説明

緩衝部材

【課題】再生利用可能な素材でありながらも、外装箱内で被梱包物を適切に保持するとともに被梱包物への衝撃を吸収・分散させることができる緩衝部材を提供する。
【解決手段】直方体の被梱包物100を外装箱200に梱包する際に、当該被梱包物100を外装箱200内において保持することができる緩衝部材1であって、被梱包物100が緩衝部材1の上面部10に載置されたときに、被梱包物100の両側面を挟み込むように、上面部10がY方向に沿って屈曲する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を外装箱内に収納する際の緩衝部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被梱包物(例えば個装箱に包まれたエアーフィルター)は、例えばダンボールなどの外装箱に収納されたのち、さまざまな輸送手段(例えば、トラックや航空機または船舶等)で搬送されることが一般的である。この場合、搬送中の振動による外部衝撃や、外装箱を段積みした際の荷重により、外装箱だけでなく中身の被梱包物をも損傷を受けるおそれがある。このような損傷から被梱包物を保護するために、従来から被梱包物を梱包する際に、外装箱と被梱包物との隙間に緩衝材を詰めたりすることが一般的に行われている。
【0003】
上記の緩衝材の素材としては、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタンなどの合成樹脂素材からなるものが挙げられる(特許文献1参照)。このような緩衝材を用いると、搬送中における外部からの衝撃や荷重をこれらの緩衝材が吸収したり、分散を促したりすることで、被梱包物を保護することができる。
【0004】
しかし、上記の発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタンなどの合成樹脂は石油製品であり、放置しても腐食せず、また焼却すれば黒煙や異臭などが生ずるおそれがあり、使用した後、適切に処理し難い。また、合成樹脂素材がダンボールなどに貼り付けて用いられていた場合は、分別収集が困難になる。このようなことから、再生利用が可能な素材からなる緩衝材として用いるものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3080652号
【特許文献2】特開平7−330035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2のような緩衝材では、特許文献1で用いられていたような発泡スチロールのような弾力性がないため、当該緩衝材が受けた衝撃を好適に吸収・分散させることが困難であるといった課題がある。
【0007】
本発明の目的は、このような問題に鑑みてなされたものであり、再生利用可能な素材でありながらも、外装箱内で被梱包物を適切に保持するとともに被梱包物への衝撃を吸収・分散させることができる緩衝部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の緩衝部材は、直方体の被梱包物をダンボール箱に梱包する際に、当該被梱包物を段ボール箱内において保持することができる緩衝部材であって、前記被梱包物の幅方向、奥行方向および高さ方向のうち、特定の一の方向をX方向、当該X方向が左右方向となるように見た場合に、前記被梱包物の幅方向、奥行方向および高さ方向のうち前記特定の一の方向とは異なる二つの方向を、それぞれ、Y方向およびZ方向とした場合において、前記緩衝部材は、前記X方向が左右方向となる方向に見た場合に、四角形の筒状のものであり、前記Y方向に沿って屈曲させることができる第1屈曲部と第2屈曲部とを有し、これら第1屈曲部及び第2屈曲部のいずれもが屈曲していない状態で、前記X方向と前記Y方向とを含むXY面に沿った面となる上面部と、前記上面部の前記Y方向に沿った両端部のうち一端部から前記XY面に交差し且つ下方向に延びる第1側面部と、前記上面部の前記Y方向に沿った両端部のうち前記一端部とは反対側の他端部から前記XY面に交差し且つ下方向に延びる第2側面部と、前記上面部と前記第1側面部と前記第2側面部との間で前記四角形