説明

緊急離脱カップリング

【課題】 ケーシングユニットと他側遮断弁とを外力によって円滑かつ確実に分離させると共に、これらを圧力に耐えつつ小径に形成する。
【解決手段】 ケーシングユニット12の流入側通路15とロッド挿入穴17とを互いの軸線がほぼ直角に交差するように配置し、流出側遮断弁26と軸線方向の反対側のアイボルト21をワイヤ5を介して計量機3に繋ぐ構成としている。これにより、ホース4が引張られたときには、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26が分離する方向と引張り方向とを合わせ、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とを円滑かつ確実に分離させる。また、超高圧が作用する部位は、ソケット部16、弁ケーシング28にロッド32を挿着した二重構造とすることにより、外形寸法を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水素ガス、天然ガス等のガスを充填する充填装置に用いて好適な緊急離脱カップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車にはガソリン、軽油等の燃料が給油されるようになっている。しかし、昨今では、排気ガス中に含まれる有害物質を減少させるために、水素ガス、天然ガス等を燃料として用いることが実施されている。
【0003】
また、水素ガス等は自動車側の貯留タンクに非常に高い圧力(以下、超高圧という)をもって充填する必要がある。このため、充填装置のホースが無理に引張られて切断したときや、ホースが引張られることにより充填装置が破損したときに、充填装置側、自動車の貯留タンク側から超高圧なガスが漏れ出さないように、ホースの途中には緊急離脱カップリングを取付けている。
【0004】
この緊急離脱カップリングは、ホースの引張り強度および充填装置の各部の強度よりも弱い脆弱部として形成され、ホースが引張られたときには、この脆弱な緊急離脱カップリングの部分から分離することができる。即ち、緊急離脱カップリングは、通常は軸線方向の一端側が充填装置側のホースに接続されたソケットと、軸線方向の他端側が自動車側のホースに接続されたカップリングと、ソケットとカプラとを接続する第1固定手段とからなり、人為的には分離できない状態になっている。また、ソケット、カップリングの通路は、ソケットとプラグが分離したときに充填装置側、自動車の貯留タンク側の両方からガスが漏れ出さないようにそれぞれ遮断弁を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−295766号公報
【0006】
そして、従来技術による緊急離脱カップリングは、ホースの途中に該ホースと一直線をなすように配設され、これにより、ホースが過大な力で引張られたときには、第1の固定手段が破壊され、ソケットとプラグとが分離方向に移動するのを許す。また、ソケットとプラグとが分離方向に移動すると、通路内の圧力によって係止手段を破壊し、該ソケットとプラグとを完全に分離させる。このときに、ソケット側の流体通路、プラグ側の流体通路は遮断弁によりそれぞれ遮断し、ガスの流出を防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術による緊急離脱カップリングは、ホースの途中に該ホースと一直線をなすように配設している。しかし、水素ガスの充填に用いるホースは、超高圧に耐えることができるように頑丈に作られているから、曲がり難く、ほとんど捻ることができない。このため、ホースが引張られたときには、該ホースが真直ぐに伸びず、ホースの引張り方向と緊急離脱カップリングの分離方向とが一致しない場合があり、ソケットとプラグとを円滑に離脱できないという問題がある。
【0008】
また、緊急離脱カップリングは、ソケットとプラグとの間の空間にある充填ガスの圧力が係止手段に常に直接的に作用している。これにより、超高圧で充填される水素ガスの場合、充填ガスの内圧変化により係止手段が破壊され分離しないように、ある程度、係止手段が破壊される力を大きく設定する必要がある。そして、このように破壊される力を大きく設定すると、内圧が低い場合と高い場合では、破壊するのに必要な力が大きく異なり、緊急離脱カップリングとしては望ましくない。このことから、従来技術の緊急離脱カップリングは、水素ガス等の超高圧ガスを自動車等に充填する充填装置には適さないという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ケーシングユニットと他側遮断弁とに作用する引張り力の方向とケーシングユニットから他側遮断弁を分離する方向とを合わせることにより、円滑かつ確実に分離できるようにした緊急離脱カップリングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1による緊急離脱カップリングは、一側通路とロッド挿入穴とが互いの軸線を交差して設けられ、内部に緊急時に前記一側通路を遮断する一側遮断弁が収容されたケーシングユニットと、該ケーシングユニットに対して前記ロッド挿入穴の軸線方向に分離可能に設けられ、前記一側通路に連通する他側通路を有して緊急時に該他側通路を遮断する他側遮断弁と、前記ケーシングユニットと他側遮断弁とを結合して設けられ、前記ケーシングユニットと他側遮断弁との間に分離方向に一定以上の外力が加わった緊急時に破断して前記ケーシングユニットと他側遮断弁とを分離する結合部材とを備え、前記他側遮断弁は、前記ロッド挿入穴の軸線上に位置して前記ケーシングユニットに対して軸線方向に移動可能に設けられた弁筒と、該弁筒内と前記ロッド挿入穴に軸線方向に移動可能に挿入されるロッドとからなり、前記結合部材が破断したときに前記弁筒とロッドを相対的に移動することにより前記他側通路を遮断する構成としてなる。
【0011】
請求項2の発明によると、前記ケーシングユニットには、当該ケーシングユニットを構造物に繋ぐための掛止め部を前記他側遮断弁とは軸線方向の反対側に設ける構成としたことにある。
【0012】
請求項3の発明によると、前記ケーシングユニットの一側通路には、軸線方向の一端側が前記他側遮断弁のロッドに当接することにより軸線方向の他端側で前記一側遮断弁を開弁状態に支持する支持部材を設け、前記他側遮断弁のロッドには、前記ケーシングユニットと他側遮断弁とが分離方向に移動したときに前記支持部材を収容して前記一側遮断弁が閉弁するのを許す支持部材収容穴を設ける構成としたことにある。
【0013】
請求項4の発明によると、前記ケーシングユニットには、前記ロッド挿入穴の軸線方向に延びるガイド筒を設け、前記他側遮断弁の弁筒は、弁ケーシングと該弁ケーシングの一側に設けられたスリーブとを有し、該スリーブを前記ガイド筒に挿入して前記結合部材により前記ガイド筒に取付ける構成とし、前記ロッドは、軸線方向の一側を前記ケーシングユニットのロッド挿入穴に分離可能に挿入すると共に他側を前記弁ケーシングに軸線方向に移動可能に挿入し、軸線方向の中間を前記スリーブに挿通する構成とし、前記他側通路は、前記弁筒に設けられた弁筒側通路と前記ロッドに設けられたロッド側通路とからなり、前記弁筒とロッドとが相対移動したときに前記弁筒側通路とロッド側通路との間を遮断する構成としたことにある。
【0014】
