繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法
【課題】成形型の取り付け及び取り外しの作業を容易に行うことができる繊維強化樹脂の製造装置を提供する。
【解決手段】複数の型体27〜30から構成される成形型26を用いて繊維強化樹脂を製造する製造装置は、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体14と、型体27等を支持体14に固定する型体支持部20と、を備え、型体27等は型体支持部20よりも支持体14の回動中心側に位置するように支持体14に取り外し可能に固定されている。型体27〜30を有する型体ユニットU1〜U4は、型枠25が型体支持部20に取り外し可能に取り付けられている。型体27〜30は型枠25に固定されたアクチュエータ21〜24のロッド21a〜24aに固定され、アクチュエータ21〜24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。
【解決手段】複数の型体27〜30から構成される成形型26を用いて繊維強化樹脂を製造する製造装置は、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体14と、型体27等を支持体14に固定する型体支持部20と、を備え、型体27等は型体支持部20よりも支持体14の回動中心側に位置するように支持体14に取り外し可能に固定されている。型体27〜30を有する型体ユニットU1〜U4は、型枠25が型体支持部20に取り外し可能に取り付けられている。型体27〜30は型枠25に固定されたアクチュエータ21〜24のロッド21a〜24aに固定され、アクチュエータ21〜24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法に係り、詳しくは長尺の繊維強化樹脂の製造に適した製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂(FRP)は軽量の構造材料として広く使用されている。繊維強化樹脂の製造方法として、雄型及び雌型からなる成形型を用いて行うプレス成形法がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のプレス成形法は、図13に示すような雄型81及び雌型82を備えたプレス成形機を用い、積層プリプレグ83を予備加熱された雄型81の上にセットする工程と、両型内を排気しながら型閉めする工程と、硬化温度まで昇温させて所定時間保持して硬化完了後、離型する工程からなる。
【0003】
また、繊維強化樹脂の製造方法としてプリプレグをプレス成形するのではなく、成形型のキャビティ内に所定形状の繊維強化材(プリフォーム)を配置した後に未硬化樹脂を注入して含浸後、加熱硬化させる製造方法(例えば、レジントランスファーモールディング(RTM)法)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−292054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いずれの製造方法であっても複数の成形型を必要とする。1台のプレス成型機あるいは1台のRTM成型装置で異なる形状の繊維強化樹脂を製造するには、成形型を対応する形状の成形型に交換する必要がある。ところが、製造される繊維強化樹脂が長尺品(例えば、長さが数m〜十数m)の場合は、成型型の交換作業に手間がかかる。例えば、成形型が上型と下型の2個の場合、特に上型の交換作業に手間がかかる。また、製造すべき長尺の繊維強化樹脂の断面形状によっては成型型として上下の成形型に加えて左右の成形型が必要な場合もあり、そのような場合は成形型の交換作業により手間がかかる。
【0006】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は成形型の取り付け及び取り外しの作業を容易に行うことができる繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の型体から構成される成形型を用いて繊維強化樹脂を製造する製造装置である。そして、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体と、前記型体を前記支持体に固定する型体支持部と、を備え、前記型体は前記型体支持部よりも前記支持体の回動中心側に位置するように前記支持体に取り外し可能に固定され、前記複数の型体のうち少なくとも1つの型体は、型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。ここで、「型体」とは、成形型により形成される繊維強化樹脂の形状を決定する部分を意味し、例えば、成形型がプレス成形型の場合は雄型及び雌型の部分を意味し、キャビティを構成する成形型の場合はキャビティの形状を決定する部分を意味する。
【0008】
複数の型体から構成される成形型を用いて繊維強化樹脂を製造する場合、形状の異なる繊維強化樹脂に対応した形状の成形型を備えた専用の製造装置を設けるのは製造コストが高くなるとともに、製造装置の設置スペースの確保も難しい。そこで成形型を構成する複数の型体を交換して異なる形状の繊維強化樹脂を製造することが考えられる。その際、型体が長尺の場合、特に上型の交換作業に手間がかかる。また、成形型が上型と下型だけでなく左右方向に移動する左型及び右型を備えた構成では、それらの型体の交換作業にも手間がかかる。しかし、この発明では、複数の型体を支持する型体支持部は、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体に一体回転可能に固定されており、順次重力方向上向き状態に配置可能となる。そのため、型体は型閉め位置における配置に関係なく、当該型体を支持する型体支持部が上向きの状態で型体支持部に対する取り付け及び取り外しを行うことができ、型体が長尺であっても簡単に交換作業を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記成形型は前記複数の型体によりキャビティが形成され、前記キャビティ内に樹脂液を注入可能に構成されている。この発明では、繊維強化樹脂はプレス成形ではなく、例えば射出成形やRTM法で製造される。したがって、プレス成形に比べて型体を成形位置に保持するのに必要な加圧力を小さくすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記支持体は、前記型体の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個設けられている。この発明では、製造される繊維強化樹脂が長尺製品(例えば、長さが数m〜十数m)であっても、型体に対応した長尺の1個の支持体を設けずに、型体を型体支持部を介して安定した状態で支持することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記型体側及び前記型体支持部の少なくとも一方に、前記型体をその長手方向に移動させる際に前記型体支持部又は前記型体側と接触して回動するローラが設けられている。ここで、「型体側」とは、型体が型体支持部に直接取り付けられる場合は型体を意味し、型体が型体支持部に型枠等の支持部材を介して支持される場合は型枠を意味する。この発明では、型体をその長手方向に型体支持部の上側において所定の取り付け位置まで移動させる際に、ローラの回転により型体を小さな力で簡単に移動させることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ローラは前記型体側に設けられている。ローラが型体支持部側に設けられた構成では、型体を型体支持部の所定位置まで移動させる際には型体を簡単に移動させることができる。しかし、型体を繊維強化樹脂の製造装置から取り外して、他の場所で型体を長手方向に移動させる際には寄与しない。しかし、この発明では、ローラが型体側に設けられているため、型体を繊維強化樹脂の製造装置から取り外して、他の場所で型体を長手方向に移動させる際にも型体を簡単に移動させることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂の製造装置を用いて繊維強化樹脂を製造する製造方法である。そして、前記複数の型体にそれぞれ強化繊維シートを賦形した状態にセットした後、各型体を前記型体支持部にそれぞれ取り付け、その後、各型体が成形型を構成する状態で成形型内に樹脂液を注入して強化繊維シートへの樹脂液の含浸・硬化を行った後、脱型する。ここで、「強化繊維シート」とは、強化繊維で形成された織物や繊維束が一定方向に配列されるとともに繊維束の配列方向と交差するように配列されたバインダ繊維を有するもので、シートとして取り扱い可能に一体化された織布を意味する。
【0014】
この発明では、繊維強化樹脂は成形型内にその断面形状に対応した形状に強化繊維シートが配置された状態で成形型内に樹脂液が注入されて、強化繊維シートへの樹脂液の含浸・硬化が行われる。そして、強化繊維シートを成形型内にその断面形状に対応した形状に配置する方法として、繊維強化樹脂の製造装置の外部で各型体にそれぞれ強化繊維シートを賦形した状態にセットした後、各型体を型体支持部にそれぞれ取り付ける。したがって、繊維強化樹脂が異形断面形状であっても、強化繊維シートを異形断面に対応してキャビティ内にしわが生じないように配置した状態で樹脂液の含浸・硬化を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形型の取り付け及び取り外しの作業を容易に行うことができる繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は第1の実施形態の製造装置の概略正面図、(b)は型体が型閉め位置に配置された状態の概略部分断面図。
【図2】(a)は製造装置の概略斜視図、(b)は中央付近の側面図。
【図3】(a)は図1(a)のA−A線断面図、(b)は型体支持部と型枠の関係を示す図1(a)の部分拡大図。
【図4】(a)は各型体の概略斜視図、(b)は補助部材と型体の関係を示す部分概略斜視図。
【図5】キャビティ内に配置される強化繊維シートの断面形状を示す模式図。
【図6】型体の搬入状態を示す概略側面図。
【図7】(a),(b),(c)は型体の取り付け手順を示す概略正面図。
【図8】(a)は型体の取り付けが完了した状態の概略正面図、(b)は各型体が型閉め位置に配置された状態の概略正面図、(c)は(b)の部分拡大図。
【図9】(a)は第2の実施形態の製造装置の概略正面図、(b)はプリプレグがプレス成形された状態の断面図。
