説明

縮合チオフェン、その物品および方法

縮合チオフェン(FT)化合物、FTポリマー、FT含有物品、およびここに定義された式のFT化合物およびそのポリマーを製造する方法と使用する方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【先願の優先権の主張】
【0001】
本出願は、2009年5月28日に出願された米国特許出願第12/473652号の恩恵を主張するものである。この文献の内容並びにここに述べられた刊行物、特許、および特許文献の全ての開示が引用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、縮合チオフェン化合物、ポリマー、組成物、物品、およびチオフェン組成物を製造する方法と使用する方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、例えば、発光デバイスおよび半導体デバイスなどの電子用途に使用できる縮合チオフェン(FT)化合物およびポリマー、並びにその縮合チオフェン生成物を製造する方法と使用方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本開示の実施の形態における、ポリマー10から調製されたデバイスの代表的な電流−電圧曲線を表すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の様々な実施の形態を、もしあれば、図面を参照して、詳しく記載する。様々な実施の形態の参照は本発明の範囲を制限せず、その範囲は、ここに添付された特許請求の範囲にしか制限されない。加えて、本明細書に述べられた全ての実施例は、制限するものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の多くの可能な実施の形態のいくつかを単に述べただけである。
【0006】
定義
「FTx」は、xが、縮合チオフェン環または1つのコアユニットに縮合された環状ユニットの数を表す整数である、縮合チオフェンを称する。例えば、FT2はコアユニット中に2つの縮合環を有し、FT3はコアユニット中に3つの縮合環を有し、FT4はコアユニット中に4つの縮合環を有し、FT5はコアユニット中に5つの縮合環を有し、以下同様にコアユニットにおける数が増えていく。
【0007】
開示された縮合チオフェンポリマーの背景における「ユニット」、「重合性ユニット」または同様の用語は、ポリマーの個別の反復セグメント(n)内の異なるコアユニットおよび同様の他の共役ユニットの数を称する。例えば、コア縮合チオフェンユニット、並びにスキーム1(d)におけるG1ユニット(2つのG1基が存在することに留意のこと)、およびG2ユニットを参照のこと。反復ユニットは、ポリマーの個別の反復セグメント内に1つ以上の同様のコアユニットおよび1つ以上の追加の共役ユニットを有し得る。
【0008】
「炭化水素」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビレン」、「ヒドロカルビルオキシ」、および同様の用語は、−Rなどの一価、または二価−R−部分を称し、例えば、アルキル炭化水素、芳香族またはアリール炭化水素、アルキル置換アリール炭化水素、アルコキシ置換アリール炭化水素、ヘテロアルキル炭化水素、ヘテロ芳香族またはヘテロアリール炭化水素、アルキル置換ヘテロアリール炭化水素、アルコキシ置換ヘテロアリール炭化水素、および同様の炭化水素部分、並びにここに示されたものを含み得る。
【0009】
「アルキル」は、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、および環状アルキルを含む。「置換アルキル」または「必要に応じて置換されたアルキル」は、アルキル置換基を称し、これは、例えば、ヒドロキシル(−OH)、ハロゲン、アミノ(−NH2または−NR2)、ニトロ(−NO2)、アシル(−C(=O)R)、アルキルスルホニル(−S(=O)2R)、アルコキシ(−OR)、および同様の置換基から選択される1から4の随意的な置換基を有する、例えば、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、または環状アルキルを含み得、ここで、Rは、ヒドロカルビル、アリール、Het、または1から約10の炭素原子を有する一価アルキルまたは二価アルキレンなどの同様の部分である。例えば、ヒドロキシ置換アルキルは、式−CH2−CH(OH)−CH2−の2−ヒドロキシ置換プロピレンであり得、アルコキシ置換アルキルは、式−CH2−CH2−O−CH3の2−メトキシ置換エチルであり得、アミノ置換アルキルは、式−CH(NR2)−CH3の1−ジアルキルアミノ置換エチルであり得、オリゴ−(オキシアルキレン)、ポリ−(オキシアルキレン)、またはポリ−(アルキレンオキシド)置換アルキルは、例えば、xが、例えば、1から約50、および1から約20であり得る、部分的な式−(R−O)x−、およびR5が水素もしくはアルキルなどの置換または未置換(C1-8)ヒドロカルビルであり、xが1から約50までの整数である、式−(CR5−CHR5−O)x−のものであり得る。
【0010】
「アリール」は、一価または二価のフェニルラジカルまたは少なくとも1つの環が芳香族である、約9から20の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環式ラジカルを含む。アリール(Ar)は、1から5の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、および同様の置換基を有するフェニルラジカルなどの置換アリールを含み得る。
【0011】
「Het」は、オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素からなる群より選択される1,2,3,または4のヘテロ原子を有し、その環が必要に応じてベンゼン環に縮合されている、四−(4)、五−(5)、六−(6)、または七−(7)員の飽和または不飽和複素環を含む。Hetはまた、「ヘテロアリール」を含み、これは、各々が、非酸化物オキシ、チオ、およびXがないかまたはH、O、(C1-4)アルキル、フェニル、またはベンジルであるN(X)からなる群より選択される1,2,3,または4のヘテロ原子および炭素からなる5または6環原子を含有する単環式芳香族の環炭素を介して結合したラジカル、およびそれから誘導された約8から10の環原子のオルト縮合二環式複素環のラジカル、特にベンゾ−誘導体またはプロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルをそれに縮合させることにより誘導されたものを含む。
【0012】
実施の形態において、ハロまたはハロゲン化物は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを含む。アルキル、アルコキシ等は、直鎖と分岐鎖両方の基を含む。しかし、「プロピル」などの個々のラジカルへの言及は、直鎖ラジカルのみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は具体的に言及される。
【0013】
あるいは、様々な炭化水素含有(すなわち、ヒドロカルビル)部分の炭素原子の含有量は、その部分における炭素原子の下限と上限の数を表す接頭文字により表すことができる。すなわち、接頭文字Ci-jは、整数「i」から整数「j」までの炭素原子の部分を表す。それゆえ、例えば、(C1〜C8)アルキルまたはC1-8アルキルは、1から8までの炭素原子のアルキルを称し、(C1〜C8)アルコキシまたはC1-8アルコキシなどのヒドロカルビルオキシは、1から8までの炭素原子のアルキル基を有するアルコキシラジカル(−OR)を称する。
【0014】
具体的には、C1-8アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり得;(C3〜C12)シクロアルキルは、二環式、三環式、または多環式置換基、および同様の置換基を含む、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルであり得る。
【0015】
特定の「ヒドロカルビル」は、例えば、全ての中間の鎖長および値を含む、(C1-24)ヒドロカルビルであり得る。
【0016】
1-8アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、ヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、および同様の置換基であり得る。
【0017】
H−C(=O)(C3-7)アルキル−または−(C2-7)アルカノイルは、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、4−メチルペンタノイル、ヘキサノイル、またはヘプタノイルであり得る。アリール(Ar)は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、テトラヒドロナフチル、またはインダニルであり得る。Hetは、例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはヘテロアリールであり得る。ヘテロアリールは、例えば、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(またはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN−オキシド)またはキノリル(またはそのN−オキシド)であり得る。
【0018】
Hetに関する特定の値は、1,2,3,または4のヘテロ原子、例えば、非過酸化物のオキソ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素を含有する五−(5)、六−(6)、または七−(7)員の飽和または不飽和環;およびそれから誘導された約8から12の環原子のオルト縮合二環式複素環のラジカル、特にベンゾ−誘導体またはプロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、または別の単環式Hetジラジカルをそれに縮合させることにより誘導されたものを含む。
【0019】
ここに開示され、説明されたような、様々な出発材料または中間体からの、本開示の化合物、オリゴマー、ポリマー、複合体または同様の生成物の形成および修飾に適した他の条件が利用できる。例えば、Feiser and Feiser, "Reagents for Organic Synthesis", Vol. 1, et seq., 1967; March, J. "Advanced Organic Chemistry," John Wiley & Sons, 4th ed. 1992; House, H. O., "Modem Synthetic Reactions," 2nd ed., W. A. Benjamin, New York, 1972; および Larock, R. C., "Comprehensive Organic Transformations," 2nd ed., 1999, Wiley-VCH Publishers, New Yorkを参照のこと。ここに記載された調製方法に使用される出発材料は、例えば、市販されている、科学文献に報告されている、または当該技術分野に公知の手法を使用して容易に入手可能な出発材料から調製できる。上述したまたは代わりの調製手法の全てまたは部分の最中に、保護基を必要に応じて使用することが望ましいかもしれない。そのような保護基およびその導入および除去方法が、当該技術分野において公知である。Greene, T. W.; Wutz, P. G. M. "Protecting Groups In Organic Synthesis," 2nd ed., 1991, New York, John Wiley & Sons, Inc. を参照のこと。
【0020】
「含む」または同様の用語は、限られないが、包含する、すなわち、包括的であって、排他的ではないことを意味する。
【0021】
「モノマー」、「マー(mer)」または同様の用語は、目的のポリマーの同種(ホモポリマー)または異種(例えば、コポリマー、ターポリマー、および同様のヘテロポリマー)を形成するために、同様のまたは異なる構造の他のモノマーと共有結合または連結できる(または既にされた)化合物を称する。ここに開示された示されたような適切なモノマーは、例えば、不飽和オリゴマーまたは不飽和ポリマー化合物を含む、約50から約200ダルトンなどの、低分子量重合性化合物、および約200から約10,000ダルトンなどのより高分子量の化合物を含み得る。
【0022】
本開示の実施の形態を記載する上で使用される、組成物中の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、および同様の値、並びにその範囲を修飾する「約」は、例えば、化合物、組成物、複合体、濃縮物または使用配合物の製造に使用される典型的な測定および取扱手法により;これらの手法における不注意による誤りにより;方法を実施するために使用される出発材料または成分の純度、供給源または製造における差により;および同様の検討事項により、生じ得る数量におけるばらつきを称する。「約」という用語は、特定の初期濃度または混合比を有する組成物または配合物の経時変化のために異なる量、および特定の初期濃度または混合比を有する組成物または配合物の混合または処理のために異なる量も包含する。ここに添付された特許請求の範囲は、これらの「約」のつく量の同等物を含む。
【0023】
実施の形態における「から実質的になる」は、例えば、本開示の化合物と、ポリマー組成物と、その化合物、ポリマー、または配合物を製造するまたは使用する方法と、本開示の物品、デバイス、または任意の装置を称し、請求項に列記された成分または工程に加え、特定の反応体、特定の添加剤または成分、特定の試薬、特定の界面改質剤または条件、または同様の構造、材料、または選択されたプロセス変数などの、本開示の組成物、物品、装置、または製造および使用方法の基本的な新規の性質に実質的に影響しない他の成分または工程を含んで差し支えない。本開示の成分または工程の基本的性質に実質的に影響するであろう項目、または本開示に望ましくない特徴を与えるであろう項目の例としては、早まったポリマー鎖の停止、過剰な架橋、結果として得られるポリマーの過度に高い温度への長期間のまたは不要な曝露、および同様の不利な工程が挙げられる。
【0024】
ここに用いたような不定冠詞および対応する定冠詞は、別記しない限り、少なくとも1つ、すなわち1つ以上を意味する。
【0025】
当業者によく知られている省略形を使用してもよい(例えば、時、時間について「h」、「hr」、グラムについて「g」、「gm」、ミリリットルについて「mL」、および室温について「rt」、ナノメートルについて「nm」、および同様の省略形)。
【0026】
成分、材料、添加剤、開始剤、金属触媒、架橋剤、および同様の態様について開示された特定の値と好ましい値、およびその範囲は、説明のためだけである。それらは、他の所定の値または所定の範囲の他の値を排除するものではない。本開示の組成物および方法は、ここに記載された値、特定の値、より特定の値、および好ましい値の内の任意の値または任意の組合せを有するものも含む。
【0027】
実施の形態において、本開示は、FT化合物、FTポリマー組成物、FT含有物品、およびFT化合物とFTポリマーを製造する方法と使用する方法を提供する。
【0028】
実施の形態において、本開示は、ここに定義された、FT化合物およびFT化合物を製造する方法を提供する。
【0029】
実施の形態において、本開示は、ここに定義された、FTポリマーおよびFTポリマーを製造する方法を提供する。
【0030】
実施の形態において、本開示は、ここに定義されたプロセスのいずれにより調製された、FT高分子化合物およびFT物品をも提供する。
【0031】
実施の形態において、本開示は、ここに定義されたプロセスの1つ以上により調製された、ポリマー物品を提供する。
【0032】
実施の形態において、本開示は、ここに定義されたポリマーまたはポリマー物品を含む物品またはデバイスを提供する。開示された組成物、物品、および方法を使用して、多くの様々な電気光学デバイス、例えば、OLED、OFET、OTFT、および例えば、J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 13202-13203に開示されたような同様のデバイスを調製することができる。
【0033】
実施の形態において、本開示は、式:
【化1】

