説明

編成併結システムおよび併結方法

【課題】同種のみならず異種の車両情報装置を搭載した編成間での併結を可能にする編成併結システムおよび併結方法を提供すること。
【解決手段】編成併結時に、伝送読替装置2は、編成種別情報出力部70から得られた編成種別情報と自身の保持するテーブルとに基づいて編成C用の伝送フォーマットを認識する。列車モニタ装置1aから車両情報管理装置12cへと車両情報が送信される場合は、当該車両情報の伝送フォーマットを編成A用の伝送フォーマットから編成C用の伝送フォーマットへ変換し、車両情報管理装置12cから列車モニタ装置1aへと車両情報が送信される場合は、当該車両情報の伝送フォーマットを編成C用の伝送フォーマットから編成A用の伝送フォーマットへ変換することにより、両編成間を通信可能に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報装置を搭載した列車の編成を併結するための編成併結システムおよび併結方法に関し、特に、併結する編成間で車両情報装置の構成や伝送フォーマットが異なる場合でも併結を可能にする編成併結システムおよび併結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両情報装置は、列車の各車両に搭載された空調装置やブレーキなどの各種機器を監視制御する装置であり、通常、編成端の車両に中央装置(中央局)が設置され、中間車両にはそれぞれ端末装置(端末局)が設置される。また、車両情報装置は、中央装置(中央局)−端末装置(端末局)間、および端末装置(端末局)−端末装置(端末局)間で情報の伝送を行うことにより情報を共有し、車両搭載機器の監視制御を行う。車両情報装置には列車の車両に搭載された各種機器の監視を行う列車モニタ装置や、監視の他に各種機器の制御も行う車両情報管理装置などいくつかの種類(編成種別)がある。
【0003】
特許文献1では、異なるシステム間での併結に関して、シリアル伝送を利用した編成と引き通し線を利用した編成との併結について開示している。同文献の第3頁の第0004段落では、引き通し線にて指令信号を送信する列車編成と情報制御装置(車両情報装置の一種)を介してシリアル伝送にて指令信号を送信する列車編成との併合を信号のレベル変換を行うことにより可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3970508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載された併結方法においては、同種の情報制御装置間での併結を前提にしているため、異種の情報制御装置を搭載した編成間での併結が困難であるという問題があった。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、同種のみならず異種の車両情報装置を搭載した編成間での併結を可能にする編成併結システムおよび併結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる編成併結システムは、自編成内の各車両に搭載され、当該自編成内の車両搭載機器に関する情報である車両情報を自編成用の伝送フォーマットに従って自車両間で送受信して収集する自編成内車両情報装置と、前記自編成と併結される複数種の編成のうちの任意の一つの編成である他編成の各車両に搭載され、当該他編成内の車両搭載機器に関する情報である車両情報を他編成用の伝送フォーマットに従って自車両間で送受信して収集する他編成内車両情報装置と、前記自編成と前記他編成との併結時に両編成間を電気的に接続する電気連結器と、前記自編成の車両に搭載され、前記併結時に前記電気連結器から得られた接点情報に基づいて前記他編成の編成種別を判別し編成種別情報として出力する編成種別情報出力部と、前記自編成の車両に搭載されるとともに前記複数種の編成の伝送フォーマットに関する情報をテーブルとして保持して、前記自編成用の伝送フォーマットと前記他編成用の伝送フォーマットとの間の相互の変換を行う伝送読替装置と、を備え、前記他編成と前記自編成とが同じ編成種別であって両編成で同じ伝送フォーマットが使用される場合は、前記併結時に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置とが前記伝送読替装置を介することなく前記電気連結器により電気的に接続された後に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置との間で前記車両情報の送受信がなされ、前記他編成と前記自編成とが異なる編成種別である場合は、前記併結時に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置とが前記伝送読替装置および前記電気連結器を介して電気的に接続された後に、前記伝送読替装置は、前記編成種別情報と前記テーブルとに基づいて前記他編成用の伝送フォーマットを認識して、前記自編成内車両情報装置から前記他編成内車両情報装置へ送信される前記車両情報の伝送フォーマットを前記自編成用の伝送フォーマットから前記他編成用の伝送フォーマットへ変換するとともに、前記他編成内車両情報装置から前記自編成内車両情報装置へ送信される前記車両情報の伝送フォーマットを前記他編成用の伝送フォーマットから前記自編成用の伝送フォーマットへ変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、自編成と他編成とが同じ編成種別であって同じ伝送フォーマットの場合のみならず、自編成と他編成とが異なる種別であって使用される伝送フォーマットが互いに異なる場合でも、両編成間を通信可能に併結することができる。したがって、自編成と異種の車両情報装置を搭載した他編成との併結が可能となり、種々の車両情報装置を搭載した編成間での併結が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる編成併結システムにおける編成Aの構成を示す図である。
【図2】図2は、編成Aと同種のシステムを搭載した編成Bと、編成Aとの併結時におけるシステム構成を示した図である。
【図3】図3は、編成Aと異種のシステムを搭載した編成Cと、編成Aとの併結時におけるシステム構成を示した図である。
