説明

緑茶葉及びそれを封入した緑茶ティーバッグ

【課題】苦味や雑味などが少なく、香味のバランスがとれ水色の鮮やかな緑茶を抽出できる緑茶ティーバッグを提供することにある。
【解決手段】本発明の緑茶ティーバッグは、目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たす緑茶葉を封入したことを特徴とする。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りや味などに優れた緑茶を抽出できる緑茶葉に関し、さらには、その緑茶葉を封入した緑茶ティーバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
茶葉を封入したティーバッグは、手軽に抽出でき、家庭などで用いるのに便利なものである。従来から紅茶のティーバッグは多く見られるものであるが、近年では、緑茶、麦茶、ウーロン茶などのティーバッグも普及し始めている。
【0003】
ティーバッグに関する発明として、下記特許文献1には、32メッシュふるい下の粒子が5質量%以下で8メッシュふるい上の粒子が20質量%以下である粒度分布を特徴とし、熱融着繊維を含有するヒートシール層と、該ヒートシール層に積層され実質的に熱融着繊維を含まない繊維層とを有するフィルターバッグに内包され、目詰まり及び粉洩れが抑制され、十分な香味を有する冷水抽出に適したティーバッグが記載されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、ポリフェノールを豊富に摂取することができ、渋みと苦味を抑制しつつ、こくが強く感じられるウーロン茶の提供方法として、タンニン含有量が1500〜2500mg%で且つ目開き3350μmパス、1000μmオンの茶葉の割合が比較的多いウーロン茶葉と、タンニン含有量が500〜1300mg%で且つ目開き3350μmパス、1000μmオンの茶葉の割合が比較的少ないウーロン茶葉とを混合した混合ウーロン茶を、不織布で形成されたバッグに収容してなるティーバッグが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−359249号公報
【特許文献2】特開2006−296322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの方法は使用するフィルターを限定したり、茶葉中の特定成分を限定したりしなくてはならなかった。
【0007】
そこで、本発明は、使用するフィルターや茶葉中特定成分を限定することなく、香味のバランスがとれ、水色の鮮やかな緑茶を抽出できる緑茶ティーバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の緑茶葉は、目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするものである。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0
【0009】
本発明の緑茶葉は、茶葉の粒度分布の割合を上記範囲にすることにより、苦味や雑味などが少なく、香味のバランスがとれた緑茶を抽出することができ、熱水だけでなく冷水でも抽出しやすいものである。この緑茶葉は、ティーバッグ用として好適なものであり、このティーバッグから抽出した緑茶は、急須で入れたような自然な香味と水色の鮮やかさを有したものになる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の緑茶葉の一実施形態を説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の一実施形態の緑茶葉は、目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするものである。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0
【0012】
本発明の緑茶葉に用いる原料茶葉は、茶樹Camellia sinensisに属するものであればよい。また、原料茶葉の品種、育成地、育成条件、摘採時期、摘採方法等は特に限定されない。
例えば、茶の品種としては、やぶきた、ゆたかみどり、さやまかおり、かなやみどり、おくみどり、あさつゆ、さえみどり、べにふうき、ふじかおり、香駿等が挙げられる。
また、原料茶葉の育成地は、原料茶葉の育成が可能である限りにおいて特に限定されず、日本国内であっても日本国外であってもよい。日本国内であれば、例えば静岡県、鹿児島県、三重県、宮崎県、京都府等が具体的に挙げられる。また、日本国外で育成された茶樹から得られる茶葉を用いてもよい。また、摘採時期(茶期)についても特に限定されない。
原料茶葉の栽培条件や摘採方法等についても特に限定されないが、例えば公知の方法又はこれに基づいて改良された方法を適宜採用することができる。
【0013】
