説明

繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物

【課題】 現在、繊維強化複合材料に用いられている繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の欠点である、その硬化物が脆く、靭性が低いという性質を改良し、十分な耐熱性と靭性を両立した硬化物を得ることのできる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を提供する。この繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物はプリプレグ用として有効な特性を有する。
【解決手段】 コア/シェル型構造を有し、平均粒径0.5〜1μmのアクリルゴムとエポキシ樹脂からなる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用途、航空宇宙用途、一般産業用途に好適に使用することのできる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、繊維強化複合材料に用いられているエポキシ樹脂組成物は、一般にその硬化物が脆く、靭性が低いことが欠点である。これを用いた繊維強化複合材料の耐衝撃性が低いことがしばしば問題になる。そこで硬化物を高靭性化し、繊維強化複合材料の耐衝撃性を改良する試みが数多くなされている。
硬化物の靭性を向上する方法として、1)硬化物中の架橋密度を低下する、2)熱可塑性樹脂を配合し、柔軟性を付与する方法がある。しかし、これらの方法は、硬化物の耐熱性は低下してしまうため好ましくない。
そこで、樹脂硬化物の耐熱性と靭性を両立させる試みとして、熱硬化性樹脂組成物中にゴム成分を配合する手法が知られている。このゴム成分としては、硬化時にゴムが析出するタイプと、樹脂中に相溶せず分散して樹脂中に存在するタイプのいずれかがある。
前者の例としては、エポキシ樹脂にカルボキシル基を末端基とするブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム(CTBN)やニトリルゴムを添加してエポキシ樹脂を変性する方法がある(例えば特許文献1)。ところが、この方法はゴム成分がエポキシ樹脂組成物に一旦溶解した後、硬化時に相分離するという過程を経るため、配合するエポキシ樹脂の種類や硬化条件の違いによって得られた硬化物のモルフォロジーが変化し、所望の改質効果が得られない欠点や硬化後のエポキシ樹脂相にゴム成分が一部溶解するため硬化物の弾性率低下、耐熱性の低下を引き起こすなどの問題点を有している。
後者の例としては、エポキシ樹脂に不溶のアクリルゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどをエポキシ樹脂組成物中に分散する方法がある。とりわけ風雨に晒される機会の多い航空宇宙用途、一般産業用途においては耐候性に優れるアクリルゴムを用いた検討が数多く行われている(例えば特許文献2)。
しかし、従来知られている微粒子のアクリルゴムでは、硬化物に十分な耐熱性と靭性を両立した特性を付与することはできなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平2−113031号公報
【特許文献2】特開平9−227693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
十分な耐熱性と靭性を両立した硬化物を得ることのできる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、 コア/シェル型構造を有し、平均粒径0.5〜1μmのアクリルゴムとエポキシ樹脂からなる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、十分な耐熱性と靭性を両立した硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その硬化物が高い靭性と耐熱性を両立することを特徴とする。使用するエポキシ樹脂の本来有している耐熱性が、アクリルゴムの添加によって損なわれないこと、すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度は、本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂を単独で硬化した硬化物のガラス転移温度を大差がない。
【0008】
『アクリルゴム』
本発明で用いるアクリルゴムは、0.5〜1μmの平均粒子径を有する。
平均粒子径0.5μm以上とすることで耐衝撃性の改質効果を十分なものとすることができ、1μm以下とすることで繊維基材に本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸する際に繊維基材を構成する単繊維の間隙を通過することができるので、硬化物中にゴム粒子が均一に分布することができる。
本発明のアクリルゴム(A)はコア/シェル構造を持つアクリルゴムであることが好ましい。