【図10】(a)は第3の実施形態の型枠と型体支持部を示す部分正面図、(b)は型枠、支持プレート及び型体支持部の関係を示す模式側面図。
【図11】別の実施形態のガイド部を示す模式図。
【図12】(a),(b)は別の実施形態の型体と強化繊維シートのセット状態を示す模式断面図。
【図13】従来技術を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明をI形(I字状)の断面形状の繊維強化樹脂の製造装置に具体化した第1の実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、製造装置は、ベース11上に軸受支持部12が複数(この実施形態では3個)立設され、各軸受支持部12には軸受13を介して支持体14がそれぞれ回動可能に支持されている。支持体14は水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能に設けられている。各支持体14は、円環状に形成されるとともに外周部に歯部が形成されて被動ギア15を構成している。各支持体14は同軸上に配置され、各被動ギア15は共通の駆動軸16にそれぞれ一体回転可能に固定された駆動ギア17に噛合している。図2(a),(b)に示すように、駆動軸16は軸受支持部12を貫通する状態で設けられている。中央に配置された軸受支持部12に固定されたモータ18の出力軸にはギア19が固定され、ギア19は駆動ギア17の一つと噛合している。そして、各支持体14はモータ18により同時に回転される。
【0019】
各支持体14には4対の型体支持部20が支持体14の中心に対して互いに90度の角度を成す状態で一体回転可能に固定されている。即ち、各型体支持部20は順次重力方向上向き状態に配置可能となるように、回動可能な支持体14に一体回転可能に固定されている。各型体支持部20には上型用、下型用、左型用、右型用の4個の型体ユニットU1,U2,U3,U4がそれぞれ固定されている。図1(a)及び図4(a)等に示すように、型体ユニットU1,U2,U3,U4は、アクチュエータ21,22,23,24が固定された型枠25を有し、型枠25が型体支持部20に取り外し可能に取り付けられている。アクチュエータ21〜24には電動シリンダが使用され、そのロッド21a,22a,23a,24aが型閉め位置に向かって延びるように型枠25に固定されている。なお、図2においては型枠25を枠状ではなく板状に図示している。
【0020】
図3(a)に示すように、型体支持部20は側面L字状に形成されるとともに、型体ユニットU1〜U4の搬入、搬出時にアクチュエータ21〜24との干渉を避けるため、図1(a)、図3(a),(b)に示すように一対ずつ設けられている。
【0021】
各アクチュエータ21〜24のロッド21a〜24aの先端には成形型26を構成する上型、下型、左型、右型の4個の型体27,28,29,30がそれぞれ固定支持されている。型体27〜30は型体支持部20よりも支持体14の回動中心側に位置するように支持体14に取り外し可能に固定されている。型体27〜30は支持体14の回動軸方向に長い形状をしており、支持体14は、型体27〜30の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個(この実施形態では3個)設けられている。各アクチュエータ21〜24はそのロッド21a〜24aがそれぞれ各型体27〜30の中央寄りの位置に固定されるように、型枠25に固定されている。型枠25には各型体27〜30の移動を案内するガイドロッド31が複数本ずつ各ロッド21a〜24aと平行に、かつ各型体27〜30に形成されたガイド孔32を貫通するように突設されている。各型体27〜30は、それぞれアクチュエータ21〜24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に構成されている。モータ18及び各アクチュエータ21〜24は図示しない制御装置からの指令信号により制御されるようになっている。
【0022】
図1(b)に示すように、成形型26は各型体27〜30が型閉め位置に配置された状態で断面I形状のキャビティ33が形成され、完全に型締めした後にキャビティ33内に樹脂液を注入可能に構成されている。
【0023】
図4(a)に示すように、上型としての型体27及び下型としての型体28は同じ長さに形成され、左型としての型体29及び右型としての型体30は同じ長さに形成されている。また、型体27,28は型体29,30より長く形成されている。型体27及び型体28の対向する面にはそれぞれ環状のシール材34が取り付けられている。そして、型体28の上面の両端部にはそれぞれシール材34の端部を挟む状態で補助部材35が図示しないねじにより固定されている。図4(a)では補助部材35が取り付けられる前の状態で図示されているが、図4(b)に示すように、補助部材35は型体28に固定された状態に保持される。なお、図4(a)は各型体27〜30の形状の概略を示すものであるため、図示の都合上、長さ、幅、高さ等の比が図2やその他の図と対応していない。
【0024】
補助部材35は左型の型体29の基端側及び右型の型体30の基端側と同じ厚さに形成され、図4(b)に示すように、キャビティ33の長手方向の端面(片側のみ図示)を構成する。なお、図4(a)では型体27のシール材34は見えていないが、型体27が型閉め位置に配置された状態では、型体27に取り付けられているシール材34の両端部が補助部材35と当接する状態になる。そして、図1(b)に示すように、各型体27〜30が型閉め位置に配置された状態では、型体27に取り付けられているシール材34は、型体27の下面と型体29,30の上面との間に挟持される。また、型体28に取り付けられているシール材34は、型体28の上面と型体29,30の下面との間に挟持されてキャビティ33のシールを確保するようになっている。下型の型体28にはいずれも図示しないが、キャビティ33内に樹脂液を注入するための樹脂液注入用の経路と、樹脂液の注入に先立ってキャビティ33内を減圧にするための減圧用の経路とが設けられている。そして、樹脂液注入用の経路は樹脂注入装置に接続され、減圧用の経路は真空ポンプに接続される。また、各型体27〜30には温度調整用の流体の流路27a,28a(型体27,28の流路のみ図示)が設けられ、流路27a等に温度調整用の流体を供給・排出することでキャビティ33内の温度調整を行うようになっている。
【0025】
各型体支持部20には型枠25と対応する側にローラ37が設けられている。また、各型体支持部20にはガイド部として断面V字状のガイド溝38が形成されている。型枠25にはガイド溝38と対応する位置に被ガイド部として断面V字状の凸条39が形成され、型枠25はローラ37に当接した状態で凸条39がガイド溝38と係合することにより左右方向へのずれが生じないように取り付け位置まで搬入されるようになっている。
【0026】
繊維強化樹脂は長手方向と直交する断面形状がI字状で、かつ長手方向に沿って湾曲するように形成されている。湾曲の状態は使用目的によって異なり、長手方向に沿って一定の曲率で湾曲形成される場合と曲率が変化するように湾曲形成される場合とがある。型体27〜30は繊維強化樹脂の湾曲形状に対応した湾曲形状に形成されている。なお、図示の都合上、図4(a)以外では各型体27〜30が湾曲状ではなく直線状として図示している。
【0027】
次に前記のように構成された製造装置を用いた繊維強化樹脂の製造方法について説明する。繊維強化樹脂はRTM法で製造される。
断面形状がI字状の繊維強化樹脂を製造するには、繊維強化樹脂を構成する強化繊維シートをキャビティ33内に断面形状がI字状に配置する必要がある。この実施形態では、図5に示すような形状となるように強化繊維シート41を各型体27〜30にセットする。即ち、型体27,28に対しては平板状にセットし、型体29,30に対しては型体29,30の先端で折り返す形状にセットする。その後、各型体27〜30を型閉め位置に移動させることにより、強化繊維シート41をキャビティ33内に断面形状がI字状に配置する。強化繊維シート41を各型体27〜30にセットする場合、型開き位置に配置された各型体27〜30に対して強化繊維シート41を賦形しながら直接セットする方法も考えられるが、作業がし難く、強化繊維シート41に皺が発生した状態でセットされ易い。
【0028】
強化繊維シート41としては、例えば、炭素繊維束からなる織物が使用される。炭素繊維束は細い繊維が数百〜数万本束ねられて1本の繊維束が構成されており、要求性能に適した繊維の本数の繊維束が選択される。
【0029】
この実施形態では、各型体ユニットU1〜U4を型体支持部20から取り外して、繊維強化樹脂の製造装置の外部で各型体27〜30に強化繊維シート41をそれぞれ所定の形状にセットする。各型体27〜30に対する強化繊維シート41のセットは、複数枚の強化繊維シート41を積層するとともに、適宜接着剤あるいは樹脂液を用いて目的の形状にセットする。型体27〜30に強化繊維シート41がセットされた型体ユニットU1〜U4は、順次型体支持部20に取り付けられる。接着剤を用いる場合、接着箇所が繊維強化樹脂の製品となる部分以外であれば接着剤の種類は自由であるが、接着箇所が繊維強化樹脂の製品となる部分の場合は製品に支障を来さない接着剤を用いる。
【0030】
型体ユニットU1〜U4の型体支持部20への取り付けは、取り付けるべき型体支持部20が下側に配置された状態で行う。型体ユニットU1〜U4の取り付け順序は特に限定されないが、下型の型体ユニットU2が最後になるように組み付けるのが好ましい。この実施形態では、上型の型体ユニットU1、右型の型体ユニットU4、左型の型体ユニットU3、下型のU4の順で型体支持部20へ取り付ける。
【0031】
図6に示すように、製造装置の型体搬入側に移動式のコンベア42を配置し、そのコンベア42上に型体ユニットU1〜U4(型体ユニットU1を図示)の型枠25を載置する。コンベア42はアクチュエータ21等と干渉しないようにローラ43が2列に配列された構成で、一部のローラ43が図示しない駆動モータによって駆動されるようになっている。型体ユニットU1は、例えば、フォークリフト(図示せず)を用いてコンベア42上に載置される。コンベア42上に載置された型枠25は、ローラ43の駆動によりコンベア42上から型体支持部20上に搬入される。なお、コンベア42は、ローラ43及びその支持部がフォークリフトと干渉しないように構成されている。
【0032】
