説明

缶シーマの缶蓋搬送装置

【課題】缶蓋をプッシャにて押しながら安定して搬送することが可能な缶シーマの缶蓋搬送装置を提供する。
【解決手段】缶蓋201を収容する複数のポケット6aが外周に並べて設けられたカバーフィードターレット6を有し、カバーフィードターレット6を回転させて各ポケット6aに取り込まれた缶蓋201を、シーミングターレットに取り込まれる缶胴上まで搬送する缶シーマの缶蓋搬送装置1において、カバーフィードターレット6の各ポケット6aの回転方向後端側に、缶蓋201の外周201aに回転方向の後方から接触するプッシャ30をその取付部31がカバーフィードターレット6の上面と重ね合わされるようにして取り付ける。プッシャ30の下端側には、取付部31よりも下方に延ばされてポケット6aの内周面と重なり合う舌部32aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶胴の上端部に缶蓋を巻き締めて固定する缶シーマの缶蓋搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
缶胴に缶蓋を巻き締め固定する缶シーマの一部を構成する装置として、カバーフィードターレットの外周に設けられた半円弧状のポケット(ガイド溝)に缶蓋を一枚ずつ取り込み、カバーフィードターレットの回転を利用して各缶蓋をポケット内のプッシャ(押送部)にて背後から押しながらシーミングターレットの缶胴取り込み位置まで順次搬送し、その缶胴取り込み位置にて缶蓋をポケットから缶胴上に載置する缶蓋搬送装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−105733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の缶蓋搬送装置においては、ポケットの上端付近で缶蓋の外周を保持し、プッシャはカバーフィードターレットの上面側に取り付けられていることがある。この場合、従来のプッシャはそのカバーフィードターレットに対する取付部から上方に限定して延ばされているため、ポケットの内周面側に缶蓋がずれたときに缶蓋がプッシャの下方に潜り込み、缶蓋の缶胴への供給に異常が発生する等の不具合が生じることがあった。
【0005】
そこで、本発明は缶蓋をプッシャにて押しながら安定して搬送することが可能な缶シーマの缶蓋搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の缶蓋搬送装置は、缶蓋(201)を収容する複数のポケット(6a)が外周に並べて設けられたカバーフィードターレット(6)を有し、前記カバーフィードターレットを回転させて各ポケットに取り込まれた缶蓋を、シーミングターレット(105)に取り込まれる缶胴(200)上まで搬送する缶シーマの缶蓋搬送装置(1)であって、前記カバーフィードターレットの各ポケットの回転方向後端側には、前記缶蓋の外周(201a)に前記回転方向の後方から接触するプッシャ(30)がその取付部(31)を前記カバーフィードターレットの上面と重ね合わせるようにして取り付けられ、前記プッシャの下端側には、前記取付部よりも下方に延ばされて前記ポケットの内周面と重なり合う舌部(32a)が設けられているものである。
【0007】
本発明の缶蓋搬送装置によれば、プッシャの舌部が、プッシャの取付部よりも下方に延ばされてポケットの内周面と重なり合っているので、取付部よりも上方に限定してプッシャを設けた場合と比較して、プッシャが缶蓋の外周と接触し得る範囲を下方に拡大することができる。それにより、プッシャの下方に缶蓋が潜り込むおそれを低減して、缶蓋を安定的に搬送し、缶蓋のずれに起因する不具合の発生を抑えることができる。
【0008】
本発明の一形態において、前記ポケットの内周面には不活性ガスを缶胴内に導入するためのガス導入穴(24)が開口し、前記舌部は前記ガス導入穴よりも上方の領域に限って設けられてもよい。缶蓋はガス導入穴よりも上方の領域に保持されるので、その上方の領域に舌部が存在すれば缶蓋との接触には必要にして十分である。
【0009】
また、前記舌部の前記ポケット内周面からの突出量を下方に向かうほど減少させてもよい。缶胴が缶胴に載せられる領域ではプッシャもまた缶胴に接近するが、舌部の突出量が下方ほど減少している場合には、舌部と缶胴とが接触するおそれが低減される。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明によれば、プッシャに、その取付部よりも下方に延ばされてポケットの内周面と重なり合う舌部を設けたので、プッシャの下方に缶蓋が潜り込むおそれを低減して、缶蓋を安定的に搬送し、缶蓋のずれに起因する不具合の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一形態に係る缶蓋搬送装置が組み込まれた缶シーマの概略を示している。缶シーマ100は、缶蓋搬送装置としてのカバーフィード部1、シーマ本体101及びディスチャージターレット102を備えている。搬入コンベア103にて図中の矢印F方向に搬送される缶胴200は、シーマ本体101に設けられたリフタープレート104上に搬入され、シーミングターレット105により図中の矢印Rs方向に搬送される。カバーフィード部1にはシーミングターレット105と平行な軸線を中心として回転するカバーフィードターレット6が設けられている。カバーフィードターレット6は、その外周に複数のポケット6aを有している。ポケット6aは概略半円筒状である。
