枠30は、回転穿孔具31の回転中心線と平行に配設される一対の第2支柱軸30Aの長手方向二箇所に横桟部材30Bを架設して枠組み構成されているとともに、前記突っ張り固定手段Fの横桟部材32Bに対して管軸芯X又は略管軸芯周りで回転自在に枢支連結されている。
【0061】
前記強制回転手段Gは、前記突っ張り固定手段Fに相対回転自在に支持されている前記回転機枠30の回転軸部に連動された減速ギア機構40とこれに連動された駆動源の一例である第1電動モータ41から構成されているとともに、この第1電動モータ41と減速ギア機構40をもって、前記回転穿孔手段Hを接続管部1の管軸芯X又は略管軸芯X周りで円周方向に沿って移動させる前記周方向送込み手段Kが兼用構成されている。
【0062】
前記回転穿孔手段Hは、図14、図15に示すように、前記回転機枠30の両横桟部材30Bのうち、穿孔中心線Yに対してそれと直交する方向に等間隔をおいて穿孔中心線Yと平行な方向で相対向する部位に架設された一対の摺動ガイド軸43に、駆動源の一例である第2電動モータ44から回転穿孔具31への動力伝達系の減速機構を内装する減速ケース45を摺動自在に取付けるとともに、前記減速ケース45の軸受け部46と管内壁側に位置する横桟部材30Bに設けた軸受け部47とにわたって、前記回転穿孔具31を付け替え可能に取付けるためのチャック部48を備えた駆動回転軸49が、前記減速ケース45と一体的に移動する状態で回転自在に支承されている。
【0063】
前記径方向送込み手段Jは、図14、図15に示すように、前記駆動回転軸49の他端部に形成した凹部49Aに、該駆動回転軸49の軸芯周りで相対回転のみ自在なネジ駒50を内嵌保持するとともに、前記管軸芯X側に位置する横桟部材30Bには、前記ネジ駒50に螺合する送り操作軸51が回転のみ自在に支承され、この送り操作軸51の他端部には、これとネジ駒50との相対回転によって駆動回転軸49に送り力又は戻り力を付与するための減速機構52付の第3電動モータ53が設けられている。
【0064】
また、前記周方向送込み手段Kが兼用構成されている強制回転手段Gの第1電動モータ41、前記回転穿孔手段Hの第2電動モータ44、径方向送込み手段Jの第3電動モータ53を駆動制御する制御部54において、前記接続管部1と管継ぎ輪2に対する穿孔位置データ、径方向の送り込みデータ、周方向の送込みデータ等の穿孔作業データを入力することにより、前記接続管部1と管継ぎ輪2に対して管径方向内方側から設定深さ、設定形状の両係合孔19,20を形成することができる。
【0065】
前記穿孔作業データにおける周方向の送込みデータが零設定の場合には、前記両係合孔19,20が穿孔軸芯方向視において真円形状となり、また、周方向の送込みデータが設定送込み数値に設定されている場合には、前記両係合孔19,20が穿孔軸芯方向視において長孔形状になる。
前者の場合は、前記回転穿孔具31として穿孔ドリルを使用し、後者の場合は、前記回転穿孔具31としてエンドミルを使用する。
【0066】
前記回動案内手段Lは図11〜図13に示すように、前記回転機枠30の両第2支柱軸30Aの一端部に、管壁面に対して管径方向に沿う方向から当接する回転自在な転輪55を備えた支持体56を設けるとともに、前記両第2支柱軸30Aの他端部に形成されたネジ軸30aには、これのネジ軸芯方向に移動自在で、且つ、管壁面に対して管径方向に沿う方向から当接する回転自在な転輪57を備えた押圧体58と、該押圧体58を接続管部1の管内壁に向かって管径方向外方に押し出し移動させるナット59を装着して構成されている。
【0067】
この第1実施形態では、図1、図3に示すように、前記両流体管Pの接続管部1が、それらの端面間に間隙が発生している状態で管継ぎ輪2にて接続された場合を例示したため、前記管継ぎ輪2の内周面2aと両接続管部1の端面とで形成される環状凹部60内に、両接続管部1の内周面1bと同径の内周面61a及び管継ぎ輪2の内周面2aと同径の外周面61bを備えた円環状のゴム製のスペーサー61が装着されている。
尚、前記両流体管Pの接続管部1の端面同士が管軸芯X方向から当接している又は近接している場合には、前記スペーサー61を設ける必要はない。
【0068】
また、上述の第1実施形態では、前記各係合ピン21の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位を弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層で被覆処理したが、前記各係合ピン21の外周面全域を弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層で被覆処理してもよい。
【0069】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間に介装された前記両シール部材3及び鉛4をもって、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間を密封する密封手段Aを構成したが、図16に示すように、前記密封手段Aを構成するに、前記管継ぎ輪2の両端部の連結フランジ部2Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔2c、及び、押輪6の連結フランジ部6Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔6aのうち、管軸芯X方向で相対向するボルト挿通孔2c,6aにわたって挿入されるT字状のボルト8Aと、該ボルト8Aの突出ネジ部に螺合されるナット8Bを設け、このボルト8A・ナット8Bの締付け操作に伴う押輪6と管継ぎ輪2の連結フランジ部2Aとの管軸芯X方向での相対近接移動により、押輪6の管軸芯X方向の一端部に形成されたシール押圧部6bでシール材であるパッキン9を圧縮変形させ、接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間を密封すると同時に、このパッキン9の圧縮に伴う圧接力によって接続管部1と管継ぎ輪2とを嵌合接続状態で抜止め保持するように構成してもよい。
【0070】
この第2実施形態で用いられる前記固定連結手段C及び前記抜け出し抑制手段Eは、第1実施形態と同一であり、前記両流体管Pの接続管部1の周方向複数箇所に形成された係合孔19と管継ぎ輪2の両嵌合接続部位の周方向複数箇所に形成された係合孔20とにわたって係合ピン21を挿入したとき、該係合ピン21に被覆処理された防蝕ゴム筒体22の圧縮によって前記両係合孔19,20の内周面との間で発生する摩擦抵抗と、前記両接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの間に存在する環状空間Sを利用して弾性復元力で拡張された係止部22Aが接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に係止することによる係止作用とにより、挿入装着された前記係合ピン21の管径方向内方への抜け出し移動を効果的に防止することができる。
【0071】
また、前記接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁の近傍に、環状空間Sでの係止部22Aの弾性復元力による拡張を阻害するものが存在しない場合には、前記係止部22Aの全周が係合孔19の開口周縁に係止することになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0072】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部のうち、前記小径側筒部を、流路方向に沿って隣接配置される両管部の一例である両流体管Pの接続管部1から構成し、前記大径側筒部を、前記両接続管部1に密封状態で外嵌接続される管継ぎ輪2から構成したが、図17、図18に示すように、前記小径側筒部を、流路方向に沿って配置される挿口管部24から構成し、前記大径側筒部を、前記挿口管部24に対して密封状態で外嵌接続される受口管部25から構成してもよい。
【0073】
前記受口管部25の連結フランジ部25Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔及び、押輪27の連結フランジ部27Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔のうち、管軸芯X方向で相対向するボルト挿通孔にわたって挿入されるT字状のボルト28Aと、該ボルト28Aの突出ネジ部に螺合されるナット28Bを設けて、前記ボルト28A・ナット28Bの締付け操作に伴う押輪27と受口管部25との管軸芯X方向での相対近接移動により、押輪27の管軸芯X方向の一端部に形成されたシール押圧部27aでシール材29を圧縮変形させ、挿口管部24の外周面24aと受口管部25の内周面25aとの対向面間を密封すると同時に、このシール材29の圧縮に伴う圧接力によって受口管部24と挿口管部25とを接続状態で抜止め保持している。
【0074】
また、この第3実施形態では、前記挿口管部24及び受口管部25に対して管径方向内方側から形成される前記両係合孔19,20が、穿孔軸芯方向視(周方向断面視)において長孔形状に形成され、前記両係合孔19,20にわたって係合される前記係合部材が長円柱状の係合ピース26に構成されている。
【0075】
前記挿口管部24側の長円貫通孔形状の係合孔19及び前記受口管部25側の長円溝形状の係合孔20の各々は、前記回転穿孔手段Hの回転穿孔具31が管軸芯X又は略管軸芯周りで円周方向に沿って送られるため、管径方向内方側への開口位置における横断面積よりも管径方向外方側ほど内部横断面積が次第に大となる。換言すれば、前記長円貫通孔形状の係合孔19及び長円溝形状の係合孔20は、それの周方向長さが開口位置よりも管径方向外方側ほど大となるテーパー状に形成されることになり、当該両係合孔19,20における円周方向両端のテーパー状端面19a,20aとこれらにわたって係合された係合ピース26の円周方向両端面26aとの対向面間に、径方向外方側ほど円周方向幅が大となる管軸芯X方向視において三角形状の係止空間(内部空間)が形成されている。
【0076】
前記両係合孔19,20における円周方向両端のテーパー状端面19a,20aと係合ピース26の円周方向両端面との対向面間にて三角形状の係止空間が形成されるが、前記挿口管部24側の係合孔19における係止空間の形成領域が小さいため、実質的に係止機能が有効に働くのは受口管部25側の係合孔20における係止空間となる。
【0077】
