説明

緑化システムおよび緑化用トレー

【課題】効率的な灌水が可能であり、組み立てやメンテナンス等も容易な緑化システムおよび緑化用トレーを提供する。
【解決手段】緑化システム1は、緑化植物Pおよび栽培土壌Sをそれぞれ収容し、縦横に隣接して敷設される複数の緑化用トレー10と、灌水パイプ70と、を含んで構成される。緑化用トレー10は、底壁部、側壁部を有する上部開放のトレー本体20と、灌水パイプ70を連通する樋状をなし、トレー本体20よりも側方に突出して形成される連通部30と、隣接する他の緑化用トレー10の連通部30を上方から嵌合できる嵌合部40と、底壁部に凸状に設けられる隆起部50と、隆起部50の上部に設けられ、灌水パイプ70を支持する支持手段と、を備える。灌水パイプ70は、連通部30と支持手段を通り、栽培土壌Sの表面Sa近辺にて、緑化用トレー10間を縦断ないし横断して配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物屋上の屋根面等を緑化する際に用いられる緑化システムおよび緑化用トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートアイランド現象に伴う地球環境への負荷を軽減するために、建物屋上の屋根面等を緑化することが注目されている。
【0003】
この建物屋上の屋根面等を緑化する技術として、緑化植物および栽培土壌をそれぞれ収容した複数の緑化用トレーを、縦横に隣接して敷設することにより緑化を図るようにしたものが知られている。そして、トレー内の緑化植物に灌水をおこなうための配管を備えた「植物栽培装置」がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−75562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される如くの「植物栽培装置」では、トレー底部に逆U字形断面の「係合部」が設けられ、灌水用の配管を、この「係合部」と屋根面との間に配設するとともに、「係合部」の「導通口」を介して配管から「保水部」に貯留された水分を、毛細管現象により土壌へ供給するように構成されている。
【0006】
しかしながら、トレー底部に貯留された水分を、上方の緑化植物が十分に吸い上げることは実際には難しく、多くが余剰水として排出される等して効率的な灌水がおこなわれていなかった。また、配管の配設やトレー敷設の作業が煩雑であり、配管のメンテナンス時にはトレーをいちいち撤去する必要もあった。
【0007】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、効率的な灌水が可能であり、組み立てやメンテナンス等も容易な緑化システムおよび緑化用トレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の緑化システムは、緑化植物および栽培土壌をそれぞれ収容し、縦横に隣接して敷設される複数の緑化用トレーと、緑化用トレー上に配設される灌水パイプと、を含んで構成される緑化システムであって、各緑化用トレーが、底壁部と、該底壁部の周囲に立設状に形成される側壁部と、を有する上部開放のトレー本体と、該側壁部の上縁辺に設けられ、該灌水パイプを連通する樋状をなすとともに、該トレー本体よりも側方に突出して形成される連通部と、該側壁部の上縁辺に設けられ、隣接する他の緑化用トレーの該連通部を上方から嵌合できる嵌合部と、該底壁部に凸状に設けられる隆起部と、該隆起部の上部に設けられ、該灌水パイプを支持する支持手段と、を備え、該灌水パイプが、該連通部と該支持手段を通り、該栽培土壌の表面近辺にて、各緑化用トレー間を縦断ないし横断して配設されるように構成されている。
【0009】
上記緑化システムの好ましい例では、該トレー本体が、平面視略正方形をなし、該連通部が、該側壁部の対向する上縁辺に設けられるとともに、該嵌合部が、該側壁部の他の対向する上縁辺に設けられ、縦横に隣接する各緑化用トレーが、互いに直角に水平回転された状態で連結されるように構成されている。
【0010】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、各緑化用トレーが、該連通部が設けられる該側壁部の上縁辺にて、下方に折り曲げ形成される係合片と、該嵌合部が設けられる該側壁部の上縁辺にて、隣接する他の緑化用トレーの該係合片を上方から係合できる係合溝と、をさらに備えて構成されている。
【0011】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、該支持手段が、該隆起部から連続して該隆起部と一体成形され、該灌水パイプを嵌脱可能な凹溝からなる。
【0012】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、該灌水パイプの該トレー本体内における垂れ下がりを防止する中間支持部と、をさらに備え、該中間支持部に灌水パイプ用の継ぎ手を支持させることで、該灌水パイプを分岐ないし屈折できるように構成されている。
【0013】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、該中間支持部が、該トレー本体の略中心に設けられ、該中間支持部と、該連通部、該嵌合部、該凹溝とが、平面視十字状に配設されている。
