説明

緩衝機能内蔵包装容器

【課題】 本発明は、内容物が載置される底板が弾性的に高さ位置を変更自在として十分な緩衝機能を果たすことが出来る緩衝機能内蔵包装容器を提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 上面で開閉する蓋板2を有する側板3を容器1の周方向に折曲可能な断面多角形状の緩衝機能内蔵包装容器1において、該側板3の下端部に該側板3よりも容器1の内側に折り返し可能に延長され、該側板3の長さ以下の長さを有する第1の緩衝片6と、該第1の緩衝片6の上端部に該第1の緩衝片6よりも容器1の内側に折り返し可能に延長され、該第1の緩衝片6の長さよりも短い長さを有する第2の緩衝片7と、該第2の緩衝片7の下端部に折曲可能に延長される底板8とを有し、該底板8上に載置される内容物21に作用する力が該底板8に作用すると、第1、第2の緩衝片6,7が弾性的に湾曲して底板8の高さ位置を変更自在とした構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内部に緩衝機能を一体的に設けた緩衝機能内蔵包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の包装容器は、容器の内部に該容器とは別に形成した緩衝材を挿入して内容物の保護を図っていた。また、容器内部に設けられる緩衝用底や瓶底支持板を容器と一体的に設けたものもある(例えば、特許文献1、2参照。)。また、内容物の大小に応じて内蓋板部が湾曲するものもある(例えば、特許文献3参照。)。また、底蓋片の上部に箱体の内側に膨らんで位置する一対の支持片を設けたものもある(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−192831号公報
【特許文献2】特開平10−291522号公報
【特許文献3】特開平11−321854号公報
【特許文献4】特開2008−143565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1〜3の技術では、緩衝用底や瓶底支持板や内蓋板部が起立した支持脚や緩衝用立壁片や支持板部により支えられているため緩衝用底や瓶底支持板や内蓋板部自体が高さ方向に移動することが出来ず、十分な緩衝機能を果たしていなかった。また、特許文献4の構成であっても支持片の高さ位置が大きく変動することが出来ず、十分な緩衝機能とはいえなかった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、内容物が載置される底板が弾性的に高さ位置を変更自在として十分な緩衝機能を果たすことが出来る緩衝機能内蔵包装容器を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第1の構成は、上面で開閉する蓋板を有する側板を容器の周方向に折曲可能な断面多角形状の緩衝機能内蔵包装容器において、前記側板の下端部に該側板よりも容器の内側に折り返し可能に延長され、該側板の長さ以下の長さを有する第1の緩衝片と、前記第1の緩衝片の上端部に該第1の緩衝片よりも容器の内側に折り返し可能に延長され、該第1の緩衝片の長さよりも短い長さを有する第2の緩衝片と、前記第2の緩衝片の下端部に折曲可能に延長される底板とを有し、前記底板上に載置される内容物に作用する力が前記底板に作用すると、前記第1、第2の緩衝片が弾性的に湾曲して前記底板の高さ位置を変更自在としたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第2の構成は、前記第1の構成において、前記第1の緩衝片と前記第2の緩衝片との折曲辺の両端部が所定の寸法だけ切断された一対の第1の切断部と、前記折曲辺の接続部と前記一対の第1の切断部とのそれぞれの境界を通り該折曲辺に直交して前記第1の緩衝片と前記第2の緩衝片とが所定の寸法だけ切断された一対の第2の切断部とを有し、前記底板上に載置される内容物に作用する力が前記底板に作用すると、前記折曲辺の接続部に連続される連結部が弾性的に湾曲して前記底板の高さ位置を変更自在としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第3の構成は、前記第2の構成において、前記第1の切断部の長さを調整して前記連結部の弾性力を調整することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第4の構成は、前記第2、第3の構成において、前記第2の切断部の長さを調整して前記底板の高さ方向の可変位置範囲を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第1の構成によれば、底板上に載置される内容物に作用する力が底板に作用すると、第1、第2の緩衝片が弾性的に湾曲して該底板の高さ位置を変更自在としたことで、第1、第2の緩衝片が弾性的に湾曲して該底板がショックアブゾーバーとしての機能を発揮することが出来、内容物の破損などを防止することが出来る。また、蓋板、側板、第1、第2の緩衝片、底板が一体的に連続して構成されるため、緩衝材を別部材として用意する必要が無く、自動包装により包装作業が出来る。