請求項5の発明によると、前記ロッドの軸線方向の他側には径方向に突出してピンを設け、前記弁筒には、前記ピンが挿入され前記結合部材が破断したときに該ピンが前記ロッドの軸線方向に移動するのを許す長溝と、該長溝から突出した前記ピンを介して前記ロッドを軸線方向の一側に向け付勢する弁ばねとを設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項6の発明によると、前記ケーシングユニットには、前記ロッド挿入穴の軸線方向に延びるガイド筒を設け、前記他側遮断弁の弁筒は、前記ガイド筒内に前記ケーシングユニットと軸線方向に隙間をもって配置し、前記ロッドは、軸線方向の一側を前記ケーシングユニットのロッド挿入穴に分離可能に挿入すると共に他側を前記弁筒に移動可能に挿入し、前記ケーシングユニットと弁筒との間に位置する中間部を前記結合部材を用いて前記ガイド筒に取付け、前記ガイド筒と弁筒との間には、前記弁筒を前記隙間をもって前記弁筒に固定し、外力が加わった緊急時に破断する他の結合部材を設け、前記他側通路は、前記ロッドに軸線方向に独立な通路として設けられた2つのロッド側通路と、前記弁筒に設けられ前記2つのロッド側通路を連通する連通路とからなり、前記弁筒とロッドとが相対移動したときに前記2つのロッド側通路間を遮断する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ケーシングユニットと他側遮断弁との間に分離方向に一定以上の外力が加わった緊急時には、結合部材による結合が解かれるから、ケーシングユニットに対して他側遮断弁が分離方向に移動する。このときには、ケーシングユニットの一側遮断弁が一側通路を遮断し、他側遮断弁が他側通路を遮断するから、ケーシングユニット、他側遮断弁から流体が漏れるのを防止することができる。
【0017】
ここで、ケーシングユニットの一側通路とロッド挿入穴とは、互いの軸線が交差するように配置しているから、例えばロッド挿入穴の開口側と軸線方向の反対側の位置を充填装置等の構造物にワイヤ、フック等を介して繋ぐことができる。従って、ケーシングユニットと他側遮断弁に分離方向の引張り力が作用したときには、自由に曲がるワイヤ等の利点を利用し、他側遮断弁の引張り方向と、ケーシングユニットと他側遮断弁とが分離する方向とを合わせることができる。これにより、ケーシングユニットから他側遮断弁を円滑かつ確実に分離することができ、動作性能、安全性を向上して信頼性を高めることができる。
【0018】
また、ケーシングユニットは、ロッド挿入穴に他側遮断弁のロッドを挿入することにより、該ロッドを中心とする二重構造としている。一方、他側遮断弁は、ロッドの周囲に弁筒を配置する二重構造としている。これにより、ケーシングユニット、他側遮断弁は、その外形寸法を小さくすることができるから、離脱カップリング全体を小型化、軽量化することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、ケーシングユニットには、他側遮断弁と軸線方向の反対側に掛止め部を設けているから、この掛止め部を利用してケーシングユニットを構造物に簡単に繋ぐことができる。しかも、他側遮断弁と軸線方向の反対側に掛止め部を配置しているから、該掛止め部を構造物に繋いだ状態では、ロッド挿入穴から他側遮断弁のロッドを真直ぐに引抜くことができ、ケーシングユニットから他側遮断弁を円滑かつ確実に分離することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、ケーシングユニットと他側遮断弁とを結合した状態では、支持部材の一端側が他側遮断弁のロッドに当接しているから、該支持部材により一側遮断弁を開弁させ、一側通路で流体を流通させることができる。一方、ケーシングユニットに対して他側遮断弁のロッドが分離方向に移動したときには、該ロッドに設けられた支持部材収容穴が支持部材を収容するから、一側遮断弁が閉弁して一側通路を遮断することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、他側遮断弁の弁筒は、弁ケーシングの一側に設けられたスリーブをケーシングユニットのガイド筒に挿入し、この状態でスリーブに結合部材を係合させることによりガイド筒に分離可能に取付けることができる。また、ロッドは、軸線方向の一側をロッド挿入穴に分離可能に挿入することができ、軸線方向の中間部を前記スリーブに、他側を前記弁ケーシングに軸線方向に移動可能に挿入することができる。さらに、他側通路は、弁筒とロッドが相対移動したときに、弁筒に設けられた弁筒側通路とロッドに設けられたロッド側通路との間を遮断することができる。
【0022】
一方、ケーシングユニットに設けたガイド筒は、スリーブをケーシングユニットに対して所定位置に保持することができる。しかも、ケーシングユニットから他側遮断弁が分離するときにガイド筒は、スリーブを分離方向に案内することができ、分離動作を円滑にすることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、結合部材が破断したときには、弁ばねが長溝内でピンを押動し、該ピンを介してロッドが軸線方向の一側に向け移動する。これにより、弁筒とロッドを相対移動することができ、他側通路を遮断することができる。また、ピンを長溝内で移動させることにより、弁筒に対してロッドを抜止めすることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、他側遮断弁の弁筒は、ガイド筒内に位置してケーシングユニットとの間に軸線方向に隙間をもって配置できる。また、ロッドは、軸線方向の一側をケーシングユニットのロッド挿入穴に分離可能に挿入することができ、他側を前記弁筒に移動可能に挿入することができ、前記ケーシングユニットと弁筒との間に位置する中間部を結合部材を用いてガイド筒に取付けることができる。さらに、弁筒は、外力が加わった緊急時に破断する他の結合部材によりガイド筒に固定しているから、緊急時にのみ弁筒の移動を許すことができる。また、他側通路は、弁筒とロッドが相対移動したときに、ロッドに設けられた2つのロッド側通路間を遮断することができる。
【0025】
一方、ケーシングユニットに設けたガイド筒は、弁筒をケーシングユニットに対して所定位置に保持することができる。しかも、ケーシングユニットから他側遮断弁が分離するときにガイド筒は、弁筒を分離方向に案内することができ、分離動作を円滑にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る緊急離脱カップリングを、自動車に水素ガスを供給する充填装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明するものとする。
【0027】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は充填エリアに配設された充填装置で、該充填装置1は、例えば水素ガスを燃料とする水素自動車2の貯留タンク(図示せず)に水素ガスを超高圧で充填するものである。
【0028】
そして、水素ガスの充填装置1は、箱体状に形成された計量機3と、該計量機3から延びたホース4とからなり、前記ホース4の途中には、後述する緊急離脱カップリング11が設けられている。また、計量機3には緊急離脱カップリング11のケーシングユニット12を繋ぎ止めるワイヤ5が設けられている。
【0029】
さらに、ホース4は、計量機3と水素自動車2とを接続するもので、緊急離脱カップリング11から計量機3側が計量機側ホース部4Aとなっている。一方、緊急離脱カップリング11から先端側は自動車側ホース部4Bとなり、該自動車側ホース部4Bの先端には水素自動車2の充填口(図示せず)に接続される接続口4Cが設けられている。
【0030】
ここで、ホース4は、超高圧な水素ガスが流通するもので、高い耐圧性能を得るために頑丈に形成されているから、曲がり難く、ほとんど捻ることができない。このため、緊急離脱カップリング11は、引張られたときにその方向を向くように、自由に曲がることができる柔軟なワイヤ5を用いて計量機3に繋がれている。
【0031】
11は充填装置1のホース4に設けられた緊急離脱カップリングで、該緊急離脱カップリング11は、ホース4の引張り強度よりも弱い脆弱部として形成されている。これにより、ホース4が無理に引張られたとき、例えば水素自動車2の充填口にホース4の接続口4Cを接続した状態で該自動車2が誤って走り出した場合に、脆弱な構造の緊急離脱カップリング11は、積極的に分離してホース4の破損によるガス漏れを防止するものである。そして、緊急離脱カップリング11は、図2ないし図8に示す如く、後述するケーシングユニット12、流出側遮断弁26、結合ピン39により大略構成されている。
【0032】
12は緊急離脱カップリング11のケーシングユニットで、該ケーシングユニット12は、ホース4の計量機側ホース部4A先端が接続されると共にワイヤ5を用いて計量機3側に支持されている。そして、ケーシングユニット12は、後述のケーシング本体13、アイボルト21、継手部材22、流入側遮断弁23、支持ボール25等により大略構成されている。
