説明

緑内障および高眼圧症治療のための活性剤の持続送達

本明細書中に開示される方法は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を用いる緑内障、高眼圧症、眼圧亢進の治療を与える。患者の涙点に挿入するためのインプラントデバイスは、7、14、21、30、45、60、または90日以上にわたり保持される、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続を与え、よって患者ノンコンプライアンスを回避し、およびラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の点眼投与に関連した有害事象の減少または低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
2008年5月9日に出願され、緑内障の治療のためのラタノプロストの持続送達と題する米国仮特許出願シリアル番号第61/052,068号;2008年5月9日に出願され、緑内障の治療のためのラタノプロストの持続送達と題する米国仮特許出願シリアル番号第61/052,133号;および2008年10月27日に出願され、緑内障の治療のためのラタノプロストの持続送達と題する米国仮特許出願シリアル番号第61/108,777号に対する優先権利益をここに主張するが、これらの明細書は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、視神経損傷による進行的視野障害によって特徴付けられる疾患の集合である。緑内障は米国における失明の最大原因であり、年齢60歳およびそれ以上の個人の1〜2%が患う。緑内障の発生に関する多くの危険因子が存在するが(年齢、人種、近視、家系、および負傷)、高眼圧としても知られる眼圧亢進は、うまく処理され、緑内障性視神経症の低下と相関する唯一の危険因子である。健康分野の著名人たちは、250万のアメリカ人が高眼圧を示すと推定している。
【0003】
緑内障および高眼圧を治療するために、薬物が眼に投与される必要があることがしばしばある。薬物送達の従来の方法は、眼の表面への局所的液滴塗布によるものである。局所的点眼は、有効であるが、非効率的である。たとえば、点眼薬が眼に落とされたとき、結膜嚢(すなわち、眼と瞼の間のポケット)を溢れ、瞼の縁を溢れ、顎にこぼれることによって、滴の多くの部分を失うことを引き起すことがしばしばある。加えて、眼球表面に残っている液滴の大部分は、涙小管内に入り通過して洗い流されてしまい、眼を吸収治療する前に薬物の濃度が希釈されてしまうことがある。さらに、多くの場合において、局所的適用薬物は、薬物適用後約2時間の間に眼球内効果がピークに達し、その後、所望の薬物治療的有用性を維持するためにさらに薬物を投与すべきであるが、多くの場合投与されない。参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる、PCT公開WO 06/104434(Lazar)は点眼に関するこれらまたは他の点に関連しているであろう。
【0004】
眼球管理をさらに一層困難にするのは、患者が処方通りに点眼薬を使用しないことが多いという点である。少なくとも25%のノンコンプライアンス率が一般に報告されてきた。この患者コンプライアンスの不順守は、例えば、点眼薬が引き起こすような初期の刺すようなまたは焼けるような感覚、および患者の経験によるものと考えられる。点眼薬を自分の眼に差すことが難しいことがあるのは、部分的には、眼を保護するための正常反射によるものであり得る。したがって、1つまたは複数の液滴が眼に入らないことがある。老齢の患者は、関節炎、不安定性、および視力低下によって、液滴を差すことにさらなる問題を有することがある。小児科および精神科の集団も同様に困難を提供する。
【0005】
上を考慮すると、必要とされることは、上の欠点の少なくとも幾つかを克服する改良された薬物送達システムである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、病気の治療のため、特に眼の病気の治療のために、インプラントを用いて患者の涙点から眼の組織までの治療薬の持続送達のための方法を提供する。一実施形態では、治療薬はラタノプロストである。一態様では、本発明はラタノプロストおよび/または1つ以上の他の治療薬(複数の治療薬)を涙液に関連している眼に送達する方法であって、ラタノプロストおよび/または1つ以上の他の治療薬(複数の治療薬)を含む局所処方製剤を眼の涙点に配置すること、を含む方法を提供する。一実施形態では、局所処方製剤は、眼の涙点または小管に少なくとも部分的に挿入するように構成された涙点インプラント本体中にオプションとして配置される薬物コアの形態である。実施形態によっては、薬物コアはマトリックス、およびマトリックス内に治療薬の包含物、実施形態によってラタノプロストの包含物を含むことが可能である。薬物コアの一部は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を涙に放出するために、涙に露出されることが可能である。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、マトリックス中に溶解されるまたは分散され得て、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は持続期間にわたって治療レベルで放出するために涙に露出された部分を介して放出される。別の態様では、本発明はラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を涙液に関連している眼に送達する方法であって、本質的にはラタノプロストまたは1つ以上の他の治療薬(複数の治療薬)およびポリマーからなる局所処方製剤を眼の涙点に配置することを含む方法を提供する。一実施形態では、局所処方製剤は、予め形成された涙点インプラント内に含浸される、またはラタノプロストまたは他の治療薬およびポリマーの混合物から構成される涙点インプラントの形態で形成される。
【0007】
実施形態によっては、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は約90日にわたって治療レベルで薬物コアまたは含浸された本体の露出された部分を介して放出され得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は油を含んでも良い。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、マトリックス内に包まれていることが可能であり、マトリックスは、非生物学的吸収性ポリマーを含み得る。
【0008】
本発明は、眼圧亢進の治療のためのラタノプロストまたは他の治療薬もしくは複数の治療薬の使用を提供する。実施形態によっては、本発明は緑内障の治療のためのラタノプロストの使用を提供する。実施形態によっては、本発明は緑内障の治療のためのラタノプロストとは別の治療薬または複数の治療薬の使用を提供する。実施形態によっては、眼圧を低下させるためのラタノプロストの使用が提供される。ある実施形態は、眼の疾患を治療するためのラタノプロストまたは別の治療薬もしくは複数の治療薬を提供する。実施形態によっては、眼の疾患の治療に使用されるための複数の治療薬の組み合わせが提供される。本発明はまた、緑内障および/または眼圧亢進の治療のための抗緑内障薬の使用を提供する。実施形態によっては、本発明は眼の病気の治療のためのプロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似物の使用を提供する。
【0009】
本発明はさらに、必要に応じて患者の眼の中の眼圧の低下のための薬の製造における眼圧低下治療薬の使用を提供する。実施形態によっては、薬は持続局所処方製剤であり得る。実施形態によっては、眼圧低下治療薬である。実施形態によっては、眼圧低下治療薬は、経時的に眼に連続的に放出することが可能である。ある実施形態では、患者の眼圧は、ベースラインから少なくとも10%低下する。ある実施形態では、眼圧はベースラインから少なくとも15%、ベースラインから少なくとも20%、またはベースラインから少なくとも25%低下する。
【0010】
特定の実施形態では、眼圧低下治療薬は、少なくとも約30日、少なくとも約60日、または少なくとも約90日の期間にわたり放出される。実施形態によっては、眼圧低下治療薬は、抗緑内障薬、たとえばアドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン類似体、降圧脂質、神経保護材料またはこれらの組み合わせである。一実施形態では、抗緑内障薬はラタノプロストである。
【0011】
多くの実施形態では、処方製剤は眼インプラント、たとえば涙点インプラント中に配置されそして溶出する。実施形態によっては、処方製剤は涙点インプラント内に、インプラントの少なくとも1つの表面が処方製剤によってコーティングされるように含浸される。実施形態によっては、処方製剤は、涙点インプラント中に配置された持続放出コア内に含まれる。
【0012】
涙点インプラントは、約3.5マイクログラム、約14マイクログラム、約21マイクログラムまたは約44マイクログラムからなる眼圧低下治療薬を含み得ることは考えられる。実施形態によっては、涙点インプラントは、患者の両方の眼のそれぞれの1つの涙点に挿入される。
【0013】
処方製剤は近似的に90日に一度投与され、眼圧低下治療薬は、近似的に180日、近似的に270日、近似的に360日、近似的に450日、近似的に540日、近似的に630日、近似的に720日、近似的に810日または近似的に900日からなる期間にわたって眼に連続的に放出される。
【0014】
ある実施形態では、約25ナノグラム/日および約250ナノグラム/日の間の眼圧低下治療薬が放出される。一実施形態では、眼圧は、眼圧低下治療薬を投与する前は少なくとも約20mmHgである。眼圧の低下は、高々約7日、高々約14日、高々約21日、高々約28日、高々約56日、高々約84日、または高々約105日からなる連続期間にわたり維持される。
【0015】
実施形態によっては、患者ノンコンプライアンスが、眼圧低下治療薬の点眼処方と比べて十分に減少する。
【0016】
ある実施形態では、眼圧は高眼圧に関連する。実施形態によっては、眼圧は、緑内障に関連する。
【0017】
また本明細書中では、必要に応じて患者の眼の眼圧を減らすための薬の製造における眼圧低下治療薬の使用であって、薬は眼の少なくとも1つの涙点に挿入されるインプラント中での使用に適しており、インプラントは眼圧低下薬を含む持続放出コアを含み、眼圧低下治療薬は眼に経時的に連続的に放出することが可能であり、前記眼圧はベースラインから少なくとも10%低下する使用が提供される。
【0018】
実施形態によっては、眼圧はベースラインから少なくとも15%、ベースラインから少なくとも20%、またはベースラインから少なくとも25%からなる群から選択される量が低下する。ある実施形態では、眼圧低下治療薬は少なくとも約30日、少なくとも約60日、および少なくとも約90日からなる群から選択される期間にわたり放出される。
【0019】
実施形態によっては、持続放出コアはインプラント本体中に配置される。ある実施形態では、患者は緑内障を患っている。ある実施形態では、インプラント、持続放出コア、または両方は不浸透性コーティングによって少なくとも部分的にコーティングされている。実施形態によっては、不浸透性コーティングはパリエンを含む。一実施形態では、眼圧低下治療薬はラタノプロストである。
【0020】
本発明はまた、患者の少なくとも1つの涙点にインプラントを挿入することによって眼圧を低下する方法であって、インプラントはラタノプロストもしくは他の治療薬(複数の治療薬)に少なくとも部分的に含浸される、または少なくともラタノプロストもしくは他の治療薬(複数の治療薬)を含む持続放出コアを含み、インプラントは少なくとも約90日にわたり連続的にラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出する方法を提供する。一実施形態では、方法は、被験者にラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続に影響を及ぼすために、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含むインプラントを少なくとも部分的に被験者の涙点に挿入することによって、緑内障関連眼圧亢進を治療し、結果として少なくとも6mmHgの関連する眼の眼圧を減らす。
【0021】
実施形態によっては、インプラントは、インプラントの挿入の後、少なくとも約7日、少なくとも約28日、少なくとも約52日、少なくとも約88日、または少なくとも約90日の連続期間の間、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出する。実施形態によっては、インプラントは約25ナノグラム/日および約250ナノグラム/日の間のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出する。他の実施形態では、インプラントは少なくとも約250ナノグラム/日のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出することが可能である。別の他の実施形態では、インプラントは少なくとも約350ナノグラム/日以上のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出することが可能である。ある実施形態では、インプラントは1日あたりたく0.75マイクログラム、1日あたり約1.0マイクログラム、または1日あたり約0.75マイクログラム以上のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出することが可能である。実施形態によっては、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含むインプラントの局所処方製剤は、連続期間の間、10回より少ない回数、5回より少ない回数、または3回より少ない回数を被験者の眼に投与される。
【0022】
実施形態では、本発明は約22mmHgの眼圧(IOP)を有する患者の少なくとも1つの涙点にインプラントを挿入することによって眼圧を低下させる方法を提供する。インプラントは、ラタノプロストもしくは他の治療薬(複数の治療薬)に少なくとも部分的に含浸されることが可能である、または少なくともラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含む持続放出コアを含むことが可能であり、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のインプラントからの放出は、約22mmHgから約16mmHgの低下をもたらす。
【0023】
ある実施形態では、本発明は、約21mmHg、約20mmHg、約19mmHg、約18mmHg、約17mmHg、約16mmHg、約15mmHg、約14mmHg、約13mmHg、約12mmHg、約11mmHg、または約10mmHgの眼圧(IOP)を有する患者の少なくとも1つの涙点にインプラントを挿入することによって眼圧を低下させる方法を提供する。実施形態では、本発明は原発開放隅角緑内障を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、閉塞隅角緑内障を治療するための方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は正常眼圧緑内障を治療するための方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は続発性緑内障を治療するための方法を提供する。
【0024】
ある実施形態では、眼圧の低下は、高々約7日、高々約14日、高々約21日、高々約28日、高々約56日、高々約84日、または高々約105日の連続期間にわたり維持される。実施形態では、眼圧の低下は、約90日の連続期間にわたり維持される。別の実施形態は、約90日の治療のコースを提供する。
【0025】
ある実施形態では、1週間後の治療のコースでの眼圧の変動性は、約1mmHgである。他の実施形態では、1週間後の治療のコースでの眼圧の変動性は、約2mmHgより小さい。他の実施形態では、1週間後の治療のコースでの眼圧の変動性は、約3mmHgより小さい。実施形態では、一旦、眼圧は約6mmHgに低下すると、治療のコースの残りの間の任意の所与の時刻における眼圧の変動性は、約1mmHgより小さい。
【0026】
本明細書中に記載される本発明はまた、持続インプラントを患者の少なくとも1つの涙点に挿入することによって眼圧を低下させる方法であって、関連する眼の眼圧が少なくとも約25%だけ低下する方法を提供する。
【0027】
実施形態によっては、本発明は、患者の少なくとも1つの涙点に少なくとも部分的に挿入するように構成された薬物コアまたは他のインプラント本体から溶出するラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)からなる局所処方製剤を投与することによって高眼圧を有する患者を治療するための方法であって、処方薬は少なくとも90日にわたり眼圧を低下させることが可能である方法を提供する。実施形態では、薬物コアは眼用インプラントに挿入されるように構成される。さらなる実施形態では、眼用インプラントは涙点インプラント、たとえば涙点プラグである。
【0028】
実施形態では、本発明の方法は、インプラントの挿入後1日あたり少なくとも10%、またはインプラントの挿入後7日以内に少なくとも20%の眼圧の低下を結果としてもたらす。実施形態によっては、眼圧の低下は少なくとも75日にわたり維持される。他の実施形態では、眼圧の低下は少なくとも90日にわたり維持される。他の実施形態では、眼圧の低下は少なくとも120日にわたり維持される。さらに別の実施形態では、眼圧の約20%の低下、約25%の低下、約30%の低下、約35%の低下、約40%の低下、約45%の低下、または約50%以上の低下が、涙点インプラントの挿入後、約90日以下では存在する。
【0029】
実施形態では、涙点インプラントを挿入する前の眼圧は少なくとも20mmHgである。実施形態によっては、眼圧は、インプラント挿入の約7日後、約16mmHgである。
【0030】
本明細書中に記載されている本発明はまた、治療薬に少なくとも部分的に含浸した、または非生分解性ポリマーを含む持続放出コアを有するインプラントを提供する。実施形態によっては、持続放出コアはシリコーンを含む。
【0031】
インプラントは上涙点もしくは下涙点に挿入されることが可能である、またはインプラントは上類点および下涙点の両方に挿入されることが可能である。インプラントは1つの眼の1つの涙点に挿入されても良いし、またはインプラントは両方の眼の各々の涙点に挿入されても良い。
【0032】
インプラントは、少なくとも3マイクログラム、少なくとも10マイクログラム、少なくとも20マイクログラム、少なくとも30マイクログラム、少なくとも40マイクログラム、または約3.5と135マイクログラムの間のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含んでも良い。他の実施形態では、インプラントは40マイクログラム以上のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含んでも良い。他の実施形態では、インプラントは治療薬、たとえば1つ以上の、トラボプロスト、ビマトプロスト、他などのプロスタグランジン誘導薬、または、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、アルファアドレナリン作動薬等のような眼圧亢進の治療に有用な他の治療薬を含んでも良い。実施形態によっては、インプラントから放出される治療薬または複数の治療薬の量は、持続期間、たとえば約7日間以上、約30日以上、約45日以上、約60日以上、約75日以上、約90日、またはそれ以上にわたり眼の状態を治療するためには十分である。実施形態によっては、インプラントは約3.5マイクログラム、約14マイクログラム、約21マイクログラムおよび約44マイクログラムのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含む。他の実施形態では、インプラントは、約50、約60、約70または約80マイクログラムのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含む。他の実施形態では、インプラントは所望の治療期間にわたり治療レベルで持続するために十分な量の治療薬を含む。
【0033】
本発明はさらに、患者の少なくとも1つの涙点にインプラントを挿入することによって眼圧亢進を治療するための方法であって、インプラントは約14マイクログラムのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含む持続放出コアに含浸されているまたは持続放出コアを有し、インプラントは少なくとも90日にわたって保持され、眼圧は図1に示されるように実質的に低下する方法を提供する。
【0034】
実施形態によっては、本質的にラタノプロストおよび他の治療薬(複数の治療薬)ならびに薬学的に受容可能なビヒクルからなる局所処方製剤であって、処方製剤は患者の少なくとも1つ涙点に少なくとも部分的に挿入されるように構成された固体薬物コアまたは他のインプラント本体から溶出し、処方製剤は少なくとも90日にわたり眼圧を低下させることが可能である局所処方製剤が提供される。
【0035】
本発明はさらに、ラタノプロストおよび他の治療薬(複数の治療薬)の点眼処方と比べて患者ノンコンプライアンスの低下を与える。一回の挿入手順は、持続期間にわたりラタノプロストおよび他の治療薬(複数の治療薬)の連続的投与を提供し、点眼投与に関わる患者ノンコンプライアンスを回避する。
【0036】
