説明

縦型多列自動包装機における排出機構の改良

【課題】手操作によって行われていたすべり台とベルトコンベア間の上下位置合わせを自動化して作業効率の良い縦型多列自動包装機の排出機構を提供する。
【解決手段】すべり台10にはアングル部材22がネジ等で固定的に取り付けられており、このアングル部材22の図示左端にはすべり台側接続部材23が取り付けられている。ベルト部材20の右端にはベルトコンベア側接続部材24が付設されており、このベルトコンベア側接続部材24と上記すべり台側接続部材23の間に連結部材21が取り付けられている。この結果、カッター装置に連動して上昇したすべり台10に対して追従するようにベルトコンベア11が円弧状に回転し、すべり台10とベルトコンベア11の間の隙間が増えることなく自動的にベルトコンベア11の上下位置合わせが完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて原料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、包装フィルムを断面略円筒状にフォーミングしてスティック包装袋を形成する縦型多列自動包装機における排出機構の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一度に複数本のスティックタイプの包装袋を連続的にシール成形できるように構成した縦型多列自動包装機が存在している。これは複数本に切断された包装フィルムの各々を多列式に構成した各充填パイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングした後、縦ヒートシーラによって包装フィルムの合わせ目に縦シールを施して筒状形態にし、次いで、筒状になった包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施し、袋状にしている。
【0003】
そして、縦型多列自動包装機は、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを用いて原料(内容物)を充填し、その後、原料注入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装袋が多列式に、且つ、連続的にシール成形される仕組みになっている。このような縦型多列自動包装機の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
上記のような従来の縦型多列自動包装機におけるカッター装置の直下には、切り離しされた個別包装袋を自動包装機の外に排出するすべり台と、このすべり台から排出された個別包装袋を袋詰めや箱詰めにする装置若しくは異物混入や重量チェック等の検品装置に導くベルトコンベアが取り付けられている。そして、このすべり台はカッター装置の上下位置変更に連動して上下動しており、このすべり台の上下位置変更に合わせて手操作にてベルトコンベアの上下位置合わせを行っていた。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の縦型多列自動包装機におけるすべり台とベルトコンベア間の上下位置合わせは手操作によって行われており、この上下位置合わせは自動包装機で製造される包装袋の外形縦方向寸法が変更される度に発生していたため、縦型多列自動包装機のセットアップ作業時間の増加やオペレータの手間が増える事態が発生していた。
【0006】
そして、このすべり台とベルトコンベア間の上下位置合わせ作業は、縦型多列自動包装機の稼働率向上若しくは縦型多列自動包装機全体の作業効率化を図るための課題となっており、経済的で作業効率の良い縦型多列自動包装機の排出機構が求められていた。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、従来の手操作によって行われていたすべり台とベルトコンベア間の上下位置合わせを自動化して作業効率の良い縦型多列自動包装機の排出機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明の縦型多列自動包装機は、幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、この包装袋内に原料(内容物)を充填する充填装置と、この原料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、この搬送された包装袋の横シール部分を切り離して個別包装袋とするカッター装置と、この切り離された個別包装袋を自動包装機の外に排出する排出機構とを備えた縦型多列自動包装機であって、前記排出機構は、カッター装置の直下に固定的に取り付けられたすべり台と、このすべり台と連結されたベルトコンベアで構成され、前記縦型多列自動包装機が製造する包装袋の外形縦方向寸法変更時においてカッター装置が上下動した際に、このカッター装置の上下動に合わせて排出機構のすべり台とベルトコンベアが連動して上下動している。
【0009】
(2)また本発明の排出機構は、カッター装置の直下に固定的に取り付けられたすべり台と、このすべり台の直下に円弧状回転可能に配設されたベルトコンベアと、このすべり台の出口端とベルトコンベアの円弧状回転可能端を繋ぎ止めた連結部材で構成され、前記縦型多列自動包装機が製造する包装袋の外形縦方向寸法変更時においてカッター装置が上下動する際に、このカッター装置の上下動に合わせてすべり台が上下動すると共にベルトコンベアが円弧状に回転してすべり台とベルトコンベア間の隙間が変化しないように動いている。
【0010】