【0033】
13はケーシングユニット12の本体部分を構成するケーシング本体で、該ケーシング本体13は、ワイヤ5を介して計量機3に繋がれている。また、ケーシング本体13は、後述する突出筒部14、流入側通路15、ソケット部16、ロッド挿入穴17、ガイド筒18、取付部20等により全体としてほぼT字状に構成されている。
【0034】
14はケーシングユニット12の流入側を構成する突出筒部で、該突出筒部14は、図3、図4に示すように、基端側が後述するソケット部16の外周に径方向外向きに突出するように取付けられ、先端側には後述の継手部材22が取付けられている。そして、突出筒部14は、軸線O1−O1を中心とする円筒状に形成されている。
【0035】
15はケーシング本体13の突出筒部14内に設けられた一側通路として用いられる流入側通路で、該流入側通路15は、後述する継手部材22のホース接続口22Aをロッド挿入穴17に連通するものである。そして、流入側通路15は、突出筒部14と同様に軸線O1−O1を中心として設けられている。
【0036】
16は突出筒部14の基端側に設けられた円筒状のソケット部を示している。このソケット部16は、突出筒部14、流入側通路15の軸線O1−O1に対してほぼ直角に交差(直交)する軸線O2−O2を中心にして延びる段付円筒状に形成されている。また、ソケット部16の内周側は、後述のロッド挿入穴17となり、その一端側には後述の取付部20が取付けられている。また、ソケット部16の他端側には後述のガイド筒18が設けられている。
【0037】
17はソケット部16内に形成されたロッド挿入穴で、該ロッド挿入穴17は、流入側通路15を介して継手部材22のホース接続口22Aに連通している。また、ロッド挿入穴17は、ソケット部16と同様に、突出筒部14、流入側通路15の軸線O1−O1に対してほぼ直角に交差(直交)する軸線O2−O2を中心にして形成されている。また、ロッド挿入穴17は、軸線方向の一側が後述の取付部20により閉塞され、他側が後述のガイド筒18内に開口した段付有底穴として形成されている。さらに、ロッド挿入穴17は、流入側通路15に対応する位置がテーパ状に拡径したテーパ拡径部17Aとなり、該テーパ拡径部17Aは、後述するロッド32の支持ボール収容穴32Bに支持ボール25を確実に収めるためのものである。
【0038】
ここで、流入側通路15とロッド挿入穴17とは、互いの軸線O1−O1と軸線O2−O2とをほぼ直角に交差するように配置しているから、該流入側通路15に連通する継手部材22のホース接続口22Aとロッド挿入穴17に挿入される流出側遮断弁26の弁筒27に設けられたホース接続口29Aとを同様にほぼ直角に交差するように配置することができる。
【0039】
18はソケット部16の他側に設けられたガイド筒で、該ガイド筒18は、ロッド挿入穴17の軸線O2−O2と同軸に形成されている。そして、ガイド筒18は、後述する流出側遮断弁26のスリーブ30を所定位置に保持しつつ分離方向(軸線O2−O2方向)に案内するものである。また、ガイド筒18の先端部には、ロッド32を回転方向に位置決めするために、後述の回り止めピン38が取付けられている。さらに、ガイド筒18には、後述の結合ピン39が径方向に取付けられている。
【0040】
ここで、ガイド筒18は、流出側遮断弁26のスリーブ30を位置決めし案内するもので、水素ガスの圧力が作用する部材ではないため、圧力が作用するケーシング本体13等と比較して大幅に薄肉に形成することができる。従って、ガイド筒18は、ケーシングユニット12を大径にするものではない。
【0041】
また、19A,19Bはテーパ拡径部17Aを挟んでロッド挿入穴17に設けられた2個のシールリングを示している。該各シールリング19A,19Bは、流入側通路15から流入する水素ガスがロッド挿入穴17から外部に流出するのを防止するものである。
【0042】
20はソケット部16の一端側に位置して軸線O2−O2上に設けられた取付部で、該取付部20は、小径な有蓋円筒状をなし、その蓋部には後述のアイボルト21が取付けられるねじ穴20Aが形成されている。また、取付部20には、ロッド挿入穴17の奥部を大気に開放する開放通路20Bが径方向に貫通して形成されている。
【0043】
21はケーシング本体13の取付部20に取付けられた掛止め部としてのアイボルトを示している。このアイボルト21は、取付部20のねじ穴20Aに螺着されることにより、後述する流出側遮断弁26の流出口となる継手部材29のホース接続口29Aとは軸線方向の反対側に配置されている。また、アイボルト21には、充填装置1の計量機3から延びるワイヤ5の先端部が掛け止めされている。
【0044】
ここで、緊急離脱カップリング11は、アイボルト21を継手部材29のホース接続口29Aと反対側に配置し、該アイボルト21を柔軟なワイヤ5を介して計量機3に繋ぐことにより、後述の弁筒27がホース4の自動車側ホース部4Bにより引張られたときに、該弁筒27の引張り方向(矢示B方向)と、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とが分離する方向(軸線O2−O2)とを合わせることができる。
【0045】
22は突出筒部14の先端側に取付けられた流入側の継手部材で、該継手部材22は、流入側通路15の開口部に螺着されている。また、継手部材22には、流入口となるホース接続口22Aが形成され、該ホース接続口22Aには、ホース4の計量機側ホース部4A先端が接続される。
【0046】
ここで、継手部材22のホース接続口22Aは、突出筒部14と同軸、即ち、ソケット部16の軸線O2−O2に対してほぼ直角に交差する軸線O1−O1上に配設されている。これにより、計量機3とホース接続口22Aとの間に接続される計量機側ホース部4Aは、図1に示すように、緩やかに湾曲させることができ、この湾曲によって自動車側ホース部4Bが引張られたときに緊急離脱カップリング11を引張り方向に向けることができる。
【0047】
23は流入側通路15内に収容された一側遮断弁として用いられる流入側遮断弁で、該流入側遮断弁23は、流入側通路15と同一軸線(軸線O1−O1)上に配置されている。また、流入側遮断弁23は、後述する結合ピン39による結合が解除されてケーシング本体13とロッド32とが矢示A,B方向に相対移動した緊急時に、流入側通路15を外部に対して遮断するものである。さらに、流入側遮断弁23は、流入側通路15内に挿嵌された弁座23Aと、該弁座23Aに離着座するボール弁体23Bと、該ボール弁体23Bを弁座23Aに着座させる方向に付勢する弁ばね23Cとからなるポペット弁として構成されている。
【0048】
そして、流入側遮断弁23は、ケーシングユニット12のケーシング本体13と流出側遮断弁26の弁筒27とが後述する結合ピン39により結合された状態では、ボール弁体23Bが後述する支持ボール25等により押動されて開弁する。一方、結合ピン39による結合が解除されてケーシング本体13とロッド32とが相対移動し、支持ボール25がロッド挿入穴17側に移動したときには、弁ばね23Cの付勢力と水素ガスの圧力によりボール弁体23Bを弁座23Aに着座させて閉弁し、水素ガスの流出を止めるものである。
【0049】
24は流入側通路15に位置して弁座23A内に軸線方向に移動可能に設けられた中継パイプを示している。この中継パイプ24には、水素ガスを流通させるためのスリット24Aがほぼ全長に形成されている。そして、中継パイプ24は、後述の支持ボール25により流入側遮断弁23のボール弁体23Bを開弁させるものである。
【0050】
25は流入側通路15内に設けられた支持部材としての支持ボールを示している。この支持ボール25は、流出側遮断弁26のロッド32と中継パイプ24との間に配置されている。そして、支持ボール25は、図2に示す如く、ケーシングユニット12と後述の流出側遮断弁26とが結合ピン39により結合された通常状態では、流出側遮断弁26のロッド32外面に当接させることにより、中継パイプ24を介して流入側遮断弁23のボール弁体23Bを開弁状態に支持している。一方、支持ボール25は、図7に示す如く、結合ピン39による結合が解除され、ケーシングユニット12に対して流出側遮断弁26のロッド32が相対移動したときに、該ロッド32の支持ボール収容穴32Bに収容される。