型体支持部20上の所定位置に搬入された型体ユニットU1は、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図7(a)に示す状態になる。次にモータ18が駆動されて支持体14が図7(a)に示す状態から反時計方向に90度回動されて、右型用の型体支持部20が下側位置に配置された状態になる。その状態で前記と同様にして右型用の型体ユニットU4が型体支持部20上の所定位置に搬入され、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図7(b)に示す状態になる。次にモータ18が駆動されて支持体14が図7(b)に示す状態から反時計方向に180度回動されて、左型用の型体支持部20が下側位置に配置された状態になる。その状態で前記と同様にして左型用の型体ユニットU3が型体支持部20上の所定位置に搬入され、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図7(c)に示す状態になる。次にモータ18が駆動されて支持体14が図7(c)に示す状態から時計方向に90度回動されて、下型用の型体支持部20が下側位置に配置された状態になる。その状態で前記と同様にして下型用の型体ユニットU2が型体支持部20上の所定位置に搬入され、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図8(a)に示す状態になり、型体ユニットU1〜U4の型体支持部20ヘの取り付け作業が完了する。なお、図7及び図8では、型体28を構成する補助部材35の図示を省略している。
【0033】
次に左型用及び右型用の型体ユニットU3,U4のアクチュエータ23,24が駆動され、図8(b)に示す型閉め位置まで左型用及び右型用の型体29,30が移動される。次に上型用及び下型用の型体ユニットU1,U2のアクチュエータ21,22が駆動され、上型用及び下型用の型体27,28が図8(b)に示す状態になる。図8(b)に示す状態で、先ず図示しない真空ポンプによりキャビティ33内の脱気が行われる。脱気完了後、図示しない樹脂注入装置からキャビティ33内に樹脂液の注入が行われる。
【0034】
次に型体27〜30の流路27a,28a等に加熱流体を供給して型体27〜30の温度を樹脂液の硬化温度に調整する。樹脂硬化に必要な所定時間経過後、流路27a,28a等への加熱流体の供給が停止され、アクチュエータ21〜24が駆動されて型体27〜30が型開き位置に移動されて繊維強化樹脂が脱型される。樹脂液としては熱硬化性樹脂の未硬化溶液が使用され、この実施形態ではエポキシ樹脂が使用される。
【0035】
型体27〜30の温度が搬出作業に支障とならない温度まで低下した後、先ず型体28の型枠25のボルト25aによる型体支持部20に対する固定状態を解除した後、繊維強化樹脂と共に搬出する。次にモータ18を駆動して支持体14を90度ずつ時計方向に回動させて、搬出すべき型体30,27,29を順次下側位置に配置して、型枠25のボルト25aによる型体支持部20に対する固定状態の解除作業及び搬出作業を行う。全ての型体27〜30の搬出の完了により1回の繊維強化樹脂の製造作業が完了する。
【0036】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)繊維強化樹脂の製造装置は、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体14と、型体27〜30を支持体14に固定する型体支持部20と、を備え、型体27〜30は型体支持部20よりも支持体14の回動中心側に位置するように支持体14に取り外し可能に固定されている。複数の型体27〜30は、アクチュエータ21〜24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。したがって、型体27〜30は型閉め位置における配置に関係なく、型体27〜30を支持する型体支持部20が上向きの状態で型体支持部20に対する取り付け及び取り外しを行うことができ、型体27〜30が長尺であっても簡単に交換作業を行うことができる。また、形状の異なる繊維強化樹脂に対応した形状の成形型を備えた専用の製造装置を設けずに、成形型26を構成する複数の型体27〜30を交換することにより異なる形状の繊維強化樹脂を製造することができる。
【0037】
(2)成形型26は複数の型体27〜30によりキャビティ33が形成され、キャビティ33内に樹脂液を注入可能に構成されている。そして、繊維強化樹脂はプレス成形ではなく、RTM法で製造される。したがって、プレス成形に比べて型体27〜30を成形位置に保持するのに必要な加圧力を小さくすることができる。
【0038】
(3)型体27〜30は支持体14の回動軸方向に長い形状をしており、支持体14は、型体27〜30の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個(この実施形態では3個)設けられている。したがって、製造される繊維強化樹脂が長尺製品(例えば、長さが数m〜十数m)であっても、型体27〜30に対応した長尺の1個の支持体を設けずに型体27〜30を型体支持部20を介して安定した状態で支持することができる。
【0039】
(4)型体27〜30は支持体14の回動軸方向に長い形状をしており、型体支持部20に、型体27〜30を型枠25と共にその長手方向に移動させる際に、型枠25と接触して回動するローラ37が設けられている。したがって、型体27〜30をその長手方向に型体支持部20の上側において所定の取り付け位置まで移動させる際に、ローラ37の回転により型体27〜30を小さな力で簡単に移動させることができる。
【0040】
(5)成形型26は上下方向への移動により型開き位置と型閉め位置とに移動される型体27,28と、左右方向への移動により型開き位置と型閉め位置とに移動される型体29,30とからキャビティ33を形成するように構成されている。したがって、断面形状としてI形状のように一つの平面に他の平面が端部において接続する形状の繊維強化樹脂を容易に製造することができる。
【0041】
(6)各支持体14の被動ギア15と噛合する各駆動ギア17は、1本の駆動軸16にそれぞれ固定され、1個のモータ18により駆動される。したがって、複数の支持体14を1個のモータ18で駆動することができ、製造コストを低くすることができる。
【0042】
(7)駆動軸16はほぼ中央から駆動されるため、駆動軸16の一端側から駆動する構成と異なり、駆動軸16が長尺であっても駆動軸16の端部におけるねじれが抑制される。
【0043】
(8)各型体支持部20にはガイド部として断面V字状のガイド溝38が形成されている。型枠25にはガイド溝38と対応する位置に被ガイド部として断面V字状の凸条39が形成され、型枠25はローラ37に当接した状態で凸条39がガイド溝38と係合することにより左右方向へのずれが生じないように取り付け位置まで搬入されるようになっている。したがって、各型体27〜30の型枠25を各型体支持部20に取り付ける際の位置決めが簡単になる。
【0044】
(9)繊維強化樹脂を製造する製造方法は、複数の型体27〜30にそれぞれ強化繊維シート41を賦形した状態にセットした後、各型体27〜30を型体支持部20にそれぞれ取り付け、その後、各型体27〜30が成形型26を構成する状態で成形型26内に樹脂液を注入して強化繊維シート41への樹脂液の含浸・硬化を行った後、脱型する。したがって、繊維強化樹脂が異形断面形状であっても、強化繊維シート41を異形断面に対応してキャビティ33内にしわが生じないように配置した状態で樹脂液の含浸・硬化を行うことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図9にしたがって説明する。この実施形態では、繊維強化樹脂をプレス成形で製造する点が第1の実施形態と大きく異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0046】
図9(a)に示すように、成形型26は上型及び下型の2個の型体27,28で構成されている。上型の型体27は断面形状が略U字状に対応する雌型に形成され、下型の型体28は断面形状が略U字状に対応する雄型に形成されている。上型の型体27はアクチュエータ21により型開き位置と型閉め位置(プレス成形位置)とに移動される。アクチュエータ21として油圧シリンダが使用されている。下型の型体28は型体支持部20に対して移動不能に構成されており、型枠25に型体28が直接固定されている。
【0047】
この実施形態では両型体27,28を予備加熱した状態で、図9(a)に2点鎖線で示すように、積層プリプレグ44が型体28上にセットされる。次にアクチュエータ21が駆動されて型体27が型閉め位置(プレス位置)まで下降移動されて、図9(b)に示すように積層プリプレグ44が所定の形状にプレスされたた後、型体27,28が硬化温度まで昇温されるとともに所定時間硬化温度に保持されて樹脂の硬化が行われる。硬化完了後、型体27が型開き位置へ上昇移動され、繊維強化樹脂が脱型される。この実施形態では第1の実施形態と異なり、繊維強化樹脂が製造される毎に型体27等に強化繊維シート41をセットする必要がなく、繊維強化樹脂の脱型後に支持体14を回動する必要もない。
【0048】
したがって、この第2の実施形態によれば、型体及び型体支持部20の数が異なる点を除いて第1の実施形態の(1),(3),(4),(6)〜(8)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0049】
(10)プレス成形により繊維強化樹脂が形成されるため、断面形状が異なる繊維強化樹脂を製造する場合やメンテナンスを除いて、繊維強化樹脂を製造する毎に型体27,28を型枠25と共に型体支持部20から取り外す作業やその作業に必要な支持体14の回動を行う必要がない。
【0050】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図10にしたがって説明する。この実施形態では、型体支持部20及び型枠25の構成が第1の実施形態と異なり、その他は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0051】
図10(a)に示すように、型体27〜30(型体27についてのみ図示)の型枠25には複数のローラ45が設けられている。ローラ45は、型体27〜30を型枠25と共にその長手方向に移動させる際に型体支持部20と接触して回動可能に構成されている。ローラ45は両凸条39の内側位置に凸条39に沿ってそれぞれ1列に設けられるとともに、各ローラ45は図示しないシリンダにより上昇位置と下降位置とに移動可能に設けられている。各ローラ45が下降位置に配置された状態では型枠25の下面が型体支持部20の上面と接触しない状態に保持され、各ローラ45が上昇位置に配置された状態では型枠25の下面が型体支持部20の上面と接触可能な状態になる。