【0034】
の化合物であって、ここで、
各Rが、独立して、例えば、nが2から4までの場合、炭素−炭素結合、炭素−硫黄結合、または溶解度増強置換基、例えば、−OR、−SR、ポリエーテル、ポリチオエーテル、および同様の基などの、酸素または硫黄置換−R置換基を含む置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
nが2から4までの整数であり、
各−G1が、独立して、
例えば、nが2から4までの場合、炭素−炭素結合または炭素−硫黄結合、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1qの一価の置換または未置換アリール、
式−{Het(R1qp−Het(R1qの一価の置換または未置換ヘテロアリール、または
−Het−Ar、−Ar−Het、−Het(R1q−Ar、−Ar−Het(R1q、−Het(R1q−Ar(R1q、および同様の組合せなどの式−{Ar(R1qp−Ar(R1q、または−{Het(R1qp−Het(R1qの1つ以上の置換または未置換アリールおよびヘテロアリール置換基の一価の組合せ、
であり、
pが0から4までであり、
qが0から4までであり、
各−R1が、独立して、−H、−F、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、またはそれらの組合せ、およびその塩である、
化合物を提供する。
【0035】
−{Ar(R1qp−Ar(R1qの例としては、例えば、−Ar、−Ar(R1)などの、pが0であり、qが1である−Ar(R1)、pが1であり、qが1であり、R1がアルキルである−Ar(R1)−Ar(R1)−、またはpが2であり、qが0であり、R1が−Hである−Ar−Ar−Ar、および同様の置換(permutation)を含む。−{Het(R1qp−Het(R1qの例としては、例えば、フェニル、トルイル、ナフチル、ビフェニル、ビチオフェン、および同様の部分を含む、例えば、−Het、−Het−Het、−(Het)2−Het、−Het(R1)、−Het(R1)−Het、−Het−Het(R1)、−Het(R1)−Het(R1)、および同様の置換を含む。(C1-24)ヒドロカルビルの例としては、例えば、アルキニル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの組合せなどの、置換または未置換、飽和または不飽和のヒドロカルビルを含む。
【0036】
−G1の組合せとしては、例えば、−Ar−Het、−Het−Ar、−Ar(R1)−Het(R1)、−Het(R1)−Ar(R1)、および−{Ar(R1qp−Het(R1qまたは−{Het(R1qp−Ar(R1qの同様の置換、およびの塩が挙げられる。
【0037】
一価の−G1部分の特定の例は、例えば、
【化2】