【0014】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、該凹溝に、該灌水パイプの抜け止め突起が形成されている。
【0015】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、該隆起部および該凹溝と該中間支持部との裏側が、空洞に形成されている。
【0016】
上記緑化システムのさらに好ましい例では、該灌水パイプが、少量灌水可能な構造を有するとともに、該栽培土壌中に埋設されている。
【0017】
また、本発明の緑化用トレーは、緑化植物および栽培土壌をそれぞれ収容し、縦横に隣接して敷設される複数の緑化用トレーと、緑化用トレー上に配設される灌水パイプと、を含んで構成される緑化システムに用いられる緑化用トレーであって、底壁部と、該底壁部の周囲に立設状に形成される側壁部と、を有する上部開放のトレー本体と、該側壁部の上縁辺に設けられ、該灌水パイプを連通する樋状をなすとともに、該トレー本体よりも側方に突出して形成される連通部と、該側壁部の上縁辺に設けられ、隣接する他の緑化用トレーの該連通部を上方から嵌合できる嵌合部と、該底壁部に凸状に設けられる隆起部と、該隆起部の上部に設けられ、該灌水パイプを支持する支持手段と、を備え、該灌水パイプが、該連通部と該支持手段とを通り、該栽培土壌の表面近辺にて、各緑化用トレー間を縦断ないし横断して配設されるように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、効率的な灌水が可能であり、組み立てやメンテナンス等も容易な緑化システムおよび緑化用トレーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る緑化システムの概略を示す全体平面図である。
【図2】実施形態に係る緑化用トレーを示す上方側斜視図である。
【図3】実施形態に係る緑化用トレーを示す下方側斜視図である。
【図4】実施形態に係る緑化用トレーを示す平面図である。
【図5】実施形態に係る緑化システムの組み立て状況を示す斜視図である。
【図6】実施形態に係る緑化システムを示す拡大断面図である。
【図7】変形例を示す斜視図である。
【図8】他の変形例を示す斜視図である。
【図9】他の実施形態に係る緑化用トレーを示す斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る緑化システムの組み立て状況を示す平面図である。
【図11】他の実施形態に係る緑化システムを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。図1は実施形態に係る緑化システム1の概略を示す全体平面図である。図2〜図4は実施形態に係る緑化用トレー10を示しており、図2は上方側斜視図、図3は下方側斜視図、図4は平面図である。図5は緑化システム1の組み立て状況を示す斜視図、図6は緑化システム1を示す拡大断面図である。
【0021】
緑化システム1は、図1に示す建物屋上4の緑化を図るものであり、陸屋根として形成される屋根面5に敷設される複数の緑化用トレー10と、緑化用トレー10上の所定位置に配設される灌水パイプ70と、を備えている。各緑化用トレー10は、屋根面5の形状に沿って、前後および左右方向の縦横に隣接して連結され、灌水パイプ70が、これら緑化用トレー10間を縦断ないし横断するように架設されている。これにより、建物屋上4における屋根面5の大半を平面状に覆う緑化システム1が構成されている。緑化用トレー10内には、緑化植物Pおよび栽培土壌Sがそれぞれ収容され、栽培土壌S中に灌水パイプ70が埋設されているが(図6参照)、図1では、緑化植物Pを一部にのみ表示し、埋設される灌水パイプ70も実線で示している。
灌水パイプ70は、建物屋上4に設けられた給水管7に接続されている。給水管7は、適時開閉が可能な弁8(必要により減圧弁)を介して、水道等の水源に接続されている。図示しない制御装置や、栽培土壌S中の水分量、降雨量等を検知するセンサー、タイマー手段等をさらに付設し、自動的な灌水をおこなうにしてもよい。緑化システム1の外周縁は、見切り材としての縁石ブロック9によって適宜固定されている。
【0022】
緑化用トレー10は、図2〜図4に示すように、上部開放で比較的深底(最深部で100mm程度)のトレー本体20と、このトレー本体20に設けられる所定の連通部30および嵌合部40、隆起部50、支持手段55と、を主として備える。
【0023】
トレー本体20は、図2〜図4に示すように、底壁部21と、底壁部21の周囲に同一高さで立設状に形成される側壁部22とを有する。側壁部22は、上にいくに従って、外側にやや傾斜して設けられるが、側壁部22の各上縁辺23a〜23dは、正方形(この実施形態では縦500mm×横500mm)をベースに四隅が円弧状に面取りされた全体形状を呈し、これによりトレー本体20が平面視略正方形をなしている。
【0024】
側壁部22の各上縁辺23a〜23dには、図2〜図4に示すように、外側に張り出す鍔部24が設けられ、鍔部24がさらに下方に折り曲げられることで、折り曲げ部25が形成されている。これらの鍔部24および折り曲げ部25は、側壁部22の上縁辺23a〜23dの(連通部30および嵌合部40の配設箇所を除く)略全周に亘って形成されている。このような鍔部24および折り曲げ部25により、側壁部22の剛性を向上させることができる。
