説明

緩衝材

【課題】袋の大きさや各袋の配置の自由度を高めた、紙からなる緩衝材を提供する。
【解決手段】緩衝材1は、紙基材3の一方の面にPETからなる樹脂層4をラミネートした2枚のラミネート紙5,6を、互いの樹脂層4を向かい合わせるようにして重ね合わせて構成されている。一方のラミネート紙5は、袋部2を構成するように成形されており、他方のラミネート紙6には、何の成形も施されていない。ラミネート紙5の袋部2の周囲のPETが、ラミネート紙6のPETと接着して接着部8を形成することにより、2枚のラミネート紙5,6間に、複数の空間7が形成されている。袋部2の周囲はシールされているので、各空間7には空気が密封され、各空間7は互いに間隔をあけて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緩衝材に係り、特に、物品を容器に梱包する際に、物品と容器との隙間に介在させる緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を容器等に収納して運搬等する際、物品を容器内で動かないように固定したり、物品を振動や衝撃等から保護したりするために、物品と容器との間の隙間に介在させる緩衝材として、エアーマット等がよく用いられている。しかしながら、エアーマットは通常、樹脂材料のみから製造されているため、廃棄処理コストが高く、リサイクル性も悪い。そこで、廃棄処理が簡単でリサイクル性の高い緩衝材が特許文献1に開示されている。この緩衝材は、紙基材の一面に水溶性ポリビニルアルコールをラミネートしたものを筒状にすると共に開口両端部をヒートシールによって閉じることにより袋状にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−267866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の緩衝材では、紙基材の一面に樹脂をラミネートしたものを筒状にすると共に開口両端部をヒートシールによって閉じることにより袋状にしているので、袋の容積をある程度までしか小さくすることができず、また、一つ一つの袋がばらばらのものか、あるいは一つ一つの袋が一列につながったものしか製造できないといった問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、袋の大きさや各袋の配置の自由度を高めた、紙からなる緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る緩衝材は、紙基材の一面に樹脂をラミネートした2枚のラミネート紙を、該樹脂がラミネートされた面を互いに向かい合わせると共に前記2枚のラミネート紙の間に少なくとも1つの空間を形成するようにして重ね合わせ、一方のラミネート紙の前記空間の周囲に位置する樹脂が、他方のラミネート紙の樹脂と接着して、該空間内にガスを密封したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、紙基材の一面に樹脂をラミネートした2枚のラミネート紙を、樹脂がラミネートされた面を互いに向かい合わせると共に2枚のラミネート紙の間に少なくとも1つの空間を形成するようにして重ね合わせ、一方のラミネート紙の空間の周囲に位置する樹脂が、他方のラミネート紙の樹脂と接着して、空間内にガスを密封したので、袋の大きさや各袋の配置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る緩衝材の平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】実施の形態2に係る緩衝材の断面図である。
【図4】実施の形態3に係る緩衝材の平面図である。
【図5】実施の形態3に係る緩衝材の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る緩衝材の平面図を図1に示す。緩衝材1は、シート状であって、その一方の面に複数の袋部2が、互いに間隔をあけて、ほぼ均一に分散するように配置されている。全体的な形状は、公知のエアーマットの全体的な形状に類似している。
【0010】
図2に示されるように、緩衝材1は、紙基材3の一方の面にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる樹脂層4をラミネートした2枚のラミネート紙5,6を、互いの樹脂層4を向かい合わせるようにして重ね合わせて構成されている。一方のラミネート紙5は、袋部2を構成するように成形されており、他方のラミネート紙6は平らである。ラミネート紙5の袋部2の周囲のPETが、ラミネート紙6のPETと接着して接着部8を形成することにより、2枚のラミネート紙5,6間に、複数の空間7が形成されている。袋部2の周囲はシールされているので、各空間7には空気が密封され、各空間7は互いに隔離されている。
【0011】
次に、この実施の形態1に係る緩衝材の製造方法について説明する。
紙基材3の一面に、公知の手法でPETをラミネートして樹脂層4を形成し、2枚のラミネート紙5,6を作成する。一方のラミネート紙5に、樹脂層4が形成された面から他方の面に向かって突出するように袋部2を成形する。2枚のラミネート紙5,6を、互いの樹脂層4を向かい合わせるようにして重ね合わせる。ラミネート紙5の樹脂層4が形成されていない面からラミネート紙6に向かって熱及び圧力を加えることによって、袋部2の周囲のPETを、ラミネート紙6のPETと接着させる。このような手順によって、緩衝材1が製造される。
【0012】