【0051】
次に、26はケーシングユニット12を構成するケーシング本体13のソケット部16に取付けられた他側遮断弁として用いられる流出側遮断弁を示している。この流出側遮断弁26は、ケーシングユニット12に対して分離方向に移動した緊急時に、後述する流出側通路34を遮断するものである。そして、流出側遮断弁26は、後述の弁筒27、ロッド32、弁ばね36等からなるスプール弁として構成されている。
【0052】
27はケーシング本体13のソケット部16の他側に取付けられた弁筒で、該弁筒27は、ロッド挿入穴17の軸線O2−O2上に配置され、ケーシングユニット12と分離可能に設けられている。そして、弁筒27は、後述の弁ケーシング28、流出側の継手部材29、スリーブ30により構成されている。
【0053】
28は弁筒27の本体部をなす弁ケーシングで、該弁ケーシング28は、段付円柱状に形成されている。また、弁ケーシング28の一側寄りの中心位置には、小径なロッド挿着穴28Aが形成されている。一方、弁ケーシング28の外周には、軸線方向の中間部から他側を縮径して弁ばね取付部28Bが形成されている。さらに、弁ケーシング28には、図2中に点線で示すように、軸線O2−O2の方向に延びた長溝としてのピン移動溝28Cが設けられ、該ピン移動溝28Cは、図5に示すように、弁ケーシング28を直径方向に貫通している。そして、ピン移動溝28Cは、ロッド32の移動を図2に示す開弁位置と図6に示す閉弁位置との間で規制するものである。また、弁ケーシング28の一端側(ガイド筒18側)には、ロッド32を回転方向に位置決めするために、後述の回り止めピン38が挿入されるピン挿入穴28Dが設けられている。
【0054】
29は弁ケーシング28の他端側に取付けられた流出側の継手部材で、該継手部材29は、弁ケーシング28の一部を構成するものである。この継手部材29には、流出口となるホース接続口29Aが形成され、該ホース接続口29Aには、ホース4の自動車側ホース部4B基端が接続されている。また、継手部材29の外周には、後述の弁ばね36を支持するばね受29Bが拡径して形成されている。
【0055】
30は弁ケーシング28の一端部に一体的に取付けられたスリーブで、該スリーブ30は、スプール弁の一部をなすもので、後述のロッド32に対して軸線方向に変位することによりロッド側通路33のポート33Aを開,閉するものである。また、スリーブ30の中心位置は、弁ケーシング28のロッド挿着穴28Aと同軸、同径のロッド挿着穴30Aとなっている。また、ロッド挿着穴30Aには、後述のロッド32が閉弁位置に配置されたときにポート33Aを挟む位置にシールリング30Bが設けられている。さらに、スリーブ30の外周側には、後述する結合ピン39が係合する全周溝30Cが形成されている。
【0056】
31は弁筒27に設けられた弁筒側通路で、該弁筒側通路31は、後述するロッド32の支持ボール収容穴32B、ロッド側通路33と共に流出側通路34を構成するものである。また、弁筒側通路31は、上流側が弁ケーシング28のロッド挿着穴28Aを拡径した拡径通路部31Aとなり、合流した下流側が継手部材29のホース接続口29Aに連通している。
【0057】
32は弁筒27に先端側を突出させた状態で設けられたロッドを示している。このロッド32は、軸線方向の一側がスリーブ30から突出してソケット部16のロッド挿入穴17に分離可能に挿入されている。一方、他側は、弁ケーシング28のロッド挿着穴28Aに軸線方向に移動可能に取付けられている。さらに、ロッド32の軸線方向の中間部は、スリーブ30のロッド挿着穴30A内に挿通されている。また、ロッド32の中間部外周側には、鍔部32Aが設けられ、該鍔部32Aは、図2に示す通常の使用状態で、ソケット部16の他端面に当接することにより、ケーシングユニット12に対してロッド32を軸線方向の所定位置に位置決めしている。
【0058】
また、ロッド32の一端側寄り位置には、径方向に開口して支持部材収容穴としての支持ボール収容穴32Bが設けられている。この支持ボール収容穴32Bは、後述のロッド側通路33の一部を構成するものである。また、支持ボール収容穴32Bは、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とが分離方向に移動したときに、流入側遮断弁23との間に配設された支持ボール25を収容し、該流入側遮断弁23のボール弁体23Bが閉弁するのを許すものである。
【0059】
即ち、支持ボール収容穴32Bは、流入側通路15と同じ周方向位置に有底状の長穴として形成され、その深さ寸法は支持ボール25の直径寸法よりも大きく設定されている。これにより、支持ボール収容穴32Bは、図6に示す如く、ロッド32がソケット部16のロッド挿入穴17内で矢示B方向に所定寸法移動したときに、支持ボール25を収容することができる。そして、支持ボール収容穴32Bは、支持ボール25を収容することにより流入側遮断弁23のボール弁体23Bが閉弁するのを許すことができる。
【0060】
33はロッド32の軸線方向の中央付近に設けられたロッド側通路を示している。このロッド側通路33は、一側が支持ボール収容穴32Bに連通し、他側が直径方向に開口したポート33Aとなっている。ここで、ロッド側通路33の各ポート33Aは、図2に示す通常の使用状態では、弁筒側通路31の拡径通路部31Aに連通している。一方、ケーシング本体13とロッド32とが矢示A,B方向に相対移動した緊急時には、スリーブ30によって気密に閉塞することができる。
【0061】
また、34は他側通路として用いられる流出側遮断弁26の流出側通路を示している。この流出側通路34は、ロッド32から弁筒27に亘って設けられ、流入側通路15と継手部材29のホース接続口29Aとを連通するものである。そして、流出側通路34は、前述した弁筒27の弁筒側通路31、ロッド32の支持ボール収容穴32Bおよびロッド側通路33により構成されている。
【0062】
35はロッド32の他端部に取付けられた移動ピンで、該移動ピン35は、ロッド32の直径方向に延び、先端側が弁ケーシング28のピン移動溝28Cを通って弁ばね取付部28Bに突出している。また、移動ピン35は、ピン移動溝28Cに係合してロッド32を抜止めすることができる。
【0063】
また、36は弁ケーシング28の弁ばね取付部28Bに設けられた弁ばねを示している。この弁ばね36は、リング37を介して移動ピン35を矢示A方向に付勢することにより、該移動ピン35を介してロッド32を軸線方向の一側に向け移動することができる。これにより、弁筒27とロッド32を相対移動して流出側通路34を遮断することができ、遮断状態を保持することができる。
【0064】
38はガイド筒18の他端面に突設された回り止めピンで、該回り止めピン38は、その突出側が弁ケーシング28のピン挿入穴28Dに分離可能に挿入されている。これにより、回り止めピン38は、移動ピン35を介してロッド32の回り止めをすることができ、該ロッド32の支持ボール収容穴32Bを流入側通路15に対面可能な位置に配置している。
【0065】
39はケーシングユニット12と流出側遮断弁26との間に設けられた結合部材としての結合ピンで、該結合ピン39は、スリーブ30の全周溝30Cに係合するようにケーシング本体13のガイド筒18に径方向に挿嵌して設けられている。また、結合ピン39は、常時はケーシング本体13と弁筒27とを軸線O2−O2方向に位置決めするように結合している。一方、結合ピン39は、ケーシング本体13と弁筒27とを分離する方向(矢示A,B方向)に一定以上の外力が加わったときに破断し、充填装置1側にワイヤ5を介して繋がれたケーシングユニット12のケーシング本体13に対して流出側遮断弁26が相対移動するのを許すものである。
【0066】
第1の実施の形態による充填装置1は、上述したような構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0067】
