説明

緊急装備のための収納デバイス

本発明は、飛行機の乗組員のための緊急装備(2,17,19)を格納するための収納デバイス(50)に関するものである。収納デバイス(50)は、格納位置とされた緊急装備(2,17,19)が、使用者が片手で把持し得るような少なくとも1つの把持面(21)を備えており、これにより、緊急装備を頭上に装着し得るように、構成されている。緊急装備は、特に飛行補助に関する情報といったような情報を表示するための少なくとも1つの情報ディスプレイデバイス(2)によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の乗組員のための緊急装備のための収納デバイスに関するものである。この種の緊急装備は、使用者の頭に着用し得るよう構成されている。そのような緊急装備は、一般に、フェースマスクと、煙からの保護をもたらすゴーグルと、および/または、情報を表示するためのデバイスと、から構成される。
【0002】
より詳細には、本発明は、上述したタイプの緊急装備のための収納デバイスに関するものである。収納デバイスは、緊急装備が収納デバイス上においてあるいは収納デバイス内において格納状態とされている場合に、使用者が片手でもって少なくとも1つの把持面を介して緊急装備を保持することができ、さらに、その片手を把持面上において実質的に同じ位置に維持しつつ、緊急装備を使用状態として頭に対して着用し得るよう、構成されている。把持面に対するアクセスに際しては、付加的に、収納デバイスを開放することを必要とすることがあり得る。その際、例えば、保護および/または閉塞部材をまず最初に解放する。
【背景技術】
【0003】
ボックスまたはスタンドという形態とされた収納デバイスは、例えばマスクおよび保護ゴーグルといったような緊急装備に関し、既に公知である。
【0004】
そのような収納デバイスは、格納している緊急装備を保護することにおいて重要である。また、収納デバイスは、緊急装備を格納するための所定位置を有しているという必要性を満たしている。これにより、飛行機の乗組員は、急いで緊急装備必要とした際に、それをすぐにかつ確実に探すことができる。
【0005】
しかしながら、ある条件下においては、飛行機の乗組員が、制御パネル上に表示されない情報や制御パネル上で既に見えなくなった情報をあるいはアクセスが困難であるような情報を、所望したり必要としたりすることがあり得る。これは、特に、コックピット内に煙が充満した場合に、当てはまる。その場合、飛行機の乗組員は、必要とする情報を早く見る必要がある。なお、本出願人の知る限りにおいては、本出願に関連性を有する先行技術文献は存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、飛行機の乗組員の上記要求に応えることである。
【0007】
この目的のために、本発明は、収納デバイスを提供するものである。本発明による収納デバイスは、上記特徴点に加えて、特に飛行補助に関する情報といったような情報を表示するための少なくとも1つの情報ディスプレイデバイスによって構成された緊急装備を受領し得るよう構成され、ディスプレイデバイスが、使用者の目の近くに保持され得るよう構成され、さらに、使用者の目の網膜上へと情報を付帯した光信号を投影し得るよう構成されていることを特徴としている。
【0008】
これら構成に基づき、飛行機の乗組員は、デバイスに対して信頼性高くかつ迅速にかつ人間工学的にアクセスすることができ、情報を見ることができる。よって、本発明により、飛行機の乗組員に対して、緊急情報閲覧デバイスを容易に装着させることができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態においては、以下のような様々な構成の中の1つまたは複数の構成を付加的に備えることができる。
−収納デバイスが、テストデバイスを具備し、このテストデバイスが、緊急装備が格納位置とされている状態でこのテストデバイスが起動された場合には、ディスプレイデバイスからテスト用光信号を放出させるものとされ、そのテスト用光信号が、使用者に見えるものとされ、これにより、ディスプレイデバイスを格納位置から取り出す必要なく、使用者が、ディスプレイデバイスが動作可能であることを視覚的に確認し得るものとされているような構成。この構成により、メンテナンス時間を短縮し得るだけでなく、不適切な取扱いによってディスプレイデバイスを損傷させてしまうことがない。すなわち、メンテナンスに際してディスプレイデバイスを取り出す方式であると、ディスプレイデバイスを収納デバイス内に戻す際に、取扱いが不適切であれば、ディスプレイデバイスを損傷させてしまう可能性があり、それでは、メンテナンス操作自体が元も子もなくなってしまう。本発明のこの構成であれば、メンテナンスに際してディスプレイデバイスを取り出す必要がないので、そのような懸念がない。
