説明

線維症感受性遺伝子及びその使用

本発明は、線維症感受性遺伝子座の同定を開示し、線維症の素因の検出、診断、および予後診断に使用することができ、また、治療的に有効な薬剤のスクリーニングに使用することができるCTGF遺伝子座を開示する。
本発明は、特に、被験者からのサンプル中において、CTGF遺伝子座における変化の存在を検出する工程を含む方法であって、前記変化の存在が、線維症の存在または素因の指標となる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、遺伝学及び医学の分野に関する。本発明は、特にヒト線維症感受性遺伝子の同定を開示し、これは、線維症の診断または予後診断に使用することができ、肝疾患において、肝硬変、皮膚ケロイド、肥満、及び任意の線維性疾患において生じる線維症の素因の検出に使用することができる。本発明は、より具体的には、線維症への感受性に関連し、治療上有効な薬剤のスクリーニングのための新規の標的を意味する、第6染色体上のCTGF遺伝子の特定の対立遺伝子を開示する。本発明は、より具体的には、CTGF遺伝子における特定の変異、及び発現産物、並びにこれらの変異に基づく診断ツールおよびキットに関する。本発明は、すべての線維性ヒト疾患で発生する線維症の予防および/または治療にも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
線維症は、特に、損傷に応答した、臓器、その任意の部分、またはその組織、たとえば、肝臓、その任意の部分または組織における、線維性結合組織の過度の成長である。
【0003】
異常な線維症は、肝炎ウイルス、及び住血吸虫感染症などにおける様々な病因の慢性肝炎において発生する。住血吸虫に感染した特定の対象が、遅い線維性を示し、一方、他は急速繊維性を示すこと、そして、これは、Chr6q22-q23に位置する主要な遺伝子に部分的に依存することが、以前示された(非特許文献1〜2)。
【0004】
住血吸虫症は、蠕虫によって引き起こされる。蠕虫は、その宿主の血管系において発育し、卵を産み、そのうちのいくつかが、肝臓へ輸送され、そこにおいて、それらが、門脈周囲領域における炎症を引き起こす。寄生虫は、そのヒト宿主において長年生きるので、多くの組織破壊に関連付けられる慢性の肝臓の炎症が、感染した被験者において、共通である。組織の修復には、後に正常な肝細胞にターンオーバーされ置換される、損傷した組織における細胞外マトリックスタンパク質(ECMP)の沈殿物が必要である。一部の患者においては、ECMPは、静脈瘤、腹水の原因となる血流を低減させる線維症沈着を形成する門脈周囲の空間に、蓄積する。慢性または反復傷害の数ヶ月または数年の後、線維症は、永久かつ不可逆的になる。被験者は、線維症の結果、死亡する。
【0005】
南国では、感染者の3億5千万人の5〜10%が、重度の肝線維症を発症しうることが推定される。住血吸虫感染者における肝線維化の進行を予測し理解することを可能にする良好なマーカーはない。
【0006】
肝線維症の診断は、主に、肝生検、弾性率測定法(非特許文献3〜4)、及び超音波の解析(非特許文献5〜7)に基づいている。
【0007】
生検は、臨床の現場に応じて、経皮、経頸静脈、X線撮影ガイド細針、又は腹腔鏡ルート経由で得られる。Metavirのスコアリングシステムは、次のように、1から4のスケールで線維症の段階に、スコアを割り当てる。F0 = 線維症なし、F1 = 隔膜なしのポータル線維症、F2 = ポータル線維化、および少数の隔膜、F3 = 肝硬変のない多数の隔膜、F4 = 肝硬変(非特許文献8)。肝生検は、侵襲的でコストのかかる手順であり、肝臓のほんの一部をサンプリングする。このように、それは、肝線維症の全体的な評価をするわけにもいかず、サンプリング変動や、観察者間および内誤差にさらされる。加えて、肝生検は、3%の有意な罹患率と0.03%の死亡率に関連する(非特許文献9)。潜在的な合併症には、生検に関連する局所血腫、感染症及び痛みが含まれる。
【0008】
非侵襲的検査(すなわち、血清学的マーカー、弾性率測定法、超音波の解析)もまた、使用されているが、日常の臨床に使用できる状態にはない。
【0009】
血液マーカーのパネルは、大抵、ウイルス性C型肝炎のためにC型慢性肝炎又は肝硬変を有する患者において試験されてきた。これらの研究は、血清マーカーが、約35%の患者における線維症を判断し、または除外することができることを明らかにした(非特許文献10)。しかし、個々の患者を見ると、これらのマーカーは、線維症のさまざまな段階を確実に区別することができなかった。より最近の研究は、診断精度を改善するアルゴリズム的なアプローチを考案する血清マーカーの3つのパネルを組み込む(非特許文献11)。評価された3つのパネルは、APRI(血小板比率インデックスに対するアスパラギン酸トランスアミナーゼ)、フォーンズ(Forns’)インデックス(血小板、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ、コレステロール)、及びフィブロテスト(Fibrotest)(GGT、ハプトグロビン、ビリルビン、アポリポタンパク質A、α-2-マクログロブリン)であった。フィブロテストに続くAPRIから構成されるアルゴリズムは、線維症の診断精度を90%より上に押し上げた。このグループは、このアルゴリズムの使用が、肝生検の50%まで必要性を取り除くことができることを推定した。しかし、線維症の個々のステージは、このアルゴリズムを使用しても、区別できない。これらの血清マーカーの制限は、活性の高い肝炎症がある場合に、偽陽性の可能性があることである。
【0010】
フィブロスキャン(Fibroscan)は、肝線維症をステージングする別の革新的なアプローチであり、これは、エラストグラフィに基づき、これは、平均肝組織硬度を迅速に測定することを提供する(非特許文献12)。プローブは、低周波の十分な大きさの振動を肝臓に送信するために使用されている。この振動波は、弾性せん断波を引き起こし、肝臓を介したその速度は、キロパスカル(kPa)とで測定した組織硬度に直接比例する。Fibroscan技術の感度は、肝生検に比較して79から95%の範囲、特に、78から95%の範囲であった。しかしながら、この手法の限界は、液体や脂肪組織における弾性波の減衰と関連し、これは、患者における線維症の評価を損なうであろう。加えて、フィブロスキャンは、非常に高価な装置である。
【0011】
しかしながら、線維化の進行及び処理効率を予知するための効率的な方法は存在しない。
【0012】
数多くの分子が、肝線維症の処置について試験されてきた。例えば、コルチコステロイドは、自己免疫性及びアルコール性肝炎の肝炎症を抑制するために使用されてきた(非特許文献13)。ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸に結合し、そして肝炎症を減少させることによって、PBC患者の生存率を増加させることが証明されている(非特許文献14)。特定の受容体拮抗薬(TNFalpha、IL-1受容体拮抗薬)、及びプロスタグランジンEで炎症性サイトカインを中和することは、マウスモデルにおいて、試験されてきたが、ヒトにおいては、いまだ行われていない(非特許文献15)。
【0013】
肝線維症の削減における別の魅力的な標的は、肝星細胞の活性化のダウンレギュレーションである。インターフェロンガンマは、C型肝炎の感染の治療のためのリバビリンと組み合わせて使用されている。インターフェロンの抗線維化効果は、星状細胞活性化のダウンレギュレーションに部分的に関連している場合があることが仮定されている。このメカニズムは、ウイルス性C型肝炎を有しインターフェロンαへのウイルス学的応答を持たない患者において言われる線維症の改善を説明することができた(非特許文献16)。
【0014】
酸化防止剤(N-アセチルシステイン、α-トコフェロール)の臨床試験は、ヒトにおいて、現在進行中である。アンジオテンシンII受容体は、星状細胞活性化において、アップレギュレートされており、このように、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、及びアンジオテンシン受容体拮抗薬が、インビトロでおよび動物において抗線維化活性を示した。これは、ヒトにおいて再現されていない(非特許文献17)。マトリックスメタロプロテアーゼを介するマトリックス分解の促進は、マウスモデルにおいて有益であることが示されている抗線維化方法である(非特許文献18)。肝星細胞の特定のアポトーシスは、理論的には興味深い別のアイデアであるが、しかし、まだ検討されていない(非特許文献19)。
【0015】
線維症の逆転を目指した処置は、通常、長期使用するには毒性が強すぎる(すなわち、コルチコステロイド、ペニシラミン)、あるいは有効性の証明がない(すなわち、コルヒチン)。
【0016】
要するに、効率的で忍容性が良好な抗線維化薬は、現在、欠けており、線維症の現在の処置は、有害物質の使用中止に限られている。
【0017】
線維症の発症が、chr6q23上の主要な遺伝子座によって著しく影響されることが以前に報告されている(非特許文献20)。また、CTGF遺伝子が、PGDF、VEGFおよびマスター線維形成分子TGF-βを含む様々なプロ線維増殖因子とシナジーすることによって線維症の増加に寄与することも提案されている(非特許文献21)。より具体的には、CTGFは、TGF-β下流モジュレータとして機能する(非特許文献22〜23)。それは、TGF-βのその受容体への結合を増加させ、TGF-βにおけるネガティブSmad-7フィードバックループを妨げ(非特許文献24);それは、主なTGF-β拮抗剤BPM-7の受容体結合を阻害する(非特許文献25)。TGF-βに対するCTGFの作用の重要な帰結は、進行性線維形成過程に関与する筋線維芽細胞を産生する、ECMPへの肝星細胞およびその他の実質細胞のトランス分化の刺激である(非特許文献26〜27)。CTGFは、ECMPにおけるフィブロネクチンのドメインへのその結合能力を介してECMPのネットワーキングを増大させるとも考えられている(非特許文献28〜29)。CTGFは、肝細胞(非特許文献30〜31)、肝星細胞、筋線維芽細胞、及び内皮細胞(非特許文献32)を含む様々な細胞によって産生される。CTGF転写産物の過剰発現は、異なる病因起源の線維症の影響を受けた肝臓を含む異なる組織において報告されている(非特許文献33)。ラットにおける実験的な仕事は、siRNAによるCTGFの阻害が、組織線維症を防止または低減すること示した(非特許文献34〜35)。
【0018】
しかしながら、ヒト線維症の感受性を制御する遺伝的要因も、線維化の進行に対するその効果も、同定されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Dessein et al., 1999
【非特許文献2】Mohamed-Ali et al., 1999
【非特許文献3】Boursier et al., 2008
【非特許文献4】Macias et al., 2008
【非特許文献5】Richter et al., 2001
【非特許文献6】Lambertucci et al., 2004
【非特許文献7】King et al., 2003
【非特許文献8】Bedossaら、1996
【非特許文献9】Garcia-Tsao et al., 1993
【非特許文献10】Sebastiani et al., 2006
【非特許文献11】Parkes et al., 2006
【非特許文献12】Ziol et al., 2005
【非特許文献13】Czaja et al., 2003
【非特許文献14】Pouponら、1997
【非特許文献15】Bruck et al., 1997
【非特許文献16】Poynard et al., 1998
【非特許文献17】Jonsson et al., 2001
【非特許文献18】Iimuro et al., 2003
【非特許文献19】Gressner et al., 1998
【非特許文献20】Dessein et al., 1999
【非特許文献21】Leask et al., 2006
【非特許文献22】Leask et al., 2006
【非特許文献23】Leask et al., 2003
