説明

縦型電気炉の天井蓋構造

【課題】炉内の温度低下を効果的に抑制することのできる縦型電気炉の天井蓋構造を提供する。
【解決手段】炉本体40の天井開口部41を開閉自在の蓋本体10で覆う2分割式の縦型電気炉の天井蓋構造で、蓋本体10の外周端部には、複数の受部11が所定間隔をおいて設けられ、炉本体40の外周面上部には、上下方向にロッドを伸縮させるシリンダー30と、略水平に延び回転自在の支軸に固定され、先端部が下向き回転により受部11に接近し当接する位置に配置され、基端部がシリンダー30のロッドに回転自在に連結されるとともに、受部11にそれぞれ対応してリンク部材20が設けられ、ロッドの上昇でリンク部材20を回転させて、リンク部材20の先端部で蓋本体10の受部11を下方に押圧し、蓋本体10を炉本体40の上端に強く押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力によって金属を溶解する縦型電気炉の天井蓋構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力を利用して金属を溶解する炉として、縦型の電気炉が多く使用されている。この縦型電気炉は、天井部が開口した炉本体と、その天井開口部を開閉する蓋本体(天井蓋)を備える。
【0003】
また、縦型電気炉には、炉本体を一体化させた一体式の他に、図6に示すように、炉本体100を中央で左右対称に分割した2分割式がある。この2分割式の縦型電気炉は、炉本体100を左右方向に分離した状態で、前後方向から金属を入れることができるので、特に大きな金属を溶解する際に適している。炉本体100の分割及び合体は、レール130上に載せられた左側炉体100aと右側炉体100bを離間及び接近させることによって行われるようになっていて、この2分割式の縦型電気炉も、その天井開口部を開閉する蓋本体110を備えている。
蓋本体110は、その上部に係止したチェーン121を電動モータMの駆動よって巻くように構成された開閉装置120によって、炉本体100の上面から天井側に上昇させられたり、逆に下降させられたりする。
【0004】
こうした縦型電気炉において、蓋本体は、閉鎖状態では、その自重によって炉本体の天井開口部を塞ぎ、炉内の温度低下を抑制している。なお、自重を利用した2分割式の縦型電気炉における蓋本体の構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−51844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の蓋本体(天井蓋)はその自重のみで炉本体の天井開口部を塞ぐ構成であるため密閉度が十分ではなく、炉内の温度低下を効果的に抑制することができないといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、炉内の温度低下を効果的に抑制することのできる縦型電気炉の天井蓋構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の縦型電気炉の天井蓋構造は、左右に分割可能な左側炉体(40a)と右側炉体(40b)を合体してなる炉本体(40)の天井開口部(41)を開閉自在の蓋本体(10)で覆うようにした2分割式の縦型電気炉における天井蓋構造であって、
前記蓋本体(10)の外周端部には、複数の受部(11)が所定間隔をおいて設けられるとともに、前記炉本体(40)の外周面上部には、上下方向にロッド(31)を伸縮させるシリンダー(30)と、略水平に延び回転自在の支軸(21)に固定されるか又は略水平に延びる支軸(21)に回転自在に連結され、先端部(20a)が下向き回転により前記受部(11)に接近し当接する位置に配置されるとともに基端部(23)が前記シリンダー(30)のロッド(31)に回転自在に連結され、前記受部(11)にそれぞれ対応したリンク部材(20)とが設けられ、前記シリンダー(30)のロッド(31)を上昇させることによって、前記リンク部材(20)を回転させて、前記リンク部材(20)の先端部(20a)で前記蓋本体(10)の受部(11)を下方に押圧し、前記炉本体(40)の天井開口部(41)を覆うように載せられた前記蓋本体(10)を、前記炉本体(40)の上端に対して強く押し付けるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の縦型電気炉の天井蓋構造は、前記左側炉体(40a)及び右側炉体(40b)のそれぞれに、前記リンク部材(20)を二つ並列状態で設けるとともに、前記二つのリンク部材(20)の回転する部位(21)を連結シャフト(24)で連結し、一つのシリンダー(30)で前記二つのリンク部材(20)を同時に回転させることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に記載の縦型電気炉の天井蓋構造は、炉本体(40)の天井開口部(41)を開閉自在の蓋本体(10)で覆うようにした縦型電気炉における天井蓋構造であって、
