説明

緩衝体構築装置

【課題】緩衝体のある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる緩衝体構築装置を提供する。
【解決手段】緩衝体構築装置10は、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を有するランマを支持部材に5つ支持させ、締固ヘッドをそれぞれ往復移動させながら支持部材を回転軸Xを中心に回転させることにより、ランマの回転軌跡上に位置する土質材料を締固ヘッドによってそれぞれ締め固めて緩衝体を構築するものである。締固ヘッドが一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力をαとし、単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドの往復移動回数をβとし、且つ、αとβとの積である土質材料の単位面積に作用する積算締固力をγとする。この緩衝体構築装置は、緩衝体の構築領域全体で一様となるように複数の締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅d1,d2,d3,d4,d5を設定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばベントナイトと砂とを混合したベントナイト系土質材料等の土質材料を締め固めて緩衝体を構築する緩衝体構築装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高レベル放射性廃棄物を処分するにあたり、その廃棄物の周囲に緩衝体を構築することが考えられている。この緩衝体は、例えばベントナイトと砂とを混合したベントナイト系土質材料等の土質材料を緩衝体構築装置によって所要の弾性および遮水性を有するよう締め固めることで構築するものである。
【0003】
緩衝体構築装置の中には、従来、例えば図16および図17に示すようなものがある。この緩衝体構築装置は、例えば廃棄体WAの側方領域に緩衝体を構築するものであって、ランマである4つの締固手段R51,R52,R53,R54と、それらの締固手段R51,R52,R53,R54を支持する支持部材21’とを備えている。
【0004】
締固手段R51,R52,R53,R54は、内部に駆動源を有する本体部Rbと、本体部Rbの内部に基端側を収容し、且つ先端側が本体部Rbから突出し、上記駆動源に連係して伸縮可能に配設した軸部Rrと、その軸部Rrの先端側に配設した締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54とをそれぞれ備えている。これらの締固手段R51,R52,R53,R54を駆動状態に成した場合には、本体部Rbに対して軸部Rrを伸縮し、それにより締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54を移動軸Rxに沿って上下方向に移動させる。単位時間当たりの締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54の往復移動回数は、複数の締固手段R51,R52,R53,R54で同一である。なお、締固ヘッドR51,R52,R53,R54の移動は、ほぼ同等の周期であるが、同期させる必要はなく、結果としてランダムである。従って、締固ヘッドR51,R52,R53,R54は、異なるタイミングで土質材料に接触することになる。締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54は、移動軸Rxに対する横断面が円形状を成す態様であって、図18に示すように、回転軸Xに対する径方向の幅d51,d52,d53,d54が同一となる態様で形成してある。また、土質材料に接触する締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54の底部の面積は複数の締固手段R51,R52,R53,R54で同一であり、駆動源の出力FOは複数の締固手段R51,R52,R53,R54で同一である。
【0005】
次に、この緩衝体構築装置の作用を説明する。先ず、容器30’の内部に土質材料を投入してから、締固手段R51,R52,R53,R54を駆動状態に成して締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54を上下方向に往復移動させる。さらに、締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54を往復移動させながら支持部材21’を回転軸Xを中心に角速度が一定となる態様で回転し、各締固手段R51,R52,R53,R54の回転軌跡上に位置する土質材料を締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54によってそれぞれ締め固める。
【0006】
以下、同様に、土質材料を容器30’の内部に投入し、締固手段R51,R52,R53,R54を駆動させながら支持部材21’を回転することを繰り返すことで、例えば廃棄体WAの側方領域に緩衝体を構築していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54が一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力をαとし、単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54の往復移動回数をβとし、且つAとBとの積である土質材料の単位面積に作用する積算締固力をγとする。
【0008】
上記のような緩衝体構築装置では、複数の締固手段R51,R52,R53,R54において、各締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54の底部の面積が同一であり、締固手段R51,R52,R53,R54の駆動源の出力FOが同一であるため、締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54が一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力αは同一である。
【0009】
しかしながら、回転軸Xを中心に支持部材21’を回転させた際(例えば1回転させた際)の4つの締固ヘッドの移動領域S51,S52,S53,S54の大きさを比較した場合、図18に示すように、回転軸Xに対する径方向の幅d51,d52,d53,d54が同一であるため、回転軸Xに最も近い締固手段R51の締固ヘッドの移動領域S51の大きさがもっとも狭く、回転軸Xから径外方向に遠ざかるにつれて締固手段R52,R53の締固ヘッドの移動領域S52,S53の大きさが順次広くなり、回転軸Xから最も遠い締固手段R54の締固ヘッドの移動領域S54の大きさがもっとも広くなる。このように締固手段R51,R52,R53,R54の締固ヘッドの移動領域S51,S52,S53,S54の大きさが異なり、単位時間あたりの締固ヘッドRh51,Rh52,Rh53,Rh54の往復移動回数が同一であり、支持部材21’を回転させる際の角速度が一定であるため、単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドの往復移動回数βが異なる。具体的には、回転軸Xに最も近い締固手段R51による単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドRh51の往復移動回数βに比して、回転軸Xに最も遠い締固手段R54による単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドRh54の往復移動回数βが少なくなる。
【0010】
このため、回転軸Xに最も近い締固手段R51で締め固めた土質材料の単位面積に作用する積算締固力γの大きさに比して、回転軸Xから最も遠い締固手段R54で締め固めた土質材料の単位面積に作用する積算締固力γの大きさが小さくなるため、締固手段R51で締め固めた土質材料の密度に比して、締固手段R54で締め固めた土質材料の密度が小さくなり、緩衝体のある部位の密度と他の部位の密度とが大きく異なることとなる。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、緩衝体のある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる緩衝体構築装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、締固ヘッドを有する締固手段を支持部材に複数支持させ、締固ヘッドをそれぞれ往復移動させながら支持部材を回転軸を中心に回転させることにより、締固手段の回転軌跡上に位置する土質材料を締固ヘッドによってそれぞれ締め固めて緩衝体を構築する緩衝体構築装置において、締固ヘッドが一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力をαとし、且つ、単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドの往復移動回数をβとした場合、αとβとの積である土質材料の単位面積に作用する積算締固力が、緩衝体の構築領域全体で一様となるように複数の締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅を設定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2にかかる緩衝体構築装置は、上記請求項1において、支持部材を回転させた際、1つ当たりの締固ヘッドの移動領域の大きさが同一となるように複数の締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅を設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3にかかる緩衝体構築装置は、上記請求項2において、複数の締固手段において、土質材料に接触する締固ヘッドの接触部の面積を同一に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる緩衝体構築装置によれば、締固ヘッドが一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力をαとし、且つ、単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドの往復移動回数をβとした場合、αとβとの積である土質材料の単位面積に作用する積算締固力が、緩衝体の構築領域全体で一様となるように複数の締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅を設定するため、緩衝体のある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる緩衝体構築装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