【0025】
緑化用トレー10では、上記折り曲げ部25は、対向する一組の上縁辺である23a、23bにおいては、係合片26をそれぞれ構成する。一方で、対向する別組の上縁辺である23c、23dにおいては、図2〜図4に示すように、折り曲げ部25の下端がさらに上方に(但し鍔部24よりも低く)折り返されて、折り返し部28が形成されており、この折り曲げ部25と折り返し部28とによって、断面凹状の係合溝29がそれぞれ形成されている。
係合片26および係合溝29は、緑化用トレー10同士の連結を補強する役割を果たす。係合溝29は、隣接する緑化用トレー10の係合片26を、好ましくは僅かな遊嵌状態にて、上方から係合できるように寸法構成されている。
【0026】
なお、この実施形態では、係合片26および係合溝29を、各上縁辺23a〜23dに沿って連続的に形成しているが、一または複数の小片を断続的に形成したものであってもよい。係合片26や係合溝29に替えて、または係合片26や係合溝29と併せて、緑化用トレー10とは別体で構成したクリップ等の補強金具を用いることもできる。
【0027】
連通部30および嵌合部40は、図2〜図4に示すように、それぞれ側壁部22の上縁辺23a〜23dの所定位置に設けられる。具体的には、連通部30は、係合片26が形成される上縁辺23a、23bのそれぞれ中間位置に設けられ、嵌合部40は、係合溝29が形成される上縁辺23c、23dのそれぞれ中間位置に設けられている。連通部30と嵌合部40は、側壁部22および鍔部24、折り曲げ部25、折り返し部28を上方から切り欠くようにして形成される。
【0028】
連通部30は、緑化用トレー10間に跨って配設される灌水パイプ70を連通状に載置する。連通部30は、半円孤状のパイプ受け面32を有する断面U字型で、上部に開放された樋状をなすとともに、折り曲げ部25(係合片26)よりもさらに側方に一定長さだけ突出して形成されている。
一方、嵌合部40は、隣接する他の緑化用トレー10の上記連通部30における突出部分を上方からちょうど嵌合できるように断面構成されている。
【0029】
隆起部50は、図2〜図4に示すように、底壁部21の所定部分を、連通部30ないし嵌合部40の下端付近までの一定高さ、凸状に隆起させてなる。この実施形態では、隆起部50として基本形態の共通するものがトレー本体20内の複数箇所(4箇所)に設けられており、隆起部50は、隆起部本体51と、側壁部22に添って設けられる添設部52と、からそれぞれ構成される。添設部52は、隆起部本体51から連続して隆起部本体51と一体に成形されている。隆起部50は、緑化システム1の組み立てやメンテナンス時等に、上方に人が乗っても耐え得るような強度を有するようにしておくのが好ましい。
【0030】
上記隆起部50により、後述する支持手段55を所定位置に設けることができるようになる。また、とりわけ建物屋上4等の緑化にあっては、建物構造体への荷重負荷を軽減するために、緑化用トレー10(栽培土壌S)の軽量化を図ることが好ましいが、本実施形態のような隆起部50を設けると、トレー本体20内の容量が、隆起部50の体積によって制限されることから、緑化植物Pに必要な栽培土壌Sの厚みを確保しながら、緑化用トレー10(栽培土壌S)の重量を低減することも可能となる。
【0031】
また、隆起部50の裏側は、図2〜図3に示すように、下部に向けて開口した空洞部54によって空洞に形成されている。緑化用トレー10では、空洞部54は、さらに側方に向けても開口されており、これにより底壁部21および側壁部22が部分的に切り取られた形状となっている。空洞部54によりトレー本体20の自重も低減できるため、全体として大幅な軽量化が可能となる。
【0032】
隆起部50の上部には、図2および図4に示すように、灌水パイプ70の支持手段55としての凹溝56が形成される。支持手段55は、配設される灌水パイプ70を下方から支持し、トレー本体20に対して灌水パイプ70を略水平に保つ(図5参照)。凹溝56は、隆起部本体51をさらに上方に(各上縁辺23a〜23dよりも低く)隆起させることにより、隆起部50から連続して隆起部50と一体に成形されている。凹溝56は、灌水パイプ70の嵌脱作業を容易にするべく上部に開放して構成されるとともに、灌水パイプ70を安定載置可能な一定長をなす内壁面57を備える。また、凹溝56の適宜箇所には、図2および図4に示すように、配設された灌水パイプ70の抜け止め突起59が形成されている。これら凹溝56と抜け止め突起59とにより、灌水パイプ70が撓み易かったり、灌水パイプ70に巻き癖が付いているような場合等であっても、灌水パイプ70を簡単かつ確実に支持することができる。
【0033】
緑化用トレー10では、上記凹溝56は、図4に示すように、トレー本体20の中心を通る平面視十字状を形成する所定ラインX、Y上にそれぞれ配設される。ラインX、Yは、側壁部22の上縁辺23a、23bおよび上縁辺23c、23dの各垂直二等分線にそれぞれ一致しており、これにより、灌水パイプ70を各緑化用トレー10の前後または左右方向に一直線状に配設できるようになっている。このラインX、Y上には、それぞれ連通部30、嵌合部40も位置する。
