説明

繊維強化樹脂成形品

【課題】本発明は、ポリエステル極細繊維が均一に分散した繊維強化樹脂成形品を提供することにある。
【解決手段】海島型複合繊維の島成分を補強繊維とする繊維強化樹脂成形品であって、下記要件を満足することを特徴とする繊維強化樹脂成形品。
a)海島型複合繊維がポリプロピレン系樹脂を海成分とし、ポリエステルを島成分とすること。
b)海島型複合繊維の繊維軸に直交する断面における島成分数が100以上であること。
c)島成分径が10〜1000nmであること。
d)島成分のポリエステルの融点が200℃以上であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観に優れ、剛性や衝撃強度などの機械的強度や寸法安定性に優れた繊維補強樹脂成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体が補強性能に優れるため多用されている。このようなガラス繊維補強熱可塑性樹脂成形体を成形する方法としては、通常、ガラス繊維を集束剤で集束して集束糸とし、そして該集束糸をカットして熱可塑性樹脂とコンパウンドし、加熱加圧して成形する方法(特許文献1)、ガラス繊維を熱可塑性樹脂で被覆する方法(特許文献2)、ガラス繊維糸で形成された織物と熱可塑性樹脂フィルムとを交互に積層し、加熱加圧して成形する方法等が行われている。しかしながら、これらガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体は、該成形体を廃棄する際に離脱したガラス繊維が飛散する等、人体の影響に対する懸念があった。
【0003】
上記したようなガラス繊維の代替として、有機繊維の短繊維に集束剤で集束し、これをカットして集束糸とし熱可塑性樹脂とコンパウンドして繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する方法が用いられているが、有機繊維の短繊維を樹脂に分散させることは困難であった。すなわち、集束剤の含有量が少ないと有機繊維が綿状となってホッパーの目詰まりを生じさせ、成形体製造工程において安定生産を阻害する問題があり、逆に集束剤の含有量が多いと樹脂中での有機繊維束が多く生じて分散不良となり、補強効果が得られないという問題があった。
【0004】
また、多数本の補強用連続繊維で形成した有機繊維束の外周に位置する繊維のみに接着し、内部にはほとんど含浸しないように、熱可塑性樹脂をコーティングする方法が提案されている(特許文献3)。
しかし、上記した方法を用いた場合においても、得られる繊維補強熱可塑性樹脂成形体の補強性能は不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−251437号公報
【特許文献2】特開平9−267327号公報
【特許文献3】特開平8−336879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、極細繊維が均一に分散した高強度、耐衝撃性に優れた繊維強化樹脂成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
海島型複合繊維の島成分を補強繊維とする繊維強化樹脂成形品であって、下記要件を満足することを特徴とする繊維強化樹脂成形品、
a)海島型複合繊維がポリプロピレン系樹脂を海成分とし、ポリエステルを島成分とすること。
b)海島型複合繊維の繊維軸に直交する断面における島成分数が100以上であること。
c)島成分径が10〜1000nmであること。
d)島成分のポリエステルの融点が200℃以上であること。
好ましくは、海島型複合繊維の海成分の島成分に対する複合重量比率(海:島)が95:5〜5:95である繊維強化樹脂成形品、
また海島型複合繊維の海成分のポリプロピレン系樹脂の融点が120℃以上である繊維強化樹脂成形品、
が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂を海成分とし、ポリエステルを島成分とする海島型複合繊維を、樹脂(好ましくはポリプロピレン系樹脂)に添加し、射出成形時に海成分を溶融させることによって樹脂中に高強度極細繊維を均一に分散させることができ、外観に優れ、剛性や衝撃強度などの機械的強度や寸法安定性に優れた繊維強化樹脂成形品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の繊維強化樹脂成形品に使用する海島型複合繊維の海成分に使用するポリプロピレン系樹脂の具体例としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂などが挙げられる。なお、オレフィン系樹脂は2種以上を併用してもよい。
【0010】
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nで測定した値)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが0.05g/10分未満の場合は、成形加工性が低下し、得られる成形品の表面外観が不良になり易い傾向にあり、200g/10分を超える場合は、成形品の機械的強度と島成分からなるポリエステル極細繊維の分散が不良になり易い傾向にある。またポリプロピレン系樹脂の融点は120℃以上であることが好ましい。120℃未満であると射出成形時にポリエステル極細繊維が絡まりやすくなり樹脂成形品内部に均一な分散が難しい。
【0011】
