説明

緩衝体及び梱包体

【課題】被収納物品を効果的に保護したり、省スペース化や輸送コストの削減を図ることができ、しかも、処分施設の寿命を縮めてしまうおそれを抑制できる緩衝体及び梱包体を提供する。
【解決手段】半導体ウェーハを収納した有底円筒部を蓋体7で閉鎖した収納容器1を、可撓性を有する一対のトレー10により挟持保護する緩衝体であって、各トレー10を、収納容器1に嵌合されて被覆する嵌合被覆部11と、嵌合被覆部11に形成されて外方向に伸びるフランジ部17とから形成する。各トレー10の嵌合被覆部11を断面略U字形に形成してその底を凹凸12に形成し、嵌合被覆部1の底に、収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域よりも外側の領域を保持する複数の保持突部16を複数形成し、フランジ部17の一部分を折曲してベローズ19を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる被収納物品を収納する収納容器を挟んで保護する緩衝体及び梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄くスライスされた丸い半導体ウェーハを収納する収納容器には、様々なタイプがあるが、その一つとしてコインスタックタイプがあげられる(特許文献1、2、3参照)。このタイプの収納容器は、図示しないが、底板上に半導体ウェーハを収納する有底円筒部を有する容器本体と、この容器本体の有底円筒部の開口上端を閉鎖する着脱自在の蓋体とを備え、半導体ウェーハを収納保護したり、段ボール箱等の梱包体に収納されて搬送、出荷、輸送に供される。
【0003】
ところで、半導体ウェーハは、近年の半導体パッケージの薄型化に鑑み、100μm以下の厚さに薄くバックグラインドされるが、100μm以下にバックグラインドされると、剛性が低下して撓み易くなり、搬送時や輸送時の衝撃で簡単に損傷したり、割れてしまうことが少なくない。
係る問題を解消するため、従来においては、梱包体に収納容器を直接収納するのではなく、収納容器を所定形状の発泡スチロール等からなる発泡体を介して収納するようにしている。
【特許文献1】特開2005‐158854号公報
【特許文献2】特開2005‐142462号公報
【特許文献3】特開2006‐032687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における半導体ウェーハ用の収納容器は、以上のように構成され、梱包体に発泡スチロール等の発泡体を介して収納されるが、発泡体の単なる使用では衝撃を十分に吸収することができず、バックグラインドされた非常に薄い半導体ウェーハを効果的に保護することができないという問題がある。また、発泡体は、嵩張るので、省スペース化や輸送コストの削減を図ることができないという問題もある。さらに、発泡体は、不要となった場合に多くは焼却処分されるが、焼却時の発熱量が重油並みに大きいので、焼却炉の寿命を縮めてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、半導体ウェーハ等の被収納物品を効果的に保護したり、省スペース化や輸送コストの削減を図ることができ、しかも、処分施設の寿命を縮めてしまうおそれを抑制することのできる緩衝体及び梱包体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては上記課題を解決するため、容器本体の被収納物品を収納する有底筒部の開口を着脱自在の蓋体により閉鎖した収納容器を、可撓性を有する一対のトレーにより挟んで保護するものであって、
各トレーは、収納容器に嵌め合わされて被覆する嵌合被覆部と、この嵌合被覆部の周壁に形成されて外方向に伸びるフランジ部とを含み、嵌合被覆部を断面略U字形に形成してその底を凹凸に形成し、フランジ部の一部分を折り曲げてベローズを形成し、
少なくとも一のトレーの嵌合被覆部に、収納容器の面方向における被収納物品収納領域よりも外側の領域を保持する保持突部を形成したことを特徴としている。
【0007】
なお、各トレーは、フランジ部の一部に形成される凹部と、フランジ部の残部に形成される凸部とを含み、これら凹部及び凸部と嵌合被覆部との間にベローズを位置させるようにし、
一対のトレーに収納容器を挟む際、一方のトレーの凹部と他方のトレーの凸部とを嵌め合わせることができる。
【0008】
また、トレーに帯電防止機能を付与することができる。
また、トレーを真空成形あるいは圧空成形することができる。
また、トレーの嵌合被覆部の周壁を、底方向から開口方向に向かうにしたがい徐々に広がるよう傾斜させることが可能である。
また、トレーの嵌合被覆部の底と周壁の少なくともいずれか一方に、複数の保持突部を形成することが可能である。
【0009】