【0034】
底壁部21は、図2および図4に示すように、底上げ部21iと、底上げ部21iの四隅に一段下がって連設される凹陥部21jとから形成されている。凹陥部21jの裏側は、図3に示す如く平坦な設置面21kをなし、設置面21kを屋根面5上にぴったりと設置することで、トレー本体20の安定を保つことができるようになっている(図6参照)。図3中、21k’は、底上げ部21iの撓みを防ぐ補強用の脚部である。
上記底上げ部21iによって、屋根面5とトレー本体20との間に空隙が形成されるため、通気性が良好になるだけでなく、トレー本体20内の温度上昇を緩和することもできる。
【0035】
各凹陥部21jには、図2〜図4に示すように、スリット状の排水孔21hが穿設されており、降雨時等に凹陥部21jに落下集水された余剰雨水等を、排水孔21hを介して外部に排出できるようになっている。底壁部21に排水孔21hに向かう水勾配を適宜形成して、排水性を向上させたり、凹陥部21jに吸水性の布材や不織マット等を敷き込むことにより、保水性を向上させるようにしてもよい。
【0036】
緑化用トレー10では、トレー本体20の略中心に、図2〜図4に示す中間支持部60が設けられている。中間支持部60は、配設される灌水パイプ70のトレー本体20内における垂れ下がりを防止する等の役割を果たすものである。中間支持部60は、隆起部50同様、底壁部21を凸状に隆起させた形状で、上記凹溝56における内壁面57の底部と略同一レベルをなす支持面62を有する。中間支持部60の裏側は、図3に示すように、下部に向けて開口する空洞部64によって空洞となっている。このような中間支持部60を設けることにより、緑化用トレー10のさらなる軽量化にも繋がる。
【0037】
上記した緑化用トレー10は、単一または複数の適宜材料を用いて構成できるが、耐久性や耐腐食性、さらには軽量性に優れたものであることが好ましい。このような観点から、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニルその他の合成樹脂材を射出成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等の適当な方法を用いて加工することにより好適に製造できる。本実施形態では、環境負荷を軽減するため、ポリプロピレンの再生材を使用しており、これを射出成形することで緑化用トレー10を構成している。
【0038】
灌水パイプ70は、上記連通部30と凹溝56とを通り、各緑化用トレー10間を縦断ないし横断して配設される。灌水パイプ70は、樹脂製で可撓性を有する径15〜20mm程度のドリップチューブによって構成されており、図5〜図6に示すように、長さ方向に沿う適宜位置に灌水孔72が穿設されている。
この実施形態では、灌水パイプ70が、図6に示すように、栽培土壌Sの表面Sa近辺に埋設されるようになっており、灌水パイプ70の灌水孔72から滴下流出された水分Wは、栽培土壌S中を拡散状に上方から下方へと滲み込む。灌水パイプ70は、各緑化用トレー10を二分するような位置に配設されるため(図5参照)、各トレー本体20内に偏りなく灌水をおこない易い。灌水パイプ70が栽培土壌S中に埋設されることで、灌水パイプ70の耐久性が向上し、緑化システム1の見栄えも良好となる。この灌水パイプ70を利用して、液肥や薬液等を供給するようにしてもよい。
【0039】
灌水パイプ70は、少量灌水可能な構造を備えたものであることが好ましい。このような構造としては、例えば特開昭49−51745号公報や特開昭52−38572号公報に記載されるような公知の構造のものを採用することができる。細部についての図示は省略するが、灌水パイプ70内に、給水路とは別に、小径の流入孔を適宜有する灌水用空間をパイプ内壁に沿って設け、給水路への給水を、流入孔を介して灌水用空間に流入させるとともに、さらに灌水用空間から、灌水孔72を介して灌水パイプ70の外部へと水分Wを流出させる。このとき、給水路への給水が、灌水用空間に減圧されて流入するため、灌水孔72からは、点滴状ないしごく弱い水圧にて水分Wを滴下流出させることができる。
一般的な灌水パイプでは、1m2あたり約6リットル/時間の灌水量があるが、緑化用トレー10にとっては過剰であり、多くが余剰水となって排出されるおそれがある。上記灌水パイプ70によれば、1m2あたり約2リットル/時間の灌水量とでき、無駄を一層防止した灌水がおこなえる。
【0040】
なお、灌水パイプ70の上記構造は一例であり、この他にも例えば、灌水孔72に連通するジグザグ状の減圧路を、パイプ内壁に備えたものや、伸縮性および弾力性の有る合成ゴム等からなり、灌水パイプ70内の水圧に応じて水分Wを少量ずつ滲出させ得る多数の小孔を、パイプ周面に網目状に備えたもの等を採用するようにしてもよい。
【0041】
上記緑化用トレー10内には、図6に示すように、栽培土壌Sが側壁部22の上縁辺23a〜23dまで充填されるとともに、所定の緑化植物Pが植栽される。緑化植物Pは、隆起部50や凹溝56、中間支持部60を避け、トレー本体20の中心から四隅に向かって対角線状に植栽される。この実施形態では、図1に示すように、一の緑化用トレー10につき大小の緑化植物Pが計12箇所(よって約1m2あたり48箇所)配置されている。緑化植物Pは、予め生育したもの以外に、苗や種子等であってもよい。