−テストデバイスが、ディスプレイデバイスからのテスト用光信号の放出を引き起こすための制御手段と、ディスプレイデバイスからディスプレイユニットまでにわたってテスト用光信号を伝達するための伝達手段と、を備え、ディスプレイユニットのところにおいては、使用者は、テスト用光信号を見ることができ、これにより、使用者は、緊急装備が格納位置にある場合に、ディスプレイデバイスが動作可能であることを視覚的に確認し得るものとされているような構成。
−収納デバイスが、ディスプレイデバイスからのテスト用光信号の放出を引き起こすための制御手段として機能するボタンを備えているという構成。
−収納デバイスが、ディスプレイデバイスからディスプレイユニットまでにわたってテスト用光信号を伝達し得るよう構成された光導波路を備えているという構成。
−緊急装備が、ディスプレイデバイスだけによって構成されているとともに、フェースマスクあるいは保護ゴーグルを着脱可能に取り付け得るよう構成されている、あるいは、使用者の頭に対して直接的に装着され得るよう構成されているという構成。
−緊急装備が、フェースマスクおよびディスプレイデバイスによって構成されているという構成。
−収納デバイスが、ボックスとされ、このボックスが、
−緊急装備のための容器を構成するとともに前方開口面が形成されたフレームであり、前方開口面を通して容器内へと緊急装備が挿入されるような、また、前方開口面を通して容器内から緊急装備が取り出されるような、フレームと;
−容器内に緊急装備を配置したときに前方開口面を少なくとも部分的に閉塞するための少なくとも1つのフラップと;を備え、
この場合、フラップが、少なくとも1つのノッチを備え、このノッチを介して、把持面の少なくとも一部を、フラップの外面から突出させることができ、すなわち、ボックスから突出させることができ、フラップが、開口を備え、この開口を通して、ディスプレイデバイスから放出されたテスト用光信号といったような光信号を見ることができるようになっているという構成。
−収納デバイスが、スタンドを具備し、このスタンドが、保護ゴーグルとディスプレイデバイスとを互いに独立にかつ着脱可能に受領し得るよう構成されているという構成。
−収納デバイスが、バッグを具備し、このバッグが、緊急装備を受領し得るよう構成されているという構成。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の他の見地や目的や利点は、様々な実施形態に関する以下の説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0011】
本発明は、添付図面を参照することによって、より明瞭に理解されるであろう。
【0012】
添付図面においては、同一の部材または同様の部材には、同じ符号が付されている。
【0013】
第1実施形態においては、図1に示すように、本発明による収納デバイスは、ディスプレイデバイス2のためのスタンドボックス1である。
【0014】
例示するならば、ディスプレイデバイス2は、米国ワシントン州 Bothell 所在の
Microvision Inc.社によって市販されているタイプのものとされる。このディスプレイデバイスは、ボディ3を備えている。ボディ3は、使用者の額に対して装着され得るよう構成されたものであり、使用時には、弾性手段(図示せず)を介して所定位置に保持される。ディスプレイデバイス2は、さらに、光学的伝達手段4を備えている。光学的伝達手段4は、光信号を伝達し得るよう構成されているとともに、ディスプレイデバイスが使用位置とされている場合には、使用者の網膜上へと光信号を反射し得るよう構成されている。
【0015】
スタンドボックス1は、背面壁5と、2つのドア6,7と、を備えている。変形例においては、スタンドボックス1は、より多くの数のドアを備えることができる。例えば、四隅といったように対称的に配置された4つのドアを備えることができる。ドア6,7は、閉じた状態では、スタンドボックス1の外から見ると、実質的に凸状とされている。ドア6,7は、透明なものとされ、これにより、ディスプレイデバイス2がスタンドボックス1の中にあることを視覚的に確認することができる。
【0016】
背面壁5は、実質的に矩形形状のものであって、この背面壁からは、2つの側壁8と、頂壁9と、底壁10と、が延出されている。これら4つの壁は、ボックスの背面壁5から実質的に垂直に延出され、実質的に矩形の開口面11を形成している。
【0017】
背面壁5は、例えばコックピットの隔壁といったような支持体に対してスタンドボックス1を固定するのに適した穴内へと2つの突起を嵌合させることによって、飛行機の乗組員の手が届くところに、保持される。
【0018】
各側壁8には、ヒンジ12が設けられている。各ヒンジ12は、それぞれ対応するドア6,7を支持する。これにより、ドア6,7は、開口面11の1つの短辺に対して実質的に平行な軸回りに開閉することができる。ドア6,7は、背面壁5に対してヒンジ連結されており、少なくとも2つの限界位置の間にわたって移動することができる。すなわち、ドア6,7がディスプレイデバイス2の少なくとも一部をカバーした閉塞位置と、ドア6,7が互いに離間する向きに移動しこれによりスタンドボックス1からディスプレイデバイス2を取り出し得るものとされた開放位置と、の間にわたって移動することができる。
