説明

網目状金属微粒子積層基板及び透明導電性基板の製造方法

【課題】
本発明は、透明性および耐モアレ性に優れた塗布ムラのない高品位の網目状金属微粒子積層基板を生産性よく製造することができる網目状金属微粒子積層基板の製造方法および網目状金属微粒子積層基板、ならびに、それを用いた透明導電性基板を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の網目状金属微粒子積層基板の製造方法は、基板の少なくとも片面に金属微粒子分散液を塗布することによって、基板上に金属微粒子層を網目状に積層する網目状金属微粒子積層基板の製造方法であって、金属微粒子分散液を塗布する面に表面処理した基板を、風速2〜10m/秒の気流雰囲気下を通過した後、金属微粒子分散液を塗布することを特徴とする、網目状金属微粒子積層基板の製造方法である。
また、本発明の網目状金属微粒子積層基板は、かかる製造方法によって製造されたものであること特徴とするものであり、また、本発明の透明導電性基板は、かかる網目状金属微粒子積層基板を用いたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性および耐モアレ性に優れた網目状金属微粒子積層基板の製造方法および該網目状金属微粒子積層基板を用いた透明導電性基板、電磁波シールド基板、プラズマディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明導電性基板は回路材料として様々な機器に用いられており、電磁波シールド基板や太陽電池用途として用いられている。
【0003】
電磁波シールド基板は家電用品、携帯電話、パソコン、テレビをはじめとした電子機器から放射された多種多様な電磁波を遮断、抑制する目的に用いられている。特に伸長著しいデジタル家電の中で、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイにおいても、本体から強力な電磁波が放出されており、周辺機器へのノイズ防止として、電磁波を遮断する部材として電磁波シールド基板が用いられている。また、PDPなどのディスプレイは、比較的近い距離で、かつ場合によっては長時間にわたり画像を観察するため、放出される電磁波の人体への影響も懸念されているため、これら電磁波を抑制する電磁波シールド基板が必要とされ、鋭意検討されている。
【0004】
一般に、ディスプレイパネルに用いられる電磁波シールド基板には、透明な導電性基板が用いられており、現行用いられている電磁波シールド基板用の導電性基板の製造方法には、各種の方法が採用されている。例えば、銅箔をポリエステルフィルムに貼り合わせ、フォトリソグラフィーで規則正しいメッシュ形状をパターン化し、該銅箔をメッシュ状にエッチングすることで、導電性部分が銅であるメッシュ状導電性フィルムを作成している(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、前述した従来の技術には次のような問題点がある。
【0006】
特許文献1に記載の銅箔をエッチングする方法は、非常に精度の高いメッシュ形状を得るには優れた方法であるが、銅箔を貼り合わせる工程、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程などにおいては、一般的に収率が悪く、各工程の製品ロスが発生しやすいという問題があった。特に、エッチング工程では有害な廃液が発生するなど環境面での課題も多い。更に、素材として銅箔を用い、かつその後、銅箔をエッチングして透過性を上げようとすると、エッチングによって該銅箔の多くの部分を溶かし出して廃液にする必要があり、素材リサイクルの面でも課題が多いものであった。
【0007】
また、この基板の格子状の銅箔層は規則的な構造を有しているため、モアレ現象が発生するという問題を有しているものでもあった。
【0008】
ここで、モアレ現象とは、「点または線が幾何学的に規則正しく分布したものを重ね合せた時に生ずる縞状の斑紋」であり、また広辞苑によれば、「点または線が幾何学的に規制正しく分布したものを重ね合わせた時に生ずる縞模様の斑紋。網版印刷物を原稿として網版を複製する時などに起こりやすい」との記載があり、プラズマディスプレイで言えば、画面上に縞模様状の模様が発生する。これは、ディスプレイの前面に設けられる電磁波シールド基板に格子状などの規則的なパターンが設けられている場合、ディスプレイ背面版の、RGB各色の画素を仕切る規則正しい格子状の隔壁などとの相互作用により、該モアレ現象が生じるものである。また、電磁波シールド基板に格子状などの規則的なパターンが設けられている場合、この格子の線幅が太いほど、このモアレ現象が発生しやすいという問題があった。
【0009】
そこで、特許文献2および特許文献3では、金属微粒子分散液を用いた網目状金属微粒子積層基板を製造する方法が提案され、該金属微粒子の塗布開始から塗布終了までの間、基板を特定条件下に置くことで、透明性および耐モアレ性に優れた網目状金属微粒子積層基板を得ることができているが、さらにより高い塗布品位の金属微粒子層を有する網目状金属微粒子積層基板が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−210988号公報
【特許文献2】特開2008−218860号公報
【特許文献3】特開2008−78441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、透明性および耐モアレ性に優れた高品位な網目状金属微粒子積層基板を生産性よく製造する方法、および該網目状金属微粒子積層基板を用いた透明導電性基板、電磁波シールド基板、プラズマディスプレイを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の網目状金属微粒子積層基板の製造方法は、基板の少なくとも片面に金属微粒子分散液を塗布することによって、基板上に金属微粒子層を網目状に積層する網目状金属微粒子積層基板の製造方法であって、風速2〜10m/秒の気流下に基板を置いた後に、金属微粒子分散液を塗布することを特徴とする、網目状金属微粒子積層基板の製造方法である。
【0013】
また、本発明の網目状金属微粒子積層基板は、かかる製造方法によって製造されたものであることを特徴とするものであり、また、本発明の透明導電性基板、電磁波シールド基板、プラズマディスプレイは、かかる網目状金属微粒子積層基板を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透明性および耐モアレ性のいずれにも優れ、高品位な網目状金属微粒子積層基板を連続で生産することができる。そして、金属微粒子層を形成する側の基板面にアンカーコート剤やプライマー剤をコーティングするなどの表面処理を施した後に、該基板面に金属微粒子分散液を塗布して、網目状金属微粒子積層基板を製造する場合においては、該表面処理後に本発明の製造方法を適用すると、透明性、耐モアレ性、および塗布品位という点で特に優れた網目状金属微粒子積層基板を製造することが可能である。また、本発明の網目状金属微粒子積層基板を用いた透明導電性基板は、透明性と高いレベルの導電性を有し、耐モアレ性にも優れるので電磁波シールド基板にも好適であり、またそれを用いることで、例えば、プラズマディスプレイパネルや液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の網目状金属微粒子積層基板における網目状の構造の一例を示す平面図である。