そのため、当該実施形態においては、前記挿口管部24に形成された長円形状の係合孔19と前記受口管部25に形成された長円溝形状の係合孔20とにわたって挿入装着された前記係合ピース26の管径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eを構成するに、前記係合ピース26の外周面全域に、前記両係合孔19,20の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層22が被覆処理されている。
【0078】
前記防蝕ゴム層22の円周方向両端部には、挿口管部24の係合孔19及び受口管部25の係合孔20における開口に対して収縮状態(縮径状態)で通過可能で、かつ、開口通過後に両係合孔19,20内の係止空間に拡張状態で係止可能な縦断面三角形状の厚肉部分が一体形成され、この三角形状厚肉部分のうち、受口管部25の係合孔20に対応する管径方向外方側部位が実質的に係合孔20内の係止空間に拡張状態で係止可能な第1係止部22Bに構成されているとともに、前記防蝕ゴム層22の管径方向中間部位には、挿口管部24の係合孔19に対して弾性復元力に抗して縮径変形させた収縮状態(縮径状態)で通過可能で、且つ、通過後に前記挿口管部24の外周面24aと受口管部25の内周面25aとの対向面間に形成されている環状空間Sにおいて弾性復元力で拡径変形して、挿口管部24の外周面24aにおける係合孔19の開口周縁に拡張状態で抜止め係止可能な鍔状(円環状)の第2係止部22Cが外方に一体的に突出形成されている。
【0079】
前記挿口管部24側の長円貫通孔形状の係合孔19及び前記受口管部25側の長円溝形状の係合孔20に対して管径方向内方側から係合ピース26を挿入装着する際、当該係合ピース26に被覆処理された防蝕ゴム層22のうち、管径方向外方側部位に形成されている第1係止部22Bを、挿口管部24の係合孔19及び受口管部25の係合孔20における開口に対して収縮状態で通過させたのち、開口位置よりも拡大形成されている受口管部25の係合孔20の係止空間において拡張させることにより、第1係止部22Bを受口管部25の係合孔20の内部に係止させることができる。
【0080】
さらに、前記防蝕ゴム層22の管径方向中間部位に設けられている第2係止部22Cを収縮状態で挿口管部24の係合孔19を通過させたのち、前記挿口管部24の外周面24aと受口管部25の内周面25aとの間に存在する環状空間Sを利用して拡張させることにより、第2係止部22Cを挿口管部24の外周面24aにおける係合孔19に係止させることができる。
【0081】
それ故に、前記係合ピース26に被覆処理された防蝕ゴム層22の二箇所に設けた両係止部22B,22Cによって離脱防止機能を維持するための抜け出し阻止機能を高めながらも、この係合ピース26を両係合孔19,20に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0082】
また、この第3実施形態では、前記内面バンド5の内周面における管軸芯X方向の3箇所には環状リブ5Dが一体形成され、この環状リブ5Dの隣接間に形成される二つの環状溝5Eが、前記圧着手段Bを構成する二つの圧着具に対する装着用環状溝に構成されている。
【0083】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、当該第3実施形態では、前記係合ピース26に被覆処理された防蝕ゴム層22に、前記受口管部25の係合孔20内の係止空間に拡張状態で係止可能な第1係止部22Bと、前記挿口管部24の外周面24aにおける係合孔19の開口周縁に抜止め係止可能な第2係止部22Cとを形成したが、前記第1係止部22B又は第2係止部22Cのいずれか一方だけを形成して実施してもよい。
【0084】
〔第4実施形態〕
図19、図20は、前記両流体管Pの接続管部1に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔19と管継ぎ輪2に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔20とにわたって挿入装着された係合ピン(係合部材の一例)21の管径方向内方側への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eの別実施形態を示す。
この抜け出し抑制手段Eを構成するに、前記接続管部1の係合孔19の内径D1と管継ぎ輪2の係合孔20の内径D2とが同一に構成され、前記筒径方向で連通する両係合孔19,20に対して、内径及び外径が管径方向(筒径方向)で同一となるストレート形状に形成され、且つ、外周面の外径D3が係合孔19,20の内径D1,D2と同一又は略同一に構成された有底筒状の防蝕ゴム製等の弾性筒部材70が管径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記弾性筒部材70内には、該弾性筒部材70の内径D4よりも大径な部位を備えたテーパー形状に形成され、それの先端側の最小外径D5が弾性筒部材70の内径D4と同一(又はそれよりも少し小)に形成されている係合ピン21が管径方向内方側からハンマー等による叩き込み操作で圧入されている。
【0085】
尚、その他の構成は、第1・第2実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1・第2実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0086】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、流路を構成する状態で両筒部を嵌合接続してある継手構造として、両流体管Pの接続管部1同士を管継ぎ輪2で嵌合接続してある継手構造及び、前記挿口管部24と受口管部25とを嵌合接続してある継手構造を例に挙げて説明したが、バルブ等の流体機器の接続筒部と流体管とを直接又は継ぎ輪を介して嵌合接続する継手構造にも本発明の技術を適用することができる。
【0087】
(2)上述の第1〜第3実施形態では、前記係合部材である係合ピン21又は係合ピース26に被覆処理された弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層(有底筒状の防蝕ゴム筒体22等)に係止部(抜止め用係止部22A,第1係止部22B,第2係止部22C)を一体形成したが、前記係合ピン21又は係合ピース26の係止形成箇所に弾性材料製の係止部を固着してもよい。
また、前記係止部を、前記係合部材に対して起伏揺動自在に設けられる係止体と該係止体を起立する係止姿勢に付勢するコイルバネ等の弾性付勢体から構成してもよい。
【0088】
(3)上述の第1実施形態では、前記内面バンド5の内周面における管軸芯X方向の3箇所を、圧着手段Bを構成する三つの圧着具で押圧するように構成したが、前記内面バンド5の内周面における管軸芯X方向両側部を二つの圧着具で押圧するように構成してもよく、さらに、前記内面バンド5の内周面全体を一つの圧着具で押圧するように構成してもよい。
【0089】
(4)前記密封手段Aとしは、小径側筒部の外周面と大径側筒部の内周面との対向面間を密封することのできるものであれば、如何なる密封構造を採用してもよい。
【0090】
(5)前記流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部として、上述の第1,第2,第4実施形態では、前記流体管Pの接続管部1とそれに外嵌装着される管継ぎ輪2を例に挙げて説明し、また、第3実施形態では、挿口管部24とこれに対して密封状態で外嵌接続される受口管部25を例に挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。
例えば、フランジ接合された両流体管の接続管部とそれの内周面にわたって挿入装着される連結筒体とを、前記両接続管部の周方向複数箇所に形成された係合孔と連結筒体の両嵌合接続部位の周方向複数箇所に形成された係合孔とにわたって挿入される係合部材を介して固定連結してある管継手部構造において、前記両筒部が一方の流体管の接続管部と連結筒体とから構成されていてもよい。
さらに、前記両筒部の一方又は両方が仕切弁等の流体機器の接続筒部であってもよい。
要するに、前記両筒部としては、結果的に流路を構成する状態で嵌合接続されるものであればよく、また、流体管や流体機器等の全体又は一部を構成する筒部であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による継手部の離脱防止構造の第1実施形態を示す全体の断面側面図
【図2】全体の断面正面図
【図3】離脱防止構造の要部の拡大断面側面図
【図4】拡径操作機構の装着前の断面正面図
【図5】拡径操作機構の装着前と装着後を示す要部の拡大斜視図
【図6】固定連結機構の装着前と装着後を示す要部の拡大斜視図
【図7】固定連結機構の装着後における全体の断面正面図
【図8】圧着帯状体に固定連結機構を取付けたときの内面側の断面側面図と外面側の側面図
【図9】係合ピンの拡大斜視図
【図10】係合ピンの挿入前の要部の拡大断面側面図
【図11】穿孔装置の正面図
【図12】穿孔装置を管内に突っ張り固定したときの断面側面図
【図13】穿孔装置の突っ張り固定手段に対して回転機枠を回動させたときの正面図
【図14】穿孔装置の回転穿孔手段及び管径方向送込み手段の拡大側面図
【図15】回転穿孔手段を管径方向に送込んだときの径方向送込み
【図16】本発明の第2実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図17】本発明の第3実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図18】本発明の第3実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図19】本発明の第4実施形態を示す要部の分解拡大断面側面図
【図20】弾性筒部材が挿入装着され、且つ係合ピンが圧入されたときの要部の拡大断面側面図
【符号の説明】
【0092】
B 圧着手段
E 抜け出し抑制手段
F 突っ張り固定手段
G 強制回転手段
J 径方向送込み手段
K 周方向送込み手段
L 回動案内手段
1 小径側筒部(接続管部)
2 大径側筒部(管継ぎ輪)
5 内面バンド
19 被係合部(係合孔)
20 被係合部(係合孔)
21 係合部材(係合ピン)
22 弾性被覆層(防蝕ゴム筒体)
22A 係止部(抜止め用係止部)
22B 係止部(第1係止部)
22C 係止部(第2係止部)
24 小径側筒部(挿口管部)
25 大径側筒部(受口管部)
26 係合部材(係合ピース)
30 回転機枠
31 回転穿孔具(穿孔ドリル又はエンドミル)