[実施の形態1]
図1および図2は、本発明の実施の形態1にかかる緩衝体構築装置を示す図である。緩衝体構築装置10は、フレーム11と防護体載置台17と装置本体20とで構成してある。
【0018】
フレーム11は、回転軸Xを中心に回転自在な態様で装置本体20を支持するものであって、第1柱部材12、第2柱部材13、および連結部材14を備えている。第1柱部材12および第2柱部材13は、回転軸Xに沿って延在するよう上下方向に同一幅でそれぞれ形成してある。連結部材14は、例えば水平方向に同一幅であって、上記柱部材12,13の幅と同一の幅に形成してあり、第1柱部材12と第2柱部材13との間に後述する防護体形成部材が入るよう第1柱部材12と第2柱部材13とを連結するものである。第1柱部材12と第2柱部材13との間には、装置本体20を配設してあり、第1柱部材12の下端部には、回転自在な態様でタイヤ12aを配設してあり、第2柱部材13の下端部には、回転自在な態様でタイヤ13aを配設してある。
【0019】
このようなフレーム11は、上記タイヤ12a,13aを介して防護体載置台17の上に載せてある。防護体載置台17は、例えば略円柱状を成すよう形成してあり、ガイドレール16を備えている。ガイドレール16は、回転軸Xを中心に装置本体20およびフレーム11が回転するよう上記タイヤ12a,13aの回転に伴う移動を案内するものであって、第1レール16aと第2レール16bとで構成してある。第1レール16aは、防護体載置台17の上部に、回転軸Xを中心とする環状に配設してある。第2レール16bは、防護体載置台17の上部に、回転軸Xを中心とする環状に配設してある。このような第2レール16bは、第1レールの内側に位置し、且つ第1レール16aに対して一定の間隔を保つよう配置してある。この一定の間隔とは、少なくとも回転軸Xに対する径方向のタイヤ12a,13aの幅よりも大きいものである。
【0020】
装置本体20は、後述するように土質材料を締め固める締固手段である複数(この実施の形態では5つ)のランマR1,R2,R3,R4,R5と、それらのランマR1,R2,R3,R4,R5を支持する支持部材21とを備えている。
【0021】
ランマR1,R2,R3,R4,R5は、内部に駆動源を有する本体部Rbと、本体部Rbの内部に基端側を収容し、且つ先端側が本体部Rbから突出し、駆動源に連係して伸縮可能に配設した軸部Rrと、軸部Rrの先端側に配設した締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5とをそれぞれ備えている。
【0022】
各ランマR1,R2,R3,R4,R5は、例えば駆動源に高圧力の空気を送り込むこと、および駆動源から空気を吐き出させることによって駆動した状態に成した場合、本体部Rbに対して軸部Rrを伸縮し、それにより締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を移動軸Rxに沿って上下方向にそれぞれ往復移動させるものである。このようなランマR1,R2,R3,R4,R5としては、例えば単位時間当たりの空気消費量が0.25m3/min〜1.10m3/min、単位時間当たりに締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を600〜1600回、上下方向に往復移動し、且つ質量が1.7kg〜16.7kgのものを構築する緩衝体に応じて適宜選択している。なお、各ランマR1,R2,R3,R4,R5には、駆動源の出力FOが同一であり、単位時間当たりの空気消費量が同一であり、且つ単位時間当たりの締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の往復移動回数が同一のものを使用してある。
【0023】
また、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5は、緩衝体のある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減するため、後述するように、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の底面積(土質材料に接触する部位の面積)を同一に設定してあり、且つ締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の回転軸Xに対する径方向の幅を設定してある。
【0024】
それらのランマR1,R2,R3,R4,R5は、図1〜図3に示すように、列状に配置してある。第1ランマR1は、その端部に回転軸Xを含む態様で支持部材21に取り付けてある。第2ランマR2、第3ランマR3、第4ランマR4、および第5ランマR5は、第1ランマR1に対して回転軸Xの径外方向に沿って順次、支持部材21に取り付けてある。
【0025】
第1ランマR1の締固ヘッドRh1は、移動軸Rxに対する横断面が半径D1の扇形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh1の底部の面積は、a1である。
【0026】
第2ランマR2の締固ヘッドRh2は、移動軸Rxに対する横断面が、半径D2の扇形から半径D1の扇形を取り除いた形状を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh2の底部の面積a2は、上記第1ランマR1の締固ヘッドRh1の底部の面積a1と同一である。
【0027】
第3ランマR3の締固ヘッドRh3は、移動軸Rxに対する横断面が、半径D3の扇形から半径D2の扇形を取り除いた形状を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh3の底部の面積a3は、上記第1ランマR1の締固ヘッドRh1の底部の面積a1と同一であり、且つ上記第2ランマR2の締固ヘッドRh2の底部の面積a2と同一である。
【0028】
第4ランマR4の締固ヘッドRh4は、移動軸Rxに対する横断面が、半径D4の扇形から半径D3の扇形を取り除いた形状を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh4の底部の面積a4は、上記第1ランマR1の締固ヘッドRh1の底部の面積a1と同一であり、上記第2ランマR2の締固ヘッドRh2の底部の面積a2と同一であり、且つ上記第3ランマR3の締固ヘッドRh3の底部の面積a3と同一である。
【0029】
第5ランマR5の締固ヘッドRh5は、移動軸Rxに対する横断面が、半径D5の扇形から半径D4の扇形を取り除いた形状を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh5の底部の面積a5は、上記第1ランマR1の締固ヘッドRh1の底部の面積a1と同一であり、上記第2ランマR2の締固ヘッドRh2の底部の面積a2と同一であり、上記第3ランマR3の締固ヘッドRh3の底部の面積a3と同一であり、且つ上記第4ランマR4の締固ヘッドRh4の底部の面積a4と同一である。
【0030】
このように、5つのランマR1,R2,R3,R4,R5において、締固ヘッドの底部の面積a1,a2,a3,a4、a5を同一に設定してある。
【0031】
加えて、各締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の回転軸Xに対する径方向の幅d1,d2,d3,d4,d5は、回転軸Xを中心として支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、各締固ヘッドの移動領域S1,S2,S3,S4,S5の大きさが同一となるようにそれぞれ設定してある。具体的には、第1ランマR1の締固ヘッドRh1の回転軸Xに対する径方向の幅d1が最も広く、回転軸Xから離れるに従って、ランマR2,R3,R4,R5の締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5の回転軸Xに対する径方向の幅d2,d3,d4,d5が徐々に狭くなる態様で設定してある。
【0032】
支持部材21は、上述したように取り付けられたランマR1,R2,R3,R4,R5を支持するものであって、端部21a,21cと、それらの端部21a,21cを連結する連結部21bとを備えている。端部21a,21cは、上記柱部材12,13を挿通させる挿通孔Hをそれぞれ有する部分である。連結部21bは、上記ランマR1,R2,R3,R4,R5を取り付けられる幅を有するとともに、少なくとも回転軸Xと、いずれか一方の端との間に5つのランマR1,R2,R3,R4,R5を取り付けられる長さを有し、且つ両端の幅が上記柱部材12,13の幅よりもやや太くなり、中央に向かうに従って漸次幅広となる態様で形成した部分である。上記支持部材21と柱部材12,13との間には、ロック状態に成した場合、装置本体20の上下方向のスライド移動を規制する一方、アンロック状態に成した場合、装置本体20の上下方向のスライド移動を許容する不図示の規制手段を設けてある。
【0033】