ここで、アクリルゴムの平均粒子径は以下の方法で測定したものである。アクリルゴムの平均粒子径測定法:得られたラテックスを蒸留水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製LA−910)を用い、50%体積平均粒子径を測定する。
以上述べたアクリルゴムは、エポキシ樹脂中に予め均一に分散された状態で市販されているものを用いることができるが、アクリルゴム単独で市販されているものを用いる方がエポキシ樹脂組成物を配合する際の自由度が広くできることからより好ましい。
アクリルゴムは、一種以上のアルキル(メタ)アクリレートと、これと共重合しうる一種以上のビニル系単量体からなる。前記単量体を重合する際の重合方法や重合条件は特に限定されないが、乳化重合、好ましくはソープフリー乳化重合などの公知の方法で製造されたものを用いることができる。
本発明のアクリルゴムは、一種以上のアルキル(メタ)アクリレートと、これと共重合しうる一種以上のビニル系単量体からなる。前記単量体を重合する際の重合方法や重合条件は特に限定されないが、乳化重合、好ましくはソープフリー乳化重合などの公知の方法で製造されたものを用いることができる。
本発明のアクリルゴムはコア/シェル構造を持つアクリルゴムである。コアの構成成分としては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくはn-ブチルアクリレート、エチルアクリレートである。単量体には二個以上のビニル性官能基を持つ単量体が含まれてもよい。特に限定されないがエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはアリルメタクリレートである。
シェルの構成成分としては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましくはメチルメタクリレート、エチルアクリレートである。単量体には二個以上のビニル性官能基を持つ単量体が含まれてもよい。特に限定されないがエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはアリルメタクリレートである。エポキシ樹脂との界面接着性を向上させるためにシェル部の構成成分として官能基をもつ単量体を導入することも出来る。官能基の例を挙げると、エポキシ基、水酸基、アミド基、イミド基、アミン基、イミン基、カルボン酸基、無水カルボン酸基等が挙げられる。単量体の例を挙げると、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。好ましくはグリシジルメタクリレートである。エポキシ樹脂との界面接着性を向上させるためにシェル部の構成成分として官能基をもつ単量体の導入量はアクリルゴム全量に対し30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。グリシジルメタクリレートの場合は3質量%以下が好ましい。
以上述べたアクリルゴムは、エポキシ樹脂中に予め均一に分散された状態で市販されているものを用いることができるが、アクリルゴム単独で市販されているものを用いる方がエポキシ樹脂組成物を配合する際の自由度が広くできることからより好ましい。
【0009】
『エポキシ樹脂』
本発明で用いるエポキシ樹脂としては、公知の各種のものが使用でき、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものであれば分子構造、分子量等に特に制限はない。例えばビスフェノール型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型、ビフェニル型などの各種エポキシ樹脂を単独または2種以上併用して用いることができる。これらエポキシ樹脂は好ましくは硬化剤と共に用いられ、硬化剤としては例えばフェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤、ジシアンジアミドやイミダゾール類、脂肪族あるいは芳香族ポリアミン等のアミン系硬化剤及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよく、使用量については特に制限されない。本発明では、エポキシ樹脂単独で硬化した硬化物のガラス転移温度が130℃以上であるエポキシ樹脂を使用することがこのましい。
『樹脂粘度』
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の粘度は、特に限定されないが100〜1000000ポイズ(30℃)が好ましい。
【0010】
『添加剤』
本発明ではエポキシ樹脂組成物に、必要に応じて公知の様々な添加剤を併用することができる。例えば、種々の硬化促進剤、シリコーンオイル、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体やガラス繊維、炭素繊維等の無機充填剤、塩素化パラフィン、ブロムトルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤等を使用することができる。
【0011】
『調製方法』
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく公知の技術、例えばミキシングロールやニーダー等を使用することができる。