70 弾性筒部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水道管等の流体管同士又は流体管と仕切弁等の流体機器とが直接嵌合接続されている継手部、或いは、隣接配置される両流体管又は流体管と流体機器とが管継ぎ輪を介して接続されている継手部などのように、流路を構成する両筒部を密封状態で嵌合接続してある継手部の離脱防止構造、及びそれに用いられる穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の継手部の離脱防止構造では、嵌合接続された両筒部のうち、一方の小径側筒部の外周面と他方の大径側筒部の内周面との対向面間を密封する密封手段として種々の構造が提案されているが、例えば、特許文献1に示す密封手段の場合では、小径側筒部の一例である挿口管部の外周面の先端側に漏れ止め用のヤーンを巻回するとともに、大径側筒部の一例である受口管部の大径内周面には径方向外方に窪む抜止め用の環状溝を形成して、挿口管部の外周面と受口管部の大径内周面との対向面間に鉛を流し込むことにより、対向面間を密封し、両管部を接続状態で抜止め保持している。
【0003】
また、特許文献2に示す場合では、小径側筒部の一例である挿口管部の外周面と大径側筒部の一例である受口管部の大径内周面との対向面間に円環状の弾性シール材を装着し、この弾性シール材を管軸芯方向から圧縮可能な押圧部を備えた押輪を挿口管部に外装するとともに、前記受口管部の外周面の端部に形成したフランジ部と押輪とを管軸芯方向で引寄せ固定するボルト・ナットを設けて、前記ボルト・ナットによる締付け固定操作に伴う受口管部と押輪との相対近接移動により、弾性シール材を密封状態に圧縮すると同時に、両管部を接続状態で抜止め保持している。
【0004】
そして、上述のような密封手段だけでは、地震や不同沈下等に起因する大きな引抜力には対抗できないため、継手部の離脱防止構造における離脱阻止機能の向上を図ることが要望されており、その改善方法として、従来では、次の離脱防止方法が提案されている。
(1)特許文献1〜3に示す管継手部の離脱防止方法では、嵌合接続された両筒部の嵌合接続部分における特定部位に、径方向内方側に開口する状態で互いに径方向で連通する被係合部である係合孔が形成され、そのうち、少なくとも大径側筒部の係合孔に径方向内方側から雌ネジが形成され、前記両係合孔にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材であるボルトが径方向内方側から螺合装着されている。
【0005】
【特許文献1】実開昭59−153793号公報
【特許文献2】実開昭60−65497号公報
【特許文献3】特開2007−113644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の継手部の離脱防止構造では、嵌合接続された両筒部の嵌合接続部分における特定部位に電動ドリル等の穿孔装置で係合孔を形成したのち、少なくとも大径側筒部の係合孔にタッピング装置で雌ネジを形成する必要があり、しかも、前記小径側筒部の係合孔を通して大径側筒部の係合孔にボルトを螺合操作する必要があるため、施工現場での作業工数が増加するとともに、装着操作が煩雑化する問題がある。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、前記両筒部の被係合部に装着される係合部材を主体とする合理的な改造により、両筒部の流路方向での相対離脱移動を阻止する機能を良好に発揮させつつ、施工現場での作業工数の削減と装着操作の簡便化を図ることのできる継手部の離脱防止構造と、それの施工時に有効に用いることのできる穿孔装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部の嵌合接続部分における特定部位に、筒径方向内方側に開口する状態で互いに筒径方向で連通する被係合部が形成され、前記両被係合部にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材が筒径方向内方側から挿入装着されている継手部の離脱防止構造であって、
前記両筒部の被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着することにより、両筒部の流路方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。しかも、前記両筒部の被係合部に装着された係合部材に対して他の部位での被係合部の切削加工等に起因する振動が作用しても、前記抜け出し抑制手段による移動抵抗付与作用によって、被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動を抑制することができる。
【0010】
従って、前記両筒部の被係合部に対して係合部材を挿入装着するだけでありながら、装着された係合部材を所定位置に維持することができるから、両筒部の離脱阻止機能を高めつつ、施工現場での作業工数の削減と装着操作の簡便化を図ることができる。
【0011】
本発明による第2の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、この係合部材の筒径方向中間部位に設けた係止部を収縮状態で小径側筒部の被係合部を通過させたのち、この小径側筒部の外周面と大径側筒部の内周面との間に存在する環状空間を利用して拡張させることにより、前記係合部材の係止部を小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に係止させて抜止め保持させることができる。
【0013】
したがって、前記係合部材に離脱防止機能を維持するための抜け出し抑制手段を設けながらも、この係合部材を被係合部に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部のうち、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成されているとともに、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、通過後に前記大径側筒部の被係合部における内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、前記係合部材の筒径方向外方側部位に設けられている係止部を、前記大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過させたのち、開口位置よりも拡大形成されている大径側筒部の被係合部の内部空間において拡張させることにより、係止部を大径側筒部の被係合部の内部に係止させることができる。
【0016】
したがって、前記係合部材に離脱防止機能を維持するための抜け出し抑制手段を設けながらも、この係合部材を被係合部に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられているとともに、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成され、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記小径側筒部の被係合部及び大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、開口通過後に被係合部の内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両被係合部に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、前記係合部材の筒径方向外方側部位に設けられている係止部を、小径側筒部の被係合部及び大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過させたのち、開口位置よりも拡大形成されている大径側筒部の被係合部の内部空間において拡張させることにより、係止部を大径側筒部の被係合部の内部に係止させることができる。
【0019】
さらに、前記係合部材の筒径方向中間部位に設けられている係止部を収縮状態で小径側筒部の被係合部を通過させたのち、小径側筒部の外周面と大径側筒部の内周面との間に存在する環状空間を利用して拡張させることにより、係止部を小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に係止させることができる。
【0020】
したがって、前記係合部材の二箇所に設けた両係止部によって離脱防止機能を維持するための抜け出し阻止機能を高めながらも、この係合部材を被係合部に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部の被係合部が同一内径の係止孔から構成され、筒径方向で連通する両係止孔に対して弾性筒部材が筒径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記弾性筒部材内に、該弾性筒部材の内径よりも大なる外径部位を備えたテーパー状で、且つ、先端側の最小外径が前記弾性筒部材の内径と同一又はそれよりも小に形成された係合部材が筒径方向内方側から圧入されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記両筒部の嵌合接続部分における特定部位に形成された両係止孔に対して筒径方向内方側から係合部材を挿入装着する際、前記両係止孔にわたって挿入装着された弾性筒部材に対してテーパー形状の係合部材を筒径方向内方側から圧入することにより、この圧入に連れて両係止孔の内周面と係合部材の外周面との間で弾性筒部材が圧縮され、係合部材の楔効果を利用して両係止孔に確実に抜止め保持させることができる。
【0023】
しかも、前記係合部材の先端側の最小外径が弾性筒部材の内径と同一又はそれよりも小に形成されているので、両係止孔に挿入装着されている弾性筒部材に対して係合部材を簡単にセットすることができる。
【0024】
したがって、前記係合部材の離脱防止機能を維持するための抜け出し抑制手段を設けながらも、このテーパー形状の係合部材を両係止孔に挿入装着されている弾性筒部材に対して圧入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0025】
本発明による第6の特徴構成は、前記係合部材の筒径方向中間部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている点にあり、また、本発明による第7の特徴構成は、前記係合部材の筒径方向外方側部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている点にある。
【0026】