前記蓋本体(10)の外周端部には、複数の受部(11)が所定間隔をおいて設けられるとともに、前記炉本体(40)の外周面上部には、上下方向にロッド(31)を伸縮させるシリンダー(30)と、略水平に延び回転自在の支軸(21)に固定されるか又は略水平に延びる支軸(21)に回転自在に連結され、先端部(20a)が下向き回転により前記受部(11)に接近し当接する位置に配置されるとともに基端部(23)が前記シリンダー(30)のロッド(31)に回転自在に連結され、前記受部(11)にそれぞれ対応したリンク部材(20)とが設けられ、前記シリンダー(30)のロッド(31)を上昇させることによって、前記リンク部材(20)を回転させて、前記リンク部材(20)の先端部(20a)で前記蓋本体(10)の受部(11)を下方に押圧し、前記炉本体(40)の天井開口部(41)を覆うように載せられた前記蓋本体(10)を、前記炉本体(40)の上端に対して強く押し付けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の縦型電気炉の天井蓋構造は、前記炉本体(40)の上端部に、水平方向に配した底壁(51)の上面に、内側壁(52)と中間壁(53)と外側壁(54)を立設して断面凹状の凹部(55)を二つ形成し、前記凹部(55)にセラミック製のシール材(S)を充填した二重シール部材(50)を周設するとともに、前記蓋本体(10)の前記二重シール部材(50)に対向する箇所に、水平方向に配した天壁(61)の下面に、インナー壁(62)とアウター壁(63)を垂下設して断面逆凹状の溝部(64)を一つ形成し、前記溝部(64)にセラミック製のシール材(S)を充填した一重シール部材(60)を周設し、前記蓋本体(10)を閉じた状態で、前記二重シール部材(50)の中間壁(53)の先端部を、前記一重シール部材(60)の溝部(64)に充填したシール材(S)に埋入させるとともに、前記一重シール部材(60)のインナー壁(62)とアウター壁(63)の先端部を、前記二重シール部材(50)の凹部(55)に充填したシール材(S)に埋入させたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の縦型電気炉の天井蓋構造は、前記炉本体(40)の上端部に、水平方向に配した底壁の上面に、インナー壁とアウター壁を立設して断面凹状の凹部を一つ形成し、前記凹部にセラミック製のシール材を充填した一重シール部材を周設するとともに、前記蓋本体(10)の前記一重シール部材に対向する箇所に、水平方向に配した天壁の下面に、内側壁と中間壁と外側壁を垂下設して断面逆凹状の溝部を二つ形成し、前記溝部にセラミック製のシール材を充填した二重シール部材を周設し、前記蓋本体(10)を閉じた状態で、前記二重シール部材の中間壁の先端部を、前記一重シール部材の凹部に充填したシール材に埋入させるとともに、前記一重シール部材のインナー壁とアウター壁の先端部を、前記二重シール部材の溝部に充填したシール材に埋入させたことを特徴とする。
【0013】
なお、カッコ内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の縦型電気炉の天井蓋構造によれば、シリンダーのロッドを上昇させることによって、リンク部材を回転させて、その先端部で蓋本体に設けられた受部を下方に押圧し、蓋本体を炉本体の上端に強く押し付けるので、従来のように蓋本体の自重のみによって炉本体の天井開口部を閉じるものと比較して、より大きな力で閉じることができる。すなわち、蓋本体の自重に、蓋本体を炉本体側に押し付ける力が加わるので、蓋本体と炉本体間の密着性が高まり、これにより、炉本体内の温度低下を効果的に抑制することができる。
この天井蓋構造は、請求項1に係る発明のように、左右に分割可能な左側炉体と右側炉体を合体してなる炉本体の天井開口部を開閉自在の蓋本体で覆うようにした2分割式の縦型電気炉においても、請求項3に係る発明のように、特に分割されていないタイプの炉本体の天井開口部を開閉自在の蓋本体で覆う縦型電気炉にも適用することができるが、2分割式の縦型電気炉では左側炉体および右側炉体の合体時に隙間が生じないように特に注意が払われるので有効である。
【0015】
また、本発明の縦型電気炉の天井蓋構造によれば、2分割式の縦型電気炉において、左側炉体及び右側炉体のそれぞれにリンク部材を二つ並列状態で設け、すなわち左側炉体にリンク部材を二つ並列状態で設けかつ右側炉体にも別のリンク部材を二つ並列状態で設け、しかもこれら二つのリンク部材の回転する部位同士を連結シャフトで連結し、一つのシリンダーで二つのリンク部材を同時に回動させるので、シリンダーの数を削減することができる。これにより、構造の簡素化と、製造コストの軽減化を図ることができる。なお、二つのリンク部材の回転する部位同士とは、リンク部材が略水平に延び回転自在の支軸に固定される場合には例えば支軸同士であり、またリンク部材が略水平に延びる支軸に回転自在に連結される場合には、支軸周りに回転するリンク部材の部位同士を示す。