【非特許文献24】Wahab et al., 2005
【非特許文献25】Abreu et al., 2002
【非特許文献26】Kalluri et al., 2003
【非特許文献27】Neilson et al., 2005
【非特許文献28】Gressner et al., 2007
【非特許文献29】Yoshida et al., 2007
【非特許文献30】Kobayashi et al., 2005
【非特許文献31】Gressner et al., 2007
【非特許文献32】Gressnet et al., 2008
【非特許文献33】Rachfal et al., 2003
【非特許文献34】Li et al., 2006
【非特許文献35】George et al., 2007
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、線維症の予後診断及び処置のための新たな遺伝学的アプローチ提供することである。本発明は、ヒト線維症感受性遺伝子座、CTGF遺伝子座(CCN2)の同定を開示し、これは、線維症の、特に肝線維症の、素因の検出、診断及び予後診断に使用することができ、また、治療的に活性な薬物をスクリーニングするために使用することができる。本発明は、特に、被験者からのサンプルにおいてCTGF遺伝子座(CCN2)における変化の存在を検出することを含み、前記の変化の存在が、線維症の存在または素因の指標となる方法にある。
【0021】
本発明の特定の対象は、被験者において発生する線維症の素因の検出、または線維症の診断および/もしくは予後診断のインビトロの方法であって、被験者からの試料におけるCTGF遺伝子またはポリペプチドにおける変化の存在を検出することを含み、前記の変化の存在が、線維症の存在、または線維症の素因の指標となる方法にある。本発明の特定の対象は、線維症の進行の評価(予測)のための方法にある。
【0022】
好ましい実施形態において、前記変化は、CTGF遺伝子の開始コドンの上流20kb、及びCTGF遺伝子の3'UTRの下流2kb内に位置する。
【0023】
好ましくは、変化は、CTGF遺伝子の開始コドンの上流15.3kb領域、及び非翻訳領域(3'UTR)の下流14.1 kb領域の周囲配列にある。
【0024】
別の好ましい実施形態では、前記変化は、1または複数の塩基の変異、挿入、または欠失である。より好ましい実施形態では、前記変化は、線維化に関する1または複数の一塩基多型(複数も可)SNP(複数も可)、またはSNPのハプロタイプである。好ましくは、前記一塩基多型は、SNP隣接CTGF遺伝子であり、これは、CTGF遺伝子の近くにある対立遺伝子変異体である。
【0025】
本発明の方法は、肝線維化疾患、肝硬変、皮膚ケロイド、肥厚性瘢痕、及び肥満から選択されるヒト線維性疾患に生じる線維症の検出および予後診断を可能にする。特に、肝線維症は、肝Aウイルス、肝Bウイルス、肝Cウイルス(HCV)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)(S. japonicum)、またはマンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)(S. mansoni) 感染症によって、引き起こされることがある。
【0026】
特定の実施形態において、該方法は、HCVに感染した被験者における生物学的サンプル中のCTGF遺伝子座におけるSNP rs9402373および/またはrs6918698の存在を検出することを含み、ここで、位置rs9402373における対立遺伝子Cおよび/または位置rs6918698における対立遺伝子Gの存在が、被験者における肝線維症の発症のリスク、肝線維症の発症、または肝線維症の予後不良の指標となる。
【0027】
好ましくは、CTGF遺伝子座における変化は、選択的ハイブリダイゼーションアッセイ、配列決定アッセイ、ミクロ配列決定アッセイ、および/または対立遺伝子特異的増幅アッセイを行うことにより、決定される。本発明の別の局面において、CTGF遺伝子における前記変化は、制限酵素消化によって決定され、少なくとも1つの前記SNPの検出は、線維症の指標となる。
【0028】
本発明は、また、線維症を有するか、または発症する傾向にある被験者のための治療用化合物を選択するための方法であって、試験化合物をCTGFポリペプチドもしくは遺伝子またはその断片に接触させる工程、及び前記試験化合物のCTGF遺伝子に関連する経路の生物学的活性または機能を増強または低減させる能力を測定する工程を含む方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】漁師におけるCTGF(= CCN2)遺伝子座における相関ビン。 材料および方法に記載したように70の無関係な被験者について33のマーカーについて、遺伝子型を決定した。SNP間の相関(r2値)を、Haploviewソフトウェアを使用して測定した。最も暗い色は、最も強い相関を示す。相関ビン(r2>0.05)は、次のとおりであった。SNP rs9321314、rs6940184、rs12523697、rs9493149及びrs12529636はビン1にあった。SNP rs12527705及びrs12526196はビン2。SNP rs9399005、rs6918698、および欠失/挿入(D/I)rs3037970はビン3。SNP rs2151532、SNP rs1931002はビン4。SNP rs9493150、rs928501、rs11966728、rs12198610、および新たな挿入/欠失(132319925-/GAAA)は、ビン5にあった。SNP rs7747601、rs7768619およびrs9402373はビン6にあった。SNP rs12527379およびrs2095252はビン7。 CCN2(3.2kb)、および開始コドンの上流15.3kb、および3'UTR領域における14.1kbの配列決定が、8つの例および2つのコントロールにおいて行われた。それにより、61個のSNPが明らかになり、そのうち50は前に説明されていた。発明者らは、主要な効果を持つ遺伝子を探していたので、発明者らは、MAF>20%を有する53個のSNPについて研究に焦点を当てた。MAF>20%を有する33個のSNPにつき、70漁師で遺伝子型を決定した。SNP間の相関(r2値)を、Haploviewソフトウェアを使用して測定した。下の図は、r2値X100を示す。最も暗い色は、最も強い相関を示す。この表現の上に、各マーカーの相対的な位置を有する物理マップも提供される。これらのマーカーは、7つの相関ビン(r2 = 0.5)(IからVII)にグループ化される。 SNP rs9321314、rs6940184、rs12523697、rs9493149およびrs12529636は、ビン1にあった。SNP rs12527705およびrs12526196はビン2。SNP rs9399005、rs6918698およびD/I rs3037970はビン3。SNP rs2151532およびSNP rs1931002はビン4。SNP rs9493150、rs928501、rs11966728、rs12198610、および新たな挿入/欠失(132319925-/GAAA)はビン5。SNP rs7747601、rs7768619およびrs9402373はビン6。SNP rs12527379およびrs2095252はビン7。 22のSNPは、全体の漁師のサンプルにおいてさらに遺伝子型を決定した(201コントロールと99例)。単変量解析の結果は、図1の上、および表1および表4に示される。肝線維症に関連するSNPは、ビンIIにおけるSNP rs12527705 (p=0.02, OR=2.3) およびSNP rs12526196 (p=0.02, or=2.2) 、ビンIIIにおけるSNP rs9399005 (p=0.02, OR=2.2)、SNP rs6918698 (p=0.02, OR=2) およびD/I rs3037970 (p=0.003, OR=2.6)、ビンIVにおけるSNP rs1931002 (p=0.004, OR=2.3) およびrs2151532 (p=0.02, OR=1.98)、並びにビンVIにおけるSNP rs9402373 (p=0.015, OR=2) であった。分析は、性別(p<0.001)暴露(漁業の年数:p<0.001、船の上で生まれたこと:p<0.01)、および処置の数(p<0.01)に適合させた。本解析では、D/I rs3037970は、両方のSNPを同時に試験する多変量解析において、rs6918698を除外した。同様に、SNP rs1931002は、SNP rs2151532を除外し、SNP rs1256196は、SNP rs12527705およびSNP rs9399005を除外した。これは、SNPまたは欠失rs12526196、rs30337970、rs1931002、rs9402373が、肝線維症(HF)と強い関連を有することを示した。すべての4つのSNPを同じ回帰モデルにおいて試験した場合(表4の下部)、SNP rs12526196(p= 0.007、OR= 3)、rs9402373(p= 0.002、OR= 2.8)およびrs1931002(p= 0.002、OR= 2.8)は、HFとの独立の関連を示した。53.9%のコントロールおよび67.5の例に存在するハプロタイプ1002C、6196Tは、HFと関連していた(p<0.005)。発明者らは、進行性のHFを門脈圧亢進症の証拠に結びつける表現型を試験した。発明者らは、(154コントロールおよび151例)rs9402373(p= 0.005、OR= 2.6)およびrs3037970(p= 0.05、OR= 2)が、その表現型と関連し、SNP rs1256196が、このより重篤な疾患の表現型との関連性の傾向を示すこと(p= 0.12)を見出した。性別(p= 0.001)は、共変量としてモデルを入力した。
【図2A】電気泳動移動度シフトアッセイは、核内因子のSNP rs12526196およびrs9402373への対立遺伝子特異的結合を明らかにする。 EMSAは、刺激されたヒト肝細胞株(HepG2細胞)の核抽出物を使用して、材料および方法にしたがって、行われた。12526196T対立遺伝子は、C対立遺伝子よりも高い親和性で、核因子(複合体1)に結合した。SNP rs9402373C対立遺伝子は、G対立遺伝子が結合していない核要因(複合体2)と結合した。対立遺伝子特異的結合は、SNP rs12527705とSNP rs1931002では観察されなかった。
【図2B】rs9402373多型についての競合的電気泳動移動度シフトアッセイ。 競合反応が、100または200 fmolの非ビオチン化rs9402373GおよびCプローブを用いて行われた。濃度(200 fmol)で非ビオチン化rs9402373Cプローブを用いるが非ビオチン化rs9402373Gを用いないで実施した競合反応は、ビオチン化rs9402373Cプローブの結合を競合した。
【図3】図3は、HCVまたは住血吸虫の感染者における肝線維症に対するSNP rs9402373の関連性のメタ分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明は、線維症の発症における最も重要なステップを同定し、線維症における、特に肝線維症における疾患の進行を予測する有益な遺伝子マーカーを提供する。
【0031】
線維症の早期検出、および線維症の定期的モニタリングは、このプロセス停止させ、および逆行させることができる抗線維治療の開始を可能にするであろう。これは、回りまわって、ヒト線維症疾患、たとえば、肝線維症または肝硬変への進行を防ぎ、そして、この病状に伴う罹患率と死亡率を抑えるであろう。これらの様々な早期の線維症の検出技術の発展は、肝疾患を有する患者の将来のケアのよい兆しとなる。
【0032】
本発明者らは、ヒトの線維症に関連する主要な遺伝子を、同定した。発明者らは、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)および、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)にそれぞれ感染した2人の中国人、1人のスーダン人および1人のブラジル人群における線維症が、CTGF遺伝子にある対立遺伝子変異体に著しく依存することを示した。これらの変異体の2つは、核内因子結合に影響を与える。