上記構成によれば、前記係合部材を被覆する弾性被覆層により、該係合部材の少なくとも流体と触れる部位の腐食を抑制することができるとともに、前記弾性被覆層の一部が係合部材の外周面と両筒部の被係合部の内面との間に入り込むことによって、両筒部の流路方向でのガタツキを抑制すると同時に、地震や不同沈下等に起因する曲げモーメント等の外力が作用したとき、前記弾性被覆層の弾性変形によって現出される空間の範囲内で両筒部を相対的に屈曲させることにより、前記外力を吸収して流体経路における脆弱部での破損を抑制することができる。
しかも、このための弾性被覆層を利用して、前記係合部材の離脱防止機能を維持するための抜け出し阻止機能を発揮させる係止部を製作面で有利に構成することができる。
【0027】
本発明による第8の特徴構成は、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って隣接配置される両管部であり、他方の大径側筒部が、前記両管部に密封状態で外嵌接続される管継ぎ輪であって、前記両管部と管継ぎ輪の流路方向両側部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている点にある。
【0028】
上記構成によれば、前記流路方向に沿って隣接配置される一方の管部の特定部位に形成された被係合部とこれに筒径方向で相対向する管継ぎ輪の一側部に形成された被係合部とにわたって筒径方向内方側から係合部材を挿入装着し、かつ、他方の管部の特定部位に形成された被係合部とこれに筒径方向で相対向する管継ぎ輪の他側部に形成された被係合部とにわたって筒径方向内方側から係合部材を挿入装着することにより、両管部と管継ぎ輪との流路方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。
【0029】
しかも、前記両管部の被係合部と管継ぎ輪の被係合部とにわたって装着された係合部材に対して、他の部位での被係合部の切削加工等に起因する振動が作用しても、前記抜け出し抑制手段による移動抵抗付与作用によって、前記被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動を抑制することができる。
【0030】
さらに、前記内面バンドを、前記両管部の内周面にわたって当て付けた状態で装着し、この内面バンドを圧着手段で両管部の内周面に押し付け固定することにより、前記係合部材の筒径方向内方側が流路から区画された状態で密封されるため、両管部と管継ぎ輪との間のシール性能の向上を図ることができるとともに、前記係合部材の腐食を抑制することができる。
【0031】
本発明による第9の特徴構成は、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って配置される挿口管部であり、他方の大径側筒部が、前記挿口管部に対して密封状態で外嵌接続される受口管部であって、前記挿口管部と受口管部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている点にある。
【0032】
上記構成によれば、前記挿口管部の特定部位に形成された被係合部とこれに筒径方向で相対向する受口管部に形成された被係合部とにわたって筒径方向内方側から係合部材を挿入装着することにより、両管部と管継ぎ輪との流路方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。しかも、前記両管部の被係合部にわたって装着された係合部材に対して、他の部位での被係合部の切削加工等に起因する振動が作用しても、前記抜け出し抑制手段による移動抵抗付与作用によって、前記被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動を抑制することができる。
【0033】
さらに、前記内面バンドを、前記両管部の内周面にわたって当て付けた状態で装着し、この内面バンドを圧着手段で両管部の内周面に押し付け固定することにより、前記係合部材の筒径方向内方側が流路から区画された状態で密封されるため、両管部と管継ぎ輪との間のシール性能の向上を図ることができる。
【0034】
本発明による第10の特徴構成は、上述の1〜9のいずれか一つの特徴構成を備えた継手部の離脱防止構造の施工に用いられる穿孔装置であって、前記筒部の内壁に対して筒径方向から突っ張り状態で固定ならびに固定解除可能な突っ張り固定手段に、筒部の軸芯又は略軸芯周りで相対回転可能な回転機枠と、該回転機枠を強制回転させる強制回転手段を設けるとともに、前記回転機枠には、前記両筒部にわたって筒径方向から前記被係合部を形成可能な回転穿孔手段と、該回転穿孔手段を筒径方向に移動させる径方向送込み手段と、前記回転穿孔手段を筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って移動させる周方向送込み手段と、前記回転機枠を筒部の内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段が設けられている点にある。
【0035】
上記構成によれば、例えば、前記筒部の内壁の周方向複数箇所の特定部位に被係合部である円形状の係合孔を形成する場合には、前記筒部内の設定作業位置で突っ張り固定手段を固定操作し、前記回転機枠に設けられた回転穿孔手段を内壁の設定穿孔位置に位置させ、この状態で前記径方向送込み手段にて回転穿孔手段を筒径方向に設定量だけ送り込み移動させることにより、前記筒部の内壁の特定部位に被係合部である円形状の係合孔を形成することができる。
【0036】
また、前記筒部の内壁の周方向複数箇所の特定部位に被係合部である長円形状の係合孔を形成する場合には、前記筒部内の設定作業位置で突っ張り固定手段を固定操作し、前記回転機枠に設けられた回転穿孔手段を内壁の設定穿孔位置に位置させ、この状態で前記径方向送込み手段にて回転穿孔手段を筒径方向に設定量だけ送り込み移動させるとともに、前記周方向送込み手段にて回転穿孔手段を筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って設定量だけ送り込み移動させることにより、前記筒部の内壁の特定部位に被係合部である長円形状の係合孔を形成することができる。
この長円形状の係合孔は、前記回転穿孔手段が筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って回動するため、筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも筒径方向外方側ほど内部横断面積が次第に大となる。換言すれば、前記長円形状係合孔は、それの周方向長さが開口位置よりも筒径方向外方側ほど大となるテーパー状に形成されることになり、特に、上述の第3・第4特徴構成においては、前記係合部材の筒径方向外方側部位に設けられている係止部が、大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過したのち、前記テーパーによって長円形状係合孔の内周面に形成される拡大内部空間(係合凹部)において拡張することにより、前記係合部材の係止部を大径側筒部の被係合部の内部(係合凹部)に係止させることができる。
【0037】
さらに、一つの設定穿孔位置での穿孔作業が終了すると、前記強制回転手段にて回転機枠を突っ張り固定手段に対して強制回転させる際、前記回動案内手段にて回転機枠を筒部の内壁に沿って円周方向に沿ってスムーズに回動案内することができる。
【0038】
しかも、前記突っ張り固定手段が固定解除操作された状態では、前記回動案内手段による案内機能を利用して機体を支持することができるから、突っ張り固定手段の突っ張り固定位置の変更及び流路に沿っての移動を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
〔第1実施形態〕
図1〜図3は、水道管やガス管等の流体管Pの配管系に用いられる管継手部(継手部)の一例を示し、この管継手部では、下流路方向に沿って隣接配置される鋳鉄製の両流体管Pの接続管部(小径側筒部の一例)1にわたって、当該両接続管部1に対して管軸芯X方向(流路方向)から鋳鉄製の管継ぎ輪(大径側筒部の一例)2が外嵌接続され、この管継ぎ輪2の内周面2aにおける両嵌合接続部位には、管径方向(筒径方向)外方に窪む横断三角形状の抜止め用環状溝2bが形成されているとともに、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間に形成される環状空間Sで、且つ、前記両抜止め用環状溝2bよりも管継ぎ輪2の管軸芯X方向中央側に少し偏倚した部位には、前記環状空間Sを密封処理する麻等のシール部材3が充填され、さらに、前記環状空間Sにおける前記両シール部材3の管軸芯X方向外側に連続する領域には、離脱阻止部材としての鉛4を前記両抜止め用環状溝2b含めた環状空間部分全体にわたる状態で充填することにより、前記両流体管Pの接続管部1と管継ぎ輪2とが嵌合接続状態で抜止め保持されている。
【0040】
前記両シール部材3及び鉛4をもって、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間を密封する密封手段Aが構成されている。
【0041】
そして、上記管継手部に適用される本発明の離脱防止構造は、図1〜図3に示すように、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1bにおける前記管継ぎ輪2の管軸芯X方向長さよりも大きな領域にわたって、全体が密封用の弾性シール層に構成されている円環状のゴム製の内面バンド5が装着され、この内面バンド5の管軸芯X方向両端部及び中央部を接続管部1の内周面1bに押し付け固定する圧着手段Bと、前記内面バンド5で密封される部位において前記両流体管Pの接続管部1と管継ぎ輪2とを管軸芯X方向での相対移動を阻止する状態で固定連結する固定連結手段Cが設けられているとともに、前記内面バンド5と圧着手段Bとをもって、前記固定連結手段Cを構成する係合部材の一例である係合ピン21を管内部に対して密封状態で覆う管内密封手段Dが構成され、さらに、前記両流体管Pの接続管部1に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔19と管継ぎ輪2に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔20とにわたって挿入装着された前記係合ピン21の管径方向内方側への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eが設けられている。
【0042】