【0052】
型体支持部20は支持体14に固定された側面L字状の支持体固定部20aと、各支持体固定部20aに跨って製造装置の長手方向に沿って延びるように固定されたレール部20bとで構成されている。図10(a)に示すように、レール部20bは軸受支持部12及び軸受13との干渉を避けるため、断面略クランク状に形成されている。また、ガイド溝38は、レール部20bの型枠25に対する近接面に形成されており、ローラ45が転動する面は型枠25との距離が近接面より大きく設定されている。
【0053】
支持体固定部20aには型枠25を型体支持部20に固定する固定手段として、型枠25の上面と係合して型枠25を型体支持部20に押圧するクランパー47が設けられている。クランパー47は油圧シリンダ48により駆動される。
【0054】
この実施形態の繊維強化樹脂の製造装置への型体ユニットU1〜U4の搬入、搬出時、即ち型体27〜30の搬入、搬出時には、図10(b)に示すように、繊維強化樹脂の製造装置の型体搬入側にはローラ43を備えたコンベア42に代えて、例えば、支持プレート46を備えたコンベア42が配置される。そして、型体27〜30の交換作業時に、型体27〜30の型枠25は支持プレート46及びレール部20b上をローラ45に支持された状態で移動する。
【0055】
したがって、この第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3),(5)〜(9)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(11)ローラ45が型枠25即ち型体側に設けられているため、型体ユニットU1〜U4を繊維強化樹脂の製造装置から取り外して、他の場所で移動させる際にもローラ45により型体ユニットU1〜U4を長手方向に小さな力で簡単に移動させることができる。
【0056】
(12)型枠25を型体支持部20に対して固定するクランパー47が設けられている。したがって、型体27等の交換作業時に作業者が型枠25と型体支持部20とを締結するボルト25aの締め付け作業や弛め作業を行う手間がなくなるとともにボルト25aを紛失する虞もない。
【0057】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 各型体27〜30のうち1個(例えば、下型の型体28)を型体支持部20に対して位置不動に支持し、残りの3個の型体27,29,30をアクチュエータ21,23,24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に構成する。そして、位置不動の型体28を基準に他の型体27,29,30を所定位置に移動させるようにアクチュエータ21,23,24を制御してもよい。この場合、各型体27〜30をアクチュエータ21〜24でそれぞれ駆動する構成に比べて、各型体27〜30を正確に型閉め位置に移動させる制御が簡単になる。
【0058】
○ 型体27〜30の搬入、搬出時に型枠25の左右方向へのずれを抑制(規制)するガイド部を型枠25側に設け、被ガイド部を各型体支持部20に設けてもよい。
○ ガイド部及び被ガイド部は断面V字状のガイド溝38と断面V字状の凸条39の組み合わせに限らない。例えば、図11に示すように、型体支持部20側にガイド部として凸条49を一対設け、その凸条49と係合するガイドローラ50を型枠25側に設けてもよい。また、凸条49を型枠25側に設け、ガイドローラ50を型体支持部20側に設けてもよい。
【0059】
○ 型体27〜30をその長手方向に移動させる際に型体支持部20又は型体側と接触して回動するローラは、型体側及び型体支持部の少なくとも一方に設けられていればよく、型体側及び型体支持部20の両方に設けられていてもよい。
【0060】
○ 第3の実施形態においてレール部20bは必ずしも製造装置の全長に亘って延びる長さが必須ではなく、ローラ45の配置間隔との関係で、型枠25がレール部20b上を移動する際に、型枠25がローラ45に支持された状態でレール部20b上を水平な状態で移動できれば、複数のレール部20bが間隔をおいて配置された構成でもよい。
【0061】
○ 型体の数は4個や2個に限らず、製造すべき繊維強化樹脂の断面形状に対応して3個にしたり、5個以上としたりしてもよい。例えば、断面形状がT字状の繊維強化樹脂の場合は、図12(a)に示すように、3個の型体27,29,30として各型体27,29,30に強化繊維シート41をセットしてもよい。
【0062】
○ 異形断面の繊維強化樹脂を上型用及び下型用の2個の型体27,28で製造する場合、プレス成形に代えてキャビティ33内に強化繊維シート41をセットして製造してもよい。その場合、型体27,28のいずれか一方にのみ強化繊維シート41をセットしても、図12(b)に示すように、両方の型体27,28に強化繊維シート41をセットしてもよい。
【0063】
○ 支持体14の数は3個に限らず、4個以上あるいは2個以下であってもよい。しかし、1個の場合は同じ長さの型体の支持を2個以上の支持体で支持する場合と比べて支持体14が長大となり支持体を製造するための製造コストが高くなる。
【0064】
○ 複数の支持体14を1本の駆動軸16を用いて駆動する場合、駆動軸16が長くなり、その長手方向中央に固定された駆動ギア17で駆動しても両端側に固定された駆動ギア17の位置におけるねじれが大きくなる場合は、モータ18を2個設けて両端側の駆動ギア17を駆動するようにしてもよい。
【0065】
○ 複数の支持体14を駆動する場合、支持体14ごとにモータ18を設けて駆動する構成にしてもよい。
○ 型体支持部20に型枠25と接触して型枠25の移動を補助するローラ37が設けられた構成において、型枠25を型体支持部20に固定するクランパー47を設けてもよい。
【0066】
○ アクチュエータ21〜24の数は1個に限らず、製造する繊維強化樹脂の長さによっては複数設けてもよい。
○ アクチュエータ21〜24として油圧シリンダを使用してもよい。
【0067】
○ 型体27〜30はアクチュエータ21〜24で型開き位置と型閉め位置とに移動される構成に限らず、手動で移動される構成としてもよい。
○ クランパー47を電動シリンダで駆動する構成としてもよい。
【0068】
○ 長尺の繊維強化樹脂は、幅や高さあるいは厚さが長手方向に一定ではなく、テーパ状に変化する形状であってもよい。
○ 繊維強化樹脂の製造装置は長尺の繊維強化樹脂を製造する装置に限らず、短い強化繊維樹脂を製造する場合に用いても良い。
【0069】
○ 強化繊維シート41を構成する連続繊維は炭素繊維に限らず、繊維強化樹脂に要求される物性に対応して、アラミド繊維、ガラス繊維等を使用してもよい。
○ 繊維強化樹脂に使用される熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂に限らず、繊維強化樹脂に要求される物性に対応して、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等を使用してもよい。
【0070】
○ キャビティ33内に樹脂液(未硬化樹脂)を注入して、加熱硬化させる繊維強化樹脂の製造方法において、繊維強化樹脂の製造装置の外部で型体27等に強化繊維シート41をセットせずに、従来技術のように、型体が型開き位置に配置された状態において繊維強化材(プリフォーム)をセットするようにしてもよい。
【0071】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記成形型は上型、下型、左型、右型の4個の型体から構成され、各型体は前記型体支持部に取り外し可能に取り付けられる型枠に固定されたアクチュエータにより型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。
【0072】
(2)請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記成形型は上型、下型、左型、右型の4個の型体から構成され、3個の型体は前記型体支持部に取り外し可能に取り付けられる型枠に固定されたアクチュエータにより型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられ、1個の型体は前記型体支持部に対して位置不動に支持され、前記位置不動の型体を基準にして残りの3個の型体が型閉め位置に移動される。
【0073】
(3)請求項3に記載の発明において、前記支持体は、円環状に形成されるとともに外周部に歯部が形成されて被動ギアを構成しており、各被動ギアは共通の駆動軸にそれぞれ固定された駆動ギアに噛合している。
【符号の説明】
【0074】
14…支持体、20…型体支持部、21,22,23,24…アクチュエータ、26…成形型、27,28,29,30…型体、33…キャビティ、37,43,45…ローラ、41…強化繊維シート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法に係り、詳しくは長尺の繊維強化樹脂の製造に適した製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂(FRP)は軽量の構造材料として広く使用されている。繊維強化樹脂の製造方法として、雄型及び雌型からなる成形型を用いて行うプレス成形法がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のプレス成形法は、図13に示すような雄型81及び雌型82を備えたプレス成形機を用い、積層プリプレグ83を予備加熱された雄型81の上にセットする工程と、両型内を排気しながら型閉めする工程と、硬化温度まで昇温させて所定時間保持して硬化完了後、離型する工程からなる。
【0003】
また、繊維強化樹脂の製造方法としてプリプレグをプレス成形するのではなく、成形型のキャビティ内に所定形状の繊維強化材(プリフォーム)を配置した後に未硬化樹脂を注入して含浸後、加熱硬化させる製造方法(例えば、レジントランスファーモールディング(RTM)法)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−292054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いずれの製造方法であっても複数の成形型を必要とする。1台のプレス成型機あるいは1台のRTM成型装置で異なる形状の繊維強化樹脂を製造するには、成形型を対応する形状の成形型に交換する必要がある。ところが、製造される繊維強化樹脂が長尺品(例えば、長さが数m〜十数m)の場合は、成型型の交換作業に手間がかかる。例えば、成形型が上型と下型の2個の場合、特に上型の交換作業に手間がかかる。また、製造すべき長尺の繊維強化樹脂の断面形状によっては成型型として上下の成形型に加えて左右の成形型が必要な場合もあり、そのような場合は成形型の交換作業により手間がかかる。
