説明

繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニット

本発明は、すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネルを含み、かつ支持面が凝縮チャネルの領域に配置されかつ凝縮チャネルが支持面に対して開口するように、凝縮ユニットをドラフト・ユニット・ローラ上に位置決めするための支持面を含む、繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニットを開示する。凝縮ユニット(20)はドラフト・ユニット・ローラ(3)のための少なくとも1つのさらなる支持面(33)を含み、前記支持面(33)はドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に凝縮チャネル(14)の領域の支持面(31)から離れて位置し、該ドラフト・ユニット・ローラ(3)はこれら支持面(31,33)と接触することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネルを含み、かつ支持面が凝縮チャネルの領域に配置されかつ凝縮チャネルが支持面に対して開口するように、凝縮ユニットをドラフト・ユニット・ローラ上に位置決めするための支持面をも含む、繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニットに関する。
【0002】
上記タイプの凝縮ユニットは、国際特許出願WO03/095723A1による従来技術である。公知の凝縮ユニットは、ドラフトユニットのボトムローラのための支持面を含む。ボトムローラの周方向の支持面の寸法は、凝縮チャネルの長さにほぼ一致する。該寸法は、見ての通り支持面に対し直角をなす凝縮ユニットの高さとは対照的に、非常に小さい。支持面とボトムローラとの間の接触は、発生する揺れや振動のため、必ずしも充分に確保することができない。したがって、凝縮効果が損なわれる。
【0003】
凝縮ユニットとドラフトユニットのボトムローラとの間の接触を改善するために、凝縮ユニットのさらなる開発が、国際特許出願WO2006/005207A1に開示されており、そこで支持面はドラフトユニットのトップローラのコットを超えて横方向に拡張され、ドラフトローラの周方向に拡大される。支持面は非常に精密に製造しなければならないので、支持面の拡大は、特に凝縮ユニットが耐摩耗性材料から構成されるため、製造コストの大幅な増大をもたらす。ボトムローラ上の凝縮ユニットの適正な位置決めを確実にするために、支持面は複雑な研削プロセスによって加工しなければならない。
【0004】
2つの隣接するドラフトユニットに及ぶ上記タイプの凝縮ユニットが、中国実用新案CN2734787Yに開示されている。ドラフトユニットのボトムローラに、ドラフト・ユニット・ローラの軸方向に相互に離れた2つの支持面が設けられる。ドラフト・ユニット・ローラ上の凝縮ユニットの支承安定性は、国際特許出願WO03/095723A1に開示された公知の凝縮ユニットと一致する。
【0005】
加えて、一般的でない凝縮ユニットが国際特許出願WO03/095723A1に開示されており、そこでドラフトユニットのボトムローラ用の極めて大きい支持面が提供される。凝縮ユニットは、ボトムローラ上にクランプのように配置される。凝縮ユニット上の支承面は、これによりボトムローラの外周の半分より多くを包囲する。凝縮ユニットはボトムローラから上昇させることができず、支持面に対して開口した凝縮チャネルを含まない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改善された凝縮ユニットを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラのためのさらなる支持面を含み、前記支持面がドラフト・ユニット・ローラの周方向に凝縮チャネルの領域の支持面から離れて位置し、該ドラフト・ユニット・ローラをこれら支持面と接触させることができることから達成された。
【0008】
ドラフト・ユニット・ローラの周方向に相互に離れて位置する2つの支持面を有する凝縮ユニットは、凝縮ユニットを確実にドラフトユニットのボトムローラ上に配置することができるという利点を有する。凝縮ユニットは非常に確実にドラフト・ユニット・ローラ上に置かれるので、万一、機械の振動が発生した場合でも、凝縮チャネルの領域の支持面が上方に持ち上げられることが防止される。
【0009】
同時に、相互に離れた2つの支持面を含む凝縮ユニットは、個々の支持面の設計を非常に小さくすることができるという利点をも有する。2つの小さい支持面の製造コストは、特に支持面が耐摩耗性材料、例えばセラミックから構成される場合、単一の大きい支持面の製造コストより少ない。
【0010】
用語「1つの支持面」とは、たとえ表面が1つまたは複数の凝縮チャネルによって幾つかの部分に「分割」される場合でも、支持面は凝縮チャネルの領域の「1つの面」と呼ばれるということから理解される。凝縮チャネルはトンネル形状であり、支持面に対して開口しているので、それは支持面を事実上2つの部分に「分け」、それらはもはや相互に接触しなくなる。凝縮チャネルがその全長に沿ってその機能を果たすことができるためには、支持面の1つの部分が、凝縮チャネルをドラフト・ユニット・ローラの周面に封着するために、凝縮チャネルの両側に「維持」されなければならない。支持面の両方の部分が機能ユニットを形成し、したがって「1つの面」と呼ばれる。たとえ1つの支持面の領域に複数の凝縮チャネルが配置される場合でも、依然として「1つの支持面」の表現が使用される。凝縮チャネルの領域の1つの支持面のドイツ特許出願DE10356913A1に開示された実施形態は、凝縮チャネルから離れて位置する本発明に従って設けられる第2支持面に何の関係も持たない。ドイツ特許公開出願DE10356913A1では、凝縮チャネルに界接する領域全体の機能は、凝縮チャネルをドラフト・ユニット・ローラの周面に対して閉鎖する「1つの支持面」を形成することである。
【0011】
「ユニット」は複数の単一部品を含むことのできるコンポーネント群によって形成することができ、その個々の部品は相互に係留接続されるという点で、凝縮ユニットは文字通りの意味に理解される。個々の部品は必ずしも、動かすことができないように相互に固定的に接続する必要はない。「ユニット」は独立して売買可能な物体である。
【0012】
ドラフト・ユニット・ローラ上の凝縮ユニットの良好な支承安定性を確実にするために、2つの支持面間の周方向の距離は5mm超であることが有利であり、6mmから22mmの間の範囲内にあることが有利である。短繊維を処理するためのドラフトユニット用の凝縮ユニットの場合、2つの支持面間の周方向の距離は、7mmから15mmの間、特に7.5mmから9.5mmであることが有利である。
【0013】
少なくとも凝縮チャネルの領域の支持面は凹状に湾曲し、それにより湾曲はシリンダの周面に適合される。用語「シリンダ」は幾何学的基体を意味する。支持面の湾曲がそれに対して適合されるシリンダの直径は、支持面および凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラ上に動作中ぴったり配置され、かつトンネル形凝縮チャネルがドラフト・ユニット・ローラの周面に対してしっかり封着されるように、ドラフト・ユニット・ローラの外径に非常に正確に一致することが有利である。トンネル形凝縮チャネルは、支持面に直接界接する案内壁を含む。凝縮チャネルを閉鎖チャネルに対して最終的に閉鎖するのは、ドラフト・ユニット・ローラの周面である。ドラフト・ユニット・ローラの周面は凝縮ゾーンにおける繊維ストランドの移送要素として働くので、これは有利である。少なくとも2つの支持面が凹状に湾曲し、それによって全ての湾曲が共通シリンダの周面に適合されることが有利である。
【0014】
必要な精度を持つ支持面の簡単な製造を簡単な仕方で確実にするために、凝縮ユニットの支持面は、せいぜい14mm、有利にはせいぜい10mm、特に有利にはせいぜい8mmの支持面と接触することのできるドラフト・ユニット・ローラの周方向の長さを有する。凹状の支持面の場合、長さは凹状支持面の中心線に対し直角をなす各断面における曲線長とみなされる。
【0015】
また、凹状または平面状の凝縮チャネルの領域の支持面とは離隔して支持面を設計することも有利になり得る。第2支持面はなによりもまず、凝縮ユニットの安定化に役立つことが最も重要である。第2支持面とドラフト・ユニット・ローラの周面との間に線接触または点接触が設けられると、この目的には充分である。支持面がドラフト・ユニット・ローラの溝無し領域に支持される場合、これは特に有利である。
【0016】
凝縮ユニットは少なくとも支持面を有する一体品で設計すると有利になり得る。そうすることで、凝縮チャネル、凝縮チャネルの領域の支持面、および周方向に離隔した支持面は、凝縮ユニットの単一コンポーネントに配置される。このコンポーネントは、追加の硬質および/または摩耗低減性添加剤を有利に含むことのできる、成形が容易である耐摩耗性材料、例えば耐摩耗性プラスチックから構成されることが有利である。
【0017】