【0042】
建物屋上4の屋根面5等は、高温、低温、あるいは乾燥、強風等に曝され易く、植物にとっては非常に厳しい栽培環境となることから、上記緑化植物Pは、強靭な体質を有するものがよい。このような観点からは、丈が比較的低く、高低温や乾燥に強い草木、芝、苔類、多肉植物や地被類植物(グランドカバー類植物)等が好ましい。本発明の適用に特に好ましい緑化植物Pとしては、例えばハナツルグサ、フィリヤブラン、オタフクナンテン、フィリフェラオーレア、セイヨウイワナンテン、常緑キリンソウ、リュウノヒゲ等が挙げられる。これらは適度の灌水をおこなうことで、長期間に亘って繁茂力を保つことが可能なものである。
【0043】
栽培土壌Sには、上記緑化植物Pを栽培することが可能な適宜の自然土壌や人工土壌、あるいはこれらの混合物を用いることができる。例えば、ピートモス、バーミキュライト、パーライト等の公知の資材を、保水性や排水性のバランスを考慮して、適量配合して用いることができる。
とりわけ建物屋上4等の緑化にあっては、建物構造体への荷重負荷を軽減するために、人工軽量土壌等を用いてなるべく栽培土壌Sの軽量化を図ることが好ましい。人工軽量土壌としては、例えば、真珠岩系パーライト等の岩石の焼成物やリサイクルセラミック、火山砂利等から得られる無機質系人工土壌、主に分解の遅い針葉樹の樹皮やココピート(登録商標)、ピートモス、草炭等を加工して得られる有機質系人工土壌、あるいは軽量無機質骨材に有機質資材を混合加工した有機無機混合型人工土壌等を用いることができる。
【0044】
栽培土壌Sの好ましい配合例としては、ピートモス、バーミキュライト、パーライト等を主配合物として泥炭を加え、これらを約40〜50kg/m2の重量となるように構成する。泥炭を加えることにより、軽量化を実現しながら、保水性および排水性のバランスが良好に保たれ、少量の栽培土壌Sであっても上記緑化植物Pの栽培に好適なものとなり易い。ピートモスに替えて、椰子の実から種子を取り除いた椰子殻から得られるココピート(登録商標)を用いてもよい。
【0045】
上記の如く構成される緑化システム1の組み立て手順の一例について説明すると、まず緑化用トレー10を必要数量、建物屋上4に輸送搬入し、屋根面5の一定領域に敷設してゆく。屋根面5には、耐根シート5aを設けておくのがよい(図6参照)。敷設した緑化用トレー10の外周縁は縁石ブロック9で順次固定する。
【0046】
緑化用トレー10を敷設する際には、隣接する緑化用トレー10同士を、図5に示すようにして連結する。すなわち、縦横に隣接する緑化用トレー10が、互いに時計回りないし反時計回りに直角に水平回転された状態となるように連結する。この連結は、一の緑化用トレー10の連通部30と、隣接する他の緑化用トレー10の嵌合部40とを嵌合するとともに、一の緑化用トレー10の係合片26と、隣接する他の緑化用トレー10の係合溝29と、を係合することでおこなわれる。
【0047】
図5を参照しながらさらに具体的に説明すれば、例えば、緑化用トレー10を、隣接する緑化用トレー10A側に向けてやや傾斜させ、嵌合部40および係合溝29を下方から入れ込むようにして緑化用トレー10Aの連通部30aおよび係合片26aとそれぞれ嵌合する。そして、緑化用トレー10を略水平に戻しながら、連通部30および係合片26を、他の隣接する緑化用トレー10Bの嵌合部40bおよび係合溝29bに上方から嵌合する。
このとき、緑化用トレー10の嵌合部40と緑化用トレー10Aの連通部30aとを嵌合させるとともに、緑化用トレー10の連通部30と緑化用トレー10Bの嵌合部40bとを嵌合させることで、緑化用トレー10の正確な位置決めを容易におこないながら連結できる。また、緑化用トレー10の係合溝29と緑化用トレー10Aの係合片26aとを係合させるとともに、緑化用トレー10の係合片26と緑化用トレー10Bの係合溝29とを係合させることで、当該連結がさらに補強される。
【0048】
上記のような連結を繰り返せば、各緑化用トレー10を、鍔部24が面一に揃った平面状に連結することができる。連結された緑化用トレー10は、前後方向の両端側(上縁辺23a、23b側)ないし左右方向の両端側(上縁辺23c、23d側)を、隣接する緑化用トレー10によって押下され、上方への浮き上がり等を規制された状態で強固一体に連結されることとなる。したがって、上記連結された緑化用トレー10は、きわめて良好な耐風性能を発揮する。一方で、各緑化用トレー10の係合片26、係合溝29が所定の遊嵌状態にて係合されるため、連結に際し、緑化用トレー10の嵌め入れは、非常にスムーズにおこなわれ得る。
【0049】
緑化用トレー10の敷設が完了したのち(あるいは敷設の作業と並行して)、緑化用トレー10上に灌水パイプ70を配設する。灌水パイプ70は、図1に示すように、一次側配管された給水管7に接続するとともに、各緑化用トレー10における連通部30および凹溝56を通して、全ての緑化用トレー10に行き渡るようにする。
敷設された各緑化用トレー10の上縁辺23a〜23dには、自身の連通部30ないし嵌合部40に嵌合された隣接する緑化用トレー10の連通部30が、それぞれ配備されることになるため(図5等参照)、灌水パイプ70は、図4に示す所定ラインX、Yの何れの方向にも配設することができる。
【0050】