【0033】
線維症を有する個人からの様々な核酸のサンプルが、特定の分析プロセスに提出された。肝線維症を有する4つの集団、とりわけ、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)に感染した中国中央部の洞庭湖の漁師の集団、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)に感染した湖南省に住む農民の集団が検討された。
【0034】
マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)に感染したさらなる2つの集団も、また、含まれた(スーダン人およびブラジル人集団)。この分析プロセスは、肝線維症を有する被験者において大きな比率を占める前記集団における特定の一塩基多型(複数も可)、SNP(複数も可)の同定につながった。
【0035】
発明者は、岳陽市の近くの中国中央部の洞庭湖の漁師の線維症について、まず、検討した。漁師の集団において線維症の発症に影響する様々な要因の分析は、性別、感染した水への暴露、およびプラジカンテルを用いた抗住血吸虫の処置が、線維症のリスクと有意に関連したことを示した。いくつかの共変量の試験は、「漁業の年数」、および「船の上で生まれたこと」が、露出を測定する最良の共変量であったことを示した。「処置」共変量は、過去20年間のプラジカンテルの処置の数である。
【0036】
これらの共変量を使用して、発明者らは、母集団のサンプル(N= 300)について、12候補遺伝子(6q23領域(IFNGR1、CTGF)における2遺伝子、およびこの領域外の10遺伝子)のSNP(遺伝子あたり3)が、線維症のリスクと関連するかどうか、試験した。CTGF遺伝子近くの1つのSNP rs9399005は、線維症との示唆的な関連性を生じる(p= 0.02)。
【0037】
そして、発明者らは、8つの例、および2つのコントロール(漁師の集団)において、3.2kbのCTGF遺伝子、開始コドンの15.3kb上流、および3'UTR領域における14.1kbの配列決定を行った。61のSNPが、記録され、そのうちの50は、前に説明されていたものであった。53のSNP(53SNP)は、MAF>20%であった。発明者らは、主要な効果を持つ遺伝子を探していたので、発明者らは、MAF>20%を有するSNPを選択した。53SNPの33は、70の漁師において遺伝子型を決定された。
【0038】
発明者らは、それぞれビンI〜VIIにおける5、2、3、2、5、3、2のSNPを含む、ハップマッププロジェクトからのデータを使用して、7の相関ビン(r2 = 0.5)を見出した(図1)。最後に、22のSNPまたは遺伝的変異体は、さらなる分析のために、遺伝子型を決定された。これら22は、早い段階で試験された3つのSNPに追加された。
【0039】
これらの25のSNP、またはCTGF遺伝子座の遺伝的変異体(22+3)において、8遺伝的変動が、被験者の肝線維症に相関しているとして、同定された(rs12527705、rs12526196、rs9399005、rs6918698、rs3037970、1931002、rs2151532およびrs9402373)。このように、本発明の特定の対象は、線維症の素因の検出および/または予後診断の方法であって、rs12527705、rs12526196、rs9399005、rs6918698、rs3037970、1931002、rs2151532およびrs9402373からなる群から選択される1または複数のSNPまたは変化の存在の検出を含む方法にある。
【0040】
これらのSNPの中で、rs9402373のC対立遺伝子、またはrs12526196のT対立遺伝子は、核因子SRY、Lyf-1、CdxA、CP2、IK-2、またはNkx-2に特異的に結合する。
【0041】
SNP rs6918698およびrs9402373は、HCV感染者における肝線維症と関連することが示された。特に、rs9402373の対立遺伝子Cは、有害であること、すなわち、重度の肝線維症と強く相関することが示された。
【0042】
発明者らによって集められた実験データによっては、試験された集団に依存する特定の対立遺伝子の関係を確認することができなかったけれども、本発明は、すべての試験された集団において線維症と有意に相関が認められた特定のSNPに限定されるものではない。実際、不十分な群、交絡変数の不完全な評価、前記集団におけるSNPの低い頻度などを含むいくつかの理由は、いくつかの集団で有意な相関を確認することができなかったことを説明できる。
【0043】
定義
本発明の文脈において、「線維症」は、すべての線維性ヒト疾患において生じる、たとえば、肝疾患、肝硬変、皮膚ケロイド、肥厚性瘢痕、皮膚硬化症、肥満、および任意の線維性疾患において発生する、あらゆるタイプのヒト線維症を指す。
【0044】
本発明の文脈において、「肝線維症」または「HF」は、肝臓、その組織、またはその組織の任意の部分において生じる、あらゆるタイプの線維症を指す。肝線維症は、特に傷害に応答して生じる。肝線維症は、肝硬変およびその合併症、門脈圧亢進症、肝障害、および肝細胞癌に最終的につながる、慢性肝障害に対する一般的な応答であることができる。肝線維症は、過剰な結合組織が肝臓において蓄積される過度に盛んな創傷治癒である。細胞外マトリックスは、過剰に産生されるか、不完全に分解されるかのいずれかであるか、あるいはその両方である。特に炎症性成分があるならば、引き金は、慢性的な傷害である。様々なタイプの慢性肝障害が、化学線維症(四塩化炭素)、細菌(すなわち、ブルセラ症)、寄生(すなわち、住血吸虫(Schistosoma)種によって引き起こされるビルハルチア病(bilharziosis)/住血吸虫症(schistosomiasis)、またはエキノコックス感染症)、またはウイルス(すなわち、肝ウイルス(HAV)、肝Bウイルス(HBC)または肝Cウイルス(HCV)感染によって引き起こされる肝炎)などの線維症を引き起こしうる。
【0045】
本発明の文脈において、「皮膚ケロイド」は、皮膚上における瘢痕組織の過度な成長である。より具体的には、ケロイドおよび肥厚性瘢痕(HSC)は、外傷、炎症、手術、やけどの後に、時には同時に生じるヒトに固有な皮膚線維増殖性疾患である。これらは、真皮および皮下組織におけるコラーゲンの過剰蓄積によって特徴付けられる。通常の傷の修復の細線瘢痕の特徴に反して、ケロイドおよびHSCの盛んな瘢痕化は、通常、外観の損ない、拘縮、痒み、および痛みを帰結する。ケロイドは、黒人、ヒスパニックおよびオリエンタルのうちの家系上の傾向を有する個体において生じる。HSCとは異なり、ケロイド瘢痕は、もとの傷の縁を超えて拡大および拡張し、めったに退縮しない。これらの障害は、創傷治癒の基本的なプロセスにおける異常を表し、これは、細胞の遊走と増殖、炎症、サイトカインおよび細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の増加した合成および分泌、並びに新たに合成されたマトリックスの再形成を含む。生物学的には、ケロイドは、細胞外マトリックス成分の、特に、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、およびプロテオグリカンの、過度の沈着を有する非定型線維芽細胞の集合によって特徴づけられる線維性組織である。一般的には、ケロイドは、相対的無細胞中心、および病変の深い真皮の部分において結節を形成する厚く、豊富なコラーゲンの束を含む。回復の炎症期中における成長因子の放出および活性化は、血管新生、再上皮化、線維芽細胞およびマトリックス沈着の動員および増殖を含む瘢痕プロセスの前提条件である。そして、CTGFを含む調節サイトカインの活性の異常産生は、ケロイドの発症に貢献することができた。
【0046】
本発明の文脈において、CCN2遺伝子座とも呼ばれる「CTGF遺伝子座」(接続組織成長因子)は、CTGFコード配列、CTGF非コード配列(例えば、イントロン)、転写および/または翻訳を制御するCTGF調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)含む細胞または生命体におけるあらゆる配列または産生物、CTGF RNA(例えば、mRNA)、およびCTGFポリペプチド(例えば、プレタンパク質および成熟タンパク質)などのあらゆる対応する発現産物;CTGF遺伝子の開始コドン上流20kb領域、好ましくは15.3kb領域、非翻訳領域(3'UTR)の下流20kb領域、好ましくは14.1kb領域の周囲配列を指す。例えば、CTGF遺伝子座は、配列決定(図1)によって同定される61個のSNP、特に表1の8つのSNPを含む周囲配列を含む。しかし、特定の実施形態においては、ほとんどの変化は、プロモーター配列にはない。
【0047】
本発明の文脈において、用語「予後診断」は、大人、子供、および出生前における、初期、症状前の段階、および後期段階を含む様々な段階における、検出、監視、投薬、比較、などを含む。予後診断は、典型的には、線維症の進行の評価(予測)、および最も適切な処置を定義するための被験者の特性化(薬理遺伝学)等を含む。本発明は、線維症、またはCTGF遺伝子座における突然変異または多型から生じる関連障害の進行の速度を決定するための予後の方法を提供する。予後診断は、処置もしくは薬物、または処置もしくは薬物に対する副作用に対する応答を分析および予測するものであるが、これは、個体が、特定の処置薬物で処置されるべきかどうかを決定することを目的とする。例えば、もし、個体が特定の薬剤による処置に陽性に応答しやすいことを予後診断が示す場合には、薬物は、個体に投与されてもよい。逆に、個体が特定の薬物による処置に陰性に反応しそうであることを予後が示す場合には、処置の代わりの治療単位が、処方されてもよい。否定的な応答は、有効な応答が存在しないこと有毒な副作用が存在することのいずれかとして定義されてもよい。臨床薬の臨床試験は、CTGF遺伝子座SNPに対する別の適用を表す。薬剤または薬物への副作用への応答を示す1または複数のCTGF SNPは、上記の方法を使用して、同定してもよい。その後、そのような薬剤の臨床試験における潜在的な参加者につき、スクリーニングして、薬物に対して有利に応答する可能性が極めて高い個体を同定し、副作用を経験しやすい個体を除外することができる。そのように、薬物処置の有効性は、薬物に陽性に応答する個人において、研究において陽性に応答しにくい個人が包含される結果として測定を低下させることなく、そして、望ましくない安全上の問題の危険にさらされることなく、測定することができる。
【0048】
変化
変化は、CTGFのDNA、RNAまたはポリペプチドのレベルにおいて、測定することができる。任意に、検出は、CTGF遺伝子座のすべてまたは一部を配列決定することによって、あるいはCTGF遺伝子座のすべてまたは一部の選択的ハイブリダイゼーションまたは増幅によって、実行される。より好ましくは、CTGF遺伝子座特異的増幅は、変更同定段階の前に行われる。CTGF遺伝子座における変化は、遺伝子座のコーディングおよび/または非コーディング領域における、単独での、または、様々な組み合わせ(複数も可)における、任意の形式の変異(複数も可)、欠失(複数も可)、再配列(複数も可)および/または挿入であってもよい。より具体的には、変異は、点突然変異を含む。欠失は、遺伝子座のコーディングまたは非コーディング部分における2またはそれ以上の残基(たとえば、2の残基から全遺伝子または遺伝子座まで)の任意の領域を包含してもよい。大きな欠失が同様に発生する可能性があるけれども、典型的な欠失は、約50以下の連続する塩基対のドメイン(イントロン)または反復配列またはフラグメントなどの小さい領域に影響を与える。挿入は、遺伝子座のコーディングまたは非コーディング部分における1または複数の残基の付加を含んでもよい。挿入は、典型的には、遺伝子座における1〜50塩基対の付加を含んでもよい。再配列は、配列の反転を含む。CTGF遺伝子座の変化の結果、終止コドン、フレームシフト変異、アミノ酸置換、特定のRNAスプライシングまたはプロセッシング、産生物の不安定化、切断されたポリペプチド産物などが作成されることがある。変化の結果、変更された機能、安定性、標的または構造を有するCTGFポリペプチドが産生されることがある。変化は、タンパク質の発現の低下、あるいは、その代わりに、前記タンパク質産生の増加を引き起こす可能性がある。