【0006】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は成形型の取り付け及び取り外しの作業を容易に行うことができる繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の型体から構成される成形型を用いて繊維強化樹脂を製造する製造装置である。そして、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体と、前記型体を前記支持体に固定する型体支持部と、を備え、前記型体は前記型体支持部よりも前記支持体の回動中心側に位置するように前記支持体に取り外し可能に固定され、前記複数の型体のうち少なくとも1つの型体は、型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。ここで、「型体」とは、成形型により形成される繊維強化樹脂の形状を決定する部分を意味し、例えば、成形型がプレス成形型の場合は雄型及び雌型の部分を意味し、キャビティを構成する成形型の場合はキャビティの形状を決定する部分を意味する。
【0008】
複数の型体から構成される成形型を用いて繊維強化樹脂を製造する場合、形状の異なる繊維強化樹脂に対応した形状の成形型を備えた専用の製造装置を設けるのは製造コストが高くなるとともに、製造装置の設置スペースの確保も難しい。そこで成形型を構成する複数の型体を交換して異なる形状の繊維強化樹脂を製造することが考えられる。その際、型体が長尺の場合、特に上型の交換作業に手間がかかる。また、成形型が上型と下型だけでなく左右方向に移動する左型及び右型を備えた構成では、それらの型体の交換作業にも手間がかかる。しかし、この発明では、複数の型体を支持する型体支持部は、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体に一体回転可能に固定されており、順次重力方向上向き状態に配置可能となる。そのため、型体は型閉め位置における配置に関係なく、当該型体を支持する型体支持部が上向きの状態で型体支持部に対する取り付け及び取り外しを行うことができ、型体が長尺であっても簡単に交換作業を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記成形型は前記複数の型体によりキャビティが形成され、前記キャビティ内に樹脂液を注入可能に構成されている。この発明では、繊維強化樹脂はプレス成形ではなく、例えば射出成形やRTM法で製造される。したがって、プレス成形に比べて型体を成形位置に保持するのに必要な加圧力を小さくすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記支持体は、前記型体の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個設けられている。この発明では、製造される繊維強化樹脂が長尺製品(例えば、長さが数m〜十数m)であっても、型体に対応した長尺の1個の支持体を設けずに、型体を型体支持部を介して安定した状態で支持することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記型体側及び前記型体支持部の少なくとも一方に、前記型体をその長手方向に移動させる際に前記型体支持部又は前記型体側と接触して回動するローラが設けられている。ここで、「型体側」とは、型体が型体支持部に直接取り付けられる場合は型体を意味し、型体が型体支持部に型枠等の支持部材を介して支持される場合は型枠を意味する。この発明では、型体をその長手方向に型体支持部の上側において所定の取り付け位置まで移動させる際に、ローラの回転により型体を小さな力で簡単に移動させることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ローラは前記型体側に設けられている。ローラが型体支持部側に設けられた構成では、型体を型体支持部の所定位置まで移動させる際には型体を簡単に移動させることができる。しかし、型体を繊維強化樹脂の製造装置から取り外して、他の場所で型体を長手方向に移動させる際には寄与しない。しかし、この発明では、ローラが型体側に設けられているため、型体を繊維強化樹脂の製造装置から取り外して、他の場所で型体を長手方向に移動させる際にも型体を簡単に移動させることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂の製造装置を用いて繊維強化樹脂を製造する製造方法である。そして、前記複数の型体にそれぞれ強化繊維シートを賦形した状態にセットした後、各型体を前記型体支持部にそれぞれ取り付け、その後、各型体が成形型を構成する状態で成形型内に樹脂液を注入して強化繊維シートへの樹脂液の含浸・硬化を行った後、脱型する。ここで、「強化繊維シート」とは、強化繊維で形成された織物や繊維束が一定方向に配列されるとともに繊維束の配列方向と交差するように配列されたバインダ繊維を有するもので、シートとして取り扱い可能に一体化された織布を意味する。
【0014】
この発明では、繊維強化樹脂は成形型内にその断面形状に対応した形状に強化繊維シートが配置された状態で成形型内に樹脂液が注入されて、強化繊維シートへの樹脂液の含浸・硬化が行われる。そして、強化繊維シートを成形型内にその断面形状に対応した形状に配置する方法として、繊維強化樹脂の製造装置の外部で各型体にそれぞれ強化繊維シートを賦形した状態にセットした後、各型体を型体支持部にそれぞれ取り付ける。したがって、繊維強化樹脂が異形断面形状であっても、強化繊維シートを異形断面に対応してキャビティ内にしわが生じないように配置した状態で樹脂液の含浸・硬化を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形型の取り付け及び取り外しの作業を容易に行うことができる繊維強化樹脂の製造装置及び繊維強化樹脂の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は第1の実施形態の製造装置の概略正面図、(b)は型体が型閉め位置に配置された状態の概略部分断面図。
【図2】(a)は製造装置の概略斜視図、(b)は中央付近の側面図。
【図3】(a)は図1(a)のA−A線断面図、(b)は型体支持部と型枠の関係を示す図1(a)の部分拡大図。
【図4】(a)は各型体の概略斜視図、(b)は補助部材と型体の関係を示す部分概略斜視図。
【図5】キャビティ内に配置される強化繊維シートの断面形状を示す模式図。
【図6】型体の搬入状態を示す概略側面図。
【図7】(a),(b),(c)は型体の取り付け手順を示す概略正面図。
【図8】(a)は型体の取り付けが完了した状態の概略正面図、(b)は各型体が型閉め位置に配置された状態の概略正面図、(c)は(b)の部分拡大図。
【図9】(a)は第2の実施形態の製造装置の概略正面図、(b)はプリプレグがプレス成形された状態の断面図。
【図10】(a)は第3の実施形態の型枠と型体支持部を示す部分正面図、(b)は型枠、支持プレート及び型体支持部の関係を示す模式側面図。
【図11】別の実施形態のガイド部を示す模式図。
【図12】(a),(b)は別の実施形態の型体と強化繊維シートのセット状態を示す模式断面図。
【図13】従来技術を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明をI形(I字状)の断面形状の繊維強化樹脂の製造装置に具体化した第1の実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、製造装置は、ベース11上に軸受支持部12が複数(この実施形態では3個)立設され、各軸受支持部12には軸受13を介して支持体14がそれぞれ回動可能に支持されている。支持体14は水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能に設けられている。各支持体14は、円環状に形成されるとともに外周部に歯部が形成されて被動ギア15を構成している。各支持体14は同軸上に配置され、各被動ギア15は共通の駆動軸16にそれぞれ一体回転可能に固定された駆動ギア17に噛合している。図2(a),(b)に示すように、駆動軸16は軸受支持部12を貫通する状態で設けられている。中央に配置された軸受支持部12に固定されたモータ18の出力軸にはギア19が固定され、ギア19は駆動ギア17の一つと噛合している。そして、各支持体14はモータ18により同時に回転される。
【0019】
各支持体14には4対の型体支持部20が支持体14の中心に対して互いに90度の角度を成す状態で一体回転可能に固定されている。即ち、各型体支持部20は順次重力方向上向き状態に配置可能となるように、回動可能な支持体14に一体回転可能に固定されている。各型体支持部20には上型用、下型用、左型用、右型用の4個の型体ユニットU1,U2,U3,U4がそれぞれ固定されている。図1(a)及び図4(a)等に示すように、型体ユニットU1,U2,U3,U4は、アクチュエータ21,22,23,24が固定された型枠25を有し、型枠25が型体支持部20に取り外し可能に取り付けられている。アクチュエータ21〜24には電動シリンダが使用され、そのロッド21a,22a,23a,24aが型閉め位置に向かって延びるように型枠25に固定されている。なお、図2においては型枠25を枠状ではなく板状に図示している。
【0020】
図3(a)に示すように、型体支持部20は側面L字状に形成されるとともに、型体ユニットU1〜U4の搬入、搬出時にアクチュエータ21〜24との干渉を避けるため、図1(a)、図3(a),(b)に示すように一対ずつ設けられている。
【0021】