さらに、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし6いずれかに記載の緩衝体を梱包体に収納することを特徴としている。
【0010】
ここで、特許請求の範囲における被収納物品には、少なくとも各種サイズ(例えば口径200mm、300mm、450mmのタイプ等)の半導体ウェーハ、バンプウェーハ、化合物ウェーハ、半導体ウェーハ搭載用のフレーム、ダイシングフレーム、記録媒体等が単数複数含まれる。また、トレーは、合成樹脂製のシートを使用して成形することができる。このトレーのフランジ部には、フランジ部の内外方向に伸縮するベローズを形成し、このベローズの外側には、単数複数の長大溝部や長大突条を形成することができる。
【0011】
トレーの凹部と凸部については、それぞれ平面略U字形に形成し、これら凹部と凸部との両端部同士を突き合わせて外部からの気体等の流入を防ぎ、緩衝体の密封度を向上させることもできる。トレーの凹部は、フランジ部表面の一部、例えば前半分、後半分、右半分、左半分等に適宜形成することができる。トレーの凸部についても同様である。保持突部は、単数複数を特に問うものではない。さらに、梱包体は、周知のダンボール箱でも良いし、専用の箱でも良い。
【0012】
本発明によれば、被収納物品を収納した収納容器を梱包体に収納して梱包する場合には、一対のトレーの嵌合被覆部間に収納容器を挟んで内蔵し、収納容器の面方向における被収納物品収納領域よりも外側の領域に保持突部を接触させる。そして、開口した梱包体に一対のトレーを収納して封止すれば、収納容器を梱包して搬送、出荷、輸送等することができる。
【0013】
この搬送、出荷、輸送等の際、梱包体に振動が加わると、一対のトレー、特にその凹凸部とベローズとが緩衝機能を発揮して被収納物品に対する衝撃を緩和する。また、収納容器の面方向における被収納物品収納領域よりも外側の領域に保持突部を接触させて衝撃を吸収、減衰可能とするので、例え梱包体が収納容器の面方向に落下した場合でも、落下の際の衝撃がトレーを通じてそのまま収納容器や被収納物品に伝達されることが少なく、被収納物品を効果的に保護することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体ウェーハ等の被収納物品を効果的に保護したり、省スペース化や輸送コストの削減を図ることができるという効果がある。また、処分施設で処分される際にその寿命を縮めてしまうおそれを抑制することができるという効果がある。
また、フランジ部の一部に形成される凹部と、フランジ部の残部に形成される凸部とを含み、一対のトレーに収納容器を挟む際、一方のトレーの凹部と他方のトレーの凸部とを嵌め合わせるようにすれば、一対のトレーの密着度を増大させて緩衝体の保護機能を向上させることができる。
【0015】
また、トレーに帯電防止機能を付与すれば、例え被収納物品が高性能の半導体製品でも、優れた静電気耐性を得ることができ、静電気に伴う塵埃の付着、障害、破壊を抑制あるいは防止することができる。
【0016】
また、トレーを真空成形すれば、例えトレーが大型の場合でも、低コストで早期に成形することができるし、型を片面のみとしたり、表面加飾性の自由度を向上させたり、あるいは少量多品種に対応することもできる。また、トレーを圧空成形すれば、真空成形では成形圧力が不足する場合でも容易に成形することができるし、射出成形と同等のシャープなデザインを表現したり、部分的に薄肉のトレーを容易に得ることもできる。
【0017】
また、トレーの嵌合被覆部の周壁を、底方向から開口方向に向かうにしたがい徐々に広がるよう傾斜させれば、複数のトレーを重ねる場合に隣接するトレー同士がきつく深く嵌まり合い、着脱が困難になるのを防ぐことが可能になる。
さらに、トレーの嵌合被覆部の底と周壁の少なくともいずれか一方に、複数の保持突部を形成するようにすれば、トレーの構成の多様化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における緩衝体は、図1ないし図8に示すように、コインスタックタイプの収納容器1を挟持して保護する可撓性のトレー10を上下一対備え、この一対のトレー10が梱包体30に収納・梱包される。
【0019】
コインスタックタイプの収納容器1は、図1ないし図4に示すように、底板3上に円板形の半導体ウェーハWを収納する有底円筒部6が一体的に立設された容器本体2と、この容器本体2の有底円筒部6の開口上端を上方から閉鎖する着脱自在の蓋体7とを備え、半導体ウェーハWを収納保護したり、梱包体30に収納されて搬送、出荷、輸送に供される。半導体ウェーハWは、例えば口径300mmのタイプからなり、100μm以下の厚さに薄くバックグラインドされた後、容器本体2の有底円筒部6内に同形の緩衝材4やシート5を介し複数枚が積層して収納される(図2参照)。
【0020】