前記内面バンド5は、図1〜図3に示すように、両流体管Pの接続管部1における内周面1bの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に成形されており、この内面バンド5の外周面における管軸芯X方向両側部及び中央部から管径方向外方側に突出形成された環状基台部5Aの各々には、モルタルライニング層7が剥離処理された両流体管Pの接続管部1の内周面1bに接触する複数個(当該実施形態では3個)の横断面半円形状の円環状シール部5aが管軸芯X方向に所定ピッチで一体形成されている。
【0043】
前記内面バンド5の管軸芯X方向両端部5Bの各々は、モルタルライニング層7が剥離処理された両流体管Pの接続管部1の内周面1bに対して前記円環状シール部5aと略同じシール状態で接触するべく、前記円環状シール部5aの先端を通る管軸芯X方向の仮想鉛直線と同じ位置まで管径方向外方側に屈曲形成されているとともに、前記内面バンド5の外周面における環状基台部5Aの隣接間には、前記固定連結手段Cの係合ピン21の管径方向内端側が入り込み可能な環状凹部5Cが形成され、この環状凹部5Cの底面と前記係合ピン21の管径方向内端との対向面間隔が、当該係合ピン21の管径方向外端部と前記管継ぎ輪2との係合深さよりも小に設定されている。
【0044】
また、前記内面バンド5の内周面における少なくとも管軸芯X方向の4箇所(当該実施形態では6箇所)には環状リブ5Dが一体形成され、この環状リブ5Dの隣接間に形成される環状溝5Eのうち、前記環状基台部5Aに対応する三つの環状溝5Eが、前記圧着手段Bを構成する三つの圧着具に対する装着用環状溝に構成されている。
【0045】
前記内面バンド5を構成する粘弾性高分子材料としては、天然ゴム、イソプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等を挙げることができる。
【0046】
前記圧着手段Bを構成する三つの圧着具の各々は、図4〜図8に示すように、前記内面バンド5の装着用環状溝5Eの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に湾曲形成され、かつ、その周方向の一箇所で分断された管径方向(拡径側と縮径側)に弾性変形可能な金属製の圧着帯状体10の内周面の両端部には、管径方向内方に突出する角柱状の係止突起11が設けられているとともに、前記両係止突起11に対して管径方向内方側から係脱自在な係止凹部12aを形成してある係止体12を備え、かつ、両係止体12を内面バンド5の内周面に沿って離間移動させる拡径操作機構B1と、該拡径操作機構B1で拡径された間隔で両係止突起11を固定連結する固定連結機構B2とが設けられている。
【0047】
前記拡径操作機構B1は、両側に螺合方向が逆となる右用と左用のネジ部13aが形成されている操作ネジ軸13のネジ軸芯方向中央位置に断面六角形の回転操作部13bを形成するとともに、前記両回転操作部13bに回転自在に枢支された枢支ピン14には、前記操作ネジ軸13の両ネジ部13aに螺合されるネジ孔を形成して、前記操作ネジ軸13の回転操作部13bの回転操作によって前記両枢支ピン14をネジ軸芯方向に沿って遠近方向に移動させるように構成されている。
【0048】
前記固定連結機構B2を構成するに、前記両係止突起11に形成された管軸芯X方向に沿うネジ孔11aに対してボルト15で螺合固定される固定連結板16の片面に、内面バンド5の内周面に沿って前記圧着帯状体10の両端面間に入り込み可能な先端側ほど幅狭となる両傾斜面17aを備えた台形状の間隔保持板17Aと、該間隔保持板17と同一形状のガイド板17Bとが、前記圧着帯状体10の内周面の両端部に固着される外れ止め板18の厚みに相当する間隔を隔てて固着されている。
【0049】
他方、前記圧着帯状体10の両端面には、前記間隔保持板17Aの両傾斜面17aに当接可能な同一勾配の傾斜面10aが形成されているとともに、前記外れ止め板18が、圧着帯状体10の両傾斜面10aに当て付けられた間隔保持板17Aの管径方向内方への外れ移動を接当阻止するべく、前記傾斜面10aよりも間隔保持板17Aの進入経路側に張り出す状態で圧着帯状体10の内周面の両端部に固着されている。
【0050】
さらに、前記固定連結板16のボルト挿通孔16aは、前記拡径操作機構B1の拡径操作に伴う両係止突起11のネジ孔11aの中心間隔(取付け間隔)の変動を吸収可能な長孔に構成されている。
【0051】
そして、前記拡径操作機構B1の拡径操作で圧着帯状体10が内面バンド5の内周面に所定押圧力で押し付け固定されたとき、前記固定連結機構B2の間隔保持板17Aの両傾斜面17aを、前記圧着帯状体10の両端面に形成された傾斜面10aに当て付け、この状態で固定連結板16の両ボルト挿通孔16aに挿通されたボルト15を圧着帯状体10の両係止突起11のネジ孔11aに螺合固定する。
【0052】
前記固定連結手段Cは、図1〜図3に示すように、両流体管Pの接続管部1のうち、モルタルライニング層7が剥離されている領域の端部近傍箇所における周方向複数の特定箇所と、これに管径方向で相対向する管継ぎ輪2の両嵌合接続部位における周方向複数の特定箇所に、管内部に搬入した穿孔装置によって管径方向で連通する被係合部の一例である円形状の係合孔19,20を管径方向内方に開口する状態で形成し、各管径方向で連通する係合孔19,20にわたって、係合部材の一例である円柱状の係合ピン21を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持することにより、前記内面バンド5で密封される部位において、両管部1,2を管軸芯X方向での相対移動を阻止した状態で固定連結するように構成されている。
【0053】
そして、地震や不同沈下等に起因して管継手部に引張力が作用したとき、この引張力を、前記内面バンド5で密封される部位において前記両流体管Pの接続管部1と管継ぎ輪2とを管軸芯X方向での相対移動を阻止する状態で固定連結する固定連結手段Cの複数の係合ピン21によっても受止めることができるから、前記係合ピン21が剪断又は変形して外れない限り、両管部1,2が接続維持範囲を越えて離脱移動することを強力に阻止することができる。
【0054】
さらに、前記抜け出し抑制手段Eを構成するに、図9、図10に示すように、略円柱状の各係合ピン21の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位に、前記両係合孔19,20の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで係合ピン21の外周面を被覆処理する弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層を構成する有底筒状の防蝕ゴム筒体22が固着されているとともに、前記防蝕ゴム筒体22の管径方向中間部位には、前記両流体管Pの接続管部1の係合孔19に対して弾性復元力に抗して縮径変形させた収縮状態(縮径状態)で通過可能で、且つ、通過後に前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間に形成されている環状空間Sにおいて弾性復元力で拡径変形して、接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に拡張状態で抜止め係止可能な鍔状(円環状)の係止部22Aが外方に一体的に張り出し形成されている。
【0055】
そして、前記両流体管Pの接続管部1の周方向複数箇所に形成された係合孔19と管継ぎ輪2の両嵌合接続部位の周方向複数箇所に形成された係合孔20とにわたって係合ピン21を挿入したとき、該係合ピン21に被覆処理された防蝕ゴム筒体22の圧縮によって前記両係合孔19,20の内周面との間で発生する摩擦抵抗と、前記両接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの間に存在する環状空間Sを利用して弾性復元力で拡張された係止部22Aが接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に係止することによる係止作用とにより、挿入装着された前記係合ピン21の管径方向内方への抜け出し移動を効果的に防止することができる。
【0056】
この第1実施形態では、前記抜け出し抑制手段Eを、係合ピン21に被覆処理された防蝕ゴム筒体22と前記両係合孔19,20の内周面との間で発生する摩擦抵抗と、前記防蝕ゴム筒体22に一体形成されている係止部22Aが接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に係止することによる係止作用とから構成したが、前記係止部22Aによる係止作用だけで構成してもよい。
【0057】
前記穿孔装置は、図11〜図15に示すように、前記流体管Pの接続管部1の管内壁の円周方向における任意の位置に対して管径方向から突っ張り状態で固定保持並びに固定解除操作自在な突っ張り固定手段Fに、前記流体管Pの管軸芯X又は略管軸芯周りで相対回転可能な回転機枠30と、該回転機枠30を強制回転させる強制回転手段Gを設けるとともに、前記回転機枠30には、前記接続管部1と管継ぎ輪2とにわたって管径方向内方側から前記両係合孔19,20を形成可能な回転穿孔手段Hと、該回転穿孔手段Hを管径方向に移動させる径方向送込み手段Jと、前記回転穿孔手段Hを接続管部1の管軸芯X又は略管軸芯X周りで円周方向に沿って移動させる周方向送込み手段Kと、前記回転機枠30を接続管部1の管内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段Lが設けられている。
【0058】
前記突っ張り固定手段Fは、図12、図13に示すように、回転穿孔手段Hの回転穿孔具31として選択的に装着される穿孔ドリル又はエンドミルの回転中心線と平行に配設される一対の第1支柱軸32Aの中間部に横桟部材32Bを架設して、略H字状の保持枠体32を枠組み構成し、この保持枠体32の両第1支柱軸32Aの一端部には、管壁面に対して管径方向に沿う方向から当接する円柱状の当接部材33を設けるとともに、前記両第1支柱軸32Aの他端部に形成されたネジ軸32aには、これのネジ軸芯方向に移動自在な略T字状の押圧部材34と、該押圧部材34を接続管部1の管内壁に向かって管径方向外方に押し出し移動させるナット35を装着して構成されている。
【0059】
前記両当接部材33の管軸芯方向両端面のうち、管軸芯方向で同じ側に位置する端面にわたって第1補強板36が固定連結されているとともに、前記両押圧部材34も同様に、管軸芯方向で同じ側に位置する端面にわたって第2補強板37が固定連結されている。
【0060】
前記回転機枠30は、回転穿孔具31の回転中心線と平行に配設される一対の第2支柱軸30Aの長手方向二箇所に横桟部材30Bを架設して枠組み構成されているとともに、前記突っ張り固定手段Fの横桟部材32Bに対して管軸芯X又は略管軸芯周りで回転自在に枢支連結されている。