上記の構成を備える緩衝体構築装置10は、図4に示す廃棄体パッケージPAを製造する際に使用する。ここで、製造した廃棄体パッケージPAは、廃棄体WAと緩衝体BUと防護体RPとを備えている。廃棄体WAは、例えば溶融したガラスと放射性廃棄物とを混ぜ合わせて円柱状のガラス固化体GAを形成してから、そのガラス固化体GAを円筒状のオーバーパックOVに入れることで形成してある。緩衝体BUは、例えばベントナイトと砂とを混合したベントナイト系土質材料等の土質材料を使用し、その土質材料を上記緩衝体構築装置10で締め固めることによって所定の弾性および遮水性を有するよう廃棄体WAの周囲に構築してある。このような緩衝体BUは、例えば地下水等の水が廃棄体WAに接触することを防止するとともに、地震等の外力が加わって高レベル廃棄物処分場の処分孔が変形した場合でも、処分孔に応じて変形することによって、上記廃棄体WAに外力が加わることを低減するものである。防護体RPは、例えば鉄あるいは鉛等の剛性を有する金属材料を用いて緩衝体BUを覆う態様で形成してある。なお、図示する廃棄体パッケージPAには、廃棄体WAと緩衝体BUとの間に鉄あるいは鉛等からなる内型枠IPを配設してある。
【0034】
次に、上記緩衝体構築装置10を用いて、廃棄体WAの周囲に緩衝体BUを構築する場合を説明する。第1に、廃棄体パッケージPAの下方領域となる部位に緩衝体BUを構築する場合を説明する。
【0035】
先ず、装置本体20を上方にスライド移動してから、図5に示すように、第1柱部材12と第2柱部材13との間であって、防護体載置台17の上部に防護体RPの一部である第1防護体形成部材30aを載置する。第1防護体形成部材30aは、内部に投入空間SP1を有する態様で底部30Zを有する円筒を成した容器状に形成してある。
【0036】
次に、第1防護体形成部材30aの底部30Zと締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の底部とが所定の間隔となるよう装置本体20を移動してから、第1防護体形成部材30aの上記投入空間SP1であって、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5と底部30Zとの間に土質材料SOを投入する。
【0037】
次いで、駆動源に高圧力の空気を送り込むこと、および駆動源から空気を吐き出させることによってランマR1,R2,R3,R4,R5を駆動状態に成し、各締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を上下方向に往復移動させながら、回転軸Xを中心にフレーム11および装置本体20を、角速度を一定に保ちつつ回転することで、図6に示すように、土質材料SOを円柱状に締め固める。
【0038】
ここで、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5が一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力(転圧力)をαとし、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の往復移動回数をβとし、且つαとβとの積である土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力をγとする。
【0039】
上記緩衝体構築装置10で土質材料SOを締め固める際、駆動源の出力FOが5つのランマR1,R2,R3,R4,R5で同一であり、駆動源の単位時間当たりの空気消費量が5つのランマR1,R2,R3,R4,R5で同一であり、締固ヘッドの底部の面積a1,a2,a3,a4、a5が5つのランマR1,R2,R3,R4,R5で同一であるため、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5が一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力(転圧力)αは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。
【0040】
さらに、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の単位時間当たりの往復移動回数が5つのランマR1,R2,R3,R4,R5で同一であり、回転軸Xを中心に角速度を一定に保ちつつ装置本体20を回転し、且つ回転軸Xを中心に支持部材21を回転させた際の5つのランマR1,R2,R3,R4,R5の移動領域S1,S2,S3,S4,S5の大きさが同一であるため、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の往復移動回数βは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。従って、αとβとの積である土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。
【0041】
その後、円柱状に締め固めた土質材料SOと締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5とが所定の間隔となるよう装置本体20を上方に移動してから、上述したのと同様に、第1防護体形成部材30aの内部の投入空間SP1に土質材料SOを投入し、ランマR1,R2,R3,R4,R5を駆動した状態に成し、各締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を上下方向に移動させながら装置本体20を回転することで、投入した土質材料SOを締め固める。そして、装置本体20を上方に移動することと、投入空間SP1に土質材料SOを投入し、投入した土質材料SOをランマR1,R2,R3,R4,R5で締め固めることとを繰り返して所定の厚さを有する緩衝体BUを構築する。
【0042】
第2に、廃棄体WAの側方領域となる部位に緩衝体BUを構築する場合を説明する。ここでは、締め固める際に土質材料SOが飛散することを防止するため、図7に示すように、第1防護体形成部材30aの上部に、防護体RPの一部である第2防護体形成部材30bを配設してあり、構築した緩衝体BUの上部に第1内型枠形成部材40aが載置してあり、支持部材21から第1ランマR1を取り外しているものとして説明する。なお、第2防護体形成部材30bは、例えば高さが第1防護体形成部材30aの高さと同一であって、縦横の大きさが、第1防護体形成部材30aの縦横の大きさと同一である円筒状を成すよう形成してある。第1内型枠形成部材40aは、上記内型枠IPを形成するものであって、例えば底部40zを有し、高さが上記第2防護体形成部材30bの高さと同一であり、縦横の大きさが上記第2防護体形成部材30bの縦横の大きさに比して小さい円筒の容器状を成す態様で形成してある。このような第1内型枠形成部材40aの内径は、上記オーバーパックOVの外径に対応している。
【0043】
先ず、図8に示すように、構築した緩衝体BUと、締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5の底部とが所定の間隔となるよう装置本体20を下方に移動する。次に、構築した緩衝体BUの上方領域であって、第2防護体形成部材30bと第1内型枠形成部材40aとで囲まれる投入空間SP2に土質材料SOを投入する。次いで、上述したのと同様に、ランマR2,R3,R4,R5を駆動状態に成し、各締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5を上下方向に往復移動しながら装置本体20を回転することで、投入した土質材料SOを一様に締め固める。
【0044】
この際、駆動源の出力FOが4つのランマR2,R3,R4,R5で同一であり、駆動源の単位時間当たりの空気消費量が4つのランマR2,R3,R4,R5で同一であり、図9に示すように、締固ヘッドの底部の面積a2,a3,a4、a5が4つのランマR2,R3,R4,R5で同一であるため、締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5が一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力αは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。
【0045】
さらに、締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5の単位時間当たりの往復移動回数が4つのランマR2,R3,R4,R5で同一であり、回転軸Xを中心に角速度を一定に保ちつつ装置本体20を回転し、且つ、回転軸Xを中心に支持部材21を回転させた際の4つのランマの移動領域S2,S3,S4,S5の大きさが同一であるため、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5の往復移動回数βは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。従って、αとβとの積である土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γは、緩衝体BUの構築領域で一様となる。
【0046】
その後、円筒状に締め固めた土質材料SOと、締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5とが所定の間隔となるよう装置本体20を上方に移動してから、上述したのと同様に、第2防護体形成部材30bと第1内型枠形成部材40aとで囲まれる投入空間SP2に土質材料SOを投入し、ランマR2,R3,R4,R5を駆動状態に成し、各締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5を上下方向に移動しながら装置本体20を回転軸Xを中心に回転することで、投入した土質材料SOを締め固める。そして、装置本体20を上方に移動することと、投入空間SP2に土質材料SOを投入し、投入した土質材料SOをランマR2,R3,R4,R5で締め固めることとを繰り返して緩衝体BUを構築する。
【0047】
