説明

線条体束ユニット及び線条体の繰出方法

【課題】 本発明は、線条体が糸巻状に巻き付けられた線条体束をユニット化した線条体束ユニットを提供するものである。
【解決手段】 かゝる本発明は、線条体210が糸巻状に巻き付けられた線条体束200と、線条体束200の中心穴201から適宜角度間隔で束外周間に巻き付けられた複数の緩衝帯体230と、緩衝帯体230上に巻き付けて結束された結束紐220とからなる線条体束ユニットWU1にあり、これにより、線条体の損傷防止、優れた取り扱い性、安全かつ迅速な作業性などが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線・ケーブル、光ケーブルなどの線条体が糸巻状に巻き付けられた線条体束をユニット化した線条体束ユニットとこれから線条体を繰り出して使用する線条体の繰出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線条体、例えば電線・ケーブル、光ケーブルなどの場合、通常使用に先立って線条体を糸巻状に巻き付けて線条体束とし、この線条体束を、その中心穴から適宜角度間隔(通常90°)で束外周間に巻き付けた結束紐でまとめてユニット化している。例えばFTTH網に使用される加入者引き込み用の光ケーブル(特許文献1)では、500m程度の長さものを、上記のように線条体束としている。
【特許文献1】特開2000−171673号公報
【0003】
この線条体束の使用にあたっては、通常束繰り出し機に組み付け(セットし)た後、線条体を繰り出して延線している。この束繰り出し機として種々のものがあるが、一般的な簡易型のものとして、図9に示すような構造のものが使用されている。
【0004】
図9の束繰り出し機10では、2個の環状のリールフレーム11、11が、これらに連結された回転軸12、12を介して、左右のスタンドフレーム13、13に回転自在に支持され、これらのスタンドフレーム13、13は受け台14に固定されている。なお、スタンドフレーム13、13の延長部分で、受け台を兼用する構造とした場合には、受け台14を省略した構造とすることもある。
【0005】
この束繰り出し機10に、上記した如き、線条体110が糸巻状に巻き付けられた線条体束100を結束紐120で束ねてユニット化した線条体束ユニットWU2をセットするには、両リールフレーム11、11間を開くなどして、この間に線条体束ユニットWU2を入れ、線条体束100の中心穴101の複数箇所(通称4箇所)に複数のゴムバンド(弾性支持体)15・・・を通し、こられのゴムバンド15・・・をスタンドフレーム13、13側に固定されたゴムバンド用の把持具16・・・で止めればよい。
これにより、線条体束ユニットWU2はほぼリールフレーム11、11の中心に吊られる形で回転自在に保持されるため、線条体110の先端(一端)を引っ張れば、自在に繰り出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような構造の束繰り出し機10を用いて、線条体110を繰り出す場合には、以下のような問題点があった。
(1)先ず、束繰り出し機10に線条体束ユニットWU2をセットする前に、結束紐120を切断などして外した場合、束が弛んだ状態となり、束繰り出し機10から繰り出す際、巻き弛みなどが発生してスムーズに繰り出すことができないという問題があった。
また、結束紐120の切断時、通常カッタナイフや挟みなどを使用するわけであるが、そのとき、誤って結束紐120直下の線条体110に傷を付けるなどの危険もあった。
【0007】
(2)一方、束繰り出し機10に線条体束ユニットWU2をセットした後に、結束紐120を切断などして外す場合、特に束の側面側で行う場合には、リールフレーム11の構造材やゴムバンド15、把持具16などが邪魔になり、切断し難いという問題があった。この場合も、結束紐120の切断時、上記と同様、カッタナイフや挟みなどで線条体110を傷を付けるなどの危険があった。
【0008】
(3)さらに、束繰り出し機10に線条体束ユニットWU2をセットした状態で、ゴムバンド15を巻き付けるわけであるが、このゴムバンド15により線条体束100の外側が押圧されるため、線条体110が電線・ケーブルや光ケーブルなどの場合、外側強度が小さいとき、例えば、樹脂製外被の強度が小さいときには、外被部分が潰れる(凹凸などの凹み跡が残る)などの問題があった。特に光ケーブルでは、潰れによる側圧変動があると、伝送特性が損なわれるため、ケーブルの一部が使用できなくなるという重大な問題があった。
【0009】