【0038】
から選択される少なくとも1つの置換基であって差し支えなく、ここで、
各R2は、独立して、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、または−Ar、−F、もしくはそれらの組合せであり、
3は、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
sは、0から5までの整数である。
2の例は、−(C1-24)ヒドロカルビル、−(C1-10)アルコキシル、−{(C1-10)アルコキシル}t−H、−オキシアルキレン、−(オキシヒドロカルビレン)tH、−Ar、および同様の置換基のいずれであっても差し支えなく、ここで、tは1から10までである。
【0039】
実施の形態において、本開示は、その塩、またはそれらの組合せ、またはそれらの混合物を含む、式:
【化3】

【0040】
の化合物を提供する。
【0041】
特別に名付けられた化合物としては、例えば、
4,11−ビス(チオフェン−2−イル)−5,12−ジトリデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
4,11−ビス(チオフェン−2−イル)−5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
6,14−ビス(チオフェン−2−イル)−5,15−ジトリデシル−3,7,10,13,17−ペンタチアペンタシクロ[9.6.0.02,9.04,8.012,16]ヘプタデカ−1(11),2(9),4(8),5,12(16),14−ヘキサエン;
4,11−ジフェニル−5,12−ジトリデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
6,14−ジフェニル−5,15−ジトリデシル−3,7,10,13,17−ペンタチアペンタシクロ[9.6.0.02,9.04,8.012,16]ヘプタデカ−1(11),2(9),4(8),5,12(16),14−ヘキサエン;
4,11−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)−5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;または
4,11−ジフェニル−5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;およびその塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
実施の形態において、−G1は、例えば、
【化4】

【0043】
から選択されるどの一価部分であっても差し支えなく、ここで、置換基におけるアスタリスク「」は、縮合チオフェンコアへの一価の結合地点を表す。
【0044】
実施の形態において、本開示は、ここに定義された、式:
【化5】

【0045】
の縮合チオフェン化合物を製造する方法であって、
式:
【化6】

【0046】
の縮合チオフェンコア化合物をハロゲン化剤と接触させて、Xがハロゲンであり、Cが接触されたコア化合物である、式X−C−Xのα−,α’−ジハロゲン化生成物を形成し、
このX−C−X生成物を、少なくとも2モル当量の式M−G1のカップリング化合物および金属触媒と接触させて、式G1−C−G1のα−,α’−二置換生成物を形成する、
各工程を有してなる方法を提供する。
【0047】
より詳しくは、その製造方法は、例えば、−SnR43、−B(OH)2、−B(OR42、−B(シクロ−OR4O−)、または−MgX、もしくはそれらの組合せを有するMを含んで差し支えない式M−G1のカップリング化合物を有し得、ここで、Xはハロであり、各R4は、独立して、一価の置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
−G1は、例えば、
【化7】

【0048】
から選択され得る一価部分であり、
各R2は、独立して、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、−Ar、−F、またはここに定義された同様の置換基、もしくはそれらの組合せであり、
3は、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
sは、0から5までの整数である。
【0049】
ハロゲン化剤は、例えば、NBS、Br2などの臭素化剤、NCS、Cl2などの塩素化剤、NIS、I2などのヨウ素化剤、および同様の物質、またはそれらの組合せであって差し支えない。
【0050】
金属触媒は、例えば、Pd(PPh34、もしくはPt、Niまたは同様の金属に基づくような同様の物質であって差し支えない。
【0051】
実施の形態において、本開示は、式:
【化8】

【0052】
のポリマーであって、ここで、
各Rは、独立して、炭素−炭素結合、炭素−硫黄結合、または置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
nは2から4までの整数であり、
mは、中間の値と範囲を含む、2から10,000までの整数であり、
各G1は、独立して、
炭素−炭素結合または炭素−硫黄結合、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1q−の二価の置換または未置換のアリール、または
式−{Het(R1qp−Het(R1q−の二価の置換または未置換のヘテロアリール、
であり、
各−R1は、独立して、−H、−F、もしくは一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、またはそれらの組合せ、およびその塩であり、
各G2が、独立して、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1q−の二価の置換または未置換のアリール、
式−{Het(R1qp−Het(R1q−の二価の置換または未置換のヘテロアリール、または
ビニルまたはアセチレニルなどの、二価の置換または未置換の不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル
であり、
各pは独立して0から4までであり、
各qは独立して0から4までであり、
各−R1は、独立して、独立して、−H、−F、もしくは一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、またはそれらの組合せ、およびその塩である、
ポリマーを提供する。
【0053】
実施の形態において、開示されたポリマーは、例えば、約300から約25,000またはそれより多い分子量を有し得る。
【0054】
実施の形態において、本開示は、ここに定義された、式:
【化9】

【0055】
のポリマーを製造する方法であって、
式:
【化10】

【0056】
のコア化合物(C)をハロゲン化剤と接触させて、Cが接触されたコア化合物であり、Xがハロゲンである、式X−G1−C−G1−Xのα−,α’−ジハロゲン化生成物を形成し、
このX−G1−C−G1−X生成物を、約1モル当量比の式M−G2−Mのカップリング化合物および金属触媒と接触させて、前記ポリマーを形成する、
各工程を有してなる方法を提供する。
【0057】
このポリマーを形成するための調製方法において、M−G2−Mは、例えば、スティル(Stille)カップリング条件を使用した、例えば、式R43Sn−G2−SnR43のカップリング化合物;(HO)2B−G2−B(OH)2、(R4O)2−G2−B(R4O)2、(シクロ−OR4O−)B−G2−B(シクロ−OR4O−)、または鈴木カップリング条件を使用した同様の金属カップリング化合物;グリニャールカップリング条件、および同様の条件を使用した、XMg−G2−MgX、またはそれらの組合せであって差し支えなく、ここで、R4は、独立して、シクロ(C3-8)アルキルなどの環状および分岐鎖ヒドロカルビルを含む、アルキル、アルキレン、アルキンなどの一価または二価の(C1-8)ヒドロカルビル、または−B(シクロ−OR4O−)などの環状グリコールエーテルを含む二価の(C1-8)ヒドロカルビルであって差し支えなく、Xはハロゲンであり、−G2−は、例えば、式:
【化11】

【0058】
の二価部分であって差し支えなく、
各R2は、独立して、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、−Ar、−F、またはここに定義された同様の置換基、もしくはそれらの組合せであり、
3は、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
sは、0から5までの整数であり、金属触媒はPd(PPh34である。
【0059】
実施の形態において、本開示は、ポリマーを製造する方法であって、
式:
【化12】