【0049】
好ましい実施形態において、前記変化は、1または複数の塩基の変異、挿入または欠失である。本発明の方法による特定の実施形態において、CTGF遺伝子座における変化は、CTGF遺伝子または対応する発現産物における点突然変異、欠失、および挿入、より好ましくは、点突然変異、および欠失から選択される。変化は、CTGFのDNA、RNAまたはポリペプチドのレベルで決定することができる。
【0050】
本発明の特定の対象は、線維症の素因を検出する、および/または予後診断をする方法であって、rs9402373、rs1931002、rs12526196、rs1257379、rs12527705、rs9399005、rs6918698、rs3037970、rs2151532、rs9321314、rs9321315、rs6910279、rs6940184、rs12523697、rs9493149、 rs12529636、rs6917644、rs9493150、rs928501、rs11966728、rs7747601、rs12198610、132319925 D/I、rs9483364、rs2095252、rs6926879、rs34118837、rs1931003、rs12191459、rs12206863、rs7768619、rs10872386およびrs2327184からなる群から選ばれる1または複数の変化またはSNPの存在を検出することを含む方法である。
【0051】
132319925 D/I(欠失/挿入)多型は、前に説明されたことがない新しい多型である。この多型を同定できるようにするために、発明者らは、座標系にしたがい、位置を、そして、この多型が欠失または挿入を誘導することを示すために、D/Iを、名前として与えた。この多型は、132319925-/GAAAと書くこともできる。好ましくは、線維症に関連した前記変化(複数も可)またはSNP(複数も可)は、rs12527705、rs12526196、rs9399005、rs6918698、rs3037970、rs1931002、rs2151532およびrs9402373からなる群から選択される。より好ましくは、前記rs9402373Cおよびrs12526196T対立遺伝子は、核因子に優先的に結合する。
【0052】
これらの変化/SNPは、以下の表1において説明される。
【0053】
【表1】

【0054】
CTGF遺伝子における変化は、変化しCTGF RNAの発現の存在を測定することによって、検出してもよい。変化したRNA発現は、変化したRNA配列の存在、変化したRNAスプライシングまたはプロセッシングの存在、RNAの変化した量の存在などを含む。これらは、例えば、CTGF RNAのすべてまたは一部の配列決定によること、または前記RNAの全部または一部の選択的ハイブリダイゼーションまたは選択的増幅によることを含む当分野で知られている様々な技術によって検出されてもよい。
【0055】
さらなる変異体において、この方法は、変化したCTGFポリペプチド発現の存在を検出することを含む。変化したCTGFポリペプチド発現は、変化したポリペプチド配列の存在、変化した量のポリペプチドCTGFの存在、変化した組織分布の存在などを含む。これらは、例えば、配列決定および/または特定のリガンド(抗体など)への結合によることを含む当分野で知られる様々な手法によって、検出されてもよい。
【0056】
前述したように、配列決定、ハイブリダイゼーション、増幅および/または特定のリガンド(抗体など)への結合を含む、当分野で知られている様々な技術が、変化したCTGF遺伝子またはRNAの発現または配列を検出または定量化するために使用することができる。他の適当な方法は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、対立遺伝子特異的増幅、(DNAのための)サザンブロット、(RNAのための)ノーザンブロット、一本鎖コンフォメーション分析(SSCA)、PFGE、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ゲル移動、クランプ変性ゲル電気泳動、ヘテロ二本鎖分析、RNA分解酵素保護、化学的ミスマッチ切断、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および免疫酵素アッセイ(IEMA)を含む。これらのアプローチのいくつか(例えば、SSCAおよびCGGE)は、変化した配列の存在の結果としての核酸の電気泳動移動度の変化に基づく。これらの技術によれば、変化した配列は、ゲル上の移動度のシフトによって可視化される。断片は、変化を確認するために、その後、塩基配列を決定されてもよい。他のいくつかは、被験者からの核酸と野生型または変化したCTGF遺伝子またはRNAに特異的なプローブの間の特異的なハイブリダイゼーションに基づく。プローブは、懸濁液の中にあってもよく、また、基板上に固定されていてもよい。プローブは、典型的には、ハイブリッドの検出を容易にするために標識が付されている。
【0057】
これらのアプローチのいくつかは、ノーザンブロット、ELISA、およびRIAなど、ポリペプチド配列または発現レベルの評価に特に適している。これらの後者は、ポリペプチドに特異的なリガンド、より好ましくは、特異抗体の使用を必要とする。
【0058】
好ましい実施形態において、この方法は、被験者からのサンプルにおける変化したCTGF遺伝子発現プロファイルの存在を検出することを含む。前述したように、これは、より好ましくは、前記サンプルに存在する核酸の配列決定、選択的ハイブリダイゼーション、および/または選択的増幅によって、行うことができる。
【0059】
配列決定
配列決定は、当技術分野で周知の技術を用いて、自動シーケンサーを用いて、実施することができる。配列決定は、完全なCTGF遺伝子座について、または、より好ましくは、その特定のドメインについて、典型的には、有害な変異またはその他の変化を有することが知られているまたは疑われるものについて、実施することができる。
【0060】
増幅
増幅は、核酸の複製を開始するのに役立つ相補的な核酸配列の間の特定のハイブリッドの形成に基づく。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)など当分野で知られている様々な技術にしたがって、実施することができる。これらの技術は、市販の試薬およびプロトコールを用いて行うことができる。好ましい技術は、対立遺伝子特異的PCRまたはPCR-SSCPを使用する。増幅には、通常、反応を開始するために、特定の核酸プライマーの使用が必要である。CTGF遺伝子座からの配列の増幅に有用な核酸プライマーは、CTGF遺伝子座の標的領域の側面に位置する前記遺伝子座の部分に特異的にハイブリダイズすることができ、前記標的領域は、線維症または関連する障害を有する特定の被験者において変化している。このような標的領域の例は、表2に提供される。本発明の別の特定の対象は、周囲領域を含むCTGF遺伝子または遺伝子座からの配列の増幅に有用な核酸プライマーにある。このようなプライマーは、好ましくは、CTGF遺伝子座における核酸配列に相補的であり、特異的にハイブリダイズする。特定のプライマーは、CTGF遺伝子座の標的領域の側面に位置する前記遺伝子座の部分に特異的にハイブリダイズすることができ、前記標的領域は、線維症または関連する障害を持つ特定の被験者において、変化している。表2において特定されるSNPを含むCTGF標的領域を増幅することができるプライマーは、それらの配列に基づいて、または、CTGFのゲノム配列に基づいて設計することができる。
【0061】
本発明は、また、核酸プライマーに関し、前記プライマーは、線維症または関連する障害を持つ特定の被験者において変化した、CTGF遺伝子座をコードする配列(例えば、遺伝子またはRNA)の部分に相補的であり、そして、特異的にハイブリダイズする。この点において、本発明の特定のプライマーは、CTGF遺伝子座またはRNAにおいて変化した配列に特異的である。このようなプライマーを使用することによって増幅産物が検出されることは、CTGF遺伝子座において変化が存在することを示す。逆に、増幅産物が存在しないことは、サンプルにおいて特異的な変化が存在しないことを示す。本発明は、また、被験者における線維症または関連する障害の存在または素因を検出する方法における、または、線維症または関連する疾患の処置に対する被験者の応答を評価する方法における、上述した核酸プライマー、または核酸プライマーのペアの使用に関する。
【0062】
選択的ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションの検出方法は、核酸配列の変化(複数も可)の検出に役立つ相補的核酸配列の間の特異的なハイブリッドの形成に基づく。特定の検出手法は、野生型または変化したCTGF遺伝子またはRNAに特異的な核酸プローブを使用した後、続いて、ハイブリッドの存在を検出することに関する。プローブは、懸濁液内にあってもよく、または、(核酸アレイまたはチップ技術のように)基盤または支持体の上に固定化されていてもよい。プローブは、典型的には、ハイブリッドの検出を容易にするための標識が付されている。この点において、本発明の特定の実施態様は、被験者からのサンプルを変化したCTGF遺伝子座に特異的な核酸プローブに接触させ、ハイブリッドの形成を評価することを含む。特定の好ましい実施形態において、該方法は、野生型CTGF遺伝子座に対して、およびその変化した様々な型に対してそれぞれ特異的なプローブのセットに、サンプルを同時に接触させることを含む。この実施形態においては、サンプルにおける様々な形態のCTGF遺伝子座における変化の存在を直接に検出することが可能である。また、様々な被験者からの様々なサンプルが、並行して処理されることができる。
【0063】
本発明の文脈において、プローブは、CTGF遺伝子またはRNA(の標的部分)と相補的であって特異的にハイブリダイズすることができ、線維症にかかりやすくなる、あるいは線維症に関連する、CTGFの対立遺伝子に関連するポリヌクレオチド多型を検出するのに適しているポリヌクレオチド配列を指す。プローブは、好ましくは、CTGF遺伝子、RNA、またはその標的部分に完全に相補的である。プローブは、典型的には、8〜1000ヌクレオチドの長さの、例えば、10〜800の、より好ましくは、15〜700の、典型的には、20〜500の一本鎖核酸を含む。より長いプローブも、同様に使用することができることが理解されるべきである。本発明の好ましいプローブは、8〜500のヌクレオチドの長さであって、変化を有するCTGF遺伝子座またはRNAの領域に特異的にハイブリダイズすることができる一本鎖核酸分子である。
【0064】
本発明の方法は、変化した(例えば、変異した)CTGF遺伝子またはRNAに特異的な核酸プローブ、すなわち、前記変化CTGF遺伝子またはRNAに特異的にハイブリダイズし、前記変化を欠くCTGF遺伝子またはRNAに実質的にハイブリダイズしない核酸プローブを用いる。特異性は、非特異的なハイブリダイゼーションを通して生じるシグナルと区別することができる特異的なシグナルを、標的配列に対するハイブリダイゼーションが、生じさせることを示す。本発明によるプローブを設計するためには、完全に相補的な配列が、好ましい。しかしながら、特異的なシグナルが、非特異的なハイブリダイゼーションと区別されることがある限り、特定のミスマッチが、許容されることがあることは理解されるべきである。
【0065】
このようなプローブの特定の例は、上記の表1に示す点突然変異を有するCTGF遺伝子座またはRNAを含むゲノム領域の標的部分に相補的な核酸配列である。より特異的には、プローブは、配列番号1から8、またはSNPまたはその相補配列を含むそれらの断片からなる群から選択される配列を含むことができる。
【0066】