【図4】図4は、編成Aと編成B間でのデータ送受信方法を示した図である。
【図5】図5は、編成Aと編成C間でのデータ送受信方法を示した図である。
【図6】図6は、伝送読替装置による伝送フォーマットの変換例を示す図である。
【図7】図7は、中央局と伝送読替装置との間の通信手順を示す図である。
【図8】図8は、編成Aと同種のシステムを搭載した編成Dと、編成Aとの併結時におけるシステム構成を示した図である。
【図9】図9は、電気連結器のピン構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる編成併結システムおよび併結方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる編成併結システムにおける編成Aの構成を示す図である。図1では、列車の編成Aは例えば複数台の車両からなり、特に編成Aの一端である併結車両11aとこれに連結されている車両21aとを示している。編成Aは、図示しない他編成と併結され得る。
【0012】
編成Aの併結車両11aには、列車モニタ装置1aが搭載され、この列車モニタ装置1aは中央局3aとこれに接続された伝送読替装置2とを備えている。列車モニタ装置1aは車両情報装置の一種であり、編成Aの各車両に搭載された各種機器(機器4a,5a、表示器6aなど)の状態に関する情報(車両情報)を収集し、これらの機器の監視を行うものである。機器4a,5aは、例えば空調装置やブレーキなどである。伝送読替装置2は、後述するように、併結編成間で車両情報の伝送フォーマットが互いに異なる場合に、車両情報の読み替えが可能なように一方の編成での伝送フォーマットから他方の編成での伝送フォーマットへと伝送フォーマットの変換をする機能を備えた装置である。伝送読替装置2は、編成の種別が異なる複数種の編成について各編成で使用される伝送フォーマットに関する情報をテーブルとして保持しており、伝送フォーマットの変換をこのテーブル情報に基づいて行う。なお、本実施の形態では、伝送読替装置2を列車モニタ装置1aの構成の一部としているが、列車モニタ装置1aに含めない形で併結車両11aに搭載してもよい。
【0013】
中央局3aには車両内伝送線7aと車両間伝送線8aが接続されている。中央局3aは車両内伝送線7aを介して伝送読替装置2に接続されるとともに、自車両内の機器4a,5aおよび表示器6a等と接続されている。また、中央局3aは車両21aに搭載された列車モニタ装置1aである端末局16aと車両間伝送線8aを介して接続されている。すなわち、編成Aの各車両にはそれぞれ列車モニタ装置1aが搭載され、併結車両11aではそれが中央局3aであり、他車両である車両21aではそれが端末局16aである。なお、編成Aの両端における車両(例えば、併結車両11a)以外の中間車両(例えば、車両21a)では、列車モニタ装置1aとして端末局が搭載される。また、併結車両11aとは異なる編成Aの別の一端の車両には、中央局または端末局を搭載することができ、さらに伝送読替装置を搭載してもよい。端末局16aは、中央局3aと同様に、車両内伝送線7aを介して自車両に搭載された機器4a,5aおよび表示器6a等と接続されている。また、中央局3aは車両間伝送線8を介して端末局16aと通信可能である。
【0014】
また、中央局3aから併結側に車両間伝送線80aが引き出されている。この車両間伝送線80aは車両間伝送線8aと同様の伝送線である。さらにまた、伝送読替装置2から併結側に車両間伝送線9aが引き出されている。
【0015】
中央局3aは、編成A全体の搭載機器の情報を収集し、収集した情報を車両間伝送線80aまたは車両間伝送線9aを介して併結される他編成に送信することができる。また、図1に示すように、編成Aでは、併結車両11a、車両21aに亘って引き通し線10aが配設されている。この引き通し線10aは、編成Aにおける例えば力行またはブレーキ指令などの主に保安上の制御に関連した制御指令情報を伝送するための信号線である。
【0016】
また、併結車両11aには、編成種別情報出力部70が設けられている。編成種別情報出力部70は、後述するように、併結時に電気連結器から接点情報を取得し、この接点情報に基づいて編成Aに併結された編成の種別を判別してその情報を中央局3aに出力する。そして、中央局3aは、取得した編成種別情報を伝送読替装置2に出力する。なお、この編成種別情報出力部70の機能を例えば中央局3aに付与する構成でもよい。この場合、中央局3aは、電気連結器から接点情報を直接取得した後に編成種別情報を伝送読替装置2へ出力する。この構成では、編成種別情報出力部70を別に設ける必要がないという利点がある。
【0017】
次に、列車モニタ装置1aの動作について説明する。なお、編成Aと他編成との併結時の動作は後述するため、ここでは編成Aの単独編成時の動作について述べる。まず、車両21a内の各種機器(機器4a,5bおよび表示器6a等)の情報は、車両21a内の車両内伝送線7aを経由して、端末局16aへ収集される。また、併結車両11a内の各種機器(機器4a,5bおよび表示器6a等)の情報は、併結車両11a内の車両内伝送線7aを経由して、中央局3aへ収集される。
【0018】
続いて、端末局16aで収集された情報は、車両21a以外の車両に搭載された列車モニタ装置1a(例えば中央局3a)に送信するために、端末局16aにて、列車モニタ装置1aに応じて決まる編成A用の伝送フォーマットに従って編集される。ここで、伝送フォーマットは、各機器情報の並べ方などデータ送受信時の車両情報の書式を一般的に表している。同様に、中央局3aで収集された情報も、端末局16aに送信するために、中央局3aにて、編成A用の伝送フォーマットに従って編集される。これにより、中央局3aおよび端末局16aにてそれぞれ集められた情報は編成A内で統一された伝送フォーマットに従って編集されることとなる。
【0019】
端末局16aで編集された車両情報は、車両間伝送線8aを介して、中央局3aへ送信される。同様に、中央局3aで編集された車両情報は、車両間伝送線8aを介して、端末局16aへ送信される。中央局3aおよび端末局16aは、それぞれ自車両の情報を編集して他車両に送信するとともに他車両からの情報を受信する。これにより、編成A内の搭載機器の情報が中央局3aおよび端末局16aに集められる。なお、収集された車両情報は各車両の表示器6aを用いて表示することにより運転手や車掌へ提供される。また、中央局3aは編成A内の各車両から収集された車両情報を他編成へ送信する役割も担う。