容器本体2と蓋体7とは、所定の成形材料、例えばポリブチレンテレフタレートあるいはポリカーボネートに帯電防止剤等が添加された材料を使用してそれぞれ射出成形される。また、容器本体2は、底板3が平坦な平面略矩形に形成され、有底円筒部6には、半導体ウェーハWの取り出しに資する複数の切り欠きが上下方向に選択的に切り欠かれる。蓋体7は、図3や図4に示すように、容器本体2の底板3の大きさに対応する大きさの断面略逆U字形に形成され、内部中央には、容器本体2の有底円筒部6に外側から嵌合する円筒部8がリブ等を介し一体形成される。
【0021】
各トレー10は、図1、図5ないし図8に示すように、収納容器1に部分的に嵌合されて収納容器1を被覆保護する嵌合被覆部11と、この嵌合被覆部11の周壁15に形成されて外方向に水平に伸長するフランジ部17と、このフランジ部17の一部に形成される凹溝21と、フランジ部17の残部に形成される凸条22とを備え、合成樹脂製の柔軟なシートとテーパ付きの型を用いてスタッキング可能な半透明に成形される。
【0022】
各トレー10は、例えばポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、アモルファスPETに帯電防止剤等が選択的に添加された成形材料からなるシートが熱成形、具体的には真空成形又は圧空成形されることにより形成される。これらの成形材料の中でも、成形性、表面光沢、耐薬品性に優れ、可撓性の大きなポリプロピレンが最適である。
【0023】
トレー10の嵌合被覆部11は、収納容器1の上部あるいは下部に嵌合可能な大きさの断面略U字形、換言すれば、中空の略角錐台形に形成され、平坦な浅い底には、衝撃緩和機能を発揮する変形可能な凹凸12が形成されており、周壁15の前後左右が底方向(図6の下方向)から開口方向(図6の上方向)に向かうにしたがい徐々に広がるよう傾斜形成されて重なるトレー10同士の密嵌を回避するよう機能する。
【0024】
嵌合被覆部11の底の凹凸12は、図6や図7に示すように、嵌合被覆部11の底に並べて配列形成される中空で複数の段付き有底円筒部13と、嵌合被覆部11の底の周縁部に選択的に形成される中空で複数の小型有底円筒部14とを備え、これら複数の段付き有底円筒部13と小型有底円筒部14とが梱包体30の内面に接触する。
【0025】
また、嵌合被覆部11の底の隅部、例えば対角線上の二隅部や四隅部には、収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域(被収納物品収納領域)、換言すれば、有底円筒部6や円筒部8よりも外側の領域、具体的には収納容器1の底板隅部又は蓋体7表面の隅部を接触保持する複数の保持突部16が配設され、各保持突部16が変形可能な中空の段付き有底円筒部に形成されて衝撃緩和機能を発揮する(図1、図8参照)。
【0026】
フランジ部17は、嵌合被覆部11の周壁15端部に一体形成されて平面略枠形を呈し、先端部に折り返し片18が一体形成されてこの折り返し片18が嵌合被覆部11の底方向に指向する。このフランジ部17は、その一部分である末端部側が厚さ方向に連続して折曲形成されることにより嵌合被覆部11の内外方向に伸縮する平面略枠形のベローズ19を形成し、このベローズ19の両側部外側には、強度を向上させる長大溝部20が直線的にそれぞれ凹み形成される。ベローズ19は、嵌合被覆部11と凹溝21及び凸条22との間に位置し、梱包体30の落下等に伴い伸び縮みして強い衝撃を緩和する(図1参照)。
【0027】
凹溝21は、例えばフランジ部17の半分の先端部寄りに平面略U字形に凹み形成され、ベローズ19の半分を外側から包囲しており、対向するトレー10の凸条22に着脱自在に嵌合される。また、凸条22は、例えばフランジ部17の残り半分の先端部寄りに平面略U字形に突出形成されるとともに、両端部が凹溝21の両端部に突き合わされ、ベローズ19の残り半分を外側から包囲しており、対向するトレー10の凹溝21に着脱自在に嵌合される。
【0028】
梱包体30は、図1や図5に示すように、開口した上部を複数のフラップ31により開閉する溝切り形の外装用段ボール箱からなるが、何らこれに限定されるものではない。例えば、テレスコープ形、組み立て形、差込形、ブリス形等の段ボール箱でも良い。
【0029】
上記において、厚さ100μm以下にバックグラインドされた非常に薄い半導体ウェーハWを必要枚数収納した収納容器1を梱包体30に収納して梱包する場合には、先ず、一対のトレー10の嵌合被覆部11間に収納容器1を挟持・内蔵し、この対向する一対のトレー10の凹溝21と凸条22とを嵌合させて一対のトレー10を密着させ、収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域よりも外側の領域に複数の保持突部16をそれぞれ弾発的に接触させてその姿勢を安定させる。
【0030】