また、図10に示すように、適宜のタイミングで、第2防護体形成部材30bの上方に防護体RPの一部である第3防護体形成部材30cを配設するとともに、第1内型枠形成部材40aの上方に内型枠IPを形成する第2内型枠形成部材40bを配設する。第3防護体形成部材30cは、例えば高さが第2防護体形成部材30bの高さと同一であって、縦横の大きさが、第2防護体形成部材30bの縦横の大きさと同一となる態様で円筒状を成すよう形成してある。一方、第2内型枠形成部材40bは、例えば高さが第1内型枠形成部材40aの高さと同一であって、縦横の大きさが、第1内型枠形成部材40aの縦横の大きさと同一となる態様で円筒状を成すよう形成してある。
【0048】
その後、上述したのと同様に、円筒状に形成した緩衝体BUの上方領域であって、第3防護体形成部材30cと第2内型枠形成部材40bとで囲まれる投入空間に土質材料SOを投入してから、ランマR2,R3,R4,R5を駆動状態に成し、各締固ヘッドRh2,Rh3,Rh4,Rh5を上下方向に移動しながら装置本体20を回転することで、投入した土質材料SOを一様に締め固めることを繰り返して緩衝体BUを構築する。
【0049】
このようにして廃棄体WAの側方領域となる部位に緩衝体を構築した後、第1内型枠形成部材40aおよび第2内型枠形成部材40bによって画成される収納領域SPzに廃棄体WAを入れてから、収納領域SPzを第3内型枠形成部材40cで閉塞する。このような第3内型枠形成部材40cは、上記内型枠IPを形成するものである。 また、第3防護体形成部材30cの上方に防護体RPの一部である第4防護体形成部材30dを配設する。第4防護体形成部材30dは、例えば高さが第3防護体形成部材30cの高さと同一であって、縦横の大きさが、第3防護体形成部材30cの縦横の大きさと同一となる態様で円筒状を成すよう形成してある。
【0050】
第3に、廃棄体WAの上方領域に緩衝体を構築する場合を説明する。ここでは、締め固める際に土質材料SOが飛散することを防止するため、第3防護体形成部材30cの上部に、防護体RPの一部である第4防護体形成部材30dを配設してあり、図11に示すように、支持部材21に第1ランマR1を取り付けてあるものとして説明する。第4防護体形成部材30dは、例えば高さが第3防護体形成部材30cの高さと同一であって、縦横の大きさが、第3防護体形成部材30cの縦横の大きさと同一となる態様で円筒状を成すよう形成してある。
【0051】
先ず、円筒状の緩衝体BUを構築した上方領域、および廃棄体WAの上方領域であって、第4防護体形成部材30dの内部の投入空間に土質材料SOを投入する。その後、ランマR1,R2,R3,R4,R5を駆動状態に成し、各締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を上下方向に移動しながら装置本体20を回転することで、投入した土質材料SOを一様に締め固め、円筒状の緩衝体BUの上方領域、および廃棄体WAの上方領域に円柱状の緩衝体BUを構築する。この円柱状の緩衝体BUを構築するとき、廃棄体WAの下方領域に構築した緩衝体BUと同様の理由によって、構築する緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる。
【0052】
最後に、第4防護体形成部材30dの内部の投入空間を閉塞する態様で、第4防護体形成部材30dに、防護体RPの一部である第5防護体形成部材30eを配設して廃棄体パッケージPAを製造する。この廃棄体パッケージPAは、高レベル放射性廃棄物処分場が有する縦穴、または横穴に埋める。
【0053】
以上説明したように、上記緩衝体構築装置10によれば、支持部材21を回転させた際、各締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の移動領域S1,S2,S3,S4,S5の大きさが同一となるように、5つの締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の回転軸Xに対する径方向の幅d1,d2,d3,d4,d5を設定してあるため、土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γが、緩衝体BUの構築領域の全体で一様となる、従って、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる。
【0054】
なお、上記緩衝体構築装置10は、高レベル廃棄物処分場に設置し、その場所で緩衝体BUを構築しても良いし、高レベル廃棄物処分場とは別の場所に建設した工場に設置し、その工場で緩衝体BUを構築しても良い。
【0055】
また、上記緩衝体構築装置10は、5つのランマR1,R2,R3,R4,R5を備えるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、複数のランマを備えれば良い。
【0056】
[実施の形態2]
図12は、本発明の実施の形態2にかかる緩衝体構築装置110を示す図である。なお、実施の形態1に示した緩衝体構築装置10と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
この緩衝体構築装置110も、支持手段であるフレーム11と防護体載置台17と装置本体20とで構成してある。
【0058】
装置本体20は、土質材料SOを締め固める締固手段である複数(この実施形態では5つ)のランマR11,R12,R13,R14,R15と、それらのランマR11,R12,R13,R14,R15を支持する支持部材21とを備えている。
【0059】
ランマR11,R12,R13,R14,R15は、内部に駆動源を有する本体部Rbと、本体部Rbの内部に基端側を収容し、且つ先端側が本体部Rbから突出し、駆動源に連係して伸縮可能に配設した軸部Rrと、軸部Rrの先端側に配設した締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15とをそれぞれ備えている。
【0060】
各ランマR11,R12,R13,R14,R15は、例えば駆動源に高圧力の空気を送り込むこと、および駆動源から空気を吐き出させることによって駆動した状態に成した場合、本体部Rbに対して軸部Rrを伸縮し、それにより締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5を移動軸Rxに沿って上下方向にそれぞれ往復移動させるものである。このようなランマR11,R12,R13,R14,R15としては、例えば単位時間当たりの空気消費量が0.25m3/min〜1.10m3/min、単位時間当たりに締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15を600〜1600回、上下方向に往復移動し、且つ質量が1.7kg〜16.7kgのものを構築する緩衝体BUに応じて適宜選択している。なお、各ランマR11,R12,R13,R14,R15には、駆動源の出力FOが同一であり、単位時間当たりの空気消費量が同一であり、且つ単位時間当たりの締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5の往復移動回数が同一のものを使用してある。
【0061】
また、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15は、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減するため、後述するように、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の回転軸Xに対する径方向の幅を設定してある。
【0062】
それらのランマR11,R12,R13,R14,R15は、列状に配置してある。第11ランマR11は、その端部に回転軸Xを含む態様で支持部材21に取り付けてある。第12ランマR12、第13ランマR13、第14ランマR14、および第15ランマR15は、第11ランマR11に対して回転軸Xの径外方向に沿って順次、支持部材21に取り付けてある。
【0063】
第11ランマR11の締固ヘッドRh11は、図13に示すように、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh11の底部の面積は、a11である。
【0064】
第12ランマR12の締固ヘッドRh12は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh12の底部の面積a12は、上記第11ランマR11の締固ヘッドRh11の底部の面積a11よりも小さくなるよう設定してある。
【0065】
第13ランマR13の締固ヘッドRh13は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh13の底部の面積a13は、上記第12ランマR12の締固ヘッドRh12の底部の面積a12よりも小さくなるよう設定してある。
【0066】
第14ランマR14の締固ヘッドRh14は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh14の底部の面積a14は、上記第13ランマR13の締固ヘッドRh13の底部の面積a13よりも小さくなるよう設定してある。
【0067】
第15ランマR15の締固ヘッドRh15は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh15の底部の面積a15は、上記第14ランマR14の締固ヘッドRh14の底部の面積a14よりも小さくなるよう設定してある。
【0068】
このように、5つの締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の底部の面積a11,a12,a13,a14,a15は、回転軸Xから径外方向に行くに従って順次小さくなるよう設定してある。
【0069】
加えて、各締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の回転軸Xに対する径方向の幅d11,d12,d13,d14,d15は、回転軸Xを中心として支持部材21を1回転させた場合、各締固ヘッドの移動領域S11,S12,S13,S14,S15の大きさが同一となるようにそれぞれ設定してある。具体的には、第11ランマR11の締固ヘッドRh11の回転軸Xに対する径方向の幅d11が最も広く、回転軸Xから離れるに従って、ランマR12,R13,R14,R15の締固ヘッドRh12,Rh13,Rh14,Rh15の回転軸Xに対する径方向の幅d12,d13,d14,d15が徐々に狭くなる態様で設定してある。