まず、図1に示す如く、充填装置1の充填エリアに水素自動車2を止め、充填口を開く。そして、充填装置1のホース4先端に設けられた接続口4Cを充填口に接続し、計量機3から水素ガスを供給する。これにより、ホース4を介して自動車2に水素ガスを充填することができる。
【0068】
次に、充填装置1のホース4に設けられた緊急離脱カップリング11の動作について、図2ないし図8を参照して説明する。
【0069】
充填装置1により水素自動車2に水素ガスを充填しているときには、運転者が誤まって自動車2を発進させてしまい、ホース4を無理に引張ってしまうことが考えられる。
【0070】
このような場合、緊急離脱カップリング11には、図1に示すように、充填装置1の計量機3にワイヤ5を介して繋がれたケーシングユニット12から流出側遮断弁26を引き離す外力が作用する。
【0071】
このときに、ケーシングユニット12に設けた継手部材22のホース接続口22Aは、流出側遮断弁26に設けた継手部材29のホース接続口29Aの軸線O2−O2と交差する軸線O1−O1上に配設しているから、該ホース接続口22Aにホース4の計量機側ホース部4Aを緩やかに湾曲させた状態で接続することができる。しかも、計量機3から延びるワイヤ5は、自動車側ホース部4Bが接続された流出口となる継手部材29のホース接続口29Aと軸線方向の反対側に設けたアイボルト21に接続することができる。
【0072】
これにより、ホース4の計量機側ホース部4Aを無理に捻ったり曲げたりすることなく、流出側遮断弁26が自動車側ホース部4Bが引張られる方向(矢示A,B方向)と、ケーシング本体13のロッド挿入穴17からロッド32が分離する方向(軸線O2−O2の方向)とを合わせることができる。
【0073】
従って、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とを分離させるように働く矢示A,B方向の引張り力が一定以上になり、結合部材を構成する結合ピン39が破断したときには、ケーシング本体13のロッド挿入穴17からロッド32を直線的に引張ることができ、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とを円滑かつ確実に分離させることができる。
【0074】
また、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26の弁筒27とが相対的に移動できるようになると、流出側遮断弁26に設けられた弁ばね36が移動ピン35を介してロッド32を押動することにより、図6に示す如く、弁筒27がロッド32に対して矢示B方向に移動する。これにより、弁筒27のスリーブ30は、ロッド32に設けられたロッド側通路33のポート33Aを閉塞して流出側通路34を遮断する。
【0075】
さらに、ロッド32が弁筒27と一緒に矢示B方向に引張られるようになると、図7に示す如く、ロッド32に設けられた支持ボール収容穴32B内に支持ボール25が収容されるから、流入側遮断弁23のボール弁体23Bが弁座23Aに着座して閉弁し、流入側通路15を遮断する。
【0076】
これにより、ケーシング本体13と弁筒27とは、図8に示す如く、内部の水素ガスを各遮断弁23,26により遮断した状態で完全に分離することができる。また、この分離時には、流入側通路15をロッド挿入穴17の軸線O2−O2と交差する軸線O1−O1上に配設しているから、ケーシング本体13と弁筒27との間に分離方向の圧力が作用するのを防止することができる。従って、各通路15,34を流通する水素ガスの圧力に影響されることなく、外力の作用でのみケーシング本体13と弁筒27とを分離することができる。
【0077】
かくして、第1の実施の形態によれば、ケーシングユニット12の流入側通路15とロッド挿入穴17とは、互いの軸線O1−O1と軸線O2−O2とがほぼ直角に交差するように配置している。これにより、流入口となるケーシングユニット12側の継手部材22のホース接続口22Aと、流出口となる流出側遮断弁26の継手部材29のホース接続口29Aとをほぼ直角に交差する軸線上に配置することができるから、流出口となるホース接続口29Aと軸線方向の反対側の位置にアイボルト21を設けることができ、該アイボルト21に計量機3から延びるワイヤ5を繋ぐことができる。
【0078】
従って、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26に対して矢示A,B方向の引張り力が作用したときには、自由に曲がるワイヤ5により矢示A,B方向の引張り方向と、ケーシング本体13のロッド挿入穴17からロッド32が引抜かれる方向となる軸線O2−O2方向とを合わせることができる。
【0079】
この結果、ソケット部16のロッド挿入穴17からロッド32を直線的に引き抜くことができるから、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とを円滑かつ確実に分離することができ、緊急離脱カップリング11の動作性能、安全性を向上して信頼性を高めることができる。
【0080】
また、ケーシングユニット12の流入側通路15をロッド挿入穴17と直交して配置することにより、流入側通路15と流出側通路34との間に分離方向の圧力が作用するのを防止することができる。従って、各通路15,34を流通する水素ガスの圧力に影響されることなく、外力の作用でのみケーシングユニット12と流出側遮断弁26とを分離することができる。
【0081】
従って、充填する水素ガスの圧力によってケーシングユニット12と流出側遮断弁26とが勢いよく分離したり、また分離するタイミングが圧力に関係したりすることなく、確実かつ安全に分離することができる。この結果、緊急離脱カップリング11は、充填する流体の圧力に関係なく、確実かつ安全に分離することができ、超高圧な水素ガスの充填装置1として適用することができる。
【0082】
しかも、ケーシングユニット12は、ロッド挿入穴17に流出側遮断弁26のロッド32を挿入することにより、該ロッド32の周囲にソケット部16を配置した二重構造としている。また、流出側遮断弁26は、ロッド32の周囲に弁筒27を配置した二重構造としている。この結果、超高圧な水素ガスが作用するソケット部16、弁筒27は、3重構造をなす特許文献1と比較して、外形寸法を小さくすることができるから、緊急離脱カップリング11全体を小型化、軽量化することができる。
【0083】
また、ケーシングユニット12のソケット部16には、弁筒27のスリーブ30が挿入されるガイド筒18を設ける構成としている。これにより、ガイド筒18は、ソケット部16内のロッド挿入穴17に対して弁筒27、ロッド32を同軸となる所定位置に保持することができる。また、ガイド筒18は、ケーシングユニット12から流出側遮断弁26が分離するときに、流出側遮断弁26を分離方向に案内することができ、分離動作を円滑にすることができる。
【0084】
また、ケーシングユニット12の流入側通路15には、ロッド32に当接することにより中継パイプ24を介して流入側遮断弁23のボール弁体23Bを開弁状態に支持する支持ボール25を設け、ロッド32には、ケーシングユニット12に対して流出側遮断弁26が分離方向(矢示B方向)に移動したときに、前記支持ボール25を収容する支持ボール収容穴32Bを設けている。
【0085】
従って、ケーシングユニット12と流出側遮断弁26とが分離方向に移動したときには、ロッド32に設けられた支持ボール収容穴32Bに支持ボール25を収容して、流入側遮断弁23のボール弁体23Bを閉弁し、流入側通路15を遮断することができる。
【0086】
さらに、ロッド32の軸線方向の他側には、弁ケーシング28のピン移動溝28Cから径方向に突出して移動ピン35を設け、弁ばね36の付勢力により前記移動ピン35を介してロッド32を軸線方向の一側に向け付勢する構成としている。これにより、結合ピン39が破断してケーシングユニット12と流出側遮断弁26とが分離したときには、ロッド32を軸線方向の一側に向けて移動し、流出側通路34を遮断することができ、この遮断状態を維持することができる。また、移動ピン35をピン移動溝28Cで移動させることにより、弁筒27に対してロッド32を抜止めすることができる。
【0087】