代替的に、凝縮ユニットを複数部品コンポーネントとして設けることもできる。凝縮ユニットは、保持装置および少なくとも1つの耐摩耗性コンポーネントを含むことが有利である。ドラフト・ユニット・ローラ用の支持面は、対摩耗性コンポーネントに配置することが有利である。その複数部品設計のため、異なる機能を有する凝縮ユニットの様々な領域の各々に対し、最適材料を選択することができる。凝縮ユニットは、例えば繊維ストランドと接触するようになるため高レベルの摩耗にさらされる領域には、耐摩耗性材料が提供される。すでにドラフトされた繊維ストランドのための凝縮チャネルも、耐摩耗性コンポーネントに配置することが有利である。
【0018】
耐摩耗性コンポーネントを凝縮ユニットの保持装置に取り付ける際に、耐摩耗性コンポーネントの外側輪郭はかなり単純化することができる。例えば超硬合金またはセラミック製とすることのできる耐摩耗性コンポーネントは、結果的に製造が容易になる。保持装置は凝縮ユニットのコンポーネントであり、「凝縮ユニットの基体」と呼ぶことができる。1つ以上の耐摩耗性コンポーネントが保持装置に取り付けられる。支持面が単独で凝縮チャネルの位置決めを確保しないように、保持装置は凝縮チャネルを位置決めする役割に関与する。支持面は、耐摩耗性コンポーネントの製造が単純化されるように、特にドラフト・ユニット・ローラの周方向に非常に小さい寸法に維持することができる。
【0019】
耐摩耗性コンポーネントは、例えば振り子式に可動的に凝縮ユニットの保持装置に配置することができる。これは、凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラ上に配置されたときに、耐摩耗性コンポーネントに配置された支持面が前記ドラフト・ユニット・ローラの周面に適合されるという点で、利点を有する。したがって、凝縮ユニットの製造中に、比較的高い公差が許容される。耐摩耗性コンポーネントは、限られた範囲でのみ可動であることが有利である。耐摩耗性コンポーネントの移動には特定の力が必要になるように、移動性を鈍重にすることができることが有利である。凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラ上に配置されたときに働く比較的強い力は、耐摩耗性コンポーネントをこのようにして調整することができる。しかし、鈍重さはたとえ動作中に振動が発生した場合でも、耐摩耗性コンポーネントが動くこと、およびボトムローラに対して調整されたその位置を失うことを阻止する。耐摩耗性コンポーネントが凝縮ユニットの保持装置に交換可能に配置されることも有利であり得る。交換可能な耐摩耗性コンポーネントにおいて、耐摩耗性コンポーネントが長い動作時間後に最終的に摩耗を示すときに、またはそれが動作上の不具合のために損傷したときに、凝縮ユニットの耐摩耗性コンポーネントの交換を可能にする。
【0020】
しかし、耐摩耗性コンポーネントは凝縮ユニットに非可動的に配置することが有利である。耐摩耗性コンポーネントが保持装置に対して動けないようにそれを保持装置に取り付けるために、種々の方法を使用することができる。保持装置と耐摩耗性コンポーネントとの間にプレス嵌めが存在することが有利であり得る。摩擦係止プレス嵌め接続は、プレス手順後に即座に非可動接続がロード可能であるので有利である。特に保持装置が射出成形部品として設計される場合、耐摩耗性コンポーネントの一部分を射出成形によって保持装置の材料で包囲することが有利であり得る。保持装置と耐摩耗性コンポーネントとの間の物質対物質結合は特に有利である。物質対物質結合は、はんだ付けまたは接着剤結合によって有利に形成することができる。耐摩耗性コンポーネントは、保持装置のまだ軟らかい材料、接着剤、または軟質はんだに埋め込むことができ、前記耐摩耗性コンポーネントは硬化により非可動的に固定される。
【0021】
また、凝縮ユニットは、すでにドラフトされた繊維ストランドのための凝縮チャネルを含むことに加えて、繊維ストランドのためのさらなる案内面をも含むように、設計することも有利である。案内面は、ドラフトユニットの主ドラフトゾーンに繊維ストランドのために設けることが有利である。案内面は繊維ストランドの移送方向に見て、凝縮チャネルの上流に配置される。繊維ストランドのための案内面は、繊維ストランドをドラフト面から偏向させるために適応可能な、凸状案内面とすることができる。案内面はまた、主ドラフトゾーンで繊維ストランドを凝縮するために、漏斗形に設計することもできる。主ドラフトゾーンにおける繊維ストランドのための案内面は、耐摩耗性コンポーネントに配置することが有利である。
【0022】
本発明の実施形態では、凝縮ユニットが糸用の少なくとも1つの案内面を含むようにすることができる。糸用の案内面は、凝縮ゾーンに界接するトップローラの可撓性コットの摩耗を低減することができる。
【0023】
凝縮ゾーンは、ドラフト・ユニット・ローラのために厳密に2つの支持面を含むことができる。この実施形態は、単一ドラフトユニットが割り当てられる凝縮ユニットに特に有利である。
【0024】
安定性をさらに高めるために、凝縮ユニットに少なくとも3つの支持面を設け、2つの支持面がドラフト・ユニット・ローラの周方向に相互に離れて位置し、前記ドラフト・ユニット・ローラを支持面と接触させることが可能であり、2つの支持面がドラフト・ユニット・ローラの軸方向に相互に離れて位置するように構成された、ドラフト・ユニット・ローラに配置される凝縮ユニットの実施形態が有利である。
【0025】
凝縮ユニットが2つの隣接するドラフトユニットに適用可能であり、凝縮ユニットがすでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも2つの凝縮チャネルを含むことは有利になり得る。凝縮ユニットは凝縮チャネルの領域に第1および第2支持面を含む。凝縮ユニットは、ドラフト・ユニット・ローラの周方向に第1支持面および第2支持面から離れて位置する、少なくとも1つのさらなる支持面を含む。第1支持面は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向にのみ、第2支持面から離れて位置することが有利である。隣接するドラフトユニットの領域の第1および第2支持面は各々、すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネルを含み、かつ凝縮ユニットの保持装置に取り付けられた、耐摩耗性コンポーネントに配置されることが有利である。
【0026】
凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラのための3つの支持面を含み、第1支持面は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向のみに第2支持面から離れて位置することが有利であり、第3支持面はドラフト・ユニット・ローラと接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの周方向に第1および第2支持面から離れて位置し、第3支持面は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向に見て、第1および第2支持面の間のほぼ中央に配置されることが有利になり得る。この実施形態は、2つの隣接するドラフトユニットに適用可能な凝縮ユニットに特に有利である。3つの支持面は、凝縮ユニットの良好かつ安定な位置決めを確実にする。
【0027】
本発明の実施形態では、凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラのための4つの支持面を含み、該支持面が相互に離れて位置することが有利である。第1支持面はドラフト・ユニット・ローラの軸方向のみに第2支持面から離れて位置し、第3支持面は軸方向のみに第4支持面から離れて位置する。支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向に見て、第3および第4支持面は相互に、第1および第2支持面の相互の距離とほぼ同じ距離に位置することが有利である。凝縮ユニットは、第3および第4支持面の領域に繊維ストランドのための案内面を含むことが有利である。既製繊維ストランドのための2つの凝縮チャネルおよび繊維ストランドのための2つの案内面を含む、2つの隣接するドラフトユニットのための凝縮ユニットは、トップローラ集合体と有利に組み合わせることができ、前記トップローラ集合体は、隣接ドラフトユニット用のトップローラを有する2つのツイン・トップ・ローラを含む。
【0028】
隣接ドラフトユニットの繊維ストランドの最適案内のために、凝縮ユニットにおいて、繊維ストランドのための2つの案内面が、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの軸方向に見て、すでにドラフトされた繊維ストランドのための2つの凝縮チャネルとほぼ同じ相互間距離を有することが有利である。凝縮ユニットは保持装置および4つの耐摩耗性コンポーネントを含み、各耐摩耗性コンポーネントには、ドラフト・ユニット・ローラ上に凝縮ユニットを位置決めするための支持面が配置され、2つの耐摩耗性コンポーネントは、すでにドラフトされた繊維ストランドのための凝縮チャネルを少なくとも1つ含み、2つの耐摩耗性コンポーネントは繊維ストランドのための少なくとも1つの案内面を含むことが有利である。
【0029】