【図2】基板上の気流角度を測定する方法を説明する基板側面から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、前記課題、つまり透明性および耐モアレ性のいずれにも優れた、高品位な網目状金属微粒子積層基板の製造方法について、鋭意検討し、特定の条件を満たす気流下に基板を置いた後に、金属微粒子分散液を塗布して金属微粒子層を形成したところ、前記課題を一挙に解決することを究明したものである。つまり基板の少なくとも片面に金属微粒子分散液を塗布することによって、基板上に金属微粒子層を網目状に積層する網目状金属微粒子積層基板の製造方法において、風速2〜10m/秒という特定の気流下に基板を置いた後に、金属微粒子分散液を塗布することが重要である。
【0017】
該気流の風速は、2m/秒以上10m/秒以下であることが重要であり、好ましくは2m/秒以上8m/秒以下であり、さらに好ましくは4m/秒以上8m/秒以下である。該気流の風速が10m/秒より大きいと、基板のバタツキにより、後述する表面処理を行った基板を用いた場合には、表面処理状態に差異が生じ、該金属微粒子分散液を塗布した際に、ムラなど塗布品位が劣る網目状金属微粒子積層基板となる場合がある。また、2m/秒より小さいと、網目状金属微粒子基板を得ることは可能であるが、例えば、アンカーコート剤をコーティングする等の表面処理を行った基板に対して金属微粒子分散液を塗布することで金属微粒子層を形成する場合、表面処理に使用した溶媒が残留する可能性があるため、得られる網目状金属微粒子積層基板はスジやムラなど塗布品位に問題が生じる可能性がある。なおこの点からも分かるとおり、基板の表面処理によって、表面状態を調整した基板上や塗膜を有する基板上に金属微粒子層を形成する際に、本発明は特に好適である。つまり本発明は、金属微粒子分散液を塗布する面側へ表面処理した後、該基板を風速2〜10m/秒の気流下に置き、その後金属微粒子分散液を塗布することを特徴とする、網目状金属微粒子積層基板の製造方法が好ましい実施様態である。表面処理に関しては後述する。
【0018】
基板を該気流下に置く時間は、30秒以下であることが好ましく、より好ましくは20秒以下であり、さらに好ましくは10秒以下である。金属微粒子分散液を塗布する前の気流下に置く時間が30秒より長くなると、連続で塗工するプロセスへの適用を考えたとき、生産設備がない、コストアップになるなど生産性的に困難である。また、基板を該気流下に置く時間は、短い程好ましいものの、後述のように表面処理した後に金属微粒子分散液を塗布する場合において、表面処理を行う際に使用する溶媒が乾燥除去されずに残留し、所望する表面ぬれ張力とならない可能性があり、網目を形成する線部の断線など、良好な網目状構造を得られず、網目状金属微粒子積層基板の透明性の点や、該網目状金属微粒子積層基板を透明導電性基板として用いた場合の導電性の点で問題が生じる場合があるため、現実的には3秒未満とすることは困難であり、また3秒程度であれば実用的にも十分である。
【0019】
該気流の発生方法は、風速を2〜10m/秒に制御しさえすれば特に限定されないが、例えば、基板上の空気を排気もしくは、基板上に空気を給気することによって、気流の流れを発生することができる。排気もしくは給気する方法については、特に限定はないが、例えば、排気する方法は、排気ファンや、ドラフトなどを使用して、排気することができる。また、給気する方法は、給気ファン、クーラー、もしくはドライヤーなどを使用することで、給気することができる。
【0020】
本発明においては、該気流の風速は、風速計を用いて以下のようにして測定する。すなわち、基板上に金属微粒子分散液を塗布する前の製造工程において、風速計を用い、基板の金属微粒子分散液を塗布する面の1cm上で、気流の風速を測定する。基板の中心のある一点でプローブの測定面を、気流を受けるように置いたときの風速を静止状態で30秒間測定する。30秒間測定した測定値の最大値を気流の風速とする。なお、基板の下方から発生する気流の風速を測定する際には、基板を抜いて風速測定を実施した。
【0021】
前述のように本発明は、金属微粒子分散液を塗布する面側へ表面処理した後、該基板を風速2〜10m/秒の気流下に置き、その後金属微粒子分散液を塗布することを特徴とする、網目状金属微粒子積層基板の製造方法が好ましい実施様態であるが、その表面処理について以下説明する。本発明における前記表面処理は種々の目的で行われる。その一例としては、例えば、金属微粒子層を形成する側の基板面の表面ぬれ張力を調整するために行われる場合がある。この場合、金属微粒子分散液を塗布する前の基板の表面ぬれ張力を、45mN/m以上73mN/m以下にすることが好ましく、より好ましくは50〜73mN/mであり、さらに好ましくは55〜73mN/mである。表面ぬれ張力は、73mN/mが測定限界値であり、45mN/m未満であると、基板の該面に該金属微粒子分散液を塗布したときに、金属微粒子分散液が網目状にならず、全体に均一な塗膜ができてしまい、金属微粒子積層基板の透明性が劣る問題が生じる場合がある。
【0022】
基板の該金属微粒子分散液が塗布される面の表面ぬれ張力を45mN/m以上73mN/m以下とするためには、コロナ放電処理、プラズマ処理などの方法や、特定の塗液をコーティングする方法が使用できる。塗液のコーティングにより表面ぬれ張力を制御する方法は、基板の表面にアンカーコート剤やプライマー剤などの塗液をコーティングすることにより表面処理を行うなどして、少なくとも片面に親水性処理層を有する基板として、金属微粒子分散液が塗布される側の面の表面ぬれ張力を、45mN/m以上73mN/m以下とする方法であり、本発明における好ましい実施態様である。ここで、塗液に使用する溶媒は、アンカーコート剤やプライマー剤などが可溶な揮発性溶媒であれば特に限定されず、有機溶媒でも水系溶媒でも良く、少なくとも2種類以上の溶媒を混合した溶液を用いても良い。
【0023】
本発明において、基板の表面ぬれ張力を45mN/m以上73mN/m以下とするために基板の表面へ親水性処理層を積層する態様は、金属微粒子が網目状に積層されやすくなるため好ましい。かかる親水性処理層としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル系樹脂、アクリル変性ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、澱粉類、セルロース誘導体、ゼラチン等の天然樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリチオフェン系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリアセチレン系樹脂、ポリアニリン系樹脂、各種シリコーン樹脂や変性シリコーン樹脂などからなる層を用いることができる。
【0024】