各アクチュエータ21〜24のロッド21a〜24aの先端には成形型26を構成する上型、下型、左型、右型の4個の型体27,28,29,30がそれぞれ固定支持されている。型体27〜30は型体支持部20よりも支持体14の回動中心側に位置するように支持体14に取り外し可能に固定されている。型体27〜30は支持体14の回動軸方向に長い形状をしており、支持体14は、型体27〜30の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個(この実施形態では3個)設けられている。各アクチュエータ21〜24はそのロッド21a〜24aがそれぞれ各型体27〜30の中央寄りの位置に固定されるように、型枠25に固定されている。型枠25には各型体27〜30の移動を案内するガイドロッド31が複数本ずつ各ロッド21a〜24aと平行に、かつ各型体27〜30に形成されたガイド孔32を貫通するように突設されている。各型体27〜30は、それぞれアクチュエータ21〜24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に構成されている。モータ18及び各アクチュエータ21〜24は図示しない制御装置からの指令信号により制御されるようになっている。
【0022】
図1(b)に示すように、成形型26は各型体27〜30が型閉め位置に配置された状態で断面I形状のキャビティ33が形成され、完全に型締めした後にキャビティ33内に樹脂液を注入可能に構成されている。
【0023】
図4(a)に示すように、上型としての型体27及び下型としての型体28は同じ長さに形成され、左型としての型体29及び右型としての型体30は同じ長さに形成されている。また、型体27,28は型体29,30より長く形成されている。型体27及び型体28の対向する面にはそれぞれ環状のシール材34が取り付けられている。そして、型体28の上面の両端部にはそれぞれシール材34の端部を挟む状態で補助部材35が図示しないねじにより固定されている。図4(a)では補助部材35が取り付けられる前の状態で図示されているが、図4(b)に示すように、補助部材35は型体28に固定された状態に保持される。なお、図4(a)は各型体27〜30の形状の概略を示すものであるため、図示の都合上、長さ、幅、高さ等の比が図2やその他の図と対応していない。
【0024】
補助部材35は左型の型体29の基端側及び右型の型体30の基端側と同じ厚さに形成され、図4(b)に示すように、キャビティ33の長手方向の端面(片側のみ図示)を構成する。なお、図4(a)では型体27のシール材34は見えていないが、型体27が型閉め位置に配置された状態では、型体27に取り付けられているシール材34の両端部が補助部材35と当接する状態になる。そして、図1(b)に示すように、各型体27〜30が型閉め位置に配置された状態では、型体27に取り付けられているシール材34は、型体27の下面と型体29,30の上面との間に挟持される。また、型体28に取り付けられているシール材34は、型体28の上面と型体29,30の下面との間に挟持されてキャビティ33のシールを確保するようになっている。下型の型体28にはいずれも図示しないが、キャビティ33内に樹脂液を注入するための樹脂液注入用の経路と、樹脂液の注入に先立ってキャビティ33内を減圧にするための減圧用の経路とが設けられている。そして、樹脂液注入用の経路は樹脂注入装置に接続され、減圧用の経路は真空ポンプに接続される。また、各型体27〜30には温度調整用の流体の流路27a,28a(型体27,28の流路のみ図示)が設けられ、流路27a等に温度調整用の流体を供給・排出することでキャビティ33内の温度調整を行うようになっている。
【0025】
各型体支持部20には型枠25と対応する側にローラ37が設けられている。また、各型体支持部20にはガイド部として断面V字状のガイド溝38が形成されている。型枠25にはガイド溝38と対応する位置に被ガイド部として断面V字状の凸条39が形成され、型枠25はローラ37に当接した状態で凸条39がガイド溝38と係合することにより左右方向へのずれが生じないように取り付け位置まで搬入されるようになっている。
【0026】
繊維強化樹脂は長手方向と直交する断面形状がI字状で、かつ長手方向に沿って湾曲するように形成されている。湾曲の状態は使用目的によって異なり、長手方向に沿って一定の曲率で湾曲形成される場合と曲率が変化するように湾曲形成される場合とがある。型体27〜30は繊維強化樹脂の湾曲形状に対応した湾曲形状に形成されている。なお、図示の都合上、図4(a)以外では各型体27〜30が湾曲状ではなく直線状として図示している。
【0027】
次に前記のように構成された製造装置を用いた繊維強化樹脂の製造方法について説明する。繊維強化樹脂はRTM法で製造される。
断面形状がI字状の繊維強化樹脂を製造するには、繊維強化樹脂を構成する強化繊維シートをキャビティ33内に断面形状がI字状に配置する必要がある。この実施形態では、図5に示すような形状となるように強化繊維シート41を各型体27〜30にセットする。即ち、型体27,28に対しては平板状にセットし、型体29,30に対しては型体29,30の先端で折り返す形状にセットする。その後、各型体27〜30を型閉め位置に移動させることにより、強化繊維シート41をキャビティ33内に断面形状がI字状に配置する。強化繊維シート41を各型体27〜30にセットする場合、型開き位置に配置された各型体27〜30に対して強化繊維シート41を賦形しながら直接セットする方法も考えられるが、作業がし難く、強化繊維シート41に皺が発生した状態でセットされ易い。
【0028】
強化繊維シート41としては、例えば、炭素繊維束からなる織物が使用される。炭素繊維束は細い繊維が数百〜数万本束ねられて1本の繊維束が構成されており、要求性能に適した繊維の本数の繊維束が選択される。
【0029】
この実施形態では、各型体ユニットU1〜U4を型体支持部20から取り外して、繊維強化樹脂の製造装置の外部で各型体27〜30に強化繊維シート41をそれぞれ所定の形状にセットする。各型体27〜30に対する強化繊維シート41のセットは、複数枚の強化繊維シート41を積層するとともに、適宜接着剤あるいは樹脂液を用いて目的の形状にセットする。型体27〜30に強化繊維シート41がセットされた型体ユニットU1〜U4は、順次型体支持部20に取り付けられる。接着剤を用いる場合、接着箇所が繊維強化樹脂の製品となる部分以外であれば接着剤の種類は自由であるが、接着箇所が繊維強化樹脂の製品となる部分の場合は製品に支障を来さない接着剤を用いる。
【0030】
型体ユニットU1〜U4の型体支持部20への取り付けは、取り付けるべき型体支持部20が下側に配置された状態で行う。型体ユニットU1〜U4の取り付け順序は特に限定されないが、下型の型体ユニットU2が最後になるように組み付けるのが好ましい。この実施形態では、上型の型体ユニットU1、右型の型体ユニットU4、左型の型体ユニットU3、下型のU4の順で型体支持部20へ取り付ける。
【0031】
図6に示すように、製造装置の型体搬入側に移動式のコンベア42を配置し、そのコンベア42上に型体ユニットU1〜U4(型体ユニットU1を図示)の型枠25を載置する。コンベア42はアクチュエータ21等と干渉しないようにローラ43が2列に配列された構成で、一部のローラ43が図示しない駆動モータによって駆動されるようになっている。型体ユニットU1は、例えば、フォークリフト(図示せず)を用いてコンベア42上に載置される。コンベア42上に載置された型枠25は、ローラ43の駆動によりコンベア42上から型体支持部20上に搬入される。なお、コンベア42は、ローラ43及びその支持部がフォークリフトと干渉しないように構成されている。
【0032】
型体支持部20上の所定位置に搬入された型体ユニットU1は、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図7(a)に示す状態になる。次にモータ18が駆動されて支持体14が図7(a)に示す状態から反時計方向に90度回動されて、右型用の型体支持部20が下側位置に配置された状態になる。その状態で前記と同様にして右型用の型体ユニットU4が型体支持部20上の所定位置に搬入され、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図7(b)に示す状態になる。次にモータ18が駆動されて支持体14が図7(b)に示す状態から反時計方向に180度回動されて、左型用の型体支持部20が下側位置に配置された状態になる。その状態で前記と同様にして左型用の型体ユニットU3が型体支持部20上の所定位置に搬入され、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図7(c)に示す状態になる。次にモータ18が駆動されて支持体14が図7(c)に示す状態から時計方向に90度回動されて、下型用の型体支持部20が下側位置に配置された状態になる。その状態で前記と同様にして下型用の型体ユニットU2が型体支持部20上の所定位置に搬入され、型枠25がボルト25aにより型体支持部20に固定されて、図8(a)に示す状態になり、型体ユニットU1〜U4の型体支持部20ヘの取り付け作業が完了する。なお、図7及び図8では、型体28を構成する補助部材35の図示を省略している。
【0033】
次に左型用及び右型用の型体ユニットU3,U4のアクチュエータ23,24が駆動され、図8(b)に示す型閉め位置まで左型用及び右型用の型体29,30が移動される。次に上型用及び下型用の型体ユニットU1,U2のアクチュエータ21,22が駆動され、上型用及び下型用の型体27,28が図8(b)に示す状態になる。図8(b)に示す状態で、先ず図示しない真空ポンプによりキャビティ33内の脱気が行われる。脱気完了後、図示しない樹脂注入装置からキャビティ33内に樹脂液の注入が行われる。
【0034】
次に型体27〜30の流路27a,28a等に加熱流体を供給して型体27〜30の温度を樹脂液の硬化温度に調整する。樹脂硬化に必要な所定時間経過後、流路27a,28a等への加熱流体の供給が停止され、アクチュエータ21〜24が駆動されて型体27〜30が型開き位置に移動されて繊維強化樹脂が脱型される。樹脂液としては熱硬化性樹脂の未硬化溶液が使用され、この実施形態ではエポキシ樹脂が使用される。
【0035】
型体27〜30の温度が搬出作業に支障とならない温度まで低下した後、先ず型体28の型枠25のボルト25aによる型体支持部20に対する固定状態を解除した後、繊維強化樹脂と共に搬出する。次にモータ18を駆動して支持体14を90度ずつ時計方向に回動させて、搬出すべき型体30,27,29を順次下側位置に配置して、型枠25のボルト25aによる型体支持部20に対する固定状態の解除作業及び搬出作業を行う。全ての型体27〜30の搬出の完了により1回の繊維強化樹脂の製造作業が完了する。