【0060】
のコア化合物をハロゲン化剤と接触させて、Cが接触されたコア化合物であり、Xがハロである、式X−C−Xのα−,α’−ジハロ化生成物を形成し、
このX−C−X生成物を、例えば、約0.8から約1.2モル当量比、約0.9から約1.1モル当量比、好ましくは約1.0モル当量比、すなわち、1:1のモル当量比である約1モル当量比の式M−G1−G2−G1−Mのカップリング化合物および金属触媒と接触させて、式:
【化13】

【0061】
のそれぞれのポリマー生成物であって、
ここで、各Rが、独立して、一価の置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、nが0から4までの整数であり、mが2から10,000までの整数であるポリマー生成物を形成する、
各工程を有してなる方法を提供する。
【0062】
実施の形態において、カップリング化合物M−G1−G2−G1−Mは、少なくとも1つの−SnR43、−B(OH)2、−B(OR42、−B(シクロ−OR4O−)、または−MgX、もしくはそれらの組合せを有するMを含み、カップリング化合物の各R4は、独立して、一価の置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであって差し支えなく、
各G1およびG2は、独立して、例えば、
【化14】

【0063】
から選択される二価部分であり、
各R2は、独立して、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、−Ar、−F、およびここに定義された同様の置換基、またはそれらの組合せであり、
3は、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
sは、0から5までの整数であり、金属触媒はPd(PPh34である。
【0064】
実施の形態において、ジハロゲン化化合物は、例えば、式
X−G1−C−G1−X
のものであって差し支えなく、ここで、
Cは式:
【化15】

【0065】
の二価の縮合チオフェンコアであり、
各−G1−は、独立して、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1q−の二価の置換または未置換のアリール、または
式−{Het(R1qp−Het(R1q−の二価の置換または未置換のヘテロアリール、
であり、
各−R1は、独立して、−H、−F、もしくは一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、またはそれらの組合せ、およびその塩であり、
各pは独立して0から4までであり、
各qは独立して0から4までであり、
各Xは独立してハロ、またはその塩、もしくはそれらの混合物である。
【0066】
式の特定のジハロゲン化化合物は、例えば、
4,11−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−5,12−ジトリデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン(7)、および
6,14−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−5,15−ジトリデシル−3,7,10,13,17−ペンタチアペンタシクロ[9.6.0.02,9.04,8.012,16]ヘプタデカ−1(11),2(9),4(8),5,12(16),14−ヘキサエン(9);
の対応する化学名を有する、式(7)および(9):
【化16】