一対のトレー10を密着させたら、開口した梱包体30に密着した一対のトレー10を上方から収納し、梱包体30の複数のフラップ31をそれぞれ折り曲げて開口部を閉じ、その後、この梱包体30の閉じた複数のフラップ31を粘着テープ等で封止すれば、収納容器1を梱包して搬送、出荷、輸送することができる。
なお、梱包体30に一対のトレー10を収納する際、一対のトレー10をそのまま収納しても良いが、梱包体30の底に緩衝用の厚紙や発泡体を敷いたり、一対のトレー10を包装紙や包装袋で適宜包装しても良い。
【0031】
上記構成によれば、収納容器1をそのままの状態で出荷、輸送するのではなく、緩衝材として機能する一対のトレー10の間に収納容器1を挟持・内蔵して出荷、輸送するので、出荷や輸送時の振動でがたつきが発生するのを有効に抑制し、収納容器1や厚さ100μm以下の非常に薄く脆い半導体ウェーハWの損傷を有効に防ぐことができる。また、各トレー10を、粉砕しやすい発泡スチロール製とするのではなく、シートを用いて真空成形あるいは圧空成形するので、パーティクルや塵埃の発生を未然に防ぐことができる。
【0032】
また、各トレー10をスタッキング可能な形状に成形するので、発泡体のように嵩張ることがなく、著しい省スペース化や輸送コストの大幅な削減を図ることができる。また、嵌合被覆部11の周壁15を底方向から開口方向に向かうにしたがい徐々に広がるよう傾け、複数のトレー10が深く積層嵌合しないようにしたので、積層した複数のトレー10を容易に分離することができる。また、トレー10の嵌合被覆部11に凹凸12を、フランジ部17にはベローズ19をそれぞれ形成するので、例え梱包体30が落下して強い衝撃が作用しても、収納容器1や非常に薄く撓み易い半導体ウェーハWの損傷を有効に抑制することができる。
【0033】
また、収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域よりも外側の半導体ウェーハ非収納領域に複数の保持突部16をそれぞれ接触させるので、発泡体とは異なり、落下時等の衝撃を十分に吸収することができ、非常に薄い半導体ウェーハWを効果的に保護することが可能になる。この点について詳説すると、コインスタックタイプの収納容器1は、その面方向に落下した場合には、落下の際の強い面圧が緩衝材を通じてそのまま伝達され、その結果、非常に薄い半導体ウェーハWが損傷したり、割れを招くこととなる。
【0034】
しかしながら、本実施形態によれば、収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域よりも外側の領域に可撓性の保持突部16を接触させて衝撃を吸収したり、緩和するので、例え収納容器1が平面方向に落下した場合でも、落下の際の強い面圧がトレー10を通じてそのまま収納容器1に伝達されることがきわめて少なく、結果として薄い半導体ウェーハWを効果的に保護することが可能になる。
【0035】
また、発泡体とは異なり、各トレー10の焼却時の発熱量が小さいので、焼却炉の寿命を縮めてしまうおそれもない。さらに、対向する一対のトレー10を密着させる際、細長いU字形の凹溝21と凸条22とを嵌合させるので、密着度を著しく増大させて緩衝保護機能の向上を図ることが可能になる。さらにまた、凹溝21と凸条22の両端部同士を隙間を介して突き合わせるのではなく、連続して突き合わせて外部からの気体の流入を防止するので、密封機能の大幅な向上が期待できる。
【0036】
次に、図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、嵌合被覆部11の底の隅部ではなく、嵌合被覆部11の周壁15に、収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域よりも外側の領域を接触保持する複数の保持突部16を配設し、各保持突部16を変形可能な中空の段付き有底円筒部に形成して緩衝機能を付与するようにしている。
【0037】
収納容器1の面方向における半導体ウェーハ収納領域よりも外側の領域としては、有底円筒部6や円筒部8よりも外側に位置する蓋体7の周壁表面があげられる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、保持突部16の構成や配置の多様化を図ることができるのは明らかである。
【0038】
なお、上記実施形態では収納容器1を容器本体2と蓋体7とから単に構成したが、容器本体2の有底円筒部6と蓋体7の円筒部8とに、相互に螺合する結合用の螺子をそれぞれ螺刻形成しても良い。また、被収納物品の形状に応じ、有底円筒部6と円筒部8を有底角筒部と角筒部等としても良い。底板3や蓋体7の形についても、同様に適宜変更することができる。また、一対のトレー10を上下に配置するのではなく、左右に配置して左右一対のトレー10としても良い。
【0039】