【0020】
次に、編成Aが他編成と併結する際のシステム構成について説明する。図2は、編成Aと同種のシステムを搭載した編成Bと、編成Aとの併結時におけるシステム構成を示した図である。図2では、編成Bは編成Aと同じ種別(編成種別)であり、具体的には編成Aに搭載された車両情報装置(列車モニタ装置1a)と同種の列車モニタ装置1bを搭載している。編成Aとの差異は主に列車モニタ装置1bに伝送読替装置2が含まれていない点である。詳細には、編成Bの各車両には列車モニタ装置1bが搭載されており、特に編成端にある被併結車両11bには列車モニタ装置1bの中央局3bが搭載されている。なお、併結車両11aと被併結車両11bに関して、いずれが併結/被併結であるかは表現上の差異であって本質的ではない。また、以下では、編成Aを自編成、編成Aに併結される編成を他編成ともいう。
【0021】
中央局3bは、車両間伝送線8bを介して図示しない編成Bの他車両に搭載された端末局に接続されるとともに、車両内伝送線7bを介して機器4b,5bおよび表示器6b等に接続されている。また、中央局3bからは併結側に車両間伝送線80bが引き出されている。この車両間伝送線80bは、車両間伝送線8bと同様の伝送線である。
【0022】
編成Bは、編成Aと同種の車両情報装置である列車モニタ装置1bを搭載していることから、編成B内で車両情報の伝送に使用される伝送フォーマットは編成A用の伝送フォーマットと同じものである。
【0023】
また、図2に示すように、併結時には、編成Aの中央局3aから編成B側に引き出された車両間伝送線80aと編成Bの中央局3bから編成A側に引き出された車両間伝送線80bとを電気連結器22を介して接続する。電気連結器22は、編成Aと編成Bとを両編成間で通信可能に電気的に連結するものである。電気連結器22は、例えば、併結車両11aの端部に設けられた雄型又は雌型の連結部(図示せず)と、併結車両11aの連結部と連結・分離可能であって被併結車両11bの端部に設けられた雌型又は雄型の連結部(図示せず)とで構成される。
【0024】
また、編成Bでも編成Aと同様に、車両間に亘って引き通し線10bが配設されている。この引き通し線10bは、編成Bにおける例えば力行またはブレーキ指令などの制御指令情報を伝送するための信号線である。
【0025】
次に、図2のシステムの動作について説明する。各編成内の動作に関しては、図1の場合と同様である。例えば編成Aに関しては、各種機器(機器4a,5aおよび表示器6a等)の情報が中央局3aおよび端末局(図示せず)にそれぞれ集められ、各局に集められた情報は編成A用の伝送フォーマットに従って編集され、さらに各局で編集された情報は車両間伝送線8aを介して編成A内の車両間で互いに送受信される。これにより、中央局3aおよび端末局は編成A内の車両情報を共有することができる。編成Bの動作も編成Aの場合と同様であり、編成Aと同じ伝送フォーマットに従って車両情報の伝送を行う。
【0026】
次に、編成Aと編成Bの併結時の動作について説明する。まず、編成Aと編成Bが機械的に併結されると、双方の連結部間の接点位置に基づいて編成Aと併結された編成が編成Bであることが自動認識され、これにより中央局3aと中央局3bとが、車両間伝送線80aと電気連結器22と車両間伝送線80bとを介して電気的に接続される。また、引き通し線10aと引き通し線10bとが電気連結器23を介して接続される。
【0027】
上述のように、編成Aと編成Bはそれぞれ同種の車両情報装置を搭載し、従って同種のシステムを採用しているため、編成Aに搭載された各種機器(機器4a,5aおよび表示器6a等)に関する情報と編成Bに搭載された各種機器(機器4b,5bおよび表示器6b等)に関する情報は同一の伝送フォーマット(編成A用の伝送フォーマット)で編集されている。そのため、中央局3aに接続された車両間伝送線80aと中央局3bに伝送された車両間伝送線80bとを電気連結器22を介して接続することにより、両編成間で伝送フォーマットの変換を行うことなく、車両情報の授受を行うことが可能となる。
【0028】
ここで、電気連結器22の接点について説明する。図9は、電気連結器22のピン構造の例を示す図である。図9では、例えば併結車両11aの連結部60のピン構造を示しており、例えば12本のピンで構成されている。これらのピンのうち、ピンPは併結確認用のピンであり、ピンQ,Rは編成種別判別用のピンである。ピンP,Q,Rに対して、例えば接点位置がピンPのみであるときには、編成Aは併結された状態でかつ併結された編成が編成Aと同種のシステムを搭載した「編成B」であると判別する。そして、この接点位置に基づき、実際に中央局3a,3b間が電気連結器22により電気的に接続される。車両情報の送受信は、図9の例えばピン番号1のピンを介してなされる。なお、編成種別情報出力部70は、電気連結器22から得られた接点情報に基づいて編成Bに関する編成種別情報を中央局3aに出力する。これにより、中央局3aは、編成Aに併結された編成の種別を認識することができる。
【0029】
図4は、編成Aと編成B間でのデータ送受信方法を示した図である。上述のように、編成Aと編成Bはともに同種のシステムを搭載しているため、編成Aと編成Bではデータ送受信のための伝送フォーマットが同じである。そのため、併結時には中央局3aと中央局3bが直接通信を行いデータの送受信を行うことができる。例えば、中央局3aは、編成A内で収集された車両情報である情報IAを編成B内の中央局3bへ直接送信することができる。中央局3bから中央局3aへの情報IBの送信についても同様である。
【0030】
また、編成間では、引き通し線10a、電気連結器23、および引き通し線10bにより、編成A内の制御指令情報と編成B内の制御指令情報が授受される。
【0031】
次に、編成Aが他編成と併結する際の別のシステム構成として、編成Aとは編成種別の異なる編成Cと併結する際のシステム構成について説明する。具体的には、車両情報装置として列車モニタ装置1aを搭載した編成Aと、車両情報装置として列車情報管理装置12を搭載した編成Cとの併結について説明する。列車情報管理装置12は、列車モニタ装置1aとは異種の車両情報装置であり、従って編成Cは編成Aと異なるシステムを採用している。