凝縮ユニットの安定性を高めるために、保持装置は、例えば鋼製で円筒状の形状であることが有利な連続バーを含み、該バーは隣接ドラフトユニットに割り当てられた2つの耐摩耗性コンポーネント間に延び、その端部は耐摩耗性コンポーネント内に突出することが有利になり得る。充分な安定性を確実にするために、バーは少なくとも1つの領域で直径が2mm以上、特に3mm以上である。バーの端部はピンとして保持装置から外に突出し、各々が耐摩耗性コンポーネントのためのテークアップ(take−up)を形成する。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、凝縮ユニットが、凝縮ユニットをトップローラ集合体に、特にトップローラ集合体の基体に取り付けるための手段を含むことが有利である。凝縮ユニットは、トップローラ集合体と共にドラフト・ユニット・ローラから上昇させることができる。トップローラ集合体がドラフト・ユニット・ローラから持ち上げられたときに凝縮ユニットが見失われず、かつ制御された条件下でのみ移動することができるように、接続手段は凝縮ユニットをトップローラ集合体に可動的に接続する。凝縮ユニットをトップローラ集合体に取り付けるための手段は、凝縮ユニットの支持面に接触力を発生させるための荷重要素を含むことができる。荷重要素はばねとして、特に板ばねとして設計することが有利である。凝縮ユニットは荷重要素のためのテークアップを含むことが有利である。ばねは保持装置に取り付けることができ、荷重要素と保持装置との間にジョイント要素が存在することが有利である。ばねの他端は、トップローラ集合体に、好ましくはトップローラ集合体の基体に取付け可能である。そのような実施形態は、荷重要素が凝縮ユニットと共に、トップローラ集合体に適用できかつ容易に交換可能でもある1群のコンポーネントを形成するという点で、有利である。荷重要素の力は凝縮ユニットの要件に適応させることができる。凝縮ユニット上の荷重要素のためのテークアップもまた、トップローラ集合体に含まれる荷重要素によって接触させることができ、該荷重要素はテークアップの領域のその荷重力を凝縮ユニットに伝達する。凝縮ユニットは代替的に、または追加的に、磁石用のテークアップおよび/または磁石を荷重要素として含む。
【0031】
さらなる実施形態では、凝縮ユニットが、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラの周方向に、凝縮ユニットを位置決めするための停止面を少なくとも1つ含むことが、有利になり得る。周方向に位置決めするための停止面は、凝縮ユニットがドラフト・ユニット・ローラの回転によって巻き込まれることを防止する。特に凝縮チャネルは、停止面によってトップローラのニップラインに対して正確に位置決めされる。停止面は、トップローラ集合体のコンポーネント上に支持されることが有利である。凝縮ユニットが2つの隣接ドラフトユニット用に設計される場合、周方向の位置決めのための停止面は、ドラフト・ユニット・ローラのための2つの支持面間の中央に配置されることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のこれらおよびさらなる目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面に関連付けて検討したときに、いっそう容易に明確になるであろう。図示しかつ記載する種々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、随意に組み合わせることができる。
【0033】
【図1】トップローラ集合体および凝縮ユニットを含む繊維機械のドラフトユニットの部分断面拡大側面図である。
【0034】
【図2】図1の凝縮ユニットの矢印II方向に見た図である。
【0035】
【図3】トップローラ集合体および凝縮ユニットの変形例の図1に類似する部分断面拡大側面図である。
【0036】
【図4】図3の凝縮ユニットの矢印IVの方向に見た図である。
【0037】
【図5】図3のV−Vに沿って切った凝縮チャネルを有する耐摩耗性コンポーネントの断面図である。
【0038】
【図6】トップローラ集合体および凝縮ユニットの変形例の図1に類似する部分断面拡大側面図である。
【0039】
【図7】図6の凝縮ユニットの矢印VII方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1ないし7に繊維機械のドラフトユニット1の非常に模式的な表現を示す。ドラフトユニット1は二重エプロン・ドラフト・ユニットとして設計される。ドラフトユニット1は紡績機、好ましくはリング紡績機に配置される。ドラフトユニット1は、短繊維から構成され移送方向Aに給送される繊維ストランド2を公知の方法で所望の繊度までドラフトする。繊維ストランド2は、移送方向Aに相互に前後して配置された複数のローラ対によってドラフトされ、前記ローラ対は移送方向に駆動速度が増大する。ローラ対のうちフロントローラ対3、4のみが図示されており、そのニップライン5で繊維ストランド2のドラフトが終了する。ローラ対3、4を含むローラ対は、駆動可能なボトムローラ3と、ボトムローラ3に押し付けられる回転自在のトップローラ4とを備える。トップローラ4は軟質ゴム材料のコットを具備し、繊維ストランド2がドラフトローラ3および4の間のニップラインでニップされるように、ボトムローラ4に押し付けられる。トップローラは、旋回運動して開閉することのできるトップ・ウェイティング・アーム6に取り付けられる。案内エプロン7および8が公知の方法でフロントローラ対3、4の上流のローラ対に配置される。案内エプロン7および8は、案内エプロン7、8によってループされるローラ対のニップライン(図示せず)からニップライン5まで延びる、ドラフトユニット1の主ドラフトゾーンで繊維ストランド2を案内する。トップローラ4および他のトップローラ(図示せず)は、ツイン・トップ・ローラとして設計される。ツイン・トップ・ローラは、隣接するドラフトユニット1および1´に割り当てられかつジョイントアクスル9を有する2つのトップローラを含む。図示する事例では、ツイン・トップ・ローラ4の両方のトップローラが、ルーズ・ボス・トップ・ローラとして設計される。すなわち両方のトップローラが非回転アクスル9上で自在に回転可能である。トップ・ウェイティング・アーム6は、2つの隣接するドラフトユニット1および1´間の中央に配置され、2つのトップローラ4をアクスル9上に支持する。ボトムローラ3は、複数の隣接するドラフトユニット1、1´上に延びる連続ドラフト・ユニット・ローラとして設計される。
【0041】
従来のドラフトユニット1の場合、すでにドラフトされた繊維ストランドは、引出し方向Bにニップライン5のすぐ下流の加撚装置(図示せず)例えばリングスピンドルへ給送され、加工糸10が形成される。糸10の品質を改善するために、特に毛羽立ちを低減するために、すでにドラフトされた繊維ストランド11は、繊維ストランド11を凝縮緻密化する、ニップライン5のすぐ下流の凝縮ゾーン12を介して給送される。すでにドラフトされた繊維ストランド11はボトムローラ3の周面13上に位置し、それによって凝縮ゾーン12を介して給送される。凝縮ゾーン12では、繊維ストランド11は凝縮チャネル14を介して給送される。凝縮チャネル14はトンネル状の設計であり、ボトムローラ3に向かって開口する。第2トップローラ15はボトムローラ3に配置され、該第2トップローラ15は、ボトムローラ3と共にニップライン16を形成し、該ニップライン16は凝縮ゾーン12を終端させる。繊維ストランドは引出し方向Bに加撚装置(図示せず)に給送されるので、ニップライン16のすぐ下流で、凝集された繊維ストランドは撚りを加えられて糸10になる。ニップライン16は撚止めを形成し、繊維ストランド11が凝縮ゾーン12で無撚状態を維持することを確実にする。
【0042】
2つの隣接するドラフトユニット1および1´のトップローラ15もまたジョイントアクスル17に支持され、ツイン・トップ・ローラを形成する。ツイン・トップ・ローラ15はツイン・トップ・ローラ4と共にトップローラ集合体18を形成する。トップローラ集合体18は基体19を含み、そこで2つのツイン・トップ・ローラ4、15はそれらのアクスル9、17に受容される。トップローラ集合体18は独立ユニットを形成し、それは交換することができるようにトップ・ウェイティング・アーム6に取り付けられる。ツイン・トップ・ローラ4および15は、トップローラ集合体4および15のトップローラが相互に接触せずかつトップローラをジョイント・ドラフト・ユニット・ローラ3上に配置することができるように、トップローラ集合体18に配置される。アクスル9および17は基体19においてできる限り平行に整列することが有利である。アクスル9および17は遊び無く基体に受容されること、すなわち基体19に対して動くことができないことが有利である。トップローラ集合体18のトップ・ウェイティング・アーム6への取付けは、トップローラ集合体18がある程度可動でありかつドラフト・ユニット・ローラ3上に配置されたときにそれ自体を調整することができるように行なわれることが有利である。トップローラ集合体18の取付けはアクスル9を介して行うのが有利である。トップ・ウェイティング・アーム6は、アクスル9の中央でツイン・トップ・ローラ4に荷重を加える。トップローラ集合体18のトップ・ウェイティング・アーム6への取付けは、相互に直角に延びる2つの仮想軸を中心とするトップローラ集合体18の振子運動を可能にすることが有利である。該仮想軸線は両方ともアクスル9に対して直角をなす。
【0043】
トップローラ集合体18はさらに、凝縮チャネル14を備えた凝縮ユニット20を含む。凝縮ユニット20は、トップローラ4および15の間の領域に配置される。
【0044】