上記(1)、(2)で述べた縦型多列自動包装機の排出機構によれば、従来の手操作によって行われていたすべり台とベルトコンベア間の上下位置合わせを自動化して作業効率の良い縦型多列自動包装機の排出機構を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、包装袋の外形縦方向寸法が変更される度に発生していたすべり台の上下動に合わせてベルトコンベアの上下位置合わせを自動的に調整できるようにしたため、自動包装機におけるセットアップ作業時間の短縮化並びにオペレータの手間を省いた作業効率の良い縦型多列自動包装機の排出機構が提供できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明に係る縦型多列自動包装機における排出機構の実施形態を図面と共に説明する。図1は本発明を実施した縦型多列自動包装機の正面図であり、図2は本発明を実施した縦型多列自動包装機の側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した自動包装機は、一度に複数本のスティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。なお、図1における縦型多列自動包装機の列数は6列の例で説明しているが、この列数は原反ロールフィルム幅に応じた任意の値を採用することができる。
【0013】
図1と図2に示すように、1は自動包装機本体、2は原料(内容物)を収容したホッパー、3はホッパー2から供給される原料を受け取って徐々に落下させる中間ホッパー、4は中間ホッパー3から供給された原料を計量する計量供給盤、5は計量供給盤4で計量された原料を受け取る中間シュート、6はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略円筒状にフォーミングすると共に中間シュート5から送られた原料の投入通路となる充填パイプ、7は縦シール装置、8はその下に設けた横シール装置、9は連続包装袋の横シール中央付近を切り離して個別包装袋とするカッター装置、10は切り離された個別包装袋を受け取って縦型多列自動包装機の外に排出するすべり台、11はすべり台から排出された個別包装袋を袋詰めや箱詰めにする装置若しくは異物混入や重量チェック等の検品装置に導くベルトコンベア、12は操作パネルボックスである。
【0014】
図2において、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻いた原反ロール、Fはこの原反ロールFHから引き出された幅の広いフィルム、FXはこの幅の広いフィルムFを上記充填パイプ6の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。そして上記横シール装置6の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’は各充填パイプ4の周囲を包むように略円筒状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0015】
上記縦型多列自動包装機は、縦シール装置7の縦ヒートシーラによって各包装フィルムF’の開放両端同士を挟み込んで縦シールして、各包装フィルムF’を略円筒形状にシール成形する。更に、この略円筒形状の包装フィルムF’に対して横シール装置8で横シールした後、上記充填パイプ6を通して各包装フィルムF’の内部に原料(内容物)を投入し、同時に横シール装置8により挟持したまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行うと共にこの横シール装置8を上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって、スティック包装袋を多列式にシール成形するものである。
【0016】
そして、上記の動作を連続して繰り返し行いつつ各横シールの中央付近をカッター装置9で上下に切断して一度に多数本のスティックタイプ個別包装袋を連続的に生産できるように構成されている。この個別包装袋はカッター装置9の直下に配設されたすべり台10を経由してベルトコンベア11に排出されて次工程の装置に搬送されるが、この通常配備される次工程装置としては個別包装袋を袋詰めや箱詰めにする装置若しくは異物混入や重量チェック等の検品装置が挙げられる。なお、図1と同様に、2はホッパー、3は中間ホッパー、4は計量供給盤であり、5は中間シュートである。
【0017】
また、図1と図2にはすべり台10とベルトコンベア11に関連する代表的部材が記載されており、20はベルトコンベアのベルト部材、21はすべり台10とベルトコンベア11を回転自在に繋いでいる連結部材、22はすべり台10に取り付けられたアングル部材、23はすべり台側接続部材、24はベルトコンベア側接続部材、25はこのベルト駆動部の動作指示若しくは動作コントロールを司るベルトコンベア制御部、26はベルトコンベアのベルト部材を搬送回転させているベルト駆動部である。
【0018】
図3は、本発明のすべり台10とベルトコンベア11を連結している部材の構成を表した側面図である。図3に示すように、すべり台10にはアングル部材22がネジ等で固定的に取り付けられており、このアングル部材22の図示左端にはすべり台側接続部材23が取り付けられている。
【0019】
一方、ベルトコンベア11の本体にはベルト部材20の左端が回転支持部27を中心に回転可能状態で取り付けられており、このベルト部材20の下側にはベルトコンベアのベルト部材を搬送回転させているベルト駆動部26と、このベルト駆動部26の動作指示若しくは動作コントロールを司るベルトコンベア制御部25が付設されている。また、このベルト部材20の右端にはベルトコンベア側接続部材24が付設されており、このベルトコンベア側接続部材24と上記すべり台側接続部材23の間に連結部材21が取り付けられている。
【0020】
この二つのベルトコンベア側接続部材24とすべり台側接続部材23に対する連結部材21の取り付けは回転自在状態になっており、カッター装置9と連動して上下動するすべり台10の動きに合わせてベルトコンベア11の回転位置変更を円滑に実施できるようになっている。
【0021】
図4は、本発明のすべり台10とベルトコンベア11を連結している部材の動作を表した側面図である。図4に示すすべり台10とベルトコンベア11は以下のように動作する。
【0022】