本発明はさらに眼圧を低下させる方法、ならびに、実施形態によっては、眼の疾患を治療するための治療薬、たとえば限定はされはしないが、ラタノプロスト、トラボプロスト、およびビマトプロスト、ならびにさらなる例としてチモロールの局所投与による副作用の発生を低くする方法であって、限定されはしないが、本明細書中で開示されているようなインプラントを含むインプラントから前記治療薬を眼に送達することを含む副作用の発生を低くする方法を提供する。実施形態では、そのようなインプラントは治療薬に部分的にまたは完全に含浸されている。たとえば、インプラント本体はプラスチック製コンポーネントおよび1つ以上の治療薬のマトリックスを含むことが可能である。1つ以上の治療薬はマトリックス中に実質的に分散され、経時的に放出され得る。別の実施形態では、そのようなインプラントは、治療薬を含む持続薬物コアを含んでも良い。
【0037】
図面では、幾つかの図を通じて類似のコンポーネントを記述するために同様の参照符号がしようされ得る。図は一般に、例示の方法によって、限定する方法ではなく、本文書中で議論される様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】14μgのラタノプロスト涙点プラグ送達システムで治療された被験者の平均眼圧を示している。
【図2A】涙点または小管アナトミー内に少なくとも部分的に保持されるように構成された涙点インプラントの等角図の例を示している。
【図2B】図2Aの線2B−2Bに沿ってなど、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラントの断面図の例を示している。
【図2C】インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた別の涙点インプラントの断面図の例を示している。
【図3A】涙点または小管アナトミー内に少なくとも部分的に保持されるように構成された涙点インプラントの等角図の例を示している。
【図3B】図3Aの線3B−3Bに沿ってなど、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラントの断面図、およびインプラントが受ける解剖学的組織構造の拡大図の例を示している。
【図4A】涙点または小管アナトミー内に少なくとも部分的に保持されるように構成された涙点インプラントの等角図の例を示している。
【図4B】図4Aの線4B−4Bに沿ってなど、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラントの断面図の例を示している。
【図5】涙点または小管アナトミー内に少なくとも部分的に保持されるように構成された涙点インプラントの断面図の例を示している。
【図6】3ヶ月のフォローアップにわたる眼圧値を示している。
【図7】3ヶ月より長いフォローアップの場合の眼圧値を示している。
【図8】3ヶ月にわたるベースラインからの平均眼圧変化(+/−SD)を示している。
【図9】CORE研究でのベースラインからの平均IOP(眼圧)変化を示している。
【図10】CORE研究でのベースラインからの平均IOP変化を示している。
【図11】CORE研究での第12週における平均IOP変化を示している。
【図12】公表されているラタノプロストおよびチモロール点眼研究(出典:米国ラタノプロスト研究グループ。高眼圧または緑内障を患う患者におけるラタノプロストまたはチモロールに対する反応のレート。J Glaucoma 2003;12:466−469)と比較したCORE研究でのIOPのパーセント低下を示している。注記、ラタノプロストおよびチモロールに対するパーセンテージは、出展中のグラフから推定している。
【図13】公表されているラタノプロスト、チモロールおよびビマトプロスト点眼研究(参考文献:高眼圧または緑内障を患う患者におけるラタノプロストまたはチモロールに対する反応のレート。J Glaucoma 2003;12:466−469;高眼圧または緑内障を患う患者における眼圧の低下効率と比較した6ヶ月無作為化臨床試験。Am J Ophthlmol 2003;135:55−63)と比較したCORE研究でのIOPのパーセント低下を示している。ラタノプロストおよびチモロールに対するパーセンテージは、出展中のグラフから推定している。
【図14】公表されているラタノプロストおよびチモロール点眼研究と比較したCORE研究でのIOPの絶対低下を示している。出展:米国ラタノプロスト研究グループ。高眼圧または緑内障を患う患者におけるラタノプロストまたはチモロールに対する反応のレート。J Glaucoma 2003;12:466−469。注記:ラタノプロストおよびチモロールに対するパーセンテージは、出展中のグラフから推定している。
【図15】公表されているラタノプロストおよびチモロール点眼研究と比較したCORE研究でのターゲットIOPに到達する患者のパーセンテージを示している。出展:米国ラタノプロスト研究グループ。高眼圧または緑内障を患う患者におけるラタノプロストまたはチモロールに対する反応のレート。J Glaucoma 2003;12:466−469。注記:ラタノプロストおよびチモロールに対するパーセンテージは、出展中のグラフから推定している。
【図16】CORE研究における眼の有害事象(AE)を示している。
【図17】ラタノプロスト点眼研究と比較したCORE研究での眼の有害事象(AE)を示している。キサラタン点眼液 0.005%(50mg/mL)(Pharmacia)06/05/1996承認:Medical Officers Review、pp.93、98−100。FOI Servicesによって提供された。**高眼圧または緑内障を患う患者における眼圧の低下効率と比較した6ヶ月無作為化臨床試験。Am J Ophthlmol 2003;135:55−63。睫毛の成長に含まれる他の有害事象。***198人の患者での数字(キサラタン点眼液 0.005%(50mg/mL)(Pharmacia)06/05/1996承認:Medical Officers Reviewの98頁)。
【図18】ラタノプロスト、トラボプロスト、チモロール、およびビマトプロストの点眼研究と比較したCORE研究での眼の有害事象を示している。(1)開放隅角緑内障または高眼圧を患う患者でのラタノプロストまたはチモロールと比較したトラボプロスト。他のAEは、眼痛、白内障、ドライアイ、眼瞼炎、視力障害を含んだ。(2)高眼圧または緑内障を患う患者における眼圧の低下効率と比較した6ヶ月無作為化臨床試験。Am J Ophthlmol 2003;135:55−63。他のAEは、睫毛の成長を含んだ。(3)緑内障および高眼圧でのビマトプロストおよびチモロールを比較した1年、無作為化研究。Arch Ophthlmol V120 2002年10月 1286−1293。他のAEは、睫毛の成長、眼の乾き、眼痛を含んだ。また、ビマトプロストBID群を含んだ(高いAE発生率)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(定義)
本明細書中で用いられる際には、用語“一つの(a)”または“一つの(an)”は、特許文書では一般的であるように、“少なくとも1つ”または“1つ以上”の任意の他の例または使用とは独立に、1つ以上を含むように用いられる。
【0040】
本明細書中で用いられる際には、用語“または”は、非排他的OR(オア)を指すように用いられ、よって“AまたはB”は、特に示されない限りは、“AであるがBではない”、“BであるがAではない”および“AおよびB”を含む。
【0041】
本明細書中で用いられる際には、用語“約”は、近似的に、ほとんど、ほぼ、または、規定の量に等しい量の近傍にある量を指すように用いられる。
【0042】
本明細書中で用いられる際には、用語“有害事象”は、治験であろうとまたは臨床診療であろうと、薬および医療デバイスを含む治療法を受けている患者によって経験される任意の望ましくない臨床的事象を指す。有害事象は、患者の健康または健幸に有害な影響を有するまたは有する可能性がある、患者の状態または実験室的結果の変化を含む。たとえば、有害事象は、限定はされないが:配置前に特定されたデバイス故障、デバイス位置異常、配置後のデバイス故障、慢性炎症、眼内炎、角膜障害(角膜浮腫、不透明化、または移植代償不全)、慢性痛、虹彩色素沈着変化、結膜充血、睫毛の成長(増大した長さ、厚さ、色素沈着、および睫毛の数)、瞼の皮膚の黒ずみ、眼内炎症(虹彩炎/ブドウ膜炎)、嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、視力障害、灼熱感および刺痛感、異物感、かゆみ感、点状上皮性角膜炎、ドライアイ、涙量過多、眼痛、瞼のかさぶた形成、瞼の不快/痛み、瞼浮腫、瞼紅斑、まぶしがり症、VA減少、結膜炎、複視、めやに、網膜動脈塞栓症、網膜剥離、糖尿性網膜症からの硝子体出血、上気道感染症/風邪/流感、胸痛/狭心症、筋/関節/背中痛、ならびに発疹/アレルギー性皮膚反応、眼そう痒症、流涙、眼球充血および点状角膜炎を含む。
【0043】
本明細書中で用いられる際には、後句“本質的に〜からなる”は、特定の材料またはステップならびに構成の基本的および新規な特性に著しく影響を及ぼさない追加の、未定義のコンポーネントに構成を限定する。
【0044】
本明細書中で用いられる際には、用語“連続の”または“連続的に”は、損じていないまたは中断していないを意味する。たとえば、連続的に投与される活性剤は、中断なしにある期間にわたり投与される。
【0045】
本明細書中で用いられる際には、用語“眼”は、眼に関連する任意のおよび全ての解剖学的組織および構造を指す。眼は3つの層:外側の強膜、中間の脈絡膜、および内側の網膜を有する壁を備える球形構造である。強膜は、内側層を保護する強靭な繊維性コーティングを含む。それは、前面の、角膜における、光が眼に入ることを許容する透明な領域を除けばほとんど白色である。強膜の内部に位置している、脈絡膜は、多くの血管を含み、色素沈着虹彩のように眼の前面で変形する。生物学的凸レンズは、瞳孔のすぐ背後に位置している。レンズの背後の眼房は、硝子体液、膠様質で満たされている。前眼房および後眼房は、それぞれ角膜および虹彩の間に位置しており、眼房水で満たされている。眼の背後には光を検出する網膜がある。角膜は像を眼の背後に運ぶ光学的に透明な組織である。角膜は血管組織を含み、血管組織には栄養分および酸素が、涙液および眼房水に浸すことを介して供給されると同時に角膜と虹彩の間の接合の内面を覆う血管から供給される。角膜は、薬物の浸透から眼までの一方通行を含む。眼に関連する他の解剖学的組織構造は、分泌システム、分配システムおよび排泄システム、を含む涙管ドレナージシステムを含む。分泌システムは、まばたきおよび涙の蒸発による温度変化によって刺激される分泌器、ならびに遠心性副交感神経性線維供給器を有し、物理的および感情的刺激に反応して涙を分泌する反射型分泌器を含む。分配システムは、眼瞼および開いた眼の瞼の縁のまわりに涙液メニスカスを含み、まばたきによって眼の表面に涙を散布し、よって乾いた領域の発達を減少させる。
【0046】
本明細書中で用いられる際には、用語“インプラント”は構造であって、たとえば、本特許文献中に記載されているもの、および参照によりその全体が本明細書中に組み込まれるWO 07/115,261中に記載されているような、たとえば薬物コアまたは薬物マトリックスを介して、薬物を含むようにまたは薬物が含浸されるように構成され得て、構造が涙液の経路に沿って患者の中のターゲット位置に埋め込まれるときに、ある量のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のような活性剤を持続期間にわたって涙液中に放出することが可能な構造を指す。用語“インプラント”、“プラグ”、“涙管プラグ”、および“涙管インプラント”は、本明細書中では、類似の構造を指すものとする。同様に、用語“インプラント本体”および“プラグ本体”は、類似の構造を指すものとする。本明細書中に記載されるインプラントは、被験者の涙点に、または涙点を介して小管に挿入され得る。インプラントはまた、薬物コアまたは薬物マトリックス自体であって、たとえば、ポリマーコンポーネントおよびラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)コンポーネントを、ポリマーコンポーネントおよびラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)コンポーネントを包囲する追加の構造を持たずに有する、涙点インプラント遮眼子のようなキャリア中に収容されずに、涙点に挿入するように構成された薬物コアまたは薬物マトリックス自体であっても良い。
【0047】
本明細書中で用いられる際には、“効き目の喪失”(LoE)は、第0日目から連続的にL−PPDSを装着しながらの、片方の眼または両方の眼でのベースライン(洗浄後)IOPへのIOP増加として定義される。被験者がLoEによる研究を完了する前に、被験者は少なくとも4週間にわたり追跡され、LoEは2回の連続の通院で確認された。
【0048】
本明細書中で用いられる際には、“薬学的に受容可能なビヒクル”は、薬学的混合物を処方するのに有用な分野の当業者に知られている、任意の生理学的ビヒクルである。適切なビヒクルは、ポリマーマトリックス、減菌蒸留水または精製水、生理食塩液またはホウ酸水などの等張液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、プロピレングリコールまたはブチレングリコールを含む。他の適切なビヒクルの構成要素は、硝酸フェニル水銀、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸一ナトリウムを含む。他の適切なビヒクルの構成要素の追加の例は、アルコール、脂肪および油、ポリマー、界面活性剤、脂肪酸、シリコーン油、湿潤剤、モイスチャライザー、粘度指数向上剤、乳化剤および安定剤を含む。構成要素はまた、補助的な材料、すなわち、クロロブタノール、パラバンまたは有機水銀化合物のような抗細菌薬;水酸化ナトリウム、塩酸または硫酸などのpH調整薬;メチルセルロースのような増粘剤を含み得る。最後の構成要素は、無菌で、本質的に異種粒子を含まず、最適な薬物安定性が許容されるpHを有する。
【0049】
本明細書中で用いられる際には、用語“涙点”は、涙湖の外側端での瞼の縁上に見える、涙小管の末端におけるオリフィスを指す。プンクタ(複数の涙点)は、涙腺によって生成される涙を再吸収するように機能する。涙管ドレナージシステムの排出部分は、ドレナージの流れる順序で、涙点、涙小管、涙嚢および涙管を含む。涙管から、涙または他の流動可能な材料は、鼻系の通路に流れ込む。涙小管は、それぞれ上涙点および下涙点で終了する、上(上部)涙小管と下(下部)涙小管を含む。上涙点と下涙点は結膜嚢付近の毛様体と涙腺部の接合部における眼瞼縁の内側端で少しだけ上昇する。上涙点と下涙点は一般的に、組織の接合環によって囲まれた円形また若干卵形の開口部である。プンクタの各々は、それぞれの小管の垂直部分に導かれるが、それは涙嚢の入り口で互いに接合するために、小管の湾曲でより水平に折れ曲がる前のことである。小管は、全般的に形状が管状であり、弾性組織であって、膨張することが許容されている組織によって包囲されている扁平上皮によって区画されている。
【0050】
用語“被験者”および“患者”は、限定はされないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む哺乳動物などの動物を指す。多くの実施形態では、被験者または患者は人間である。
【0051】
“治療薬”は、薬物を含むことが可能であり、以下のもの、すなわち、抗緑内障薬(たとえば、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬(ベータ遮断薬)、炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、CAIの、全身のおよび局所の)、副交感神経刺激薬(たとえば、コリン作動性薬)、プロスタグランジンおよび降圧脂質、およびそれらの組み合わせ)、抗菌薬(たとえば、抗生物質、抗ウイルス、駆虫薬、抗真菌剤など)、コルチコステロイドまたは他の抗炎症(例えば、NSAID)、充血緩和剤(たとえば、血管収縮薬)、アレルギー反応の加減を防止する薬(例えば、抗ヒスタミン薬、サイトカイン阻害薬、ロイコトリエン阻害薬、IgE阻害薬、免疫)、肥満細胞安定剤、調節麻痺剤等を含む、任意のものまたは均等物、派生物もしくは類似物であっても良い。治療薬で治療され得る健康状態の例は、限定はされないが、緑内障、事前および事後外科的治療、高眼圧症、ドライアイおよびアレルギーを含む。実施形態によっては、治療薬は潤滑剤や界面活性剤、たとえばドライアイを治療するための潤滑剤であっても良い。
【0052】
治療薬の例は、限定はされないが、トロンビン阻害剤;抗血栓剤;血栓溶解剤;線維素溶解;血管攣縮抑制剤;血管拡張剤;高血圧症治療剤;(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウムなどの)抗生物質のような抗菌剤;(アムホテリシンBやミコナゾールなどの)抗真菌薬;および(例えば、イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンなどの)抗ウイルス剤;表面糖タンパク質受容体の阻害剤;抗血小板剤;細胞分裂阻止剤;微小管阻害剤;抗分泌剤;活性阻害剤;リモデリング阻害剤;アンチセンスヌクレオチド;抗謝産物;(抗血管新生剤を含む)増殖抑制薬;抗がん剤化学療法剤;(ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21-リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメトロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなどの)抗炎症薬;非ステロイド系抗炎症薬(サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカムおよびナブメトンなどのNSAID)を含む。本発明の方法で使用するために意図されたこうした抗炎症ステロイドは、トリアムシノロンアセトニド(一般名)、およびコルチコステロイド(例えば、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、フルメトロン、およびそれらの誘導体を含む);抗アレルギー薬(クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、セトリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミンなど);抗増殖剤(1,3-シスレチノイン酸、5-フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンCおよびシスプラチンなど);充血除去剤(フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリンなど);縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ(ピロカルピン、サリチル酸塩、カルバコール、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エゼリン、ジイソプロピルフルオロリン酸、ホスホリンヨウ素、臭化デメカリウムなど);抗新生物薬(カルムスチン、シスプラチン、フルオロウラシル3など);免疫薬(ワクチンおよび免疫刺激剤など);ホルモン薬(エストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インシュリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチドおよびバソプレッシン視床下部放出因子など);免疫抑制剤、成長ホルモン拮抗薬、増殖因子(上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子β、ソマトトラピン、フィブロネクチンなど);血管新生阻害剤(アンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、抗VEGF抗体など):ドーパミン作動薬;放射線治療薬;ペプチド;タンパク質;酵素;細胞外マトリクス;コンポーネント;ACE阻害剤;フリーラジカルスカベンジャー;キレート剤;抗酸化材料;抗ポリメラーゼ;光線力学療法薬;遺伝子治療薬;ならびに、プロスタグランジン、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体などのその他の治療薬(チモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロールなどのβブロッカーと、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロストなどのプロスタグランジンアナログとを含む抗緑内障薬を含む);アセタゾラミド、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックスなどの炭酸脱水素酵素阻害剤;ルベゾール、ニモジピン、および関連化合物などの神経保護剤;ならびに、ピロカルピン、カルバコール、フィゾスチグミンなどの副交感神経作用薬を含む。
【0053】
用語“局所的”は、体の組織や臓器の任意の表面を指す。局所製剤は、その表面や臓器を治療するために、体表面に適用されるものである。本明細書で使用されるような局所製剤はまた、目に局所投与をもたらすために、涙に治療薬を放出することができる製剤を含む。
【0054】
本明細書中で使用される際には、病気の用語“治療すること”または“治療”は:(1)疾患を妨げること、すなわち、疾患の臨床的兆候を、疾患にさらされている、または感染しやすいのかも知れないが、まだ罹っていないまたは疾患の兆候が現れていない被験者で発達しないようにすること;(2)疾患を阻止すること、すなわち、疾患もしくは臨床的兆候の発達を阻止する、または低減する;または(3)疾患を和らげること、すなわち、疾患もしくは臨床的兆候の緩解を引き起すこと、を含む。
【0055】