の筒状を形成し、前記X方向と前記Y方向とを含むXY面に沿った下面部と、を備え、前記第1屈曲部は、前記一端部と前記上面部の幅方向の中心部との間において前記Y方向に沿っているとともに、前記第2屈曲部は、前記他端部と前記上面部の幅方向の中心部との間において前記Y方向に沿っており、前記被梱包物の幅方向が前記第1屈曲部と前記第2の屈曲部との間に位置するように、当該被梱包物が前記上面部に載置されたときに、前記一端部と前記第1屈曲部との間の第1上面部、および、前記他端部と前記第2屈曲部との間の第2上面部が、それぞれ、前記被梱包物を挟み込むように前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とで屈曲することを特徴とするものである。
【0009】
上記(1)に記載の本発明にかかる緩衝部材によれば、被梱包物の幅方向が第1屈曲部と第2の屈曲部との間に位置するように、当該被梱包物が緩衝部材の上面部に載置されたときに、上面部のY方向に沿った一端部と第1屈曲部との間の第1上面部、および、上面部のうちY方向に沿った他端部と第2屈曲部との間の第2上面部が、それぞれ、被梱包物を挟み込むように、第1屈曲部と第2屈曲部とで屈曲する。これにより、再生利用可能な素材から構成されるものでありながらも、被梱包物を外装箱内で適切に保持できるとともに、X方向から受ける衝撃を吸収・分散することで緩和することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明の緩衝部材は、上記(1)において、前記被梱包物が前記上面部に載置されたときに、当該被梱包物が前記緩衝部材の前記第1上面部と前記第2上面部とによって挟み込まれた状態において、前記第1上面部と前記第2上面部との間の第3上面部と、前記下面部との間に、所定の空間が形成されることが好ましい。
【0011】
上記(2)に記載の本発明にかかる緩衝部材によれば、被梱包物が上面部に載置されたときに、当該被梱包物が緩衝部材の第1上面部と第2上面部とによって挟み込まれた保持状態において、第3上面部と下面部との間に所定の空間が形成される。すなわち、外装箱内において緩衝部材によって保持された被梱包物は、ゆりかご状に保持されることとなるので、緩衝部材が再生利用可能な材料で構成されながらも、外装箱内で被梱包物を適切に保持するとともに、X方向だけでなくZ方向から加えられた揺れや衝撃を吸収・分散させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の緩衝部材によれば、再生利用可能な素材でありながらも、外装箱内で被梱包物を適切に保持するとともに被梱包物への衝撃を吸収・分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】被梱包物100の斜視図である。
【図2】(A)は本発明の緩衝部材を構成するのに用いる、一枚状のダンボールを示す図であり、(B)は(A)のダンボールをa1、a2、a3で略90度で折り曲げることによって略四角形の筒状に形成した緩衝部材1の斜視図である。
【図3】(A)は、個装箱に収納された被梱包物100を、あらかじめ外装箱200内に設置された緩衝部材1に載置し始めた初期状態の図であり、(B)は、緩衝部材1に載置された被梱包物100をさらにZ方向(紙面下方)に押しこんだり、被梱包物100が自重によりZ方向(紙面下方)に沈んだことによって、緩衝部材1に保持されたときの保持状態の図である。
【図4】(A)は、本実施形態の緩衝部材1を、被梱包物100の上部と下部との両方に使用する場合の分解斜視図(外装箱200の図示は省略)であり、(B)は、被梱包物100が緩衝部材1により外装箱200内で保持された場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の緩衝部材1は、例えば個装箱に収納されたエアーフィルター(例えば、空調機用エアーフィルター)のような略直方体の被梱包物100を、例えばダンボールからなる外装箱200に収納する際に、外装箱200内で被梱包物を保持するものである(図2〜図4を参照)。
【0015】