(1)縦型多列自動包装機は、製造するスティック状包装袋の外形縦方向寸法を短くするように設定すると、この外形縦方向寸法に合わせるためにカッター装置を上方に位置変更し、反対に製造するスティック状包装袋の外形縦方向寸法を長くするように設定すると、この外形縦方向寸法に合わせるためにカッター装置を下方に位置変更する。図4に示す縦型多列自動包装機は、製造するスティック状包装袋の外形縦方向寸法を短くするように設定された状態を表しており、上方に移動されたカッター装置に連動したすべり台10は図示丸付き数字1のように上昇する。
【0023】
(2)このすべり台10に取り付けられたアングル部材22も同様に上昇し、このアングル部材22の左端(出口端)に設けられたすべり台側接続部材23にこの上昇する力が伝わる。そして、この伝わった上昇する力は、すべり台側接続部材23から連結部材21とベルトコンベア側接続部材24に伝わり、繋がれているベルト部材20の右端(円弧状回転端)をベルト部材20の左端に設けられた回転支持部27を中心に図示丸付き数字2のように円弧状に回転させる。
【0024】
(3)この結果、カッター装置に連動して上昇したすべり台10に対して追従するようにベルトコンベア11が円弧状に回転し、すべり台10とベルトコンベア11の間の隙間が増えることなく自動的にベルトコンベア11の上下位置合わせが完了することになる。
【0025】
なお、カッター装置に連動して上昇する前の図3と同じ位置関係は、図4に示す点線で表記しており、この点線からの移動分がすべり台10の上昇移動分を表す共にベルトコンベア11の円弧移動分を表している。
【0026】
また、図4に示した動作例はすべり台が上昇した場合を示して説明したが、すべり台10が下降した場合も同様に動作して、ベルトコンベア11は円弧状に下降し、すべり台10とベルトコンベア11の間の隙間が減ることなく自動的にベルトコンベア11の上下位置合わせが完了することになる。
【0027】
以上、図3と図4によって説明された本発明は、従来の手操作によって行われていたすべり台とベルトコンベア間の上下位置合わせを自動化して作業効率の良い縦型多列自動包装機の排出機構を提供できる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0029】
即ち、本発明の実施の形態においては、機械的な連結部材21を用いてすべり台10とベルトコンベア11を繋いでいるが、これに限定するものではなく機械的部材以外の構成を採用することができる。例えば、ベルトコンベア11の右端(円弧状回転端)において、真上に配設されたすべり台10の左端(出口端)との距離を測定できる部材を設けると共に、ベルトコンベア11に対して左端に設けられた回転支持部27を中心に回転駆動できる部材を設ける。そして、すべり台10が上下に動くのに合わせてベルトコンベア11を回転させ、すべり台10とベルトコンベア11の間の隙間が一定になるようにベルトコンベア11を回転制御する。このように構成することによって機械的な連結部材を用いることなく本発明と同様の効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施した縦型多列自動包装機の正面図である。
【図2】本発明を実施した縦型多列自動包装機の側面図である。
【図3】本発明のすべり台10とベルトコンベア11を連結している部材の構成を表した側面図である。
【図4】本発明のすべり台10とベルトコンベア11を連結している部材の動作を表した側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 自動包装機
2 ホッパー
3 中間ホッパー
4 計量供給盤
5 中間シュート
6 充填パイプ
7 縦シール装置
8 横シール装置
9 カッター装置
10 すべり台
11 ベルトコンベア
12 操作パネルボックス
F 包装フィルム
FH 原反ロール
FX スリッター装置
20 ベルト部材
21 連結部材
22 アングル部材
23 すべり台側接続部材
24 ベルトコンベア側接続部材
25 ベルトコンベア制御部
26 ベルト駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、
この包装袋内に原料(内容物)を充填する充填装置と、
この原料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、
この搬送された包装袋の横シール部分を切り離して個別包装袋とするカッター装置と、
この切り離された個別包装袋を自動包装機の外に排出する排出機構とを備えた縦型多列自動包装機であって、
前記排出機構は、カッター装置の直下に固定的に取り付けられたすべり台と、このすべり台と連結されたベルトコンベアで構成され、
前記縦型多列自動包装機が製造する包装袋の外形縦方向寸法変更時においてカッター装置が上下動した際に、このカッター装置の上下動に合わせて排出機構のすべり台とベルトコンベアが連動して上下動することを特徴とする縦型多列自動包装機の排出機構。
【請求項2】
前記排出機構は、カッター装置の直下に固定的に取り付けられたすべり台と、
このすべり台の直下に円弧状回転可能に配設されたベルトコンベアと、このすべり台の出口端とベルトコンベアの円弧状回転可能端を繋ぎ止めた連結部材で構成され、
前記縦型多列自動包装機が製造する包装袋の外形縦方向寸法変更時においてカッター装置が上下動する際に、このカッター装置の上下動に合わせてすべり台が上下動すると共にベルトコンベアが円弧状に回転してすべり台とベルトコンベア間の隙間が変化しないように動くことを特徴とする請求項1記載の縦型多列自動包装機の排出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−70220(P2010−70220A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240136(P2008−240136)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】