【0019】
ヒンジ12は、双安定性である。ヒンジ12は、ドア6,7が閉じられている位置に対応した第1安定位置を有している。この位置においては、ヒンジ12は、ディスプレイデバイス2が背面壁5に対して押圧されていない場合であってさえも、ディスプレイデバイス2を、背面壁5とドア6,7との間において、十分な力でもってボックス1内に保持し得るよう構成されている。ヒンジ12は、ドア6,7が開けられたいる位置に対応した第2安定位置を有している。この第2安定位置は、ドア6,7が偶発的に閉じてしまうことを防止し得るものとされている。このようにして、使用者は、スタンドボックス1内へとディスプレイデバイス2を片手で戻すことができる。なぜなら、ドア6,7が開いたままであるからである。
【0020】
各ドア6,7は、閉塞エッジ13を備えている。この閉塞エッジ13は、上ノッチ14および下ノッチ15を有している。
【0021】
ドア6の上ノッチ14と、他方のドア7の上ノッチとは、互いに協働することによって、ディスプレイデバイス2の1つのエッジ上における位置Hに第1の指を位置合わせすることを可能とするように、機能する。ドア6の下ノッチ15と、他方のドア7の下ノッチとは、互いに協働することによって、ディスプレイデバイス2の他方のエッジ上における位置Bに第2の指を位置合わせすることを可能とする実質的に三角形状の切欠を形成することができる。よって、使用者は、位置BおよびHのそれぞれに位置させた2本の指の間に把持面を挟むことによって、ディスプレイデバイス2を把持することができ、片手だけを使用して、スタンドボックス1からディスプレイデバイス2を取り出すことができる。ドア6,7の凸状形状がそのような取出を妨害しないことにより、ドアを予め開ける必要がない。
【0022】
ディスプレイデバイス2を片手で把持しながら、使用者は、そのディスプレイデバイス2を離してしまうことなく、他方の手を使用して、使用者の頭の回りに弾性手段を取り付けることができる。
【0023】
ビデオシステム(図示せず)に対してディスプレイデバイス2を接続するためのケーブルを通し得るよう、ドア6,7のうちの一方には、切欠16が形成されている。変形例においては、ディスプレイデバイスは、ビデオシステムに対して接続する必要なく、動作する。そのような状況下では、切欠16を設ける必要はない。
【0024】
変形例においては、ディスプレイデバイス2は、煙に対する保護をもたらすためのゴーグルに対して、および/または、フェースマスク(すなわち、口と鼻とをカバーする呼吸用マスク)に対して、および/または、いわゆる『フルフェース』マスクに対して、固定し得るよう構成される。そのような状況下では、弾性手段ではなく、ゴーグルに対しての固定を行うためのまたはフェースマスクに対しての固定を行うためのに固定手段が設けられる。
【0025】
第2実施形態においては、図2に示すように、本発明による収納デバイスは、ディスプレイデバイス2が付設された保護ゴーグル17のためのスタンドボックス1とされる。ディスプレイデバイス2は、上述したものと同様のものとすることができる(弾性手段は、例外として)。加えて、ディスプレイデバイス2は、保護ゴーグル17に対して、固定的にあるいは着脱可能に、取り付けることができる。
【0026】
この実施形態におけるスタンドボックス1は、第1実施形態に関して上述したものと比較して、実質的に同じ形状と実質的に同じ構造とを有している。上ノッチ14および下ノッチ15の形状は、保護ゴーグル17の形状に応じたものとされる。より詳細には、下ノッチ15は、フェースマスクに対して保護ゴーグル17を固定するためのロック手段18上に配置される把持面を形成するものとされる。したがって、使用者は、高位置Hと低位置Bとの間において、ロック手段18を挟むことによって、あるいは、保護ゴーグル17を挟むことによって、保護ゴーグル17を把持することができる。
【0027】
変形例においては、保護ゴーグル17は、ロック手段を備えておらず弾性手段(図示せず)によって使用者の頭に保持されるような保護ゴーグルである。このような状況下では、使用者は、保護ゴーグル17の頂部に位置したポイントHと、保護ゴーグル17の使用位置において鼻ブリッジ上に配置されることを意図したサドル形状ポイントMと、に実質的に位置させた2本の指の間において、保護ゴーグル17を把持する。これにより、保護ゴーグル17をスタンドボックス1から取り出すことができる。
【0028】
第3実施形態においては、図3に示すように、本発明による収納デバイスは、フェースマスク19と保護ゴーグル17とディスプレイデバイス2とによって構成された緊急装備のための収納ボックス50とされる。収納ボックス50は、緊急装備を受領するためのレセプタクルの前方開口面11を形成するようなフレームを備えている。緊急装備は、前方開口面11を通して、レセプタクル内へと挿入されたり、あるいは、レセプタクルから取り出されたり、する。