この潰れに対処するため、束内径(中心穴)を大きくして、ゴムバンド15の張力を弱めることが可能であるが、そうすると、ゴムバンド15の固定力が低下して繰り出し時巻き弛みなどが発生し易いという問題があった。勿論、束内径を大きくすれば、その分巻き付ける線条体110の長さが短くなり、ユニット効率が低下するという問題も生じる。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その大きな特徴は、結束紐の下に緩衝機能を有する部分(緩衝帯体)を設けることにより、上記従来の問題点を解消するようにした線条体束ユニット及び線条体の繰出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、線条体が糸巻状に巻き付けられた線条体束と、当該線条体束の中心穴から適宜角度間隔で束外周間に巻き付けられた複数の緩衝帯体と、当該緩衝帯体上に巻き付けて結束された結束紐とからなることを特徴とする線条体束ユニットにある。
【0012】
請求項2記載の本発明は、前記緩衝帯体が、帯状で、包装又は梱包用のエアパッキン、ダンボール紙、皺加工紙、波付き加工紙、凹凸の施されたエンボス加工紙、不織布、布地、樹脂テープ、発泡樹脂テープ、又はスポンジシートであることを特徴とする請求項1記載の線条体束ユニットにある。
【0013】
請求項3記載の本発明は、前記緩衝帯体の少なくともラップ部分のいずれかの接触面側に接着手段を設けたこと特徴とする請求項1又は3記載の線条体束ユニットにある。
【0014】
請求項4記載の本発明は、前記緩衝帯体のラップ部分を、前記線条体束の束外周面側としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の線条体束ユニットにある。
【0015】
請求項5記載の本発明は、前記緩衝帯体の少なくともラップ部分に、適度の剛性を持たせたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の線条体束ユニットにある。
【0016】
請求項6記載の本発明は、前記緩衝帯体の巻き付けの角度間隔を、90°としたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の線条体束ユニットにある。
【0017】
請求項7記載の本発明は、前記線条体が、電線・ケーブル、光ケーブルであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の線条体束ユニットにある。
【0018】
請求項8記載の本発明は、前記請求項1〜7のいずれかの線条体束ユニットを、束繰り出し機に組み付けた後、前記線条体束の束外周面側の緩衝帯体上の結束紐を切断し、引き続き、前記束外周面側の緩衝帯体を開いて、線条体を繰り出すことを特徴とする線条体の繰出方法にある。
【0019】
請求項9記載の本発明は、前記線条体束ユニットを束繰り出し機に組み付ける際、当該束繰り出し機のゴムバンドなどの弾性支持体を、前記線条体束ユニットの緩衝帯体上に引っ掛けることを特徴とする請求項8記載の線条体の繰出方法にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の線条体束ユニット及び線条体の繰出方法によると、以下のような優れた効果が得られる。
(1)線条体束ユニットにおいて、線条体束の緩衝帯体上に結束紐が巻き付けられているため、使用時カッタナイフや挟みなどで結束紐を切断したとき、誤って緩衝帯体側に傷を付けるなどことがあっても、線条体側まで及ぶ恐れが小さく、線条体の損傷を効果的に防止することができる。これにより、安全かつ迅速な作業性が確保できる。
また、緩衝帯体の緩衝機能により、結束紐の結束力の許容範囲を広げることができるため、この面からも、安全かつ迅速な作業性が確保できる。例えば、線条体が樹脂製外被を有する電線・ケーブル、特に光ケーブルの場合で、結束紐の締め付け力が強過ぎると、外被が潰れるわけであるが、このとき(人手による場合は勿論のこと、締め付け力の調整が可能な結束機による場合でも)、大雑把な締め付け力の設定でよく、この点をあまり気にすることなく、迅速に作業することが可能となる。また、締め付け力を、従来より、大きめに設定することも可能となるため、安定した結束状態を得ることもできる。さらに、用いる結束紐にあって、締め付け力に多少のバラツキがあってもよく、選択の幅を広げることが可能となる。
【0021】
(2)緩衝帯体は、弾性などの緩衝機能を有するものが好ましいが、最小限線条体束側を被覆する機能を有するものであればよく、種々の素材のものを用いことができる。
そして、そのラップ部分は、その上で結束紐が結ばれることから、単に重ね合わせるのみでもよい。このため、結束紐の切断後、容易に開くことができる。これにより、良好な作業性が得られる。また、少なくともそのラップ部分のいずれかの接触面側に接着手段を設けておけば、ラップ部分同士を接着させるのみで、巻き付け後の自己保持機能が得られるため、容易に離脱することがなく、良好な使い勝手が得られる。このラップ部分を開く場合、単に接着部分を引き離すのみでよいため、良好な作業性も得られる。