本明細書中で記載されるインプラントは、限定はされないが、眼の疾患または不調を含む、様々な疾患の治療に有用であるだろうと思われる。これらの疾患または不調は、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼内炎、角膜炎、ドライアイ、糖尿病性網膜症を含む黄斑浮腫、感染症、黄斑変性症、視力障害、ヘルペス性結膜炎、眼瞼炎、網膜血管新生もしくは脈絡膜血管新生、および他の増殖性眼疾患を含む。また、限定はされないが、リウマチ性疾患、めまい、上気道感染症(風邪/インフルエンザ)を含む感染症、胸痛/狭心症、胸の痛み、筋肉/関節/背中の痛み、自己免疫疾患、炎症性疾患、癌やその他の増殖性疾患、感染症、血管疾患、糖尿病や頭痛を含む中枢神経系疾患を含む追加の疾患の治療が想定されている。本明細書中で記載されるプラグからの治療薬の局所および全身送達の両方が使用され得る。
【0056】
本発明は、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼内炎、角膜炎、ドライアイ、糖尿病性網膜症を含む黄斑浮腫、感染症、黄斑変性症、視力障害、ヘルペス性結膜炎、眼瞼炎、網膜血管新生もしくは脈絡膜血管新生、および他の増殖性眼疾患の治療のためのラタノプロストまたは別の活性剤もしくは複数の活性剤の使用を提供する。また、本明細書中には、リウマチ性疾患、めまい、上気道感染症(風邪/インフルエンザ)を含む感染症、胸痛/狭心症、胸の痛み、筋肉/関節/背中の痛み、自己免疫疾患、炎症性疾患、癌やその他の増殖性疾患、感染症、血管疾患、糖尿病や頭痛を含む中枢神経系疾患の治療のためのラタノプロストまたは別の活性剤もしくは複数の活性剤の使用が提供される。実施形態によっては、本発明は、上記疾患の治療のための抗緑内障薬の使用を提供する。ある実施形態では、上記疾患の治療のためのプロスタグランジンまたはプロスタグランジンアナログの使用が提供される。
【0057】
(眼圧亢進)
高眼圧(OH)および原発開放隅角緑内障(POAG)は、主に眼が適切に水流体を排出することが不可能であることによる、前眼房中の眼房水の蓄積によって引き起される。虹彩の起点に位置する毛様体は、連続的に眼房水を生成する。眼房水は前眼房に流れ込み、次に角膜と虹彩の角を通り小柱網の中に、そして強膜内の導管に排出される。正常な眼では、生成される眼房水の量は、排出される量に等しい。しかしながら、このメカニズムが脅かされている眼では、眼圧(IOP)が上昇する。IOP亢進は、緑内障視野障害の主要な危険因子を表す。幾つかの研究の結果は、低めの眼圧を目標とする早期対応は視神経の損傷および視力低下ならびに失明につながる視野の損失の進行を遅らせることを示している。
【0058】
(ラタノプロスト)
本明細書中に記載される方法での使用のために好適な治療薬はラタノプロストである。ラタノプロストはプロスタグランジンF類似物である。ラタノプロストの化学名は、イソプロピル−(Z)−7[(1R,2R,3R,5S)3,5−ジヒドロキシ−2−[(3R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル]シクロペンチル]−5−ヘプテノアートである。ラタノプロストの分子式はC2640であり、その化学構造は:
【化1】

である。
【0059】
ラタノプロストは、無色から微黄色油であり、アセトニトリル中に非常によく溶解し、アセトン、エタノール、酢酸エチル、イソプロパノール、メタノール、オクタノール中にやや溶けやすい。ラタノプロストは、水中には実際上、不溶である。
【0060】
ラタノプロストは、眼房水の流出を増やすことによって眼圧(IOP)を低減すると考えられている。動物および人間での研究は、作用の主なメカニズムは、眼から水流の増加したぶどう膜強膜流出であることを示唆している。ラタノプロストは、イソプロピルエステルプロドラッグが酸の形に加水分解され生物学的に活性になる角膜を通って吸収される。人間での研究は、眼房水のピーク濃度は局所投与後約2時間に達することを示す。
【0061】
キサラタン(登録商標)ラタノプロスト点眼液は、開放隅角緑内障または高眼圧症を患う患者でのIOP亢進の低減のためと示された市販で入手可能な製品である。市販で入手可能なキサラタン(登録商標)中のラタノプロストの量は、1ドロップあたり約1.5マイクログラムである。上述のように、点眼は、有効ではあるが不十分で、治療効果を維持するために複数回の使用を要求する。低い患者コンプライアンスは、これらの効果を完全に引き出さない。
【0062】
(患者ノンコンプライアンス)
様々な眼疾患の治療のための点眼薬を使用する患者による高いノンコンプライアンスを示す数多くの研究が出版されてきた。数多くの研究は、様々な眼疾患の治療のための点眼薬を使用している患者の高い違反を示す公開されています。ある研究では、患者のたった64%の患者が指示されたように点眼を使用したことを示した(ウィンフィールドら、1990)。別の研究は、緑内障の点眼薬を使用する患者の41%は、30日の期間で、6回以上の服用を逃したことを示した(NorellとGranstrom 1980)。
【0063】
本明細書中に記載される発明は、点眼投与に関連するノンコンプライアンスの問題を回避する、緑内障を治療する方法を提供する。実施形態によっては、本発明の方法は、点眼投与と比較して十分に、少なくとも10%だけ、少なくとも20%だけ、少なくとも30%だけ、少なくとも40%だけ、少なくとも50%だけ、少なくとも60%だけ、少なくとも70%だけ、少なくとも80%だけ、または少なくとも90%だけ、患者ノンコンプライアンスを低減する。実施形態によっては、本明細書中に記載される方法を用いる全患者ノンコンプライアンスは、約5%、約10%、約15%、約20%、または約25%である。
【0064】
もし本発明のインプラントが患者によって意図的に取り外されたならば、またはもしそのようなインプラントが患者の涙点から非意図的に紛失してしまった後に、患者がインプラントの再挿入を模索しないならば、患者ノンコンプライアンスは生じるかも知れない。もしインプラントが意図的に取り外され、患者が約48時間より短い時間内に再挿入を模索するならば、患者コンプライアンスは満たされるだろうと考えられる。また、もしインプラントが意図的に取り外され、患者がインプラントの取り外しまたは紛失の約24時間より短い時間内に再挿入を模索するならば、患者コンプライアンスは満たされるだろうと考えられる。
【0065】
(臨床試験および臨床診断での副作用)
キサラタン(登録商標)の製品情報に基づいて、臨床試験ではラタノプロストに関連して最も頻繁に報告される眼の有害事象は、視力障害、灼熱感および刺痛感、結膜充血、異物感、かゆみ感、虹彩における色素増加、および点状角膜炎であった。これらの事象は、被験者の5%から15%で発生した。1%未満の被験者は、結膜充血に対する不耐性により、不連続的な治療を必要とした。ドライアイ、過剰流涙、眼痛、瞼のかさぶた形成、瞼の不快/痛み、瞼浮腫、瞼紅斑およびまぶしがり症は、1%から4%の被験者で報告された。
【0066】
結膜炎、複視、および目からの放出は1%未満の被験者で報告された。網膜動脈塞栓、網膜剥離、糖尿病性網膜症から硝子体出血はほとんど報告されていない。
【0067】
臨床試験で最も一般的な全身有害事象は、約4%の割合で発生した上気道感染症/風邪/インフルエンザであった。胸痛/狭心症、筋肉/関節/背部痛、および発疹/皮膚のアレルギー反応がそれぞれ1%から2%の割合で発生した。
【0068】
臨床実習では、ラタノプロストに関連する以下の有害事象が注意されてきた、つまり:喘息および喘息増悪;角膜浮腫および角膜びらん;呼吸困難;睫毛やうぶ毛の変化(増大した長さ、厚さ、色素沈着、および数);瞼の皮膚の黒ずみ;ヘルペス角膜炎;眼内炎症(虹彩炎/ブドウ膜炎);角膜炎;嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫;時に眼刺激をもたらす誤った向きの睫毛;めまい、頭痛、および中毒性表皮壊死症、である。
【0069】
(治療の方法)
本明細書中に記載された本発明は、緑内障、眼圧亢進、および緑内障関連眼圧亢進を治療薬を用いて治療するための方法を提供する。多くの実施形態では、ラタノプロストを用いて眼を治療する方法が提供される。実施形態によっては、治療薬は、持続期間にわたり眼に放出される。実施形態では、持続期間は近似的に90日である。実施形態によっては、方法は、本体および薬物コアを有するインプラントを涙点を通り挿入することを含み、よって、薬物コアが涙点近くに保持されるようになる。実施形態によっては、方法は、治療薬が含浸された本体を有するインプラントを涙点を通り挿入することを含む。実施形態によっては、薬物コアの露出した表面、またはインプラントの近位端近くに位置する含浸した本体は、涙または涙層流に接触し、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は薬物コアおよび本体が少なくとも部分的に涙点内に保持されている間、持続期間にわたり眼に対し露出した表面からマイグレイトする。多くの実施形態では、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を用いて眼を治療する方法であって、涙点を通り小管内腔にオプションの保持構造を有するインプラントを挿入することを含み、よって、インプラント本体は、保持構造によって内腔の壁に留まるようになる。インプラントは、薬物コアまたは他の薬物供給器から眼の涙または涙層流に、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の有効量を放出する。実施形態によっては、薬物コアは、保持構造が内腔内に留まり続けている間に、保持構造から取り出されても良い。交換用薬物コアが次に、保持構造が留まり続けている間に、保持構造に留まるようにすることが可能である。交換用薬物コアの少なくとも1つの露出した表面は、持続期間にわたり治療レベルでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出する。
【0070】
交換用インプラント、または別の実施形態では、実施形態によっては、それ自身の保持構造に取り付けられて得る、またはそれ自身の保持構造を含み得る交換用薬物コアは、近似的に180日、近似的に270日、近似的に360日、近似的に450日、近似的に540日、近似的に630日、近似的に720日、近似的に810日または近似的に900日の期間にわたり眼に薬物の連続的な放出をもたらすために、近似的に90日ごとに保持構造に取り付けられても良い。実施形態によっては、交換用インプラントは、約180日、約270日、約360日、約450日、約540日、約630日、約720日、約810日または約900日に及ぶ日数を含む拡大された期間にわたり眼への薬物の放出を達成するために、近似的に90日ごとに涙点に挿入されても良い。
【0071】
別の実施形態では、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を用いて眼を治療する方法であって、薬物コアまたは他のインプラント本体を少なくとも部分的に、眼の涙点の少なくとも1つに挿入することを含む方法が提供される。薬物コアは、別のインプラント本体構造に付随しても良いし、しなくても良い。薬物コアまたは薬剤が含浸されたプラント本体は、治療レベルでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続送達を与える。実施形態によっては、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続送達は、90日に及ぶ日数にわたり連続する。
【0072】
多くの実施形態では、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を用いて眼を治療する方法であって、インプラントの遠位端を眼の涙点の少なくとも1つに挿入することを含む方法が提供される。実施形態によっては、インプラントの保持構造は、インプラントが除去されることを防ぐように、膨張され得る。保持構造の膨張は、涙点を通る涙または涙層流を塞ぐことに役立ち得る。実施形態によっては、インプラントは、埋め込まれたときに、少なくとも45度傾斜した交差が、インプラントの膨張を防ぐために、インプラントの近位端によって定義される第1の軸と、インプラントの遠位端によって定義される第2の軸の間に存在する。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、インプラントの近位端から眼に近接する涙液に送達される。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の送達は、近位端の遠位で抑制される。
【0073】
本発明の方法は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続を提供する。実施形態によっては、活性剤は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも13週間、少なくとも14週間、少なくとも15週間、または少なくとも16週間にわたりインプラントから放出される。実施形態にによっては、活性剤はラタノプロストである。実施形態では、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は少なくとも12週間にわたり放出される。別の実施形態では、上述のような本発明に従う治療の方法はさらに、ラタノプロスト送達点眼液、たとえば、キサラタン(登録商標)を用いる補助的療法を含む。
【0074】
インプラントに関連するラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の量は、所望の治療効果およびデバイスが治療薬を送達しようとする時間に依存して変化し得る。本発明のデバイスは様々な形状、サイズ、および送達メカニズムを示すため、デバイスに関連する薬物の量は、治療される特定の疾患や状態、治療効果を達成するために望まれる投薬量および期間に依存するだろう。一般的には、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の量は、少なくとも、デバイスから放出されると、所望の生理学的または薬理学的な局所的または全身効果を達成するために有効な薬物の量である。
【0075】
本発明のインプラントの特定の実施形態は、治療に有効な治療の滴下方法に類似または等価な日々のレートでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の送達を提供するように構成され得る。本発明のインプラントの他の実施形態は、治療に有効な治療の滴下方法を超える日々のレートでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の送達を提供するように構成され得る。
【0076】
本発明のインプラントの実施形態はまた、治療に有効な治療の滴下方法より低い日々のレートでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の送達を提供し、広い安全域を有する広い治療範囲を提供するようにするように構成され得る。たとえば、多くの実施形態は、日々の薬物投与のたった5パーセントまたは10パーセントである拡張された期間わたり治療レベルで眼を処置する。特定の実施形態では、量は推奨される点眼投与量の5パーセントより少ない量であり得る。結果的に、初期ボーラスまたは約1日から3日の休薬期間中に、インプラントは持続レベルよりも実質的に高く、日々の滴下方法量よりずっと低いレートで、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を溶出することができる。たとえば、平均の持続レベルが1日あたり100ngであり、初期放出レートが1日あたり1000から1500ngの場合、初期に放出される薬物の量は、眼に送達される薬物の滴下中に存在し得る、薬物の量2500ngより少ない。この、日々投与される1滴以上の薬物の量より実質的に低い持続レベルの使用は、意図された部位または領域で不適切または過剰な量の薬物を避けつつ、広い安全域を有する所望の治療効果を達成するために、デバイスに治療的に有益な薬物の量を放出させることを可能にする。
【0077】
比較目的のために、キサラタン(登録商標)のような滴下を用いる標準的な治療は、35マイクロリットルの滴下体積を仮定すると、約1.5マイクログラムのラタノプロストを送達する。対照的に、一実施形態では、本発明のインプラントは、上述の従来の滴下投与より十分に小さいであろう薬物の量を送達することができる。他の実施形態では、1日あたり100ng、たとえば、1日あたりラタノプロスト1.5マイクログラムにおよぶ量が投与され得る。日々放出されるラタノプロストの持続量は変化し得るが、本発明のインプラントを用いる1日あたり近似的に100ngの持続は、0.005%溶液の一滴と一緒に適用されるラタノプロストの約6%に相当する。
【0078】
インプラントを挿入するおよび除去する方法は、当業者には知られている。たとえば、インプラントの挿入および除去/取り出しのためのツールは、(2007年9月7日に出願され、涙点インプラントのための挿入および取り出しツールと題する)米国特許出願第60/970,840号中に記載されており、その開示はその全体が本明細書中に組み込まれる。一般的に、配置のためには、用いられる涙点インプラントのサイズは、適切な倍率を用いて、または、もし備えられてれば、涙点インプラントに付随するサイジングツールを使用しすることによって、画定されても良い。もし、涙点インプラントに適合することが必要ならば、患者の涙点を広げても良い。もしインプラントの涙点への配置を容易にするために必要ならば、潤滑剤の液滴を適用しても良い。適切な配置器具を利用して、インプラントは眼の上涙点および下涙点に挿入されても良い。配置後、インプラントのキャップは認識可能である。この工程は、患者の他の眼に対しても繰り返され得る。インプラントの除去のために、小さな手術用鉗子が、キャップ下の管状部でインプラントを確実に把持するために用いられても良い。穏やかな引っ張り動作を用いて、インプラントは穏やかに回収されても良い。
【0079】
(インプラント)
実施形態によっては、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、持続期間にわたり、別個のインプラント本体構造に付随しても良いし、付随しなくても良い薬物マトリックスコアによって投与される。ある実施形態では、本明細書中に記載される方法で用いられるインプラントが提供される。インプラントは、患者の涙液の経路に沿ってターゲット位置に埋め込まれたときに、数日、数週間、または数ヶ月の持続期間にわたり毎日、涙液にラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出するように構成され得る。インプラントは、持続期間にわたりラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出する任意の数の異なる設計の一つであり得る。インプラント構造またはプロセッシング実施形態の例であって、現在の発明およびそれらのインプランを製造する方法で用いられる実施形態を記述する以下の特許文書の開示は、参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる:(2006年12月26日に出願され、薬物治療のための鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号60/871,864号;(2007年4月2日に出願され、鼻涙システムのための薬物送達方法、構造および複合体と題する)米国出願シリアル番号11/695,537号;(2006年3月31日に出願され、薬物治療のための鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号60/787,755号;(2007年4月2日に出願され、薬物治療のための鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号11/695,545号;(2006年12月21日に出願され、治療媒体送達デバイスおよびそのような送達デバイスを用いて治療媒体を眼に送達するための方法と題する)米国出願シリアル番号11/571,147号;(2007年9月7日に出願され、膨張可能な鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号60/970,696号;(2007年9月21日に出願され、膨張可能な鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号60/974,367号;(2007年9月7日に出願され、治療薬物の持続のための薬物コアの製造と題する)米国出願シリアル番号60/970,699号;(2007年9月7日に出願され、薬物送達のための鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号60/970,709号;(2007年9月7日に出願され、治療薬物の持続のための薬物コアの製造と題する)米国出願シリアル番号60/970,720号;(2007年9月7日に出願され、インプラントデバイスのためのプロスタグランジン類似物および方法と題する)米国出願シリアル番号60/970,755号;(複数の薬物送達システムおよび薬物と涙点インプラントの組み合わせと題する)米国出願シリアル番号60/970,820号;(2008年4月30日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/049,347号;(2008年4月30日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/049,360号;(2008年5月12日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/052,595号;(2008年6月24日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/154,693号;(2009年3月2日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/209,036号;(2009年3月9日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/209,630号;(2008年3月14日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/036,816号;(2008年4月30日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号61/049,337号;(2009年4月29日に出願され、複合涙液挿入および関連方法と題する)米国出願シリアル番号12/432,553号;(2008年4月30日に出願され、薬物放出ポリウレタン涙液インプラントと題する)米国出願シリアル番号61/049,317号;(2009年2月17日に出願され、涙液インプラントおよぶ関連方法と題する)米国出願シリアル番号12/387,710号;(2008年9月5日に出願され、表面処理インプラント製品および関連方法と題する)米国出願シリアル番号12/283,002号;(2008年9月5日に出願され、涙液インプラントおよび関連方法と題する)米国出願シリアル番号12/231,989号;(2008年9月5日に出願され、治療薬剤の持続のための薬物コアと題する)米国出願シリアル番号12/231,986号;(2008年9月5日に出願され、涙液インプラント検出と題する)米国出願シリアル番号12/231,987号;(2004年4月15日に出願され、涙点プラグを介した薬物送達と題する)米国出願シリアル番号10/825,047号;国際公開出願 WO 2006/014434号;および、(2006年3月31日に出願され、WO 2007/115259として公開され、薬物治療のための鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)国際出願シリアル番号PCT/US2007/065789号。