【0012】
本発明のエポキシ樹脂組成物とともに繊維強化複合材料を構成する繊維基材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維など各種の無機繊維または有機繊維を用いることができるが、繊維強化複合材料の強度上、ガラス繊維及び/又炭素繊維が好ましい。中でも比強度、比弾性率の優れた繊維強化複合材料が得られる炭素繊維を用いることがより好ましい。本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を繊維基材に含浸する方法は公知の方法が使用できる。
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を利用した繊維強化複合材料は、公知の方法で成形することが可能である。オートクレーブ成形法、オーブン成形法、バキュームバック成形法、ハンドレイアップ成形法、レジントランスファーモールディング成形(RTM)、バキュームアシストRTM等のレジンインフュージョン成形法、プレス成形法等が挙げられるがこれに限定されるものではない。好ましくはプリプレグを経由した成形法である。特に好ましくはオートクレーブ成形法、オーブン成形法、バキュームバック成形法である。
【実施例】
【0013】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
『アクリルゴムの平均粒子径測定法』
得られたラテックスを蒸留水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製LA−910)を用い、50%体積平均粒子径を測定した。
『ダインスタット衝撃試験』
プリプレグの製造
エポキシ樹脂組成物を離型紙上に102g/mとなるように塗工し、その上に三菱レイヨン株式会社製炭素繊維「パイロフィル」TR50S12Lを繊維目付が190g/mとなるように一方向に引き揃えて重ねた。ロール対で加圧することによりエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸し、樹脂含有率35重量%のプリプレグを得た。このプリプレグを繊維方向が同一になるように6枚積層して、オートクレーブにて7kg/cmの圧力を加えつつ、130℃で1時間保持して硬化し厚さ1mmの繊維強化複合材料(以下、FRP)を得た。このFRPを、繊維方向を長手にして15mm長×10mm幅の試験片形状に切り分け、ダインスタット衝撃試験機(東洋精機製作所製、最大ひょう量:20kg−cm、ハンマー質量:992g、持上角度:90゜、衝撃速度:1.57m/s)を用い、クランプ端から打撃点までの距離を4mmに設定した以外はBS−1330に準拠して測定した。
【0014】
『硬化樹脂のエネルギー解放率測定』
:ASTM D5045(SENB法)に準拠した試験片を用いて硬化樹脂のエネルギー解放率Gを求めた。この時、切込み部にはカッタ刃を当ててノッチを入れた。
【0015】
『硬化樹脂のガラス転移温度測定』
レオメータ(レオメトリック社製RDA700)により昇温速度10℃/minで測定された損失正接Tanδのピーク温度を硬化樹脂のガラス転移温度とした。
【0016】
『コア/シェル型構造を有するアクリルゴム(M−1)の製造例』
5リットルのフラスコに、純水88質量部、ブチルアクリレート5質量部、アリルメタクリレート0.125質量部を投入し、窒素雰囲気中、250rpmで攪拌しながら80℃に温した。つぎに予め調製した過硫酸カリウム0.10質量部、純水5.2質量部の溶液を一括投入し、60分間保持し第一段目のソープフリー乳化重合を行った。次にブチルアクリレート65質量部、アリルメタクリレート1.625質量部、ジ2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:ペレックスOT−P)0.6質量部、純水34.0質量部の混合液を180分かけて滴下、1時間保持し、第二段目の乳化重合を行いアクリル系ゴム重合ラテックス(R−1)を得た。得られたラテックス(R−1)に、メチルメタクリレート29.4質量部、エチルアクリレート0.6質量部、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.4質量部、純水15.6質量部の混合液を100分かけて滴下し、1時間保持後乳化重合を終了し、グラフト共重合体ラテックスを得た。得られたグラフト共重合体ラテックスは噴霧乾燥機を用い、圧力ノズル式で微小液滴状に噴霧し、熱風入口温度180℃にて乾燥し、コア/シェル型構造を有し、平均粒径0.6μmのアクリルゴム(M−1)を得た。
【0017】
『コア/シェル型構造を有するアクリルゴム(M−2)の製造例』
製造例1で得られたラテックス(R−1)に、メチルメタクリレート28.4部、エチルアクリレート0.6部、グリシジルメタクリレート1部、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム0.4部、純水15.6部の混合液を100分かけて滴下、1時間保持後乳化重合を終了し、グラフト共重合体ラテックスを得た。得られたグラフト共重合体ラテックスは噴霧乾燥機を用い、圧力ノズル式で微小液滴状に噴霧し、熱風入口温度180℃にて乾燥し、ラテックス平均粒子径600nmのコア/シェル型構造を有し、平均粒径0.6μmのアクリルゴム(M−2)を得た。