次に、図9ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、他側遮断弁の弁筒は、ガイド筒内にケーシングユニットと軸線方向に隙間をもって配置し、ロッドは、軸線方向の一側をケーシングユニットのロッド挿入穴に分離可能に挿入すると共に他側を弁筒に移動可能に挿入し、ケーシングユニットと弁筒との間に位置する中間部を結合部材を用いてガイド筒に取付け、ガイド筒と弁筒との間には、弁筒を隙間をもって弁筒に固定し、外力が加わった緊急時に破断する他の結合部材を設け、他側通路は、ロッドに軸線方向に独立な通路として設けられた2つのロッド側通路と、弁筒に設けられ2つのロッド側通路を連通する連通路とから構成したことにある。
【0088】
図9において、41は充填装置1のホース4に設けられた第2の実施の形態による緊急離脱カップリングで、該緊急離脱カップリング41は、ホース4が無理に引張られたとき、積極的に分離してホース4の破損によるガス漏れを防止するものである。そして、緊急離脱カップリング41は、図10ないし図12に示す如く、後述するケーシングユニット42、流出側遮断弁56、第1の結合ピン65、第2の結合ピン66により大略構成されている。
【0089】
42は第2の実施の形態によるケーシングユニットで、該ケーシングユニット42は、第1の実施の形態によるケーシングユニット12とほぼ同様に、後述のケーシング本体43、アイボルト51、継手部材52、流入側遮断弁53、支持ボール55、ガイド筒48等により大略構成されている。
【0090】
43はケーシングユニット42の本体部分を構成する第2の実施の形態によるケーシング本体で、該ケーシング本体43は、ワイヤ5を介して計量機3に繋がれている。また、ケーシング本体43は、第1の実施の形態によるケーシング本体13とほぼ同様に、軸線O1−O1上に配置された突出筒部44および一側通路として用いられる流入側通路45と、突出筒部44の基端側に位置して軸線O1−O1に対してほぼ直交する軸線O2−O2を中心にして延びたソケット部46およびテーパ拡径部47Aを有するロッド挿入穴47と、該ソケット部46の他端側に軸線方向に延びて設けられた円筒状のガイド筒48と、前記ロッド挿入穴47に設けられたシールリング49A,49Bと、前記ソケット部46の一端側に取付けられ、ねじ穴50Aおよび開放通路50Bを有する取付部50等とにより全体としてほぼT字状に構成されている。
【0091】
ここで、ガイド筒48は、ソケット部46の他側に螺着された長尺な円筒をなしている。そして、ガイド筒48は、後述する流出側遮断弁56の弁筒57、ロッド59を所定位置に保持しつつ分離方向(軸線O2−O2方向)に案内するものである。また、ガイド筒48には、後述する第1の結合ピン65と第2の結合ピン66が径方向に設けられている。
【0092】
なお、ガイド筒48は、前述した第1の実施の形態によるガイド筒18と同様に、流出側遮断弁56の弁筒57、ロッド59を位置決めし案内するものであり、水素ガスの圧力が作用する部材ではない。このため、ガイド筒48は、圧力が作用するケーシング本体43等と比較して大幅に薄肉に形成することができる。
【0093】
また、51は取付部50のねじ穴50Aに取付けられた掛止め部としてのアイボルトで、該アイボルト51には、充填装置1の計量機3から延びるワイヤ5の先端部が掛け止めされている。これにより、後述のロッド59がホース4の自動車側ホース部4Bにより引張られたときに、該ロッド59の引張り方向(矢示B方向)と、ケーシングユニット42と流出側遮断弁56とが分離する方向(軸線O2−O2)とを合わせることができる。
【0094】
52は突出筒部44の先端側に取付けられた流入側の継手部材で、該継手部材52には、流入口となるホース接続口52Aが形成され、該ホース接続口52Aには、ホース4の計量機側ホース部4A先端が接続される。
【0095】
また、53は流入側通路45内に同軸に収容された一側遮断弁として用いられる流入側遮断弁で、該流入側遮断弁53は、第1の実施の形態による流入側遮断弁23と同様に、ケーシング本体43と後述のロッド59が矢示A,B方向に相対移動した緊急時に、流入側通路45を外部に対して遮断するものである。さらに、流入側遮断弁53は、弁座53A、ボール弁体53B、弁ばね53Cからなるポペット弁として構成されている。
【0096】
54は流入側通路45に位置して弁座53A内に軸線方向に移動可能に設けられた中継パイプ、55は該中継パイプ54と流出側遮断弁56のロッド59との間に配置された支持部材としての支持ボールをそれぞれ示している。この支持ボール55は、図10に示すように、ケーシングユニット42と後述の流出側遮断弁56とが第1の結合ピン65により結合された通常状態では、ロッド59のソケット挿入部59A外周に当接させることにより、中継パイプ54を介して流入側遮断弁53のボール弁体53Bを開弁状態に支持している。一方、支持ボール55は、図11に示すように、第1の結合ピン65による結合が解除され、ケーシングユニット42に対してロッド59が相対移動したときに、該ロッド59の支持ボール収容穴59Eに収容される。
【0097】
次に、56はケーシングユニット42のガイド筒48内に位置してソケット部46に取付けられた他側遮断弁として用いられる流出側遮断弁を示している。この流出側遮断弁56は、ケーシングユニット42に対して分離方向に移動した緊急時に、後述の流出側通路62を遮断するものである。そして、流出側遮断弁56は、後述の弁筒57、ロッド59、流出側通路62、弁ばね63等からなるスプール弁として構成されている。
【0098】
57はガイド筒48内に位置してロッド挿入穴47と同軸に設けられた円筒状の弁筒を示している。この弁筒57は、ソケット部46の他端面との間に所定の隙間を有した状態で後述する第2の結合ピン66により軸線方向に固定されている。そして、弁筒57は、第2の結合ピン66が破断したときに、軸線O2−O2方向に移動することができる。ここで、弁筒57とソケット部46との隙間は、流出側通路62を遮断する位置まで後述するロッド59の拡径部59Cを軸線方向の他側に移動することができる長さ寸法に設定されている。即ち、弁筒57は、後述のロッド59と相対移動することにより流出側通路62を遮断するスプール弁のスリーブを構成している。
【0099】
また、弁筒57は、その内周側が後述するロッド59の弁筒挿入部59Bが移動可能に挿通するロッド挿通穴57Aとなっている。また、ロッド挿通穴57Aの他側寄りには、該ロッド挿通穴57Aを部分的に拡径することにより、図10に示す通常状態で後述する第1のロッド側通路60のポート60Aと第2のロッド側通路61のポート61Aとを連通する連通路57Bが設けられている。
【0100】
一方、ロッド挿通穴57Aには、3本のシールリング58A,58B,58Cが設けられている。該各シールリング58A,58B,58Cのうち、シールリング58A,58Bは、連通路57Bから水素ガスが漏れるのを阻止するものである。また、シールリング58B,58Cは、図11に示す如く、ロッド59に対して弁筒57が矢示A方向に相対移動したときに、第2のロッド側通路61のポート61Aを遮断するものである。さらに、弁筒57の外周側には、後述する第2の結合ピン66が係合する全周溝57Cが形成されている。
【0101】
59はソケット部46のロッド挿入穴47の軸線O2−O2方向に延びて設けられたロッドを示している。このロッド59は、軸線方向の一側がソケット部46のロッド挿入穴47に分離可能に挿入される小径なソケット挿入部59Aとなり、軸線方向の他側が弁筒57のロッド挿通穴57Aに移動可能に挿入される小径な弁筒挿入部59Bとなっている。また、ケーシングユニット12のソケット部46と弁筒57との隙間に位置する中間部には、円盤状に拡径した拡径部59Cが形成され、弁筒挿入部59Bの他端には、段付円筒状の流出側の継手部59Dが設けられている。
【0102】
一方、ソケット挿入部59Aの一側寄り位置には、径方向に開口して支持部材収容穴としての支持ボール収容穴59Eが設けられ、該支持ボール収容穴59Eは、後述する第1のロッド側通路60の一部を構成するものである。即ち、支持ボール収容穴59Eは、ロッド59のソケット挿入部59Aがソケット部46のロッド挿入穴47内で矢示B方向に所定寸法移動したときに、図11に示す如く、支持ボール55を収容することができる。そして、支持ボール収容穴59Eは、支持ボール55を収容することにより流入側遮断弁53のボール弁体53Bが閉弁するのを許すことができる。