【0070】
次に、上記緩衝体構築装置110を用いて、廃棄体WAの周囲に緩衝体BUを構築する場合を説明する。例えば廃棄体パッケージPAの下方領域となる部位に緩衝体BUを構築する場合を説明する。
【0071】
先ず、防護体載置台17の上部に第1防護体形成部材30aを載置してから、第1防護体形成部材30aの上記投入空間SP1であって、締固ヘッドRh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5と底部30Zとの間に土質材料SOを投入する。
【0072】
次いで、駆動源に高圧力の空気を送り込むこと、および駆動源から空気を吐き出させることによってランマR11,R12,R13,R14,R15を駆動状態に成し、各締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15を上下方向に往復移動させながら、回転軸Xを中心にフレーム11および装置本体20を、角速度を一定に保ちつつ回転することで、土質材料SOを円柱状に締め固める。
【0073】
土質材料SOを締め固める際、駆動源の出力FOが5つのランマR11,R12,R13,R14,R15で同一であるが、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の底部の面積a11,a12,a13,a14,a15が5つのランマR11,R12,R13,R14,R15で異なるため、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15が一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力αは異なる。具体的には、回転軸Xをその一部に含む第11ランマR11の締固ヘッドRh11の底部の面積a11が最も大きく、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR12,13,14,15の締固ヘッドRh12,Rh13,Rh14,Rh15の底部の面積a12,a13,a14,a15が順次小さくなるため、第11ランマR11の上記締固力αが最も小さく、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR12,R13,R14,R15の上記締固力αは順次大きくなる。
【0074】
また、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の単位時間当たりの往復移動回数が5つのランマR11,R12,R13,R14,R15で同一であり、回転軸Xを中心に角速度を一定に保ちつつ装置本体20を回転するが、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の底部の面積a11,a12,a13,a14,a15が5つのランマR11,R12,R13,R14,R15で異なるため、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の往復移動回数βは異なる。具体的には、回転軸Xをその一部に含む第11ランマR11の締固ヘッドRh11の底部の面積a11が最も大きく、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR12,R13,R14,R15の締固ヘッドRh12,Rh13,Rh14,Rh15の底部の面積a12,a13,a14,a15が順次小さくなるため、第11ランマR11による締固ヘッドRh11の往復移動回数βが最も多く、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR12,R13,R14,R15による締固ヘッドRh12,Rh13,Rh14,Rh15の往復移動回数βが順次少なくなる。
【0075】
ところで、締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の回転軸Xに対する径方向の幅d11,d12,d13,d14,d15は、回転軸Xを中心として支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、各締固ヘッドの移動領域S11,S12,S13,S14,S15の大きさが同一となるようにそれぞれ設定してあるため、土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。これは、αが大きい部位はβが小さく、αが小さい部位はβが大きいことによる。
【0076】
以上説明したように、上記緩衝体構築装置110によれば、支持部材21を回転させた際、各締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の移動領域S11,S12,S13,S14,S15の大きさが同一となるように、5つの締固ヘッドRh11,Rh12,Rh13,Rh14,Rh15の回転軸Xに対する径方向の幅d11,d12,d13,d14,d15を設定してあるため、土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γが、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。従って、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる。
【0077】
なお、廃棄体WAの上方領域に緩衝体BUを構築する場合には、上述と同様にランマR11,R12,R13,R14,R15を駆動状態に成せば良く、廃棄体WAの側方領域に緩衝体BUを構築する場合には、第11ランマR11を支持部材21から取り外してから、ランマR12,R13,R14,R15を駆動状態に成せば良い。
【0078】
また、上記緩衝体構築装置110は、高レベル廃棄物処分場に設置し、その場所で緩衝体BUを構築しても良いし、高レベル廃棄物処分場とは別の場所に建設した工場に設置し、その工場で緩衝体BUを構築しても良い。
【0079】
さらに、上記緩衝体構築装置110は、5つのランマR11,R12,R13,R14,R15を備えるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、複数のランマを備えれば良い。
【0080】
[実施の形態3]
図14は、本発明の実施の形態3にかかる緩衝体構築装置210を示す図である。なお、実施の形態1に示した緩衝体構築装置10と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
この緩衝体構築装置210も、支持手段であるフレーム11と防護体載置台17と装置本体20とで構成してある。
【0082】
装置本体20は、土質材料SOを締め固める締固手段である複数(この実施形態では7つ)のランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yと、それらのランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yを支持する支持部材21とを備えている。
【0083】
ランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yは、内部に駆動源を有する本体部Rbと、本体部Rbの内部に基端側を収容し、且つ先端側が本体部Rbから突出し、駆動源に連係して伸縮可能に配設した軸部Rrと、軸部Rrの先端側に配設した締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yとをそれぞれ備えている。
【0084】
各ランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yは、例えば駆動源に高圧力の空気を送り込むこと、および駆動源から空気を吐き出させることによって駆動した状態に成した場合、本体部Rbに対して軸部Rrを伸縮し、それにより締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yを移動軸Rxに沿って上下方向にそれぞれ往復移動させるものである。このようなランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yとしては、例えば単位時間当たりの空気消費量が0.25m3/min〜1.10m3/min、単位時間当たりに締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yを600〜1600回、上下方向に往復移動し、且つ質量が1.7kg〜16.7kgのものを構築する緩衝体BUに応じて適宜選択している。なお、各ランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yには、駆動源の出力FOが同一であり、単位時間当たりの空気消費量が同一であり、且つ単位時間当たりの締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yの往復移動回数が同一のものを使用してある。
【0085】
締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23において、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減するため、後述するように、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の回転軸Xに対する径方向の幅を設定してある。また、締固ヘッドRh24x,Rh25xにおいて、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減するため、後述するように、締固ヘッドRh24x,Rh25xの回転軸Xに対する径方向の幅を設定してある。さらに、締固ヘッドRh24y,Rh25yにおいて、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減するため、後述するように、締固ヘッドRh24y,Rh25yの回転軸Xに対する径方向の幅を設定してある。