【0016】
さらに、本発明の縦型電気炉の天井蓋構造によれば、炉本体に二重シール部材を設けるとともに、蓋本体に一重シール部材を設け、蓋本体を閉じた状態で、二重シール部材の中間壁の先端部を、一重シール部材の溝部に充填したシール材に埋入させ、一重シール部材のインナー壁とアウター壁の先端部を、二重シール部材の凹部に充填したシール材に埋入させるので、単に炉本体の上端面に蓋本体を当接させる場合と比較して、両者間のシール性を大幅に高めることができる。これにより、炉本体内の温度低下を、さらに効果的に抑制することができる。また、炉本体側に一重シール部材を設けるとともに、蓋本体側に二重シール部材を設け、蓋本体を閉じるようにしても同様の効果が得られる。
【0017】
なお、このシール材はセラミック製であるため耐熱性に優れ、従って、長期間にわたって良好なシール性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る縦型電気炉の天井蓋構造を示す平面図である。
【図2】図1に示す天井蓋構造の要部を示す側面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2のリンク部材を示す拡大右側面図である。
【図5】図1の要部を示す拡大平面図である。
【図6】2分割式の縦型電気炉の構成概要を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態に係る縦型電気炉の天井蓋構造について説明する。図1は天井蓋構造を示す平面図であり、図2はその要部側面図である。また、図3は、図1のA−A線拡大断面図、図4は、図2の拡大右側面図、図5は、図1の要部拡大平面図である。
【0020】
これは、炉本体40を左側炉体40aと右側炉体40bに分割した2分割式の縦型電気炉において、炉本体40の天井開口部41を開閉する天井蓋構造であって、主に蓋本体10側に設けられた受部11と炉本体40側に設けられたリンク部材20とシリンダー30を備える。炉本体40の分割及び合体は、図2に示すように、レール130上に載せられた左側炉体40aと右側炉体40bを離間及び接近させることによって行われる。
【0021】
蓋本体10は、炉本体40の天井開口部41の全域を覆う大きさを有し、炉本体40の形状に対応した平面略円形状である。蓋本体10は、その上部に係止された2本のチェーン81を電動モータMの駆動よって巻くように構成された開閉装置80によって、炉本体100の上面から天井側に上昇させられたり、逆に下降させられたりする。開閉装置80による下降制御で蓋本体10は炉本体40の上面に載せられ自重によって炉本体40の天井開口部41を覆って蓋本体10と炉本体40との隙間を閉じる。なお、ここに示した開閉装置80は天井から吊り下げられたクレーンであり、蓋本体10を昇降させるだけでなく、図1に示す二点鎖線のように、蓋本体10を水平移動させる機能も有している。
【0022】
受部11は、蓋本体10の外周端部の8箇所(左側炉体40a側に4箇所と右側炉体40b側に4箇所、計8箇所)から所定間隔をあけて外側に向けて突設されている。受部11は板状のものを縦方向に配したものでありその上面には、図3に示すように、下側に向けて湾曲した円弧面11aが形成されていて、先端部に向けて先細り状になっている。受部11の先端は、炉本体40に蓋本体10が載せられたときに炉本体40の外周面よりもさらに外側に突出するように設けられている。
【0023】
リンク部材20は、板状の上片部22と同じく板状の下片部23が側面視で略くの字状(あるいは略L字状)に固定されたものであり、その中間部には支軸21が固定されている。支軸21は、炉本体40の外周面から突設した固定台13に立設された2つの固定部材12間に回転自在に取付けられている。支軸21の取付け位置は、受部11の先端直下よりやや外側とし、リンク部材20を回転させた際に、下向き回転によりリンク部材20の先端部20aが受部11の円弧面11aに接近しそして上載(当接)するように配置している。
上片部22は、支軸21の両端部から二枚の板材Pを平行に立設し、その間にコロWを回転自在に設けて先端部20aとしている。また、下片部23は、支軸21の中央部から一枚の板材Pを、上片部22とほぼ90度の角度で外側に突設して構成している。
【0024】
シリンダー30は、リンク部材20の下片部23の直下に、ロッド31を上に向けた起立姿勢で固定台13に固定し、ロッド31の先端部を、リンク部材20の基端部20b(下片部23の先端部)に回転自在に取付けている。
【0025】