【0013】
各ポケット6aには、缶蓋マガジン106から缶蓋201が順次供給される。缶蓋201は、ポケット6aの上端部に保持されつつカバーフィードターレット6の回転に伴って図中の矢印Rg方向に搬送される。リフタープレート104に対する缶胴200の取り込み位置にて缶蓋201が缶胴200の上部に被せられる。これと同期して、カバーフィードターレット6のポケット6a内から缶胴200内のヘッドスペースに不活性ガスが吹き込まれる。この後、缶蓋201はシーミングチャック107及びノックアウトパッド108によって缶胴200の上端開口部に嵌め合わされ、続いて、第1のシーミングロール109及び第2のシーミングロール110により缶胴200に巻き締められる。缶蓋201が巻き締められた缶胴200はシーミングターレット105からディスチャージターレット102へと渡されて図中の矢印Rd方向に搬送され、さらにそのディスチャージターレット102から搬出コンベア111へと搬出される。なお、カバーフィードターレット6は、不活性ガスを供給する機能を備えているために、ガスターレットと呼ばれることがある。
【0014】
図2は、缶シーマ100のカバーフィード部1を中心とした部分断面図である。カバーフィード部1にはスピンドル10が設けられている。スピンドル10は缶シーマ100のフレーム11に軸受12、13を介して回転自在に取り付けられ、不図示の駆動機構により上下方向の軸線CL1を中心として回転駆動される。カバーフィードターレット6は、そのスピンドル10の下端部に一体回転可能に取り付けられて抜け止め部14により軸線方向に固定されている。カバーフィードターレット6の一方の側(図2では右側)には、缶蓋供給ユニット15が設けられている。缶蓋供給ユニット15は、図1に示す缶蓋マガジン106を含み、その缶蓋マガジン106から缶蓋201を一枚ずつ取り出してカバーフィードターレット6のポケット6aに供給する。さらにカバーフィードターレット6には、ポケット6aに取り込まれた缶蓋201を押すためのプッシャ30がポケット6a毎に設けられている。プッシャ30の詳細は後述する。カバーフィード部1には、ポケット6a内に不活性ガスを供給する機構が組み込まれているが、その図示は省略した。
【0015】
カバーフィードターレット6の他方の側(図2では左側)には、図1に示すシーマ本体101が配置されている。そのシーマ本体101にはメインスピンドル18が設けられている。シーミングターレット105は、そのメインスピンドル18の外周に一体回転可能に取り付けられ、その外周には缶胴200を受け入れるポケット18aが周方向に一定のピッチで設けられている。シーマ本体101のリフタープレート104上に搬入された缶胴200は、ポケット18aに取り込まれ、メインスピンドル18の回転駆動により軸線CL2の回りに搬送される。ポケット18aの上方には、シーミングスピンドル20がさらに設けられている。シーミングスピンドル20は、リフタープレート104に搭載される缶胴200と同軸上に位置し、軸受21により軸線CL3の回りに回転自在に支持されている。カバーフィードターレット6から缶胴200上に缶蓋201が供給されると、リフタープレート104が上昇して缶蓋201にシーミングスピンドル20が押し当てられる。その状態で、シーミングスピンドル20の軸線CL3の回りに回転駆動されることにより、缶胴200と缶蓋201とが軸線CL3の回りに回転してシーミングロール109、110(図1参照)による缶蓋201の巻き締めが行われる。
【0016】
図3は、カバーフィードターレット6の外周を斜め下方から見た状態を示している。カバーフィードターレット6は、フィードプレート22の上面にカバー23を重ね合わせた構成を有している。ポケット6aの内部には、不活性ガスを導入するための多数のガス導入穴24がポケット6aの周方向に沿って並ぶように開口している。これらのガス導入穴24は、フィードプレート22の上面側に設けられた溝部をカバー23で上方から閉じることによって形成されている。ポケット6aの奥側には缶蓋保持溝25aを有する保持プレート25が設けられている。一方、カバーフィードターレット6の回転方向(矢印Rg方向)に関してポケット6aの後端側には上述したプッシャ30が取り付けられている。プッシャ30はカバー23の上面に取り付けられている。ポケット6aに取り込まれた缶蓋201は、その外周201aがポケット6aの奥側にて保持プレート25の缶蓋保持溝25aに嵌め込まれ、かつ回転方向後端側がプッシャ30に突き当てられることによりポケット6a内でかつガス導入穴24よりも上方の位置に保持される。ポケット6a内に保持されている缶蓋201の外周201aは、カバー23の上面よりも上方の位置に保持される。
【0017】