【0086】
それらのランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yは、列状に配置してある。第21ランマR21は、その端部に回転軸Xを含む態様で支持部材21に取り付けてある。第22ランマR22、第23ランマR23、第24ランマR24x、および第25ランマR25xは、第21ランマR21に対して回転軸Xの径外方向に沿って順次、支持部材21に取り付けてある。また、図14に示すように、第26ランマR24yは、その移動軸Rxと回転軸Xとの距離L24yが、第24ランマR24xの移動軸Rxと回転軸Xとの距離L24xと同一になるよう支持部材21に取り付けてあり、第27ランマR25yは、その移動軸Rxと回転軸Xとの距離L25yが、第25ランマR25xの移動軸Rxと回転軸Xとの距離L25xと同一となるよう支持部材21に取り付けてある。
【0087】
このように回転軸Xから移動軸Rxまでの距離が、第24ランマR24xと第26ランマR24yとで同一であり、且つ、後述するように、締固ヘッドRh24xの面積a24xと、締固ヘッドRh24yの面積a24yとが同一であるとともに形状が同一であるため、図15に示すように、第24ランマR24xの移動領域と、第26ランマR24yの移動領域とは同一(S24)である。また、回転軸Xから移動軸Rxまでの距離が、第25ランマR25xと第27ランマR25yとで同一であり、且つ締固ヘッドRh25xの面積a25xと、締固ヘッドRh25yの面積a25yとが同一であるとともに形状が同一であるため、第25ランマR25xの移動領域と、第27ランマR25yの移動領域とは同一(S25)である。
【0088】
第21ランマR21の締固ヘッドRh21は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh21の底部の面積は、a21である。
【0089】
第22ランマR22の締固ヘッドRh22は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh22の底部の面積a22は、上記第21ランマR21の締固ヘッドRh21の底部の面積a21よりも小さくなるよう設定してある。
【0090】
第23ランマR23の締固ヘッドRh23は、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh23の底部の面積a23は、上記第22ランマR22の締固ヘッドRh22の底部の面積a22よりも小さくなるよう設定してある。
【0091】
第24ランマR24xの締固ヘッドRh24xは、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh24の底部の面積a24xは、上記第21ランマR21の締固ヘッドRh21の底部の面積a21よりも大きくなるよう設定してある。
【0092】
第25ランマR25xの締固ヘッドRh25xは、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh25xの底部の面積a25xは、上記第24ランマR24xの締固ヘッドRh24xの底部の面積a24xよりも小さくなるよう設定してある。
【0093】
第26ランマR24yの締固ヘッドRh24yは、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh24yの底部の面積a24yは、上記第24ランマR24xの締固ヘッドRh24xの底部の面積a24xと同一となるよう設定してある。
【0094】
第27ランマR25yの締固ヘッドRh25yは、移動軸Rxに対する横断面が円形を成す態様で形成してある。この締固ヘッドRh25yの底部の面積a25yは、上記第25ランマR25xの締固ヘッドRh25xの底部の面積a25xと同一となるよう設定してある。
【0095】
このように、3つの締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の底部の面積a21,a22,a23は、回転軸Xから径外方向に行くに従って順次小さくなるよう設定してある。また、2つの締固ヘッドRh24x,Rh25xの底部の面積a24x,a25xは、回転軸Xから径外方向に行くに従って順次小さくなるよう設定してあり、且つ、2つの締固ヘッドRh24y,Rh25yの底部の面積a24y,a25yは、回転軸Xから径外方向に行くに従って順次小さくなるよう設定してある。さらに、締固ヘッドRh24xの底部の面積a24xの大きさと、締固ヘッドRh24yの底部の面積a24yの大きさとが同一であり、締固ヘッドRh25xの底部の面積a25xの大きさと、締固ヘッドRh25yの底部の面積a25yの大きさとが同一となるよう設定してある。
【0096】
加えて、ランマR21,R22,R23において、各締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の回転軸Xに対する径方向の幅d21,d22,d23は、回転軸Xを中心として支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、各締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさが同一となるようにそれぞれ設定してある。具体的には、第21ランマR21の締固ヘッドRh21の回転軸Xに対する径方向の幅d21が最も広く、回転軸Xから離れるに従って、ランマR22,R23の締固ヘッドRh22,Rh23の回転軸Xに対する径方向の幅d22,d23が徐々に狭くなる態様で設定してある。
【0097】
ランマR24x,R25xにおいて、各締固ヘッドRh24x,Rh25xの回転軸Xに対する径方向の幅d24,d25は、回転軸Xを中心として支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、各締固ヘッドの移動領域S24,S25の大きさが同一となるようにそれぞれ設定してある。しかも、それらの締固ヘッドの移動領域S24,S25の大きさは、上記締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさの2倍である。
【0098】
ランマR24y,R25yにおいて、各締固ヘッドRh24y,Rh25yの回転軸Xに対する径方向の幅d24,d25は、回転軸Xを中心として支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、各締固ヘッドの移動領域S24,S25の大きさが同一となるようにそれぞれ設定してある。しかも、それらの締固ヘッドの移動領域S24,S25の大きさは、上記締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさの2倍である。
【0099】
すなわち、ランマR24xによる締固ヘッドの移動領域S24と、ランマR24yによる締固ヘッドの移動領域S24とは、同一であり、且つその大きさは、各ランマR21,R22,R23の締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさの2倍である。換言すれば、ランマR24xとランマR24yとにおいて、1つ当たりの締固ヘッドの移動領域の大きさは、各ランマR21,R22,R23の締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさとそれぞれ同一である。
【0100】
また、ランマR25xによる締固ヘッドの移動領域S25と、ランマR25yによる締固ヘッドの移動領域S25とは、同一であり、且つその大きさは、各ランマR21,R22,R23の締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさの2倍である。換言すれば、ランマR25xとランマR25yとにおいて、1つ当たりの締固ヘッドの移動領域の大きさは、各ランマR21,R22,R23の締固ヘッドの移動領域S21,S22,S23の大きさとそれぞれ同一である。
【0101】
次に、上記緩衝体構築装置210を用いて、廃棄体WAの周囲に緩衝体BUを構築する場合を説明する。例えば廃棄体パッケージPAの下方領域となる部位に緩衝体BUを構築する場合を説明する。
【0102】
先ず、防護体載置台17の上部に第1防護体形成部材30aを載置してから、第1防護体形成部材30aの上記投入空間SP1であって、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yと底部30Zとの間に土質材料SOを投入する。
【0103】
次いで、駆動源に高圧力の空気を送り込むこと、および駆動源から空気を吐き出させることによってランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yを駆動状態に成し、各締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yを上下方向に往復移動させながら、回転軸Xを中心にフレーム11および装置本体20を、角速度を一定に保ちつつ回転することで、土質材料SOを円柱状に締め固める。
【0104】
土質材料SOを締め固める際、上記3つのランマR21,R22,R23において、駆動源の出力FOは同一であるが、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の底部の面積a21,a22,a23が3つのランマR21,R22,R23で異なるため、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23が一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力αは異なる。具体的には、回転軸Xをその一部に含む第21ランマR21の締固ヘッドRh21の底部の面積a21が最も大きく、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR22,R23の締固ヘッドRh22,Rh23の底部の面積a22,a23が順次小さくなるため、第21ランマR21の上記締固力αが最も小さく、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR22,R23の上記締固力αは順次大きくなる。