以下、本実施形態の緩衝部材1について、図面を参照しつつ説明する。なお、被梱包物100は、個装箱に収納されているものに限られない。例えば、エアーフィルターなどの物品そのものや、簡易包装された物品であってもよい。
【0016】
図1は、個装箱に収納された略直方体の被梱包物100を示す図である。本明細書では、図1に示すように、被梱包物100の幅方向、奥行方向および高さ方向のうち、最も辺が短い幅方向をX方向、当該X方向が左右方向となるように見た場合における、被梱包物100の奥行方向をY方向および被梱包物100の高さ方向をZ方向とする。なお、上記の「幅方向」は本願発明の「特定の一の方向」に相当する。
【0017】
緩衝部材1は、図2(A)に示すような略長方形の一枚状のダンボールから構成される。そして、図2(A)に示されるa1、a2、a3で略90度で折り曲げることによって、図2(B)に示されるように、X方向が左右方向となる方向に見た場合に略長方形の筒状となるように形成される。
【0018】
本実施形態の緩衝部材1は、図2(B)に示されるように、上面部10と、第1側面部30と、第2側面部40と、下面部20とを有している。
【0019】
上面部10は、X方向とY方向とを含むXY面に沿った面である。この上面部10には、Y方向に沿って谷折りができるように、第1屈曲部b1及び第2屈曲部b2を有している。なお、上記の「X方向とY方向とを含むXY面に沿った面」とは、当然のことながら、第1屈曲部b1及び第2屈曲部b2のいずれもが屈曲していない状態でのことである。
【0020】
第1屈曲部b1は、上面部10のY方向に沿った両端部12Y,14Yのうち、一方の端部12Yと、X方向における上面部10の中心Oとの間に位置している。また、第2屈曲部b2は、上面部10のY方向に沿った両端部12Y,14Yのうち、上記の一方の端部12Yとは反対側の他方の端部14Yと、X方向における上面部10の中心Oとの間に位置している。なお、本明細書において、以下、上面部10のうち、一方の端部12Yから第1屈曲部b1までの間を幅方向とする面を第1上面部12と称し、他方の端部14Yから第2屈曲部b2までの間を幅方向とする面を第2上面部14と称し、第1屈曲部b1から第2屈曲部b2までの間を幅方向とする面を第3上面部16と称する。
【0021】
第1側面部30は、上面部10のY方向に沿った両端部12Y,14Yのうち一方の端部12YからZ方向(紙面下方)に折れ曲がって延びる面である。この第1側面部30は、Y方向とZ方向とを含むYZ面に沿っている。
【0022】
第2側面部40は、上面部10のY方向に沿った両端部12Y,14Yのうち他方の端部14YからZ方向(紙面下方)に折れ曲がって延びる面である。この第2側面部40は、Y方向とZ方向とを含むYZ面に沿っている。したがって、第1側面部30及び第2側面部40は、互いに略平行な面となり、上面部10のY方向に沿った両端部12Y,14Yのうち互いに異なる端部から同じ方向に折れ曲がって延びた面となる。
【0023】
下面部20は、Y方向を横切る断面が略長方形となるように、上面部10と第1側面部30と第2側面部40との間で、筒状を形成する面である。
【0024】
なお、本実施形態においては、Y方向を横切る断面が略長方形となる場合(すなわち、第1側面部30及び第2側面部40のいずれもが、Y方向とZ方向とを含むYZ面に沿った面となる場合)について説明しているが、これに限られない。Y方向を横切る断面が少なくとも四角形である必要はあるものの、本実施形態の緩衝部材1により被梱包物100の両サイドを「挟み込むことができる」ものである限り、例えば、上面部10のX方向の長さを、下面部20のX方向の長さよりも短くすることにより、Y方向を横切る断面が略台形となるものや、上面部10のX方向の長さを、下面部20のX方向の長さよりも長くすることにより、Y方向を横切る断面が略逆台形となるものであってもよい。この場合、第1側面部30及び第2側面部40は、いずれも、X方向とY方向とを含むXY面に交差する面となる
【0025】