【0032】
図3は、編成Aとは異種のシステムを搭載した編成Cと、編成Aとの併結時におけるシステム構成を示した図である。図3に示すように、編成Aの構成は、図1または図2と同様であり、したがって同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0033】
他方、編成Cでは、被併結車両11cに列車モニタ装置1aとは機種の異なる車両情報管理装置12cが搭載されている。車両情報管理装置12cは、車両搭載機器の監視機能に加えてその制御を行う機能を有し、編成Cの各車両に搭載されている。また、被併結車両11cには、車両情報管理装置12cとして、中央装置13とこれに接続された端末装置16とが設けられている。編成Aと編成Cは互いに異なるシステムを採用しており、したがって、編成A内で使用される編成A用の伝送フォーマットと編成C内で使用される編成C用の伝送フォーマットは異なる。
【0034】
車両情報管理装置12cは冗長系で構成されており、本実施の形態では例えば2重系で構成される。具体的には、中央装置13は、中央装置1系14と中央装置2系15からなり、端末装置16は、端末装置1系17と端末装置2系18からなる。車両情報管理装置12cは2重系の構成を採用していることから、列車モニタ装置1aよりも信頼性の高い構成である。
【0035】
中央装置13は、被併結車両11cに搭載された各種機器(機器4c,5cおよび表示器6c等)と車両内伝送線7cを介して接続されており、これらの機器に関する車両情報を収集する。なお、中央装置13は、編成Cにおける被併結車両11cとは異なる別の一端の車両に搭載することもできる。
【0036】
端末装置16は、被併結車両11cに搭載された各種機器(機器34c〜36c等)に関する車両情報を取得する。端末装置16は、中央装置13とは接続される機器が異なるものの同様の機能を備えており、車両搭載機器に関する車両情報の収集およびその制御を行う。また、端末装置16は、編成Cの中間車両(図示せず)にも搭載される。
【0037】
中央装置1系14は端末装置1系17と接続され、中央装置2系15は端末装置2系18と接続されている。すなわち、1系どうしまたは2系どうしが接続される。また、中央装置1系14は、自車両内の端末装置1系17を介して車両間伝送線50cにより他車両(図示せず)に搭載された1系の車両情報管理装置12cと接続されている。同様に、中央装置2系15は、自車両内の端末装置2系18を介して車両間伝送線51cにより他車両(図示せず)に搭載された2系の車両情報管理装置12cと接続されている。さらに、中央装置1系14から併結側に車両間伝送線19cが引き出されている。この車両間伝送線19cは車両間伝送線50cと同様の伝送線である。また、中央装置2系15から併結側に車両間伝送線20cが引き出されている。この車両間伝送線20cは車両間伝送線51cと同様の伝送線である。中央装置1系14または中央装置2系15は編成C内の各車両から収集された車両情報を他編成へ送信する役割も担う。
【0038】
また、図3に示すように、併結時には、伝送読替装置2と中央装置2系15とが編成A内の車両内伝送線9a、編成間の電気連結器24、および編成C内の車両内伝送線20cを介して接続される。これにより、編成Cで収集されたデータ(編成C内の車両情報)を編成Aに送信する場合には、伝送読替装置2にて編成C用の伝送フォーマットによるデータを編成A用の伝送フォーマットに変換し、編成Aで収集されたデータ(編成A内の車両情報)を編成Cに送信する場合には、伝送読替装置2にて編成A用の伝送フォーマットによる車両情報を編成C用の伝送フォーマットに変換する。なお、編成Cどうしを併結する場合は、車両情報管理装置12cの車両間伝送線19c,20cを直接編成間で接続すればよい。
【0039】
また、被併結車両11cには、引き通し入出力回路75が設けられている。この引き通し入出力回路75は、被併結車両11c内に配設された車両内伝送線10cの経路に介在する。また、車両内伝送線10cの一端は中央装置13に接続されている。上述のように、列車モニタ装置1aは車両搭載機器の監視のみを行う装置であり、そのため制御指令情報は引き通し線10aを介して送受信される。これに対して、車両情報管理装置12cは車両搭載機器の制御も行う。そこで、編成Aと編成Cとの併結時には、引き通し線10aと中央装置13とを接続し、中央装置13にて編成A内の制御指令情報を受信するとともに、中央装置13から編成Aに対して制御指令を送信する構成とする。ただし、編成Aと編成Cとではシステム構成が異なるため、制御指令情報の伝送フォーマットも互いに異なる。そこで、引き通し入出力回路75は、編成A内での制御指令情報の伝送フォーマットと編成C内での制御指令情報の伝送フォーマットとの変換を行う。
【0040】
次に、編成Cの単独編成時の動作、特に車両情報管理装置12cの動作について説明する。中央装置1系14および中央装置2系15は、それぞれ車両内伝送線7cを介して各種機器(機器4c,5c、表示器6c等)に関する車両情報を収集する。また、端末装置1系17および端末装置2系18は、それぞれ車両内伝送線7cを介して各種機器(機器34c〜36c等)に関する車両情報を収集する。
【0041】
続いて、中央装置1系14および中央装置2系15は、それぞれ収集した車両情報を編成C内で使用される伝送フォーマット(編成C用の伝送フォーマット)に従って編集する。ここで、編成C用の伝送フォーマットは車両情報管理装置12に応じて決まるフォーマットであり、編成A用の伝送フォーマットとは異なるものである。また、端末装置1系17および端末装置2系18でも、同様に編成C用の伝送フォーマットに従ってそれぞれ収集された車両情報の編集がなされる。また、編成C内の他車両に搭載された端末装置等の車両情報管理装置12cにおいても、同様に車両情報の収集および編集が行われる。
【0042】
次に、各車両に搭載された車両情報管理装置12cは、車両間伝送路50c,51cを介してそれぞれ編集された車両情報を相互に送受信し、これにより、編成C内の車両情報が各車両に搭載された車両情報管理装置12cにて共有される。また、編成C内の車両情報は表示器6cを用いて運転手および車掌に表示・提供される。