敷設された緑化用トレー10が、図1に示すように全体として非矩形の不規則な平面形状の場合等であっても、灌水パイプ70を適宜分岐ないし屈折して配設することができる。灌水パイプ70の分岐ないし屈折は、チーズ型継ぎ手75やエルボ型継ぎ手76等の灌水パイプ用継ぎ手を介しておこなわれるが、緑化用トレー10の中間支持部60の支持面62により、これらがトレー本体20に対して略水平状に支持されるようになっている。灌水パイプ70の分岐ないし屈折により、必要な給水管7を最小限化することが可能となる(例えば、図1に破線で示す給水管7’を省略できる)。
本実施形態のような緑化用トレー10であれば、汎用性が高く、分岐・屈折箇所にも同一の緑化用トレー10を使用して、所望の緑化用トレー10上で灌水パイプ70を分岐ないし屈折できる。したがって、各緑化用トレー10の配置や敷設順序等を気にする必要が無く、緑化システム1の組み立てをさらに簡略化できる。
【0051】
次に、灌水パイプ70が配設された各緑化用トレー10内に、栽培土壌Sを充填しながら緑化植物Pを植栽してゆく。図6に示すように、この実施形態では、灌水パイプ70が、栽培土壌S中に埋設されるため、灌水パイプ70を配設したのちに、栽培土壌Sを充填するのが好適であるが、灌水パイプ70の配設に先行して、予め栽培土壌Sの一部をトレー本体20内の一定深さまで充填しておくようにしても差し支えない。
【0052】
栽培土壌Sの表面Saは、図6に示すように、保護層78で被覆するのが好ましい。保護層78を設けることで、栽培土壌Sの風雨による流出や雑草の発生を防止したり、保水性を高めることができる。保護層78としては、軽石、バーク、樹皮、木片、大鋸屑、籾殻、堆肥、人工鉱物あるいはこれらに適宜の接着剤や粘着剤を混合してなるマルチング材等が用いられる。
【0053】
なお、緑化用トレー10の敷設に伴って、各四隅の突き合わせ部分に生じる隙間には、図5に示すような閉鎖部材80を嵌着する。閉鎖部材80は、隙間から上記保護層78や栽培土壌Sが落下するのを防ぐもので、閉鎖部材80の裏側に、嵌着用爪(図示せず)が適宜形成されている。閉鎖部材80を、屋根面5に固着可能な押え金具(図示せず)と一体化構成し、各緑化用トレー10の四隅部を押圧状態に固定することで、敷設された緑化用トレー10の耐風性能をさらに向上させるようにしてもよい。
このようにして、図1に示す如くの緑化システム1を、非常に簡単に組み立てることができる。
【0054】
以上説明した緑化システム1によれば、灌水パイプ70が、連通部30と凹溝56とを通って所定位置に配設されており、灌水パイプ70の灌水孔72から滴下流出された水分Wが、各緑化用トレー10において、栽培土壌Sの表面Sa近辺から下方へと拡散状に滲み込む。これにより緑化植物Pが、必要十分な水分Wを吸収し易く、無駄の少ない効率的な灌水が可能となる。
緑化システム1では、隆起部50等によって、栽培土壌Sの厚みを確保しながら、緑化用トレー10(栽培土壌S)の重量やトレー本体20の自重を大幅に低減することもできる。特に隆起部50に、上記実施形態のような添設部52を設ける場合には、水分Wがまわり難い隆起部本体51の後方スペース(隆起部本体51と各側壁部22との隙間およびその周辺)が有効活用されて、軽量化とともに非常に効率的な灌水が可能となる。
【0055】
また、緑化システム1では、一の緑化用トレー10の連通部30と、隣接する他の緑化用トレー10の嵌合部40とを嵌合させることで、緑化用トレー10の正確な位置決めを容易におこないながら連結できる。灌水パイプ70も、各緑化用トレー10における連通部30と凹溝56とに上方から嵌め入れるだけでよい。このように、緑化システム1によれば、緑化用トレー10の敷設や灌水パイプ70の配設の作業をごく簡単におこなうことが可能となる。灌水パイプ70のメンテナンス時には、緑化用トレー10を移動撤去することなく、灌水パイプ70のみを容易に取り外すこともできる。
【0056】
しかも、緑化システム1によれば、緑化用トレー10同士が非常に強固に連結されており、各緑化用トレー10間の連通部30と嵌合部40との嵌合作用、さらに係合片26と係合溝29の係合作用によって、各緑化用トレー10の上方への浮き上がり等が効果的に規制されている。個々の緑化用トレー10は上記の如く軽量に構成されるものであるが、これにより各緑化用トレー10の強風時における飛散等を確実に防止することが可能となる。
【0057】
(変形例1)
上記実施形態の変形例を図7に示す。上記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付している(以下の図においても同様)。この変形例では、図7に示すように、各添設部52の上部両側に、添設凸部52’が隆起形成されている。添設凸部52’により、さらなる軽量化を図ることができる。連通部30ないし嵌合部40の内方には、添設凸部52’と支持手段55で囲われた凹状スペースが形成されることになるが、上記灌水パイプ70の灌水孔72がこの凹状スペースに位置する場合であっても、図7に示す空隙部87を介して、滴下流出された水分Wを緑化植物Pに供給できるようになっている。
【0058】