【0036】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)繊維強化樹脂の製造装置は、水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体14と、型体27〜30を支持体14に固定する型体支持部20と、を備え、型体27〜30は型体支持部20よりも支持体14の回動中心側に位置するように支持体14に取り外し可能に固定されている。複数の型体27〜30は、アクチュエータ21〜24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。したがって、型体27〜30は型閉め位置における配置に関係なく、型体27〜30を支持する型体支持部20が上向きの状態で型体支持部20に対する取り付け及び取り外しを行うことができ、型体27〜30が長尺であっても簡単に交換作業を行うことができる。また、形状の異なる繊維強化樹脂に対応した形状の成形型を備えた専用の製造装置を設けずに、成形型26を構成する複数の型体27〜30を交換することにより異なる形状の繊維強化樹脂を製造することができる。
【0037】
(2)成形型26は複数の型体27〜30によりキャビティ33が形成され、キャビティ33内に樹脂液を注入可能に構成されている。そして、繊維強化樹脂はプレス成形ではなく、RTM法で製造される。したがって、プレス成形に比べて型体27〜30を成形位置に保持するのに必要な加圧力を小さくすることができる。
【0038】
(3)型体27〜30は支持体14の回動軸方向に長い形状をしており、支持体14は、型体27〜30の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個(この実施形態では3個)設けられている。したがって、製造される繊維強化樹脂が長尺製品(例えば、長さが数m〜十数m)であっても、型体27〜30に対応した長尺の1個の支持体を設けずに型体27〜30を型体支持部20を介して安定した状態で支持することができる。
【0039】
(4)型体27〜30は支持体14の回動軸方向に長い形状をしており、型体支持部20に、型体27〜30を型枠25と共にその長手方向に移動させる際に、型枠25と接触して回動するローラ37が設けられている。したがって、型体27〜30をその長手方向に型体支持部20の上側において所定の取り付け位置まで移動させる際に、ローラ37の回転により型体27〜30を小さな力で簡単に移動させることができる。
【0040】
(5)成形型26は上下方向への移動により型開き位置と型閉め位置とに移動される型体27,28と、左右方向への移動により型開き位置と型閉め位置とに移動される型体29,30とからキャビティ33を形成するように構成されている。したがって、断面形状としてI形状のように一つの平面に他の平面が端部において接続する形状の繊維強化樹脂を容易に製造することができる。
【0041】
(6)各支持体14の被動ギア15と噛合する各駆動ギア17は、1本の駆動軸16にそれぞれ固定され、1個のモータ18により駆動される。したがって、複数の支持体14を1個のモータ18で駆動することができ、製造コストを低くすることができる。
【0042】
(7)駆動軸16はほぼ中央から駆動されるため、駆動軸16の一端側から駆動する構成と異なり、駆動軸16が長尺であっても駆動軸16の端部におけるねじれが抑制される。
【0043】
(8)各型体支持部20にはガイド部として断面V字状のガイド溝38が形成されている。型枠25にはガイド溝38と対応する位置に被ガイド部として断面V字状の凸条39が形成され、型枠25はローラ37に当接した状態で凸条39がガイド溝38と係合することにより左右方向へのずれが生じないように取り付け位置まで搬入されるようになっている。したがって、各型体27〜30の型枠25を各型体支持部20に取り付ける際の位置決めが簡単になる。
【0044】
(9)繊維強化樹脂を製造する製造方法は、複数の型体27〜30にそれぞれ強化繊維シート41を賦形した状態にセットした後、各型体27〜30を型体支持部20にそれぞれ取り付け、その後、各型体27〜30が成形型26を構成する状態で成形型26内に樹脂液を注入して強化繊維シート41への樹脂液の含浸・硬化を行った後、脱型する。したがって、繊維強化樹脂が異形断面形状であっても、強化繊維シート41を異形断面に対応してキャビティ33内にしわが生じないように配置した状態で樹脂液の含浸・硬化を行うことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図9にしたがって説明する。この実施形態では、繊維強化樹脂をプレス成形で製造する点が第1の実施形態と大きく異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0046】
図9(a)に示すように、成形型26は上型及び下型の2個の型体27,28で構成されている。上型の型体27は断面形状が略U字状に対応する雌型に形成され、下型の型体28は断面形状が略U字状に対応する雄型に形成されている。上型の型体27はアクチュエータ21により型開き位置と型閉め位置(プレス成形位置)とに移動される。アクチュエータ21として油圧シリンダが使用されている。下型の型体28は型体支持部20に対して移動不能に構成されており、型枠25に型体28が直接固定されている。
【0047】
この実施形態では両型体27,28を予備加熱した状態で、図9(a)に2点鎖線で示すように、積層プリプレグ44が型体28上にセットされる。次にアクチュエータ21が駆動されて型体27が型閉め位置(プレス位置)まで下降移動されて、図9(b)に示すように積層プリプレグ44が所定の形状にプレスされたた後、型体27,28が硬化温度まで昇温されるとともに所定時間硬化温度に保持されて樹脂の硬化が行われる。硬化完了後、型体27が型開き位置へ上昇移動され、繊維強化樹脂が脱型される。この実施形態では第1の実施形態と異なり、繊維強化樹脂が製造される毎に型体27等に強化繊維シート41をセットする必要がなく、繊維強化樹脂の脱型後に支持体14を回動する必要もない。
【0048】
したがって、この第2の実施形態によれば、型体及び型体支持部20の数が異なる点を除いて第1の実施形態の(1),(3),(4),(6)〜(8)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0049】
(10)プレス成形により繊維強化樹脂が形成されるため、断面形状が異なる繊維強化樹脂を製造する場合やメンテナンスを除いて、繊維強化樹脂を製造する毎に型体27,28を型枠25と共に型体支持部20から取り外す作業やその作業に必要な支持体14の回動を行う必要がない。
【0050】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図10にしたがって説明する。この実施形態では、型体支持部20及び型枠25の構成が第1の実施形態と異なり、その他は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0051】
図10(a)に示すように、型体27〜30(型体27についてのみ図示)の型枠25には複数のローラ45が設けられている。ローラ45は、型体27〜30を型枠25と共にその長手方向に移動させる際に型体支持部20と接触して回動可能に構成されている。ローラ45は両凸条39の内側位置に凸条39に沿ってそれぞれ1列に設けられるとともに、各ローラ45は図示しないシリンダにより上昇位置と下降位置とに移動可能に設けられている。各ローラ45が下降位置に配置された状態では型枠25の下面が型体支持部20の上面と接触しない状態に保持され、各ローラ45が上昇位置に配置された状態では型枠25の下面が型体支持部20の上面と接触可能な状態になる。
【0052】
型体支持部20は支持体14に固定された側面L字状の支持体固定部20aと、各支持体固定部20aに跨って製造装置の長手方向に沿って延びるように固定されたレール部20bとで構成されている。図10(a)に示すように、レール部20bは軸受支持部12及び軸受13との干渉を避けるため、断面略クランク状に形成されている。また、ガイド溝38は、レール部20bの型枠25に対する近接面に形成されており、ローラ45が転動する面は型枠25との距離が近接面より大きく設定されている。
【0053】
支持体固定部20aには型枠25を型体支持部20に固定する固定手段として、型枠25の上面と係合して型枠25を型体支持部20に押圧するクランパー47が設けられている。クランパー47は油圧シリンダ48により駆動される。
【0054】
この実施形態の繊維強化樹脂の製造装置への型体ユニットU1〜U4の搬入、搬出時、即ち型体27〜30の搬入、搬出時には、図10(b)に示すように、繊維強化樹脂の製造装置の型体搬入側にはローラ43を備えたコンベア42に代えて、例えば、支持プレート46を備えたコンベア42が配置される。そして、型体27〜30の交換作業時に、型体27〜30の型枠25は支持プレート46及びレール部20b上をローラ45に支持された状態で移動する。
【0055】
したがって、この第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3),(5)〜(9)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(11)ローラ45が型枠25即ち型体側に設けられているため、型体ユニットU1〜U4を繊維強化樹脂の製造装置から取り外して、他の場所で移動させる際にもローラ45により型体ユニットU1〜U4を長手方向に小さな力で簡単に移動させることができる。
【0056】
(12)型枠25を型体支持部20に対して固定するクランパー47が設けられている。したがって、型体27等の交換作業時に作業者が型枠25と型体支持部20とを締結するボルト25aの締め付け作業や弛め作業を行う手間がなくなるとともにボルト25aを紛失する虞もない。
【0057】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 各型体27〜30のうち1個(例えば、下型の型体28)を型体支持部20に対して位置不動に支持し、残りの3個の型体27,29,30をアクチュエータ21,23,24により型開き位置と型閉め位置とに移動可能に構成する。そして、位置不動の型体28を基準に他の型体27,29,30を所定位置に移動させるようにアクチュエータ21,23,24を制御してもよい。この場合、各型体27〜30をアクチュエータ21〜24でそれぞれ駆動する構成に比べて、各型体27〜30を正確に型閉め位置に移動させる制御が簡単になる。
【0058】
○ 型体27〜30の搬入、搬出時に型枠25の左右方向へのずれを抑制(規制)するガイド部を型枠25側に設け、被ガイド部を各型体支持部20に設けてもよい。