【0011】
本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第2の構成によれば、底板上に載置される内容物に作用する力が底板に作用すると、折曲辺の接続部に連続される連結部が弾性的に湾曲して底板の高さ位置を変更自在とすることが出来、第3の構成によれば、第1の切断部の長さを調整すれば該連結部の弾性力を調整することができる。即ち第1の切断部の長さを短くすれば連結部の弾性力が大きく、第1の切断部の長さを長くすれば連結部の弾性力を小さく出来る。これにより内容物の重量により生じる慣性力に応じて第1の切断部の長さを調整すれば最適な緩衝機能を発揮することが出来る。
【0012】
また、本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の第4の構成によれば第2の切断部の長さを調整すれば底板の高さ方向の可変位置範囲を調整することができる。即ち、第2の切断部の長さを長くすれば底板を上下方向に長いストロークで振動させることが出来、第2の切断部の長さを短くすれば底板を上下方向に短いストロークで振動させることが出来る。これにより内容物の高さ寸法に応じて第2の切断部の長さを調整することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a),(b)は本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の展開図の表裏面を示す図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の組立工程を説明する図である。
【図3】本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の緩衝機能を説明する図で、(b)は内容物を入れる前の状態を示す平面図、(a)は(b)のA−A断面図である。
【図4】本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の緩衝機能を説明する図で、(b)は内容物を入れた状態を示す平面図、(a)は(b)のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図により本発明に係る緩衝機能内蔵包装容器の一実施形態を具体的に説明する。図1〜図4において、1は上面で開閉する蓋板2を有する側板3を容器1の周方向に折曲可能な断面多角形状の緩衝機能内蔵包装容器1である。本実施形態の緩衝機能内蔵包装容器1は外形が六面体の一例であるが、3枚以上の側板3を備えた断面多角形状の緩衝機能内蔵包装容器1として構成することも出来る。蓋板2の端部には差込片4が接続されており、蓋板2が接続された側板3の両側に配置される側板3にはそれぞれフラップ片5が接続されている。また、フラップ片5が設けられた端部の側板3には固定片9が設けられている。
【0015】
4枚の側板3のそれぞれの下端部には該側板3よりも容器1の内側に折り返し可能に延長され、該側板3の長さ以下の長さを有する第1の緩衝片6がそれぞれ設けられている。また、それぞれの第1の緩衝片6の上端部には該第1の緩衝片6よりも容器1の内側に折り返し可能に延長され、該第1の緩衝片6の長さよりも短い長さを有する第2の緩衝片7がそれぞれ設けられている。
【0016】
それぞれの第1の緩衝片6と第2の緩衝片7との折曲辺10の両端部は所定の寸法だけ切断された一対の第1の切断部11がそれぞれ形成されており、該折曲辺10の接続部12と該一対の第1の切断部11とのそれぞれの境界を通り該折曲辺10に直交して該第1の緩衝片6と第2の緩衝片7とが所定の寸法だけ切断された一対の第2の切断部13がそれぞれ形成されている。
【0017】
第2の緩衝片7相互は連結片14a,14bにより折曲可能に連結されており、両端部の第2の緩衝片7には係合片15がそれぞれ設けられている。また、それぞれの第2の緩衝片6の下端部には折曲可能に延長される底板8がそれぞれ設けられている。一端部の底板8aは側板3の幅寸法に対応して方形状で形成されており、最下面に配置される。他の底板8は一端部の底板8aよりも多少小さな外形とされフラップ片を兼ねる。一端部の底板8aの端部には差込片16が接続されており、これに対向する第2の緩衝片7と底板8との折曲辺17に形成された差込穴18に該差込片16が差し込まれて底板8aが固定される。
【0018】