凝縮ユニット20は、以下でさらに詳述する図1ないし図7の種々の実施形態に示される。異なる実施形態を標識するために、参照番号20に関連する図の番号が付加される。図1および図2の凝縮ユニットは参照番号120を有し、図3ないし図5の凝縮ユニットは参照番号320を有し、図6および図7の凝縮ユニットは参照番号620を有する。全ての実施形態の凝縮ユニットに言及する場合、参照番号20を使用し、その他の場合は全て、特定の実施形態の参照番号を提示する。
【0045】
凝縮ユニット20は、定められた運動が可能になるようにトップローラ集合体18に取り付けられ、凝縮ユニット20をトップローラ集合体18に取り付けるための少なくとも1つの手段21が設けられる。接続手段21の種々の実施形態が有利である。全ての場合に、接続手段21は、凝縮ユニット20がトップローラ集合体18から意図せず外れ落ちないように、かつ凝縮ユニット20がトップローラ集合体18で制御不能に動くことができないように働く。接続手段21は、トップローラ集合体18から凝縮ユニット20への少なくとも1つの力の伝達を可能にする。取付けのための手段21は、トップローラ集合体18の基体19上に、またはツイン・トップ・ローラ4、15の部分に取り付けられる。
【0046】
従来のドラフトユニットを含む古い紡績機の場合、これまで稼動してきた既存のトップローラ4をドラフトユニット1から取り外して、トップローラ集合体18と交換することが可能である。トップローラ4のためのトップ・ウェイティング・アーム6上のテークアップ62は、トップローラ集合体18の要件に適応させることができる。既存の紡績機はこれにより、改造後に品質改善された糸10を生産することができるように、凝縮ゾーン12を備えたドラフトユニット1により改造することができる。
【0047】
トップローラ集合体18および特にトップローラ15のボトムローラ3への押付けを確実にするために、板ばね22を設けることができる。板ばね122は、図1および図2に示す通りトップ・ウェイティング・アーム6に取り付けることができ、その自由端をトップローラ集合体18の基体19に押し付ける。さらなる有利な実施形態を図3に示す。板ばね322はトップローラ集合体18の基体19に取り付けられ、その自由端はトップ・ウェイティング・アーム6に支持される。
【0048】
すでにドラフトされた繊維ストランド11のための凝縮チャネル14に補足して、繊維ストランド2のための案内面23を主ドラフトゾーンに設けることが有利になり得る。案内面23は、ドラフトされた繊維ストランド11の品質を改善することができる。案内面23は、凝縮チャネル14の上流で移送方向Aに凝縮ユニット20まで配置される。案内面23は、案内エプロン7、8の下流およびニップライン5の上流で繊維ストランド2を案内するように働く。
【0049】
有利な実施形態では、凝縮ユニット20が糸10のための案内面24を含むように構成することができる。案内面24は凝縮チャネル14の下流に配置され、ニップライン16のすぐ下流で糸10を案内するように働く。案内面24は、糸10とトップローラ15との接触面積を低減する効果を有し、それは次にトップ・ローラ・コットの摩耗を低減させる。
【0050】
図1および図2に凝縮ユニット120の第1の有利な実施形態を示す。凝縮ユニット120は、マルチパートコンポーネントとして設計される。凝縮ユニット120は保持装置25と、保持装置25に対して動くことができないように保持装置に固定される3つの耐摩耗性コンポーネント141、142、143とを含む。保持装置25は事実上凝縮ユニット120のための基体を形成し、それに耐摩耗性コンポーネント141、142、および143が取り付けられる。凝縮ユニット120は2つの隣接するドラフトユニット1および1´にわたって延び、隣接するドラフトユニット1および1´のすでにドラフトされた繊維ストランド11および11´のための2つの凝縮チャネル14および14´を含む。凝縮ユニット120は凝縮ユニット120をドラフト・ユニット・ローラ3上に位置決めするための支持面131を含み、それは凝縮チャネル14の領域に配置される。凝縮チャネル14´の領域には、第2支持面132が設けられる。凝縮ユニット120は、ボトムローラ3の周方向Cに支持面131および支持面132とは離れて位置する、ドラフト・ユニット・ローラ3のための第3支持面133を含む。分かり易くするために、ボトムローラ3の周方向Cおよびボトムローラ3の軸方向Dは、図2では各々双頭矢印で表わされる。図1に示された図面はまさしく軸方向Dの図を示す。支持面132は軸方向Dのみにおいて支持面131から離れて位置する。周方向Cには、支持面131および132は同じ位置にある。
【0051】
凝縮ユニット120は、相互に離れて位置する3つの支持面131、132、および133を含み、それはボトムローラ3上の凝縮ユニット120の安定な表面対表面の接触を確実にする。これは、凝縮ユニット120がボトムローラ3上にしっかりと位置し、かつ振動が発生したときでもぐらつかないことを確実にする。接触面131、132、および133と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dに、第3支持面133は、第1支持面131および第2支持面132間の中央に配置される。
【0052】
3つの支持面131、132、133は各々、別個の耐摩耗性コンポーネント141、142、および143に割り当てられる。凝縮ユニット120では、支持面131、132、133上でボトムローラ3が回転することによって生じる早期摩耗が、耐摩耗性コンポーネント141、142、143によって防止される。耐摩耗性コンポーネント141および142は各々、凝縮チャネル14をさらに含む。
【0053】
凝縮チャネル14および14´の領域における支持面131および132は凹状に湾曲し、該湾曲はシリンダの周面に適合される。これは、トンネル状凝縮チャネル14がボトムローラ3に対し封着されることを確実にする。支持面133は平面または凸状のいずれかに形成されることが有利である。保持装置の材料によっては、耐摩耗性コンポーネント143は図示しない実施形態で完全に省くことができ、第3接触面133は保持装置25に直接配置することができる。ドラフトユニット1および1´の領域で、ボトムローラ3は通常その外周上に溝が設けられる。ドラフトユニット1および1´の間の領域では、ボトムローラ3は溝無しで平滑に設計することができる。支持面133がドラフト・ユニット・ローラ3の溝無し領域に位置する場合、支持面133の摩耗は少ないので、耐摩耗性コンポーネント133を省くことができる。
【0054】
耐摩耗性コンポーネント141、142、143が相互に対するそれらの位置を失わないために、それらは、保持装置25に対して動くことができないように、保持装置25に固定される。耐摩耗性141、142、143を接合する目的のために、各々が、凝縮ユニット120の要素のためのテークアップ45を含む。次に各保持装置25は、耐摩耗性コンポーネント131のためのテークアップ26を含む。テークアップ26および45は、保持装置25と耐摩耗性コンポーネント131との間に摩擦係止プレス嵌めが存在するように、相互に適合させることができる。保持装置25が射出成形部品の形を取る場合、耐摩耗性コンポーネント131の一部分を射出成形によって保持装置25の材料で包囲することが有利である。耐摩耗性コンポーネントはこの目的のために、流動性材料が耐摩耗性コンポーネント131のテークアップ45の周りに流入するように、保持装置25の射出金型内にセットすることができる。図示しない実施形態では、テークアップ45は、保持装置25の材料の特に信頼できる固定を確実にするために、突起または特殊形状を含むことができる。他の2つの耐摩耗性コンポーネント142および143は同一に設計され、凝縮ユニット120に固定される。
【0055】
3つの耐摩耗性コンポーネント141、142、および143は全て相互に調整され、この調整された状態で保持装置25に固定されることが有利である。耐摩耗性コンポーネント141、142、および143をインサート成形する場合、保持装置25のための射出金型が、耐摩耗性コンポーネントを載置することのできるシリンダの周面に適合された凸状湾曲面を含むようにすることが有利である。シリンダの周面に適合された凸状湾曲面はドラフト・ユニット・ローラ3をシミュレートし、耐摩耗性コンポーネントの固定後に、凝縮ユニット120がドラフト・ユニット・ローラ3上にしっかりと載置されることを確実にする。各耐摩耗性コンポーネント141、142、143は比較的小さい支持面131、132、133を含み、それらは非常に硬質の材料から大きすぎない製造コストで、かつ良好な精度で作製することができる。耐摩耗性コンポーネント141、142、143の相互調整のため、耐摩耗性コンポーネントが保持装置25に固定された後の支持面131、132、133の再加工は、ほとんどの場合、省くことができる。しかし、接触面の再加工が行なわれる場合、それを最小限に維持することができる。
【0056】
凝縮ユニット120は、接続手段21を介してトップローラ集合体18の基体19に可動的に取り付けられる。接続手段21は、滑り案内50、荷重要素27、および固定装置52を含む。つる巻き圧力ばねは荷重要素27として設けられる。凝縮ユニット120は、つる巻き圧力ばね27のためのテークアップ28を含む。つる巻き圧力ばね27は、テークアップ28内に着座し、基体19に圧接支持される。荷重要素27はこれにより、支持面131、132、133に対する接触力を生じる。つる巻き圧力ばね27は軸方向Dに支持面131および132間の中央に配置される。接触力を増大させる目的で、凝縮ユニット120は磁石29を含むことができる。磁石29が荷重要素として設けられる場合、用途によっては、つる巻き圧力ばね27を完全に省くことができる。別の有利な実施形態では、荷重要素27は空気圧で作動する。つる巻き圧力ばね27の代わりに、加圧パッド状要素(図示せず)をテークアップ28に配置することができ、該加圧パッド状要素が接触力を生じる。パッド状要素は圧搾空気供給源無しに自律的に設計されることが有利である。