本発明の繊維強化樹脂成形品に使用する海島型複合繊維の島成分のポリエステルとしては、ポリエステルを主体としてなり、芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールから形成される成分を主たる繰り返し単位とするポリエステルである。具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレート、ポリテトラメチレンー2,6−ナフタレートが本発明のポリエステルに好ましく用いられる。なかでも機械的性質、成形性等のバランスのとれたポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0012】
また、海島型複合繊維の島成分の径は、10〜1000nmであることが必要であり、好ましくは100〜700nmである。島成分の径が10nm未満の場合には、繊維構造自身が不安定で、物性及び繊維形態を不安定になるので好ましくなく、一方1000nmを越える場合には成形後の複合体の表面特性が劣るため、好ましくない。また、複合繊維断面内の各島成分は、その径が均一であるほど海成分溶解後に残る極細繊維の品位及び耐久性が向上する。
【0013】
海成分と島成分の溶融粘度比(海/島)は、0.8〜2.5であることが必要であり、好ましくは1.1〜2.0、最も好ましくは1.3〜1.5の範囲内であることが好ましい。この比が0.8倍未満の場合には、工程の安定性溶融紡糸時に島成分が互に接合しやすくなり、一方それが2.5倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸工程の安定性が低下しやすい。
【0014】
海島複合繊維における島成分数は、多いほど海成分を溶解除去して極細繊維を製造する場合の生産性が高くなり、しかも得られる極細繊維も顕著に細くなって、超極細繊維特有の柔らかさ、滑らかさ、光沢感などを発現することができるので、島成分数は100以上であることが好ましく、より好ましくは500以上である。ここで島成分数が100未満の場合には、海成分を溶解除去しても極細単繊維からなるハイマルチフィラメント糸を得ることができず、本発明の目的を達成することができない。なお、島成分数があまりに多くなりすぎると、紡糸口金の製造コストが高くなるだけでなく、紡糸口金の加工精度自体も低下しやすくなるので、島成分数を1000以下とすることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に使用する海島型複合繊維は、その海島複合質量比率(海:島)は、95:5〜5:95の範囲内にあることが必要であり、好ましくは30:70〜10:90の範囲内にあることが好ましい。上記範囲内にあれば、島成分間の海成分の厚さを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の微細繊維への転換が容易になる。ここで海成分の割合が5%未満の場合には、海成分の量が少なくなりすぎて、島間に相互接合が発生しやすくなる。
【0016】
本発明に使用する海島型複合繊維の溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど適宜のものを用いることができる。例えば、WO2005/095686の図1および2に示されているような、中空ピンや微細孔より押し出された島成分と、その間を埋めるように設計された流路から供給された海成分流とを合流し、この合流体流を次第に細くしながら吐出口より押出して、海島型複合繊維を形成できる限り、いかなる紡糸口金でもよい。
【0017】
吐出された海島型断面複合繊維は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分の速度で巻き取られ、より好ましくは1000〜3500m/分である。紡糸速度が400m/分以下では生産性が不十分であり、また、6000m/分以上では紡糸安定性が不良になる。
【0018】
得られた未延伸繊維は、別途延伸工程を通して所望の引張り強さ、切断伸び率及び熱収縮特性を有する延伸複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程を通した後に巻き取る方法のいずれでも構わない。具体的には60〜190℃、好ましくは75℃〜180℃の予熱ローラー上で予熱し、延伸倍率1.2〜6.0倍、好ましくは2.0〜5.0倍で延伸し、セットローラー100〜220℃、好ましくは120〜200℃で熱セットを実施することが好ましい。予熱温度不足の場合には、目的とする高倍率延伸を達成することができなくなる。セット温度が低すぎると、得られる延伸繊維の収縮率が高すぎるため好ましくない。また、セット温度が高すぎると、得られる延伸繊維の物性が著しく低下するため好ましくない。
【0019】
本発明に使用する海島型複合繊維から海成分を溶解除去して得られる直径10〜1000nmの微細単繊維の繊度のばらつきを表すCV%値は、0〜25%であることが好ましい。より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜15%である。CV値がこの範囲を外れる場合は得られる成形品の機械的強度が低下し好ましくない。
本発明で使用する海島型複合繊維は、上記の海成分、島成分を公知の海島型複合繊維製造装置を用いて繊維化することにより得られる。
【0020】
本発明の繊維強化樹脂成形品を得るには、海島型複合繊維を成形用樹脂(マトリックス樹脂)に添加し、射出成形によって成形することが好ましい。