○ ガイド部及び被ガイド部は断面V字状のガイド溝38と断面V字状の凸条39の組み合わせに限らない。例えば、図11に示すように、型体支持部20側にガイド部として凸条49を一対設け、その凸条49と係合するガイドローラ50を型枠25側に設けてもよい。また、凸条49を型枠25側に設け、ガイドローラ50を型体支持部20側に設けてもよい。
【0059】
○ 型体27〜30をその長手方向に移動させる際に型体支持部20又は型体側と接触して回動するローラは、型体側及び型体支持部の少なくとも一方に設けられていればよく、型体側及び型体支持部20の両方に設けられていてもよい。
【0060】
○ 第3の実施形態においてレール部20bは必ずしも製造装置の全長に亘って延びる長さが必須ではなく、ローラ45の配置間隔との関係で、型枠25がレール部20b上を移動する際に、型枠25がローラ45に支持された状態でレール部20b上を水平な状態で移動できれば、複数のレール部20bが間隔をおいて配置された構成でもよい。
【0061】
○ 型体の数は4個や2個に限らず、製造すべき繊維強化樹脂の断面形状に対応して3個にしたり、5個以上としたりしてもよい。例えば、断面形状がT字状の繊維強化樹脂の場合は、図12(a)に示すように、3個の型体27,29,30として各型体27,29,30に強化繊維シート41をセットしてもよい。
【0062】
○ 異形断面の繊維強化樹脂を上型用及び下型用の2個の型体27,28で製造する場合、プレス成形に代えてキャビティ33内に強化繊維シート41をセットして製造してもよい。その場合、型体27,28のいずれか一方にのみ強化繊維シート41をセットしても、図12(b)に示すように、両方の型体27,28に強化繊維シート41をセットしてもよい。
【0063】
○ 支持体14の数は3個に限らず、4個以上あるいは2個以下であってもよい。しかし、1個の場合は同じ長さの型体の支持を2個以上の支持体で支持する場合と比べて支持体14が長大となり支持体を製造するための製造コストが高くなる。
【0064】
○ 複数の支持体14を1本の駆動軸16を用いて駆動する場合、駆動軸16が長くなり、その長手方向中央に固定された駆動ギア17で駆動しても両端側に固定された駆動ギア17の位置におけるねじれが大きくなる場合は、モータ18を2個設けて両端側の駆動ギア17を駆動するようにしてもよい。
【0065】
○ 複数の支持体14を駆動する場合、支持体14ごとにモータ18を設けて駆動する構成にしてもよい。
○ 型体支持部20に型枠25と接触して型枠25の移動を補助するローラ37が設けられた構成において、型枠25を型体支持部20に固定するクランパー47を設けてもよい。
【0066】
○ アクチュエータ21〜24の数は1個に限らず、製造する繊維強化樹脂の長さによっては複数設けてもよい。
○ アクチュエータ21〜24として油圧シリンダを使用してもよい。
【0067】
○ 型体27〜30はアクチュエータ21〜24で型開き位置と型閉め位置とに移動される構成に限らず、手動で移動される構成としてもよい。
○ クランパー47を電動シリンダで駆動する構成としてもよい。
【0068】
○ 長尺の繊維強化樹脂は、幅や高さあるいは厚さが長手方向に一定ではなく、テーパ状に変化する形状であってもよい。
○ 繊維強化樹脂の製造装置は長尺の繊維強化樹脂を製造する装置に限らず、短い強化繊維樹脂を製造する場合に用いても良い。
【0069】
○ 強化繊維シート41を構成する連続繊維は炭素繊維に限らず、繊維強化樹脂に要求される物性に対応して、アラミド繊維、ガラス繊維等を使用してもよい。
○ 繊維強化樹脂に使用される熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂に限らず、繊維強化樹脂に要求される物性に対応して、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等を使用してもよい。
【0070】
○ キャビティ33内に樹脂液(未硬化樹脂)を注入して、加熱硬化させる繊維強化樹脂の製造方法において、繊維強化樹脂の製造装置の外部で型体27等に強化繊維シート41をセットせずに、従来技術のように、型体が型開き位置に配置された状態において繊維強化材(プリフォーム)をセットするようにしてもよい。
【0071】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記成形型は上型、下型、左型、右型の4個の型体から構成され、各型体は前記型体支持部に取り外し可能に取り付けられる型枠に固定されたアクチュエータにより型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられている。
【0072】
(2)請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記成形型は上型、下型、左型、右型の4個の型体から構成され、3個の型体は前記型体支持部に取り外し可能に取り付けられる型枠に固定されたアクチュエータにより型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられ、1個の型体は前記型体支持部に対して位置不動に支持され、前記位置不動の型体を基準にして残りの3個の型体が型閉め位置に移動される。
【0073】
(3)請求項3に記載の発明において、前記支持体は、円環状に形成されるとともに外周部に歯部が形成されて被動ギアを構成しており、各被動ギアは共通の駆動軸にそれぞれ固定された駆動ギアに噛合している。
【符号の説明】
【0074】
14…支持体、20…型体支持部、21,22,23,24…アクチュエータ、26…成形型、27,28,29,30…型体、33…キャビティ、37,43,45…ローラ、41…強化繊維シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の型体から構成される成形型を用いて繊維強化樹脂を製造する繊維強化樹脂の製造装置であって、
水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体と、前記型体を前記支持体に固定する型体支持部と、を備え、前記型体は前記型体支持部よりも前記支持体の回動中心側に位置するように前記支持体に取り外し可能に固定され、
前記複数の型体のうち少なくとも1つの型体は、型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項2】
前記成形型は前記複数の型体によりキャビティが形成され、前記キャビティ内に樹脂液を注入可能に構成されている請求項1に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項3】
前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記支持体は、前記型体の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個設けられている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項4】
前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記型体側及び前記型体支持部の少なくとも一方に、前記型体をその長手方向に移動させる際に前記型体支持部又は前記型体側と接触して回動するローラが設けられている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項5】
前記ローラは前記型体側に設けられている請求項4に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂の製造装置を用いて繊維強化樹脂を製造する繊維強化樹脂の製造方法であって、
前記複数の型体にそれぞれ強化繊維シートを賦形した状態にセットした後、各型体を前記型体支持部にそれぞれ取り付け、その後、各型体が成形型を構成する状態で成形型内に樹脂液を注入して強化繊維シートへの樹脂液の含浸・硬化を行った後、脱型することを特徴とする繊維強化樹脂の製造方法。
【請求項1】
複数の型体から構成される成形型を用いて繊維強化樹脂を製造する繊維強化樹脂の製造装置であって、
水平方向に延びる回動軸まわりに回動可能な支持体と、前記型体を前記支持体に固定する型体支持部と、を備え、前記型体は前記型体支持部よりも前記支持体の回動中心側に位置するように前記支持体に取り外し可能に固定され、
前記複数の型体のうち少なくとも1つの型体は、型開き位置と型閉め位置とに移動可能に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項2】
前記成形型は前記複数の型体によりキャビティが形成され、前記キャビティ内に樹脂液を注入可能に構成されている請求項1に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項3】
前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記支持体は、前記型体の長手方向に間隔を置いて少なくとも2個設けられている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項4】
前記型体は前記支持体の回動軸方向に長い形状をしており、前記型体側及び前記型体支持部の少なくとも一方に、前記型体をその長手方向に移動させる際に前記型体支持部又は前記型体側と接触して回動するローラが設けられている請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項5】
前記ローラは前記型体側に設けられている請求項4に記載の繊維強化樹脂の製造装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂の製造装置を用いて繊維強化樹脂を製造する繊維強化樹脂の製造方法であって、
前記複数の型体にそれぞれ強化繊維シートを賦形した状態にセットした後、各型体を前記型体支持部にそれぞれ取り付け、その後、各型体が成形型を構成する状態で成形型内に樹脂液を注入して強化繊維シートへの樹脂液の含浸・硬化を行った後、脱型することを特徴とする繊維強化樹脂の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−166508(P2012−166508A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30902(P2011−30902)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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