また、本実施形態の緩衝部材1は、略長方形の一枚状のダンボールを折り曲げることによって構成されるが、必ずしも1枚状のダンボールを折り曲げて構成されるものに限られない。例えば、上面部10と第1側面部30とを別部材としてこれらを継ぎ合わせたもの、上面部10と第2側面部40とを別部材としてこれらを継ぎ合わせたもの、第1側面部30又は/及び第2側面部40と下面部20とを別部材としてこれらを継ぎ合わせたものであってもよい。
【0026】
次に、本実施形態の緩衝部材1の使用態様について、図3を参照しつつ説明する。図3(A)は、個装箱に収納された被梱包物100を、あらかじめ外装箱200内に設置された緩衝部材1に載置し始めた初期状態の図である。また、図3(B)は、緩衝部材1に載置された被梱包物100をさらにZ方向(紙面下方)に押しこんだり、被梱包物100が自重によりZ方向(紙面下方)に沈んだことによって、緩衝部材1に保持されたときの保持状態の図である。
【0027】
被梱包物100は、図3(A)に示されるように、幅方向、奥行方向および高さ方向のうち、最も辺が短い幅方向がX方向となるように、外装箱200内に設置した緩衝部材1の第3上面部16に載置される。このとき、第3上面部16の幅方向の大きさ(X方向長さ)は、被梱包物100の幅方向の大きさ(X方向長さ)と略同じであるかこれよりも大きい方が好ましい。第3上面部16のX方向長さが、被梱包物100のX方向長さよりも小さいと、被梱包物100を緩衝部材の第3上面部16に載置したときに、被梱包物100の下面と第3上面部16とが実質的に当接しないこととなり、被梱包物100を緩衝部材1によって適切に保持できなくなるおそれがあるからである。
【0028】
そして、図3(B)に示されるように、被梱包物100の自重によりZ方向(紙面下方)に沈んだり、又は、被梱包物100がZ方向(紙面下方)に押しこまれたりすると、被梱包物100の側面部105,106が、それぞれ、緩衝部材1の第1上面部12及び第2上面部14と当接し、被梱包物100が緩衝部材1の第1上面部12及び第2上面部14に挟み込まれることとなる。これにより、例えばダンボールといった再生利用可能な素材を用いながらも、被梱包物100を外装箱200内で適切に保持できるとともに、X方向から受ける衝撃を吸収・分散することで、X方向から受ける衝撃を緩和することが可能となる。
【0029】
ところで、本実施形態の緩衝部材1は、さらに、図3(B)に示すように、被梱包物100が緩衝部材1の第1上面部12と第2上面部14とによって挟み込まれた保持状態において、第3上面部16と下面部20との間に所定の空間が形成されるように構成されている。これにより、被梱包物100は、Z方向から受ける衝撃をも緩和されることとなる。しかも、このようにして外装箱200内において緩衝部材1によって保持された被梱包物100は、ゆりかご状に保持されることとなるので、外装箱200に対して加えられた揺れや衝撃が被梱包物100に直接伝わることを回避できる。
【0030】
なお、被梱包物100が外装箱200内においてゆりかご状に保持されるための条件は、第3上面部16のX方向長さと被梱包物100のX方向長さとの関係等、緩衝部材1が使用される使用条件によっても異なるが、少なくとも、第1屈曲部b1及び第2屈曲部b2が屈曲されていない場合における上面部10の一端部12Yから第1屈曲部b1までのX方向長さ(以下、単に「第1上面部12のX方向長さ」と称する)L1を、第1側面部30がYZ面に沿っている場合におけるZ方向長さ(以下、単に「第1側面部30のZ方向長さ」と称する)L2よりも短くするとともに、第1屈曲部b1及び第2屈曲部b2が屈曲されていない場合における上面部10の他端部14Yから第2屈曲部b2までのX方向長さ(以下、単に「第2上面部14のX方向長さ」と称する)L3を、第2側面部40がYZ面に沿っている場合におけるZ方向長さ(以下、単に「第2側面部40のZ方向長さ」と称する)L4よりも短くすることが必要であると考えられる。
【0031】
また、被梱包物100が緩衝部材1の第3上面部16に載置されて押しこまれた保持状態(図3(B)の状態)において、第1上面部12と第3上面部16とが略直交し、且つ、第1側面部30と第1上面部12の間の角度をΘ(シータ)としたとき、被梱包物100が外装箱200内においてゆりかご状に保持されるための条件は、「L2(第1側面部30のZ方向長さ)×cosΘ>L1(第1上面部12のX方向長さ)」となる。また、同様に、第2上面部14と第3上面部16とが略直交し、且つ、第2側面部40と第2上面部14の間の角度をΘとしたとき、被梱包物100が外装箱200内においてゆりかご状に保持されるための条件は、「L4(第2側面部40のZ方向長さ)×cosΘ>L3(第2上面部14のX方向長さ)」となる。