本発明における、前記気流は、前述の特定の風速であれば、基板に対する前記気流角度(気流角度は、気流の向かってくる方向を示す角度とする。基板面と気流の向かってくる方向が成す角度である。)は特に限定されないが、気流角度が基板面と平行な方向を0度として0度以上45度以内の方向であることが好ましい。ここで気流角度が90度とは、基板面の垂直上側から基板面(基板の上表面)に向かう方向の気流である。より好ましくは、気流角度が0度以上30度以内であり、さらに好ましくは0度以上15度以内であり、特に好ましくは0度以上5度以内であり、最も好ましくは0度である。該気流角度が45度より大きい場合には、送風効率が低下し、基板上での風速低下が起こりやすく、後述する金属微粒子分散液を塗布する面側の表面処理状態にムラが生じ、網目状金属微粒子積層基板の塗膜品位へ悪影響をおよぼす場合がある。該気流角度が0度未満の場合には、基板面上に安定した風速の気流を当てることができず、該気流角度が45度より大きい場合と同様に、表面処理状態にムラが生じ、網目状金属微粒子積層基板の塗膜品位へ悪影響を及ぼす場合がある(ここで気流角度が0度未満とは、基板面よりも下方向から基板面に向かう気流であり、気流角度が−90度とは、基板面の垂直下側から基板面(基板の下表面)に向かう方向の気流である。)。
【0025】
本発明において、前記気流角度は、以下のようにして測定した。すなわち、基板上への金属微粒子分散液塗布前の製造工程において、図2のように、2cmの糸を先端に付けた棒を基板面の上部2cmの場所に、基板面と平行になるように置き測定した。棒の先端に付けた糸が、基板面と平行になびいていれば気流角度0度、糸が基板面と逆方向へ垂直になびいている状態(基板面に対して垂直上方へなびいている状態)を気流角度−90度とし、糸が基板面に向かって垂直になびいている状態(基板面に対して垂直下方へなびいている状態)を気流角度は90度とした。そしてその他の値については、基板面と糸が成す角度とした。なお、基板の下方から発生する気流の角度を測定する際には、基板を抜いて角度測定を実施した。
【0026】
なお、本発明では、基板の搬送方向に平行な方向を0度として、基板の幅方向を90度とした際に、気流角度が5度以内であり、さらに基板の搬送方向とは逆方向の層流状態の気流であることが特に好ましい実施様態である。また、上述したような気流雰囲気の形成を容易にするために、ボックス状の装置を用い、基板が該装置内を通過させるようにしても良い。
【0027】
本発明における該気流を形成する気体の温度は特に限定されないが、気流は温度が20〜60℃の気体により形成されていることが好ましく、より好ましくは25〜50℃の気体により形成されている態様であり、特に好ましくは35〜45℃の気体により形成されている態様である。該気流を形成する気体の温度が20℃未満の場合には、例えば、前述のように表面処理した後に金属微粒子分散液を塗布する場合において、表面処理を行う際に使用する溶媒が乾燥除去されずに残留し、所望する表面濡れ張力とならない可能性があり、網目を形成する線部の断線など、良好な網目状構造を得られず、網目状金属微粒子積層基板の透明性の点や、該網目状金属微粒子積層基板を透明導電性基板として用いた場合の導電性の点で問題が生じる場合がある。該気流を形成する気体の温度が60℃より高い場合には、例えば、前述のようにアンカーコート剤による表面処理によって親水性処理層を形成した後に金属微粒子分散液を塗布する場合において、該親水性処理層の融解等により、所望する表面ぬれ張力とならないことがあり、そのため良好な網目状構造を得ることができず、全光線透過率の低下と導電性の点で問題が生じる場合がある。そのため、基板上の温度が20〜60℃の条件を満たすことが好ましく、これを満たすように気流自体の温度を調整することが好ましい。
【0028】
基板上の気流を形成する気体の温度の測定は、温度計を用いて以下のようにして測定する。すなわち、基板上に網目状金属微粒子層を積層する製造工程において、温度計を用い、基板の金属微粒子分散液を塗布する面の中心から1cm上部を通過する気流の温度を30秒以上測定し、安定したときの値を気流温度とした。なお、基板の下方から発生する気流温度を測定する際は、基板を抜いて実施した。
【0029】
本発明における該気流を形成する気体の湿度は特に限定されないが、気流は湿度が10〜60%RHの気体により形成されていることが好ましく、より好ましくは20〜50%RHの気体により形成されている態様であり、特に好ましくは20〜40%RHの気体により形成されている態様である。すなわち、気流を形成する気体の湿度が10%RH未満では、得られる網目状金属微粒子積層基板の全光線透過率が低下し、透明性の点で問題が生じる場合がある。また、気流を形成する気体の湿度が60%RHより大きいと、例えば、前述のようにコーティングによる表面処理によって親水性処理層を形成した後に金属微粒子分散液を塗布する場合において、該コーティングに使用する塗液が完全に乾燥せず、該金属微粒子分散液を塗布した際に、良好な網目状構造を得ることができない場合がある。
【0030】
基板上の該気流を形成する気体の湿度の測定は、湿度計を用いて以下のようにして測定する。すなわち、基板上に網目状金属微粒子層を積層する製造工程において、湿度計を用い、基板の金属微粒子分散液を塗布する面の中心から1cm上部を通過する気流の湿度を30秒以上測定し、安定したときの値を気流湿度とした。なお、基板の下方から発生する気流湿度を測定する際は、基板を抜いて実施した。
【0031】
本発明において、金属微粒子分散液として網目形状に自己組織化する金属微粒子分散液を用いる場合、表面処理後から該金属微粒子分散液を塗布する間は、上述したように、基板を特定の条件の気流雰囲気下を通過させることが好ましい。
【0032】
かかる本発明の製造方法により得られる網目状金属微粒子積層基板の全光線透過率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。全光線透過率が50%より小さいと、網目状金属微粒子積層基板の透明性の点で問題が生じる場合がある。網目状金属微粒子積層基板の全光線透過率は、高いほうが好ましいものの、導電性との兼ね合いなどにより、90%程度が上限と考えられる。全光線透過率を50%以上とするためには、気流の風速、温度および湿度を前記した好ましい範囲に制御することが挙げられる。
【0033】
かかる全光線透過率は、下記測定方法により測定されたものである。すなわち、常態(23℃、相対湿度65%)において、網目状金属微粒子積層基板を2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて測定した。3回測定した平均値を該網目状金属微粒子積層基板の全光線透過率とした。全光線透過率が50%以上であれば透明性は良好である。なお、基板の片面のみに金属微粒子層を積層している網目状金属微粒子積層基板の場合、金属微粒子層を積層した面側より光が入るように基板を設置して測定したものである。
【0034】
本発明において、金属微粒子分散液を用いて網目状の構造を形成させる場合、例えば、金属微粒子と分散剤などの有機成分とからなる粒子を含む固形分の分散液(金属コロイド分散液)を用いて、塗布を行う方法を好適に用いることができる。かかる金属コロイド分散液の溶媒としては、水、各種の有機溶媒を用いることができる。
【0035】