【0080】
一般的に、インプラントは、本体を含む。実施形態によっては、インプラント本体は、遠位端部および近位端部を有する。本体の遠位端部は、患者の小管内腔への涙点に少なくとも部分的に挿入可能である。インプラント本体は、ラタノプロストもしくは他の治療薬(複数の治療薬)に少なくとも含浸されて得る、またはさもなければ、ラタノプロストもしくは他の治療薬(複数の治療薬)を、インプラント本体に挿入されるマトリックス薬物コア内などに含み得る。マトリックス薬物コアまたは含浸された本体が涙液に晒されることにより、ラタノプロストまたは他の活性剤の、持続期間にわたる涙液への有効的な放出が引き起こされる。インプラントは、薬物コアの特定の部分からラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の放出を妨げるために薬物コアの少なくとも一部上に配置されたシースを含み得る。インプラント本体は、内腔の壁の組織に係合するように構成された外側表面を有し、内腔内に配置されたときに除去されることを防ぐようにする。多くの実施形態では、積分フィードバックまたは他の突起は、薬物のコアの近位端近くのシースの周りに接続される。実施形態では、積分フィードバックまたは他の突起は、涙点の外側に保持されるようなサイズに形成された1つ以上の翼を含み、薬物コアの近位端を涙点近くに保持するようにする。他の実施形態では、積分フィードバックまたは他の突起は、薬物コアの近位端近くのシースの周りに接続された完全なまたは一部の(たとえば、トリミングされた)ヘッド部分を含む。ヘッド部分は、薬物コアの近位端を涙点近くに保持するために、涙点の外側に保持されるようなサイズに形成され得る。、ようにする。
【0081】
実施形態によっては、インプラントは、薬物コアのみを含み、コアを取り巻く付加的な構造が欠如している。たとえば、実施形態によっては、インプラントは、シリコーンのような薬物溶出マトリックス、およびプロスタグランジンまたは他の治療薬、実施形態によってはラタノプロスト、から形成された本体を含み、治療薬は、(2004年4月15日に出願され、涙点プラグを介した薬物送達と題する)米国出願シリアル番号10/825,047号中に記載されているように、インプラント本体の一部または全部に含浸される。実施形態によっては、薬物コアは、薬学的に受容可能なビヒクル、たとえば、非生物学的吸収性ポリマー、たとえば、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を有する非一様混合物中のシリコーンを含む、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)マトリックスを含む。薬物コア中の非一様混合物は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)に浸された、またはラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の封入物に浸されたシリコーンマトリックスを含む。薬物コア中の封入物は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃縮された形態であり、シリコーンマトリックスは薬物コア中に封入物を包含する。特定の実施形態では、シリコーンマトリックス中のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)封入物は、シリコーンマトリックス中に包含された封入物の非一様な混合物を含む。薬物コアは、ラタノプロスト油を含み得る。
【0082】
高い放出レート、低い放出レート、ボーラス放出、バースト放出、およびそれらの組み合わせを送達するためにインプラントデバイスを変更または適合することもまた、本発明の範囲内のことである。薬物のボーラスは、涙または涙液中にすぐに溶解する侵食性ポリマーキャップの形態によって放出され得る。ポリマーキャップが涙または涙液に接触するようになると、ポリマーキャップの溶解特性はキャップが侵食することを可能とし、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)はすべて一度で放出される。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のバースト放出は、ポリマーの溶解特性に基づいて涙または涙液中にも侵食するポリマーを用いて実行され得る。この例では、薬物またはポリマーは、デバイスの長さに沿って層化し、外側のポリマーが溶けると、薬物はすぐに放出される。薬物の高いまたは低い放出レートは、侵食性ポリマー層の溶解性を、薬物層が急速にまたはゆっくりと放出されるように変化させることによって実現され得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出するための他の方法は、多孔性膜、(典型的な点眼液のような)溶解性ゲル、薬物の微粒子封入物、またはナノ粒子封入物を介して達成され得る。
【0083】
(シース本体)
シース本体は、薬物コアからラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションを制御するために、適切な形状および材料を含み得る。実施形態によっては、シース本体は薬物コアを収容し、コアに対してしっくりと適合し得る。シース本体は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)に対して実質的に不浸透性である材料から形成され、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションのレートは、シース本体によって覆われない薬物コアの露出表面によって大きく制御され得る。多くの実施形態では、シース本体を介したラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションは、薬物コアの晒されている表面を介したラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションの約10分の1、またはそれより小さく、しばしば100分の1またはそれより小さい値であり得る。別の言葉では、ース本体を介したラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションは、薬物コアの晒されている表面を介したラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションより少なくとも約1桁小さい。適切なシース本体は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(以下“PET”)を含む。実施形態によっては、シース本体は、コアに隣接したシース表面のからコアから離れた対向するシース表面までとして定義される、約0.00025インチから約0.0015インチの厚さを有する。実施形態によっては、コアを横切って延びるシースの全直径は、約0.2nmから焼く1.2nmの範囲である。コアはコアをディップコーティングすることによってシース材料中に形成され得る。代わりに、または組み合わせで、シース本体は、チューブおよび、たとえば、シース本体チューブにスライドされ得る、注入され得るまたは押し出され得る液体または固体として、シースに導入されるコアを含み得る。シース本体はまた、コアのまわりをディップコーティングされ得て、たとえば、予め形成されたコアのまわりディップコーティングされ得る。
【0084】
シース本体は、インプラントの臨床使用を容易にするために追加のフィーチャを備えることができる。たとえば、シースは、インプラント本体、保持構造、およびシース本体が患者中の中に埋め込まれたままである間に交換可能である薬物コアを受けても良い。シース本体はしばしば、上述のように、保持構造に堅く取り付けられ、コアは、保持構造がシース本体を保持している間に交換可能である。特定の実施形態では、シース本体は、コアをシース本体に押し込む、および取り出す時にシース本体に力を加える外部突起を備えることが可能である。別の薬物コアは、そして、シース本体中に配置され得る。多くの実施形態では、シース本体または保持構造は、識別するフィーチャ、たとえば、識別色を、配置を表して、小管中または他の体組織構造中のシース本体または保持構造の配置が、患者によって容易に検知され得るようにするために有し得る。保持構造またはシース本体は、少なくとも1つの印を、小管中の配置の深さを示し、保持構造またはシース本体が少なくとも1つの印に基づいて小管中の所望の深さに配置され得るために含み得る。
【0085】
(保持構造)
多くの実施形態では、保持構造は涙点または償還中にインプラントを保持するために用いられる。保持構造は、インプラント本体に取り付けられる、またはインプラント本体と一体化されている。保持構造は、インプラントが容易に所望の組織、たとえば涙点または小管中に配置されるようなサイズおよび形状に形成される適切な材料を含む。実施形態によっては、薬物コアは、少なくとも部分的に、シースを介して保持構造に取り付けられ得る。実施形態によっては、保持構造は、保持構造が涙点内に配置されたときに膨張するように構成されたヒドロゲルを含む。保持構造は、軸方向に向き付けされた表面を有する取付接合部材を含み得る。実施形態によっては、ヒドロゲルの膨張は、ヒドロゲルが含水している間、ヒドロゲルを保持するために軸方向に向き付けされた表面に対して力を与える。実施形態によっては、取付部材は、突出部、フランジ、リム、または保持構造の一部を通る開口部をの少なくとも1つを含み得る。実施形態によっては、保持構造は、実質的に涙点および小管の解剖学的構造に合致するインプラント本体部分サイズおよび形状を含む。
【0086】
保持構造は、小管内腔内に少なくとも部分的に適合するのに適したサイズを有しても良い。保持構造は、挿入のために適した小さなプロファイル構造と、ルーメン内に保持構造をつなぎ留めるように構成された大きなプロファイル構造の間で膨張可能であり得て、保持構造は、薬物コアの遠位端近くに取り付けられ得る。特定の実施形態では、保持構造は、保持構造が小さなプロファイル構造から大きなプロファイル構造に膨張するとき、薬物コアに沿って近位端近くにスライドし得る。薬物コアに沿った保持構造の長さは、小さなプロファイル構造より大きなプロファイル構造での方が短くても良い。
【0087】
実施形態によっては、保持構造は、弾力的に膨張可能である。小さなプロファイルはたった約0.2mmの断面を有しても良く、大きなプロファイルはたった約2.0mmの断面を有しても良い。保持構造は、スロットによって分離されたアームを有する管状本体を含み得る。保持構造は、少なくとも部分的に薬物コア上に配置され得る。
【0088】
実施形態によっては、保持構造は機械的に展開可能であり、典型的には、たとえばニチノール(登録商標)のような超弾性形状記憶合金を含む保持構造のような所望の断面形状に膨張する。ニチノール(登録商標)に加えて、たとえば、所望の膨張を与えるために、弾力性のある金属またはポリマー、塑性変形可能な金属またはポリマー等の他の材料が使用され得る。実施形態によっては、カリフォルニア州、サンディエゴにあるBiogeneral社から入手可能なポリマーおよびコーティングされた繊維が使用され得る。ステンレス鋼および非形状記憶合金などの多くの金属を使用され得て、所望の膨張を提供し得る。この膨張可能性は、インプラントを様々なサイズの中空の組織構造、たとえば0.3mmから1.2mmの範囲(すなわち、万能サイズ)の小管に適合させることを可能にする。単一の保持構造は差し渡し0.3mmから1.2mmの小管に適合するように製造し得るが、もし所望であればこの範囲に適合するように、複数の代替の選択可能な保持構造、たとえば、0.3から約0.9mmまでの小管に対する第1の保持構造および約0.9から1.2mmまでの小管に対する第2の保持構造が使用され得る。保持構造は、保持構造が取り付けられる解剖学的構造に適した長さ、たとえば、小管の涙点ちかくに配置される保持構造のためには約3mmの長さを有する。異なる解剖学的構造のために、長さは適切な保持力を与えるために適する、たとえば適切には1mmから15mm長、であっても良い。
【0089】
インプラント本体は、上述のように、保持構造の一つの端に取り付けられ得るが、多くの実施形態では保持構造の他の端はインプラント本体に取り付けられず、よって保持構造は、保持構造が膨張している間、シース本体および薬物コアを含むインプラント本体上をスライドし得る。一端でのこのスライド可能性は、保持構造が幅方向に所望の断面幅を呈するように膨張するにつれ、長さが縮小され得るときには望ましい。しかしながら、多くの実施形態は、コアに相対的にはスライドしないシース本体を利用し得ることは留意されるべきであろう。
【0090】
多くの実施形態では、保持構造は組織から取り出すことが可能である。突出部、たとえばホック、ループ、またはリングが、保持構造の撤去を容易にするために、インプラント本体の一部から伸長し得る。
【0091】
実施形態によっては、シースおよび保持構造は、2つの部分を含み得る。
【0092】
(眼の要素)
閉塞要素が、涙の流れを妨げるために保持構造に装着され、保持構造と共に膨張可能である。閉塞要素は内腔を通る涙液を防ぎ得て、閉塞要素は、保持構造から内腔を保護するために保持構造の少なくとも一部を覆っても良い。閉塞要素は、インプラントが中空の組織構造を通る流体の流れ、たとえば、小管を通る涙液を少なくとも部分的に妨げる、封鎖しさえすることができるようにするサイズおよび形状で形成された適切な材料を含む。閉塞要素は、たとえばシリコーンといった、膨張することが可能であり、保持構造に接触することが可能な生物学的適合性材料の薄い壁膜であり得る。閉塞要素は、上述のように、保持構造の一端の上をスライドし、保持構造の一端につなぎ留められる材料の別個の薄い管として形成される。代替として、閉塞要素は生物学的適合性ポリマー、たとえばシリコーンポリマー中で保持構造をディップコーティングすることによって形成し得る。閉塞要素の厚さは、約0.01mmから約0.15mmまで、しばしば約0.05mmから0.1mmまでの範囲であり得る。
【0093】
(薬物コア)
実施形態によっては、薬物コアは、いかなる追加の構造を含むことなしにインプラント本体に挿入され得る、もしくはインプラント自身として機能し得る、または涙点プラグ等の形状に合うように形成され得る。薬物コアはラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続を与えるために、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)および材料を含む。実施形態によっては、薬物コアはラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)およびキャリアとしてシリコーンから成る、または本質的にそれらから成る処方製剤である持続物を含む。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、薬物コアからターゲット組織、たとえば眼の毛様体筋にマイグレーションする。薬物コアは、オプションとしてマトリックス中に含み得るが、その場合はラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)がマトリックス内に分散されている、または溶解されている。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)はマトリックス中にほんのわずかだけ可溶であり得て、少量はマトリックス中に溶解され、薬物コアの表面から放出が出来る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)がコアの露出表面から涙または涙層に拡散するとき、コアから涙または涙層へのマイグレーションのレートは、マトリックス中に溶解されているラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃度に関連し得る。加えて、または組み合わせで、コアから涙または涙層へのマイグレーションのレートは、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)が溶解しているマトリックスの特性に関連し得る。
【0094】
実施形態では、局所処方製剤または薬物コアは防腐剤を含まない。防腐剤は、たとえば、塩化ベンザルコニウムおよびEDTAを含む。実施形態では本発明のインプラントは、ほとんどアレルギー性はなく、これらの防腐剤を含む処方製剤と比較して化学過敏症を減少し得る。
【0095】
特定の実施形態では、コアから涙または涙層へのマイグレーションのレートは、シリコーン処方製剤に基づき得る。実施形態によっては、ドラッグコア中に溶解されるラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃度は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の放出の所望のレートを提供するために制御され得る。コア中に含まれるラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、(油のような)液体、固体、固体ゲル、固体結晶、固体アモルファス、固体粒子、またはラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の溶解された形状を含み得る。実施形態によっては、薬物コアは、液体または固体包含物、たとえばシリコーンマトリックス中に分散された液体ラタノプロストもしくは他の治療薬(複数の治療薬)小滴を含み得る。
【0096】
表1は、本発明の実施形態に従う、使用され硬化特性に関連する薬物挿入シリコーンを示している。薬物コア挿入マトリックス材料は、それぞれNusilから市販で入手可能な、MED−4011、MED6385、およびMED6380のようなジメチルシロキサンを含むベースポリマーを含み得る。ベースポリマーは、共にNusilから市販で入手可能な、白金−ビニル水素硬化系または錫−アルコキシ硬化系またはのような硬化系を用いて硬化され得る。多くの実施形態では、硬化系は、既知の材料に対して市販で入手可能な既知の硬化系、たとえば既知のMED−4011を有する既知の白金−ビニル水素硬化系を含み得る。表1に示されている特定の実施形態では、MED−4011の90パーセントが架橋剤の10パーセントと組み合わされ、架橋剤は混合物の10パーセントを含むようになり得る。MED−6385との混合物は、2.5%の架橋剤を含み得て、MED−6380の混合物は、2.5%または5%の架橋剤を含み得る。
【表1】

【0097】
硬化系およびシリコーン材料のタイプは、固体約b通コア挿入の硬化特性に影響し得て、潜在的には薬物コアマトリックス材料からの治療薬の収率に影響し得ることは、本発明にしたがって画定している。特定の実施形態では、白金−ビニル水素硬化系を用いたMED−4011の硬化は、たとえば20%薬物を超える高い濃度の薬物/プロドラッグを用いて、固体薬物コアは形成されなくても良いように妨げられ得る。特定の実施形態では、錫−アルコキシ系を用いたMED6385またはMED6380の硬化は、高濃度、たとえば20%の薬物/プロドラッグを用いて若干、妨げられ得る。この若干の硬化の抑制は、硬化過程の時間または温度を増すことによって補償され得る。たとえば、本発明の実施形態は、40%薬物および60%MED6385を含む薬物コアを、適切な硬化時間および温度を用いる錫−アルコキシ系を用いて製造し得る。類似の結果は、適切な硬化時間および温度を用いる錫−アルコキシ系を用いてMED6380系で得ることができる。錫−アルコキシ硬化系に対して良好な結果を得られるにも関わらず、そこでは錫−アルコキシ硬化系は固体薬物コアを製造しないことがあり得る、上限、たとえば50%またはそれ以上の薬物/プロドラッグが存在することが、本発明にしたがって画定されている。多くの実施形態では、固体薬物コア中のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、少なくとも約5%、たとえば約5%から50%までであり得るし、薬物コアの重量では、約20%から約40%までであり得る。
【0098】