【0057】
接続手段21の一部としての滑り案内50は、凝縮ユニット120の定められた移動性を確実にする。凝縮ユニット120は、ドラフト・ユニット・ローラ3の周方向Cに凝縮ユニット120を位置決めするための停止面51を含む。凝縮ユニット120は、ドラフト・ユニット・ローラ3の回転によって周方向Cに引きずられる傾向がある。停止面51は、基体19上に定められた方法で配置される。停止面51は2つの凝縮チャネル14および14´間の中央に配置される。
【0058】
接続手段21は、凝縮ユニット120のための固定装置を形成する固定要素52を含む。固定要素52は、トップローラ集合体18がボトムローラ3から引き上げられるときに、凝縮ユニット120が滑り案内50から滑り落ちることを防止する。
【0059】
凝縮ユニット120の1実施形態では、凝縮ユニット120が繊維ストランド2のための少なくとも1つの案内面23または23´を含むようにすることができる。円筒状案内要素の形の案内面23は繊維ストランド2を案内することができ、必要な場合、案内エプロン7、8の出口とニップライン5との間の最短想像接続線からわずかに偏向させることができる。その場合、繊維ストランド2は凸状案内面23の部分をループする。案内面23は、破線で表わすように保持装置25に取り付けられた耐摩耗性コンポーネントに配置することができる。本発明の有利な実施形態(図示せず)では、繊維ストランド2のための案内面23は先細案内チャネルとして設計され、それはすでに主ドラフトゾーンで繊維ストランド2の凝縮効果を発揮している。
【0060】
また、破線によって、糸10のための追加案内面24、24´を含む拡大凝縮ユニット120も示されている。案内面24もまた、保持装置25に対して動くことができないように保持装置に固定された耐摩耗性コンポーネントに配置することができる。
【0061】
図3ないし5に凝縮ユニット320の第2実施形態を示す。凝縮ユニット320は2つの隣接するドラフトユニット1および1´に適用可能である。凝縮ユニット320は、すでにドラフトされた繊維ストランド11、11´のための2つの凝縮チャネル14、14´を含む。凝縮ユニット320は、凝縮ユニット320をドラフト・ユニット・ローラ3上に位置決めするための第1支持面331を含み、それは凝縮チャネル14の領域に配置される。
【0062】
図5から分かるように、支持面331は凝縮チャネル14によって2つの部分に分割され、それらはもはや接触しなくなる。この事実にもかかわらず、本発明の目的に従って、凝縮チャネル14の領域の1つの支持面331だけについて言及する。
【0063】
凝縮ユニット320は、凝縮チャネル14´の領域に配置される、ドラフト・ユニット・ローラ3のための第2支持面332を含む。凝縮ユニット320は、周方向Cに支持面331および332から離れて位置する2つのさらなる支持面333および334を含む。周方向Cの距離は、凝縮ユニット320に対する安定な支持を確実にするために、7.5mmから9.5mmの間であることが有利である。第1支持面331は、支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dのみに第2支持面332から離れて位置する。第3支持面333は、ドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dのみに第4支持面334から離れて位置する。軸方向Dに見て、第3支持面333および第4支持面334は、第1支持面331の第2支持面332からの距離と同じ距離だけ離れている。凝縮ユニット320は、第3支持面333の領域における繊維ストランド2のための案内面23および、第4支持面334の領域における案内面23´を含む。案内面23および23´は、支持面333および334に対して開口したトンネル状凝縮チャネルとして設計される。案内面23は、ドラフトユニット1の主ドラフトゾーンで繊維ストランド2の凝縮を達成する。繊維ストランド2の側方凝縮に加えて、案内面23は、図1に案内面23の場合に示したように、必要な場合には繊維ストランド2をドラフト面から多少偏向させることもできる。支持面と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ3の軸方向Dに見て、繊維ストランド2、2´のための両方の案内面23、23´は、すでにドラフトされた繊維ストランド11、11´のための2つの凝縮チャネル14、14´とほぼ同じ距離だけ離れている。
【0064】
凝縮ユニット320はマルチパートコンポーネントとして設計され、保持装置25と、保持装置25に対して動くことができないように保持装置25に固定された4つの耐摩耗性コンポーネント341、342、343、および344とを含む。凝縮ユニット320をボトムローラ3上に位置決めするために、支持面331、332、333、および334が各耐摩耗性コンポーネント341、342、343、および344上に配置される。耐摩耗性コンポーネント341および342は、すでにドラフトされた繊維ストランド11、11´のための少なくとも1つの凝縮チャネル14および14´を含む。耐摩耗性コンポーネント341および342を凝縮コンポーネントと呼ぶこともできる。耐摩耗性コンポーネント343および344は各々、繊維ストランド2、2´のための案内面23、23´を含む。
【0065】
支持面331、332、333、および334は凹状に湾曲し、全ての湾曲はジョイントシリンダの周面に適合される。用語「シリンダ」はここでは、凝縮ユニット320の製造中に、後で存在し動作するドラフト・ユニット・ローラ3の代わりをする幾何学的基体を指す。
【0066】
どの点から見ても凝縮ユニット320の基体を構成する保持装置25は、耐摩耗性コンポーネント341のためのテークアップ26を含む。テークアップ26は、保持装置25から突出するピン53によって形成される。凝縮ユニット320はバー54を含む。バー54は保持装置25内に挿設され、バー54の突出端がピン53を形成する。
【0067】
耐摩耗性コンポーネント341は、保持装置25から突出するピン53のためのテークアップ45を含む。テークアップ45は盲孔によって形成される。耐摩耗性コンポーネント341の改善された離型のために、盲孔45は、例えば耐摩耗性コンポーネント341がセラミック製である場合、わずかに円錐状に延びることができる。耐摩耗性コンポーネント341は第2テークアップ45´を含む。テークアップ45´もまた盲孔の形を取る。凹状支持面331の中心線に沿って切った断面図で分かるように、それはテークアップ45の反対側で凝縮チャネル14に関連して配置される。2つのテークアップ45および45´によって、図5に示す耐摩耗性コンポーネントは耐摩耗性コンポーネント341として、および耐摩耗性コンポーネント342としても使用することができる。耐摩耗性コンポーネントの複数の部分をこれによって低減することができる。図5に示す耐摩耗性コンポーネントを耐摩耗性コンポーネント342として適用する場合、それはテークアップ45´により保持装置25に固定される。その場合盲孔45は空のままである。
【0068】
凝縮ユニット320の安定性を高めるために、バー54はドラフトユニット1からドラフトユニット1´まで連続しているものとして設計される。バー54は硬化鋼製とすることが有利である。バー54は、2つの隣接するドラフトユニット1および1´に配置された耐摩耗性コンポーネント341および342の間に延びる。バー54の端部53は耐摩耗性コンポーネント341および342内に突出する。
【0069】
凝縮ユニット320の確実な安定性を達成するために、バー54は少なくとも1つの領域で2mm以上の直径を備える。バー54は3mm以上の直径を有することが有利である。盲孔45は、ピン53の直径より多少大きい直径を有する。それにより耐摩耗性コンポーネント341をピン53上で調整することができる。ピン53と盲孔45との間の間隙に接着性材料が充填される。耐摩耗性コンポーネント341の製造を簡素化するために、支持面331の湾曲部の長さは、接触面331の中心線に対し直角をなす全ての断面で見て、10mm未満であり、さらに8mm未満であることが有利である。支持面331の中心線は、支持面331の湾曲がその周面に適合されるシリンダの中心線に対応する。案内壁46が支持面331と界接するトンネル状凝縮チャネル14がボトムローラ3と密嵌接触するように、支持面331は非常に精密でなければならない。凹状支持面331の所要精度は、ほとんどの場合、研削プロセスによってしか確保することができないので、最小可能な支持面331は、そのようなプロセスに伴って生じる製造コストを削減する。盲孔45の中心線は支持面331の中心線と平行に延びる。凝縮チャネル14は、盲孔45の中心線に沿って切った断面図で分かるように、すなわち図5に示すように、盲孔45の基部47の下に延びる。同時に、凝縮チャネル14は第2盲孔45´の基部47´の下に延びる。この実施形態は、凝縮チャネル14が盲孔45と交差しないという利点を有する。支持面331の短い湾曲長、および盲孔45の大径に関連して支持面331の上の耐摩耗性コンポーネント341のそれぞれの小さい外形寸法のため、凝縮チャネル14が盲孔45と交差することが防止される。