プローブの配列は、本出願において提供されるCTGF遺伝子、およびRNAの配列から得ることができる。塩基置換が、行われてもよく、また、プローブの化学修飾が行われてもよい。このような化学的修飾は、ハイブリッド(例えば、インターカレーショングループ)の安定性を増加させるために、あるいは、プローブを標識するために、行ってもよい。標識の典型的な例は、放射能、蛍光、発光、酵素標識、などを含むが、これらに限定されない。本発明は、また、被験者における線維症または関連する障害の存在または素因を検出する方法における、あるいは、線維症または関連する障害の処置に対する被験者の応答を評価する方法における、上述したような核酸プローブの使用に関する。
【0067】
特異的なリガンド結合
前述したように、CTGF遺伝子座における変化は、CTGFポリペプチド配列、または発現レベルにおける変化(複数も可)のスクリーニングによっても、検出されることがある。この点において、CTGFポリペプチドに特異的なリガンドにサンプルを接触させ、複合体の形成を測定することも、説明されている。特異的な抗体などの異なるタイプのリガンドが使用されてもよい。特定の実施形態において、サンプルは、CTGFポリペプチドに特異的な抗体に接触させられ、免疫複合体の形成が、測定される。ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および免疫酵素アッセイ(IEMA)などの免疫複合体を検出するための様々な方法が、使用されうる。本発明の文脈において、抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および実質的に同じ抗原特異性を有するその断片または誘導体を指す。断片は、Fab、Fab'2、CDR領域などを含む。誘導体は、単鎖抗体、ヒト化抗体、多機能性抗体などを含む。CTGFポリペプチドに特異的な抗体は、CTGFポリペプチドに選択的に結合する抗体、すなわち、CTGFポリペプチド、またはエピトープを含むその断片に対する抗体を指す。他の抗原に対する非特異的結合が発生する可能性があるが、標的CTGFポリペプチドに対する結合は、非特異的結合と確実に区別することができる高い親和性で生じる。
【0068】
また、CTGF遺伝子座またはポリペプチドにおける、CTGF遺伝子またはポリペプチド発現における、および/またはCTGF活性における、変化の存在を、被験者からのサンプルにおいて検出するための製品および試薬を含む診断キットも、開示されている。前記診断キットは、本発明で説明した任意のプライマー、任意のプライマーのペア、任意の核酸プローブ、および/または任意のリガンド、好ましくは、抗体を含む。前記診断キットは、さらに、ハイブリダイゼーション、増幅または抗原-抗体免疫反応を実行するための試薬、及び/またはプロトコルを含むことができる。
【0069】
連鎖不均衡
いったん、第一のSNPが関心のあるゲノム領域において、より具体的には、CTGF遺伝子座において、確認されれば、この最初のSNPと連鎖不平衡にある他のさらなるSNPを同定することができる。実際、線維症、または関連する障害に関連する第一のSNPと連鎖不平衡にある任意のSNPが、この特性と関連するであろう。したがって、いったん所定のSNPと線維症の間の関係が実証されれば、この特性に関連するSNPをさらに発見することは、この特定の領域におけるSNPの密度を増やすためには、非常に重要でありうる。所定のSNPとの連鎖不平衡におけるさらなるSNPの同定は、
(a)複数の個体からの第一のSNPを含む、または、その周囲のゲノム領域からの断片を増幅する工程、
(b)前記第一のSNPを内部に持つ、またはその周囲のゲノム領域における第二のSNPを同定する工程、
(c)前記第一SNPと第二SNPの間の連鎖不平衡解析を行う工程、及び
(d)前記第一のマーカーは連鎖不平衡にあるとして前記第二SNPを選択する工程、
を含む。工程(b)および(c)を含むサブコンビネーションも考えられる。連鎖不平衡におけるこれらのSNPは、本発明の方法においても使用することができ、より具体的には、本発明の診断方法においても使用することができる。
【0070】
原因となる変異
線維症に関与するCTGF遺伝子座における変異は、線維症または関連する障害を示す患者からのCTGF遺伝子座の配列と対照個体を比較することによって、同定されてもよい。CTGFのSNPの同定された関連に基づいて、同定された遺伝子座は、突然変異についてスキャンされることができる。好ましい実施形態において、CTGF遺伝子座のエクソン、スプライス部位、プロモーター、および他の調節領域などの機能領域が、変異についてスキャンされる。好ましくは、線維症を示す患者は、線維症と関連することが示されている変異を有し、対照個体は、線維症に関連する変異または対立遺伝子を有さない。線維症を示す患者が、対照個体よりも高い頻度で、線維症と関連することが示されている変異を有することがありうるかもしれない。このような変異を検出するために用いられる方法は、一般的には、以下の工程を含む:線維症を示す患者および対照個体からのCTGF遺伝子座のDNAサンプルからの線維症に関連するSNPまたはSNPの群を含むCTGF遺伝子座領域を増幅する工程;
増幅された領域の配列決定をする工程;
線維症または関連する障害を示す患者、および対照個体からのCTGF遺伝子のDNA配列を比較する工程;
線維症を示す患者に特異的な変異を測定する工程。
【0071】
薬物スクリーニング
薬剤候補または先例をスクリーニングする新たな方法も説明される。これらの方法は、結合アッセイ、および/または機能アッセイを含み、インビトロで、細胞系で、動物において、などで行うことができる。本発明の特定の対象は、生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、インビトロで試験化合物を本発明のCTGF遺伝子またはポリペプチドに接触させる工程、および、前記CTGF遺伝子またはポリペプチドに対する前記試験化合物の結合能力を測定する工程を含む方法にある。前記遺伝子またはポリペプチドに対する結合は、前記標的の活性を変調させ、したがって、被験者における線維症につながる経路に影響を与える化合物における能力に関する表示を提供する。好ましい実施形態において、該方法は、インビトロで試験化合物を本発明のCTGFポリペプチド、またはその断片に接触させる工程、および前記試験化合物における、前記CTGFポリペプチドまたは断片に対して結合する能力を測定する工程を含む。該断片は、好ましくは、CTGFポリペプチドの結合部位を含む。好ましくは、前記CTGF遺伝子若しくはポリペプチド、またはその断片は、変化または変異を含む、変化している、または変異しているCTGF遺伝子、もしくはポリペプチド、またはその断片である。本発明の特定の対象は、線維症において活動している化合物を選択する方法であって、本発明のCTGFポリペプチド、または結合部位を含むその断片に試験化合物をインビトロで接触させる工程、および前記CTGFポリペプチド、またはその断片に対する前記試験化合物の結合能力を測定する工程を含む方法にある。好ましくは、前記CTGFポリペプチドまたはその断片は、変化または変異を含む、変化された若しくは変異したCTGFポリペプチド、またはその断片である。医薬品候補をスクリーニングする方法は、本発明のCTGFポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を試験化合物に接触させる工程、および前記CTGFに対して結合してポリペプチドCTGFの活性を変調させる前記試験化合物の能力を測定する工程を含む。好ましくは、前記ポリペプチドCTGFまたはその断片は、変化または変異を含む、変化または変異されているポリペプチドCTGFまたはその断片である。結合の測定は、試験化合物の標識によって、標識された参照リガンドとの競合によってなど、様々な手法によって、行うことができる。生物学的に活性な化合物を選択する方法は、また、インビトロで試験化合物をCTGFポリペプチドに接触させる工程、および前記CTGFポリペプチドの活性を変調する前記試験化合物の能力を測定する工程を含む。好ましくは、前記CTGFポリペプチドまたはその断片は、変化または変異を含む、変更または変異したポリペプチドCTGFまたはその断片である。
【0072】
線維症を有しているか、または線維症を発症する傾向にある被験者のための生物学的に活性な化合物を選択する方法は、また、インビトロで本発明のCTGF遺伝子に試験化合物を接触させる工程、および、前記CTGF遺伝子の発現を変調させる前記試験化合物の能力を測定する工程を含む。好ましくは、前記CTGF遺伝子またはその断片は、変化または変異を含む、変化または変異されたCTGF遺伝子またはその断片である。
【0073】
活性化合物、特に、線維症において活性な化合物をスクリーニングする、選択する、または同定する方法は、また、レポーターコンストラクトを含む組換え宿主細胞に試験化合物を接触させること(ここで、前記レポーターコンストラクトは、CTGF遺伝子のプロモーターの制御下にあるレポーター遺伝子を含む)、およびレポーター遺伝子の発現を変調させる(例えば、活性化させる、または阻害する)試験化合物を選択することを含む。好ましくは、前記CTGF遺伝子のプロモーターまたはその断片は、変化もしくは変異したCTGF遺伝子のプロモーター、または変化もしくは変異を含むその断片である。
【0074】
上記のスクリーニングアッセイは、プレート、チューブ、ディッシュ、フラスコなどの任意の適当な装置において、実施されてもよい。典型的には、マルチウェルプレートにおいてアッセイが行われる。いくつかの試験化合物は、並行して、アッセイされることができる。また、試験化合物は、様々の起源、性質、および組成物であってもよい。それは、単離された、または他の物質との混合物中における、脂質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、小分子などの有機物質または無機物質のいずれであってもよい。化合物は、例えば、生成物のコンビナトリアルライブラリーの全てまたは一部であってもよい。
【0075】
医薬組成物、治療法
(i)上述したようなCTGFポリペプチドまたはその断片、CTGFポリペプチドまたはその断片をコードする核酸、ベクター、または組換え宿主細胞、および(ii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物も、また、説明される。本発明は、また、被験者における線維症または関連する障害を治療または予防する方法であって、前記被験者に、機能的な(例えば、野生型)CTGFポリペプチド、またはCTGF遺伝子座をコードする核酸を投与することを含む方法に関する。被験者における線維症を治療または予防する方法であって、好ましくは、その活性を変調させ、または、本発明のCTGF遺伝子座、またはタンパク質の発現または活性を模倣する化合物を前記被験者に投与することを含む方法も、また、説明される。前記化合物は、CTGFの作動薬もしくは拮抗薬、CTGFのアンチセンスまたはRNAi、またはCTGFポリペプチドに特異的な抗体、その断片、もしくはその誘導体であることができる。特定の実施形態において、変調の方法は、阻害である。他の特定の実施形態において、変調の方法は、活性化である。
【0076】
また、機能的なCTGFポリペプチド、CTGF遺伝子座をコードする核酸、または本発明のCTGF遺伝子またはタンパク質の発現または活性を変調させる化合物を、被験者における線維症を治療または予防するための医薬組成物の製造において使用することも、開示される。前記化合物は、CTGFのアゴニストもしくはアンタゴニスト、CTGFのアンチセンスもしくはRNAi、またはCTGFポリペプチドに特異的な抗体、その断片、もしくはその誘導体であることができる。特定の実施形態の方法において、変調は、阻害である。別の特定の実施形態の方法において、変調は、活性化である。
【0077】
本発明は、線維症とCTGF遺伝子座の間の相関を実証する。従って、本発明は、治療介入の新規の標的を提供する。様々なアプローチは、被験者における、特に、変化されたCTGF遺伝子座を有する被験者における、CTGF活性または機能を回復させ、または変調させることが意図されることができる。このような被験者に対して、野生型機能を与えることは、病的細胞または生物における線維症の表現型発現を抑制することが期待される。このような機能を与えることは、遺伝子またはタンパク質治療を通じて、または、CTGFポリペプチド活性(例えば、上記のスクリーニングアッセイにおいて示したようにアゴニスト)を変調または模倣する化合物を投与することによって、達成することができる。