原料茶葉を加工して茶葉を作製することができる。加工方法については特に限定されないが、公知の方法又はこれに基づいて改良された方法を適宜採用することができる。例えば、蒸し処理、葉打ち・粗揉・揉捻・中揉・精揉などの揉み処理、乾燥処理、仕上げ処理などを行い、茶葉を作製する方法などが挙げられる。
【0014】
茶葉は、目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たすことが好ましく、また、茶葉を分級して任意に配合して本発明の緑茶葉を作製することもできる。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0
式(1)〜(3)を満足するかは、ふるい分け試験方法通則(JIS−Z8815−1994)に記載の乾式の機械ふるい分けに従い、篩として目開き5.00mm、0.60mm、0.18mmのJIS標準篩を使用して測定することができる。
【0015】
上記式(2)は、より好ましくは10.0≦(a+b)/c≦75.0、特に好ましくは16.0≦(a+b)/c≦55.0である。
上記式(3)は、より好ましくはa/(b+c)≧1.3、特に好ましくはa/(b+c)≧1.8である。
【0016】
目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合(a重量%)は、特に香りを高めるため、茶葉中55〜95重量%、特に90〜95重量%にするのが好ましい。
目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合(b重量%)は、特に味わいを高めるため、茶葉中0〜44重量%、特に0〜38重量%にするのが好ましい。
目開き0.18mmパスの茶葉の割合(c重量%)は、特に色調を良くするため、茶葉中1〜10重量%、特に2〜5重量%にするのが好ましい。
【0017】
茶葉の粒度は、任意の方法で調整してもよく、例えば、茶葉を粉砕することで行うことができる。粉砕方法については特に限定されないが、公知の方法又はこれに基づいて改良された方法を適宜採用することができる。例えば、粉砕方法として圧縮力、煎断力、切断力、衝撃力や磨砕力を利用したものが挙げられ、単一の方法や組み合わせた複合的な方法でも可能である。また、茶葉の粒度調整は原料茶葉(生葉)から茶葉への加工工程の任意の箇所で実施できる。
【0018】
茶葉を分級して本発明の緑茶葉を作製する場合、分級方法については特に限定されないが、公知の方法又はこれに基づいて改良された方法を適宜採用することができる。例えば、篩い分け分級、重力分級、慣性分級、遠心分級などが挙げられ、単一の方法や組み合わせた複合的な方法でも可能である。
【0019】
本発明の緑茶葉は、包装体に封入して緑茶ティーバッグにするのが好ましい。
包装体は、緑茶葉を封入できるものであれば特に限定しないが、例えば、パルプやコットンやケナフ等の天然繊維や、ナイロンやポリプロピレンやPET樹脂等の合成繊維からなるフィルターが挙げられる。又、任意の素材を組み合わせた複合体からなるフィルターも使用することができる。包装体のサイズ、形状、タグの有無等は、公知の方法を適宜利用することができる。
【0020】
本発明の緑茶葉は、熱水、冷水のどちらでも、苦味や雑味などが少なく、香味のバランスがとれた緑茶を抽出することができ、ティーバッグに封入するのに好適なものである。
この緑茶葉を封入した緑茶ティーバッグから抽出した緑茶は、急須で入れたような自然な香味と水色の鮮やかさを有したものになる。
【0021】
(試験例1)
静岡県産1番茶20gを電動ミル(岩谷産業株式会社製、IFM−100)で10秒間粉砕し、この作業を繰り返し、粉砕した茶葉100gを用意した。この茶葉を卓上標準ふるい振とう機(筒井理化学器械株式会社製、VSS−50)を用いて分級した。篩はJIS標準篩(ステンレス製、直径200mm、深さ45mm)を使用し、その目開きは5.00mm、0.60mm、0.18mmの3種類を選択した。ふるい振とう機は振動調節目盛りを8に設定し、7分間運転した。この分級操作により、目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉(茶葉Aとする。)、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉(茶葉Bとする。)、目開き0.18mmパスの茶葉(茶葉Cとする。)を得た。
茶葉A、茶葉B、茶葉Cの割合を、それぞれa(wt%)、b(wt%)、c(wt%)として、表1に示した割合で配合して緑茶葉を作製し、この緑茶葉3gをフィルターに封入して緑茶ティーバッグ1〜29を作製した。
【0022】
緑茶葉を内包するフィルターは、合成繊維フィルターとして、大紀商事株式会社製不織布フィルター(フルベール、型番:♯11206)、天然繊維フィルターとして、日本製紙パピリア株式会社製紙フィルター(ヒートロン、型番:未晒ヒートパックMWA)を使用した。フィルターは抽出有効濾過面積が135cmとなるよう成形した。