【0029】
収納ボックス50には、2つのドア6,7が設けられている。各ドア6,7は、それぞれが他方のドア内のノッチと一致するようなノッチ20を有している。これらノッチ20により、フェースマスク19の把持面21を把持することができ、これにより、フェースマスク19を収納ボックス50の外部へと取り出すことができる。
【0030】
収納ボックス50内に格納された緊急装備のディスプレイデバイス2は、既に接続されている。ディスプレイデバイス2は、ドア6,7を開く際にドアに対して接触することによって、スイッチオンすることができる。また、テストボタン22を、ドア6,7の一方(この場合には、ドア6)の外面上に配置することができる。テストボタン22により、一時的に、ディスプレイデバイス2をスイッチオンすることができる。その後、ディスプレイデバイス2によって、光信号23が放射される。この光信号23は、光導波路24を照射する。光導波路24は、ディスプレイデバイス2によって生成された光の少なくとも一部を、ディスプレイユニット25を形成する端部に対して、伝達する。このディスプレイユニット25は、内部に形成された開口を介して、ドア6,7の一方(この場合には、ドア7)に対して面一なものとされる。したがって、使用者は、収納ボックス50から緊急装備を抽出することなく、ディスプレイデバイス2が動作可能であるかどうかをテストすることができる。
【0031】
変形例においては、収納ボックス50は、図4に示すようないわゆる『フルフェース』マスクとして構成されたような、すなわち、互いに恒久的に連結されたフェースマスク19と保護ゴーグル17とによって構成されたような、緊急デバイスを受領し得るように構成されている。ディスプレイデバイス2は、保護ゴーグル17に配置されており、保護ゴーグル17に対して、一時的または恒久的に、取り付けることができる。図4に示すような変形例においては、ディスプレイデバイス2は、使用者の顔面上の所定位置に装着された際に保護ゴーグル17の内部に配置されることとなる光学的伝達手段4を備えている。図示していない変形例においては、使用者の顔面上の所定位置に装着された際に、光学的伝達手段4が保護ゴーグル17の外部に位置するようにして、ディスプレイデバイス2を保護ゴーグル17に対して固定することができる。
【0032】
第4実施形態においては、図5および図6に示すように、本発明による収納デバイスは、フェースマスク19とディスプレイデバイス2とによって構成された緊急装備のための収納ボックス50とされる。
【0033】
図5に示すように、フェースマスク19は、公知のタイプのものである(例えば、欧州特許出願公開第0 288 391号明細書を参照されたい)。このフェースマスク19においては、このフェースマスク19上に、固定的な態様でおよび/または着脱可能な態様でおよび/またはヒンジ連結的な態様で、ディスプレイデバイス2が取り付けられている。
【0034】
図6に示すように、第4実施形態においては、収納ボックス50は、第3実施形態に関して上述したものと実質的に同様である。上述したように、光学的テスト信号23を伝搬させるための例えば光導波路24といったような光伝達手段と、また、光信号23を放出するための例えばテストボタン22といったような制御手段と、が設けられている。
【0035】
変形例(図示せず)においては、本発明による収納デバイスは、保護ゴーグル17を設けつつあるいは設けることなく、ディスプレイデバイス2が取り付けられたフェースマスク19を受領し得るように構成される。ディスプレイデバイス2が収納デバイス内において格納状態にある場合には、ディスプレイデバイス2は、例えばフェースマスク19の外面に対してといったように、固定された退避位置となる。このような状況下では、テスト用光信号を伝達するための手段23は、図3および図6に示すような位置とは異なる位置に、配置することができる。例えば、光導波路は、ディスプレイデバイスに対向する側壁上に(すなわち、ボックス50のうちの、図3および図6において光導波路24が配置されている壁に対して垂直であるような壁上に)配置することができる。
【0036】
他の変形例(図示せず)においては、本発明による収納デバイスは、図4に示すようないわゆる『フルフェース』マスクを受領し得るよう構成されるものの、ディスプレイデバイス2が、保護ゴーグル17上ではなく、図5に示すように、フェースマスク19上に取り付けられる。
【0037】
さらに他の変形例においては、ビデオシステムに対してディスプレイデバイス2を接続するためのケーブルは、保護ゴーグル17内におよび/またはフェースマスク19内に組み込まれ、その後、フェースマスクに19に対して呼吸ガスを供給するためのパイプに対して固定される。
【0038】