かかる金属微粒子の調製法としては、例えば、液層中で金属イオンを還元して金属原子とし、原子クラスターを経てナノ粒子へ成長させる化学的方法や、バルク金属を不活性ガス中で蒸発させて微粒子となった金属をコールドトラップで捕捉する手法や、ポリマー薄膜上に真空蒸着させて得られた金属薄膜を加熱して金属薄膜を壊し、固相状態でポリマー中に金属ナノ粒子を分散させる物理的手法などを用いることができる。
【0036】
本発明においては、金属微粒子分散液として自己組織化する金属微粒子分散液を好ましく用いることができる。ここで、「自己組織化する金属微粒子分散液」とは、基板上に一面に塗布して放置しておくと、自然に基板上に網目状の構造を形成する溶液を意味するものである。このような金属微粒子分散液としては、例えばCima NanoTech社製CE103−7を用いることができる。
【0037】
本発明の網目状金属微粒子積層基板は、金属微粒子層を網目状に有することが重要である。ここで網目状とは、いくつかの点を何本かの線分で結んだ構造のことをいい、例えば図1に金属微粒子層を網目状にした構造を示す。つまり本発明における網目状とは、金属微粒子や後述する各種添加剤などで構成される複数の線分が、複数の点で結ばれた構造を意味する。なお、図1の網目状の金属微粒子層は、後述するように不規則な網目状の構造を示すものである。
【0038】
本発明の網目状金属微粒子積層基板における網目状の構造は、不規則であることが好ましい。すなわち、本発明の網目状金属微粒子積層基板をプラズマディスプレイに貼り合わせて使用した場合、網目状の構造を不規則な構造にすることでモアレ現象が発生しないものを得ることができるからである。
【0039】
かかる不規則な網目状の構造は、微分干渉顕微鏡の観察像で特定し、該網目状の構造が、その形状において、空隙部分の形状や大きさが不揃いである状態、すなわち不規則な状態として観察されるものであり、従って、網目を構成する部分、すなわち線状の部分の形状も直線ではなく線太さが不揃いである状態、すなわち不規則な状態として観察されるものである。不規則な網目状の構造の一例を図1に示すが、これに限定されるものではない。
【0040】
本発明の網目状金属微粒子積層基板の製造方法においては、基板の少なくとも片面に金属微粒子分散液を塗布する際に、基板に接触しない非接触式塗布方法によって金属微粒子分散液を塗布することが好ましい。該非接触式塗布方法は基板に接触しなければ限定はなく、公知の塗布方法、例えば、ダイコート法、アプリケーター法、コンマコート法、スプレー法、ディッピング法などを用いることができる。該金属微粒子分散液を塗布する際に、基板と接触する接触式の塗布方法を用いた場合、基板と接触した部分がキズになったり、金属微粒子分散液を塗布した際に、基板と接触した部分にスジが発生するなどの問題が生じる場合があり好ましくない。
【0041】
また、基板の表面ぬれ張力を制御するために親水性処理層を設けた基板上に、基板と接触する接触式の塗布方法を用いた場合、基板と接触した部分の親水性処理層が削り取られることがあり、その場合は金属微粒子層が網目状にならない場合がある。例えば、金属微粒子分散液の塗布を基板と接触する接触式であるワイヤーバーを用いて積層した網目状金属微粒子積層基板は、ワイヤーバーのワイヤーピッチに沿って、ワイヤーバーと接触した部分と接触しない部分で網目状の構造の空隙部分の大きさが異なり、接触した部分は空隙が大きくなり、接触しない部分は空隙が小さくなる。その異なる大小空隙がスジ状に交互に配列され、規則的なパターンになってしまい、モアレ現象が生じてしまうことがある。また、金属微粒子分散液の塗布を基板と接触する接触式であるグラビアコーターを用いて積層した網目状金属微粒子積層基板は、グラビアが基板と接触したことにより、金属微粒子分散液がグラビアの版目状に塗布されてしまい、グラビア版目が生じてしまうことがある。そのため、金属微粒子分散液の塗布は、基板と接触しない非接触式塗布方法で行うことが好ましい。
【0042】
本発明における金属微粒子に用いられる金属としては、特に限定されず、白金、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ビスマス、コバルト、鉄、アルミニウム、亜鉛、錫などが挙げられる。金属は1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
本発明における金属微粒子層とは、上記のような金属微粒子によって構成された層であり、金属微粒子以外に、他の各種添加剤、例えば、分散剤、界面活性剤、保護樹脂、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤などの無機成分、有機成分を含有することができる。
【0044】
本発明においては、積層した金属微粒子層を熱処理など金属微粒子層の導電性を高めるための方法を用いて、金属微粒子層の導電性を高めることにより、網目状金属微粒子積層基板から好適に透明導電性基板を得ることができる。
【0045】
本発明における、風速2〜10m/秒の気流雰囲気下に基板を通過させた後、金属微粒子分散液を塗布することを特徴とする製造方法により得られた網目状金属微粒子積層基板は、さらに該網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を、有機溶媒で処理し、酸で処理することにより、導電性に優れた透明導電性基板を製造することができる。また、網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を、熱処理後、有機溶媒で処理し、酸で処理する方法が、さらに導電性に優れた透明導電性基板を製造することができるためにより好ましい。
【0046】
本発明において、透明導電性基板を得るための網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層の熱処理の温度は、好ましくは、100℃以上200℃未満、より好ましくは、130℃以上180℃以下、さらに好ましくは140℃以上160℃以下である。すなわち、200℃以上の高温で長時間の熱処理を行うと、基板の変形などの問題が生じる場合があり好ましくない。また、熱処理温度が100℃未満であると、網目状金属微粒子積層基板を用いて透明導電性基板とした際の導電性の点で問題が生じる場合がある。
【0047】
かかる熱処理の時間は、好ましくは、30秒以上3分以下であり、より好ましくは、1分以上3分以下、さらに好ましくは、2分以上3分以下である。すなわち、30秒より短時間の熱処理では、網目状金属微粒子積層基板を用いて、透明導電性基板とした際の導電性の点で問題が生じる場合がある。また、3分より長く熱処理を行うと、連続プロセスに適用することを考えたときに、熱処理工程を、長時間必要とし、コストアップなど、生産性に問題が起きてしまう可能性がある。
【0048】
また、上述のように網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を熱処理後、続いて網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を酸で処理する方法により、導電性を高めることで透明導電性基板を得ることが好ましい。かかる酸で処理する方法は、穏和な処理条件で金属微粒子層の導電性を高めることができるため、かかる緩和な処理条件を選択すれば、熱可塑性樹脂など、耐熱性や耐光性に劣る材料を基板として用いた場合でも、好適に酸処理することができる。また、複雑な装置や工程を必要としない方法のため、生産性の点でも好ましい。