【0067】
のものであって差し支えない。
【0068】
He, M.,等は、FT2からFT7のβ−,β’−アルキル置換縮合チオフェンを製造するための合成法をいくつか以前に報告してきた(He,M.,の“Fused Thiophenes, Methods for Making Fused Thiophenes, and Uses Thereof”と題する、国際出願第PCT/US2005/032759号の一部継続出願である、国際出願第PCT/US08/02033、国際公開第08/106019号パンフレット、米国特許出願公開第2007/0161776A1号明細書;He, M., et al., J. Org. Chem. (2007), 72(2), 442-451, Synthesis and Structure of Alkyl-Substituted Fused Thiophenes Containing up to Seven Rings;“Preparation of Fused Thiophenes”と題する同一出願人の国際出願第PCT/US05/32759号、国際公開第06/031893号パンフレットを参照のこと)。
【0069】
関連するα−,α’−,β−,β’−未置換縮合チオフェンがどこか他でに報告された(例えば、Fong, H. et al., J. Am. Chem. Soc., (2008), 130(40), 13202-13203, Tetrathienoacene Copolymers As High Mobility, Soluble Organic Semiconductors; Zhang, X., et al., J. Am. Chem. Soc. (2005), 127(30), 10502-10503, Synthesis and Structure of Fused-Oligothiophenes with up to Seven Rings; Okamoto, T., et al., Chemistry-A European Journal (2007), 13(2), 548-556, General Synthesis of Extended Fused Oligo-Thiophenes Consisting of an Even Number of Thiophene Ringsを参照のこと)。
【0070】
実施の形態において、本開示は、α−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェン化合物(例えば、FT4、FT5、FT6、FT7、FT8およびFT9)およびその化合物を製造する方法を提供する。α−,α’−共役官能基置換基を有するものなどのβ−,β’−アルキル置換縮合チオフェン化合物のいくつかは、電子装置における有機半導体として使用できる。
【0071】
実施の形態において、本開示は、縮合チオフェンコア化合物および含まれるまたはコアに付加された1つ以上の追加マー(mer)ユニットを有するそれに対応するポリマーも提供する。実施の形態において、追加の付加ユニットは、重合および鎖の延長に関与し得る。その結果として生じる生成物は、例えば、4つ以上の縮合チオフェン環を有する少なくとも1つのコアユニット、少なくとも1つのG1ユニット、および少なくとも1つのG2ユニットを含む反復セグメント(n)を有するポリマーであり得る。実施の形態において、その結果として生じる生成物は、例えば、1つの縮合チオフェンコアユニット、少なくとも2つのG1ユニット、および1つのG2ユニットを含む反復セグメントを有するポリマーであり得る。実施の形態において、本開示は、約4から約10の縮合チオフェンユニットを含有する鎖セグメントを有するポリマーおよびブロックポリマーを調製する方法を提供する。実施の形態において、本開示は、例えば、スティルまたは鈴木カップリング反応を使用した、縮合チオフェン含有ポリマーおよびブロックポリマーを調製する方法を提供する。
【0072】
実施の形態において、本開示は、以前に報告されたα−,α’−,β−,β’−未置換縮合チオフェンと比べて、一般的な有機溶媒中の溶解度が改善されたβ−,β’−アルキル置換縮合チオフェンを提供する。優れた溶解度特性のために、これらの材料およびその共役ポリマー生成物が、特に印刷用途のための、溶解処理された有機エレクトロニクスに適したものになる(“Fused Thiophenes and Methods for Making and Using Same”と題する、2008年3月31日に出願され、コーニング社に譲渡された米国仮特許出願第61/072468号明細書、国際出願(まだ出願されていない);Fong, H. et al., Tetrathienoacene Copolymers As High Mobility, Soluble Organic Semiconductors, J. Am. Chem. Soc., (2008), 130(40), 13202-13203を参照のこと)。開示されたチオフェンは、例えば、溶液中および空気の存在下で、急激に分解する、ペンタセンと比べて、優れた熱安定性および空気安定性も示す。優れた電子的性質を示すチオフェン、フェニル、または他の共役官能基置換アントラセン、テトラセン、およびペンタセンの報告がある(Anthony, J. E., Chemical Reviews (2006), 106(12), 5028-5048, Functionalized Acenes and Heteroacenes for Organic Electronics; Anthony, J. E., Angewandte Chemie, Int. Ed,. (2008), 47(3), 452-483, The Larger Acenes: Versatile Organic Semiconductors; Hong M., et al., J. Am. Chem. Soc., (2006), 128(29), 9304-9305, 2,6-Bis[2-(4-pentylphenyl)vinyl]anthracene: A Stable and High Charge Mobility Organic Semiconductor with Densely Packed Crystal Structure; Klauk, H., et al., Advanced Materials, (2007), 19(22), 3882-3887, Organic Transistors Based on Di(phenylvinyl)anthracene: Performance and Stability; Hong M., et al., J. Am. Chem. Soc., (2005), 127(8), 2406-2407, High-Performance, Stable Organic Thin-Film Field-Effect Transistors Based on Bis-5'-alkylthiophen-2'-yl-2,6-anthracene Semiconductorsを参照)。例えば、5,6,11,12−テトラフェニルテトラセンの単結晶が、テトラセンおよびペンタセンのものよりもずっと高い移動度を示す(Anthony, J. E., Angewandte Chemie, Int. Ed,. (2008)、前出)。しかしながら、これらの共役小分子の合成は簡単ではない。既にある程度の電子的活性を有する構造上へのこれらの共役置換基の付加により、一般に、電子的活性がさらに向上する。
【0073】
α−,α’−置換FT3のいくつかの例が、有機発光トランジスタ(OLET)(例えば、Cicoira, F., et al., Advanced Materials, (2006), 18(2), 169-174, Organic Light-Emitting Transistors Based on Solution-Cast and Vacuum-Sublimed Films of a Rigid Core Thiophene Oligomer; Sun, Y., et al., Advanced Functional Materials (2006), 16(3), 426-432, High-Performance and Stable Organic Thin-Film Transistors Based on Fused Thiophenesを参照のこと)、単色OLEDピクセルアレイ(Viola, I., et al., Advanced Materials, (2007), 19(12), 1597-1602, Bicolor Pixels from a Single Active Molecular Material by Surface-Tension-Driven Deposition)、およびOTFT(例えば、Fused Thiophenes for Electronic Devicesと題する、英国Cambridge Display Technology, Ltd.,に譲渡されたHolmes,A.B.,等の国際公開第99/12989A1号パンフレット;Preparation of Thienothiophene Analogs for use as Semiconductors or Charge Transport Materialsと題するFerrand,L.等の欧州特許出願公開第1275651A2号明細書;Sun, Y., et al., Applied Physics Letters, (2006), 88(24), 242113/1-3, Organic Thin-Film Transistors with High Mobilities and Low Operating Voltages Based on 5,5'-Bis-bip
henyl-dithieno[3,2-b:2',3'-d]thiophene Semiconductor and Polymer Gate Dielectric; Melucci, M. et al., Chemistry--A European Journal, (2007), 13(36), 10046-10054, Liquid-Crystalline Rigid-Core Semiconductor Oligothiophenes: Influence of Molecular Structure on Phase Behaviour and Thin-Film Propertiesを参照のこと)としての潜在的な用途について報告されてきた。意外なことに、α−,β−置換FT4、FT5、またはFT6化合物の例は報告されていない。これは、α−,β−置換FT4、FT5、またはFT6化合物の不十分な溶解度のせいであるかもしれず、このことは、さらなる構造的修飾を難しくし得る。
【0074】
実施の形態において、本開示は、α−,α’−共役官能基置換,β−,β’−アルキル置換FT4からFT7化合物を含む、様々なα−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT4からFT7化合物を製造する方法を提供する。この新規の化合物には、例えば、有機エレクトロニクスにおける用途および同様の用途があり得る。実施の形態において、この方法は、FT4からFT7に及ぶα−,α’−結合、β−,β’−置換縮合チオフェン部分を含有する、3つのモノマーユニット、またはより高次のユニットのポリマーを調製するために、スティルカップリングまたは鈴木カップリングを使用することを含む。
【0075】
実施の形態において、本開示の化合物は、例えば、
高度に規則的なまたは反復構造を有する新規のポリマー構造を製造するために、ポリマーにおけるマーまたはユニットの1つ以上を合成的に操作できるまたは体系的に変化させられる単純さまたは容易さ、
開示されたポリマー調製方法は、追加の柔軟性またはポリマー構造の部位規則性を指定する能力を提供すること、および
開示された方法を使用して、少ない工程および少ない試薬などで、公知のポリマー(例えば、同一出願人の同時係属出願である米国特許出願第61/072468号明細書を参照のこと)をより効率的に製造できること、
を含む利点を提供する。
【0076】
他の公知と関連の化合物およびポリマーに基づいて、開示された化合物およびポリマーは、増加した熱安定性および酸素安定性、およびより少ない工程などの、増加した溶解度および増加した合成効率のための増加した製造の容易さなどの優れた有機半導体特性を有することが期待される。
【0077】
開示された化合物は、確立された合成法、例えば、スティルカップリング、鈴木カップリング、またはグリニャールカップリングを使用して調製できる。α−,α’−結合、β−,β’−置換縮合チオフェンを含有する3ユニット(縮合チオフェンユニット)またはより高次のユニットのポリマーを合成するために鈴木カップリングを使用することは、以前に報告されているとは考えられない。開示された調製方法は、例えば、FeCl3酸化を使用して、公知の縮合チオフェンポリマー(例えば、Pan, H., et al., J. Am. Chem. Soc., (2007), 129(14), 4112-4113, Low-Temperature, Solution-Processed, High-Mobility Polymer Semiconductors for Thin-Film Transistorsを参照のこと)を調製するために使用しても差し支えない。
【0078】
一般に、開示された方法は、複数のマーまたはユニット(すなわち、共役ユニット)を含有する半導体ポリマーの改善された調製を提供する。開示された化合物のいくつかは、上述したG1−C−G1系コポリマーなどのように共重合により以前に調製されてきたが、開示された方法は、例えば、多数のユニットが1つのマーまたは重合ユニットに含まれる場合などの、減少した数のコポリマーを使用して、化合物を調製するためのより収束した経路を提供する。これにより、電子装置におけるより良好な構造的構成および改善された電子的性質を提供できる、より構造的に均一なポリマーが提供される。
【0079】
実施の形態において、本開示は、側鎖修飾がモノマーまたは3ユニットポリマーのいずれにも実施できるので、α−,α’−結合、β−,β’−置換縮合チオフェンを含有するモノマーおよび3ユニット(または高次ユニット)ポリマーの改善された溶解度を提供する。
【0080】
実施の形態において、本開示は、α−,α’−芳香族環置換,β−,β’−アルキル置換FT4からFT7化合物を含む、α−,α’−結合、β−,β’−置換縮合チオフェンを製造する方法を提供する。α−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT4およびFT5化合物を調製するために以下に示される一般スキーム1(a〜d)は、FT6、FT7、およびFT8、並びに同様の化合物に適用できる。
【0081】
スキーム1(a) α−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT4の合成

【0082】
スキーム1(b) α−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT5の合成

【0083】
スキーム1(c) α−,α’−芳香族環置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンFT4およびFT5からの3ユニットポリマーの例示の合成

【0084】
スキーム1(d) 3ユニットポリマーの代わりの例示の合成

【0085】
チオフェン置換FT4(3)およびFT5(6)化合物の合成が、それぞれ、下記のスキーム2(a)および2(b)に示されている。この調製手法は、α−,α’−未置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンのα−,α’−位置における二臭素化反応で始まる。これは、例えば、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、または他の同様の臭素化剤により行うことができる。次いで、その結果生じるジブロモ−FT誘導体を、適切なスズ試薬、例えば、2−トリブチルスズチオフェン、および触媒と反応させることができる。スキーム1(a)に示されるように、様々な試薬を使用することができる。スズ試薬に基づくスティルカップリングがこれらの材料の合成において示されたが、スキーム2(c)に示されるような鈴木カップリング、およびグリニャールカップリングなどの、C−C結合を形成するための他の公知の方法を使用して、この新規の化合物を得ても差し支えない。
【0086】
スキーム2(a) スティルカップリングを使用したα−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換FT4の合成