【0061】
前記強制回転手段Gは、前記突っ張り固定手段Fに相対回転自在に支持されている前記回転機枠30の回転軸部に連動された減速ギア機構40とこれに連動された駆動源の一例である第1電動モータ41から構成されているとともに、この第1電動モータ41と減速ギア機構40をもって、前記回転穿孔手段Hを接続管部1の管軸芯X又は略管軸芯X周りで円周方向に沿って移動させる前記周方向送込み手段Kが兼用構成されている。
【0062】
前記回転穿孔手段Hは、図14、図15に示すように、前記回転機枠30の両横桟部材30Bのうち、穿孔中心線Yに対してそれと直交する方向に等間隔をおいて穿孔中心線Yと平行な方向で相対向する部位に架設された一対の摺動ガイド軸43に、駆動源の一例である第2電動モータ44から回転穿孔具31への動力伝達系の減速機構を内装する減速ケース45を摺動自在に取付けるとともに、前記減速ケース45の軸受け部46と管内壁側に位置する横桟部材30Bに設けた軸受け部47とにわたって、前記回転穿孔具31を付け替え可能に取付けるためのチャック部48を備えた駆動回転軸49が、前記減速ケース45と一体的に移動する状態で回転自在に支承されている。
【0063】
前記径方向送込み手段Jは、図14、図15に示すように、前記駆動回転軸49の他端部に形成した凹部49Aに、該駆動回転軸49の軸芯周りで相対回転のみ自在なネジ駒50を内嵌保持するとともに、前記管軸芯X側に位置する横桟部材30Bには、前記ネジ駒50に螺合する送り操作軸51が回転のみ自在に支承され、この送り操作軸51の他端部には、これとネジ駒50との相対回転によって駆動回転軸49に送り力又は戻り力を付与するための減速機構52付の第3電動モータ53が設けられている。
【0064】
また、前記周方向送込み手段Kが兼用構成されている強制回転手段Gの第1電動モータ41、前記回転穿孔手段Hの第2電動モータ44、径方向送込み手段Jの第3電動モータ53を駆動制御する制御部54において、前記接続管部1と管継ぎ輪2に対する穿孔位置データ、径方向の送り込みデータ、周方向の送込みデータ等の穿孔作業データを入力することにより、前記接続管部1と管継ぎ輪2に対して管径方向内方側から設定深さ、設定形状の両係合孔19,20を形成することができる。
【0065】
前記穿孔作業データにおける周方向の送込みデータが零設定の場合には、前記両係合孔19,20が穿孔軸芯方向視において真円形状となり、また、周方向の送込みデータが設定送込み数値に設定されている場合には、前記両係合孔19,20が穿孔軸芯方向視において長孔形状になる。
前者の場合は、前記回転穿孔具31として穿孔ドリルを使用し、後者の場合は、前記回転穿孔具31としてエンドミルを使用する。
【0066】
前記回動案内手段Lは図11〜図13に示すように、前記回転機枠30の両第2支柱軸30Aの一端部に、管壁面に対して管径方向に沿う方向から当接する回転自在な転輪55を備えた支持体56を設けるとともに、前記両第2支柱軸30Aの他端部に形成されたネジ軸30aには、これのネジ軸芯方向に移動自在で、且つ、管壁面に対して管径方向に沿う方向から当接する回転自在な転輪57を備えた押圧体58と、該押圧体58を接続管部1の管内壁に向かって管径方向外方に押し出し移動させるナット59を装着して構成されている。
【0067】
この第1実施形態では、図1、図3に示すように、前記両流体管Pの接続管部1が、それらの端面間に間隙が発生している状態で管継ぎ輪2にて接続された場合を例示したため、前記管継ぎ輪2の内周面2aと両接続管部1の端面とで形成される環状凹部60内に、両接続管部1の内周面1bと同径の内周面61a及び管継ぎ輪2の内周面2aと同径の外周面61bを備えた円環状のゴム製のスペーサー61が装着されている。
尚、前記両流体管Pの接続管部1の端面同士が管軸芯X方向から当接している又は近接している場合には、前記スペーサー61を設ける必要はない。
【0068】
また、上述の第1実施形態では、前記各係合ピン21の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位を弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層で被覆処理したが、前記各係合ピン21の外周面全域を弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層で被覆処理してもよい。
【0069】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間に介装された前記両シール部材3及び鉛4をもって、前記両流体管Pの接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間を密封する密封手段Aを構成したが、図16に示すように、前記密封手段Aを構成するに、前記管継ぎ輪2の両端部の連結フランジ部2Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔2c、及び、押輪6の連結フランジ部6Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔6aのうち、管軸芯X方向で相対向するボルト挿通孔2c,6aにわたって挿入されるT字状のボルト8Aと、該ボルト8Aの突出ネジ部に螺合されるナット8Bを設け、このボルト8A・ナット8Bの締付け操作に伴う押輪6と管継ぎ輪2の連結フランジ部2Aとの管軸芯X方向での相対近接移動により、押輪6の管軸芯X方向の一端部に形成されたシール押圧部6bでシール材であるパッキン9を圧縮変形させ、接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの対向面間を密封すると同時に、このパッキン9の圧縮に伴う圧接力によって接続管部1と管継ぎ輪2とを嵌合接続状態で抜止め保持するように構成してもよい。
【0070】
この第2実施形態で用いられる前記固定連結手段C及び前記抜け出し抑制手段Eは、第1実施形態と同一であり、前記両流体管Pの接続管部1の周方向複数箇所に形成された係合孔19と管継ぎ輪2の両嵌合接続部位の周方向複数箇所に形成された係合孔20とにわたって係合ピン21を挿入したとき、該係合ピン21に被覆処理された防蝕ゴム筒体22の圧縮によって前記両係合孔19,20の内周面との間で発生する摩擦抵抗と、前記両接続管部1の外周面1aと管継ぎ輪2の内周面2aとの間に存在する環状空間Sを利用して弾性復元力で拡張された係止部22Aが接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁に係止することによる係止作用とにより、挿入装着された前記係合ピン21の管径方向内方への抜け出し移動を効果的に防止することができる。
【0071】
また、前記接続管部1の外周面1aにおける係合孔19の開口周縁の近傍に、環状空間Sでの係止部22Aの弾性復元力による拡張を阻害するものが存在しない場合には、前記係止部22Aの全周が係合孔19の開口周縁に係止することになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0072】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部のうち、前記小径側筒部を、流路方向に沿って隣接配置される両管部の一例である両流体管Pの接続管部1から構成し、前記大径側筒部を、前記両接続管部1に密封状態で外嵌接続される管継ぎ輪2から構成したが、図17、図18に示すように、前記小径側筒部を、流路方向に沿って配置される挿口管部24から構成し、前記大径側筒部を、前記挿口管部24に対して密封状態で外嵌接続される受口管部25から構成してもよい。
【0073】
前記受口管部25の連結フランジ部25Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔及び、押輪27の連結フランジ部27Aの周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔のうち、管軸芯X方向で相対向するボルト挿通孔にわたって挿入されるT字状のボルト28Aと、該ボルト28Aの突出ネジ部に螺合されるナット28Bを設けて、前記ボルト28A・ナット28Bの締付け操作に伴う押輪27と受口管部25との管軸芯X方向での相対近接移動により、押輪27の管軸芯X方向の一端部に形成されたシール押圧部27aでシール材29を圧縮変形させ、挿口管部24の外周面24aと受口管部25の内周面25aとの対向面間を密封すると同時に、このシール材29の圧縮に伴う圧接力によって受口管部24と挿口管部25とを接続状態で抜止め保持している。
【0074】
また、この第3実施形態では、前記挿口管部24及び受口管部25に対して管径方向内方側から形成される前記両係合孔19,20が、穿孔軸芯方向視(周方向断面視)において長孔形状に形成され、前記両係合孔19,20にわたって係合される前記係合部材が長円柱状の係合ピース26に構成されている。
【0075】
前記挿口管部24側の長円貫通孔形状の係合孔19及び前記受口管部25側の長円溝形状の係合孔20の各々は、前記回転穿孔手段Hの回転穿孔具31が管軸芯X又は略管軸芯周りで円周方向に沿って送られるため、管径方向内方側への開口位置における横断面積よりも管径方向外方側ほど内部横断面積が次第に大となる。換言すれば、前記長円貫通孔形状の係合孔19及び長円溝形状の係合孔20は、それの周方向長さが開口位置よりも管径方向外方側ほど大となるテーパー状に形成されることになり、当該両係合孔19,20における円周方向両端のテーパー状端面19a,20aとこれらにわたって係合された係合ピース26の円周方向両端面26aとの対向面間に、径方向外方側ほど円周方向幅が大となる管軸芯X方向視において三角形状の係止空間(内部空間)が形成されている。
【0076】
前記両係合孔19,20における円周方向両端のテーパー状端面19a,20aと係合ピース26の円周方向両端面との対向面間にて三角形状の係止空間が形成されるが、前記挿口管部24側の係合孔19における係止空間の形成領域が小さいため、実質的に係止機能が有効に働くのは受口管部25側の係合孔20における係止空間となる。
【0077】
そのため、当該実施形態においては、前記挿口管部24に形成された長円形状の係合孔19と前記受口管部25に形成された長円溝形状の係合孔20とにわたって挿入装着された前記係合ピース26の管径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eを構成するに、前記係合ピース26の外周面全域に、前記両係合孔19,20の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層22が被覆処理されている。