第5実施形態においては、図7および図8に示すように、本発明による収納デバイスは、フレキシブルなボックスまたはフレキシブルなバッグ100とされる。バッグ100は、実質的に平行六面体という形態とされており、実質的に鉛直方向をなす向きで吊すことを可能とするためのループ26を備えている。バッグ100の前方開口面11は、下ドア7と上ドア6とによって、閉じられる。例示するならば、ドア6,7は、織物から形成される。ドア6,7は、バッグ100をループ26によって吊した際に実質的に水平方向に延在することとなる折曲線27回りにおいて、開閉する。各ドア6,7は、前方開口面11の実質的に半分をカバーする。ドアは、互いに連結される領域においては、Velcro(登録商標)タイプのファスナー28によって、オーバーラップする。ファスナー28の近傍において下ドア7に対して連結されたハンドル29は、引っ張ることによって、ドア6,7を互いに離間させるように機能し、これにより、バッグ100を開けることができる。バッグ100の各側壁に固定された2つのストリップ30,31は、例えばVelcro(登録商標)タイプのものといったような固定手段によって、それぞれの自由端が互いに連結されている。これにより、この場合には保護ゴーグル17とディスプレイデバイス2とが付設されたフェースマスク19として構成された緊急デバイスを、下ドア7が垂れ下がった状態として、バッグ100の下半分を露出した状態とすることができる(図8を参照)。その場合、フェースマスク19の把持面21は、ドア6の下方において突出しており、使用者の目から見えていて、アクセス可能である。よって、使用者は、把持面21を把持することができ、緊急デバイスの全体を引っ張ることができ、バッグ100から緊急デバイスを取り出すことができる。この取出を行う際には、ストリップ30,31は、互いに離間し、これにより、使用者は、緊急デバイスを取り出すことができて、緊急デバイスを頭に対して装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による収納デバイスの第1実施形態を概略的に示す斜視図であって、ディスプレイデバイスのためのスタンドに対応している。
【図2】本発明による収納デバイスの第2実施形態を示す斜視図であって、ディスプレイデバイスが付設された保護ゴーグルのためのスタンドに対応している。
【図3】本発明による収納デバイスの第3実施形態を、一部を破断して概略的に示す斜視図であって、保護ゴーグルとディスプレイデバイスとが付設されたフェースマスクのための収納ボックスに対応している。
【図4】図3のフェースマスクの変形例を示す概略的な斜視図である。
【図5】保護デバイスが付設されたフェースマスクを示す概略的な斜視図である。
【図6】図3と同様の図であって、本発明による収納デバイスの第4実施形態を示しており、ディスプレイデバイスが付設された図5に示すようなフェースマスクのための収納ボックスに対応している。
【図7】本発明による収納デバイスの第5実施形態を概略的に示す正面図であって、保護ゴーグルとディスプレイデバイスとが付設された呼吸デバイスのための収納バッグに対応しており、閉じた状態で図示されている。
【図8】図7の収納デバイスを概略的に示す側面図であって、開いた状態で図示されている。
【符号の説明】
【0040】
1 スタンド(収納デバイス)
2 ディスプレイデバイス(緊急装備)
6 ドア(フラップ)
7 ドア(フラップ)
11 前方開口面
17 保護ゴーグル(緊急装備)
19 フェースマスク(緊急装備)
20 ノッチ
21 把持面
22 ボタン(制御手段、テストデバイス)
23 テスト用光信号
24 光導波路(伝達手段、テストデバイス)
25 ディスプレイユニット(テストデバイス)
50 ボックス(収納デバイス)
100 バッグ(収納デバイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機の乗組員のための緊急装備(2,17,19)を格納するための収納デバイスであって、
前記緊急装備が、使用者の頭に対して保持され得るよう構成されているものである場合に、
前記収納デバイスが、前記緊急装備が前記収納デバイス(1,50)上におけるまたは前記収納デバイス(1,50)内における格納位置にある場合に、使用者が片手でもって少なくとも1つの把持面(21)を介して前記緊急装備(2,17,19)を把持し得るように、さらに、その片手を前記把持面(21)上における実質的に同じ位置に維持しつつ前記緊急装備を使用位置へと頭上に装着し得るように、構成され、
前記収納デバイスが、特に飛行補助に関する情報といったような情報を表示するための少なくとも1つの情報ディスプレイデバイス(2)によって構成された前記緊急装備を受領し得るよう構成され、
前記ディスプレイデバイス(2)が、使用者の目の近くに保持され得るよう構成され、さらに、使用者の目の網膜上へと情報を付帯した光信号を投影し得るよう構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1記載のデバイスにおいて、
テストデバイス(22,24,25)を具備し、