薬物コアまたは他の薬剤の供給器(たとえば、インプラント含浸本体)は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の持続を与えることが可能な1つ以上の生物学的適合性材料を含み得る。薬物コアは、溶けて、その中に位置しているラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の包含物を有する実質的に非生物学的適合性のシリコーンマトリックスを有するマトリックスを含む実施形態に関して上で記載したが、薬物コアは、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の情報を提供する構造、たとえば、生分解性のマトリックス、多孔性薬物コア、液体薬物コアおよび固体薬物コアを含み得る。
【0099】
ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含むマトリックスは、生分解性または非生分解性ポリマーのいずれかから形成され得る。非生分解性薬物コアは、シリコーン、アクリル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ハイドロゲル、ポリエステル(たとえば、E.I.Du Pont de Nemours and Company、デラウェア州ウィルミントンからのDACRON.RTM.)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸テフロン(ePTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、押出コラーゲン、ポリマー発泡体、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金(たとえば、イリノイ州ワイオミッシングのElgin Specialty MetalsからのELGILOY.RTM.;ペンシルバニア州ワイオミッシングのCarpenter Metals Corp.)を含み得る。
【0100】
生分解性薬物のコアは、タンパク質、ハイドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコリド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコナート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、修正セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、無水物、ポリフォスフォエステル、ポリ(アルファ-ヒドロキン酸)、およびそれらの組み合わせのような、1つ以上の生分解性ポリマーを含み得る。実施形態によっては、薬物コアは、少なくとも1つのハイドロゲルポリマーを含み得る。
【0101】
(特定のインプラント実施形態)
本明細書中に記載されている方法で使用され得るインプラントの様々な実施形態は、以下のようである(下の例のセクションも参照せよ)。実施形態によっては、薬物挿入物は、硬化された医療グレード固体シリコーンであるMusil 6385中に分散されたラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)で満たされた薄壁ポリイミドチューブシース本体を含む。硬化シリコーンは、そこからラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)がゆっくりと溶出する、固体で非浸食のマトリックスとして機能する。薬物挿入物は、遠位端で固体のLoctite4305医療グレード接着剤(シアノアクリレート)の硬化フィルムでシールされている。ポリイミドチューブシース本体は、薬物挿入器の遠位端を通り側面薬物拡散および薬物拡散の両方に挿入され、接着剤と共に、構造支持および障壁を与える。薬物コアは、涙点インプラントの穴の中に設置され、締り嵌めを介してその場に把持される。実施形態によっては、インプラントの本体は、少なくとも部分的に、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のような、治療薬に含浸される。
【0102】
図2Aは、涙点に挿入可能な涙点インプラント200の実施形態の例を示している。涙点インプラント200の涙点への挿入は、(たとえば眼を治療するために)それを通る涙液の抑制もしくは封鎖、または(感染症、炎症、緑内障もしくはその他の眼疾患の1つ以上の治療のために)治療薬の眼への持続の1つ以上を許容する。この実施形態では、涙点インプラント200は、近位端部204から遠位端部206に延び、保持構造208を有するインプラント本体202を含む。
【0103】
様々な実施形態では、インプラント本体202は、保持構造の少なくとも一部を外側に変形することを許容する、シリコーン、ポリウレタンまたは他のウレタン系素材、または非生分解性、部分的に生分解性または生分解性の(すなわち、本体内で溶出可能である)アクリル系などの弾性材料を含み得る。実施形態によっては、生分解性弾性材料は、ポリ(ビニルアルコール)の架橋ポリマーを含む。実施形態によっては、インプラント本体202の異なる部分は、異なる材料から作られていても良い。たとえば、インプラント本体近位端部204はシリコーン/ポリウレタン共重合体を含んでも良く、インプラント本体遠位端部206はポリウレタンヒドロゲルまたは他の固体ヒドロゲルを含んでも良い。ある実施形態では、インプラント本体近位端部204はシリコーンを含んで良く、インプラント本体遠位端部206は親水性シリコーン混合物を含んでも良い。インプラント本体302を形成するために使用することができる他の共重合体は、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、およびシリコーン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含む。
【0104】
ある実施形態では、インプラント本体202は近位端にまたは近位端近くに第1のチャンバ210および遠位端にまたは遠位端近くに第2のチャンバ212を有する円筒状構造を含み得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)薬物コア214は、第1のチャンバ210内に配置され得る一方で、ヒドロゲルまたは生分解性または非生分解性の他の膨張可能保持要素216は第2のチャンバ216内に配置される。実施形態によっては、生分解性保持要素は、塩およセルロースベースの混合物を含み得る。実施形態によっては、非生分解性保持構造は、ヒドロゲルまたは他の合成ポリマーを含む。インプラント本体隔壁218は、第1のチャンバ210と第2のチャンバ216の間に配置され得て、薬物コア214とヒドロゲル保持要素216の間の物質の連通を抑制するまたは止めるために用いられ得る。
【0105】
様々な方法では、拡張可能な、ハイドロゲル保持要素216は、実質的にこのような保持構造208の一部の中に包含され得る。様々な実施形態では、保持構造208は、流体浸透性保持具であって、流体がヒドロゲル保持要素216に受けられるように、または涙点に挿入すると、流体がヒドロゲル保持要素216によって吸収されるもしくはさもなくば保持されることを可能にする流体浸透性保持具を含み得る。ヒドロゲル保持要素216は、保持構造208の1つ以上の表面部分が涙小管の壁に接触するように駆動するサイズおよび形状に膨張し、それによって涙点インプラントの少なくとも一部を涙点内に保持する、または保持する助けをするように構成され得る。実施形態によっては、流体浸透性保持具は、保持構造208の外側壁に配置されるような、流体浸透性開口220を含み得る。実施形態によっては、流体浸透性開口220は流体浸透性もしくは親水性キャップ部材222または他の膜を含み得る。実施形態によっては、流体浸透性保持具は流体浸透性もしくは親水性インプラント本体部分224を含み得る。流体浸透性保持具のこれらの例220、222、および224はまた、膨張の間および膨張により、ヒドロゲル保持要素216が保持構造208の外に、感知できるほど突出することを防ぎ得る。
【0106】
インプラント本体202は、インプラント本体202の近位端部204からまたはインプラント本体202の近位端部204の周り(たとえば、除去ループ)に少なくとも部分的に外側に延びるような、フィードバックまたは他の突起226を含み得る。実施形態によっては、突起226は除去ループを含み得る。実施形態によっては、突起226は、涙点インプラント200が小管内に完全に進むことを抑制するもしくは妨げるために、または、触感的もしくは視覚的なフィードバック情報をインプラントを使用しているインプラントユーザに与えるためなど、涙点開口に接してもしくは(たとえば、ランプ部260を介して)涙点開口の近くに配置されるように構成され得る。実施形態によっては、突起226の近位端は、埋め込まれたときに患者に快適さを与える助けをするためなど、凸部を含み得る。実施形態によっては、突起226は約0.8ミリメートルの凸直径を含み得る。実施形態によっては、突起226は約0.7ミリメートルと約0.9ミリメートルの間である。実施形態によっては、突起226は、直径が約0.5ミリメートルから約1.5ミリメートル、厚さが0.1ミリメートルから約0.9ミリメートルの非凹形状を含み得る。実施形態によっては、突起226は、柱状突起がインプラント本体近位端204の対向する側面から延びる、翼形状を有する。実施形態によっては、そのような突起226は、外側インプラント本体表面から近位端204の周りに360度延びる部分的にトリミングされた頭部を含む。例では、突起226は、平坦なディスク(すなわち、比較的平坦な上面および底面)に類似の断面形状を含む。薬物または他の薬溶出部228は突起226を通って延び、薬物コア214薬の眼への持続を与えるなどをし得る。
【0107】
図2Bは、図2Aの線2B−2Bに沿ってなど、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラント200の実施形態の例の断面図を示している。図2Bに示されているように、涙点インプラントは、インプラント本体遠位端部206でまたはインプラント本体遠位端部206近くにヒドロゲル保持要素216、およびたとえばインプラント本体遠位端部204にまたはインプラント本体遠位端部204近くにインプラント本体内に配置されたラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)薬物コア214を実質的に包含する保持構造208を有するインプラント本体を含み得る。この実施形態では、薬物コア214は、第1のインプラント本体チャンバ210内に配置され、ヒドロゲル保持要素216は、第2のインプラント本体チャンバ212内に配置される。上述のように、ヒドロゲル保持要素216は、インプラント200の少なくとも一部を涙点内に保持するまたは保持することを助けるサイズおよび形状に膨張するように構成され得る。実施形態によっては、ヒドロゲル保持要素250はまた、インプラント本体202の外側表面上にコーティングされるまたはさもなければ与えられ、インプラント200の少なくとも一部を涙点内に保持するまたは保持することを助けるための別の(たとえば、第二の)機構を与える。
【0108】
ヒドロゲル保持要素216を実質的に包含するためにしようされ得る、保持構造208は、インプラント本体202のサイズに対して、様々なサイズであり得る。実施形態によっては、保持構造208はインプラント本体202の長さの少なくとも約5分の1である。実施形態によっては、保持構造208はインプラント本体202の長さの少なくとも約4分の1である。実施形態によっては、保持構造208はインプラント本体202の長さの少なくとも約3分の1である。実施形態によっては、保持構造208はインプラント本体202の長さの少なくとも約半分である。実施形態によっては、保持構造208はインプラント本体202の長さの少なくとも約4分の3である。実施形態によっては、保持構造208はインプラント本体202の長さの約全体である。
【0109】
図2Bの実施形態の例で示されているように、ヒドロゲル保持要素216は、涙点の通る挿入および涙小管への挿入を補助する、非膨張“ドライ”状態を有し得る。一旦、小管内に配置されると、ヒドロゲル保持要素216は、膨張された構造を形成するために流体透過性保持具220、222、224(図2A)を介してなどで、小管または他の流体を吸収するまたはさもなければ保持することが可能である。実施形態によっては、ヒドロゲル保持要素216は、非生分解性である材料を含み得る。実施形態によっては、ヒドロゲル保持要素216は、生分解性である材料を含み得る。ヒドロゲル保持要素216の他の部分もまた、使用され得る。たとえば、ヒドロゲル保持要素216は、保持構造208と共に一つの部品に成形されることも可能であるし、または1つの部品として別個に形成し、その後で保持構造208に結合されることも可能である。
【0110】
例によっては、インプラント本体202の近位端にまたは近位端近くに配置された薬物コア214は、マトリックス254内に分散され得る、複数のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)包含物252を含み得る。実施形態によって、包含物252は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃縮形態(たとえば、結晶薬物形態)を含む。実施形態によっては、マトリックス254はシリコーンマトリックス等を含み、マトリックス内の某贋物254の分布は、非一様であっても良い。実施形態によっては、薬物包含物252は、ラタノプロスト油のような、油の液滴を含む。さらに別の実施形態では、薬物包含物252は、固体粒子を含む。包含物は、多くのサイズおよび形状であり得る。たとえば、包含物は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのオーダーの大きさを有する微粒子であり得る。
【0111】
図示された実施形態では、薬物コア214は、薬物コアの少なくとも1つの露出表面を定義するためなどに、薬物コアの少なくとも一部の上に配置されたシース本体256を有する。露出表面258は、涙点インプラント200が涙点に挿入されたときに、涙もしくは涙層流に接触し、連続時間にわたり1つ以上の治療レベルでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出するためなどで、インプラント本体の近位端部204にまたはインプラント本体の近位端部204近くに配置され得る。
【0112】
図2Cは、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラント200の実施形態の例の断面図を示している。図2Cに示されているように、涙点インプラントは、フィードバックまたは他の突起226(図2A)を有しないインプラント本体202を含む。この方法では、インプラント200は、涙点の内部に完全に挿入され得る。実施形態によっては、第1のチャンバ210は、約0.013インチ×約0.045インチの大きさを含み得る。実施形態によっては、第2のチャンバ212は約0.013インチ×約0.020インチの大きさを含み得る。
【0113】
図3Aは、涙点に挿入可能であり得る涙点インプラント300の別の実施形態を示している。涙点インプラント300の涙点への挿入は:(たとえば、ドライアイを治療するための)涙点を通る涙液の抑制もしくは封鎖、または(たとえば、感染症、炎症、緑内障もしくはその他の眼疾患もしくは障害の治療のために)薬物の眼、(たとえば、副鼻腔やアレルギー疾患の治療のために)鼻腔、または(たとえば、めまいや頭痛の治療のために)内耳系への治療薬の連続送達の1つ以上を許容し得る。
【0114】
この実施形態では、涙点インプラント300は、第1の304部分および第2の306部分を含むインプラント本体302を含む。インプラント本体302は第1部分304の近位端308から第2部分306の遠位端310に延びる。様々な実施形態で、近位端308は長近位軸312を定義し得るし、遠位端310は長遠位軸312を定義し得る。インプラント本体300は、埋め込まれたとき、インプラント本体302の少なくとも一部を小管の曲がりにまたは小管の曲がりよりさらに遠くに配置される涙小管の少なくとも一部に対してバイアスするために、近位軸312および遠位軸314の間に、少なくとも45度傾いた交差316が存在するように構成され得る。実施形態によっては、インプラント本体302は、傾いた交差316は約45度と約135度の間であるように構成され得る。この実施形態では、インプラント本体302は、傾いた交差316は約90度であるように構成されている。様々な実施形態では、第1部分304の遠位端326は、第2部分306の近位端328で、または第2部分306の近位端328近くで、第2部分306ろ一体化され得る。
【0115】
ある実施形態では、インプラント本体302は、近位端308近くに配置された第1のキャビティ318および遠位端310近くに配置された第2のキャビティ320の1つまたは両方を含む、角度を持って配置された円筒状構造を含み得る。この実施形態では、第1のキャビティ318は、第1部分304の近位端308から内側に伸び、第2のキャビティ320は、第2部分306の遠位端310から内側に延びる。第1の薬物を放出する供給器322は、第2の薬物を放出する供給器324が持続薬または他の薬物をたとえば、鼻腔または内耳系にああ照るために第2のキャビティ320内に配置され得る間に、眼に持続を与えるために第1のキャビティ318内に配置され得る。インプラント本体隔壁330は、第1のキャビティ318と第2のキャビティ320の間に配置され得て、第1の薬物供給器322と第2の薬物供給器324の間の物質の連通を抑制するまたは封鎖するために、使用され得る。
【0116】
実施形態によっては、薬物放出または他の薬放出が、薬物供給器322、324の露出表面を介して、少なくとも部分的に生じ得る。実施形態によっては、露出表面の幾何を制御することによって、所定の薬物放出または他の薬放出レートが達成され得る。たとえば、露出表面は、たとえば急患ベースで、または外来患者の医者訪問の間の慢性ベースでのように、特定の幾何または眼に薬物または他の薬の放出レートを制御するために適切な他の技術を用いて構成され得る。薬物供給器322、324から1つ以上の薬物または他の薬の有効放出レートに関するさらなる記載は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれ、特定の放出レートを得ることの記載を含む、権利者が共通でDeJuanらによる(2007年4月2日に出願され、薬物治療のための鼻涙ドナレージシステムインプラントと題する)米国出願シリアル番号11/695,545号に見出され得る。実施形態によっては、薬物供給器322、324の露出表面は、薬物供給器はインプラント本体302の外側に突出しないように、それぞれ第1部分304の近位端308または第2部分306の遠位端310と同一面または若干下であり得る。実施形態によっては、薬物供給器の露出表面は、薬物供給器322が薬物供給器はインプラント本体302の外側に突出しないように、たとえば、近位端308より上に配置され得る。
【0117】
インプラント本体302は、インプラント本体部分304の近位端部308からまたはインプラント本体部分304の近位端部308の周りに少なくとも部分的に外側に延びる突起のような、一体化フィードバックまたは他の突起332を含み得る。実施形態によっては、突起332は、インプラント位置から涙点インプラント300を除去する際にしようするための翼の組を含み得る。除去翼の組は、インプラント本体302の非線形構成が、小管の曲がり、およびオプションとして、涙小管膨大部のサイズまたは形状をとることによって、マイグレーションを封鎖することが出来るように、心の中では、マイグレーション抜きに構成され得る。実施形態によっては、突起332は、涙点インプラント300が小管内に完全に進むことを抑制するもしくは妨げるために、または、たとえば、インプラントが完全に埋め込まれていようがなかろうが、触感的もしくは視覚的なフィードバック情報をインプラントを使用しているインプラントユーザに与えるためなど、涙点開口に接してもしくは涙点開口の近くに配置されるように構成され得る。突起332は、埋め込まれたとき、眼に平行な方向または眼から離れる方向に外側に延び得る。このことは、突起の一部が眼に向かって延びている場合に比べて、眼への刺激を減少させるだろう。加えて、近位端308から突起332が外側に延びる方向は、第1のインプラント本体部分304の遠位端326に対して、第2のインプラント本体部分306の外側延伸方向と実質的に同一であり得る。このことはまた、眼に向かっての延びることを避けることを可能とする。薬物溶出ポートまたは他の薬溶出ポートは、薬物供給器322薬の眼への持続を与えるためなど、頭部突起332を通って延びることが可能である。
【0118】
様々な実施形態では、インプラント本体302は、シリコーン、ポリウレタン、NuSil(たとえば、2% 6−4800を封するNuSil 4840)または非生分解性、部分的に生分解性または生分解性(すなわち、本体内で溶出可能である)のアクリル系などの弾性材料を用いて成形され得る。実施形態によっては、生分解性弾性材料は、ポリ(ビニルアルコール)の架橋ポリマーを含む。実施形態によっては、インプラント本体302は、シリコーン/ポリウレタン共重合体を含み得る。インプラント本体302を形成するために使用され得る他の共重合体は、限定はされないが、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、およびシリコーン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含む。参照によりその全体が本明細書中に組み込まれ、権利者が共通でJainらによる((2008年4月30日に出願され、薬物放出ポリウレタン涙液インプラントと題する)出願シリアル番号61/049,317号中で議論されているように、ウレタンベースのポリマーおよび共重合体材料は、様々なプロセス方法を許容し、互いに良く接着される。
【0119】