【0078】
前記防蝕ゴム層22の円周方向両端部には、挿口管部24の係合孔19及び受口管部25の係合孔20における開口に対して収縮状態(縮径状態)で通過可能で、かつ、開口通過後に両係合孔19,20内の係止空間に拡張状態で係止可能な縦断面三角形状の厚肉部分が一体形成され、この三角形状厚肉部分のうち、受口管部25の係合孔20に対応する管径方向外方側部位が実質的に係合孔20内の係止空間に拡張状態で係止可能な第1係止部22Bに構成されているとともに、前記防蝕ゴム層22の管径方向中間部位には、挿口管部24の係合孔19に対して弾性復元力に抗して縮径変形させた収縮状態(縮径状態)で通過可能で、且つ、通過後に前記挿口管部24の外周面24aと受口管部25の内周面25aとの対向面間に形成されている環状空間Sにおいて弾性復元力で拡径変形して、挿口管部24の外周面24aにおける係合孔19の開口周縁に拡張状態で抜止め係止可能な鍔状(円環状)の第2係止部22Cが外方に一体的に突出形成されている。
【0079】
前記挿口管部24側の長円貫通孔形状の係合孔19及び前記受口管部25側の長円溝形状の係合孔20に対して管径方向内方側から係合ピース26を挿入装着する際、当該係合ピース26に被覆処理された防蝕ゴム層22のうち、管径方向外方側部位に形成されている第1係止部22Bを、挿口管部24の係合孔19及び受口管部25の係合孔20における開口に対して収縮状態で通過させたのち、開口位置よりも拡大形成されている受口管部25の係合孔20の係止空間において拡張させることにより、第1係止部22Bを受口管部25の係合孔20の内部に係止させることができる。
【0080】
さらに、前記防蝕ゴム層22の管径方向中間部位に設けられている第2係止部22Cを収縮状態で挿口管部24の係合孔19を通過させたのち、前記挿口管部24の外周面24aと受口管部25の内周面25aとの間に存在する環状空間Sを利用して拡張させることにより、第2係止部22Cを挿口管部24の外周面24aにおける係合孔19に係止させることができる。
【0081】
それ故に、前記係合ピース26に被覆処理された防蝕ゴム層22の二箇所に設けた両係止部22B,22Cによって離脱防止機能を維持するための抜け出し阻止機能を高めながらも、この係合ピース26を両係合孔19,20に挿入操作するだけで済み、装着操作の簡便化を促進することができる。
【0082】
また、この第3実施形態では、前記内面バンド5の内周面における管軸芯X方向の3箇所には環状リブ5Dが一体形成され、この環状リブ5Dの隣接間に形成される二つの環状溝5Eが、前記圧着手段Bを構成する二つの圧着具に対する装着用環状溝に構成されている。
【0083】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、当該第3実施形態では、前記係合ピース26に被覆処理された防蝕ゴム層22に、前記受口管部25の係合孔20内の係止空間に拡張状態で係止可能な第1係止部22Bと、前記挿口管部24の外周面24aにおける係合孔19の開口周縁に抜止め係止可能な第2係止部22Cとを形成したが、前記第1係止部22B又は第2係止部22Cのいずれか一方だけを形成して実施してもよい。
【0084】
〔第4実施形態〕
図19、図20は、前記両流体管Pの接続管部1に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔19と管継ぎ輪2に形成された被係合部の一例である円形状の係合孔20とにわたって挿入装着された係合ピン(係合部材の一例)21の管径方向内方側への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段Eの別実施形態を示す。
この抜け出し抑制手段Eを構成するに、前記接続管部1の係合孔19の内径D1と管継ぎ輪2の係合孔20の内径D2とが同一に構成され、前記筒径方向で連通する両係合孔19,20に対して、内径及び外径が管径方向(筒径方向)で同一となるストレート形状に形成され、且つ、外周面の外径D3が係合孔19,20の内径D1,D2と同一又は略同一に構成された有底筒状の防蝕ゴム製等の弾性筒部材70が管径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記弾性筒部材70内には、該弾性筒部材70の内径D4よりも大径な部位を備えたテーパー形状に形成され、それの先端側の最小外径D5が弾性筒部材70の内径D4と同一(又はそれよりも少し小)に形成されている係合ピン21が管径方向内方側からハンマー等による叩き込み操作で圧入されている。
【0085】
尚、その他の構成は、第1・第2実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1・第2実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0086】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、流路を構成する状態で両筒部を嵌合接続してある継手構造として、両流体管Pの接続管部1同士を管継ぎ輪2で嵌合接続してある継手構造及び、前記挿口管部24と受口管部25とを嵌合接続してある継手構造を例に挙げて説明したが、バルブ等の流体機器の接続筒部と流体管とを直接又は継ぎ輪を介して嵌合接続する継手構造にも本発明の技術を適用することができる。
【0087】
(2)上述の第1〜第3実施形態では、前記係合部材である係合ピン21又は係合ピース26に被覆処理された弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層(有底筒状の防蝕ゴム筒体22等)に係止部(抜止め用係止部22A,第1係止部22B,第2係止部22C)を一体形成したが、前記係合ピン21又は係合ピース26の係止形成箇所に弾性材料製の係止部を固着してもよい。
また、前記係止部を、前記係合部材に対して起伏揺動自在に設けられる係止体と該係止体を起立する係止姿勢に付勢するコイルバネ等の弾性付勢体から構成してもよい。
【0088】
(3)上述の第1実施形態では、前記内面バンド5の内周面における管軸芯X方向の3箇所を、圧着手段Bを構成する三つの圧着具で押圧するように構成したが、前記内面バンド5の内周面における管軸芯X方向両側部を二つの圧着具で押圧するように構成してもよく、さらに、前記内面バンド5の内周面全体を一つの圧着具で押圧するように構成してもよい。
【0089】
(4)前記密封手段Aとしは、小径側筒部の外周面と大径側筒部の内周面との対向面間を密封することのできるものであれば、如何なる密封構造を採用してもよい。
【0090】
(5)前記流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部として、上述の第1,第2,第4実施形態では、前記流体管Pの接続管部1とそれに外嵌装着される管継ぎ輪2を例に挙げて説明し、また、第3実施形態では、挿口管部24とこれに対して密封状態で外嵌接続される受口管部25を例に挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。
例えば、フランジ接合された両流体管の接続管部とそれの内周面にわたって挿入装着される連結筒体とを、前記両接続管部の周方向複数箇所に形成された係合孔と連結筒体の両嵌合接続部位の周方向複数箇所に形成された係合孔とにわたって挿入される係合部材を介して固定連結してある管継手部構造において、前記両筒部が一方の流体管の接続管部と連結筒体とから構成されていてもよい。
さらに、前記両筒部の一方又は両方が仕切弁等の流体機器の接続筒部であってもよい。
要するに、前記両筒部としては、結果的に流路を構成する状態で嵌合接続されるものであればよく、また、流体管や流体機器等の全体又は一部を構成する筒部であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による継手部の離脱防止構造の第1実施形態を示す全体の断面側面図
【図2】全体の断面正面図
【図3】離脱防止構造の要部の拡大断面側面図
【図4】拡径操作機構の装着前の断面正面図
【図5】拡径操作機構の装着前と装着後を示す要部の拡大斜視図
【図6】固定連結機構の装着前と装着後を示す要部の拡大斜視図
【図7】固定連結機構の装着後における全体の断面正面図
【図8】圧着帯状体に固定連結機構を取付けたときの内面側の断面側面図と外面側の側面図
【図9】係合ピンの拡大斜視図
【図10】係合ピンの挿入前の要部の拡大断面側面図
【図11】穿孔装置の正面図
【図12】穿孔装置を管内に突っ張り固定したときの断面側面図
【図13】穿孔装置の突っ張り固定手段に対して回転機枠を回動させたときの正面図
【図14】穿孔装置の回転穿孔手段及び管径方向送込み手段の拡大側面図
【図15】回転穿孔手段を管径方向に送込んだときの径方向送込み
【図16】本発明の第2実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図17】本発明の第3実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図18】本発明の第3実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図19】本発明の第4実施形態を示す要部の分解拡大断面側面図
【図20】弾性筒部材が挿入装着され、且つ係合ピンが圧入されたときの要部の拡大断面側面図
【符号の説明】
【0092】
B 圧着手段
E 抜け出し抑制手段
F 突っ張り固定手段
G 強制回転手段
J 径方向送込み手段
K 周方向送込み手段
L 回動案内手段
1 小径側筒部(接続管部)
2 大径側筒部(管継ぎ輪)
5 内面バンド
19 被係合部(係合孔)
20 被係合部(係合孔)
21 係合部材(係合ピン)
22 弾性被覆層(防蝕ゴム筒体)
22A 係止部(抜止め用係止部)
22B 係止部(第1係止部)
22C 係止部(第2係止部)
24 小径側筒部(挿口管部)
25 大径側筒部(受口管部)
26 係合部材(係合ピース)
30 回転機枠
31 回転穿孔具(穿孔ドリル又はエンドミル)
70 弾性筒部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部の嵌合接続部分における特定部位に、筒径方向内方側に開口する状態で互いに筒径方向で連通する被係合部が形成され、前記両被係合部にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材が筒径方向内方側から挿入装着されている継手部の離脱防止構造であって、
前記両筒部の被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段が設けられている継手部の離脱防止構造。