このテストデバイスが、前記緊急装備が前記格納位置とされている状態でこのテストデバイスが起動された場合には、前記ディスプレイデバイス(2)からテスト用光信号(23)を放出させるものとされ、
そのテスト用光信号(23)が、使用者に見えるものとされ、これにより、使用者が、前記ディスプレイデバイス(2)が動作可能であることを視覚的に確認し得るものとされていることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項2記載のデバイスにおいて、
前記テストデバイス(22,24,25)が、前記ディスプレイデバイス(2)からの前記テスト用光信号(23)の放出を引き起こすための制御手段(22)と、前記ディスプレイデバイス(2)からディスプレイユニット(25)までにわたって前記テスト用光信号(23)を伝達するための伝達手段(24)と、を備え、
前記ディスプレイユニット(25)のところにおいては、使用者は、前記テスト用光信号(23)を見ることができ、これにより、使用者は、前記緊急装備が前記格納位置にある場合に、前記ディスプレイデバイス(2)が動作可能であることを視覚的に確認し得るものとされていることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項3記載のデバイスにおいて、
前記ディスプレイデバイス(2)から前記ディスプレイユニット(25)までにわたって前記テスト用光信号(23)を伝達し得るよう構成された光導波路(24)を備えていることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記ディスプレイデバイス(2)からの前記テスト用光信号(23)の放出を引き起こすための制御手段として機能するボタン(22)を備えていることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記緊急装備が、ディスプレイデバイス(2)によって構成されているとともに、フェースマスクあるいは保護ゴーグルを着脱可能に取り付け得るよう構成されている、あるいは、使用者の頭に対して直接的に装着され得るよう構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記緊急装備が、フェースマスク(19)およびディスプレイデバイス(2)によって構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記緊急装備が、フェースマスク(19)と保護ゴーグル(17)とディスプレイデバイス(2)とによって構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記収納デバイスが、ボックス(50)とされ、
このボックス(50)が、
−前記緊急装備(2,17,19)のための容器を構成するとともに前方開口面(11)が形成されたフレームであり、前記前方開口面を通して前記容器内へと前記緊急装備(2,17,19)が挿入されるような、また、前記前方開口面を通して前記容器内から前記緊急装備(2,17,19)が取り出されるような、フレームと;
−前記容器内に前記緊急装備(2,17,19)を配置したときに前記前方開口面(11)を少なくとも部分的に閉塞するための少なくとも1つのフラップ(6,7)と;
を備え、
前記フラップ(6,7)が、少なくとも1つのノッチ(20)を備え、
このノッチ(20)を介して、前記把持面(21)の少なくとも一部を、前記フラップ(6,7)の外面から突出させることができ、すなわち、前記ボックス(50)から突出させることができ、
前記フラップ(6,7)が、開口を備え、
この開口を通して、前記ディスプレイデバイス(2)から放出されたテスト用光信号といったような光信号(23)を見ることができるようになっていることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
スタンド(1)を具備し、
このスタンド(1)が、保護ゴーグル(17)とディスプレイデバイス(2)とを互いに独立にかつ着脱可能に受領し得るよう構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
バッグ(100)を具備し、
このバッグ(100)が、前記緊急装備(2,17,19)を受領し得るよう構成されていることを特徴とするデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−523111(P2006−523111A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505228(P2006−505228)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004262
【国際公開番号】WO2004/089472
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(591264636)インターテクニーク (5)
【Fターム(参考)】