そして、蓋本体10を炉本体40の上端面に開閉装置80を介して上載させた状態で、シリンダー30のロッド31を上昇させ、これによって、リンク部材20をそれに固定された支軸21とともに回転(図3において左回転)させ、リンク部材20の先端部20aで蓋本体10の受部11(円弧面11a)を下方に押圧する。
これにより、蓋本体10を炉本体40の上端に強く押し付けることができるので、炉本体40内の温度低下を効果的に抑制することができる。
【0026】
なお、本実施形態における縦型電気炉は、左側炉体40aの中間部分に、リンク部材20を二つ並列状態で設けて、二つのリンク部材20の回転する部位、ここでは支軸21同士を連結シャフト24で連結し、二つのリンク部材20を一つのシリンダー30で同時に回転させるようにするとともに、右側炉体40bについても中間部分に、リンク部材20を二つ並列状態で設けて、二つのリンク部材20の支軸21同士を連結シャフト24で連結し、二つのリンク部材20を一つのシリンダー30で同時に回転するようにしている。 これにより、シリンダー30および下片部23の数を削減することができるので、構造の簡素化と、製造コストの軽減化を図ることができる。
また、左側炉体40aと右側炉体40bのそれぞれの両端部には、リンク部材20とシリンダー30を設け、各リンク部材20を専用のシリンダー30で駆動するようにしている。
【0027】
さらに、本実施形態に係る天井蓋構造は、二重シール部材50と一重シール部材60を、それぞれ炉本体40と蓋本体10の全周にわたって設けている。二重シール部材50は、炉本体40の内周面上端部に水平方向に配した底壁51の上面に、内側壁52と中間壁53と外側壁54を立設して断面凹状の凹部55を、炉本体40の径方向に並べて二つ形成し、この凹部55にセラミック製のシール材Sを充填して構成している。
また、一重シール部材60は、蓋本体10の下面の二重シール部材50に対向する箇所に、水平方向に配した天壁61の下面に、インナー壁62とアウター壁63を垂下設して断面逆凹状の溝部64を一つ形成し、この溝部64にセラミック製のシール材Sを充填して構成している。
【0028】
そして、蓋本体を閉じた状態で、二重シール部材50の中間壁53の先端部を、一重シール部材60の溝部64に充填したシール材Sに埋入させている。また、一重シール部材60のインナー壁62とアウター壁63の先端部を、二重シール部材50の二つの凹部55に充填したシール材Sに、それぞれ埋入させている。なお、中間壁53およびインナー壁62とアウター壁63のシール材Sに対する埋入深さは、適宜設定することができる。
【0029】
これにより、炉本体40と蓋本体10の間のシール性を大幅に高めることができるので、炉本体40内の温度低下をさらに効果的に抑制することができる。また、シール材Sはセラミック製であるため耐熱性に優れ、長期間にわたって良好なシール性を発揮することができる。
【0030】
なお、二重シール部材50と一重シール部材60の取付位置を逆にしてもよい。すなわち、炉本体40の上端部に、水平方向に配した底壁の上面に、インナー壁とアウター壁を立設して断面凹状の凹部を一つ形成し、凹部にセラミック製のシール材を充填した一重シール部材を周設するとともに、蓋本体10の一重シール部材に対向する箇所に、水平方向に配した天壁の下面に、内側壁と中間壁と外側壁を垂下設して断面逆凹状の溝部を二つ形成し、溝部にセラミック製のシール材を充填した二重シール部材を周設し、蓋本体10を閉じた状態で、二重シール部材の中間壁の先端部を、一重シール部材の凹部に充填したシール材に埋入させるとともに、一重シール部材のインナー壁とアウター壁の先端部を、二重シール部材の溝部に充填したシール材に埋入させることもできる。
【0031】
また本発明の実施形態では、リンク部材20と支軸21を一体的に回転するようにしたが、支軸21については回転しないように固定部材12に固定し、その支軸21の周りに回転自在にリンク部材20を連結するようにしてもよい。
また、左側炉体40aおよび右側炉体40bの中間部分にそれぞれリンク部材20を二つ並列状態で設けて、二つのリンク部材20の支軸21同士を連結シャフト24で連結して、二つのリンク部材20を一つのシリンダー30で同時に回転させるようにしたが、連結シャフト24で連結する部位は支軸21に限られるものではなく、二つのリンク部材20の回転する部位、例えば、二つのリンク部材20の上片部22同士や下片部23同士を連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 蓋本体
11 受部
11a 円弧面
12 固定部材
13 固定台
20 リンク部材
20a 先端部
20b 基端部
21 支軸
22 上片部
23 下片部
24 連結シャフト
30 シリンダー
31 ロッド
40 炉本体
40a 左側炉体
40b 右側炉体
41 天井開口部
50 二重シール部材
51 底壁
52 内側壁
53 中間壁
54 外側壁
55 凹部
60 一重シール部材
61 天壁
62 インナー壁
63 アウター壁
64 溝部