【0032】
ところで、被梱包物100が外装箱200内においてゆりかご状に保持されるための基本的な条件は上記の通りであるが、保持しようとする被梱包物100のX方向の幅、Y方向の奥行き、Z方向の高さおよび被梱包物の重さ等によって好適な条件は都度変動するものである。例えば、被梱包物100が窓ガラス等のようにX方向の幅が薄い板状のものである場合には、第3上面部16のX方向の長さよりも、第1上面部12のX方向の長さ(L1)および第2上面部14のX方向の長さ(L3)を長くすることが考えられる。このとき、L1およびL3の長さは、上面部10を第1屈曲部b1及び第2屈曲部b2で折り曲げた際に、第3上面部16と下面部20とが接しない長さに設定することが必要である。これにより、薄い板状の被梱包物100であっても、本実施形態の緩衝部材1に収めたときに好適にゆりかご状に保持できるからである。
【0033】
図4(A)は、本実施形態の緩衝部材1を、被梱包物100の上部と下部との両方に使用する場合の分解斜視図(外装箱200の図示は省略)であり、図4(B)は、被梱包物100が緩衝部材1により外装箱200内で保持された場合の斜視図である。
【0034】
このように、本実施形態の緩衝部材1を被梱包物100の下方のみならず上部にも使用することで、外装箱200内における被梱包物100の安定度が更に増すこととなる。しかも、外装箱200の内側と被梱包物100との間の隙間300には、発泡スチロールや気泡緩衝材を使用する必要がないので、分別回収の手間がかからない。また、本実施形態の緩衝部材1を被梱包物100の上部と下部との両方に使用することにより、外装箱が外部から衝撃を受けた場合であっても、当該衝撃が被梱包物100に伝わりにくい。
【0035】
また、本実施形態の緩衝部材1は、被梱包物100のY方向側の端部150にも使用することにより(図示しない)、被梱包物100を四方で固定することができる。これにより、外装箱200が外部から衝撃を受けた場合であってもより一層これを吸収することができ、外部からの衝撃も被梱包物100により一層伝わりにくくなる。
【0036】
また、本実施形態の緩衝部材1は、例えばダンボールによって容易に作成することができるので、被梱包物100の大きさや重量、使用する外装箱200の大きさに合わせて自在に設計することができる。
【0037】
以上は、本発明の緩衝部材1の一形態であるが、これに限定されるものではなく、本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。例えば、本実施形態の緩衝部材1は、ダンボールから構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、再生利用可能な材質で構成されるとともに第1屈曲部b1及び第2屈曲部b2で屈曲させることができ、且つ、第3上面部16に被梱包物100が載置されたときに第1側面部20及び第2側面部30によって被梱包物100を挟み込むことができればよい。このような材料としては、例えば厚紙等が考えられる。
【0038】
また、本実施形態における被梱包物100は特に直方体のものについて記載しているが、被梱包物100は、本実施形態の緩衝部材1により物品の両サイドを「挟み込むことができる」ものであれば、例えば太鼓状のように、物品の一部が丸みを帯びているものであっても本発明の効果を享受することができる。
【0039】
また、本実施形態では、被梱包物100の幅方向、奥行方向および高さ方向のうち、最も辺が短い幅方向をX方向としているが、これに限られない。すなわち、本実施形態では、被梱包物100の幅方向、奥行方向及び高さ方向のうち、最も辺が短い幅方向が緩衝部材1によって挟みこまれるように、当該緩衝部材1を使用しているが、必ずしもこれに限られない。例えば、被梱包物100の幅方向、奥行方向及び高さ方向のうち、最も辺が短い幅方向とは異なる方向が緩衝部材1によって挟みこまれるように、当該緩衝部材1を使用しても良い。