【0070】
耐摩耗性コンポーネント343および344は、耐摩耗性コンポーネント341と同様に設計される。凝縮チャネル14の代わりに、案内面23が設けられる。凝縮ユニット320は第2バー56を含み、その端部55はバー54と同様に、保持装置25からピン状に突出して、耐摩耗性コンポーネント343および344をそれらの盲孔45内に受容する。
【0071】
耐摩耗性コンポーネント341、342、343、および344は、片側だけが凝縮ユニット320に固定されるので、凝縮ユニット320の保持装置25上に張り出すように配置される。保持装置25およびその固定領域、すなわちテークアップ26は、特に図5で分かるように、凝縮チャネル14の片側だけに存在する。凹状支持面331の中心線に沿って引き伸ばされた角柱形状の耐摩耗性コンポーネント341は、その前面だけが保持装置25に固定される。支持面331とは反対側を向いた耐摩耗性コンポーネントの長手方向側の空間は往々にして固定のために充分ではないので、保持装置25の有利な設計の実施形態はこうして可能になり、トップローラ4およびトップローラ15の周面が相互に非常に近接して存在する場合、特にそれが当てはまる。
【0072】
凝縮ユニット320の安定性要件によっては、片側に突出する細長い耐摩耗性コンポーネント341、342、343、344だけでは、特に周方向Cに荷重を受けたときに充分に安定ではないことがあり得る。凝縮ユニット320の安定性を高めるために、凝縮ユニット320は破線(2点鎖線)によって表わされる安定化コンポーネント57を含むことが有利になり得る。安定化コンポーネント57は保持装置25に固定されない。ブレース型の安定化コンポーネント57は、2つの耐摩耗性コンポーネント342および344を相互に接続する。安定化コンポーネント57は、周方向Cの荷重が増大した場合に、突出耐摩耗性コンポーネント342および344の安定性を高める。安定化コンポーネント57は有利に、相応して丸く湾曲した外形とすることができる。安定化コンポーネント57は有利に、耐摩耗性コンポーネント342および344の未使用テークアップまたは盲孔45に固定することができる。耐摩耗性コンポーネント341および343も同様の方法で安定化コンポーネント(図示せず)により接続することができる。
【0073】
凝縮ユニット320は、耐摩耗性コンポーネント341、342、343、および344を予め製作し、有利には全ての機械加工が完成しているように製造することが有利である。耐摩耗性コンポーネントのためのテークアップ26を備えた保持装置25も予め製作される。耐摩耗性コンポーネント341、342、343、344のテークアップ45の寸法は、間に遊びが存在するようにテークアップ26と整合される。耐摩耗性コンポーネントは、物質対物質結合を達成するように、接着剤結合によって保持装置25に固定される。シリンダの周面に適合された凸状湾曲面を有する補助装置が結合プロセスのために使用される。シリンダの直径は、ドラフト・ユニット・ローラ3の直径にできる限り正確に一致する。ここで、テークアップ26および/またはテークアップ45の領域に接着剤が塗布される。次いで耐摩耗性コンポーネント341、342、343、344が保持装置25に取り付けられる。ピン53および55上に盲孔45が摺設される。軟質接着剤のため依然として可動である耐摩耗性コンポーネント341、342、343、および344を含む凝縮ユニット320は、補助装置のシリンダの周面に適合された凸状湾曲面上に載置される。それらが載置される間に、耐摩耗性コンポーネント341、342、343、344はそれらの接触面331、332、333、334を、後でドラフト・ユニット・ローラ3に対応するシリンダ面に向き付け、耐摩耗性コンポーネントを相互に調整させる。接着剤が硬化し、耐摩耗性コンポーネントが保持装置25に固定されるまで、凝縮ユニット320はこの状態で支持される。接着剤が硬化すれば、凝縮ユニット320は多くの場合、動作する準備ができている。特定の用途の場合、特に凝縮ユニット320の特に高レベルの精度が要求される場合、凝縮ユニット320とドラフト・ユニット・ローラ3との接触を改善するために、耐摩耗性コンポーネント341、342、343、344が保持装置25に固定された後、支持面331、332、333、334を最終的に再研削することができる。
【0074】
凝縮ユニット320をトップローラ集合体に取り付けるために、板ばね58の形状の接続手段21が設けられる。板ばね58は同時に、支持面331、332、333、334に接触力を生成するための荷重要素である。板ばね58は、ねじ59によってトップローラ集合体18の基体19に固定される。ねじ59は、板ばね58および板ばね322をも基体19に一緒に固定することができる。支持面331、332、333、334への接触圧力を高めるために、凝縮ユニット320は破線で表される磁石29を含むことができる。
【0075】
凝縮ユニット320は、板ばね58のためのテークアップ28を含む。テークアップ28は、好ましくは筒状ピン63によって形成されるジョイントの形状で設計され、その周りに板ばねが湾曲される。板ばね58およびジョイント28は凝縮ユニット320を可動にし、トップローラ集合体18がボトムローラ3上に載置されたときに支持面331、332、333、および334が周面13上に確実に位置するように、調整することができる。ジョイント28のピンの周りに湾曲された板ばね58は、凝縮ユニット320がトップローラ集合体18から落ちるのを防止する。この結果、固定装置52は荷重要素58によって形成される。凝縮ユニット320のコンポーネント群は荷重要素58を含むことが有利である。したがって板ばね58は凝縮ユニット320と共に供給され、その荷重力はこの特定の凝縮ユニット320の要件に合わせて調整することができる。
【0076】
凝縮ユニット320は、凝縮ユニット320を周方向Cに位置決めするための停止面51を含み、前記停止面51は耐摩耗性コンポーネント341および342の間の中心に配置することが有利である。図示しない実施形態では、2つの耐摩耗性コンポーネント341および342の間に対称的に配置される、相互に離れた2つの停止面51を設けることができる。停止面51は基体19またはアクスル17に支持される。停止面51を基体19上に支持するための表面61は、それがトップ・ローラ・アクスル17の中心線の周りに一定半径を含むように設計される。これは結果的に、トップローラ4、15、特にトップローラ4のコットが摩耗した場合に再研削されたときに、凝縮ユニット320のさらに正確な位置決めを確実にする。
【0077】
凝縮ユニット320の実施形態では、加工糸10および10´のために2つの案内面24および24´を設けることができる。凝縮ユニット320の保持装置25は、案内面24、24´受容する目的のために、破線で示すように凝縮チャネル14、14´の下流で拡大される。案内面24、24´は、保持装置25内に挿設されたバー60によって有利に形成することができる。図示しない実施形態では、保持装置25に固定される別個の耐摩耗性コンポーネントに案内面24、24´を配置することも有利になり得る。案内面24、24´を有する耐摩耗性コンポーネントは、ドラフト・ユニット・ローラ3のための支持面をも含むことができ、耐摩耗性コンポーネント341と同様に設計しかつ固定することができる。
【0078】
図示しない代替的実施形態では、凝縮ユニット320をトップローラ集合体18の基体19に旋回するように配置することができる。図3で停止面51が配置された領域に、接続手段として凝縮ユニット320を基体19に接続するシリンダピンを配置することができる。凝縮ユニット320はピンの中心線の周りを旋回することができる。凝縮ユニット320がピンに固定される場合、凝縮ユニット320は2つの支持面331および332を含むだけで充分であり得る。案内面23および23´の領域の接触面333および334は、必要ならば省くことができる。接触面333および334が省かれる場合、案内面23および23´は多少延長されるバー56の外周によって直接、有利に形成することができる。その場合、例えば硬化鋼製のバー56は、保持装置25に取り付けられた耐摩耗性コンポーネントを形成する。代替的に、凝縮ユニット320をアクスル17に回動設置することも有利になり得る。
【0079】
凝縮ユニット620の第3実施形態を図6および図7に示す。凝縮ユニット620は、1つのドラフトユニット1だけに割り当てられ、すでにドラフトされた繊維ストランド11のための凝縮チャネルを含む。凝縮ユニット620は、凝縮チャネル14の領域に配置されるドラフト・ユニット・ローラ3上に凝縮ユニット620を位置決めするための支持面631を含む。支持面631は凹状に湾曲し、周面13に適合される。凝縮ユニット620はマルチパートコンポーネントとして設計され、保持装置25と、保持装置25に対して動くことができないように保持装置25に固定される耐摩耗性コンポーネント641とを含む。支持面631は耐摩耗性コンポーネント641に配置される。
【0080】
凝縮ユニット620は、周方向Cに接触面631から離れて位置するドラフト・ユニット・ローラ3のためのさらなる支持面633を含む。接触面633は平面または凸面とすることができる。接触面633は耐摩耗性コンポーネント643上に配置することが有利である。代替的に、接触面633は、耐摩耗性コンポーネント643無しで凝縮ユニット620に直接配置することができる。耐摩耗性コンポーネント641および643の固定は、他の図に関連してすでに説明した通り、有利に実行される。