図3Bは、図3Aの線3B−3Bに沿ってなど、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラント300の実施形態の例の断面図を示している。図3Bに示されているように、涙点インプラント300は、第1の304部分および第2の306部分を含むインプラント本体302を含む。インプラント本体302は第1部分304の近位端308から第2部分306の遠位端310に延びる。様々な実施形態で、近位端308は長近位軸312を定義し得るし、遠位端310は長遠位軸312を定義し得る。インプラント本体300は、埋め込まれたとき、インプラント本体302の少なくとも一部を小管の曲がりにまたは小管の曲がりよりさらに遠くに配置される涙小管の少なくとも一部に対してバイアスするために、近位軸312および遠位軸314の間に、少なくとも45度傾いた交差316が存在するように構成され得る。この実施形態では、インプラント本体302は、傾いた交差316は約90度であるように構成されている。
【0120】
様々な実施の形態では、第1部分304の遠位端326は、第2端326の近位端328でまたは第2端326の近位端328近くで第2部分306と一体化され得る。実施形態によっては、第2部分306は、第1部分304の長さの4倍より小さい大きさを有する長さを含み得る。一実施形態では、第2部分306は、図3B中に示されているように、約10ミリメータより小さい長さを含み得る。別の実施形態では、第2部分306は、約2ミリメータより小さい長さを含み得る。
【0121】
ある実施形態では、第2部分306は、涙点インプラント300が埋め込まれているときに、涙点または小管の1つまたは両方のような解剖学的組織352を、十分な直径に広げるために、一体化拡張器350を含み得る。この方法では、涙点インプラント300は、
別個の拡大ツールを介した事前拡張に対する必要性なしに、様々なサイズの眼の組織に埋め込まれ得る。拡張器350は、涙点と小管の内層に外傷性ではないように形成され得る。実施形態によっては、インプラント本体302の外側表面上に配置された、または外側表面に含浸された潤滑性コーティングが、涙点インプラント300の解剖学的組織352への挿入をさらに助けるために使用され得る。一実施形態では、潤滑性コーディングはシリコーン潤滑剤を含み得る。
【0122】
示されているように、拡張器350は一般には、第2部分306の近位端328近くの位置から第2部分306の遠位端310に、約0.6ミリメータの直径から約0.2ミリメータの直径へのように狭くなり得る。実施形態によっては、拡張器350の外側表面の傾きは、第2部分306の近位端328近くの場所から第2部分306の遠位端310に測ったとき、長遠位軸314に関して、約1度から約10度(たとえば、2度、3度、4度、または5度)の間であり得る。実施形態によっては、拡張器350の傾きは、長遠位軸314に関して、45度より小さくて良い。他の因子の中でも、所定のインプラント状況に対する所望の拡張器350の傾きの画定は、埋め込みで、柔らかく、可撓性で、快適なインプラント本体を有するという希望と、インプラントに対して希望されるインプラント本体320強度のバランシングによってなされ得る。実施形態によっては、拡張器の先端354は約0.2ミリメータと約0.5ミリメータの間であり得る。
【0123】
ある実施形態では、第2インプラント本体部分306は、埋め込まれたとき、涙小管大部の少なくとも一部に対してバイアスするように構成される先頭拡大部356を含み得る。この実施形態では、先頭拡大部356は第1インプラント本体部分304と第2インプラント本体部分306の間の交差点から近位方向に、拡張器350の広がりとは反対の方向などに、突出する。
【0124】
ある実施形態では、インプラント本体302は、近位端308近くに配置された第1のキャビティ318を含み得る。この実施形態では、第1のキャビティは、近位端308から内側に約2ミリメートル以下広がり、眼に連続的な薬物または他の薬の放出を与えるために第1の薬物または他の薬を放出する供給器322を収容する。実施形態によっては、薬物供給器322は、マトリックス362中に分散され得る、複数の治療薬包含物360を含み得る。実施形態によっては、包含物360は、治療薬(複数の治療薬)の濃縮形態(たとえば、結晶薬物形態)を含み得る。実施形態によっては、マトリックス362はシリコーンマトリックス等を含み、マトリックス内の包含物360の分布は、非一様であっても良い。実施形態によっては、薬物包含物360は、ラタノプロスト油のような、油の液滴を含む。さらに別の実施形態では、薬物包含物360は、固体粒子を含む。包含物は、多くのサイズおよび形状であり得る。たとえば、包含物は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのオーダーの大きさを有する微粒子であり得る。
【0125】
図示された実施形態では、薬物供給器322は、薬物供給器の少なくとも1つの露出表面を定義するためなどに、薬物供給器の少なくとも一部の上に配置されたシース本体366を有する。露出表面368は、涙点インプラント300が涙点に挿入されたときに、涙もしくは涙層流に接触し、連続時間にわたり1つ以上の治療レベルでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出するためなどで、インプラント本体302の近位端308にまたは近位端308近くに配置され得る。
【0126】
図4Aは、涙点に挿入可能であり得る涙点インプラント400の実施形態を示している。様々な実施形態で、涙点インプラント400は、涙点に少なくもと部分的に挿入するようなサイズおよび形状に形成された第1の部分404および第2の部分406を含むインプラント本体402を含む。第1の部分404は、ポリマーから形成され、第1の直径408を含む。第2の部分406はまた、ポリマーから形成され、第1の直径408より小さい第2の直径410を有する基材412(たとえば、マンドレルまたは背骨のような部材)を含む。実施形態では、第1の部分404および第2の部分406は、一体に結合され、単一のインプラント本体402を含む。実施形態では、第1の部分404および第2の部分406は、たとえば、結合ボイドと結合アームの間の係合を介して互いに結合され得る、別個の要素である。
【0127】
膨潤性材料のような、膨張可能保持部材414は、基材412に接着され得るまたはさもなければ基材412条に結合され得て、膨張可能保持部材414が基材412の一部を、少なくとも部分的に包囲する。実施形態では、膨張可能保持部材414は、実質的に基材412を包囲する。膨張可能保持部材414が、涙点への挿入によってなどで、涙液または他の流体を吸収するまたはさもなければ保持すると、膨張可能保持部材のサイズは増大し、膨張可能保持部材の形状はそのことによって変化し、それ自身が関連する小管の壁に力を及ぼし、若干バイアスする。膨張可能保持部材414は患者に保持に伴う快適さを提供し、小管壁の制御されたバイアシングを介して涙点インプラント400インプラント保持を改良すると信じられている。
【0128】
膨張可能保持部材414のインプラント本体402上の位置づけは、保持部材414がその場で涙液に対して自由に晒されることを許容し、そのことによって広い範囲の可能な拡大レートを取ることができるようになる。さらに、基材412は、膨張可能保持部材414が、たとえば、接着し得る適切な結合表面領域を提供し、涙点インプラント400が患者から取り出された後で、膨張可能保持部材414の材料が涙点中に残らないようにする。この実施形態中に示されているように、膨張可能保持部材414は、涙点の通る挿入および涙小管への挿入を補助する、非膨張“ドライまたは脱水”状態を含み得る。一旦、小管内に配置されると、膨張可能保持部材414は、膨張された構造を形成するために、小管または他の流体を吸収するまたはさもなければ保持することが可能である。
【0129】
実施形態によっては、インプラント本体402は、第1の部分404の近位端418近くに配置されるキャビティ416を含む円筒状構造を含み得る。この実施形態では、キャビティ416は、近位端418から内側に延び、眼に連続的な薬物または他の薬の放出を与えるために第1の薬物または他の薬を放出する供給器420を含む。薬物または他の薬の放出は、少なくとも部分的に、薬物供給器420の露出表面を介して生じ得る。実施形態では、薬物供給器420の露出表面は、薬物供給器420が少なくとも部分的にインプラント本体402の外側に突出するように近位端418より上に配置され得る。実施形態によっては、薬物供給器420の露出表面は、薬物供給器420がインプラント本体402の外側に突出しないように、近位端418と同一面またはそれより若干下であり得る。
【0130】
実施形態によっては、露出表面近くの幾何または薬物濃度勾配を制御することによって、所定の薬物または薬の放出レートが達成され得る。たとえば露出表面は、たとえば急患ベースで、または外来患者の医者訪問の間の慢性ベースでのように、特定の幾何または眼に薬物または他の薬の放出レートを制御するために適切な他の技術を用いて構成され得る。
【0131】
インプラント本体402は、第1のインプラント本体部分404の近位端418のからまたは近位端418の周りに少なくとも部分的に外側に延びる突起のような、一体化フィードバックまたは他の突起422を含み得る。実施形態では、突起422は、外側インプラント本体表面から近位端418の周りに360度延びる部分的にトリミングされた頭部を含む。実施形態では、突起422は、外側インプラント本体表面から近位端418の周りに360度延びる完全頭部を含む。実施形態では、突起422は、平坦なディスク(すなわち、比較的平坦な上面および底面)に類似の断面形状を含む。様々な実施形態では、突起422は、インプラント本体402の第2部分406が関連する小管内腔内に配置されたとき、涙点インプラント400が小管内腔内に完全に進むことを抑制するもしくは妨ぐために、または、(たとえば、インプラントが完全に埋め込まれていようがなかろうが)触感的もしくは視覚的なフィードバック情報をインプラントを使用しているインプラントユーザに与えるため、または、埋め込み位置から涙点400を取り除くためなどに、涙点開口に接してもしくは涙点開口の近くに配置されるように構成され得る。実施形態では、突起422は、涙点インプラント400が小管に落ちて行くことを防ぐために、卓0.5〜5.0mmの直径を有する部分を含む。
【0132】
図4Bは、図4Aの線4B−4Bに沿ってなど、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラント400の断面図の実施形態の例を示している。図4Bに示されているように、涙点インプラント400は、涙点に少なくとも部分的に挿入されるためのサイズおよび形状が形成された、第1の部分404および第2の部分406を含むインプラント本体402を含む。第1の部分404は、ポリマーから形成され、第1の直径408を含む。第2の部分406も、ポリマーから形成され、第1の直径408より小さい第2の直径410を有する基材412(たとえば、マンドレルまたは背骨のような部材)を含む。実施形態では、基材412は、インプラント本体402の全長の少なくとも約3分の1である。実施形態では、基材412は、インプラント本体402の全長の少なくとも約半分である。示されている実施形態では、インプラント本体402はまた、第1のインプラント本体部分404の近位端418のからまたは近位端418の周りに少なくとも部分的に外側に延びる突起のような、一体化フィードバックまたは他の突起422を含む。
【0133】
様々な実施形態では、インプラント本体402は、シリコーン、ポリウレタン、もしくは他のウレタンベース材料、またはそれらの組み合わせなどの弾性材料を用いて成形され得る、またはさもなければ形成され得る。実施形態では、第1の部分404または第2の部分406の一つまたは両方がウレタンベース材料を含む。実施形態では、第1の部分404または第2の部分406の一つまたは両方は、4080(登録商標)またはPurSil(登録商標)などの、シリコーンベース材料を含む。実施形態では、第1の部分404または第2の部分406の一つまたは両方は、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、およびシリコーン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などの共重合体材料を含む。様々な実施形態では、インプラント本体402は、その場では非吸収性であるように構成され、(たとえば、涙点インプラント400の挿入および取出の間の)切断強さおよび大きさ安定性の問題に取り組むためには十分に強い。
【0134】
膨潤性材料のような、膨張可能保持部材414は、基材412に接着され得るまたはさもなければ基材412条に結合され得て、膨張可能保持部材414が基材412の一部を、少なくとも部分的に包囲する。膨張可能保持部材が、涙点への挿入によってなどで、涙液または他の流体を吸収するまたはさもなければ保持すると、膨張可能保持部材のサイズは増大し、膨張可能保持部材の形状はそのことによって変化し、それ自身が関連する小管の壁に力を及ぼし、若干バイアスする。様々な実施形態では、膨張可能保持部材414は、膨潤性材料を用いて成形され得る、またはさもなければ形成され得る。実施形態では、膨張可能保持部材414は、TG−2000(登録商標)、TG−500(登録商標)、または他のウレタンベースのヒドロゲルのような、ポリウレタンヒドロゲルを含む。実施形態では、膨張可能保持部材414は、非等方的に膨張するように構成さえ得る、熱硬化性ポリマーを含む。実施形態では、膨張可能保持部材414は、膨張でその形状を維持しないが、むしろ小管内腔壁の形状またはその他の包囲構造に適合するようになる、ゲルを含む。
【0135】
実施形態によっては、涙点インプラント400は、ポリウレタンまたは他のウレタンベース材料を含む基材412およびポリウレタンまたは他のウレタンベースの膨潤性材料を含む膨張可能保持部材414を含む。実施形態では、プリウレタンヒドロゲルは、基材412の、プラズマ処理外側表面のような、外側表面に直接的に結合される。
【0136】
実施形態によっては、涙点インプラント400は、基材412などのインプラント本体402の一部と、膨張可能保持部材414の一部の間に配置された中間部材450を含む。中間部材450は、埋め込まれたときに、基材412のポリマーより多くの量の涙液を吸収するが、膨張可能保持部材414の膨潤性ポリマーほどは吸収しないように構成された材料を含み得る。中間部材450は、インプラント本体402実質的に非膨潤性ポリマーと膨張可能保持部材414の膨潤性ポリマーの間のような、インテグリティを有する涙点インプラント400を与え得る。たとえば、膨張可能保持部材414のポリマーは湿気に晒されて膨張するとき、膨張するポリマーは、中間部材450がないときには、基材412の元になっている、非膨潤性ポリマーから遠くで膨張するだろうことが可能である。実施形態では、中間部材450はPurSil(登録商標)を含み、基材412の外側表面上に浸されるまたはさもなければコーティングされる。実施形態では、中間部材450は、Tecophilic(登録商標)ウレタンまたはTecophilic(登録商標)溶液階級ウレタンのような、約10%から約500%水を吸収するように構成されたポリウレタンを含む。第1のポリマー材料の部分と、典型的には第1のポリマー材料とは異なる、第2のポリマー材料の部分の間に配置される中間部材450の使用に関するさらなる議論は、権利者が共通でSimらによる、参照によって本明細書中に組み込まれる、(2009年4月29日に出願され、複合インプラント挿入および関連方法と題する)米国出願シリアル番号第12/432,553号中に見出され得る。
【0137】
ある実施形態では、インプラント本体402は、第1の部分404の近位端418近くに配置された第1のキャビティ416を含み得る。実施形態では、第1のキャビティ416は、近位端418から内側に約2ミリメートル以下広がり、眼に連続的な薬物または他の薬の放出を与えるために第1の薬物または他の薬を放出する供給器420を収容する。実施形態では、第1のキャビティ416は、インプラント本体402を通って広がり、眼に連続的な薬物または他の薬の放出を与えるために第1の薬物または他の薬を放出する供給器420を収容する。様々な実施形態では、薬物供給器420は、薬を保管し、薬が、たとえば涙層流または他の涙液によって浸出されると、眼および鼻涙系の一つまたは両方にゆっくりと投薬される。実施形態では、薬物供給器420は、眼とリックス454中に分散され得る、複数の治療薬包含物452を含む。実施形態では、包含物452は、治療薬(複数の治療薬)の濃縮形態(たとえば、結晶薬物形態)を含み得る。実施形態によっては、マトリックス454はシリコーンマトリックス等を含み、マトリックス内の包含物452の分布は、一様または非一様である。実施形態では、薬物包含物452は、ラタノプロスト油または他の治療薬(複数の治療薬)油のような、油の液滴を含む。さらに別の実施形態では、薬包含物452は、結晶形態のビマトプロスト粒子のような固体粒子を含む。包含物は多くのサイズおよび形状であり得る。たとえば、包含物は約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのオーダーの大きさを有する微粒子を含み得る。
【0138】
図示された実施形態では、薬物供給器420は、薬物供給器の少なくとも1つの露出表面458を定義するためなどに、薬物供給器の少なくとも一部の上に配置されたシース本体456を有する。実施形態では、シース本体456はポリイミドを含む。露出表面458は、涙点インプラント400が涙点に挿入されたときに、涙もしくは涙層流に接触し、連続時間にわたり1つ以上の治療レベルでラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出するためなどで、インプラント本体420の近位端418にまたは近位端418近くに配置され得る。
【0139】
ある実施形態では、膨張可能保持部材は、涙小管の壁または鼻涙管系の一つまたは両方に連続的な薬物または他の薬の放出を与えるために第2の薬物または他の薬を放出する供給器460を含み得る。薬物供給器460は、薬を保管し、薬が、涙小管内の涙液と接触したあと、ゆっくりと投薬されるように構成され得る。実施形態では、膨張可能保持部材中に含まれる薬は、薬剤、治療薬、または抗菌薬(たとえば、銀)を含み得る。
【0140】
図5は、インプラントの長軸に平行な線に沿って切り取られた涙点インプラント500の断面図の実施形態の例を示している。図5中に示されているように、涙点インプラント500は、インプラント本体502を含む。示されている実施形態では、インプラント本体502は、インプラント本体502の近位端518からまたは近位端518の周りに少なくとも部分的に外側に延びる突起のような、一体化フィードバックまたは他の突起522を含み得る。突起522は、十分な程度までインプラント本体502から放射状に外側に延びる頭部の形態であり、頭部の少なくとも一部は、インプラント本体502遠位部分が小管に挿入されたあと、涙点の先まで延び、涙点の外側に位置するであろう。
【0141】
この実施形態では、インプラント本体502は少なくとも部分的に第1の薬物または他の薬を放出する供給器520に含浸される。ある実施形態では、薬物供給器520は、インプラント本体502内に配置される、インプラント本体502にわたって分散される、またはさもなければインプラント本体502内に含まれる。たとえば、インプラント本体502は、プラスチック製コンポーネントおよび1つ以上の薬を放出する供給器520を含み得る。1つ以上の薬を放出する供給器520は、実質的にマトリックスにわたり分散され、経時的に放出され得る。この方法では、インプラント本体502は、1つ以上の治療薬を眼に、たとえば、眼の外側表面に長期的に送達することに有効であり得る。図5中に示されているように、インプラント本体502は、治療薬が放出されている間、涙小管中に少なくとも部分的に保持されるようなサイズで形成され得る、形状で形成され得る、またはさもなければ、そのように構成され得る。権利者が共通でOdrichによる、参照によって本明細書中に組み込まれる、出願シリアル番号第10/825,047号で議論されているように、薬物供給器520の薬は、インプラント本体502中に浸され得るし、眼の涙液または鼻涙管系に放出されるなど、インプラント本体502から放出される得る。
【0142】
様々な実施形態では、不浸透性のシースまたはコーティングが、薬物供給器からの薬物供給器520放出を制御するために、インプラント本体502の1つ以上の部分の上に配置される。たとえば、薬物供給器520に実質的に不浸透性である非生分解性ポリマーが、インプラント本体502の周囲の周りにコーティングされ得る。例によっては、インプラント本体502の少なくとも1つの表面がコーティングされていないまま、またはシースを有しないままであり、本体502中に収容されている薬物供給器520が周囲の身体組織または構造に放出することを許容する。例によっては、不浸透性のシースやコーティングは、インプラント本体502の外側表面にコーティングの外側表面から延びる少なくとも一つの孔を含む。少なくとも1つの孔は、本体502中に収容されている薬物供給器520が、眼へ一方向的に放出するといったような、周囲の身体組織または構造に放出することを許容するように構成されている。例によっては、少なくとも1つの孔は、レーザを用いてなど、コーティングにエッチングされる。例によっては、少なくとも1つの孔は、コーティングの塩含浸部分を溶解するインプラントにより、コーティングにエッチングされる。例では、不浸透性シースまたはコーティングはパリレンを含む。
【0143】
(インプラントの製造)
当業者は、本明細書中に記載されたインプラントを製造するのに有用な様々な方法に親しむであろう。特定の方法は、その開示が参照によって本明細書中に組み込まれる、上記の特許文献中に記載されている。
【0144】
たとえば、上述のような薬物のコアは、0.006インチ、0.012インチ、0.025インチの異なる断面サイズで作製され得る。コア中の薬物濃度は、シリコーンマトリックス中に5%、10%、20%、30%であり得る。これら薬物コアは、シリンジチューブおよびカートリッジアセンブリを用いて製造され、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)をシリコーンと混合し、所望の長さに切断されシールされたポリイミドチューブに混合物を注入する。薬物コアの長さは、近似的に0.80から0.95mmであり得て、直径0.012インチ(0.32mm)では、これらは薬物コア内のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の総量は、5%、10%、20%および30%の濃度に対して、それぞれ近似的に3.5ミリグラム、7ミリグラム、14ミリグラムおよび21ミリグラムに相当する。