成形用樹脂としては、公知のいかなる樹脂も使用可能であるが、オレフィン系樹脂、より好ましくはポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0021】
成形温度としては、海成分であるポリプロピレン系樹脂の融点以上の温度で成形することが好ましく、島成分としては射出成形の際に溶融しないものを使用する必要がある。すなわち、海成分であるオレフィン系樹脂の融点は、通常70〜170℃、従って、成形温度(成形機の出口温度とする)は通常150〜210℃の範囲から選択される。島成分のポリエステルの融点は、成形温度より、通常10℃以上、好ましくは20℃以上高いことが好ましい。従って、島成分の融点は通常200℃以上の範囲から選択される。
【0022】
本発明の繊維強化樹脂成形品は、オレフィン系樹脂、海島複合繊維の海成分を溶解して島成分からなるポリエステル極細繊維(束)、タルクを含有する。そして、オレフィン系樹脂100重量部に対する割合として、ポリエステル極細繊維の割合は、10〜200重量部、好ましくは20〜180重量部であり、タルクの割合は、10〜200重量部、好ましくは20〜180重量部である。ポリエステル極細繊維の割合が10重量%未満の場合は、補強効果が不十分となる傾向にあり、200重量部を超える場合は、成形が困難になり成形品外観も悪くなる傾向にある。一方、タルクの割合が10重量%未満の場合は、所望の剛性を付与できない傾向にあり、200重量部を超える場合は、流動性が著しく低下し成形が困難になり成形品外観も悪くなる傾向にあり、また、比重が重くなる傾向にある。
【実施例】
【0023】
本発明を下記実施例によりさらに説明する。
下記実施例及び比較例において、下記の測定及び評価を行った。
(1)溶融粘度
供試ポリマーを乾燥し、溶融紡糸用押出機の溶融温度に設定されたオリフィス中にセットし、3分間溶融状態に保持したのち、所定水準の荷重下に、押出し、このときの剪断速度と溶融粘度とをプロットした。上記操作を、複数水準の荷重下において繰り返した。
上記データに基いて、剪断速度一溶融粘度関係曲線を作成した。この曲線上において、剪断速度が1000秒−1のときの溶融粘度を見積る。
(2)海島断面形成性
光学顕微鏡を用いて海島状態を観察した。
(3)極細単繊維の分散状態
成形後の樹脂成形物を平行断面ミクロトームULTRACUT−S(ライカ製)で200nmに薄切し、透過電子顕微鏡TECNAI G2(FEI製)を用いて、加速電圧120kVで観察した。
(4)外観:
成形により得られた平板の表面を目視にて観察した。
【0024】
[実施例1]
海成分として、融点160℃、230℃1000sec−1における溶融粘度が600poiseであるポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製「ノバテックSA06A」、メルトフローレート60g/10分〕を用い、島成分として融点275℃、285℃1000sec−1における溶融粘度が900poiseであるPETを用い、島成分数900、ホール数10の海島型複合用口金を用いて、複合紡糸機にて複合比率を海:島=5:5、紡糸温度290℃、引き取り速度1000m/分で巻き取った。続いて、得られた未延伸糸を延伸機を用いて、延伸温度80℃、熱セット温度150℃で延伸糸の伸度が25%となるように延伸倍率を合わせて延伸を行い、マルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を得た。複合繊維の直径は23.2μm、物性は強度4.8cN/dtex、伸度21%、島成分の単糸径は550nmであった。断面形成性、紡糸性および延伸性は非常に良好であった。得られた複合繊維を5mmにカットし、海成分と同じポリプロピレン中に繊維濃度30wt%となるように複合繊維を60wt%添加し射出成形することにより、繊維強化複合樹脂成形品を得た。成形品中の極細単繊維の分散状態を観察した結果、およそ800nmのPET繊維が均一に分散され、成形により得られた平板の表面を観察すると繊維は完全に開繊していて表面は平滑で鏡面であった。
【0025】
[実施例2]
海成分として、融点160℃、230℃1000sec−1における溶融粘度が720poiseであるポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製「ノバテックBC06C」、メルトフローレート60g/10分〕を用い、島成分として融点275℃、285℃1000sec−1における溶融粘度が900poiseであるPETを用い、実施例1同様にマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を得た。複合繊維の直径は23.4μm、物性は強度4.1cN/dtex、伸度17%、島成分の単糸径は550nmであった。断面形成性、紡糸性および延伸性は非常に良好であった。得られた複合繊維を5mmにカットし、海成分と同じポリプロピレン中に繊維濃度30wt%となるように複合繊維を60wt%添加し射出成形することにより、繊維強化複合樹脂成形品を得た。成形品中の極細単繊維の分散状態を観察した結果、およそ800nmのPET繊維が均一に分散され、成形により得られた平板の表面を観察すると繊維は完全に開繊していて表面は平滑で鏡面であった。
【0026】
[実施例3]