【0043】
さらに、車両情報管理装置12cでは、収集された車両情報に基づいて各機器(機器4c,5c、機器34c〜36cなど)への制御指令を決定し、この制御指令を、車両内伝送線7cを介して各機器(機器4c,5c、機器34c〜36cなど)へ送信して制御を行う。なお、編成A内の列車モニタ装置1aの動作は前述の通りである。
【0044】
次に、編成Aと編成Cの併結時の動作について説明する。編成Aと編成Cのように車両情報装置が互いに異なりシステムが互いに異なる編成間での併結において考慮すべき点は主に2つある。1つ目はシステムが異なることから伝送フォーマットが互いに異なる点、2つ目は車両情報装置の機能の違いであり、車両情報管理装置12は搭載機器のモニタリングのみならず、力行やブレーキなどの制御指令を決定し、編成C内でこれらの制御指令情報の伝送を行っている点である。以下では、この2点に留意して動作の説明を行う。
【0045】
まず、編成Aと編成Cが機械的に併結されると、双方の連結部間の接点位置に基づいて編成Aと併結された編成が編成Cであることが自動認識され、これにより伝送読替装置2と中央装置2系15は、車両間伝送線9aと電気連結器24と車両間伝送線20cとを介して電気的に接続される。すなわち、中央局3aと中央装置2系15とが伝送読替装置2を介して接続されることになる。編成Aと編成Cではそれぞれ送受信時の伝送フォーマットが異なることから、中央局3aと中央装置1系14をそのまま接続しても車両情報の送受信を行うことができず、そのため編成間での車両情報の授受に際して伝送読替装置2を介在させ伝送フォーマットの変換を行うようにしたものである。これは異種システム間での併結における上記1つ目の問題を解決するための構成である。
【0046】
また、編成A内の引き通し線10aと編成C内の車両内伝送線10cは電気連結器23を介して接続され、引き通し線10aと中央装置13とが引き通し入出力回路75を介して接続される。後述するように、これは上記2つ目の問題を解決するための構成である。
【0047】
なお、連結部間の接点位置に基づく編成種別の自動認識の方法は、編成Aと編成Bとの併結で説明した方法と同様である。具体的には、図9のピンP,Q,Rに対して、例えば接点位置がピンPとピンQであるときには、編成Aは併結された状態でかつ併結された編成が編成Aとは異種のシステムを搭載した「編成C」であると判別する。そして、この接点位置に基づき、実際に伝送読替装置2と中央装置2系15間が電気連結器24により電気的に接続される。車両情報の送受信は、図9の例えばピン番号2のピンを介してなされる。なお、編成A内の車両間伝送線80aと編成C内の車両間伝送線19cとの間も図示しない連結器で機械的には接続されているが、その連結部の接点位置から同様に編成Cを自動認識することで、中央局3aと中央装置1系14とを電気的に接続しないように構成されている。このように、電気連結器24は、併結時の接点位置に応じて、編成間を電気的に接続するか否かを決定する構造となっている。
【0048】
続いて、編成種別情報出力部70は、電気連結器24から得られた接点情報に基づいて編成Cに関する編成種別情報を中央局3aに出力する。これにより、中央局3aは、編成Aに併結された編成の種別を認識することができる。さらに、編成種別情報は中央局3aを経て伝送読替装置2に送信され、これにより、伝送読替装置2は、編成Aに併結された編成の種別を認識することができる。
【0049】
次に、伝送読替装置2の動作について図5を参照して説明する。図5は、編成Aと編成C間でのデータ送受信方法を示した図であり、(a)は編成Aから編成Cへのデータの伝送方法を示し、(b)は編成Cから編成Aへのデータの伝送方法を示す。
【0050】
図5(a)に示すように、列車モニタ装置1aにて例えば情報IAが編成A用の伝送フォーマットに従って作成され、この情報IAは中央局3aに送信された後に、さらに中央局3aから伝送読替装置2へ送信される。伝送読替装置2は、編成Aの併結の対象となる複数種の編成について各編成で使用される伝送フォーマットに関する情報をテーブルとして保持しており、編成種別情報出力部70から得られた編成種別情報、すなわち編成Cが併結されたという情報と前記テーブル情報とに基づき、編成C用の伝送フォーマットを認識する。そして、伝送読替装置2は、情報IAを編成C用の伝送フォーマットによる情報IA’に変換し、この情報IA’を車両情報管理装置12cの中央装置2系15に送信する。このような処理により、編成Aで収集されたデータを編成Cにて利用することが可能となる。
【0051】
次に、図5(b)に示すように、車両情報管理装置12cにて収集された情報IC’は、中央装置2系15から伝送読替装置2に送信される。情報IC’は編成C用の伝送フォーマットに従って編集されている。上記のように伝送読替装置2は、併結された編成Cの伝送フォーマットを認識しているので、情報IC’を編成A用の伝送フォーマットによる情報ICに変換し、この情報ICを列車モニタ装置1aの中央局3aに送信する。このような処理により、編成Cで収集されたデータを編成Aにて利用することが可能となる。なお、編成A内の車両間伝送線9aでは、編成C用の伝送フォーマットに従ってデータの伝送がなされていることに留意する。
【0052】
なお、編成Cの車両情報管理装置12cは搭載機器の制御も可能であることから、中央装置2系15には制御指令情報も集められている。一方、編成Aの列車モニタ装置1aは搭載機器の監視のみを行っている。そのため、中央装置2系15から中央局3aへの車両情報の送信に際して、中央局3aで扱うことのできない制御指令関連情報は伝送読替装置2にて判別されて中央局3aへ送信されないものとする。編成Cから編成Aへ送信されない情報としては、例えば「コンプレッサ起動指令」などがある。
【0053】