また、各トレー10を、嵌合被覆部11とフランジ部17とから形成し、凹溝21や凸条22等を省略しても良い。また、帯電防止性のシートによりトレー10を成形するのではなく、トレー10の成形後に帯電防止処理を施しても良い。具体的には、成形したトレー1の表面に帯電防止剤を吹き付けてコーティングしたり、帯電防止剤を塗布してコーティングしても良い。また、上記実施形態では各トレー10の嵌合被覆部11に複数の保持突部16を配設したが、任意のトレー10の嵌合被覆部11に必要数の保持突部16を配設することもできる。
【0040】
また、嵌合被覆部11の底と周壁15とに複数の保持突部16をそれぞれ配設することもできる。また、保持突部16を変形可能な有底筒部や中空の殻形等に形成することもできる。さらに、ベローズ19の山部分と谷部分の間の高低差を変化させ、ベローズ19の緩衝機能に変更を加えることも可能である。さらにまた、長大溝部20を凹溝21と凸条22の内側に位置させても良いし、外側に位置させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る緩衝体及び梱包体の実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【図2】本発明に係る緩衝体の実施形態における収納容器を模式的に示す分解説明図である。
【図3】本発明に係る緩衝体の実施形態における収納容器の蓋体を模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係る緩衝体の実施形態における収納容器の蓋体内を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明に係る緩衝体及び梱包体の実施形態における開放状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図6】本発明に係る緩衝体の実施形態における嵌合被覆部内を模式的に示す部分斜視説明図である。
【図7】本発明に係る緩衝体の実施形態を模式的に示す部分斜視説明図である。
【図8】本発明に係る緩衝体の実施形態における収納容器と保持突部の接触状態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図9】本発明に係る緩衝体の第2の実施形態を模式的に示す部分斜視説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 収納容器
2 容器本体
6 有底円筒部
7 蓋体
8 円筒部
10 トレー
11 嵌合被覆部
12 凹凸
13 段付き有底円筒部
14 小型有底円筒部
15 周壁
16 保持突部
17 フランジ部
19 ベローズ
21 凹溝(凹部)
22 凸条(凸部)
30 梱包体
W 半導体ウェーハ(被収納物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の被収納物品を収納する有底筒部の開口を着脱自在の蓋体により閉鎖した収納容器を、可撓性を有する一対のトレーにより挟んで保護する緩衝体であって、
各トレーは、収納容器に嵌め合わされて被覆する嵌合被覆部と、この嵌合被覆部の周壁に形成されて外方向に伸びるフランジ部とを含み、嵌合被覆部を断面略U字形に形成してその底を凹凸に形成し、フランジ部の一部分を折り曲げてベローズを形成し、
少なくとも一のトレーの嵌合被覆部に、収納容器の面方向における被収納物品収納領域よりも外側の領域を保持する保持突部を形成したことを特徴とする緩衝体。
【請求項2】
各トレーは、フランジ部の一部に形成される凹部と、フランジ部の残部に形成される凸部とを含み、これら凹部及び凸部と嵌合被覆部との間にベローズを位置させるようにし、
一対のトレーに収納容器を挟む際、一方のトレーの凹部と他方のトレーの凸部とを嵌め合わせるようにした請求項1記載の緩衝体。
【請求項3】
トレーに帯電防止機能を付与した請求項1又は2記載の緩衝体。
【請求項4】
トレーを真空成形あるいは圧空成形した請求項1、2、又は3記載の緩衝体。
【請求項5】
トレーの嵌合被覆部の周壁を、底方向から開口方向に向かうにしたがい徐々に広がるよう傾斜させた請求項1ないし4いずれかに記載の緩衝体。
【請求項6】
トレーの嵌合被覆部の底と周壁の少なくともいずれか一方に、複数の保持突部を形成した請求項1ないし5いずれかに記載の緩衝体。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の緩衝体を収納することを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−189325(P2008−189325A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22770(P2007−22770)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】