【0049】
かかる酸とは、特に限定されず、種々の有機酸、無機酸から選択することができる。有機酸としては、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。これらは、強酸であっても、弱酸であってもよい。好ましくは酢酸、塩酸、硫酸、およびその水溶液であり、より好ましくは塩酸、硫酸、およびその水溶液を用いることができる。
【0050】
かかる酸で処理する具体的な方法としては、特に限定されず、例えば、酸や、酸の溶液の中に金属微粒子層を積層した基板を浸したり、酸や、酸の溶液を金属微粒子層の上に塗布したり、酸や、酸の溶液の蒸気を金属微粒子層にあてたりする方法が用いられる。
【0051】
また、上述のように網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層の熱処理後であり、さらに網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を酸で処理する前に、金属微粒子層を有機溶媒で処理することで、導電性を高めて透明導電性基板を得る方法が好ましい。このように網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層の熱処理後であり、網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を酸で処理する前に、有機溶媒で処理を行うと、より優れた導電性を有する透明導電性基板が得られやすくなる。
【0052】
かかる金属微粒子層を有機溶媒で処理する段階としては、基板上に金属微粒子を網目状に積層して網目状金属微粒子積層基板としておいてから有機溶媒で処理する方法が、導電性を高める効果に優れ、生産性の点で効率がよいため好適に用いられる。 また、かかる有機溶媒で処理する前や後に、金属微粒子層を積層した基板に別の層を印刷したり、塗布したりして積層してもよい。また、かかる有機溶媒で処理する前や後に、金属微粒子層を積層した基板を乾燥したり、熱処理したり、紫外線照射処理などをしてもよい。
【0053】
かかる金属微粒子層を有機溶媒で処理する際の該有機溶媒の処理温度は、常温で十分である。高温で処理を行うと、基板として熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、基板を白化させ、透明性を損ねる場合がある。かかる処理温度は、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは30℃以下であり、特に好ましくは25℃以下である。
【0054】
かかる金属微粒子層を有機溶媒で処理する方法は特に限定されず、例えば、有機溶媒の溶液の中に金属微粒子層を積層した基板を浸したり、有機溶媒を金属微粒子層上に塗布したり、有機溶媒の蒸気を金属微粒子層にあてたりする方法が用いられる。これらの中でも、有機溶媒の中に金属微粒子層を積層した基板を浸したり、有機溶媒を金属微粒子層上に塗布したりする方法が、導電性向上効果に優れるため好ましい。
【0055】
かかる有機溶媒の一例を挙げると、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、1,3ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサンなどのアルカン類、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシドなどの双極性非プロトン溶媒、トルエン、キシレン、アニリン、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコール、エチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、クロロホルム等、およびこれらの混合溶媒を使用することができる。これらの中でも、ケトン類、エステル類、トルエンのいずれかが含まれていると、導電性向上効果に優れるため好ましく、特に好ましくはケトン類である。
【0056】
本発明における透明導電性基板の導電性に関しては、表面比抵抗が30Ω/□以下であることが好ましい。かかる表面比抵抗は、より好ましくは20Ω/□以下であり、さらに好ましくは10Ω/□以下であり、特に好ましくは5Ω/□以下である。かかる表面比抵抗が30Ω/□以下であると、導電性基板として通電して用いる際に、抵抗による負荷が小さくなるため、発熱が抑えられることや、低電圧で用いることができるので好ましい。また、例えば、プラズマディスプレイパネルや液晶テレビなど、フラットパネルディスプレイの電磁波シールド基板用の透明導電性基板として用いた場合には、電磁波シールド性が良好となるため、好ましい。透明導電性基板の表面比抵抗は、低い方が好ましいものの、現実的に達成可能な下限は、1Ω/□程度と考えられ、そのため1Ω/□程度が下限と考えられる。
【0057】
透明導電性基板の表面比抵抗を30Ω/□以下とするためには、前述の方法により得られた本発明の網目状金属微粒子積層基板について、さらに該網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を、有機溶媒で処理し、酸で処理する方法が挙げられる。
【0058】
かかる表面比抵抗の測定は、例えば、網目状金属微粒子積層基板を150℃で2分間、熱処理を行い、1Nの塩酸に入れ、1分間放置する。その後、網目状金属微粒子積層基板を取り出して、水洗し、乾燥を行い、常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下で、JIS−K−7194(1994)に準拠し、ロレスタ−EP(三菱化学株式会社製、型番:MCP−T360)を用いて測定することができる。かくして得られた基板の表面比抵抗が30Ω/□以下であれば導電性は良好である。
【0059】
本発明における基板とは、特に限定されず、ガラスや樹脂など種々の基板を用いることができる。また、ガラスや樹脂などの基板を2種以上貼り合わせるなどして組み合わせたものも用いることができる。
【0060】
本発明において、基板が熱可塑性樹脂フィルムである場合、透明性、柔軟性、加工性に優れるなどの点で好ましい。本発明でいう熱可塑性樹脂フィルムとは、熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではないが、代表的なものとして、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのアクリル系フィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。
【0061】
これら熱可塑性樹脂フィルムとしては、ホモポリマーで構成されたものでも共重合ポリマーで構成されたものであってもよいが、これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性などの点で、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0062】
かかるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好ましく用いることができる。これら構成成分は、1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステル、すなわち、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。また、基板に熱や収縮応力などが作用する場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
【0063】
かかるポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
【0064】
また、かかる熱可塑性樹脂、たとえばポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
【0065】
かかる熱可塑性樹脂フィルム、たとえばポリエステルフィルムは、二軸配向されたものが好ましい。かかる二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了したものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0066】
かかる熱可塑性樹脂フィルム、たとえばポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは38〜250μm、最も好ましくは75〜150μmである。また、たとえば基板としてポリエステルフィルムを用いる場合は、共押出による複合フィルムであってもよい。一方、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたものも用いることができる。
【0067】
本発明の網目状金属微粒子積層基板には、基板、金属微粒子層の他に各種の層が積層されていてもよい。例えば、特に限定されるものではないが、基板と金属微粒子層の間に密着性改善のための下塗り層などが設けられていてもよく、金属微粒子層の上に保護層が設けられていてもよく、基板の片面、または両面に粘着層や、離型層や、保護層や、接着性付与層や、耐候性層などが設けられていてもよい。なお、金属微粒子層を有さない側の基板面に各種層を形成する場合は、特に限定されずに各種層を形成することができる。また、基板と金属微粒子層の間に各種層を設けることも可能であるが、このような各種層を基板と金属微粒子層の間に設ける場合、金属微粒子分散液を塗布する基板上の各種層の表面ぬれ張力を、45mN/m以上73mN/m以下とすることが好ましい。
【0068】
以下、本発明の網目状金属微粒子積層基板の製造方法をより具体的に例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、二軸延伸ポリエステルフィルムに表面処理をすることで親水性処理層を積層し、風速2〜10m/秒の気流下に5秒間基板を置いた後に、銀微粒子溶液を基板と接触しないダイコート法で塗布し、銀微粒子層を網目状に積層する。本発明の網目状金属微粒子積層基板の製造方法を用いれば、透明性と耐モアレ性に優れ、塗膜にキズやスジをなくした網目状金属微粒子積層基板を、生産性に優れた方法で得ることができる。
【0069】
また、このようにして得た網目状金属微粒子積層基板から、透明導電性基板を得るためには、例えば、網目状金属微粒子積層基板を150℃で2分間、熱処理を行い、アセトンで30秒処理し、1Nの塩酸に入れ、1分間放置する。その後、網目状金属微粒子積層基板を取り出して、水洗し、乾燥することで好適に得られる。
【0070】
本発明の製造方法による網目状金属微粒子積層基板を用いた透明導電性基板は、透明性と高いレベルの導電性を有しているため、プラズマディスプレイパネルや液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイに用いられる電磁波シールド基板の一部材として用いることが可能である他、回路材料用途や、太陽電池用途など、各種の導電性基板用途にも好適に用いることができる。また、本発明の透明導電性基板を用いた電磁波シールド基板は、プラズマディスプレイの前面に設置することで、好適に用いることができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
各実施例・比較例で作成した導電性基板の特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)金属微粒子層形成前の基板上の気流風速測定
気流の風速の測定は、基板上に網目状金属微粒子層を積層する製造工程において、風速計CLIMOMASTER(MODEL 6531 日本カノマックス(株)製)を用い、基板の金属微粒子分散液を塗布する面の1cm上で、気流の風速を測定した。基板の中心のある一点でプローブの測定面を、気流の風速を受けるように置いたときの風速を静止状態で30秒間測定した。30秒間測定した測定値の最大値を気流の風速とした。なお、基板の下方から発生する気流風速を測定する際には、基板を抜いて風速測定を実施した。
(2)金属微粒子層形成前の基板上の気流角度
気流角度は、基板上に金属微粒子分散液を塗布する前の製造工程において、図2のように、2cmの糸を先端に付けた棒を基板面の上部2cmの場所に、基板面と平行に置き測定した。なお、基板の下方から発生する気流の角度を測定する際には、基板を抜いて角度測定した。ここで、測定には、ポリエステル系繊維のマルチフィラメントで、太さが140dtexの糸を使用した。なおこの測定の際は、マルチフィラメントであれば、これに限定する必要はなく、ポリエステル系繊維の他に、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維などを用いてもよい。また、糸の太さは、70dtex以上500dtex以下が好ましく、すなわち、70dtexより細い場合、気流角度が確認しづらく、500dtexより太い場合、気流が発生しても糸がなびかない可能性がある。
【0071】
また、棒の先端に付けた糸が、基板面と平行になびいていれば気流角度0度、上方垂直になびいていれば気流角度−90度、下方垂直になびいていれば気流角度は90度とした。
(3)表面ぬれ張力
基板の表面ぬれ張力の測定は、各実施例・比較例で用いた基板を常態(23℃、相対湿度50%)において、6時間放置後、その雰囲気下で、JIS−K−6768(1999)に準拠した形で行った。
【0072】
まず、基板の測定したい面を上にしてハンドコーターの基盤の上に置き、表面ぬれ張力試験用混合液を数滴滴下して、直ちにWET厚み12μmが塗布できるワイヤーバーを引いて広げる。
【0073】
表面ぬれ張力の判断は、試験用混合液の液膜を明るいところで観察し、2秒後の液膜の状態で行う。液膜が破れを生じないで、2秒以上、塗布されたときの状態を保っていればぬれていることになる。ぬれを2秒以上保つ場合は、さらに、表面ぬれ張力の高い混合液に進み、また逆に、2秒未満で液膜が破れる場合は、表面ぬれ張力の低い混合液に進む。この操作を繰り返し、基板の表面を正確に2秒以上ぬらすことができる混合液を選び、その基板の表面ぬれ張力とする。この測定法による表面ぬれ張力の最大は、73mN/mである。表面ぬれ張力の単位は、mN/mである。