【0105】
また、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の単位時間当たりの往復移動回数が3つのランマR21,R22,R23で同一であり、回転軸Xを中心に角速度を一定に保ちつつ装置本体20を回転するが、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の底部の面積a21,a22,a23が3つのランマR21,R22,R23で異なるため、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の往復移動回数βは異なる。具体的には、回転軸Xをその一部に含む第21ランマR21の締固ヘッドRh21の底部の面積a21が最も大きく、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR22,R23の締固ヘッドRh22,Rh23の底部の面積a22,a23が順次小さくなるため、第21ランマR21による締固ヘッドRh21の往復移動回数βが最も多く、回転軸Xの径外方向に行くに従ってランマR22,R23による締固ヘッドRh22,Rh23の往復移動回数βが順次少なくなる。
【0106】
ところで、上記3つのランマR21,R22,R23において、各締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の回転軸Xに対する径方向の幅d21,d22,d23は、支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23の移動領域S21,S22.S23の大きさが同一であるため、土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γが、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。これは、αが大きい部位はβが小さく、αが小さい部位はβが大きいことによる。
【0107】
土質材料SOを締め固める際、上記2つのランマR24x,R25xにおいて、駆動源の出力FOは同一であるが、締固ヘッドRh24x,Rh25xの底部の面積a24x,a25xが2つのランマR24x,R25xで異なるため、締固ヘッドRh24x,Rh25xが一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力αは異なる。具体的には、回転軸Xに近い第24ランマR24xの締固ヘッドRh24xの底部の面積a24xが大きく、回転軸Xから遠い第25ランマR25xの締固ヘッドRh25xの底部の面積a25xが小さいため、第24ランマR24xの上記締固力αが小さく、第25ランマR25xの上記締固力αは順次大きくなる。
【0108】
また、締固ヘッドRh24x,Rh25xの単位時間当たりの往復移動回数が2つのランマR24x,R25xで同一であり、回転軸Xを中心に角速度を一定に保ちつつ装置本体20を回転するが、締固ヘッドRh24x,Rh25xの底部の面積a24x,a25xが2つのランマR24x,R25xで異なるため、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh24x,Rh25xの往復移動回数βは異なる。具体的には、回転軸Xに近い第24ランマR24xの締固ヘッドRh24xの底部の面積a24xが大きく、回転軸Xから遠い第25ランマR25xの締固ヘッドRh25xの底部の面積a25xが小さいため、第24ランマR24xによる締固ヘッドRh24xの往復移動回数βが多く、第25ランマR25xによる締固ヘッドRh25xの往復移動回数βが少ない。
【0109】
ところで、上記2つのランマR24x,R25xにおいて、各締固ヘッドRh24x,Rh25xの回転軸Xに対する径方向の幅d24,d25は、支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、締固ヘッドRh24x,Rh25xの移動領域S24,S5の大きさが同一であるため、土質材料の単位面積に作用する積算締固力γが、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。これは、αが大きい部位はβが小さく、αが小さい部位はβが大きいことによる。
【0110】
土質材料SOを締め固める際、上記2つのランマR24y,R25yにおいて、駆動源の出力FOは同一であるが、締固ヘッドRh24y,Rh25yの底部の面積が2つのランマR24y,R25yで異なるため、締固ヘッドRh24y,Rh25yが一度往復移動する際に単位面積の土質材料SOに加えられる締固力αは異なる。具体的には、回転軸Xに近い第26ランマR24yの締固ヘッドRh24yの底部の面積a24yが大きく、回転軸Xから遠い第27ランマR25yの締固ヘッドRh25yの底部の面積a25yが小さいため、第26ランマR24yの上記締固力αが小さく、第27ランマR25yの上記締固力αは順次大きくなる。
【0111】
また、締固ヘッドRh24y,Rh25yの単位時間当たりの往復移動回数が2つのランマR24y,R25yで同一であり、回転軸Xを中心に角速度を一定に保ちつつ装置本体20を回転するが、締固ヘッドRh24y,Rh25yの底部の面積a24y,a25yが2つのランマR24y,R25yで異なるため、単位面積の土質材料SOを締め固める際の締固ヘッドRh24y,Rh25yの往復移動回数βは異なる。具体的には、回転軸Xに近い第26ランマR24yの締固ヘッドRh24yの底部の面積a24yが大きく、回転軸Xから遠い第27ランマR25yの締固ヘッドRh25yの底部の面積a25yが小さいため、第26ランマR24yによる締固ヘッドRh24yの往復移動回数βが多く、第27ランマR25yによる締固ヘッドRh25yの往復移動回数βが少ない。
【0112】
ところで、上記2つのランマR24y,R25yにおいて、各締固ヘッドRh24y,Rh25yの回転軸Xに対する径方向の幅d24,d25は、支持部材21を回転させた場合(例えば1回転させた場合)、締固ヘッドRh24y,Rh25yの移動領域S24,S25の大きさが同一であるため、土質材料の単位面積に作用する積算締固力γが、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。これは、αが大きい部位はβが小さく、αが小さい部位はβが大きいことによる。
【0113】
しかも、第24ランマR24xおよび第26ランマR24yの2つのランマR24x,R24yの締固ヘッドの移動領域S24の大きさは、例えば第21ランマR21の移動領域S21の大きさの2倍であるため、それらのランマR24x,R24yの1つ当たりの締固ヘッドの移動領域は、第21ランマR21の移動領域S21の大きさと同一である。
【0114】
また、第25ランマR25xおよび第27ランマR25yの2つのランマR25x,R25yの締固ヘッドの移動領域S25の大きさは、例えば第21ランマR21の移動領域S21の大きさの2倍であるため、それらのランマR25x,R25yの1つ当たりの締固ヘッドの移動領域は、第21ランマR21の移動領域S21の大きさと同一である。
【0115】
従って、土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γは、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。
【0116】
以上説明したように、上記緩衝体構築装置210によれば、支持部材21を回転させた際、1つ当たりの締固ヘッドの移動領域の大きさが同一となるように、7つの締固ヘッドRh21,Rh22,Rh23,Rh24x,Rh25x,Rh24y,Rh25yの回転軸に対する径方向の幅d21,d22,d23,d24,d25を設定してあるため、土質材料SOの単位面積に作用する積算締固力γが、緩衝体BUの構築領域全体で一様となる。従って、緩衝体BUのある部位の密度と他の部位の密度との相違を低減することができる。
【0117】
なお、廃棄体WAの上方領域に緩衝体BUを構築する場合には、上述と同様に、ランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yを駆動状態に成せば良く、廃棄体WAの側方領域に緩衝体BUを構築する場合には、第21ランマR21を支持部材21から取り外してから、ランマR22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yを駆動状態に成せば良い。
【0118】
また、上記緩衝体構築装置210は、高レベル廃棄物処分場に設置し、その場所で緩衝体BUを構築しても良いし、高レベル廃棄物処分場とは別の場所に建設した工場に設置し、その工場で緩衝体BUを構築しても良い。
【0119】
さらに、上記緩衝体構築装置210は、7つのランマR21,R22,R23,R24x,R25x,R24y,R25yを備えるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、複数のランマを備えれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる緩衝体構築装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1における矢視A−Aの断面図である。
【図3】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の下方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図4】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて構築した緩衝体を備える廃棄体パッケージ示す断面側面図である。