【0087】
スキーム2(b) スティルカップリングを使用したα−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換FT5の合成

【0088】
スキーム2(c) 鈴木カップリングを使用したα−,α’−p−トリフルオロメチルフェニル置換,β−,β’−アルキル置換FT5の合成

【0089】
新規の化合物3および6に基づくポリマーを調製するたのめ方法のいくつかの例が、スキーム2(d)に示されている。最初の工程は、例えば、化合物3または化合物6のNBSまたは同様の物質、およびその組合せによる臭素化であって差し支えない。次いで、臭素化された化合物7および9は、金属触媒の存在下で、示された1,4−ビス−トリメチルスズベンゼンなどのジスズアリールまたは同様の誘導体と反応させて、ポリマー8および10を形成することができる。一般に、対応するポリマーを製造する反応に使用するために、どのアリールジスズ、ビニルジスズ、またはアセチレンジスズ化合物を選択しても差し支えない。スズ系のスティルカップリング重合が具体的に示されたが、スキーム2(c)に示された鈴木カップリング、またはグリニャールカップリングなどの、C−C結合の形成を通じてアリール、ビニル、およびアセチレンユニットの共重合のための他の公知の金属触媒プロセスを使用して、様々な高分子構造を形成しても差し支えない。特定の重合のために選択されるカップリング化学反応の選択は、重合されるモノマーのタイプにより示唆または決定され得る。
【0090】
スキーム2(d) α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換FT4およびFT5を含有する3ユニットポリマーの合成

【0091】
様々な重合化学反応と組み合わされた本開示のモノマー化合物は、多大な構造上の融通性および例えば、スキーム1(c)および1(d)に示されるような、数多くの多ユニットポリマーへのアクセスを提供できる。スキーム1(c)に示されたポリマーは、2つのモノマーから製造されたコポリマーからなる。しかしながら、これらのポリマーは、G1およびG2が、例えば、アリール、ビニル、アセチレン、または同様の基であり得る、出発FTコアに追加されたユニットG1およびG2を有する3ユニットポリマーであると考えられる。スキーム1(d)に示されるように、重合プロセスの融通性により、異なる経路によるスキーム1(c)に示された同じポリマーの形成が可能になる。この代わりの手法は、特定のモノマーユニットが調製するのが難しいか、そうでなれけば得るのが難しい場合に、都合よいであろう。反復順序において特定の位置にユニットを選択的に配置するカップリング化学反応の能力により、これらのポリマーを無作為な共重合反応で形成することと比べて、より均一な二次元構造を有するポリマーを提供することができる。理論により制限されないが、これらの材料は、電子装置に実装されるときに、より均一に充填することができ、その半導体特性は、より無作為なポリマー構造と比べて向上させることができる。本開示の特定の縮合チオフェン化合物および関連化合物が、優れた、すなわち、よりコンパクトな結晶充填特性を有し得、対応するポリマーが、その化合物がC2対称要素を有し、C2対称要素、または180°回転軸が縮合チオフェンコアの面に対して垂直である場合、優れた導電移動度(conducting mobility)を有し得ることを予期せぬことに発見した。実施の形態において、優れた性質を有する縮合チオフェン化合物の構造としては、xが偶数であり、C2対称性が、縮合チオフェンコアの面に対して垂直である回転軸の周りである、式FTxの縮合チオフェンが挙げられる。優れた導電移動度を有する本開示の化合物およびポリマーは、例えば、FT5、FT7、FT9などの、xが縮合チオフェン環の奇数であるFTx構造、および同様の構造と比べて、FT4、FT6、FT8などの、xが縮合チオフェン環の偶数であるFTx構造、および同様の構造を含む。
【0092】
スキーム2(d)に示されたポリマー8の正孔導電移動度を、実験の欄に記載したように測定した。約0.005から約0.01cm2-1-1の移動度が測定され、105のIオン/オフ比が得られた。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、上述した開示を使用する様式、および開示の様々な態様を実施するために考えられる最良の形態をより十分に説明するように働く。これらの実施例は、本開示の範囲を制限するものではなく、むしろ説明目的のために提示されていることが理解されよう。
【0094】
実施例1
α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンFT4(3)の合成
【化17】

【0095】
化合物2(ジ−C13−FT4二臭化物)を、J. Amer. Chem. Soc., 2008, 130, 13202-13203にしたがって合成した。撹拌子を備えたマイクロ波反応試験管内の0.58gの化合物2(0.75ミリモル)に、0.62g(1.65ミリモル)の2−チオエニルトリ−n−ブチルスズ、すなわち、M−G1を加えた。この試験管を数分間に亘り窒素でフラッシングし、密封し、グローブボックス内に入れた。この試験管に、0.250g(0.216ミリモル)のPd(PPh34および9mLのトルエンを加えた。この試験管を再度密閉し、マイクロ波反応装置内に入れた。この反応装置内における120℃での40分後、反応混合物を、溶離液として高温ヘキサンを使用して、短経路シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。減圧下で、ヘキサン溶媒を除去して、油状生成物を生成し、これに、約100mLのメタノール/エタノール(1:1)(v:v)混合物を加えて、黄色の沈殿物として3を生成した。この沈殿物を濾過により収集し、真空下で乾燥させた(0.49g、収率84%)。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): d 7.40 (d, J = 5.1 Hz, 2 H), 7.22 (d, J = 3.3 Hz, 2 H), 7.12 (br t, J = 4.5 Hz, 2 H), 2.93 (t, J = 7.8 Hz, 4 H), 1.79 (p, J = 7.5 Hz, 4 H), 1.51-1.17 (m, 40 H), 0.87 (t, J = 6.6 Hz, 6 H); HRMS (MALDI) m/z calcd for [C44H60S6] 780.2967, found 780.30193。
【0096】
α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンFT5(6)の合成
【化18】

【0097】
化合物5(ジ−C13−FT5二臭化物)を、J. Amer. Chem. Soc., 2008, 130, 13202-13203にしたがって合成した。撹拌子を備えたマイクロ波反応試験管内の0.99gの化合物5(1.19ミリモル)に、0.93g(2.50ミリモル)の2−チオエニルトリ−n−ブチルスズを加えた。この試験管を数分間に亘り窒素でフラッシングし、密封し、グローブボックス内に入れた。この試験管に、0.413g(0.357ミリモル)のPd(PPh34および12mLのトルエンを加えた。この試験管を再度密閉し、マイクロ波反応装置内に入れた。この反応装置内における120℃での40分後、反応混合物を、溶離液としてヘキサンを使用して、短経路シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。減圧下で、ヘキサン溶媒を除去して、油状生成物を生成し、これに、約100mLのメタノール/エタノール(1:1)(v:v)混合物を加えて、黄色の沈殿物として6を生成した。この沈殿物を濾過により収集し、真空下で乾燥させた(0.91g、収率91%)。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): d 7.41 (d, J = 4.2 Hz, 2 H), 7.22 (d, J = 3.6 Hz, 2 H), 7.12 (br t, J = 4.0 Hz, 2 H), 2.94 (t, J = 7.8 Hz, 4 H), 1.79 (p, J = 7.5 Hz, 4 H), 1.52-1.18 (m, 40 H), 0.87 (t, J = 6.6 Hz, 6 H); HRMS (MALDI) m/z calcd for [C46H60S7] 836.2711, found 836.274。
【0098】
実施例2
α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンFT4の二臭化物(7)からの3ユニットポリマー(8)の合成
【化19】