【0022】
(3)緩衝帯体のラップ部分を、線条体束の束外周面側としておけば、線条体束ユニットを束繰り出し機にセットして使用する際、このラップ部分をよりスムーズに開くことができる。これにより、良好な作業性が得られる。
【0023】
(4)緩衝帯体のラップ部分を、開いたとき、このラップ部分に適度の剛性を持たせておけば、束繰り出し機のリールフレームに沿って立設させることができ、この立設部分を一種の補助リールとして機能させることができる。これにより、線条体の繰り出し時のリール乗り越えなどの不具合を効果的に防止する可能となる。
【0024】
(5)緩衝帯体の巻き付けの角度間隔を90°とした場合、丁度線条体束に対して上下左右の4箇所で巻き付けることとなるため、帯体数が多過ぎることもなく、即ち、大きな作業性の低下を招くこともなく、安定した結束力を得ることができる。
【0025】
(6)線条体束ユニットの使用時には、これを束繰り出し機にセットして、結束紐を切断し、緩衝帯体を開いて、線条体を繰り出せばい。このとき、線条体の外側強度、例えば電線・ケーブルなどの外被の強度が大きなものでは、特にユニットのセット位置を考慮することなく、迅速にセットすることができる。線条体の外側強度が大きいものでは、束繰り出し機のゴムバンドなどの弾性支持体による引っ掛けにより、外被などの外側が潰れるなどの恐れがないからである。
【0026】
(7)しかし、線条体の外側強度、例えば電線・ケーブル、光ケーブルなどの外被の強度が小さいものでは、ユニットのセット位置を、線条体束ユニットの緩衝帯体部分が束繰り出し機のゴムバンドなどの弾性支持体による引っ掛かる部分に位置するようにする。
これにより、外被などの外側の潰れなどを効果的に防止することができる。特に光ケーブルでは、外被の潰れによる側圧変動によって伝送特性が大きく影響されるため、この効果は極めて重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は本発明に係る線条体束ユニット(体)の一態様を示したものである。
この線条体束ユニットWU1は、線条体210が糸巻状に巻き付けられた線条体束200と、線条体束200の中心穴201から適宜角度間隔で束外周間に巻き付けられた複数の緩衝帯体(緩衝層)230と、緩衝帯体230上に巻き付けて結束された結束紐220とからなる。上記図9に示した線条体束ユニットWU2とは、基本的な構造はほぼ同様であるが、緩衝帯体230を有する点において相違する。
【0028】
上記緩衝帯体230は、帯状で、弾性などの緩衝機能を有するものが好ましいが、単に線条体束200の側面を被覆機能を有するものであってもよい。帯状の幅も特に限定されず、結束紐220が載って緩衝機能や被覆機能などが失われない幅であればよい。
このような帯体としては、例えば、包装又は梱包用のエアパッキン(紙地に凹凸を設けたもの)ダンボール紙、皺加工紙、波付き加工紙、凹凸の施されたエンボス加工紙、不織布、布地、樹脂テープ、発泡樹脂テープ、スポンジシートなどを挙げることができる。
【0029】
この緩衝帯体230の線条体束200に対する巻き付けの角度間隔としては、特に限定されないが、線条体束200の中心穴201から90°間隔とすることが望ましい。
これは丁度線条体束200の上下左右の4箇所に巻き付ける場合で、帯体数が多過ぎることもなく、安定した結束力が得られるからである。帯体数が多過ぎると、作業性が低下し、逆に少な過ぎると、結束力が低下して巻き弛みが生じるようになる。しかし、線条体の種類や用途によっては、適宜設定することができる。例えば、帯体数が少なくて済む場合には、120°(3箇所)や180°(2箇所)としたりすることもできる。
【0030】
上記結束紐220も特に限定されず、種々のものを用いることができる。例えば、プラスチック製紐(PP紐、PE紐など)、麻、ジュートなどの天然繊維製紐、布製紐、又はこれらのテープ状のもの、さらには、これらのテープ状のもので、少なくとも片面に粘着層を設けた粘着テープなどを使用することができる。
【0031】
上記線条体210も特に限定されず、ユニット化にあたっては、糸巻状に巻き付けられるものであればすべて含むものとする。このようなものの代表的なものとして、通常の電線・ケーブル、光ケーブルなどを挙げることができる。光ケーブルにも種々の構造のものがあり、特に限定されないが、例えば、FTTH網に使用される加入者引き込み用の光ケーブル300としては、例えば図2に示すような構造のものを挙げることができる。
この光ケーブル300において、310は光エレメント部、320はこれに連結された支持線部である。光エレメント部310は、中心の光ファイバ311とこの左右の抗張力体(鋼線などのテンションメンバ)312とこれを被覆した樹脂製の被覆層313とからなり、必要により被覆層313の丁度光ファイバ311部分の外表面には、切り裂き用のノッチ(溝)314を設けることができる。支持線部320は、被覆層313内に支持線(亜鉛メッキ鋼線など)321を埋め込んである。