【0023】
各緑茶ティーバッグ1〜29を、1Lのビーカーに入れ、常温の水を500mL注ぎ、2時間静置した。静置後、ティーバッグを5回上下に振って取り出し、緑茶を作製した。
【0024】
(官能評価)
この緑茶をパネラー7名により、水色、香り、味のそれぞれを以下の基準にて評価した。評価結果を表1に示した。
【0025】
<基準>
×・・・不可
△・・・可
○・・・良
◎・・・優
【0026】
【表1】

【0027】
(総合評価)
総合評価は、以下のように行った。
まず、水色、香り、味の3項目のうち、1項目でも×評価があれば総合評価は×とした。次に、水色、香り、味の3項目のうち、2項目以上が同じ評価であれば総合評価はその評価とした。そして、水色、香り、味の3項目のうち、3項目が異なる評価の場合は、総合評価はその中間の評価とした。
【0028】
緑茶ティーバッグ5〜12、14〜17、19〜21、24〜26から抽出した緑茶は、総合評価が「△」以上で良好な結果が得られた。
つまり、茶葉A、茶葉B、茶葉Cの配合割合(wt%)が下記の2つの関係式1,2を満たす場合に、総合評価が「△」以上になることが確認された。
関係式1:7.0≦(a+b)/c≦120.0
関係式2:a/(b+c)≧1.0
但し、「a」は茶葉Aの割合、「b」は茶葉Bの割合、「c」は茶葉Cの割合である。
【0029】
また、上記関係式が下記範囲にある場合に総合評価は「○」以上になることが確認された。
関係式1:7.0≦(a+b)/c≦120.0
関係式2:a/(b+c)≧1.3
【0030】
さらには、上記関係式が下記範囲にある場合に総合評価は「◎」になることが確認された。
関係式1:16.0≦(a+b)/c≦55.0
関係式2:a/(b+c)≧1.8
【0031】
また、緑茶ティーバッグ2、7、9、16、21、26,29は天然繊維フィルターを使用しており、合成繊維フィルターを使用した緑茶ティーバッグ1、6、8、15、20、25,28にそれぞれ対応している。天然繊維フィルターを使用した緑茶ティーバッグは合成繊維フィルターを使用したものと比較して若干香り立ちが低下する傾向が見られたが、概ね合成繊維フィルターに準じた評価であった。
【0032】
(試験例2)
試験例1で作製した茶葉A、茶葉B、茶葉Cの割合を、それぞれa重量%、b重量%、c重量%として、表2に示した割合で配合して緑茶葉を作製し、この緑茶葉3gをフィルターに封入して緑茶ティーバッグ30〜36を作製した。
【0033】
緑茶葉を内包する合成繊維フィルターは、試験例1と同様のものを用いた。
緑茶ティーバッグ30〜36を、300mLのビーカーに入れ、熱水(98℃)を200mL注ぎ、40秒間静置後、ティーバッグを5回上下に振って取り出し、緑茶を作製した。
【0034】
(官能評価)
この緑茶の評価を試験例1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0035】
【表2】

【0036】
(総合評価)
総合評価は、試験例1と同様に評価した。
【0037】
緑茶ティーバッグ31〜35から抽出した緑茶は、総合評価が「○」以上で良好な結果が得られた。
つまり、茶葉A、茶葉B、茶葉Cの配合割合(wt%)が下記の2つの関係式1,2を満たす場合に、総合評価が「○」以上になることが確認された。
関係式1:7.0≦(a+b)/c≦120.0
関係式2:a/(b+c)≧1.3
但し、「a」は茶葉Aの割合、「b」は茶葉Bの割合、「c」は茶葉Cの割合である。
【0038】
また、上記関係式が下記範囲にある場合に総合評価は「◎」になることが確認された。
関係式1:16.0≦(a+b)/c≦55.0
関係式2:a/(b+c)≧1.8
【0039】
試験例1及び2の結果から、本発明の緑茶ティーバッグは、水出し、湯出しのどちらでも、苦味や雑味などが少なく、香味のバランスがとれ水色の鮮やかな緑茶を抽出できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たす緑茶葉。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0
【請求項2】
請求項1に記載の緑茶葉を封入してなる緑茶ティーバッグ。
【請求項3】
目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たすように調整する緑茶葉の製造方法。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0
【請求項4】
目開き5.00mmパス、0.60mmオンの茶葉の割合をa重量%、目開き0.60mmパス、0.18mmオンの茶葉の割合をb重量%、目開き0.18mmパスの茶葉の割合をc重量%としたとき、以下の式(1)〜(3)を満たすように調整する緑茶葉の香味改善方法。
(1) a+b+c=100
(2) 7.0≦(a+b)/c≦120.0
(3) a/(b+c)≧1.0