(4)表面観察(形状観察)
網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層の表面を微分干渉顕微鏡(LEICA DMLM ライカマイクロシステムズ(株)製)にて倍率100倍で観察し、網目の形状を観察した。
(5)表面比抵抗
表面比抵抗の測定は、各実施例・比較例で得られた金属微粒子積層基板を、150℃で2分間の熱処理を行い、1Nの塩酸に入れ1分間放置する。その後、金属微粒子積層基板を取り出して、水洗し、乾燥を行い、常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下で、JIS−K−7194(1994)に準拠した形で、ロレスタ−EP(三菱化学株式会社製、型番:MCP−T360)を用いて実施した。単位は、Ω/□である。
【0074】
なお、本測定器は1×10Ω/□以下が測定可能である。表面比抵抗が30Ω/□以下であれば導電性は良好である。
(6)全光線透過率
全光線透過率は、常態(23℃、相対湿度65%)において、網目状金属微粒子積層基板を2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて測定した。3回測定した平均値を該網目状金属微粒子積層基板の全光線透過率とした。
【0075】
全光線透過率が50%以上であれば透明性は良好である。なお、基板の片面のみに金属微粒子層を積層している積層基板の場合、金属微粒子層を積層した面側より光が入るように基板を設置した。
(7)金属微粒子層形成前の基板上の気流を形成する気体の湿度
気流を形成する気体の湿度は、基板上に網目状金属微粒子層を積層する製造工程において、積層する基板の1cm上をCLIMOMASTER(MODEL 6531 日本カノマックス(株)製)にて測定した。湿度は、該基板の金属微粒子分散液を塗布する面の中心から1cm上部を通過する気流の湿度を30秒以上測定し、安定したときの値を気流湿度とした。なお、基板の下方から発生する気流の温度を測定する際は、基板を抜いて実施した。
(8)金属微粒子層形成前の基板上の気流を形成する気体の温度
気流を形成する気体の温度は、基板上に網目状金属微粒子層を積層する製造工程において、積層する基板の1cm上をCLIMOMASTER(MODEL 6531 日本カノマックス(株)製)にて測定した。温度は、該基板の金属微粒子分散液を塗布する面の中心から1cm上部を通過する気流の温度を30秒以上測定し、安定したときの値を気流温度とした。なお、基板の下方から発生する気流の温度を測定する際は、基板を抜いて実施した。
(9)耐モアレ性
耐モアレ現象は、画像が映し出されているプラズマディスプレイとして、松下電器産業株式会社製VIERA TH−42PX50を用いて、画面の前で、画面と網目状金属微粒子積層基板が概ね平行になるようにして基板を持ち、画面と基板面が概ね平行の状態を保ちながら基板を360°回転させ、回転中にモアレ現象が発現するか否かを目視で観察することで評価した。
【0076】
モアレが観察されないものを「○」、モアレが観察されるものを「×」とした。部分的にモアレが観察されるものを「△」とした。目視観察が「○」であれば、耐モアレ性が良好であるとした。
【0077】
なお、基板の片面のみに金属微粒子層を積層している場合、金属微粒子層を積層していない面側がディスプレイ画面に対向するように網目状金属微粒子積層板を持った。
(10)金属微粒子層の塗布品位
塗布品位は、網目状金属積層基板を白フィルム上に置き、上部より光を照射して目視により観察することで評価した。なお、片面のみに金属微粒子層を有する場合は、金属微粒子層側が上になるようにして、白フィルム上に置いた。
【0078】
ムラが観察されないものを「○」、ムラが部分的に観察されるものを「△」、ムラが全体的に観察されるものを「×」とした。
【実施例】
【0079】
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
(金属微粒子分散液1)
金属微粒子分散液1として、銀微粒子溶液であるCima NanoTech社製CE103−7を用いた。
(金属微粒子分散液2)
金属微粒子分散液2として、銀微粒子溶液である藤倉化成株式会社製XA-9053を用いた。銀微粒子の数平均粒子径は0.04μmであった。
(実施例1)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U46)の金属微粒子分散液を塗布する面に、プライマー溶液をwet厚み12μmになるようにワイヤーバーで塗布し、親水性処理層を形成した後、基板面を風速が4m/秒、温度が45℃、湿度30%RHの気流雰囲気下を通過させた。なお、基板面と平行であり、かつ基板の搬送方向と逆方向から気流を送った。その後、金属微粒子分散液1をWET厚み30μmになるように基板にダイコート法により塗布し、銀微粒子積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性および塗布品位ともに良好であり「○」であった。
【0080】
次に、この積層基板を150℃の熱風オーブン(タバイエスペック(株)製 PHH−200)で2分間、熱処理を行った。続いて、この積層基板ごと25℃のアセトン(佐々木化学薬品(株)製)に30秒間浸け(アセトン処理)、積層基板を取り出し、25℃で3分間乾燥させた。次に、この積層基板の銀粒子層を酸処理するために、1Nの塩酸(ナカライテスク(株)製 1N−塩酸)に1分間浸けた。その後、積層基板を取り出し、水洗した後、水分を飛ばすために積層基板を150℃の熱風オーブン(タバイエスペック(株)製 PHH−200)で2分間乾燥を行った。
【0081】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例2)
親水性処理層を設けた基板を、風速4m/秒、温度35℃、湿度45%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性および塗布品位ともに良好であり「○」であった。
【0082】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0083】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例3)
親水性処理層を設けた基板を、風速2m/秒、温度35℃、湿度45%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性及び塗布品位ともに良好であり「○」であった。
【0084】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0085】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例4)
親水性処理層を設けた基板を、風速4m/秒、温度40℃、湿度45%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性及び塗布品位ともに良好であり「○」であった。