【0032】
このようにしてなる線条体束ユニットWU1は、その使用にあたって、上述した図9の場合と同様、図3に示すように、束繰り出し機10にセットする。この状態で、結束紐220を、カッタナイフや挟みなどにより切断するなどして外し、引き続き、緩衝帯体230を開いて、線条体210を繰り出せばよい。
【0033】
この使用時、即ち線条体の繰出方法において、結束紐220をカッタナイフや挟みなどで切断したとき、誤って緩衝帯体230側に傷を付けるなどことがあっても、線条体210側まで及ぶ恐れが小さいため、線条体210の損傷を効果的に防止することができる。これにより、安全かつ迅速な作業性を確保することができる。
また、緩衝帯体230の緩衝機能により、結束紐220の結束力の許容範囲を広げることができる。この面からも、安全かつ迅速な作業性を確保することができる。例えば、線条体210が樹脂製外被を有する電線・ケーブル、特に光ケーブルの場合で、結束紐220の締め付け力が強過ぎると、外被が潰れるわけであるが、このとき(人手による場合は勿論のこと、締め付け力の調整が可能な結束機による場合でも)、大雑把な締め付け力の設定でよい。つまり、締め付け力をあまり気にすることなく、迅速に作業することが可能となる。また、締め付け力を、従来より、大きめに設定することも可能となるため、安定した結束状態を得ることもできる。さらに、用いる結束紐220にあって、締め付け力に多少のバラツキがあってもよく、選択の幅を広げることが可能となる。
【0034】
この結束紐220の切断後、緩衝帯体230にあっては、開く必要があるが(切断も可)、そのラップ部分231、231を、例えば図4に示すように、線条体束200の束外周面側202となるようにしておくとよい。これにより、これらのラップ部分231、231は、束繰り出し機10の左右のリールフレーム11、11間、即ち、外側に位置するため、容易に開くことができる。
【0035】
また、緩衝帯体230のラップ部分231、231は、その上で、結束紐220が結ばれるため、図5に示すように、単に重ね合わせておくのみでもよい。この場合、結束紐220の切断後、容易に開くことができ、良好な作業性が得られる。
【0036】
しかし、緩衝帯体230の巻き付け後、弛んだり、自然に解けたりしないように、適度の自己保持機能を持たせるためには、図6に示すように、少なくともそのラップ部分231、231(ラップ部分以外も可)のいずれかの接触面側(両面側も可)に、粘着剤層やマジックテープ(登録商標)層などの接着手段232を設けておくとよい。この場合、緩衝帯体230を開く際には、単に接着状態を剥離させればよい。
【0037】
また、この剥離時、迅速な作業性が得られるように、図7に示すように、上側となるラップ部分231の先端側に、その延長片で非接着片からなる剥離用の引っ張り片231aを設けておくとよい。これにより、剥離時接着部分を剥がすことなく、単に引っ張り片231aを引っ張れば、容易に緩衝帯体230を開くことができる。なお、引っ張り片231aは別体としてラップ部分231の先端側に設けることもでできる。
【0038】
また、緩衝帯体230の少なくともラップ部分231、231(ラップ部分以外も可)に、適度の剛性を持たせておくこともできる。このような適度の剛性があれば、図8に示すように、ラップ部分231、231を開いたとき、この部分が束繰り出し機10の左右のリールフレーム11、11に沿って立設されるため、この立設部分を一種の補助リールとして機能させることができる。これにより、線条体210を繰り出し時、リールフレーム11を乗り越えるなどの不具合が起ることがあるが、この不具合を効果的に防止することができる。つまり、良好な使い勝手が得られる。
【0039】
このような緩衝帯体230を巻き付けた線条体束ユニットWU1を、上記のように、束繰り出し機10にセットする際、その線条体210の外側強度が大きい場合、例えば電線・ケーブルなどの外被の強度が大きなものでは、特にユニットのセット位置を考慮することなく、単にセットするのみでよい。線条体210の外側強度が大きいものでは、束繰り出し機10のゴムバンドなどの弾性支持体15による引っ掛けにより、外被などの外側が潰れるなどの恐れがないからである。これにより、迅速な作業性が得られる。
【0040】