【0018】
『コア/シェル型構造を有するアクリルゴム(M−3)の製造例1』
製造例1で得られたラテックス(R−1)に、メチルメタクリレート28.4部、エチルアクリレート0.6部、アリルメタクリレート0.75部、グリシジルメタクリレート1部、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム0.4部、純水15.6部の混合液を100分かけて滴下、1時間保持後乳化重合を終了し、グラフト共重合体ラテックスを得た。得られたグラフト共重合体ラテックスは噴霧乾燥機を用い、圧力ノズル式で微小液滴状に噴霧し、熱風入口温度180℃にて乾燥し、コア/シェル型構造を有し、平均粒径0.61μmのアクリルゴム(M−3)を得た。
【0019】
(実施例1)
『エポキシ樹脂組成物(NR−1)、樹脂硬化物(CR−1)の製造』
ジャパンエポキシレジン株式会社製ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:エピコート828)30質量部とジャパンエポキシレジン株式会社製ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(商品名:エピコート1002)40質量部および旭化成株式会社製オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(商品名:AER4152)30質量部をフラスコ内でスリーワンモーター攪拌棒を使用して混合し、さらに上記のコア/シェル型構造を有するアクリルゴム(M−1)を20重量部加えて混合した。該混合物にジャパンエポキシレジン株式会社製ジシアンジアミド(DICY)5質量部および保土ヶ谷化学工業株式会社製3、4−ジクロルフェニル−N,N−ジメチル尿素4質量部を混合してエポキシ樹脂組成物(NR−1)を得た。該エポキシ樹脂組成物を、3mmのスペーサーを挟み込んだガラス板間にキャストし、熱風乾燥機中130℃にて1時間保持して加熱硬化させて厚さ2mmの樹脂硬化物(CR−1)を得た。この樹脂硬化物(CR−1)について、エネルギー解放率およびガラス転移温度を測定した。
【0020】
(比較例1)
樹脂組成物中にコア/シェル型構造を有するアクリルゴム(M−1)を加えない以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物(NR−2)、樹脂硬化物(CR−2)およびFRP(FR−2)を得た。樹脂硬化物(CR−2)のエネルギー解放率とガラス転移温度およびFRP(FR−2)のダインスタット衝撃強度の結果を表1に示す。
【0021】
(実施例2〜9)
エピコート828、エピコート1002、AER4152コア/シェル型構造を有するアクリルゴム(M−1,2または3)の添加量を替えたほかは、実施例1と同様にして繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を得た。評価結果を表1に併せて示した。
【0022】
【表1】

【0023】
(実施例10)
エピコート828を45質量部とジャパンエポキシレジン株式会社製ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001)を58質量部フラスコ内でスリーワンモーター攪拌棒を使用して混合し、さらに上記のコア/シェル型構造を有し、平均粒径0.6μmのアクリルゴム(M−1)を10重量部加えて混合した。該混合物にDICY4質量部およびDCMU4質量部を混合して繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、3mmのスペーサーを挟み込んだガラス板間にキャストし、熱風乾燥機中130℃にて1時間保持して加熱硬化させて厚さ3mmの樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について、エネルギー解放率およびガラス転移温度を測定した結果を表2に示した。
【0024】
(比較例1)
樹脂組成物中にコア/シェル型構造を有し、平均粒径0.6μmのアクリルゴム(M−1)を加えない以外は、実施例10と同様にして繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について、エネルギー解放率およびガラス転移温度を測定した結果を表2に示す。
【0025】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア/シェル型構造を有し、平均粒径0.5〜1μmのアクリルゴムとエポキシ樹脂からなる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−257391(P2006−257391A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319272(P2005−319272)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】