上記緩衝機能内蔵包装容器1を組み立てる際には、図2(a),(b)に示すように、第1の緩衝片6を折曲辺19に沿って谷折りにすると共に、第2の緩衝片7を折曲辺10に沿って山折りにして第1、第2の緩衝片6,7を側板3の内面に沿って起立させる。そして、側板3を緩衝機能内蔵包装容器1の周方向に折曲辺20に沿って谷折りにして固定片9を対向する側板3の外面に接着等により固定する(図2(c)参照)。そして、底板8aが最下面になるように各底板8を重ねながら最下面の底板8aに設けられた差込片16を差込穴18に差し込んで底板8aを固定する(図2(d)参照)。その後、側板3の内面に沿って起立した第1、第2の緩衝片6,7により内箱が形成され、図3及び図4に示すように、該第1、第2の緩衝片6,7と底板8とにより形成された中空内部に内容物21を収容する。尚、底板8aの固定は本実施形態のように差込片16を差込穴18に差し込んで底板8aを固定する以外にも接着によるものなど種々の固定方法が適用できる。
【0019】
そして、底板8上に載置される内容物21に作用する力が該底板8に作用すると、図4に示すように、第1、第2の緩衝片6,7が弾性的に湾曲して底板8の高さ位置を変更自在とされる。より詳しくは、折曲辺10の接続部12に連続される連結部22が弾性的に湾曲して底板8の高さ位置を変更自在とされる。これにより内容物21の重量により生じる慣性力に応じて連結部22が弾性的に湾曲して底板8の高さ位置が変化し、緩衝機能を発揮することが出来る。
【0020】
ここで、第1の切断部11の長さを調整すれば該連結部22の弾性力を調整することができる。即ち第1の切断部11の長さを短くすれば連結部22の弾性力を大きく出来、該第1の切断部11の長さを長くすれば連結部22の弾性力を小さく出来る。これにより内容物21の重量により生じる慣性力に応じて第1の切断部11の長さを調整すれば最適な緩衝機能を発揮することが出来る。
【0021】
また、第2の切断部13の長さを調整すれば底板8の高さ方向の可変位置範囲を調整することができる。即ち、第2の切断部13の長さを長くすれば底板8を上下方向に長いストロークで振動させることが出来、第2の切断部13の長さを短くすれば底板8を上下方向に短いストロークで振動させることが出来る。これにより内容物21の高さ寸法に応じて第2の切断部13の長さを調整することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の活用例として、容器内部に緩衝機能を一体的に設けた緩衝機能内蔵包装容器に適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 …緩衝機能内蔵包装容器
2 …蓋板
3 …側板
4 …差込片
5 …フラップ片
6 …第1の緩衝片
7 …第2の緩衝片
8,8a …底板
9 …固定片
10 …折曲辺
11 …第1の切断部
12 …接続部
13 …第2の切断部
14a,14b …連結片
15 …係合片
16 …差込片
17 …折曲辺
18 …差込穴
19 …折曲辺
20 …折曲辺
21 …内容物
22 …連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面で開閉する蓋板を有する側板を容器の周方向に折曲可能な断面多角形状の緩衝機能内蔵包装容器において、
前記側板の下端部に該側板よりも容器の内側に折り返し可能に延長され、該側板の長さ以下の長さを有する第1の緩衝片と、
前記第1の緩衝片の上端部に該第1の緩衝片よりも容器の内側に折り返し可能に延長され、該第1の緩衝片の長さよりも短い長さを有する第2の緩衝片と、
前記第2の緩衝片の下端部に折曲可能に延長される底板と、
を有し、
前記底板上に載置される内容物に作用する力が前記底板に作用すると、前記第1、第2の緩衝片が弾性的に湾曲して前記底板の高さ位置を変更自在としたことを特徴とする緩衝機能内蔵包装容器。
【請求項2】
前記第1の緩衝片と前記第2の緩衝片との折曲辺の両端部が所定の寸法だけ切断された一対の第1の切断部と、
前記折曲辺の接続部と前記一対の第1の切断部とのそれぞれの境界を通り該折曲辺に直交して前記第1の緩衝片と前記第2の緩衝片とが所定の寸法だけ切断された一対の第2の切断部と、
を有し、
前記底板上に載置される内容物に作用する力が前記底板に作用すると、前記折曲辺の接続部に連続される連結部が弾性的に湾曲して前記底板の高さ位置を変更自在としたことを特徴とする請求項1に記載の緩衝機能内蔵包装容器。
【請求項3】
前記第1の切断部の長さを調整して前記連結部の弾性力を調整することを特徴とする請求項2に記載の緩衝機能内蔵包装容器。
【請求項4】
前記第2の切断部の長さを調整して前記底板の高さ方向の可変位置範囲を調整することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の緩衝機能内蔵包装容器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−57258(P2011−57258A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209006(P2009−209006)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(505437044)
【Fターム(参考)】