【0078】
野生型CTGF遺伝子、またはその機能的部分は、上記のようにベクターを使用して、それを必要とする被験者の細胞に導入されてもよい。ベクターは、ウイルスベクターまたはプラスミドであってもよい。遺伝子は、また、裸のDNAとして、導入されてもよい。遺伝子は、受け手宿主細胞のゲノムに一体化するように、または染色体外に残る用に、提供されてもよい。一体化は、相同組換えなどによって、ランダムに、または、正確に定義されている部位において、発生する可能性がある。特に、CTGF遺伝子の機能的なコピーは、相同組換えによって、細胞内の変化されたバージョンの交換で挿入されてもよい。さらなる技術は、遺伝子銃、リポソーム媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクションなどを含む。遺伝子治療は、直接の遺伝子注入によって、あるいは生体外で調製され、機能性CTGFポリペプチドを発現する遺伝子組み換え細胞を投与することによって、達成されてもよい。
【0079】
CTGF活性を持つ他の分子(例えば、ペプチド、薬物、CTGFのアゴニスト、または有機化合物)は、被験者における機能的なCTGF活性を回復させるために、または細胞における有害な表現型を抑制するために使用することもできる。細胞における機能的なCTGF遺伝子座の機能の回復は、線維症の発症を妨げるために、または、前記疾患の進行を低減させるために、使用することができる。
【0080】
本発明のさらなる態様及び利点は、次の実施例のセクションにおいて開示されるが、これは、例示とみなされるべきであって、本出願の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0081】
材料および方法
統計分析
多変量ロジスティック回帰が、住血吸虫に感染している被験者における疾患の進行に影響を及ぼすことが知られている主要な共変量を含む、線維症を発症する個体の確率と遺伝的変異との間の関係を分析するために使用された。統計的なSPSSのソフトウェア(バージョン10.0)が、この分析に使用された。年齢および性別は、回帰モデルにおいて試験され、疾患との関連(p<0.05)を示した場合、保持された。群が、性別および年齢に合致したので、これらの共変量は、遺伝的変異と疾患の間の関係についてほとんど効果がなかった。これらの共変量が、中国の漁師におけるように(暴露、処置の数)、または中国の農民におけるように(HBV感染症、出生地)、正確に評価することができたとき、プラジカンテルの処置の数、HBV感染、および感染への暴露は、回帰モデルに含まれていた。
【0082】
DNA抽出
5〜15mlの血液のアリコートが、クエン酸ナトリウムで収集され、-20℃で保管された。DNAは、標準的な塩析方法を使用して抽出した(Sambrook et al., 1989)。一部の被験者は、出血を拒否した。この場合、頬細胞サンプルは、発泡体先端アプリケーターを使用して収集され、Whatman(http://www.whatman.co.uk/)で説明されたプロトコルにしたがって、表示FTA1カードに適用した。表示FTA1カードを、清潔で、乾燥した平らな面に置く。FTA1カードを固有の識別名または番号で標識する。1つの発泡体先端アプリケーターを保護パッケージから取り除く。アプリケーターのプラスチック製のハンドルを持って、発泡体の先端を口に置き、発泡体の先端の片側で、30秒間、頬の内側をこする。発泡体の先端の反対側を、他方の頬に使用して繰り返す。発泡体の先端を歯肉線、頬のひだ、および舌の下に沿って走らせ、できるだけ多くの唾液に浸す。アプリケーターを、口から取り出す。表示FTA1カードの紙カバーを慎重に持ち上げ、平面かつ円形の発泡体のアプリケーターの先端のサンプルエリアを押す。カードから発泡体の先端を持ち上げることなく行う。横揺れの動きを3回使用して(各方向に908)先端を絞り、サンプルエリアを完全に飽和させる。サンプルエリアは、サンプルの移動時に白に変わる。乾燥させるためにFTA1カードを清潔な表面上に置く。室温で少なくとも1時間、カードを乾かせる。その後、200μlのFTA精製バッファー、およびTEバッファーで、うまく、3回、パンチを、洗浄する。
【0083】
DNA増幅
FTAカードから精製されたすべてのDNAは、遺伝子型解析の前に、事前増幅された。ポリメラーゼ連鎖反応(全ゲノム増幅)は、生物学的サンプルの1つのパンチ(FTA1結合頬細胞DNA)または100ngのゲノムDNA、1.5 ODの15塩基完全縮重ランダムプライマー(Genetix、パリ、フランス)、200mM dNTP、5mM MgCl2、5mlの10×PCRバッファー、および0.5ユニットの高忠実度Taq DNAポリメラーゼ(BIOTAQ DNAポリメラーゼ、Biolineロンドン、イギリス)を含む50μlの反応液において行われた。サンプルは、マルチブロックサーモサイクラーで、次のとおりで増幅した。3分94℃のプレ変性ステップ、94℃1分、37℃2分、傾斜(37〜55℃)1分、および55℃4分からなる50サイクル。72℃5分の最後の伸長ステップ。
【0084】
配列決定
精製したPCR産物は、ABIプリズム自動シーケンサー上で、ABIプリズム大ダイターミネーターサイクルシーケンシングシステム(PEアプライドバイオシステムズ、フォスターシティ、米国)を使用して、配列決定した。配列決定反応は、GATC biotech(GATC、マルセイユ、フランス)による標準的な配列決定の両方で、行われた。配列決定プライマーは、表2に説明される。8例、および2のコントロールにおけるCCN2(3.2kb)および開始コドンの15.3kb上流、ならびに3'UTR領域における14.1kbの配列決定によって、61個のSNP(図1)が明らかになり、そのうち50は、以前に説明されていた。
【0085】
特異的なTaqManプローブを用いたPCRによる多型の遺伝子型決定
対立遺伝子識別は、TaqManプローブアッセイ(Applied Biosystems, ラファイエット、米国)を使用して評価された。それぞれの反応は、12.5ngのゲノムDNA、TaqManユニバーサルPCRマスターミックス(アプライドバイオシステムズ、ラファイエット、アメリカ)、900nMの各プライマー、および200nMの各蛍光標識ハイブリダイゼーションプローブを、5μlの総量に含んだ。RT-PCRは、以下の条件を使用してABIプリズム配列検出システム7900(アプライドバイオシステムズ、ラファイエット、アメリカ)において、行われた。50℃で2分間、95℃で10分間、40サイクルの増幅(95℃変性15秒、60℃アニーリング/伸長1分間)。以下のSNPまたは変化は、この方法で、遺伝子型決定が行われた。rs9321314、rs9321315、rs6910279、rs6940184、rs12523697、rs9493149rs12529636、rs12527705、rs12526196、rs6917644、rs9399005、rs6918698、rs9493150、rs2151532、rs3037970、rs928501、rs11966728、rs7747601、rs12198610、rs9402373、132319925D/I、rs1931002、rs12527379、rs9483364、rs2095252。
【0086】
PCRおよび制限酵素消化による多型の遺伝子型決定
多型(rs6926879、rs34118837、rs1931003、12191459、rs12206863、7768619、rs10872386およびrs2327184)は、酵素メーカー(Euromedex、Mundolsheim、フランス、またはニューイングランドバイオラボ、ビバリー、米国)によって説明される標準的な条件の下での制限酵素解析によって、遺伝子型決定が行われた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅は、ロボサイクラー勾配96(Stratagene社、ラホヤ、米国)で、標準プロトコルによって、行われた。それぞれの消化物は、アガロースまたはアクリルアミドのどちらかのゲルで、分離され、エチジウムブロマイドで染色され、UVによって視覚化された。プライマーは、表2に説明される。
【0087】
核抽出物の調製
肝細胞が、肝線維症で(HF)CTGF(Kobayashi et al., 2005, Gressner et al., 2007)、肝星細胞、および内皮細胞、ならびにミオ-線維芽細胞(Gressner et al., 2008)を産生するので、核抽出物は、ヒト肝細胞株(HepG2細胞)から調製され、デキサメタゾン(1mM)で1時間刺激された。抽出物は、Pierceからの核および細胞質抽出試薬(NE- PER、ピアース、ロックフォード、イリノイ州、米国)を用いて調製された。
【0088】
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドは、次のように、ヌクレオチド変異体の両側に約10bpのスパンで、商業的に合成された。
【0089】

【0090】
相補鎖は、10分間熱湯で反応(オリゴヌクレオチドセンスおよびオリゴヌクレオチドアンチセンス)に置き、室温に冷却させることによって、アニールさせられた。結合反応は、光シフト化学発光EMSAキット(ピアース、ロックフォード、イリノイ州、米国)を用いて行われた。20 fmolの相補的DNAのアリコートは、10mM Tris、50mMKCl、1mMDTT、2.5%グリセロール、5mM MgCl2、50ng/μlポリd(I-C)、0.05%NP-40、pH7.5中の4mgの核抽出物と室温で20分間インキュベートされた。その後、反応液は、8%の非変性ポリアクリルアミドゲルにロードされ、110Vで150分間泳動された。遊離したDNA、およびDNA/タンパク質複合体は、毛管作用によって、ナイロンN+メンブレンに移された。結合は、製造元の指示(Pierce, Rockford, IL, 米国)に従って検出された。
【0091】
【表2】

【0092】

【0093】
【表3】

【実施例】
【0094】
実施例1
2つの中国集団のサンプルにおける重度の肝線維症(HF)を有するCTGF遺伝子座におけるSNP間の関連性
データは、2つの独立した中国人サンプル(日本住血吸虫(S. japonicum)が風土病である地域に住んでいる漁師および農民)について、提供される。疾患表現型は、材料および方法で説明したように、高度な肝線維症(漁師)、または腹水、および出血の既往(農民)を含む。
【0095】
同じビンからのSNPを再び試験した時最も強い関連性を示すSNPおよび変化rs12526196、rs1931002、rs3037970およびrs9402373を含め、(材料と方法で説明されている)遺伝子型と肝線維症(HF)表現型との間の関連性は、第一に、単変量解析を使用して試験され(表4の上部)、第二に、多変量解析によって試験された(表4の下部)。ビンは、相関(r2>0.5)群であり、遺伝子型は、悪化遺伝子型であり、ORは、オッズ比であり、CIは、ORの信頼区間である。
【0096】
漁師のサンプル:n=300、99の例および201のコントロール;共変量:漁業の年数、船の上で生まれたこと、性別、プラジカンテル処置の数。中国人の農民のサンプル:n=294、113のコントロールおよび181の例;共変量 出生地は、風土病がある、または風土病がない、HBV感染が、治った、または活動している(p=0.05、OR=2.38)。
【0097】
漁師の集団における線維症の発症に影響を与える様々な要因の分析は、性別、感染した水への暴露、プラジカンテルでの抗住血吸虫の処置が、線維症のリスクと有意に関連したことが示された。いくつかの共変量の試験は、「漁業の年数」および「船の上で生まれたこと」が、暴露を測定する最高の共変量であったことを示している。「治療」共変量は、過去20年間におけるプラジカンテル処置の数である。
【0098】
試験サンプル