【0145】
シリンジチューブとカートリッジアセンブリ:1.様々な直径(たとえば、0.006インチ、0.0125インチおよび0.025インチ)のポリイミドチューブは、15センチの長さに切断され得る。2:ポリイミドチューブはシリンジアダプタに挿入され得る。3:ポリイミドチューブはルアーアダプタ(ロックタイト、低粘度紫外線硬化)に接着され得る。4:アセンブリの端はトリミングされ得る。5:カートリッジアセンブリは、蒸留水を用いて、次にメタノールで洗浄され、60℃でオーブン中にて乾燥され得る。
【0146】
ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、シリコーンと混合され得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、酢酸メチル中の1%溶液として提供され得る。溶液の適切量がディッシュに置かれ得て、窒素気流を用いて、溶液はラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)が残留するまで気化され得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)油を有するディッシュは、30分間真空に配置され得る。このラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は次に、3×3マトリックスを生成するために、異なる直径(0.006インチ、0.012インチおよび0.025インチ)のチューブに注入されているシリコーンNuSil6385中の異なる3種類のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃度(5%、10%および20%)で、シリコーンと組み合わされ得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のシリコーンに対するパーセントは、薬物マトリックスの全重量によって画定される。結論:ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の重量/(ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の重量+シリコーンの重量)×100=薬物のパーセント
【0147】
次にチューブが注入され得る:1.カートリッジおよびポリイミドチューブアセンブリは1mlシリンジに挿入され得る。2.触媒を1滴(MED−6385硬化剤)がシリンジに加えられ得る。3.余分な触媒は、きれいな空気でポリイミドチューブの外に押し出され得る。4.シリンジは次に、シリコーン薬物マトリックスで満たされ得る。5.チューブは次に、チューブが満たされるまたはシリンジプランジャーを押すことが難しくなるまで、薬物マトリックスが注入され得る。6.ポリイミドチューブの遠位端は塞がれ、圧力は、シリコーンが凝固し始めるまで、保持され得る。7.12時間室温で硬化することを許容する。8.30分間真空下に置く。9.チューブは次に、(異なるサイズのチューブを保持するために収容されるように作成された)正しいサイズのトリムフィクスチャ中に配置され得て、薬物挿入は長さ(0.80〜0.95mm)に切断され得る。
【0148】
(有効な濃度でのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の放出)
ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の放出のレートは、薬物コア内に溶解されるラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)に関連し得る。実施形態によっては、薬物コアは、薬物コア中へのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の所望の溶解性を与えるために選択される非治療薬を含む。薬物コアの非治療薬は、本明細書中に記載されたポリマーおよび添加物を含む。コアのポリマーは、マトリックス中へのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の所望の溶解性を与えるために選択され得る。たとえば、コアは親水性治療薬の溶解性を高め得るヒドロゲルを含み得る。実施形態によっては、マトリックス中へのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の所望の溶解性を与えるために、官能基がポリマーに添加され得る。たとえば、官能基はシリコーンポリマーに付着され得る。
【0149】
添加物は、薬物コア中へのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の溶解性を増加させる、または減少させることによってラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃度を調整し、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の放出動力学を制御するために用いられ得る。溶解性は、マトリックス中のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃度を上昇させるまたは低下させる適当な分子または物質を与えることによって制御され得る。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)濃度は、マトリックスおよびラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の疎水性または親水性特性に関連し得る。たとえば、界面活性剤および塩は、マトリックスに添加さえれ得て、マトリックス中の疎水性ラタノプロストの濃度を上昇させ得る。加えて、油や疎水性分子をマトリックスに添加することができ、マトリックスへの疎水性治療薬の溶解性を上昇させ得る。
【0150】
マトリックス中に溶解しているラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の濃度に基づくマイグレーションのレートを制御することに代わって、または追加して、薬物コアの表面領域はまた、コアからターゲット部位への薬物マイグレーションの所望のレートを得るために制御されても良い。たとえば、コアの大きめの露出表面積は、薬物コアからターゲット部位への薬物マイグレーションのレートを上昇させるだろうし、コアの小さめの露出表面積は、薬物コアからターゲット部位への薬物マイグレーションのレートを低下させるだろう。薬物コアの露出表面積は、たとえば露出表面の任意のキャスタレーション、涙または涙層に接する露出チャンネルを有する多孔性表面、露出表面にぎざぎざを付けること、露出表面の突出によって、様々な方法で上昇され得る。露出表面は、塩を添加することによって多くの孔が作られ得るが、その塩は、溶解し、一旦塩が溶解すると多孔性キャビティを後に残す。ヒドロゲルがまた使用され得て、大きめの露出表面積を与えるようなサイズに膨潤する。そのようなヒドロゲルはまた、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)のマイグレーションのレートをさらに上昇させるための多くの孔が作られ得る。
【0151】
さらに、米国特許第4,281,654(Shell)中に記載されているような、2つ以上の薬物を組み合わせて放出する能力を含むインプラントがしようされ得る。たとえば、緑内障治療の場合、複数のプロスタグランジンまたはプロスタグランジンおよびコリン作動薬またはアドレナリン遮断薬(ベータ遮断薬)、たとえばアルファガン.RTM、またはラタノプロストおよび炭酸脱水酵素阻害剤を用いて患者を治療することが望ましかろう。
【0152】
加えて、米国特許公報第2002/0055701号(シリアル番号第77/2693号)中に開示されているような薬物含浸メッシュ、またはその開示の全体が本明細書中に組み込まれる、米国特許公報第2005/0129731号(シリアル番号第99/9977号)中に記載されているような生安定性ポリマーのレイヤリングが使用され得る。あるポリマープロセスが、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を本が本発明のデバイスに組み込むために用いられ得る;たとえば、治療に有用な化合物および生理学的挿入架橋剤分子にのみ成するために設計されているいわゆる“自己送達薬物”またはPolymerDrugs(Polymerix Corporation、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)で、参照によってそその全体がここに組み込まれる、米国特許公報第2005/0048121号(シリアル番号第86/1881;東)中に詳述されているものなど。そのような送達ポリマーは、ポリマーの浸食や劣化のレートに等しく、治療の過程を通して一定の放出レートを与えるために、本発明のデバイスで使用され手も良い。そのような送達ポリマーは、デバイスコーティングとして、または(本発明のリザーバーのような)注入可能な薬物貯蔵庫に対する微小球の形態で使用され得る。さらなるポリマー送達技術はまた、米国特許公報第2004/017685号(シリアル番号第78/8747;カーペンター)中に記載されているような本発明のデバイスに合わせて形成され、技術はMedivas(サンディアゴ、カリフォルニア州)から入手可能である。
【0153】
特定の実施形態では、薬物コアマトリックスは、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の包含物を包む固体物質、たとえばシリコーンを含み。薬物は、水に全く不溶で、包んだ薬物コアマトリックス中に若干可溶である。薬物コアによって包まれた包含物は、約1マイクロメータから約100マイクロメータの差し渡しの大きさを有するマイクロ粒子であり得る。薬物包含物は、油、たとえばラタノプロスト油の液滴を含み得る。薬物包含物は、固体薬物コアマトリックス中に溶解し、薬物コアマトリックスを薬物で実質的に充満させる、たとえばラタノプロスト油の固体薬物コアマトリックスへの溶解させえることが出来る。薬物コアマトリックス中に溶解した薬物は、薬物コアの露出表面から涙層に、しばしば拡散として輸送される。薬物コアが実質的に薬物で充満されると、多くの実施形態では、薬物送達のレートを制限するステップは、涙層に晒された薬物コアマトリックスの表面からの薬物の輸送である。薬物コアマトリックスが実質的に薬物で充満されると、マトリックス中の薬物濃度の傾きは最小であり、薬物送達のレートにほとんど寄与しない。涙層に晒されている薬物コアの表面積がほぼ一定のときは、薬物コアから涙層への薬物輸送のレートは、実質的に一定であり得る。自然に発生する界面活性剤は、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の水への溶解性に影響を及ぼし得るし、薬物の分子量は、固体マトリックスから涙への薬物の輸送に影響を及ぼし得る。多くの実施形態では、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は水にほぼ不溶であり、重量で約0.03%から0.002%の水への溶解度と、約400g/mol.から約1200g/molの分子量を有する。
【0154】
多くの実施形態では、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は水に非常に低い溶解度、たとえば重量で約0.03%から0.002%、約400グラム毎モル(g/mol)から約1200g/molの分子量を有し、有機溶剤に容易に可溶である。ラタノプロストは、室温では液体油であり、25℃で水に50マイクログラム/mLまたは重量で約0.005%の水溶度をおよび432.6g/molの重量平均分子量を有する。
【0155】
涙層の自然に発生する界面活性剤、たとえば界面活性剤Dとリン脂質は、コアから涙層への薬物コア中に溶解された薬物の輸送を実現し得る。実施形態によっては、薬物コアは、涙層中の界面活性剤に反応して、治療レベルで涙層へのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の連続的送達を与えるように構成され得る。たとえば、実験データは患者母集団、例えば、涙が収集され界面活性剤の含有量について分析された10人の患者から生成され得る。水に難溶性の薬物に対して収集された涙での溶出プロファイルがまた測定され、バッファおよび界面活性剤中の溶出プロファイルと比較され涙界面活性剤のイン・ビトロモデルが開発され得る。この実験データに基づく界面活性剤のイン・ビトロ溶液は、涙層中の界面活性剤に反応して、薬物コアを調整するために使用され得る。
【0156】
薬物コアはまた、複合表面およびナノテクスチャリングされた表面(Innovative Surface Technologies、LLC、セントポール、ミネソタ州)、BioSilicon.RTMとして知られ、ミクロンサイズの粒子、膜、織布またはマイクロマシンインプラントデバイス(pSovidia、Limited、英国)および薬物を送達するために選択性細胞を標的とするたんぱく質ナノケージシステム(Chimeracore)を含む、ナノ構造多孔性シリコーンのような、潜在的反応性ナノファイバー化合物のような、分子の大きさに依存するナノ粒子またはマイクロ粒子のようなキャリアビヒクルを利用するために、変形され得る。
【0157】
多くの実施形態では、薬物挿入器は、薄い壁のポリイミドチューブシースを、薬物送達に対してマトリックスとして機能する医療グレード固体シリコーンである、Nusil 6385(MAF970)中に分散されたラタノプロストを含む薬物コアと共に含む。薬物挿入器の遠位端は固体Loctite4305医療グレード接着剤の硬化フィルムでシールされている。薬物挿入器は、涙点インプラントの孔の内部に配置され得て、Loctite4305接着剤は組織または涙層のいずれにも接触することはない。薬物挿入器の内径は0.32mmであり得て;長さは0.95mmであり得る。少なくとも4つのラタノプロスト濃度が完成した薬物製品中で用いられ得る:薬物コアは、3.5、7、14、または21マイクログラム、重量パーセントではそれぞれ、5、10、20または30%のラタノプロストを含み得る。近似的に100ng/日の全溶出レートを仮定すると、14ミリグラムのラタノプロストを含む薬物コアは、近似的に少なくとも100日、たとえば120日にわたり薬物を送達するように構成される。ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を含む、薬物コアの全重量は、約70マイクログラムであり得る。ポリイミドスリーブを含む薬物挿入器の重量は、近似的に100マイクログラムであり得る。
【0158】
多くの実施形態では、薬物コアは、初期の高いレベルのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を溶出し得るが、引き続いて実質的に一定のラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を溶出し得る。多くの例で、日々、コアから放出されるラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)は、治療レベルより小さくても良く、相変わらず患者に利益をもたらし得る。放出されるラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の高いレベルは、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の残留量をもたらす、または患者に安心を与えるためにラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の標準以下の治療量と組み合わせられるラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)の残留効果をもたらし得る。治療レベルが、1日あたり約80ngである実施形態では、デバイスは初期送達期間では1日あたり約100ngを送達しても良い。1日あたり追加の20ngは、ラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)が治療レベル以下、たとえば1日あたり60ng送達されるとき、有益な効果を有し得る。送達される薬物の量が正確に制御され得ると、初期の高い投与量は患者に合併症または有害事象をもたらさない。
【0159】
ある実施形態では、本発明の方法は近似的に28%の眼圧の低下率をもたらす。実施形態によっては、本発明の方法は、近似的に30%、、近似的に29%、近似的に28%、近似的に27%で、近似的に26%、近似的に25%、近似的に24%、近似的に23%、近似的に22%、近似的に21%、または近似的に20%の眼圧の低下率または減少率をもたらす。ある実施形態では、本発明の方法は、少なくとも30%、、少なくとも29%、少なくとも28%、少なくとも27%で、少なくとも26%、少なくとも25%、少なくとも24%、少なくとも23%、少なくとも22%、少なくとも21%、少なくとも20%、少なくとも15%、または少なくとも10%の眼圧の低下率または減少率をもたらす。
【0160】
ある実施形態では、本発明の方法は、治療期間にわたりベースラインから、約6mmHg、約5mmHg、約4mmHg、約3mmHg、または約2mmHgの眼圧の低下をもたらす。ある実施形態では、本発明の方法は、ベースラインから少なくとも約2mmHg、少なくとも約3mmHg、少なくとも約4mmHg、少なくとも約5mmHg、少なくとも約6mmHg、または少なくとも約7mmHgの眼圧の低下をもたらす。実施形態によっては、眼圧は、20mmHg以下、19mmHg以下、18mmHg以下、17mmHg以下、16mmHg以下、15mmHg以下、14mmHg以下、13mmHg以下、または12mmHg以下まで低下する。
【0161】
実施形態では、本発明のインプラントおよび方法は治療の90日間のコースを提供する。他の実施形態では、本発明のインプラントおよび方法は治療の60日間のコースを提供する。さらに別の実施形態では、本発明のインプラントおよび方法は治療の45日間のコースを提供する。さらに別の実施形態では、本発明のインプラントおよび方法は、治療される疾患および送達される治療薬に依存して、治療の30日間のコースを提供する。他の実施形態は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間の治療を含む。実施形態によっては、治療の全コースの間、有効レベルのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)を放出する。さらなる実施形態では、治療のコースにわたって眼圧の変動性は、約1mmHgより小さい。他の実施形態では、治療のコースにわたって眼圧の変動性は、約2mmHgより小さい。他の実施形態では、治療のコースにわたって眼圧の変動性は、約3mmHgより小さい。
【0162】
本明細書中で記載されたインプラントは、上涙点もしくは下涙点、または両方に挿入され得て、患者の眼の1つまたは両方に挿入され得る。
【0163】
下で述べるように研究は、ベースラインで高眼圧症や緑内障の診断を受けた年齢が18歳以上の5人の検査患者を用いて行われた。14マイクログラムのラタノプロストを含む持続インプラントが患者の涙点に挿入された。7日以内に、6mmHgの眼圧の平均低下が得られた。この低下は、近似的に3ヶ月にわたり維持された。
【0164】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって記載され得る。
【0165】
(例1)
オープンの、予見試験が、配置後3ヶ月までフォローアップした患者を用いて行われた。患者は、高眼圧症または緑内障と診断された年齢が18歳以上の男性または女性で、適切な薬物洗浄期間の後、22mmHg以上の眼圧の(少なくとも48時間離れて)2回連続の測定値を有する人であった(表2を参照せよ)。
【0166】
インプラント:涙点プラグドラッグデリバリーシステム(PPDS)は、予め存在する孔を有する、適切な市販で入手可能な涙点インプラント中に配置されるように構成された薬物挿入器からなる。薬物挿入器の構成で用いられる全ての材料は、一連の安全性/有毒性検査をパスした医療グレード物質であった。薬物挿入器は、硬化した医療グレード固体シリコーンである、Nusil 6385中に分散されたラタノプロストで満たされていた薄い壁のポリイミドチューブであった。硬化したシリコーンは、そこからラタノプロストがゆっくりと溶出する、固体の、非腐食性マトリックスとして機能する。薬物挿入器は、遠位端で固体Loctite4305医療グレード接着剤(シアノアクリレート)の硬化フィルムでシールされた。ポリイミドスリーブは挿入され、接着剤と共に、外側薬物拡散および薬物挿入器の遠位端を通る薬物拡散の両方に対する構造的支持および障壁が備えられる。薬物挿入器は、涙点インプラントの孔の中に配置され、締り嵌めを介してその場に保持された。
【0167】
工程:患者は、高眼圧症と診断された最初の訪問の後に、涙点インプラントをはめ込まれた。患者は、涙点インプラントが相変わらずそこに存在しているかどうかを画定するために、その後の稼動診察で評価された。次のベースライン診断に引き続いて、被験者は、両方の眼の下涙点に一つの涙点プラグ薬物送達システムを受け入れた。任意の検査で、涙点インプラントがその場になければ、新しい涙点プラグ薬物送達システムが挿入された。送達システムは、下の表2中に定義されているように、適当な洗浄期間の後、上涙点または下涙点中に配置された。もし次の診察の間、涙点プラグシステムが存在しなかったら、交換デバイスが挿入された。
【0168】