80 開閉装置
81 チェーン
100 炉本体
100a 左側炉体
100b 右側炉体
110 蓋本体
120 開閉装置
121 チェーン
130 レール
M 電動モータ
P 板材
S シール材
W コロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に分割可能な左側炉体と右側炉体を合体してなる炉本体の天井開口部を開閉自在の蓋本体で覆うようにした2分割式の縦型電気炉における天井蓋構造であって、
前記蓋本体の外周端部には、複数の受部が所定間隔をおいて設けられるとともに、
前記炉本体の外周面上部には、
上下方向にロッドを伸縮させるシリンダーと、
略水平に延び回転自在の支軸に固定されるか又は略水平に延びる支軸に回転自在に連結され、先端部が下向き回転により前記受部に接近し当接する位置に配置されるとともに基端部が前記シリンダーのロッドに回転自在に連結され、前記受部にそれぞれ対応したリンク部材とが設けられ、
前記シリンダーのロッドを上昇させることによって、前記リンク部材を回転させて、前記リンク部材の先端部で前記蓋本体の受部を下方に押圧し、前記炉本体の天井開口部を覆うように載せられた前記蓋本体を、前記炉本体の上端に対して強く押し付けるようにしたことを特徴とする縦型電気炉の天井蓋構造。
【請求項2】
前記左側炉体及び右側炉体のそれぞれに、前記リンク部材を二つ並列状態で設けるとともに、前記二つのリンク部材の回転する部位同士を連結シャフトで連結し、一つのシリンダーで前記二つのリンク部材を同時に回転させることを特徴とする請求項1に記載の縦型電気炉の天井蓋構造。
【請求項3】
炉本体の天井開口部を開閉自在の蓋本体で覆うようにした縦型電気炉における天井蓋構造であって、
前記蓋本体の外周端部には、複数の受部が所定間隔をおいて設けられるとともに、
前記炉本体の外周面上部には、
上下方向にロッドを伸縮させるシリンダーと、
略水平に延び回転自在の支軸に固定されるか又は略水平に延びる支軸に回転自在に連結され、先端部が下向き回転により前記受部に接近し当接する位置に配置されるとともに基端部が前記シリンダーのロッドに回転自在に連結され、前記受部にそれぞれ対応したリンク部材とが設けられ、
前記シリンダーのロッドを上昇させることによって、前記リンク部材を回転させて、前記リンク部材の先端部で前記蓋本体の受部を下方に押圧し、前記炉本体の天井開口部を覆うように載せられた前記蓋本体を、前記炉本体の上端に対して強く押し付けるようにしたことを特徴とする縦型電気炉の天井蓋構造。
【請求項4】
前記炉本体の上端部に、水平方向に配した底壁の上面に、内側壁と中間壁と外側壁を立設して断面凹状の凹部を二つ形成し、前記凹部にセラミック製のシール材を充填した二重シール部材を周設するとともに、
前記蓋本体の前記二重シール部材に対向する箇所に、水平方向に配した天壁の下面に、インナー壁とアウター壁を垂下設して断面逆凹状の溝部を一つ形成し、前記溝部にセラミック製のシール材を充填した一重シール部材を周設し、
前記蓋本体を閉じた状態で、前記二重シール部材の中間壁の先端部を、前記一重シール部材の溝部に充填したシール材に埋入させるとともに、前記一重シール部材のインナー壁とアウター壁の先端部を、前記二重シール部材の凹部に充填したシール材に埋入させたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の縦型電気炉の天井蓋構造。
【請求項5】
前記炉本体の上端部に、水平方向に配した底壁の上面に、インナー壁とアウター壁を立設して断面凹状の凹部を一つ形成し、前記凹部にセラミック製のシール材を充填した一重シール部材を周設するとともに、
前記蓋本体の前記一重シール部材に対向する箇所に、水平方向に配した天壁の下面に、内側壁と中間壁と外側壁を垂下設して断面逆凹状の溝部を二つ形成し、前記溝部にセラミック製のシール材を充填した二重シール部材を周設し、
前記蓋本体を閉じた状態で、前記二重シール部材の中間壁の先端部を、前記一重シール部材の凹部に充填したシール材に埋入させるとともに、前記一重シール部材のインナー壁とアウター壁の先端部を、前記二重シール部材の溝部に充填したシール材に埋入させたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の縦型電気炉の天井蓋構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−127524(P2012−127524A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276626(P2010−276626)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(592017002)三建産業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】