また、鍔部24の四隅には、図7に示すように、閉鎖部材80’に対応する段差部24’が設けられている。閉鎖部材80’の挟持爪81を用いて、隣接する段差部24’を一体挟持することにより、閉鎖部材80’を、鍔部24と略面一に連続した状態に装着できるようになっている。これにより、連結後の鍔部24上が平坦状に仕上げられるため、見栄えが良好となるだけでなく、組み立て時やメンテナンス時における歩行つまずき等も防止できる。
【0059】
なお、図7に示すように、凹溝56の抜け止め突起59が形成される内壁面57底部には、裏側の空洞部54と通ずる開口部88が設けられている。このような開口部88を設けることで、成形の金型コストを安価にできる。図7中の89は、開口部88を塞ぐためのキャップ部材である。
【0060】
(変形例2)
他の変形例を図8に示す。この変形例では、図8に示すように、各隆起部50の上部が平坦面に形成され、その適宜位置に支持手段92を構成する支持金具93が取り付けられている。支持金具93は、灌水パイプ70の外径と略等しい内径を有する断面C型状をなし、灌水パイプ70を側方から把持している。なお、中間支持部60の支持面62上にも、補助金具95が取り付けられている。
【0061】
このように、本発明の支持手段としては、様々な形態のものを用いてよい。変形例に係る支持金具93によれば、灌水パイプ70の上方への抜け外れを確実に防止することが可能である。これに対し、支持手段として上記した如くの凹溝56を採用する場合には、支持手段の製造・取り付けや灌水パイプ70の嵌脱作業が一層容易となる。
【0062】
以上の実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正や設計変更等が可能である。
例えば、トレー本体20の具体形状等は任意に変更してよい。上記実施形態では、連通部30および嵌合部40を、各上縁辺23a〜23dにつき1箇所ずつ設ける例を示したが、トレー本体20の大きさや緑化植物Pに必要となる灌水量等に応じて、各上縁辺23a〜23dにつき2箇所以上ずつ設け、各緑化用トレー10に灌水パイプ70を2本以上並設することもできる(隆起部50や支持手段55の配設数・配置等も、灌水パイプ70に従って適宜変更してよい)。
【0063】
隆起部50や支持手段55、中間支持部60についても、上記した形態に限らず、平面視で円形や楕円形、三角形、矩形、台形あるいはこれらを組み合わせたもの等任意に構成可能であるが、トレー本体20内での隆起部50、支持手段55、中間支持部60の占有体積(合計)が概ね30〜70%となるようにするのがよい。占有体積が30%未満となると、緑化用トレー10(栽培土壌S)が重量化するおそれがあり、逆に70%を超えると、緑化植物Pの植え付けスペースが減少し過ぎてしまい、却って好ましくない。
【0064】
また、トレー本体20の底壁部21の平均的深さは、緑化植物Pの栽培環境を考慮すると、60mm程度以上が好ましく、より好ましくは80mm程度以上である。隆起部50は、上記平均的深さの半分よりも高い位置に、その頂部が位置するような高さとするのが好ましい。隆起部50の高さが低過ぎると、緑化用トレー10(栽培土壌S)が重量化するおそれがあり、占有体積を増したときに栽培土壌Sの厚みを確保し難くなる。
【0065】
その他の実施形態に係る緑化システム101および緑化用トレー110について、図9〜図11を参照してさらに説明する。図9は緑化用トレー110を示す斜視図である。図10〜図11は緑化システム101を示しており、図10は組み立て状況を示す平面図、図11は拡大断面図である。
【0066】
緑化システム101を構成する緑化用トレー110では、図9〜図10に示すように、係合片126および係合溝129が、それぞれ隣り合う上縁辺123a、123dおよび123b、123cに平面視L字状に形成され、これに対応して、連通部130および嵌合部140が、各2箇所ずつ設けられている。
隆起部150は、図9〜図11に示す立体形状をなし、上部には断面円弧状で、支持手段155を構成する浅底の円弧溝156が凹設されている。底壁部121の底上げ部121iは、図9に示すように、凸部121i’によってエンボス状に形成されており、トレー本体120内を適当な湿度に保つとともに、栽培土壌Sの充填に伴う底壁部121の歪みや変形を防止している。
【0067】
緑化システム101は、隣接する緑化用トレー110同士を、図10に示すようにして連結する。すなわち、図10を参照しながら説明すれば、一の緑化用トレー110を略水平にしたまま、その連通部130を、隣接する他の緑化用トレー110A、110Bの嵌合部140a、140bにそれぞれ上方から嵌合するとともに、係合片126を、緑化用トレー110A、110Bの係合溝129a、129bにそれぞれ上方から係合する。
この例では上記実施形態と異なり、連結に際して、各緑化用トレー110(110A、110B)を互いに水平回転等させる必要はなく、全ての緑化用トレー110(110A、110B)を同じ向きにして敷設すればよい。但し、上記実施形態による連結態様の方が、各緑化用トレー10をより一層強固に連結できる。
【0068】
図11に示すように、緑化用トレー110では、隆起部150上部の円弧溝156によって支持される灌水パイプ170が、栽培土壌Sの表面Sa近辺に、その上半部を露出して配設されており、適宜位置に穿設された灌水孔172を介して、上方から緑化植物Pの茎葉に直接、水分Wを噴霧状に散水できるようになっている。これにより、緑化植物P自体の温度や周囲の湿度を適度に調節し得る。このような灌水方法は、特に乾燥し易い場所や緑化植物Pの種類等によっては好適となる。