【0099】
フラスコ内の塩化メチレン(30mL)中の化合物3(0.44g、0.56ミリモル)の撹拌溶液に、DMF(15mL)中のN−ブロモスクシンイミド(NBS)(0.21g、1.17ミリモル)の溶液を滴下により加えた。結果として生じた混合物を48時間に亘り暗闇で撹拌した。ロータリー・エバポレータにより塩化メチレンを除去した。固体残留物を水(3×100mL)およびメタノール(50mL)で洗浄した。次いで、固体を乾燥させ、ヘキサンから再結晶化させて、0.33グラムの化合物7(収率62%)を得た。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): d 7.07 (d, J = 3.6 Hz, 2 H), 6.95 (d, J = 3.3 Hz, 2 H), 2.89 (t, J = 4.5 Hz, 4 H), 1.77 (p, J =6.9 Hz, 4 H), 1.51-1.18 (m, 40 H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6 H); HRMS (MALDI) m/z calcd for [C44H58Br2S6] 936.1259, found 936.1230。
【0100】
α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換FT4を含有する3ユニットポリマー8。 化合物7(0.32g、0.34ミリモル)および1,4−フェニレンビス(トリメチルスタンナン)(0.14g、0.34ミリモル)、すなわち、M−G1−Mを、撹拌子を備えた三口フラスコに移した。5分間に亘りフラスコに窒素を通した。このフラスコを密閉し、グローブボックス内に入れた。このフラスコに、0.040g(0.0341ミリモル)のPd(PPh34および25mLのトルエンを加えた。このフラスコを、メタノール(200mL)および濃塩化水素酸(5mL)の混合溶液中に注ぎ入れる前に、16時間に亘り窒素雰囲気下で120〜130℃に加熱し、次いで、周囲温度で16時間に亘り撹拌した。結果として生じた沈殿物を濾過し、アセトンで24時間に亘り、ヘキサンで24時間に亘り、ソックスレー装置内で抽出した。次いで、得られたポリマーを1,2−クロロベンゼン中に溶解させ、濾過し、次いで、メタノール中で沈殿させた。収集したポリマー生成物8を真空中で0.13グラム(収率45%)に乾燥させた。GPC(1,2−ジクロロベンゼン、ポリスチレン基準)Mn14,418,Mw20,856。
【0101】
α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンFT5の二臭化物(9)からの3ユニットポリマー(10)の合成
【化20】

【0102】
フラスコ内の塩化メチレン(130mL)中の化合物6(0.52g、0.62ミリモル)の撹拌溶液に、DMF(60mL)中のN−ブロモスクシンイミド(NBS)(0.23g、1.30ミリモル)の溶液を滴下により加えた。結果として生じた混合物を48時間に亘り暗闇で撹拌した。
【0103】
ロータリー・エバポレータにより塩化メチレンを除去した。残った固体残留物を水(3×100mL)、メタノール(50mL)、およびエタノール(50mL)で連続して洗浄した。この固体をヘキサンから再結晶化させて、0.58グラムの化合物9(収率94%)を得た。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): d 7.09 (d, J = 3.9 Hz, 2 H), 6.95 (d, J = 3.9 Hz, 2 H), 2.90 (t, J = 7.8 Hz, 4 H), 1.78 (p, J = 7.5 Hz, 4 H), 1.52-1.18 (m, 40 H), 0.87 (t, J = 6.9 Hz, 6 H); HRMS (MALDI) m/z calcd for [C46H58Br2S7] 992.1007, found 992.095。
【0104】
α−,α’−チオフェン置換,β−,β’−アルキル置換FT5を含有する3ユニットポリマー10。 化合物9(0.58g、0.58ミリモル)および1,4−フェニレンビス(トリメチルスタンナン)(0.24g、0.58ミリモル)を、撹拌子を備えた三口フラスコ内に入れた。5分間に亘りフラスコに窒素を通した。このフラスコを密閉し、グローブボックス内に入れた。このフラスコに、0.067g(0.058ミリモル)のPd(PPh34および25mLのトルエンを加えた。このフラスコを16時間に亘り窒素雰囲気下で120〜130℃に加熱し、次いでメタノール(400mL)および濃塩化水素酸(5mL)の混合物中に注ぎ入れ、周囲温度で16時間に亘り撹拌した。沈殿物を濾過し、アセトンで24時間に亘り、次いでヘキサンで24時間に亘り、ソックスレー装置内で抽出した。次いで、残りの固体を1,2−クロロベンゼン中に溶解させ、濾過し、次いで、メタノール中で沈殿させた。収集したポリマーを真空中で0.47グラム(収率88%)に乾燥させた。GPC(1,2−ジクロロベンゼン、ポリスチレン基準)Mn8,759,Mw10,792。
【0105】
実施例3
α−,α’−トリフルオロメチルフェニル置換,β−,β’−アルキル置換縮合チオフェンFT4(13)の合成
【化21】

【0106】
化合物12を、J. Amer. Chem. Soc., 2008, 130, 13202-13203にしたがって合成した。撹拌子を備えたマイクロ波反応試験管内の0.69gの化合物12(0.78ミリモル)に、0.37g(1.95ミリモル)の4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸を加えた。この混合物に、6mLの20%Na2CO3水溶液および15mLのTHFを加えた。この試験管を数分間に亘り窒素でフラッシングし、密封し、グローブボックス内に入れた。この試験管に、0.135g(0.117ミリモル)のPd(PPh34および2mLのトルエンを加えた。この試験管を再度密閉し、マイクロ波反応装置内に入れた。この反応装置内における90℃での40分後、有機層を、溶離液としてヘキサンを使用して、短経路シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。減圧下で、ヘキサン溶媒を溶離液から除去して、油状生成物を生成し、これに、約100mLのメタノール/エタノール(1:1)混合物を加えて、黄色の沈殿物として13を生成した。この沈殿物を濾過により収集し、真空下で乾燥させた(0.57g、収率72%)。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): d 7.70 (AA'BB', 8H), 2.86 (t, J = 4.5 Hz, 4 H), 1.79 (p, J = 4.9 Hz, 4 H), 1.54-1.19 (m, 56 H), 0.87 (t, J = 4.7 Hz, 6 H)。
【0107】
実施例4
デバイスの製造および特徴付け 有機半導体チャンネルとしてポリマー10を使用した全上面接触下面ゲートトランジスタを空気中で製造した。ゲート電極としてSi<100>ウェハーを、ゲート誘電体として二酸化ケイ素を使用した。1,2−ジクロロベンゼン中の10に基づくOFETデバイスを、オクチルトリクロロシラン(C8OTS)蒸気処理したSi/SiO2ウェハー上に製造した。OFETデバイスを調製するための一般手法および例えば、移動度を測定するための方法が、例えば、J. Amer. Chem. Soc., 2008, 130, 13202-13203に開示されている。ポリマー10のデバイスの代表的な電流−電圧曲線が図1に示されている。
【0108】
実施例5
選択されたFT4およびFT5化合物の溶解度 表1は、いくつかのα−,α’−未置換,β−,β’−アルキル置換FT4(およびFT5)の、いくつかのα−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT4(およびFT5)化合物との溶解度比較を提供する。
一般手法:10mgのFT4またはFT5化合物を5.0mLの特定の溶媒と混合し、次いで、ネジ蓋式ガラス製バイアル内に密閉した。その結果として生じた混合物を周囲温度で30分間に亘り超音波浴中に保持し、次いで、30分間に亘り静止状態に維持して、透明な溶液が形成されたか否かを調べた。このような60分後に混合物がまだ透明でない場合、バイアルに同じ溶媒をさらに5.0mL加え、合計で20mLの溶媒となるまで、60分間の混合と放置の手法を繰り返した。
【0109】
これらの結果は、これらのFT4およびFT5化合物の一般的な溶解度の傾向を示唆する。FT4およびFT5化合物は、トルエン>CH2Cl2>ヘキサンの溶解度傾向を有する。α−,α’−置換,DC13(R=−C1337)FT4化合物は、関連するα−,α’−置換,DC17(R=−C1735)FT4化合物よりも良好な溶解度を有する。一般に、同じアルキル側鎖では、α−,α’−フェニル,β−,β’−アルキル置換FT4(およびFT5)化合物は、α−,α’−チオフェン,β−,β’−アルキル置換FT4(およびFT5)化合物よりも良好な溶解度を有する。α−,α’−チオフェン,β−,β’−アルキル置換FT4(およびFT5)化合物は、α−,α’−未置換の親のβ−,β’−アルキル置換FT4(およびFT5)化合物よりもわずかに改善された溶解度を有する。同じ側鎖では、α−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT5化合物は、関連するα−,α’−置換,β−,β’−アルキル置換FT4化合物よりもずっと良好な溶解度を有する。
【0110】
本開示は、様々な特定の実施の形態および技法を参照して記載されてきた。しかしながら、多くの改変および変更が、本開示の精神および範囲内にありながら、可能であることが理解されよう。
【表1−1】