【0081】
凝縮ユニット620の支承安定性を改善するために、耐摩耗性コンポーネントにも有利に配置される第3支持面632(破線で示す)を設けることが有利になり得る。支持面631、632、633および荷重要素27は、支持面631、632、および633の中心点間の最短可能な接続線によって形成される図7の仮想領域内に荷重要素が位置するように、相互に対して配置することが有利である。
【0082】
凝縮ユニット620は単一ドラフトユニット1だけのために設計され、その結果、ドラフトユニット1で発生するどんな障害も隣接ドラフトユニット1´に伝達されないという利点を有する。しかし、他の実施形態の場合と同様に、2つの隣接するドラフトユニット1、1´のためのトップローラ集合体18が設けられる。トップローラ集合体18には、相互に鏡面対称に設計されることが有利である、2つの分離した凝縮ユニット620および620´が配置される。凝縮ユニット620および620´は、各々が独立して可動であるようにトップローラ集合体18上に配置される。
【0083】
凝縮ユニット620をトップローラ集合体18に取り付けるための手段21が設けられ、それは滑り案内50、固定装置としての固定要素52、および支持面631、633に対する接触力を発生させるための荷重要素としてのつる巻き圧縮ばね27を含む。
【0084】
代替的実施形態では、滑り案内50は省くことができる。凝縮ユニット620は接続手段21´によりツイン・トップ・ローラ15のアクスル17に取付け、図6に破線で示すようにアクスル17の周りを旋回することができる。滑り案内50の一部として停止面51の代わりに、停止面51´が周方向Cに凝縮ユニット620を位置決めするために設けられ、外停止面51´はアクスル17に支持される。この場合、支持面632は省くことができるが、ばね27および固定装置52は図示する通り維持される。
【0085】
1実施形態では、凝縮ユニット620は、繊維ストランド2のための案内面23および/または糸10のための案内面24を含むことができる。案内面23および24は、他の図に関連して上述した実施形態と同様に設計することができる。また、支持面633を案内面23の領域に配置し、耐摩耗性コンポーネント343と同様の耐摩耗性コンポーネントを設けることも有利になり得る。
【0086】
耐摩耗性コンポーネント641は、張り出すように凝縮ユニット620に固定される。その結果、凝縮ユニット620を取り付けるための手段21は、耐摩耗性コンポーネント641の支持面631とは反対側のツイン・トップ・ローラ4および15のコット間より多くの空間が存在する、ドラフトユニット1、1´間の領域に配置することができる。
【0087】
これまでの全ての実施形態では、1つのドラフトユニット1における単一繊維ストランド2の処理を記載した。しかし、公知の方法で、複数の繊維ストランドを、特に2つの繊維ストランドを1つのドラフトユニット1で一緒にドラフトすることが可能である。ニップライン5には、すでにドラフトされ凝縮ゾーン12を別々に案内される2つの繊維ストランド11が相互に離れて存在する。その場合、2つの隣接する繊維ストランド11を凝縮する2つの凝縮チャネル14が凝縮ゾーン12に設けられる。別々に凝縮された2つの繊維ストランド11は、ニップライン16のすぐ下流のジョイント加撚装置に給送され、加撚されて2重スピン撚糸になる。記載した凝縮ユニット20における凝縮チャネル14および案内面23の数は、言うまでもなく、そのような2重スピン撚糸の生産に適応させることができる。すでにドラフトされた繊維ストランド11の凝縮のために、様々な形の凝縮チャネル14が公知である。凝縮チャネル14およびその案内壁46の形状の選択は、用途およびドラフトユニットで処理される繊維ストランドのタイプに従って行なわれる。
【0088】
凝縮ユニット20をトップローラ集合体18に取り付けるための上述の種々の手段21、および耐摩耗性コンポーネントの接合プロセスは当然、必要に応じて組み合わせることができることを言明する。
【0089】
図示しない実施形態では、凝縮ユニット20は上述の通り、耐摩耗性コンポーネント41、42、43、44無しで一体品として設計することができる。特に、図1および2に示した凝縮ユニット120は、耐摩耗性プラスチックを適用する場合、支持面131、132、および133が凝縮ユニット120に直接配置されるように設計することができる。凝縮ユニット320はまた、支持面331、332、333、および334を備えた一体品として設計することもできる。一体品設計の場合、凝縮ユニット20は射出成形部品としてプラスチック材料から製造することが有利である。耐摩耗性を改善するために、プラスチックは追加物質、例えばガラス繊維またはガラスビーズを含むことができる。一体品設計の凝縮ユニット20の場合、凝縮チャネル14および案内面23を直接一体化することもできる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
すでにドラフトされた繊維ストランドのための少なくとも1つの凝縮チャネルを含み、かつ支持面が凝縮チャネルの領域に配置されかつ凝縮チャネルが支持面に対して開口するように、凝縮ユニットをドラフト・ユニット・ローラ上に位置決めするための支持面を含む、繊維機械のドラフトユニット用の凝縮ユニットにおいて、凝縮ユニット(20)がドラフト・ユニット・ローラ(3)のための少なくとも1つのさらなる支持面(33)を含み、前記支持面(33)がドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に凝縮チャネル(14)の領域の支持面(31)から離れて位置し、ドラフト・ユニット・ローラ(3)がこれら支持面(31,33)と接触することができることを特徴とする凝縮ユニット。
【請求項2】
凝縮チャネル(14)の領域の支持面(31)から離れて位置する支持面(33)が凸状または平面状に設計されている、請求項1に記載の凝縮ユニット。
【請求項3】
凝縮ユニット(20)が、凝縮ユニット(20)をトップローラ集合体(18)の基体(19)に取り付けるための手段(21)を含む、請求項1または2に記載の凝縮ユニット。
【請求項4】
凝縮ユニット(20)が、繊維ストランド(2)のための少なくとも1つの案内面(23)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項5】
凝縮ユニット(20)が、少なくとも支持面(31,33)を有する一体品で設計される、請求項1〜4のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項6】
凝縮ユニット(20)が複数部品コンポーネントとして設計される、請求項1〜4のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項7】
凝縮ユニット(20)が保持装置(25)および少なくとも1つの耐摩耗性コンポーネント(41)を含む、請求項6に記載の凝縮ユニット。
【請求項8】
耐摩耗性コンポーネント(41)が物質対物質結合によって、特に接着剤物質によって保持装置(25)に固定される、請求項7に記載の凝縮ユニット。
【請求項9】
ドラフト・ユニット・ローラ(3)用の支持面(31;33)が耐摩耗性コンポーネント(41)に配置される、請求項7または8に記載の凝縮ユニット。
【請求項10】
すでにドラフトされた繊維ストランド(11)のための凝縮チャネル(14)が耐摩耗性コンポーネント(41)に配置される、請求項7〜9のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項11】
繊維ストランド(2)のための案内面(23)が耐摩耗性コンポーネント(343)に配置される、請求項7〜10のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項12】
凝縮ユニット(620)が2つの支持面(631,633)を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項13】
凝縮ユニット(20)が少なくとも3つの支持面(31,32,33)を含み、2つの支持面(31,33)がドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に見ると相互に離れて位置し、そのドラフト・ユニット・ローラ(3)が支持面(31,32,33)と接触することが可能であり、2つの支持面(31,32)がドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見ると相互に離れて位置し、そのドラフト・ユニット・ローラ(3)が支持面(31,32,33)と接触することが可能である、請求項1〜11のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項14】
凝縮ユニット(120;320)が、隣接するドラフトユニット(1,1′)のすでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための少なくとも2つの凝縮チャネル(14,14′)を含み、凝縮ユニット(120;320)が凝縮チャネル(14,14′)の領域に第1(131;331)および第2(132;332)支持面を含み、凝縮ユニット(120;320)が、ドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に見ると第1(131;331)および第2(132;332)支持面から離れて位置する、少なくとも1つのさらなる支持面(133;333;334)を含む、請求項13に記載の凝縮ユニット。