【0040】
また、本実施形態では、緩衝部材1を予め外装箱200内に設置した上で、この緩衝部材1の第3上面部16に被梱包物100が載置されるようにしたが、緩衝部材1の第3上面部16と被梱包物100の底面とを当接させた状態で、これを外装箱200内に収納させるようにしてもよい。ただしこの場合、緩衝部材1の第3上面部16と被梱包物100の底面との当接を維持する必要がある点で手間がかかるので、作業性の観点から言えば、緩衝部材1を予め外装箱200内に設置した上で、この緩衝部材1の第3上面部16に被梱包物100が載置されるようにした方が好ましい。
【0041】
また、図4(A)では、緩衝部材1のY方向長さと、被梱包物100のY方向長さとが略同じである場合を図示しているが、これに限られない。例えば、緩衝部材のY方向長さが、被梱包物のY方向長さよりも短いものや長いものであってもよい。とくに緩衝部材のY方向長さが被梱包物のY方向長さよりも短い場合には、被梱包物のY方向に沿って複数個の緩衝部材を使用するとよい。
【符号の説明】
【0042】
1 緩衝部材
10 上面部
12 第1上面部
14 第2上面部
16 第3上面部
20 下面部
30 第1側面部
40 第2側面部
100 被梱包物
105,106 被梱包物の側面部
200 外装箱(ダンボール箱)
300 外装箱の内側と被梱包物との間の隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体の被梱包物をダンボール箱に梱包する際に、当該被梱包物を段ボール箱内において保持することができる緩衝部材であって、
前記被梱包物の幅方向、奥行方向および高さ方向のうち、特定の一の方向をX方向、当該X方向が左右方向となるように見た場合に、前記被梱包物の幅方向、奥行方向および高さ方向のうち前記特定の一の方向とは異なる二つの方向を、それぞれ、Y方向およびZ方向とした場合において、
前記緩衝部材は、前記X方向が左右方向となる方向に見た場合に、四角形の筒状のものであり、
前記Y方向に沿って屈曲させることができる第1屈曲部と第2屈曲部とを有し、これら第1屈曲部及び第2屈曲部のいずれもが屈曲していない状態で、前記X方向と前記Y方向とを含むXY面に沿った面となる上面部と、
前記上面部の前記Y方向に沿った両端部のうち一端部から前記XY面に交差し且つ下方向に延びる第1側面部と、
前記上面部の前記Y方向に沿った両端部のうち前記一端部とは反対側の他端部から前記XY面に交差し且つ下方向に延びる第2側面部と、
前記上面部と前記第1側面部と前記第2側面部との間で前記四角形の筒状を形成し、前記X方向と前記Y方向とを含むXY面に沿った下面部と、
を備え、
前記第1屈曲部は、前記一端部と前記上面部の幅方向の中心部との間において前記Y方向に沿っているとともに、
前記第2屈曲部は、前記他端部と前記上面部の幅方向の中心部との間において前記Y方向に沿っており、
前記被梱包物の幅方向が前記第1屈曲部と前記第2の屈曲部との間に位置するように、当該被梱包物が前記上面部に載置されたときに、
前記一端部と前記第1屈曲部との間の第1上面部、および、前記他端部と前記第2屈曲部との間の第2上面部が、それぞれ、前記被梱包物を挟み込むように前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とで屈曲する
ことを特徴とする緩衝部材。
【請求項2】
前記被梱包物が前記上面部に載置されたときに、当該被梱包物が前記緩衝部材の前記第1上面部と前記第2上面部とによって挟み込まれた状態において、
前記第1上面部と前記第2上面部との間の第3上面部と、前記下面部との間に、所定の空間が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35581(P2013−35581A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174414(P2011−174414)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】