【表1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物であって、ここで、
各Rが、独立して、炭素−炭素結合、炭素−硫黄結合、または置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
nが2から4までの整数であり、
各−G1が、独立して、
炭素−炭素結合または炭素−硫黄結合、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1qの一価の置換または未置換アリール、
式−{Het(R1qp−Het(R1qの一価の置換または未置換ヘテロアリール、または
1つ以上の置換または未置換アリールおよびヘテロアリール置換基の一価の組合せ、
であり、
pが0から4までであり、
qが0から4までであり、
各−R1が、独立して、−H、−F、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、
またはそれらの組合せ、およびその塩である、
化合物。
【請求項2】
−G1が、
【化2】

から選択される一価部分であり、
各R2は、独立して、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、−Ar、−F、またはそれらの組合せであり、
3は、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
sは、0から5までの整数である、
ことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化3】

の化合物であって、
各Rが、独立して、置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビル、およびその塩、またはそれらの混合物である、
ことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
4,11−ビス(チオフェン−2−イル)−5,12−ジトリデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
4,11−ビス(チオフェン−2−イル)−5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
6,14−ビス(チオフェン−2−イル)−5,15−ジトリデシル−3,7,10,13,17−ペンタチアペンタシクロ[9.6.0.02,9.04,8.012,16]ヘプタデカ−1(11),2(9),4(8),5,12(16),14−ヘキサエン;
4,11−ジフェニル−5,12−ジトリデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
6,14−ジフェニル−5,15−ジトリデシル−3,7,10,13,17−ペンタチアペンタシクロ[9.6.0.02,9.04,8.012,16]ヘプタデカ−1(11),2(9),4(8),5,12(16),14−ヘキサエン;
4,11−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)−5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;または
4,11−ジフェニル−5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン;
およびその塩、またはそれらの混合物から選択される、
ことを特徴とする請求項3記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化4】

のポリマーであって、ここで、
各G1は、独立して、
炭素−炭素結合または炭素−硫黄結合、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1q−の二価の置換または未置換のアリール、または
式−{Het(R1qp−Het(R1q−の二価の置換または未置換のヘテロアリール、
であり、
各G2は、独立して、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1q−の二価の置換または未置換のアリール、
式−{Het(R1qp−Het(R1q−の二価の置換または未置換のヘテロアリール、または
二価の置換または未置換の不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、
であり、
各Rは、独立して、炭素−炭素結合、または置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
各−R1は、独立して、−H、−F、もしくは一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、またはそれらの組合せ、およびその塩であり、
各nは独立して2から4までの整数であり、
各mは独立して2から10,000までの整数であり、
各pは独立して0から4までであり、
各qは独立して0から4までであり、
またはその塩である、
ポリマー。
【請求項6】

X−G1−C−G1−X
のジハロゲン化化合物であって、ここで、
Cは式:
【化5】

の二価の縮合チオフェンコアであり、
各−G1−は、独立して、
式−{Ar(R1qp−Ar(R1q−の二価の置換または未置換のアリール、または
式−{Het(R1qp−Het(R1q−の二価の置換または未置換のヘテロアリール、
であり、
各Rは、独立して、炭素−炭素結合、または一価の置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
各−R1は、独立して、−H、−F、もしくは一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、またはそのような−G1−基の組合せであり、
各nは独立して2から4までの整数であり、
各pは独立して0から4までであり、
各qは独立して0から4までであり、
各Xは独立してハロであり、
またはその塩
であるジハロゲン化化合物。
【請求項7】

X−G1−C−G1−X
の化合物が、
4,11−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−5,12−ジトリデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエン(7)、または
6,14−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−5,15−ジトリデシル−3,7,10,13,17−ペンタチアペンタシクロ[9.6.0.02,9.04,8.012,16]ヘプタデカ−1(11),2(9),4(8),5,12(16),14−ヘキサエン(9)、
であることを特徴とする請求項6記載のハロゲン化化合物。
【請求項8】
式:
【化6】

の請求項1記載の化合物を製造する方法であって、
式:
【化7】

のコア化合物をハロゲン化剤と接触させて、Xがハロゲンであり、Cが接触されたコア化合物である、式X−C−Xのα−,α’−ジハロゲン化生成物を形成し、
該X−C−X生成物を、少なくとも2モル当量比の式M−G1のカップリング化合物および金属触媒と接触させて、式G1−C−G1のα−,α’−二置換生成物を形成する、
各工程を有してなる方法。
【請求項9】
式M−G1の前記カップリング化合物が、
−SnR43、−B(OH)2、−B(OR42、−B(シクロ−OR4O−)、または−MgX、もしくはそれらの組合せを有するMであって、ここで、Xはハロゲンであり、各R4は、独立して、一価の置換または未置換の(C1-24)ヒドロカルビルであるM、および
【化8】

から選択され一価部分である−G1であって、
各R2は、独立して、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビル、−Ar、−F、またはそれらの組合せであり、
3は、H、または一価の置換または未置換、飽和または不飽和の(C1-24)ヒドロカルビルであり、
sは、0から5までの整数である−G1
を含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項5記載のポリマーを製造する方法であって、
式:
【化9】

のコア化合物(C)をハロゲン化剤と接触させて、Xがハロゲンである、式X−G1−C−G1−Xのα−,α’−ジハロゲン化生成物を形成し、
該X−G1−C−G1−X生成物を、約1モル当量比の式M−G2−Mのカップリング化合物および金属触媒と接触させて、前記ポリマーを形成する、
各工程を有してなる方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−528183(P2012−528183A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513235(P2012−513235)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036284
【国際公開番号】WO2010/138650
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】