このように、紙基材3の一面にPETをラミネートした2枚のラミネート紙5,6を、PETがラミネートされた面を互いに向かい合わせると共に2枚のラミネート紙5,6の間に少なくとも1つの空間7を形成するようにして重ね合わせ、ラミネート紙5の空間7の周囲に位置するPETが、ラミネート紙6のPETと接着して、空間7内に空気を密封したので、袋部2の大きさや各袋部2の配置の自由度を高めることができる。
また、緩衝材1は、公知のエアーマットの全体的な形状に類似した形状を有しているので、エアーマットの用途と同じ用途に用いることができる。さらに、緩衝材1は、紙基材3にPETをラミネートしたラミネート紙5,6から形成されているので、廃棄処理が簡単で、リサイクルも可能である。
【0013】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る緩衝材について説明する。尚、以下の実施の形態において、図1及び2の参照符号と同一の符号は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係る緩衝材は、実施の形態1に対して、2枚のラミネート紙間に形成された空間を、ラミネート紙の厚さ方向に関して対称な形状にしたものである。
【0014】
この発明の実施の形態2に係る緩衝材の断面図を図3に示す。
緩衝材10は、実施の形態1と同様に、2枚のラミネート紙5,6を、互いの樹脂層4を向かい合わせるようにして重ね合わせて構成されている。ラミネート紙5に成形された袋部2に対向する位置に、ラミネート紙6にも、袋部2と同じ形状の袋部12が成形されている。実施の形態1と同様にして、袋部2の周囲のPETと袋部12の周囲のPETとが接着して接着部8を形成することにより、2枚のラミネート紙5,6間に、複数の空間17が形成されている。袋部2,12のそれぞれの周囲はシールされているので、各空間17には空気が密封され、各空間17は互いに間隔をあけて隔離されている。
【0015】
このように、ラミネート紙5,6それぞれに成形された袋部2,12によって、ラミネート紙5,6の厚さ方向に関して対称な形状の空間17を構成しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
尚、実施の形態2では、袋部2の形状と袋部12の形状を同じにすることにより、ラミネート紙5,6の厚さ方向に関して、空間17が対称となっていたが、この形態に限定するものではない。袋部2の形状と袋部12の形状を異なるようにしてもよい。また、袋部2と袋部12とによって空間17を構成しているが、この形態に限定するものでもない。袋部2とラミネート紙6の平面部分とによって、ラミネート紙5の方に突出した空間を構成すると共に、袋部12とラミネート紙5の平面部分とによって、ラミネート紙6の方に突出した空間を構成するようにしてもよい。
【0016】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る緩衝材について説明する。この発明の実施の形態3に係る緩衝材は、実施の形態1に対して、袋部の形状及び大きさを変更したものである。
【0017】
この発明の実施の形態3に係る緩衝材の平面図を図4に示す。
緩衝材20は、矩形の6個の袋部22が形成されて、全体として十字形状を有している。緩衝材20は、袋部22の個数及び形状が、実施の形態1における袋部2と異なるだけで、実施の形態1と同様に2枚のラミネート紙5,6から形成されている。
【0018】
図5に示されるように、上面が開閉可能な蓋31を有する紙製の箱30の内部に緩衝材20を配置することにより、箱30に収容される図示しない物品を箱30内で動かないようにしたり、物品を振動や衝撃等から保護したりすることができる。
【0019】
このように、袋部の形状及び大きさにかかわらず、2枚のラミネート紙5,6間に空間を形成することにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0020】
実施の形態3では、大きな袋部22が6個形成されているが、この形態に限定するものではない。それぞれの袋部22が大きな一つの袋部ではなく、複数の小さな袋部が形成された形態であってもよい。
【0021】
実施の形態1〜3では、樹脂層4はPETから形成されていたが、PETに限定するものではない。空気が透過しない樹脂であればどのようなものであってもよく、ポリエチレンやポリプロピレンやポリビニルアルコール等であってもよい。また、空間には空気が密封されていたが、空気に限定するものではない。窒素や希ガス等、あるいはこれらのガスの混合気等の雰囲気化で緩衝材を製造すれば、空間に様々なガスを密封することができる。ただし、好ましくは不活性ガスであれば、袋部が破れたり、袋部がしぼんでしまったりすることを防止できる。
【符号の説明】
【0022】
1,10,20 緩衝材、3 紙基材、5,6 ラミネート紙、7,17 空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の一面に樹脂をラミネートした2枚のラミネート紙を、前記樹脂がラミネートされた面を互いに向かい合わせると共に前記2枚のラミネート紙の間に少なくとも1つの空間を形成するようにして重ね合わせ、一方のラミネート紙の前記空間の周囲に位置する樹脂が、他方のラミネート紙の樹脂と接着して、該空間内にガスを密封した緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−57242(P2011−57242A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206797(P2009−206797)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(509252416)株式会社器工企画 (1)
【Fターム(参考)】