【請求項15】
凝縮ユニット(120)が保持装置(25)および2つの耐摩耗性コンポーネント(141,142)を含み、すでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための少なくとも1つの凝縮チャネル(14,14′)、およびドラフト・ユニット・ローラ上に凝縮ユニット(120)を位置決めするための支持面(131;132)が各耐摩耗性コンポーネント(141,142)に配置され、凝縮ユニット(120)がドラフト・ユニット・ローラ(3)のための少なくとも1つのさらなる支持面(133)を含み、それが耐摩耗性コンポーネント(141,142)から離れて位置する、請求項13または14に記載の凝縮ユニット。
【請求項16】
凝縮ユニット(120)がドラフト・ユニット・ローラ(3)のための3つの支持面(131;132;133)を含み、第1支持面(131)が、支持面(131,132,133)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)のみに第2支持面(132)から離れて位置し、第3支持面(133)が、支持面(131,132,133)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に第2および第3支持面(131,132)から離れて位置し、第3支持面(133)が、支持面(131,132,133)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見ると第1(131)および第2(132)支持面の間のほぼ中央に配置される、請求項13〜15のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項17】
凝縮ユニット(320)がドラフト・ユニット・ローラ(3)のための4つの支持面(331,332,333,334)を含み、該支持面が相互に離れて位置する、請求項13〜15のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項18】
第1支持面(331)が、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)のみに第2支持面(332)から離れて位置し、第3支持面(33)が、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)のみに第4支持面(334)から離れて位置し、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見ると第3(333)および第4(334)支持面が相互に、第1(331)および第2(332)支持面の相互の距離とほぼ同じ距離に位置する、請求項17に記載の凝縮ユニット。
【請求項19】
凝縮ユニット(320)が第3および第4支持面(333,334)の領域に繊維ストランド(2)のための少なくとも1つの案内面(23)を含む、請求項17または18に記載の凝縮ユニット。
【請求項20】
凝縮ユニット(320)が、すでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための2つの凝縮チャネル(14,14′)および繊維ストランド(2,2′)のための2つの案内面(23,23′)を含む、請求項15〜19のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項21】
繊維ストランド(2,2′)のための2つの案内面(23,23′)が、支持面(331,332,333,334)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の軸方向(D)に見るとすでにドラフトされた繊維ストランド(11,11′)のための2つの凝縮チャネル(14,14′)とほぼ同じ相互間距離を有する、請求項20に記載の凝縮ユニット。
【請求項22】
凝縮ユニット(320)が保持装置(25)および4つの耐摩耗性コンポーネント(341,342,343,344)を含み、ドラフト・ユニット・ローラ(3)上に凝縮ユニット(320)を位置決めするための支持面(331;332,333;334)が各耐摩耗性コンポーネント(341;342;343;344)に配置され、2つの耐摩耗性コンポーネント(341,342)がすでにドラフトされた繊維ストランド(11)のための少なくとも1つの凝縮チャネル(14)を含み、2つの耐摩耗性コンポーネント(343;344)が繊維ストランド(2)のための少なくとも1つの案内面(23)を含む、請求項17〜21のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項23】
1つの支持面(31)が凹状に湾曲し、それによって湾曲がシリンダの周面に適合される、請求項1〜22のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項24】
少なくとも2つの支持面(31,33)が凹状に湾曲し、それによって全ての湾曲が共通シリンダの周面に適合される、請求項23に記載の凝縮ユニット。
【請求項25】
凝縮ユニット(20)が、支持面(31,33)と接触させることのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)に凝縮ユニット(20)を位置決めするための少なくとも1つの停止面(51)を含む、請求項1〜24のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項26】
凝縮ユニット(320)が耐摩耗性コンポーネント(341;342;343;344)を受容するためのバー(54;56)を含む、請求項1〜25のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項27】
凝縮ユニット(320)が連続バー(54;56)を含み、該バーが、2つの隣接ドラフトユニット(1,1′)に割り当てられた2つの耐摩耗性コンポーネント(341,342)間に延び、その端部(53)が耐摩耗性コンポーネント(341,342)内に突出する、請求項26に記載の凝縮ユニット。
【請求項28】
バー(54;56)が、少なくとも1つの領域で直径が2mm以上、特に3mm以上である、請求項27に記載の凝縮ユニット。
【請求項29】
凝縮ユニット(20)が、支持面(31,33)に接触力を発生させるための荷重要素(27;29;58)のための少なくとも1つのテークアップ(28)を含む、請求項1〜28のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項30】
凝縮ユニット(20)が、支持面(31,33)に接触力を発生させるための少なくとも1つの荷重要素(29;58)を含む、請求項1〜29のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項31】
荷重要素がばね(58)であり、それが凝縮ユニット(320)に接続されている、請求項30に記載の凝縮ユニット。
【請求項32】
荷重要素が磁石(29)である、請求項30または31に記載の凝縮ユニット。
【請求項33】
2つの支持面(31,33)間の周方向(C)の距離が5mm超であり、特に約7.5mm〜9.5mmである、請求項1〜32のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項34】
凝縮ユニット(20)の支持面(31,33)が、14mm未満、特に8mm未満の、支持面(31,33)と接触することのできるドラフト・ユニット・ローラ(3)の周方向(C)の長さを有する、請求項1〜33のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項35】
凝縮ユニット(20)の凹状支持面(31)が、凹状支持面(31)の中心線に垂直な各断面で見ると、14mm未満、特に8mm未満の曲線長を有する、請求項1〜34のいずれかに記載の凝縮ユニット。
【請求項36】
基体と、基体に受容される2つのツイントップローラとを含む繊維機械のドラフト・ユニット用のトップローラ集合体であって、トップローラ集合体(18)が請求項1〜35のいずれかに記載の少なくとも1つの凝縮ユニット(20)を含み、凝縮ユニット(20)がトップローラ集合体(18)に移動可能な方法で取り付けられている、トップローラ集合体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518961(P2011−518961A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505414(P2011−505414)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002878
【国際公開番号】WO2009/129986
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(506290730)シュピンデルファブリク・ズッセン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (4)
【Fターム(参考)】