図6は、伝送読替装置2による伝送フォーマットの変換例を示す図であり、編成A用の伝送フォーマットによる情報IAから編成C用の伝送フォーマットによる情報IA’への変換例を示したものである。図6に示すように、編成Aで収集された情報IAに関しては、編成A用の伝送フォーマットに従い、「力行情報」、「ブレーキ情報」、および「空調運転情報」がすべてステイタスstに格納され、このステイタスstを単位として情報の通信が行われる。一方、伝送読替装置2による情報IAの読み替え後の情報IA’に関しては、「力行情報」と「ブレーキ情報」は同じステイタスSTa内に格納されているが格納順が逆であり、「空調運転情報」は別のステイタスSTbにて格納されている。このような伝送フォーマットの違いに対して、伝送読替装置2は、編成A用の伝送フォーマットで送信された情報IAを編成Cで読み取り可能な編成C用の伝送フォーマットによる情報IA’へのデータの読替を行う。
【0054】
次に、中央局3aと伝送読替装置2との間の通信手順について、図7を参照して説明する。図7は、中央局3aと伝送読替装置2との間の通信手順を示す図である。図7に示すように、中央局3aは一定周期(例えば10ms)で伝送読替装置2に対して呼びかけを行う。まず、最初の呼びかけ時は、中央局3aは編成A内の情報Iを伝送読替装置2に送信する。伝送読替装置2はこの呼びかけに対して応答を返す。すなわち、伝送読替装置2はこの応答時に、編成Cから送られてきた情報iを編成A用の伝送フォーマットに変換した後に中央局3aに送信する。
【0055】
続いて、一定周期経過後の次の周期に中央局3aから編成A内の情報IIを伝送読替装置2に送信し、これに対して伝送読替装置2からは編成C内の情報iiが応答として送られてくる。このように中央局3aと伝送読替装置間2との間で情報の送受信を繰り返す。
【0056】
なお、呼びかけとその応答で同種の情報を交換することが好ましい。また、列車モニタ装置1aと車両情報管理装置12cとで送信すべき情報数が異なる場合には、送信すべき情報数の少ないほうの装置から送信すべき情報数の多いほうの装置へ空情報を送信するものとする。例えば、中央局3aと伝送読替装置2との間で同種の情報である情報Iと情報iとを交換し、次の周期で中央装置3aから情報IIが送信された場合に、情報IIと同種の情報を車両情報管理装置12cが保持していない場合は、伝送読替装置2から空情報である情報iiを中央局3aに送信する。これにより、呼びかけの回数と応答の回数が等しくなって呼びかけ−応答からなる情報交換により送受信が簡素化されるとともに、毎回同種の情報を交換することができる。
【0057】
また、図7に示すように、データ送信に失敗した際にはデータの再送信は行わない。例えば、中央局3aから情報IVの送信に失敗した場合は、中央局3aからの呼びかけがないので伝送読替装置2からの応答である情報ivの送信も行わず、さらに次の周期に中央局3aから情報IVの再送も行わない。このように、一定周期を守ることにより、2つの装置間でシンプルなデータ送受信方法を実現することができる。
【0058】
次に、併結編成間でそれぞれ搭載されている車両情報装置の機種が異なることに起因する上記2つ目の問題点に関連して当該システムの動作を説明する。編成Aと編成Cとの併結時に、編成A内の引き通し線10aを、電気連結器23を介して編成C内の車両内伝送線10cと接続する。これにより、引き通し線10aと中央装置13とが引き通し入出力回路75を介して接続される。
【0059】
上述のように、列車モニタ装置1aは編成A内の搭載機器の監視のみを行っているのに対して、車両情報管理装置12cは車両の制御も行っている。従って、列車モニタ装置1aと車両情報管理装置12cとを接続しただけでは、車両情報管理装置12cは編成Aの制御情報を得ることができず、また、編成A内の搭載機器の制御を行うこともできない。
【0060】
そこで、併結時には車両情報管理装置12cを編成A内の引き通し線10aに接続する。しかしながら、編成Aと編成Cではシステムが異なることから、引き通し線10aにより伝送される制御指令情報をそのまま車両情報管理装置12cに取り込むことができない。そのため、編成C内に設けられた引き通し入出力回路75を介することで、引き通し線10aにより伝送される制御指令情報を編成C内で扱える伝送フォーマットに変換した後に車両情報管理装置12cに取り込む。また、車両情報管理装置12cは、この引き通し線10aからの制御指令情報も参照して、制御指令の決定を行う。車両情報管理装置12cは、編成C内の車両搭載機器の制御のみならず、引き通し入出力回路75を介して制御指令を編成Aへも出力することにより、編成A内の車両搭載機器の制御も行う。なお、編成C内には図示しない編成C用の引き通し線も配設されている。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、編成Aと編成Bとの併結および編成Aと編成Cとの併結のように、伝送読替装置2を搭載した編成Aは同種および異種双方のシステムを搭載した編成との併結が可能となる。特に、編成Aは、同種の車両情報装置を搭載した編成との併結だけでなく、異種の車両情報装置を搭載した編成との併結も可能である。このように、併結時における車両情報装置の種類に制限されることなく、種々の車両情報装置を搭載した編成間での併結が可能になる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、電気連結器22,24の接点位置により編成Aに併結された編成の種別を判別して、編成Aに搭載された車両情報装置と編成Bまたは編成Cに搭載された車両情報装置とを伝送読替装置2を介して接続するかまたは直接接続するかの選択が自動的になされる。
【0063】
さらに、本実施の形態によれば、電気連結器22,24の接点位置情報は編成種別情報出力部70へ入力され、この編成種別情報出力部70は編成Aに併結された編成に関する種別情報を伝送読替装置2へ出力する。伝送読替装置2は、この編成種別情報と自身の保持するテーブル情報とに基づき、編成Aと併結可能な複数種の編成の中から実際に編成Aに併結されている編成の伝送フォーマットを特定して認識することができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、編成Aの列車モニタ装置1a内に伝送読替装置2を設け、編成C内に引き通し入出力回路75を設けることにより、編成A,B,Cの各編成の構成を特に改造することなく併結が可能になる。
【0065】