【0103】
さらに、流出側の継手部59Dには、流出口となるホース接続口59Fが形成され、該ホース接続口59Fには、ホース4の自動車側ホース部4B基端が接続されている。また、拡径部59Cの外周側には、後述する第1の結合ピン65が係合する全周溝59Gが形成されている。これにより、ロッド59は、図10に示す通常の使用状態で、拡径部59Cがソケット部46の他端面に当接した軸線方向の所定位置に固定されている。
【0104】
60はロッド59の一側寄りに位置して軸線方向に延びて設けられた第1のロッド側通路を示している。この第1のロッド側通路60は、一端側が支持ボール収容穴59Eに連通し、他端側が弁筒57の連通路57Bに連通可能な位置で直径方向に開口したポート60Aとなっている。
【0105】
また、61はロッド59の他側寄りに位置して軸線方向に延びて設けられた第2のロッド側通路で、該第2のロッド側通路61は、第1のロッド側通路60とは独立な通路として形成されている。そして、第2のロッド側通路61は、一端側が弁筒57の連通路57Bに連通可能な位置で直径方向に開口したポート61Aとなり、他端側がホース接続口59Fに連通している。
【0106】
ここで、第1のロッド側通路60のポート60Aと第2のロッド側通路61のポート61Aとは、図10に示す通常の使用状態では、弁筒57の連通路57Bを介して互いに連通することができる。一方、ケーシング本体43とロッド59とが矢示A,B方向に相対移動した緊急時には、第2のロッド側通路61のポート61Aが弁筒57によって気密に閉塞される。
【0107】
62は他側通路として用いられる流出側遮断弁56の流出側通路を示している。この流出側通路62は、ロッド59の軸線方向に延びて設けられ、流入側通路45とロッド59のホース接続口59Fとを連通するものである。そして、流出側通路62は、前述した弁筒57の連通路57B、ロッド59の第1のロッド側通路60、第2のロッド側通路61により構成されている。
【0108】
63は弁筒57とロッド59の継手部59Dとの間に設けられた弁ばねで、該弁ばね63は、ロッド59に対して弁筒57を矢示A方向、即ち、第2のロッド側通路61のポート61Aを遮断する方向に付勢するものである。
【0109】
64はロッド59の拡径部59Cにソケット部46に向けて突設された回り止めピンで、該回り止めピン64は、その突出側がソケット部46に分離可能に挿入されている。これにより、回り止めピン64は、ロッド59の回り止めをすることができ、該ロッド59の支持ボール収容穴59Eを流入側通路45に対面可能な位置に配置している。
【0110】
65はケーシングユニット42と流出側遮断弁56との間に設けられた結合部材としての第1の結合ピンで、該結合ピン65は、ロッド59の全周溝59Gに係合するようにケーシング本体43のガイド筒48に径方向に挿嵌して設けられている。また、第1の結合ピン65は、常時はケーシング本体43のソケット部46とロッド59とを軸線O2−O2方向に位置決めするように結合している。
【0111】
一方、第1の結合ピン65は、ケーシング本体43とロッド59とを分離する方向(矢示A,B方向)に一定以上の外力が加わったときに破断し、充填装置1側にワイヤ5を介して繋がれたケーシングユニット42のケーシング本体43に対して流出側遮断弁56のロッド59が相対移動するのを許すものである。
【0112】
66はガイド筒48と弁筒57との間に設けられた他の結合部材としての第2の結合ピンで、該結合ピン66は、弁筒57の全周溝57Cに係合するようにガイド筒48に径方向に挿嵌して設けられている。また、第2の結合ピン66は、第1の結合ピン65よりも弱い力で破断するように脆弱に形成されている。
【0113】
これにより、第2の結合ピン66は、常時は弁筒57をソケット部46の他端面との間に所定の隙間を有した位置に固定している。一方、第2の結合ピン66は、ロッド59が矢示B方向に移動して、その拡径部59Cに押動されたときに破断し、ケーシングユニット42から流出側遮断弁56が分離するのを許すものである。
【0114】
第2の実施の形態による緊急離脱カップリング41は、上述したような構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0115】
充填装置1により水素自動車2に水素ガスを充填しているときには、運転者が誤まって自動車2を発進させてしまい、ホース4を無理に引張ってしまうことが考えられる。
【0116】
このような場合、緊急離脱カップリング41には、図9に示すように、充填装置1の計量機3にワイヤ5を介して繋がれたケーシングユニット42から流出側遮断弁56を引き離す外力が作用する。
【0117】
このときに、ケーシングユニット42に設けた継手部材52のホース接続口52Aは、流出側遮断弁56に設けたロッド59のホース接続口59Fの軸線O2−O2と交差する軸線O1−O1上に配設しているから、該ホース接続口59Fにホース4の計量機側ホース部4Aを緩やかに湾曲させた状態で接続することができる。しかも、計量機3から延びるワイヤ5は、自動車側ホース部4Bが接続された流出口となるホース接続口59Fと軸線方向の反対側に設けたアイボルト51に接続することができる。
【0118】
これにより、ホース4の計量機側ホース部4Aを無理に捻ったり曲げたりすることなく、流出側遮断弁56が自動車側ホース部4Bが引張られる方向(矢示A,B方向)と、ケーシング本体43のロッド挿入穴47から流出側遮断弁56のロッド59が分離する方向(軸線O2−O2の方向)とを合わせることができる。
【0119】
従って、ケーシングユニット42と流出側遮断弁56とを分離させるように働く矢示A,B方向の引張り力が一定以上になり、第1の結合ピン65が破断したときには、ケーシング本体43のロッド挿入穴47からロッド59を直線的に引張ることができ、ケーシングユニット42と流出側遮断弁56とを円滑かつ確実に分離させることができる。
【0120】
即ち、第1の結合ピン65が破断すると、ロッド59は、図11に示す如く、ケーシングユニット42のソケット部46と弁筒57に対して矢示B方向に移動する。これにより、ケーシングユニット42は、支持ボール55をロッド59のソケット挿入部59Aに設けられた支持ボール収容穴59E内に収容するから、流入側遮断弁53は、ボール弁体53Bを弁座53Aに着座して閉弁し、流入側通路45を遮断する。これとほぼ同時に、流出側遮断弁56は、ロッド59の第2のロッド側通路61のポート61Aを弁筒57のシールリング58B,58C間に配置し、流出側通路62を遮断する。この結果、ケーシングユニット42の流入側通路45、流出側遮断弁56の流出側通路62の内部の水素ガスを遮断することができる。
【0121】
さらに、ロッド59が矢示B方向に引張られるようになると、図12に示す如く、ロッド59の拡径部59Cが弁筒57に当接して矢示B方向に押動したときに初めて第2の結合ピン66が破断して完全な分離を許可する。これにより、各遮断弁53,56を完全に遮断してから第2の結合ピン66を破断させることができ、内部の水素ガスを各遮断弁53,56により遮断した状態で、ケーシングユニット42と流出側遮断弁56とを分離することができる。
【0122】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、流入側遮断弁53と流出側遮断弁56が閉弁するまでは、第2の結合ピン66により弁筒57をケーシングユニット42側に結合した状態にすることができる。この結果、内部の水素ガスの流出を確実に防止することができる。
【0123】
また、第2の実施の形態では、流入側遮断弁53と流出側遮断弁56とをほぼ同時に閉弁することができるから、水素ガスを遮断するまでの反応速度を速めることができ、緊急離脱カップリング41の性能を高めることができる。
【0124】