涙点プラグ薬物送達システムの配置および取り外しは、他の市販で入手可能な涙点インプラントに対するのと同じ方法で実施された。一般に、配置のためには、用いられる涙点インプラントのサイズは、適切な拡大器、または、もし備えられているなら、涙点インプラントに付属するサイジングツールを用いて画定された。もし、涙点インプラントに合わせることが必要ならば、患者の涙点が拡大された。もしインプラントの涙点への配置を容易にするために必要ならば、潤滑剤の滴下が適用された。適切な配置用具を用いて、インプラントは、眼の上涙点または下涙点に挿入された。配置後、インプラントのキャップは可視的であった。この工程は、患者の他の眼に対しても繰り返された。インプラントの取り出しに対しては、キャップ下の管部でインプラントを確実に把持するために、小さな手術用鉗子が用いられた。穏やかな引っ張り動作を用いて、インプラントは穏やかに回収された。
【表2】

【0169】
研究の過程の間、眼圧はゴールドマン圧平式眼圧計によって測定された。局所麻酔薬およびフルオレセインの両方が適用された。このことは、角膜評価のために組み合わせ製品(たとえば、Fluress(登録商標)、ベノキシネートおよびフルオレセイン)の使用によって、または局所麻酔薬およびフルオレセインの別々の適用によって実施された。その直後に、眼圧が圧平法を用いて測定された。有効性はベースラインからの眼圧の変化として評価された。
【0170】
イン・ビトロ薬物放出運動学:複数のイン・ビトロ実験が、ラタノプロスト溶出レートを制御する能力をしめしために、幾つかの医療グレードシリコーン処方製剤を用いて実行された。市販で入手可能な製品キサラタン(登録商標)中のラタノプロストの量は、近似的に1.5マイクログラム/1滴である。近似的に100ng/日のラタノプロストを溶出する涙点インプラント送達システムは、したがって、キサラタン(登録商標)中では、たった約6%の薬物の量しか送達しない。この理由から、涙点インプラントデバイスは患者にいかなる薬物安全性リスクをもたらさないであろう。
【0171】
有害事象:デバイスに付随するリスクは、涙点インプラントによる起こり得る眼の炎症または高眼圧の非効果的な軽減である。涙点インプラントシステムに対する全薬物量は、キサラタン(登録商標)の10〜20滴と等価である。安全性は、スリットランプ検査での眼の様子、眼圧、視力の評価により、ならびに有害事象の発生率および重症度を画定することによって評価された。
【0172】
結果:各被験者に対するIOPは、1つの眼だけが治療されるまでは、2つの眼の平均IOPである。よって、N=10は5人の被験者に等しい。第0〜28日では眼の数はN=10、第52日では、眼の数はN=9、第88〜105日では眼の数はN=6(2人の被験者が、インプラントを失ったていた片方の眼にキサラタン(登録商標)を始めるために第88日およびそれ以降では除かれ;よって第88〜105日からは研究には3人の被験者が残った)。第105日で、3人の被験者のうち1人の被験者が効力(IOPがベースラインの下2mmHg)を失った。
【0173】
図1および表3に示されているように、洗浄後平均ベースラインIOPは22.9±0.9mmHgであった。PPDS配置後の7日間は、平均IOPは16.1±1.1 mmHgに減少し、フォローアップ期間を通じて安定したままであった。第88日では、ベースラインから28%圧力低下を示す平均IOPは16.5±1.2mmHgであった(p<0.05)。これらの結果は、持続涙点インプラント送達システムは検査された被験者集団では、安全且つ有効であることを示している。
【表3】

【0174】
(例2)
無作為化、マスク化されたフェーズ2試験(“コア試験”)が、持続薬物溶出コアを有するラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L−PPDS)のIOP低下効果を評価するために実施された。61人の開放隅角緑内障または高眼圧症患者は、3つの治療グループの一つに平等に無作為化され、L−PPDSは3.5、14、または21μgのラタノプロストの投与量を含み、12週間までフォローした。主な評価結果はベースラインからのIOP変化および安全性であった。
【0175】
効用結果:予備的な有効性の分析は、各診察で効用、IOP、ベースラインからの
IOP変化およびパーセント変化を失わなかった各治療グループ中の被験者の割合に基づいた。intent−to−treat(ITT)データセットは、全ての無作為化された被験者からのデータを含む。プロトコル違反のため、1人の被験者も除外されなかった。ITTのデータセットは、すべての試験の変数を分析するために使用された。
【0176】
研究結果は、全3投与で、第12週で20%のベースラインからの平均減少を有するIOP低下効果があったことを示している。スクリーニング時の平均眼圧は16.8mmHgであった;洗浄後、平均IOPは、24.4±2.1mmHgであった。図9および10は、4、8及び12週における3.5、14、または21μgインプラントに対するベースラインからの平均IOP変化を示している。第8週では、患者はそれぞれ3.5、14、および21μg(n=17、15および15)のグループで、−3.6±2.4mmHg、4.2±3.7mmHg、および4.4±2.4 mmHgのIOPの平均減少を有した。第12週ではIOPの平均減少はそれぞれ、−5.4±2.7;−4.8±3.2;および−4.9±2.1(n=13、12および13)であり、第12週でベースラインから20%減少を表した。L−PPDSの保持レートは75%であった。
【0177】
図11は、治療グループのそれぞれに対する第12週でのベースラインからのIOPの減少を示している。IOPのある特定の減少がX軸上に示されている。これらの減少を示す各治療群での患者のパーセンテージがY軸上に示されている。
【0178】
図12〜15はL−PPDSを他の局所緑内障治療薬と比較している。
【0179】
安全性結果:L−PPDSは試験期間にわたり忍容性が良好であった(図16を参照せよ)。全有害事象は、1.6%から14.8%の範囲であり、投与量依存性はなかった。最もよく使われる有害事象は、本質的には軽症で一時的であり、ほどんどは涙点インプラント装着の適応期間の間に解決された増加涙(増加涙生成)および眼部不快感(それぞれ14.8%および9.8%)であった。眼球充血および点状角膜炎の割合はそれぞれ、1.6%であった。第12週で、L−PPDS快適さを、89%の患者が“気付かず”、8%が“軽度に気付く”と評価し、一方で涙は、“なし”(78%)、“たまに”(14%)、または“軽度に”(5%)と評価された。患者の残りの3%は、第12週では快適さおよび涙分泌評価を有しなかった。19人の患者が、効用の喪失/不適切なIOP制御によって、第12週の診察以前に取りやめた。
【0180】
図16は、各治療グループおよび組み合わせた全治療グループに対するL−PPDSに関連する有害事象を示している。報告された有害事象は、結膜充血、眼そう痒症、眼瞼縁の痂皮、異物感、流涙の増加、眼の不快感、眼球充血と点状角膜炎を含んだ。
【0181】
図17および18は、L−PPDSの有害事象を、トラボプロスト、チモロール、ラタノプロスト、およびビマトプロストを含む他の薬物療法の点眼処方剤に対して以前に報告された有害事象と比較している。以下は、L−PPDSとの比較のために用いられ、参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる:開放隅角緑内障または高眼圧症を患う患者でのラタノプロストおよびチモロールと比較したトラボプロスト。Am J Ophthalmol 2001;132;472−484(追加で報告された有害事象は、眼痛、白内障、ドライアイ、眼瞼炎、視力障害を含んだ);高眼圧または緑内障を患う患者における眼圧の低下効率と比較した6ヶ月無作為化臨床試験。Am J Ophthlmol 2003;135:55−63(追加で報告された有害事象は、睫毛の成長を含んだ);緑内障および高眼圧でのビマトプロストおよびチモロールを比較した1年、無作為化研究。Arch Ophthlmol V120 2002年10月 1286−1293(追加で報告された有害事象は、睫毛の成長、ドライアイ、眼痛を含んだ;ビマトプロストBIDグループがまた含まれ、有害事象の高めの発生率を示した);およびサラタン点眼液 0.005%(50mg/mL)(Pharmacia)06/05/1996承認:Medical Officers Review、93、98−100頁。FOIサービスによって提供。
【0182】
まとめ:COREは、緑内障に対する連続的で制御された涙点インプラント薬物送達システムを調べる最初の無作為化、並列グループ、マルチセンター米国試験である。20%の平均IOP減少が3ヶ月で見られた。眼用インプラントの忍容性は良好であった;特段の安全性の問題は観察されなかった。
【0183】
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【0184】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面の参照を含む。図面は、例示の方法で、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書中では、“例”と呼ばれる。本文書中で参照された全ての出版物、特許、および特許文献は、参照によってそれぞれが組み込まれているかのように、参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる。本文書とそれらの文書の間の一貫しない使用が発生したときは、組み込まれた引用文献(複数の引用文献)での使用は、本文書の使用を補足と考えられるべきであろう。相容れない矛盾に対しては、本文書中の使用が支配する。
【0185】
上記の説明は、例示であり、限定的ではなないことが意図されている。たとえば、上述の例(その1つ以上のフィーチャ)は、互いに組み合わされて使用され得る。上の記載を検討した当業者によるもののような、他の実施形態が使用され得る。また、上の詳細な記載では、開示を簡単化するために、様々なフィーチャが一緒にグループ化され得る。このことは、クレームされていない開示されたフィーチャが任意のクレームに対して本質的であることを意図しているとは解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全フィーチャより小さいところに存在し得る。よって、以下のクレームは、ここで詳細な記載に組み込まれ、各クレームは、それ自体が別個の実施形態である。本発明の範囲は、そのようなクレームが規定される均等の全範囲と共に、添付のクレームを参照して画定されるべきである。
【0186】
限定はされないが、薬物コア、IOPの減少の表示、および治療期間を含む、本発明の様々なコンポーネントまたは様々なコンポーネントの利用もしくは効果の濃度、量、パーセンテージ、期間等はしばしな、本特許文書通じて範囲またはベースライン閾値形式で表示される。範囲またはベースライン閾値形式での記載は、単に利便性と簡便性のためであり、本発明の範囲の非柔軟な限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲またはベースライン閾値の記載は、特に開示されたすべての可能な部分範囲と同時に、ベースライン閾値の範囲内またはそれより大きな個々の数値を有するとと考えられるべきである。たとえば、3.5マイクログラムから135マイクログラムのラタノプロストまたは他の治療薬(複数の治療薬)濃度範囲を有する薬物コアの記載は、5マイクログラムから134マイクログラム、6マイクログラムから135マイクログラム、40マイクログラムから100マイクログラム、44マイクログラムから46マイクログラム他などの特定の開示された範囲、と同時に、たとえば、41マイクログラム、42マイクログラム、43マイクログラム、44マイクログラム、45マイクログラム、46マイクログラム、47マイクログラム、48マイクログラム他などその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。この解釈は、範囲の幅またはベースライン閾値に関係なく、本開示にわたる全文脈で適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じて患者の眼の眼圧を減らすための方法であって、前記患者の前記眼に眼圧低下治療薬を含む持続局所処方製剤を投与することを含み、前記眼圧低下治療薬は前記眼に経時的に連続的に放出することが可能であり、前記眼圧はベースラインから少なくとも10%低下する方法。
【請求項2】
前記眼圧は、ベースラインから少なくとも15%、ベースラインから少なくとも20%、およびベースラインから少なくとも25%からなる群から選択される量が低下する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記眼圧低下治療薬は、少なくとも約30日、少なくとも約60日、および少なくとも約90日からなる群から選択される期間にわたり放出される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記眼圧低下治療薬は、抗緑内障薬である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記抗緑内障薬は、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン類似体、降圧脂質、神経保護材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4の方法。
【請求項6】
前記抗緑内障薬はラタノプロストである、請求項5の方法。
【請求項7】
前記処方製剤は眼インプラント中に配置され、眼インプラントから溶出する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記眼インプラントは涙点インプラントを含む、請求項7の方法。
【請求項9】
前記処方製剤は前記涙点インプラント内に、前記インプラントの少なくとも1つの表面が前記処方製剤によってコーティングされるように含浸される、請求項8の方法。
【請求項10】
前記処方製剤は、前記涙点インプラント中に配置された持続放出コア内に含まれる、請求項8の方法。
【請求項11】
前記涙点インプラントは、約3.5マイクログラム、約14マイクログラム、約21マイクログラムおよび約44マイクログラムからなる群から選択された眼圧低下治療薬の量を含む、請求項8の方法。
【請求項12】
前記涙点インプラントは、前記患者の両方の眼の各々の1つの涙点に挿入される、請求項8の方法。
【請求項13】
前記処方製剤は近似的に90日に一度投与され、前記眼圧低下治療薬は、近似的に180日、近似的に270日、近似的に360日、近似的に450日、近似的に540日、近似的に630日、近似的に720日、近似的に810日および近似的に900日からなる群から選択される期間にわたって前記眼に連続的に放出される、請求項1の方法。
【請求項14】
約25ナノグラム/日および約250ナノグラム/日の間の前記眼圧低下治療薬が放出される、請求項1の方法。
【請求項15】
前記眼圧は、前記眼圧低下治療薬を投与する前は少なくとも約20mmHgである、請求項1の方法。
【請求項16】
眼圧の前記低下は、高々約7日、高々約14日、高々約21日、高々約28日、高々約56日、高々約84日、および高々約105日からなる群から選択される連続期間にわたり維持される、請求項1の方法。
【請求項17】
患者ノンコンプライアンスが、眼圧低下治療薬の点眼処方と比べて十分に減少する、請求項1の方法。
【請求項18】
前記眼圧は高眼圧に関連する、請求項1の方法。
【請求項19】
前記眼圧は、緑内障に関連する、請求項1の方法。
【請求項20】
必要に応じて患者の眼の眼圧を減らすための方法であって、インプラントを前記眼の少なくとも1つの涙点に挿入することを含み、前記インプラントは、眼圧低下治療薬を含む持続放出コアを含み、前記眼圧低下治療薬は前記眼に経時的に連続的に放出することが可能であり、前記眼圧はベースラインから少なくとも10%低下する方法。
【請求項21】
前記眼圧は、ベースラインから少なくとも15%、ベースラインから少なくとも20%、およびベースラインから少なくとも25%からなる群から選択される量が低下する、請求項20の方法。
【請求項22】
前記眼圧低下治療薬は、少なくとも約30日、少なくとも約60日、および少なくとも約90日からなる群から選択される期間にわたり放出される、請求項20の方法。
【請求項23】
前記持続放出コアはインプラント本体中に配置される、請求項20の方法。
【請求項24】
前記患者は緑内障を患っている、請求項20の方法。
【請求項25】
前記インプラントまたは前記持続放出コアの少なくとも1つは、不浸透性コーティングによって少なくとも部分的にコーティングされている、請求項20の方法。
【請求項26】
前記不浸透性コーティングはパリエンを含む、請求項25の方法。
【請求項27】
前記眼圧低下治療薬はラタノプロストを含む、請求項20の方法。
【請求項28】
必要に応じて患者の眼の眼圧を減らすための薬の製造における眼圧低下治療薬の使用であって、前記薬は持続局所処方製剤であり、前記眼圧低下治療薬は前記眼に経時的に連続的に放出することが可能であり、前記眼圧はベースラインから少なくとも10%低下する使用。
【請求項29】
前記眼圧は、ベースラインから少なくとも15%、ベースラインから少なくとも20%、およびベースラインから少なくとも25%からなる群から選択される量が低下する、請求項28の使用。
【請求項30】
前記眼圧低下治療薬は、少なくとも約30日、少なくとも約60日、および少なくとも約90日からなる群から選択される期間にわたり放出される、請求項28の使用。
【請求項31】
前記眼圧低下治療薬は、抗緑内障薬である、請求項28の使用。
【請求項32】
前記抗緑内障薬は、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン類似体、降圧脂質、神経保護材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31の使用。
【請求項33】
前記抗緑内障薬はラタノプロストである、請求項32の使用の方法。
【請求項34】
前記処方製剤は眼インプラント中に配置され、眼インプラントから溶出する、請求項28の使用。
【請求項35】
前記眼インプラントは涙点インプラントを含む、請求項34の使用。
【請求項36】
前記処方製剤は前記涙点インプラント内に、前記インプラントの少なくとも1つの表面が前記処方によってコーティングされるように含浸される、請求項35の使用。
【請求項37】
前記処方製剤は、前記涙点インプラント中に配置された持続放出コア内に含まれる、請求項35の使用。
【請求項38】
前記涙点インプラントは、約3.5マイクログラム、約14マイクログラム、約21マイクログラムおよび約44マイクログラムからなる群から選択された眼圧低下治療薬の量を含む、請求項35の使用。
【請求項39】
前記涙点インプラントは、前記患者の両方の眼の各々の1つの涙点に挿入される、請求項35の使用。
【請求項40】
前記処方製剤は近似的に90日に一度投与され、前記眼圧低下治療薬は、近似的に180日、近似的に270日、近似的に360日、近似的に450日、近似的に540日、近似的に630日、近似的に720日、近似的に810日および近似的に900日からなる群から選択される期間にわたって前記眼に連続的に放出される、請求項28の使用。
【請求項41】
約25ナノグラム/日および約250ナノグラム/日の間の前記眼圧低下治療薬が放出される、請求項28の使用。
【請求項42】
前記眼圧は、前記眼圧低下治療薬を投与する前は少なくとも約20mmHgである、請求項28の使用。
【請求項43】
眼圧の前記低下は、高々約7日、高々約14日、高々約21日、高々約28日、高々約56日、高々約84日、および高々約105日からなる群から選択される連続期間にわたり維持される、請求項28の使用。
【請求項44】
患者ノンコンプライアンスが、眼圧低下治療薬の点眼処方と比べて十分に減少する、請求項28の使用。
【請求項45】
前記眼圧は高眼圧に関連する、請求項28の使用。
【請求項46】
前記眼圧は、緑内障に関連する、請求項28の使用。
【請求項47】
必要に応じて患者の眼の眼圧を減らすための薬の製造における眼圧低下治療薬の使用であって、前記薬は前記眼の少なくとも1つの涙点に挿入されるインプラントの使用に適合されており、前記インプラントは、眼圧低下治療薬を含む持続放出コアを含み、前記眼圧低下治療薬は前記眼に経時的に前記眼に連続的に放出することが可能であり、前記眼圧はベースラインから少なくとも10%低下する方法。
【請求項48】
前記眼圧は、ベースラインから少なくとも15%、ベースラインから少なくとも20%、およびベースラインから少なくとも25%からなる群から選択される量が低下する、請求項47の使用。
【請求項49】
前記眼圧低下治療薬は、少なくとも約30日、少なくとも約60日、および少なくとも約90日からなる群から選択される期間にわたり放出される、請求項47の使用。
【請求項50】
前記持続放出コアはインプラント本体中に配置されている、請求項47の使用。
【請求項51】
前記患者は、緑内障を患っている、請求項47の使用。
【請求項52】
前記インプラントまたは前記持続放出コアの少なくとも1つは、不浸透性コーティングによって少なくとも部分的にコーティングされている、請求項47の使用。
【請求項53】
前記不浸透性コーティングはパリエンを含む、請求項52の使用。
【請求項54】
前記眼圧低下治療薬はラタノプロストを含む、請求項47の使用。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−520805(P2011−520805A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508512(P2011−508512)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/002854
【国際公開番号】WO2009/137085
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508291478)キューエルティー プラグ デリバリー,インク. (11)
【氏名又は名称原語表記】QLT PLUG DELIVERY,INC.
【Fターム(参考)】