中国人の漁師は、大規模な現地調査中に、船に募集され(漁師のサンプル)、一方、農民(農民のサンプル)は、病院の記録から(例)、彼らの農場または村から直接(コントロール)募集された。漁師は、長年、船の上で、または小さな島で生活し、漁をする。彼らは、感染症に多くさらされたが、一方、大半の農民は、農地における寄生虫伝送が、15〜20年前に中断されてから、長い間も前に感染してきた。漁師と農民は、異なる地理的地域に由来する。漁師は、ほとんどが江蘇省出身であり、わずかが、湖北および江西省の出身である。農民は、いくつかの世代にわたって、湖南省に住んでおり、そのうちのいくらかが、山岳地帯から来ていた。
【0099】
肝線維症(HF)は、Arnaud et al, 2008に示されたように、変更されたWHOガイドラインにしたがって、評価された。漁師のサンプルは、300人の被験者から構成された(201のコントロール、99の例)。例は、重篤なCentF(中央線維症:CLH、D、EまたはF)もしくは重篤なParF(実質線維症:GNHまたはGW)のいずれか、またはCLMおよびGNMの両方を示した。コントロールは、軽度の疾患を有した:CentFib<CLL、そして、ParF<GNL。漁師において肝線維症に影響を与えることができた共変量は、暴露、およびプラジカンテルの処置の数であった。暴露は、2つの共変量を含んだ:漁業の年数、および船の上で生まれたこと。中国人の農民のサンプルは、294人の被験者を含んだ(113のコントロールおよび181の例)。例は、重度のHF(漁師の例で定義される)、腹水および/または静脈瘤を有した。HBVおよびHCV感染症は、このサンプルにおいて、評価することができた;3人の被験者は、HCVに感染しており、含まれていなかったが、一方、>60%は、活性化したまたは治癒したHBV感染を有していた。HBV感染は、分析において有意な共変量であり(p<0.03)、暴露、および処置の数は、中国人の農民において正確に評価されえなかった。
【0100】
本発明者らは、遺伝子型決定のためのいくつかのSNPを選択し、ビンごとに2つのSNP、およびインシリコ分析(図1参照)によって測定して機能的効果を有することができたビンの中または外側の任意のSNPを選択した。そして、これらのSNPは、中国人の漁師の群の450人のより大規模な群において遺伝子型を決定した。
【0101】
線維症と陽性または示唆的のいずれかの関連性を示すSNPは、表4に示される。これらのデータに適用される補正係数は、<20である(材料と方法を参照)。処置は、すべての被験者に対しては、正確に記録することができなかったので、我々は、我々が暴露を知っていた450人の被験者について得られたデータと、暴露および処置の両方が知られていた380人の被験者について得られたデータとを別々に表示する。
【0102】
本発明者らは、S. japonicumが非常に流行している中国中央部の洞庭湖の漁師におけるHFを、最初に検討した。HFの発症に影響を与えた共変量は、性別、暴露、および抗住血吸虫処置であった。これらの共変量を使用して、我々は、201のコントロールおよび99例について、CCN2およびIFNGR1におけるSNP(遺伝子あたり3個のSNP)がHFと関連するかどうかを試験した。CCN2に近いSNP rs9399005が、HFとの関連を示した(p=0.02)。CCN2(3.2kb)、開始コドンの15.3Kb上流および3'UTR領域における14.1Kbの配列決定によって、61個のSNPが明らかになり(図1)、そのうちの50は、以前に説明されていた。MAF>20%を有する53個のSNPが、7つの相関(r2=0.5)ビン(I〜VII)にグループ化された(図1)。我々は、さらなる遺伝子型の決定のために、22個のSNPを選択し、ビンごとに少なくとも2つのSNP、およびインシリコ分析によって評価して機能的効果を有することができたビンの外側のSNP(n=4)を選択した。HFに関連するSNP(表4)は、ビンIIにおけるSNP rs12527705(p= 0.02、OR= 2.3)、およびSNP rs12526196(p= 0.02、OR= 2.2)、ビンIIIにおけるSNP rs9399005(p= 0.02、OR= 2.2)、SNP rs6918698(p= 0.02、OR= 2)、およびD/ I rs3037970(p= 0.003、OR= 2.6)、ビンIVにおけるSNP rs1931002(p= 0.004、OR= 2.3)、およびrs21551532(p= 0.02、OR= 1.98)、並びにビンVIにおけるSNP rs9402373(p= 0.015、OR= 2)であった。分析は、性別(p<0.001)、暴露(漁業の年数:p<0.001、船の上で生まれたこと:p<0.01)、および処置の数(p<0.01)に適合させた。欠失/挿入(D/I)rs3037970は、両方のSNPを同時に試験する多変量解析において、rs6918698を除外した。同様に、SNP rs1931002は、SNP rs21551532を除外し、SNP rs1256196は、SNP rs12527705およびSNP rs9399005を除外した。このことは、SNP rs12526196、rs30337970、rs1931002、rs9402373がHFとの最も強い関連を有することを示した。すべての4つのSNPが、同一の回帰モデルにおいて試験された場合(表4の下部)、SNP rs12526196(p=0.007、OR=3)、rs9402373(p=0.002、OR=2.8)およびrs1931002(p=0.002、OR=2.8)が、HFとの独立した相関を示した。53.9%のコントロールおよび67.5例に存在するハプロタイプ1002C、6196Tは、HFと関連していた(p<0.005)。本発明者らは、また、高度なHFを、門脈圧亢進症の証拠に結びつける表現型を試験した。彼らは、SNP rs9402373(p= 0.005、OR= 2.6)およびD/ I rs3037970(p= 0.05、OR= 2)が、その表現型と関連し、SNP rs1256196が、この、より重篤な疾患の表現型との相関の傾向を示すこと(p= 0.12)を見出した(154コントロールと151例)。性別(p= 0.001)は、共変量としてモデルを入力した。これは、rs9402373およびD/I rs3037970の両方が、重度の線維症に対してより重要な貢献をすることができることを示唆した。
【0103】
本発明者らは、農場で働いている間にS. japonicumに感染し、地元の病院の記録から募集された中国人の農民の追加の独立したサンプルにおいて、これらの結果の再現性を求めた。漁師のサンプルにおいてHFとの相関のいくつかの証拠を示したSNPは、農民のサンプルにおいて、遺伝子型を決定された(113コントロール、181例)。単変量解析は、重度のHFとSNP rs9402373(p= 0.003、OR= 2.23)およびSNP rs1256196(p= 0.02、OR= 1.85)との間の相関を示した。他のSNPは、相関を示さなかった(p>0.1)。多変量解析は、SNP rs9402373(p= 0.03、OR= 2.26)およびrs1256196(p= 0.02、OR= 1.88)の両方が、重度の線維症と独立と相関することを示した。共変量は、出生地(風土病または風土病ではない、p= 0.03)、およびHVBでの感染(p= 0.05)であった。
【0104】
【表4】

【0105】
実施例2
CTGF遺伝子座におけるSNPと、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)に感染したスーダン人およびブラジル人における重度の肝線維症(HF)との間の相関
【0106】
HFの原因となる二つの主要な住血吸虫の株は、アジアにおけるS. japonicumと、アフリカおよび南米におけるS. mansoniである。我々は、スーダンおよびブラジルのS. mansoni流行地におけるHFも、CTGFの対立遺伝子変異体によって影響を受けるかどうかを検討した。中国人漁師におけるHFと関連したCTGFの遺伝子多型は、両方のサンプルにおいて、遺伝子型が決定された(表4)。表現型は、スーダン人の門脈圧亢進に関連する重度のHFか、あるいは、伝染がスーダン人のサンプルと比してブラジル人において低かったためにスーダン人と比べてはるかに少ない影響しか受けないブラジル人の有意な二次的ポータル分岐肥厚のいずれかであった。SNP rs12526196、RS12527705およびrs9402373を含め、遺伝子型とHFの表現型(材料と方法において説明されている)との間の関係が、まず、単変量解析を使用して試験され(表5の上部)、二番目に、多変量解析によって試験された(表5の下部)。遺伝子型は、悪化遺伝子型であり、OR=オッズ比、CI=ORの信頼区間。
【0107】
スーダン人の農民:314:219のコントロールと95の例。
ブラジル人:133:60の例と73のコントロール。
【0108】
研究サンプル
【0109】
スーダン人のサンプル(314被験者、95の例および219のコントロール)が、スーダンのワドメダニ領域の村に住んでいる農民のなかから採用された(Dessein et al., 1999)。重篤な表現型は、HF(グレード> C)を、(Dessein et al., 1999)のように門脈圧亢進症の証拠に関連づける。すべての被験者は、大抵、S. mansoniでの感染に暴露され、プラジカンテル処置を受けていないか、またはほどんど受けていない。しかしながら、暴露および処置の数は、このサンプルにおいて正確に評価できなかった。
【0110】
ブラジル人のサンプル(133被験者、73のコントロールおよび60の例)は、S. mansoniが蔓延したカタツムリが住み着く川と頻繁に接触する成人被験者の間で、北東ブラジルの村において、採用された。10代の若者における住血吸虫卵の排泄によって評価して、中国人とスーダン人と比べて、感染症は、ブラジル人において、はるかに少なかった。門脈圧亢進症を有する重度のHFが、集団の2%未満で観察された。二次的ポータル枝の門脈の肥厚の明確な証拠を示すすべての被験者は、例であり、他方、川と同じような接触を持つ他の被験者は、コントロールであった。
【0111】
本発明者らは、S. mansoniに感染したブラジル人における肝線維症も、CTGFの対立遺伝子変異体による影響を受けるかどうかを検討した。ブラジル人の群が、この研究のために採用され、以前に遺伝子型を決定されたことがない。我々は、中国人の漁師における線維症との明確または示唆的な関連を生じさせるCTGF遺伝子多型を、遺伝子型決定した。この関連性研究において、例は、門脈の二次枝の壁の肥厚の証拠のある被験者であった。唯一の交絡変数は、患者の年齢であった。長年にわたる感染症への暴露の証拠を有するすべての被験者が、選択された。
【0112】
本発明者らは、次に、スーダン、ブラジルの風土病の被験者におけるS. mansoniによって引き起こされるHFが、CTGF対立遺伝子変異体にも影響を受けるかどうかを検討した。中国人の漁師におけるHFに関連するCTGF遺伝子多型が、両方のサンプルにおいて、遺伝子型決定された。表現型は、スーダン人における門脈圧亢進に関連する重度のHFか、スーダンと比べてはるかに少ない影響しか受けないブラジル人における重大な二次的ポータル分岐肥厚かのいずれかであった。
【0113】
結論:
スーダン人(219のコントロール、95の例)における単変量解析(表5左)は、SNP rs9402373(p=0.02、OR=2.7)、rs1256196(p=0.044、OR=3.2)およびrs12527705(p=0.05、OR=3)が、重度のHFと関連することを示した。悪化遺伝子型は、スーダン人と中国人において同一であった(表4および表5)。多変量解析は、SNP rs9402373(p=0.03、OR=2.7)およびSNP rs1256196(p=0.03、OR=3.5)が、その他の共変量なしにHFと独立と関連することを示した。
【0114】
ブラジル人(73のコントロール、60の例)の遺伝子型決定のデータの単変量解析は、その他の共変量なしに、SNP rs9402373(p=0.02、OR=2.57)およびSNP rs6918698(p=0.008、OR=3)の間のHFとの関連を示した(表5右)。両方のSNPのための疾患に関連する遺伝子型は、中国人とスーダン人において同一であった(表4および表5)。多変量解析は、SNP rs9402373およびrs6918698が、ブラジル人において独立して(p<0.001、OR>4)HFに関連することを示した。