【0086】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0087】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例5)
親水性処理層を設けた基板を、風速5m/秒、温度30℃、湿度50%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性および塗布品位ともに良好であり「○」であった。
【0088】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0089】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例6)
親水性処理層を設けた基板を、風速5m/秒、温度25℃、湿度55%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性および塗布品位ともに良好であり「○」であった。
【0090】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0091】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例7)
親水性処理層を設けた基板を、風速5m/秒、温度15℃、湿度60%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性は良好であり「○」であったが、塗布品位は部分的にムラがある「△」であった。
【0092】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0093】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例8)
親水性処理層を設けた基板を、風速5m/秒、温度20℃、湿度70%RHの気流雰囲気下を通過させた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、網目状であり、全光線透過率は80%で、耐モアレ性は良好であり「○」であったが、塗布品位は部分的にムラがある「△」であった。
【0094】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0095】
この積層基板(透明導電性基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(実施例9)
実施例1と同様にして親水性処理層を設けた基板を、風速4m/秒、温度45℃、湿度30%RHの気流雰囲気下を通過させた後、金属微粒子分散液2をスクリーン印刷により、ランダムな網目状に印刷した。そして印刷した金属微粒子分散液2を150℃で1分間乾燥することで、銀微粒子層をランダムな網目状に積層した積層基板を得た。
【0096】
次に、得られた積層基板を、25℃の1N(1mol/L)の塩酸(ナカライテスク(株)製 N/1-塩酸)に1分間浸けた。その後、積層基板を取り出し、水洗した後、150℃で1分間乾燥した。この積層基板の表面比抵抗は30Ω/□であり、全光線透過率は70%であった。耐モアレ現象評価の結果、耐モアレ性および塗布品位ともに良好であり「○」であった。
(比較例1)
親水性処理層を設けた基板を、風速1m/秒、温度35℃、湿度45%RHの気流雰囲気下に置いた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、全光線透過率は75%で、実施例1の網目状金属微粒子積層基板と比較すると、濃淡ムラがあり、耐モアレ性は良好であり「○」であったが、塗布品位が劣る「×」であった。
【0097】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理し、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0098】
この積層基板(透明導電基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
(比較例2)
親水性処理層を設けた基板を、風速11m/秒、温度30℃、湿度45%RHの気流雰囲気下に置いた以外は、実施例1と同様に金属微粒子分散液1を塗布し、銀微粒子層を積層した積層基板(網目状金属微粒子積層基板)を形成した。この積層基板は、全光線透過率75%で、実施例1の網目状金属微粒子積層基板と比較すると、濃淡ムラがあり、耐モアレ性は良好であり「○」であったが、塗布品位が劣る「×」であった。
【0099】
次に、実施例1と同様に、得られた積層基板を熱処理し、アセトン処理、酸処理、水洗、乾燥の順に行った。
【0100】
この積層基板(透明導電基板)の表面比抵抗は5Ω/□であった。
【0101】
実施例1〜9、比較例1、2の評価を表1に示す。
【0102】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の網目状金属微粒子積層基板の製造方法によれば、透明性および耐モアレ性のいずれにも優れ、生産性に優れた高品位な網目状金属微粒子積層基板を連続で製造するプロセスに適用することができる。
【0104】
本発明の網目状金属微粒子積層基板を用いてなる透明導電性基板は、透明性と高いレベルの導電性を有し、耐モアレ性にも優れるので、例えば、プラズマディスプレイパネルや液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイに好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の少なくとも片面に金属微粒子分散液を塗布することによって、基板上に金属微粒子層を網目状に積層する網目状金属微粒子積層基板の製造方法であって、
風速2〜10m/秒の気流下に基板を置いた後に、金属微粒子分散液を塗布することを特徴とする、網目状金属微粒子積層基板の製造方法。
【請求項2】
前記気流は、温度が20〜60℃、湿度が10〜60%RHである気体により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の網目状金属微粒子積層基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法により製造される網目状金属微粒子積層基板の金属微粒子層を、有機溶媒で処理した後、酸で処理することを特徴とする、透明導電性基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法により得られうる透明導電性基板を用いた電磁波シールド基板。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁波シールド基板を用いたプラズマディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−205873(P2010−205873A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48902(P2009−48902)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】