図4及び図5は、プッシャ30の付近の拡大図である。プッシャ30は、カバー23の上面に取り付けられるプレート状の取付部31と、その取付部31の一端に一体に設けられた当接部32とを有している。取付部31は、その下面側に設けられた凸部31aがカバー23の上面の凹部23aに嵌め合わされることにより、ポケット6aの半径方向に移動不能な状態でカバー23に固定されている。一方、当接部32は、取付部31の一端から上下方向に延ばされ、かつポケット6aの半径方向に関してはポケット6aの内周面よりも内側に突出する。当接部32の取付部31よりも下側の領域は、カバー23の上面よりも下方に延びてポケット6aの内周面に重ね合わされる舌部32aとして設けられている。舌部32aは、フィードプレート22とカバー23との接合位置(図中にP−P線で示す。)とほぼ同程度まで下方に延ばされている。言い換えれば、舌部32aはガス導入穴24よりも上方の領域に限って設けられている。舌部32aの厚さは下方ほど薄くなるように設定されている。つまり、カバー23の上面から下方に向かうほど舌部32aのポケット6aの内周面からの舌部32aの突出量が減少する。
【0018】
以上の構成によれば、プッシャ30の当接部32に舌部32aが設けられることにより、取付部31から上方に限って当接部32を設ける場合と比較して、プッシャ30が缶蓋201の外周と当接し得る範囲をそのプッシャ30の取付部31よりも下方に拡大することができる。これにより、プッシャ30にて缶蓋201の外周を押し込む際に、缶蓋201が滑ってプッシャ30よりも下方へ潜り込むおそれを低減することができる。そのため、搬送途中での缶蓋201の安定性を高め、缶蓋201のプッシャ30からの外れに起因する缶蓋201の供給不良といった不具合の発生を抑えることができる。舌部32aの厚さが下方ほど薄く設定されているため、缶蓋201を缶胴200上に供給する際に、舌部32aが缶胴200の外周に接するおそれを低減することができる。さらに、缶蓋201の外周201aがガス導入穴24よりも上方に保持されることに対応して、舌部32aもガス導入穴24よりも上方の領域に限って設けられているので、舌部32aが缶蓋201の外周と接触するために必要にして十分な範囲に存在することとなり、無駄がない。
【0019】
本発明は上述した形態に限ることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、プッシャ30の取付部31は、その取付相手となるカバーフィードターレット6の上面側の形状に応じて適宜に変形してよい。プッシャ30の周方向の幅は適宜に設定してよい。舌部32aの幅を下方に向かうほど漸次減少させてもよい。本発明の缶蓋搬送装置が適用される缶シーマの構成も適宜に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一形態に係る缶蓋搬送装置が適用された缶シーマ装置の概要を示す斜視図。
【図2】缶シーマのカバーフィード部を中心とした部分断面図。
【図3】カバーフィードターレットの外周を斜め下方から見た状態を示す図。
【図4】プッシャの取付部分をポケットの外側から見た状態を示す図。
【図5】プッシャをポケットの内周と対向する側から見た状態を示す図。
【符号の説明】
【0021】
1 カバーフィード部(缶蓋搬送装置)
6 カバーフィードターレット
6a ポケット
20 シーミングスピンドル
22 フィードプレート
23 カバー
24 ガス導入穴
30 プッシャ
31 取付部
32 当接部
32a 舌部
100 缶シーマ
101 シーマ本体
102 ディスチャージターレット
104 リフタープレート
105 シーミングターレット
106 缶蓋マガジン
107 シーミングチャック
108 ノックアウトパッド
109、110 シーミングロール
200 缶胴
201 缶蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋を収容する複数のポケットが外周に並べて設けられたカバーフィードターレットを有し、前記カバーフィードターレットを回転させて各ポケットに取り込まれた缶蓋を、シーミングターレットに取り込まれる缶胴上まで搬送する缶シーマの缶蓋搬送装置であって、
前記カバーフィードターレットの各ポケットの回転方向後端側には、前記缶蓋の外周に前記回転方向の後方から接触するプッシャがその取付部を前記カバーフィードターレットの上面と重ね合わせるようにして取り付けられ、前記プッシャの下端側には、前記取付部よりも下方に延ばされて前記ポケットの内周面と重なり合う舌部が設けられている缶シーマの缶蓋搬送装置。
【請求項2】
前記ポケットの内周面には不活性ガスを缶胴内に導入するためのガス導入穴が開口し、前記舌部は前記ガス導入穴よりも上方の領域に限って設けられている請求項1に記載の缶蓋搬送装置。
【請求項3】
前記舌部の前記ポケット内周面からの突出量が下方に向かうほど減少する請求項1又は2に記載の缶蓋搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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