また、本実施の形態では、編成Aと編成Cとの併結において、伝送読替装置2と中央装置2系15とを電気連結器24を介して接続している。車両情報管理装置12cは一般に2重系で構成され、この場合、データ伝送用のピン番号は1系と2系では異なる。例えば、中央装置1系14に接続された車両間伝送線19cはピン番号1を使用し、中央装置2系15に接続された車両間伝送線20cはピン番号2を使用する(図9を参照)。また、編成Aでは、例えば、中央局3aに接続された車両間伝送線80aのデータ伝送用のピン番号が1、伝送読替装置2に接続された車両間伝送線9aのデータ伝送用のピン番号が2とする。すなわち、編成Aの中央局3aに接続された車両間伝送線80aのピン番号1と編成Cの中央装置1系14に接続された車両間伝送線19cのピン番号1とが重複する状況となる。ここで、仮に、車両情報管理装置12cが冗長系ではなく、中央装置13として中央装置1系14のみを備えた構成を想定すると、中央装置1系14と中央局3aとの間では伝送フォーマットの違いから直接情報の送受信ができず、さらに中央装置1系14と伝送読替装置2との間ではピン番号の違いから通信ができない。この場合、中央装置1系14−伝送読替装置2間を通信可能にするためには、例えば編成A側にピン番号の切替構造を設ける必要があるが、この構成では構造が複雑になるという問題がある。あるいは、別の構成として、中央局3aと中央装置1系14とを接続しかつ双方を結ぶ伝送線から別の伝送線を分岐させて伝送読替装置2に接続するといった構成では、分岐点を設けたことにより伝送波に反射波が合成されてしまい、その結果、伝送波形の歪みが問題になる。他方、本実施の形態では、車両情報管理装置12cの2重系構造を利用し、2系側と伝送読替装置2とを接続することで、特に改造等を施すことなく編成間の通信が可能になる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、引き通し入出力回路7を設けることにより、編成Aと編成Cとの間で、制御指令情報の授受も可能になる。
【0067】
実施の形態2.
実施の形態1では、互いに機種の異なる列車モニタ装置1aと車両情報管理装置12cとの併結について説明した。本実施の形態では、編成Aに搭載された列車モニタ装置1aと同種システムであるが伝送フォーマットが異なる編成Dに搭載された列車モニタ装置1dと、列車モニタ装置1aとの併結について説明する。すなわち、編成Aと編成Dは、同種システムを採用しているが、使用する伝送フォーマットが互いに異なるため、編成の種別としては異なる。
【0068】
図8は、編成Aと同種のシステムを搭載した編成Dと、編成Aとの併結時におけるシステム構成を示した図であり、併結時の態様を示している。編成Dにおいて、被併結車両11dには、列車モニタ装置1dが搭載され、この列車モニタ装置1dは中央局3dを備えている。列車モニタ装置1dは、列車モニタ装置1aと同様の機能を有する車両情報装置である。中央局3dは、各種機器(機器4d,5dおよび表示器7d等)と車両内伝送線を介して接続されるとともに、車両間伝送線8dにより図示しない他車両の列車モニタ装置1dと接続されている。さらに、中央局3dから併結側に車両間伝送線80cが引き出されている。また、編成Dには車両間に亘って引き通し線10dが配設され、編成Aの引き通し線10aと電気連結器23により接続されている。
【0069】
編成Aと編成Dは同じ機器構成であるものの、通信に使用する伝送フォーマットが異なるため、併結時に中央局3aと中央局3dを直接接続して車両情報の授受を行うことはできない。そこで実施の形態1と同様に、伝送読替装置2を介して2つの中央局3a,3d間を接続する。すなわち、中央局3aは、伝送読替装置2を介して、車両間伝送線9a、電気連結器25、および車両間伝送線80cを経由して、中央局3dと接続される。なお、伝送読替装置2の読替動作に関しては実施の形態1と同様であるので詳細は省略する。また、図8において、図2と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0070】
本実施の形態によれば、編成Aと同種システムではあるが伝送フォーマットの異なる編成Dと、編成Aとの併結が可能になる。また、本実施の形態と実施の形態1を組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0071】
1a,1b 列車モニタ装置
2 伝送読替装置
3a,3b 中央局
4a,5a 機器
6a 表示器
7a,7b,7c 車両内伝送線
8a,9a,19c,20c,50c,51c 車両間伝送線
80a,80b,80c 車両間伝送線
10a,10d 引き通し線
11a 併結車両
11b,11c 被併結車両
12c 車両情報管理装置
13 中央装置
14 中央装置1系
15 中央装置2系
16 端末装置
16a 端末局
17 端末装置1系
18 端末装置2系
21a 車両
22,23,24,25 電気連結器
34c,35c,36c 機器
60 連結部
70 編成種別情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自編成内の各車両に搭載され、当該自編成内の車両搭載機器に関する情報である車両情報を自編成用の伝送フォーマットに従って自車両間で送受信して収集する自編成内車両情報装置と、
前記自編成と併結される複数種の編成のうちの任意の一つの編成である他編成の各車両に搭載され、当該他編成内の車両搭載機器に関する情報である車両情報を他編成用の伝送フォーマットに従って自車両間で送受信して収集する他編成内車両情報装置と、
前記自編成と前記他編成との併結時に両編成間を電気的に接続する電気連結器と、
前記自編成の車両に搭載され、前記併結時に前記電気連結器から得られた接点情報に基づいて前記他編成の編成種別を判別し編成種別情報として出力する編成種別情報出力部と、
前記自編成の車両に搭載されるとともに前記複数種の編成の伝送フォーマットに関する情報をテーブルとして保持して、前記自編成用の伝送フォーマットと前記他編成用の伝送フォーマットとの間の相互の変換を行う伝送読替装置と、
を備え、
前記他編成と前記自編成とが同じ編成種別であって両編成で同じ伝送フォーマットが使用される場合は、前記併結時に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置とが前記伝送読替装置を介することなく前記電気連結器により電気的に接続された後に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置との間で前記車両情報の送受信がなされ、