【0115】
インシリコ分析は、対立遺伝子変異SNP rs9402373およびrs12526196が、核因子と異なって結合するかもしれないことを示唆していた。我々は、EMSAを用いてこれを実証した:rs9402373C対立遺伝子は、G対立遺伝子が結合しなかった核因子に結合した(図2A)。この結合は、特異的な非ビオチン化プローブと競合した(図2B)。EMSAは、rs12526196T対立遺伝子に対する核内因子のより高い結合親和性も示した(図2A)。EMSAは、rs12527705およびrs1931002多型に対する対立遺伝子特異的結合を明らかにしなかった(図2A)。
【0116】
そして、SNP rs9402373は、試験された4つの全てのサンプルにおけるHFと関連していた。この関連は、厳しい線維症の表現型またはより深刻な表現型(門脈血血圧のHF+証拠)を用いて、中国人とスーダン人において得られた。SNP rs1256196は、中国人とスーダン人におけるHFとも独立して関連した。我々のEMSAデータは、SNP rs1256196およびSNP rs9402373の対立遺伝子変異が、核因子に異なって結合することを示し、それらが遺伝子転写の制御、または転写産物の安定性に影響を与える可能性があることを示唆する。
【0117】
HBV感染は、中国人の農民の分析において、有意な共変量であり、HBVが、重度の疾患に対して有意に貢献しそうであることを示す。このことは、SNP rs1256196およびSNP rs9402373が、HBVを原因とするHFを変調するかもしれないことも示唆する。
【0118】
結論として、本研究は、線維症への多型の関連をこと示し、疾患の進行における最も重要な段階を同定し、新しい治療的な標的を示す。また、本研究は、HF進行の有益なマーカーを提供する。
【0119】
【表5】

【0120】
実施例3:CTGF遺伝子座におけるSNP間のHCV感染者における肝線維症(HF)との関連性
【0121】
HCVに感染したフランス人被験者におけるCTGF遺伝子変異体の分析
【0122】
実施例1は、中国人集団のサンプルにおけるCTGFをコードする遺伝子におけるSNP相関ビン(r2>0.8)を説明する。これらは、遺伝子全体および3'および5'隣接領域の10Kbにわたって明らかにされた。小さな対立遺伝子頻度>20%を有するSNPのみ、分析された。7つのビンがあり、そのうちの4つ(グループII、III、IVおよびVI)が、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)に感染した中国人の漁師における住血吸虫卵を原因とする肝線維症と、いくらかの関連を示した。実施例3において、本発明者らは、これら4つのビンのそれぞれにおいて、2つのSNPについて、およびHCVに感染したフランス人のサンプルにおいて、(住血吸虫性線維症との示唆的な関連を示す)さらなるSNP rs9399005について、遺伝子型決定をし、それらのいずれかが、進行性の肝線維症と関連するかどうかを決定した。本発明者らは、ビンIIIおよびVIにおける関連の証拠を見出したが、ビンIIとIVにおいては見出さなかった。ビンIVにおけるSNP rs6918698(p=0.03)およびSNP rs3037970(p=0.04)は、肝線維症と関連した。SNP rs6918698のCGおよびGG遺伝子型は、疾病悪化と関連した(OR=2.1、CI=1.1〜4.0)。
【0123】
ビンVIは、フランス人のサンプルにおいても肝線維症と関連付けられた(p= 0.007)SNP rs9402373のみを含む。疾患は、CC遺伝子型によって悪化した(OR=2.54;1.3〜4.96)。興味深いことに、被験者ホモ接合C/Cは、ホモ接合GGと比較して、重度の肝線維症のリスクの平均4倍の増大を示した(OR=4.1、CI=1.1〜14)。SNP rs6918698およびSNP rs9402373を含む多変量ロジスティック回帰分析は、後者が肝線維症と最も強く関連付けられることを示した。SNP rs9402373の存在にもかかわらず、SNP rs6918698は、肝疾患との関連の傾向を示し、このことは、SNP rs9402373が疾患とのSNP rs6918698の完全な関連を説明することができなかったことを示唆している。このように、本発明者らは、両方のSNPが、線維症に独立に関連付けられることを結論づけた。
【0124】
CTGF遺伝的変異は、HCVに感染したブラジル人における肝線維症にも関連する。
【0125】
本発明者らは、その後、HCVに感染したブラジル人における同一の4つのビンからのSNPを試験することによって、上記の調査結果の確認を求めた。彼らは、SNP rs6918698(p= 0.0004)が、肝線維症と明確に関連することを見出した。SNP rs3037970は、関連の傾向(p=0.07)を示し、SNP rs6918698は、SNP rs3037970関連を説明した。SNP rs6918698悪化遺伝子型は、G/G(OR 2.94;1.5〜7.7)であった。フランス人のサンプルのように、本発明者らは、ビンVIにおけるSNP rs9402373が、ブラジル人サンプルにおける肝線維症(OR=2.94、1.45〜5.97)と強く関連する(p= 0.003)ことを観察した。注目すべきことに、このサンプルにおいて、フランス人のサンプルのように、C/Cが疾患を悪化させた。G/G遺伝子型を有する被験者は、数少なかったので、本発明者らは、ホモ接合体の被験者間で重度の線維症のリスクを比較することができなかった。最後に、本発明者らは、肝線維症とのSNPrs9399005の関連の傾向(p= 0.06)も示した。
【0126】
ロジスティック回帰分析は、SNP rs9402373(p= 0.029)およびSNP rs6918698(p= 0.03)の両方が、同等の相対リスク(OR=2.4〜2.5)で肝線維症に独立に寄与し、線維症に対するSNP rs9399005の関連が二つのSNPの存在下で失われることを示し、このことは、肝線維症に対するこのSNPの関連が、SNP rs9402373およびSNP rs6918698に対するその相関関係によって、完全に説明される可能性が高いことを示唆する。しかしながら、SNP rs9399005も、肝線維症に独立に関連することができたことを完全に除外することはできない。
【0127】
【表6】


【0128】
本発明者らは、その後、HCVに感染したフランス人およびブラジル人におけるSNP rs9402373で得られたデータのメタ分析を行った。線維症関連遺伝子型は、フランス人(G/G+ C/G)とブラジル人(G/G)とで異なったから、このような分析は、SNP rs6918698では行われなかった。本発明者らは、SNP rs9402373CC遺伝子型がHCVを原因とする肝線維症と関連すること(p=0.00005、OR=2.72; 1.67〜4.43)を見出した。
【0129】
肝線維症とのSNP rs9402373のこの同じCC遺伝子型の関連が上記の実施例で示されたので、本発明者らは、HCV誘導HF(2つの研究)および住血吸虫誘導HF(4つの研究)とのこのSNPの関連を試験する研究のメタ分析も行った。このようなメタ分析の結果は、図3に示され、そして、SNP rs9402373のCCが、顕著に異なる遺伝的背景を有する集団(中国人、スーダン人、ブラジル人、およびフランス人)において、異なる病原体HCV、S. mansoniおよびS. japonicum)によって引き起こされる重度の肝線維症(OR=2.47;1.8〜3.25)と強く関連する(p<10-9)ことを示す。
【0130】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において発生する線維症の素因の検出、または診断および/もしくは予後診断のインビトロの方法であって、前記の被験者の生物学的サンプルにおけるCTGF遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法。
【請求項2】
線維症の進行の評価のための請求項1の方法。
【請求項3】
前記変化が、CTGF遺伝子の開始コドンの上流20kb、CTGF遺伝子の3'UTRの下流20kb内に位置する、請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記変化が、CTGF遺伝子の開始コドンの上流15.3kbからCTGF遺伝子の3'UTRの下流14.1 kbまでの領域に位置する、請求項3の方法。
【請求項5】
前記変化が、1または複数の塩基の変異、挿入、または欠失である、請求項1〜4のいずれかの方法。
【請求項6】
前記変化が、1または複数の一塩基多型(SNP)である、請求項5の方法。
【請求項7】
前記SNPが、rs12527705、rs12526196、rs9399005、rs6918698、rs1931002、rs2151532およびrs9402373からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該変化が、rs3037970として識別される塩基の欠失または挿入である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記線維症が、肝線維症、肝硬変、皮膚ケロイド、肥厚性瘢痕、皮膚硬化症および肥満から選択されるヒト線維性疾患において発生する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記肝線維症が、肝Aウイルス、肝Bウイルス、肝Cウイルス、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)またはマンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)感染に起因する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
HCVに感染した被験者の生物学的サンプル中のCTGF遺伝子座におけるSNP rs9402373および/またはrs6918698の存在を検出することを含み、位置rs9402373における対立遺伝子Cおよび/または位置rs6918698における対立遺伝子Gの存在が、被験者における、肝線維症の発症のリスク、もしくは肝線維症の発症、または肝線維症の予後不良の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
CTGF遺伝子座における変化の存在が、配列決定、選択的ハイブリダイゼーションおよび/または選択的増幅によって検出される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
SNPの存在が、制限酵素消化によって検出され、少なくとも一つの前記SNPの検出が、
線維症の指標となる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
線維症を有する、または発症する傾向にある被験者のための治療用化合物を選択する方法であって、CTGFポリペプチドもしくは遺伝子またはそれらの断片と試験化合物を接触する工程、およびCTGF遺伝子座に関連する経路の生物学的活性または機能を増強または低減させる前記試験化合物の能力を測定する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524520(P2012−524520A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550565(P2011−550565)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052048
【国際公開番号】WO2010/094740
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(503285612)ユニヴェルシテ・ドゥ・ラ・メディテラネ (15)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LA MEDITERRANEE
【出願人】(591049848)
【氏名又は名称原語表記】INSERM
【Fターム(参考)】