【図5】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の下方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図6】図1および2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の下方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図7】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の側方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図8】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の側方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図9】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の側方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図10】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の上方領域に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図11】図1および図2に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の上方領域に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる緩衝体構築装置の概略構成を示す平面図である。
【図13】図12に示した緩衝体構築装置を用いて、廃棄体の下方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態3にかかる緩衝体構築装置の概略構成を示す平面図である。
【図15】図14に示した緩衝体構築装置を用いて、廃棄体の下方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【図16】従来の緩衝体構築装置の概略構成を示す平面図である。
【図17】図16における矢視B−Bの断面図である。
【図18】図16に示した緩衝体構築装置を用いて廃棄体の下方領域となる部位に緩衝体を構築している場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0121】
10 緩衝体構築装置
21 支持部材
110 緩衝体構築装置
210 緩衝体構築装置
BU 緩衝体
R1 第1ランマ
R2 第2ランマ
R3 第3ランマ
R4 第4ランマ
R5 第5ランマ
R11 第11ランマ
R12 第12ランマ
R13 第13ランマ
R14 第14ランマ
R15 第15ランマ
R21 第21ランマ
R22 第22ランマ
R23 第23ランマ
R24x 第24ランマ
R25x 第25ランマ
R24y 第26ランマ
R25y 第27ランマ
Rh1 締固ヘッド
Rh2 締固ヘッド
Rh3 締固ヘッド
Rh4 締固ヘッド
Rh5 締固ヘッド
Rh11 締固ヘッド
Rh12 締固ヘッド
Rh13 締固ヘッド
Rh14 締固ヘッド
Rh15 締固ヘッド
Rh21 締固ヘッド
Rh22 締固ヘッド
Rh23 締固ヘッド
Rh24x 締固ヘッド
Rh25x 締固ヘッド
Rh24y 締固ヘッド
Rh25y 締固ヘッド
S1 締固ヘッドの移動領域
S2 締固ヘッドの移動領域
S3 締固ヘッドの移動領域
S4 締固ヘッドの移動領域
S5 締固ヘッドの移動領域
S11 締固ヘッドの移動領域
S12 締固ヘッドの移動領域
S13 締固ヘッドの移動領域
S14 締固ヘッドの移動領域
S15 締固ヘッドの移動領域
S21 締固ヘッドの移動領域
S22 締固ヘッドの移動領域
S23 締固ヘッドの移動領域
S24 締固ヘッドの移動領域
S25 締固ヘッドの移動領域
SO 土質材料
a1 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a2 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a3 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a4 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a5 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a11 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a12 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a13 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a14 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a15 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a21 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a22 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a23 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a24x 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a25x 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a24y 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
a25y 締固ヘッドの底部の面積(締固ヘッドの土質材料に接触する接触部の面積)
d1 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d2 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d3 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d4 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d5 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d11 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d12 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d13 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d14 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d15 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d21 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d22 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d23 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d24 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
d25 締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅
α 締固ヘッドが一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力
β 単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドの往復移動回数
γ αとβとの積である土質材料の単位面積に作用する積算締固力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締固ヘッドを有する締固手段を支持部材に複数支持させ、締固ヘッドをそれぞれ往復移動させながら支持部材を回転軸を中心に回転させることにより、締固手段の回転軌跡上に位置する土質材料を締固ヘッドによってそれぞれ締め固めて緩衝体を構築する緩衝体構築装置において、
締固ヘッドが一度往復移動する際に単位面積の土質材料に加えられる締固力をαとし、且つ、
単位面積の土質材料を締め固める際の締固ヘッドの往復移動回数をβとした場合、
αとβとの積である土質材料の単位面積に作用する積算締固力が、緩衝体の構築領域全体で一様となるように複数の締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅を設定することを特徴とする緩衝体構築装置。
【請求項2】
支持部材を回転させた際、1つ当たりの締固ヘッドの移動領域の大きさが同一となるように複数の締固ヘッドの回転軸に対する径方向の幅を設定することを特徴とする請求項1に記載の緩衝体構築装置。
【請求項3】
複数の締固手段において、土質材料に接触する締固ヘッドの接触部の面積を同一に設定することを特徴とする請求項2に記載の緩衝体構築装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−3033(P2008−3033A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175183(P2006−175183)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】