前記他編成と前記自編成とが異なる編成種別である場合は、前記併結時に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置とが前記伝送読替装置および前記電気連結器を介して電気的に接続された後に、前記伝送読替装置は、前記編成種別情報と前記テーブルとに基づいて前記他編成用の伝送フォーマットを認識して、前記自編成内車両情報装置から前記他編成内車両情報装置へ送信される前記車両情報の伝送フォーマットを前記自編成用の伝送フォーマットから前記他編成用の伝送フォーマットへ変換するとともに、前記他編成内車両情報装置から前記自編成内車両情報装置へ送信される前記車両情報の伝送フォーマットを前記他編成用の伝送フォーマットから前記自編成用の伝送フォーマットへ変換することを特徴とする編成併結システム。
【請求項2】
前記他編成と前記自編成とが異なる編成種別である場合に、
前記自編成内車両情報装置は、前記自編成内の車両搭載機器の監視を行う列車モニタ装置であり、前記他編成内車両情報装置は、前記他編成内の車両搭載機器の監視および制御を行う車両情報管理装置であることを特徴とする請求項1に記載の編成併結システム。
【請求項3】
前記車両情報管理装置は2重系で構成され、
前記併結時に、前記列車モニタ装置は、前記伝送読替装置および前記電気連結器を介して、前記2重系の一方に電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の編成併結システム。
【請求項4】
前記伝送読替装置は、前記車両情報管理装置から受信した前記他編成内の車両情報を前記自編成内の伝送フォーマットに変換し、
前記列車モニタ装置が、前記伝送読替装置への呼びかけとして前記自編成内の車両情報を前記伝送読替装置に送信したときに、前記伝送読替装置は、この呼びかけに対する応答として前記他編成内の車両情報を前記列車モニタ装置へ送信することを特徴とする請求項2または3に記載の編成併結システム。
【請求項5】
前記呼びかけに対する応答時に同種の情報が交換され、
前記列車モニタ装置と前記伝送読替装置とで送信すべき情報数が異なる場合には、
送信すべき情報数の少ないほうの装置から送信すべき情報数の多いほうの装置へ空情報を送信することで、呼びかけの回数と応答の回数を等しくすることを特徴とする請求項4に記載の編成併結システム。
【請求項6】
前記自編成内には、当該自編成内の制御指令情報が伝送される自編成内引き通し線が自車両間に亘って配設され、
前記他編成内の車両には、前記自編成内の制御指令情報の伝送フォーマットと前記他編成内の制御指令情報の伝送フォーマットとの間の相互の変換を行う引き通し入出力回路が設けられ、
前記併結時に、前記自編成内引き通し線と前記他編成内車両情報装置とが前記引き通し入出力回路を介して接続された後に、前記自編成内の制御指令情報が前記他編成内へ送信される場合は、前記引き通し入出力回路にて前記自編成内での伝送フォーマットから前記他編成内での伝送フォーマットに変換され、前記他編成内の制御指令情報が前記自編成内へ送信される場合は、前記引き通し入出力回路にて前記他編成内でのフォーマットから前記自編成内での伝送フォーマットに変換されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の編成併結システム。
【請求項7】
前記他編成と前記自編成とが同じ編成種別であって両編成で同じ伝送フォーマットが使用される場合に、
前記自編成内車両情報装置および前記他編成内車両情報装置はいずれも各編成内の車両搭載機器の監視を行う列車モニタ装置であることを特徴とする請求項1に記載の編成併結システム。
【請求項8】
前記他編成と前記自編成とが異なる編成種別である場合に、
前記自編成内車両情報装置および前記他編成内車両情報装置はいずれも各編成内の車両搭載機器の監視を行う列車モニタ装置であるが、互いに異なる伝送フォーマットに従って車両情報の伝送を行うことを特徴とする請求項1に記載の編成併結システム。
【請求項9】
自編成内の各車両に搭載され、当該自編成内の車両搭載機器に関する情報である車両情報を自編成用の伝送フォーマットに従って自車両間で送受信して収集する自編成内車両情報装置と、
前記自編成と併結される複数種の編成のうちの任意の一つの編成である他編成の各車両に搭載され、当該他編成内の車両搭載機器に関する情報である車両情報を他編成用の伝送フォーマットに従って自車両間で送受信して収集する他編成内車両情報装置と、
前記自編成と前記他編成との併結時に両編成間を電気的に接続する電気連結器と、
前記自編成の車両に搭載されるとともに前記複数種の編成の伝送フォーマットに関する情報をテーブルとして保持して、前記自編成用の伝送フォーマットと前記他編成用の伝送フォーマットとの間の相互の変換を行う伝送読替装置と、
を備えた編成併結システムの編成併結方法であって、
前記他編成と前記自編成とが異なる編成種別である場合は、前記併結時に、前記自編成内車両情報装置と前記他編成内車両情報装置とを前記伝送読替装置および前記電気連結器を介して電気的に接続するステップと、
前記電気連結器から得られる接点情報に基づいて前記他編成の編成種別情報を得るステップと、
前記自編成内車両情報装置から前記他編成内車両情報装置へと前記車両情報を送信する場合は、前記伝送読替装置により前記テーブル情報と前記編成種別情報とに基づいて当該車両情報の伝送フォーマットを前記自編成用の伝送フォーマットから前記他編成用の伝送フォーマットへ変換し、前記他編成内車両情報装置から前記自編成内車両情報装置へと前記車両情報を送信する場合は、前記伝送読替装置により前記テーブル情報と前記編成種別情報とに基づいて当該車両情報の伝送フォーマットを前記他編成用の伝送フォーマットから前記自編成用の伝送フォーマットへ変換するステップと、
を含むことを特徴とする併結方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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