【0069】
なお、以上の説明では、緑化システム1(101)を建物屋上4の屋根面5に設置する例を挙げているが、本発明の緑化システムは、これに限らずベランダ、バルコニー、人工地盤等の様々な場所に設置してよい。適宜の取付金物を併用して、折板屋根等の金属屋根に設置することもできる。また、本発明の緑化システムは、新築のみならず既存建物の改修等においても好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、建物屋上の屋根面等を緑化する際に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 緑化システム
10 緑化用トレー
20 トレー本体
21 底壁部
22 側壁部
23a〜23d 上縁辺
26 係合片
29 係合溝
30 連通部
40 嵌合部
50 隆起部
54 空洞部
55 支持手段
56 凹溝
59 抜け止め突起
60 中間支持部
70 灌水パイプ
P 緑化植物
S 栽培土壌
Sa 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑化植物および栽培土壌をそれぞれ収容し、縦横に隣接して敷設される複数の緑化用トレーと、緑化用トレー上に配設される灌水パイプと、を含んで構成される緑化システムであって、
各緑化用トレーが、
底壁部と、該底壁部の周囲に立設状に形成される側壁部と、を有する上部開放のトレー本体と、
該側壁部の上縁辺に設けられ、該灌水パイプを連通する樋状をなすとともに、該トレー本体よりも側方に突出して形成される連通部と、
該側壁部の上縁辺に設けられ、隣接する他の緑化用トレーの該連通部を上方から嵌合できる嵌合部と、
該底壁部に凸状に設けられる隆起部と、
該隆起部の上部に設けられ、該灌水パイプを支持する支持手段と、を備え、
該灌水パイプが、該連通部と該支持手段を通り、該栽培土壌の表面近辺にて、各緑化用トレー間を縦断ないし横断して配設されるようになされた緑化システム。
【請求項2】
該トレー本体が、平面視略正方形をなし、
該連通部が、該側壁部の対向する上縁辺に設けられるとともに、該嵌合部が、該側壁部の他の対向する上縁辺に設けられ、
縦横に隣接する各緑化用トレーが、互いに直角に水平回転された状態で連結されるようになされた請求項1に記載の緑化システム。
【請求項3】
各緑化用トレーが、
該連通部が設けられる該側壁部の上縁辺にて、下方に折り曲げ形成される係合片と、
該嵌合部が設けられる該側壁部の上縁辺にて、隣接する他の緑化用トレーの該係合片を上方から係合できる係合溝と、をさらに備えた請求項2に記載の緑化システム。
【請求項4】
該支持手段が、
該隆起部から連続して該隆起部と一体成形され、該灌水パイプを嵌脱可能な凹溝からなる請求項3に記載の緑化システム。
【請求項5】
該灌水パイプの該トレー本体内における垂れ下がりを防止する中間支持部と、をさらに備え、
該中間支持部に灌水パイプ用の継ぎ手を支持させることで、該灌水パイプを分岐ないし屈折できるようになされた請求項4に記載の緑化システム。
【請求項6】
該中間支持部が、
該トレー本体の略中心に設けられ、
該中間支持部と、該連通部、該嵌合部、該凹溝とが、平面視十字状に配設されている請求項5に記載の緑化システム。
【請求項7】
該凹溝に、
該灌水パイプの抜け止め突起が形成されている請求項6に記載の緑化システム。
【請求項8】
該隆起部および該凹溝と該中間支持部との裏側が、
空洞に形成されている請求項6乃至7の何れかに記載の緑化システム。
【請求項9】
該灌水パイプが、
少量灌水可能な構造を有するとともに、該栽培土壌中に埋設されている請求項1乃至8の何れかに記載の緑化システム。
【請求項10】
緑化植物および栽培土壌をそれぞれ収容し、縦横に隣接して敷設される複数の緑化用トレーと、緑化用トレー上に配設される灌水パイプと、を含んで構成される緑化システムに用いられる緑化用トレーであって、
底壁部と、該底壁部の周囲に立設状に形成される側壁部と、を有する上部開放のトレー本体と、
該側壁部の上縁辺に設けられ、該灌水パイプを連通する樋状をなすとともに、該トレー本体よりも側方に突出して形成される連通部と、
該側壁部の上縁辺に設けられ、隣接する他の緑化用トレーの該連通部を上方から嵌合できる嵌合部と、
該底壁部に凸状に設けられる隆起部と、
該隆起部の上部に設けられ、該灌水パイプを支持する支持手段と、を備え、
該灌水パイプが、該連通部と該支持手段とを通り、該栽培土壌の表面近辺にて、各緑化用トレー間を縦断ないし横断して配設されるようになされた緑化用トレー。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−50329(P2011−50329A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203068(P2009−203068)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(505329819)ブルー・ジー・プロ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】