海成分として、融点125℃、230℃1000sec−1における溶融粘度が1000poiseであるポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製「ウィンテックWSX02」、メルトフローレート25g/10分〕を用い、島成分として融点275℃、285℃1000sec−1における溶融粘度が900poiseであるPETを用い、実施例1同様にマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を得た。複合繊維の直径は24.8μm、物性は強度3.8cN/dtex、伸度31%、島成分の単糸径は580nmであった。断面形成性、紡糸性および延伸性は非常に良好であった。得られた複合繊維を5mmにカットし、海成分と同じポリプロピレン中に繊維濃度30wt%となるように複合繊維を60wt%添加し射出成形することにより、繊維強化複合樹脂成形品を得た。成形品中の極細単繊維の分散状態を観察した結果、およそ800nmのPET繊維が均一に分散され、成形により得られた平板の表面を観察すると繊維は完全に開繊していて表面は平滑で鏡面であった。
【0027】
[比較例1]
実施例1において海島型複合繊維の代わりに、PET長繊維〔帝人ファイバー(株)製「P903AL BHT1670T250」、平均繊維径24μm、強度7.2cN/dtex、伸度26%〕を5mmにカットしたものを用い添加量を30wt%とした以外は同様に行った。成形品中の繊維の分散状態を断面にて観察した結果、PET成分の直径は10〜80μmと不均一に分散して存在していた。成形時に開繊が不十分なため融着や分割等により繊維径にばらつきが生じたものと思われる。成形品の表面を観察した結果、開繊していない繊維の束が多数見られ、平板表面が荒れていた。
【0028】
[比較例2]
実施例1において海島型複合繊維の代わりに、エポキシ樹脂としてポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂を集束剤として付着させたPET長繊維〔帝人ファイバー(株)製「P903AL BHT1670T250、平均繊維径24μm、強度7.2cN/dtex、伸度26%〕にポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂を集束剤として付着させ、5mmにカットしたものを用い添加量を30wt%とした以外は同様に行った。成形品中の単繊維の分散状態を観察した結果、開繊していない繊維がわずかに観察される程度で、平板表面もある程度平滑であったが実施例1のような平滑な鏡面ではなかった。
【0029】
[比較例3]
実施例1において海島型複合繊維として、海成分として、融点160℃、230℃1000sec−1における溶融粘度が600poiseであるポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製「ノバテックSA06A」、メルトフローレート60g/10分〕を用い、島成分として非晶性ではっきりとした融点を持たない、260℃1000sec−1における溶融粘度が1500poiseであるPETを用い、島成分数900、ホール数10の海島型複合用口金を用いて、複合紡糸機にて複合比率を海:島=5:5、紡糸温度260℃、引き取り速度1000m/分で巻き取り、続いて、延伸機を用いて、延伸温度80℃、熱セット温度150℃で伸度が25%となるように延伸を行って得られたマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を用いた。複合繊維の直径は23.2μm、物性は強度4.8cN/dtex、伸度21%、島成分の単糸径は550nmであった。断面形成性、紡糸性および延伸性は非常に良好であった。得られた複合繊維を5mmにカットし実施例1と同様に行った。成形品中の極細単繊維の分散状態を観察した結果、島成分がはっきりとした融点を持たず、成形時に一部溶融されたことによりPET繊維は互いに引っ付いている箇所が観察され、分散性は悪かった。平板表面もある程度平滑であったが実施例1のような平滑な鏡面ではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の繊維強化樹脂成形品は、ポリエステル極細繊維が均一に分散した高強度、耐衝撃性に優れた繊維強化樹脂成形品であり、自動車、電気電子部品の軽量化に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海島型複合繊維を樹脂に添加し、海成分を溶融させて該島成分を補強繊維とした繊維強化樹脂成形品であって、下記要件を満足することを特徴とする繊維強化樹脂成形品。
a)海島型複合繊維がポリプロピレン系樹脂を海成分とし、ポリエステルを島成分とすること。
b)海島型複合繊維の繊維軸に直交する断面における島成分数が100以上であること。
c)島成分径が10〜1000nmであること。
d)島成分のポリエステルの融点が200℃以上であること。
【請求項2】
海島型複合繊維の海成分の島成分に対する複合重量比率(海:島)が95:5〜5:95である請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品。
【請求項3】
海成分のポリプロピレン系樹脂の融点が120℃以上である請求項1〜2いずれかに記載の繊維強化樹脂成形品。

【公開番号】特開2011−178061(P2011−178061A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45280(P2010−45280)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】