なお、実施の形態では、ケーシングユニット12の流入側通路15にホース4の計量機側ホース部4Aを接続し、流出側遮断弁26の流出側通路34にホース4の自動車側ホース部4Bを接続することにより、ケーシングユニット12の流入側通路15から流出側遮断弁26の流出側通路34に水素ガスを流通させる構成とした場合を例示した。
【0125】
しかし、本発明はこれに限らず、流出側遮断弁26の流出側通路34にホース4の計量機側ホース部4Aを接続し、ケーシングユニット12の流入側通路15にホース4の自動車側ホース部4Bを接続する構成としてもよい。この場合には、流出側遮断弁26の流出側通路34を流入側通路として用い、ケーシングユニット12の流入側通路15を流出側通路として用いることができ、流出側遮断弁26の流出側通路34からケーシングユニット12の流入側通路15に水素ガスを流通させることができる。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る緊急離脱カップリングを備えた充填装置を示す外観図である。
【図2】第1の実施の形態による緊急離脱カップリングを通常の使用状態で示す縦断面図である。
【図3】図2に示す緊急離脱カップリングの底面図である。
【図4】図2に示す緊急離脱カップリングの右側面図である。
【図5】図2中の矢示V−V方向から拡大してみた横断面図である。
【図6】結合ピンが破断して流出側遮断弁の流出側通路を遮断した状態を示す緊急離脱カップリングの縦断面図である。
【図7】ロッドの支持ボール収容穴に支持ボールを収容して流入側遮断弁を閉弁させた状態を示す緊急離脱カップリングの縦断面図である。
【図8】ケーシングユニットと流出側遮断弁を分離した状態を示す緊急離脱カップリングの縦断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る緊急離脱カップリングを備えた充填装置を示す外観図である。
【図10】第2の実施の形態による緊急離脱カップリングを通常の使用状態で示す縦断面図である。
【図11】第1の結合ピンが破断して流入側遮断弁と流出側遮断弁を閉弁させた状態を示す緊急離脱カップリングの縦断面図である。
【図12】第2の結合ピンが破断してケーシングユニットと流出側遮断弁を分離した状態を示す緊急離脱カップリングの縦断面図である。
【符号の説明】
【0127】
1 充填装置
3 計量機(構造物)
4 ホース
11,41 緊急離脱カップリング
12,42 ケーシングユニット
13,43 ケーシング本体
14,44 突出筒部
15,45 流入側通路(一側通路)
16,46 ソケット部
17,47 ロッド挿入穴
18,48 ガイド筒
21,51 アイボルト(掛止め部)
22,52 流入側の継手部材
22A,29A,52A,59F ホース接続口
23,53 流入側遮断弁(一側遮断弁)
25,55 支持ボール(支持部材)
26,56 流出側遮断弁(他側遮断弁)
27,57 弁筒
28 弁ケーシング
28C ピン移動溝(長溝)
29 流出側の継手部材
30 スリーブ
31 弁筒側通路
32,59 ロッド
32B,59E 支持ボール収容穴(支持部材収容穴)
33 ロッド側通路
34,62 流出側通路(他側通路)
35 移動ピン
36 弁ばね
39 結合ピン(結合部材)
57B 連通路
59A ソケット挿入部
59B 弁筒挿入部
59C 拡径部
59D 流出側の継手部
60 第1のロッド側通路
61 第2のロッド側通路
65 第1の結合ピン(結合部材)
66 第2の結合ピン(他の結合部材)
O1−O1 流入側通路の軸線
O2−O2 ロッド挿入穴の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側通路とロッド挿入穴とが互いの軸線を交差して設けられ、内部に緊急時に前記一側通路を遮断する一側遮断弁が収容されたケーシングユニットと、
該ケーシングユニットに対して前記ロッド挿入穴の軸線方向に分離可能に設けられ、前記一側通路に連通する他側通路を有して緊急時に該他側通路を遮断する他側遮断弁と、
前記ケーシングユニットと他側遮断弁とを結合して設けられ、前記ケーシングユニットと他側遮断弁との間に分離方向に一定以上の外力が加わった緊急時に破断して前記ケーシングユニットと他側遮断弁とを分離する結合部材とを備え、
前記他側遮断弁は、前記ロッド挿入穴の軸線上に位置して前記ケーシングユニットに対して軸線方向に移動可能に設けられた弁筒と、該弁筒内と前記ロッド挿入穴に軸線方向に移動可能に挿入されるロッドとからなり、前記結合部材が破断したときに前記弁筒とロッドを相対的に移動することにより前記他側通路を遮断する構成としてなる緊急離脱カップリング。
【請求項2】
前記ケーシングユニットには、当該ケーシングユニットを構造物に繋ぐための掛止め部を前記他側遮断弁とは軸線方向の反対側に設ける構成としてなる請求項1に記載の緊急離脱カップリング。
【請求項3】
前記ケーシングユニットの一側通路には、軸線方向の一端側が前記他側遮断弁のロッドに当接することにより軸線方向の他端側で前記一側遮断弁を開弁状態に支持する支持部材を設け、
前記他側遮断弁のロッドには、前記ケーシングユニットと他側遮断弁とが分離方向に移動したときに前記支持部材を収容して前記一側遮断弁が閉弁するのを許す支持部材収容穴を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の緊急離脱カップリング。
【請求項4】
前記ケーシングユニットには、前記ロッド挿入穴の軸線方向に延びるガイド筒を設け、
前記他側遮断弁の弁筒は、弁ケーシングと該弁ケーシングの一側に設けられたスリーブとを有し、該スリーブを前記ガイド筒に挿入して前記結合部材により前記ガイド筒に取付ける構成とし、
前記ロッドは、軸線方向の一側を前記ケーシングユニットのロッド挿入穴に分離可能に挿入すると共に他側を前記弁ケーシングに軸線方向に移動可能に挿入し、軸線方向の中間を前記スリーブに挿通する構成とし、
前記他側通路は、前記弁筒に設けられた弁筒側通路と前記ロッドに設けられたロッド側通路とからなり、前記弁筒とロッドとが相対移動したときに前記弁筒側通路とロッド側通路との間を遮断する構成としてなる請求項1,2または3に記載の緊急離脱カップリング。
【請求項5】
前記ロッドの軸線方向の他側には径方向に突出してピンを設け、
前記弁筒には、前記ピンが挿入され前記結合部材が破断したときに該ピンが前記ロッドの軸線方向に移動するのを許す長溝と、該長溝から突出した前記ピンを介して前記ロッドを軸線方向の一側に向け付勢する弁ばねとを設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の緊急離脱カップリング。
【請求項6】
前記ケーシングユニットには、前記ロッド挿入穴の軸線方向に延びるガイド筒を設け、
前記他側遮断弁の弁筒は、前記ガイド筒内に前記ケーシングユニットと軸線方向に隙間をもって配置し、
前記ロッドは、軸線方向の一側を前記ケーシングユニットのロッド挿入穴に分離可能に挿入すると共に他側を前記弁筒に移動可能に挿入し、前記ケーシングユニットと弁筒との間に位置する中間部を前記結合部材を用いて前記ガイド筒に取付け、
前記ガイド筒と弁筒との間には、前記弁筒を前記隙間をもって前記弁筒に固定し、外力が加わった緊急時に破断する他の結合部材を設け、
前記他側通路は、前記ロッドに軸線方向に独立な通路として設けられた2つのロッド側通路と、前記弁筒に設けられ前記2つのロッド側通路を連通する連通路とからなり、前記弁筒とロッドとが相対移動したときに前記2つのロッド側通路間を遮断する構成としてなる請求項1,2または3に記載の緊急離脱カップリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−120717(P2007−120717A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317013(P2005−317013)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)水素安全利用等基盤技術開発 水素インフラに関する研究開発 水素充てん機の実用化技術の開発、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000110099)トキコテクノ株式会社 (264)
【Fターム(参考)】