【請求項2】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に前記小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項3】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部のうち、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成されているとともに、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、通過後に前記大径側筒部の被係合部における内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項4】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に前記小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられているとともに、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成され、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記小径側筒部の被係合部及び大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、開口通過後に被係合部の内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項5】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部の被係合部が同一内径の係止孔から構成され、筒径方向で連通する両係止孔に対して弾性筒部材が筒径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記弾性筒部材内に、該弾性筒部材の内径よりも大なる外径部位を備えたテーパー状で、且つ、先端側の最小外径が前記弾性筒部材の内径と同一又はそれよりも小に形成された係合部材が筒径方向内方側から圧入されている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項6】
前記係合部材の筒径方向中間部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている請求項2又は4記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項7】
前記係合部材の筒径方向外方側部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている請求項3又は4記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項8】
前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って隣接配置される両管部であり、他方の大径側筒部が、前記両管部に密封状態で外嵌接続される管継ぎ輪であって、前記両管部と管継ぎ輪の流路方向両側部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項9】
前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って配置される挿口管部であり、他方の大径側筒部が、前記挿口管部に対して密封状態で外嵌接続される受口管部であって、前記挿口管部と受口管部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造の施工に用いられる穿孔装置であって、前記筒部の内壁に対して筒径方向から突っ張り状態で固定ならびに固定解除可能な突っ張り固定手段に、前記筒部の軸芯又は略軸芯周りで相対回転可能な回転機枠と、該回転機枠を強制回転させる強制回転手段を設けるとともに、前記回転機枠には、前記両筒部にわたって筒径方向から前記被係合部を形成可能な回転穿孔手段と、該回転穿孔手段を筒径方向に移動させる径方向送込み手段と、前記回転穿孔手段を筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って移動させる周方向送込み手段と、前記回転機枠を筒部の内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段が設けられている穿孔装置。
【請求項1】
流路を構成する状態で嵌合接続される両筒部の嵌合接続部分における特定部位に、筒径方向内方側に開口する状態で互いに筒径方向で連通する被係合部が形成され、前記両被係合部にわたって、両筒部の流路方向での相対移動を阻止する係合部材が筒径方向内方側から挿入装着されている継手部の離脱防止構造であって、
前記両筒部の被係合部に装着された係合部材の筒径方向内方への抜け出し移動に抵抗を付与する抜け出し抑制手段が設けられている継手部の離脱防止構造。
【請求項2】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に前記小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項3】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部のうち、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成されているとともに、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、通過後に前記大径側筒部の被係合部における内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項4】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記係合部材の筒径方向中間部位に、前記両筒部のうち、一方の小径側筒部の被係合部に対して収縮状態で通過可能で、且つ、通過後に前記小径側筒部の外周面における被係合部の開口周縁に拡張状態で係止可能な係止部が設けられているとともに、他方の大径側筒部の被係合部における内部横断面積がそれの筒径方向内方側への開口位置における横断面積よりも大に構成され、前記係合部材の筒径方向外方側部位には、前記小径側筒部の被係合部及び大径側筒部の被係合部における開口に対して収縮状態で通過可能で、かつ、開口通過後に被係合部の内部に拡張状態で係止可能な係止部が設けられている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項5】
前記抜け出し抑制手段を構成するに、前記両筒部の被係合部が同一内径の係止孔から構成され、筒径方向で連通する両係止孔に対して弾性筒部材が筒径方向内方側から挿入装着されているとともに、前記弾性筒部材内に、該弾性筒部材の内径よりも大なる外径部位を備えたテーパー状で、且つ、先端側の最小外径が前記弾性筒部材の内径と同一又はそれよりも小に形成された係合部材が筒径方向内方側から圧入されている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項6】
前記係合部材の筒径方向中間部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている請求項2又は4記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項7】
前記係合部材の筒径方向外方側部位に位置する係止部が、前記係合部材を被覆する弾性被覆層の一部を外方に張り出し形成して構成されている請求項3又は4記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項8】
前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って隣接配置される両管部であり、他方の大径側筒部が、前記両管部に密封状態で外嵌接続される管継ぎ輪であって、前記両管部と管継ぎ輪の流路方向両側部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項9】
前記両筒部のうち、一方の小径側筒部が、流路方向に沿って配置される挿口管部であり、他方の大径側筒部が、前記挿口管部に対して密封状態で外嵌接続される受口管部であって、前記挿口管部と受口管部との特定部位に形成された被係合部にわたって前記係合部材が装着されているとともに、前記係合部材の筒径方向内方側を密封する状態で前記両管部の内周面にわたって当て付けられる円環状の内面バンドと、該内面バンドを両管部の内周面に押し付け固定する圧着手段が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造の施工に用いられる穿孔装置であって、前記筒部の内壁に対して筒径方向から突っ張り状態で固定ならびに固定解除可能な突っ張り固定手段に、前記筒部の軸芯又は略軸芯周りで相対回転可能な回転機枠と、該回転機枠を強制回転させる強制回転手段を設けるとともに、前記回転機枠には、前記両筒部にわたって筒径方向から前記被係合部を形成可能な回転穿孔手段と、該回転穿孔手段を筒径方向に移動させる径方向送込み手段と、前記回転穿孔手段を筒部の軸芯又は略軸芯周りで円周方向に沿って移動させる周方向送込み手段と、前記回転機枠を筒部の内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段が設けられている穿孔装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−14167(P2010−14167A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173254(P2008−173254)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(500529676)名古屋市 (8)
【出願人】(397012923)大成機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(500529676)名古屋市 (8)
【出願人】(397012923)大成機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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