しかし、線条体210の外側強度、例えば電線・ケーブル、光ケーブルなどの外被の強度が小さいものでは、ユニットのセット位置を、線条体束ユニットWU1の緩衝帯体230部分が、束繰り出し機10のゴムバンドなどの弾性支持体15による引っ掛かる部分に位置するようにするとよい。これにより、外被などの外側の潰れなどを効果的に防止することができるからである。特に光ケーブルでは、外被の潰れによる側圧変動によって伝送特性が大きく影響されるため、ケーブルの一部が使用できなくなるという重大な問題を解消することができる。また、この対応によって、束内径(中心穴)を大きくして、ゴムバンドなどの弾性支持体15の張力を弱めたりすることも不要となる。勿論、ゴムバンドなどの弾性支持体15の固定力の低下による巻き弛みの問題や、束内径を大きくしたことによる巻き付け量の低下、即ちユニット効率の低下という問題も解消される。
【0041】
なお、上記説明では、図3に示す構造の束繰り出し機10を使用したが、本発明において使用する束繰り出し機は、これにに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る線条体束ユニットの一態様を示した側面図である。
【図2】図1の線条体束ユニットにおける線条体の一例を示した縦断面図である。
【図3】図1の線条体束ユニットをセットして、本発明に係る線条体の繰出方法を実施するための束繰り出し機の一例を示した斜視図である。
【図4】本発明に係る線条体束ユニットの緩衝帯体のラップ部分の一態様を示した斜視図である。
【図5】本発明に係る線条体束ユニットの緩衝帯体のラップ部分の一態様を示した縦断面図である。
【図6】本発明に係る線条体束ユニットの緩衝帯体のラップ部分の他の一態様を示した縦断面図である。
【図7】本発明に係る線条体束ユニットの緩衝帯体のラップ部分の他の一態様を示した縦断面図である。
【図8】本発明に係る線条体束ユニットの緩衝帯体のラップ部分の他の一態様を示した縦断面図である。
【図9】従来の線条体束ユニットをセットした束繰り出し機を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10・・・束繰り出し機、11・・・リールフレーム、12・・・回転軸、13・・・スタンドフレーム、15・・・ゴムバンドの弾性支持体、16・・・ゴムバンド用の把持具16、WU1・・・線条体束ユニット、200・・・線条体束、210・・・線条体、220・・・結束紐、230・・・緩衝帯体、231・・・ラップ部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
線条体が糸巻状に巻き付けられた線条体束と、当該線条体束の中心穴から適宜角度間隔で束外周間に巻き付けられた複数の緩衝帯体と、当該緩衝帯体上に巻き付けて結束された結束紐とからなることを特徴とする線条体束ユニット。
【請求項2】
前記緩衝帯体が、帯状で、包装又は梱包用のエアパッキン、ダンボール紙、皺加工紙、波付き加工紙、凹凸の施されたエンボス加工紙、不織布、布地、樹脂テープ、発泡樹脂テープ、又はスポンジシートであることを特徴とする請求項1記載の線条体束ユニット。
【請求項3】
前記緩衝帯体の少なくともラップ部分のいずれかの接触面側に接着手段を設けたこと特徴とする請求項1又は3記載の線条体束ユニット。
【請求項4】
前記緩衝帯体のラップ部分を、前記線条体束の束外周面側としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の線条体束ユニット。
【請求項5】
前記緩衝帯体の少なくともラップ部分に、適度の剛性を持たせたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の線条体束ユニット。
【請求項6】
前記緩衝帯体の巻き付けの角度間隔を、90°としたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の線条体束ユニット。
【請求項7】
前記線条体が、電線・ケーブル、光ケーブルであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の線条体束ユニット。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれかの線条体束ユニットを、束繰り出し機に組み付けた後、前記線条体束の束外周面側の緩衝帯体上の結束紐を切断し、引き続き、前記束外周面側の緩衝帯体を開いて、線条体を繰り出すことを特徴とする線条体の繰出方法。
【請求項9】
前記線条体束ユニットを束繰り出し機に組み付ける際、当該束繰り出し機のゴムバンドなどの弾性支持体を、前記線条体束ユニットの緩衝帯体上に引っ掛けることを特徴とする請求項8記載の線条体の繰出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−238303(P2007−238303A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65344(P2006−65344)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】