説明

置場運用制約判定方法および置場運用制約判定装置

【課題】置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画が、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約に違反しない実行可能な処理計画か否かを判定すること。
【解決手段】置場運用制約判定装置は、データベース3から、注文ファイル31、置場状態ファイル33、処理順序ファイル35および運用制約マスタ37を順次読み出して入力する。続いて、処理順序に従って板状製品を置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を仮想的に再現しながら、処理順序毎に、該当する処理順序の板状製品を取り出す時点で対象設備において処理されている板状製品の属性に応じた運用制約条件を用い、該当する処理順序の板状製品を取り出す際のハンドリング操作の制約違反を判定する。そして、判定結果を判定結果ファイル39としてデータベース3に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画の置場運用制約判定方法および置場運用制約判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板状の鉄鋼製品(板状製品)の製造工程は、一般に複数の工程で構成され、最終的な製品が製造されるまでの途中で発生する中間製品等の板状製品を工場内に設けられた置場に段積みして仕掛在庫として一時保管する置場運用が行われている。置場に段積みされた板状製品は、次工程での処理順序を定めた処理計画に従って順次取り出され、次工程での処理を実施する対象設備に移送される。したがって、生産性の向上のためには、処理計画に従った処理を実行可能な効率の良い置場運用が求められる。すなわち、例えば、処理計画は、板厚等の属性が同じまたは類似する板状製品を連続して処理する処理順序となるように、且つ、各板状製品が次工程での処理時間に応じた装入間隔で対象設備に装入されるように計画される。このため、置場における板状製品の段積みは、属性が同じまたは類似する板状製品毎に行うのが望ましい。ここで、特許文献1には、製造ラインの途中に設けられた自動倉庫において、種類の異なる複数の遊技盤を種類毎に別々のエリアに段積みして保管する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4374541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プロセス分岐型産業である鉄鋼業では、スケールメリットを追求して上流工程でまとめ作りした素材を下流の複数工程に分配してさらに作り込んでゆき、最終的に需要家の仕様に沿った製品として仕上げる。このため、置場に到着する板状製品の種類(属性)は多岐にわたり、置場面積の制約上、属性毎に板状製品を段積みしておくのは困難である。
【0005】
一方で、属性の異なる板状製品を混在させて置場に段積みしてしまうと、次に処理する目的の板状製品が、段積みされた山の下の方に埋もれた状態が発生し得る。このような場合、目的の板状製品を置場から取り出すハンドリング操作は、目的の板状製品だけでなく、その上に積み重ねられた全ての板状製品に及ぶ。ここで、上記したように、処理計画は、各板状製品がその処理時間に応じた装入間隔で対象設備に装入されるように作成される。このため、置場における板状製品の段積み状態(置場状態)によっては、目的の板状製品を置場から取り出すハンドリング操作が間に合わず、処理計画が実行不可能な場合も発生する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画が、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約に違反しない実行可能な処理計画か否かを判定することができる置場運用制約判定方法および置場運用制約判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる置場運用制約判定方法は、置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画の置場運用制約判定方法であって、前記板状製品の属性と、該板状製品の前記置場における段積順序とを入力する置場状態入力工程と、前記板状製品の前記処理順序を入力する処理順序入力工程と、前記置場から前記板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約を前記板状製品の属性毎に定めた運用制約条件を入力する制約条件入力工程と、前記処理順序に従って前記板状製品を前記置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を前記段積順序をもとに仮想的に再現しながら、前記処理順序毎に、前記取り出す時点で前記対象設備において処理されている前記板状製品の属性に応じた前記運用制約条件を用いて前記取り出す際のハンドリング操作の制約違反を判定する置場運用制約判定工程と、前記判定の結果を出力する判定結果出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる置場運用制約判定方法は、上記の発明において、前記置場運用制約判定工程は、1つ前の処理順序の前記板状製品の属性に応じた前記運用制約条件を用いて前記制約違反を判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる置場運用制約判定方法は、上記の発明において、前記置場は、前記板状製品が別々の山として段積みされる複数の置場で構成され、前記運用制約条件は、異なる置場から前記板状製品を取り出す場合の制約と、同一の置場から前記板状製品を取り出す場合の制約とを前記板状製品の属性毎に定めたものであり、前記置場運用制約判定工程は、今回判定する処理順序の前記板状製品の置場が、初期の置場状態の置場か否かおよび/または1つ前の処理順序の前記板状製品の置場と同一か否かに応じて前記運用制約条件を選択的に用い、前記制約違反を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる置場運用制約判定装置は、置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画の置場運用制約判定装置であって、前記板状製品の属性と、該板状製品の前記置場における段積順序とを入力する置場状態入力手段と、前記板状製品の前記処理順序を入力する処理順序入力手段と、前記置場から前記板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約を前記板状製品の属性毎に定めた運用制約条件を入力する制約条件入力手段と、前記処理順序に従って前記板状製品を前記置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を前記段積順序をもとに仮想的に再現しながら、前記処理順序毎に、前記取り出す時点で前記対象設備において処理されている前記板状製品の属性に応じた前記運用制約条件を用いて前記取り出す際のハンドリング操作の制約違反を判定する置場運用制約判定手段と、前記判定の結果を出力する判定結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約を板状製品の属性毎に定めておき、処理順序に従って板状製品を置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を段積順序をもとに仮想的に再現しながら、各処理順序において該当する板状製品を置場から取り出す際のハンドリング操作が、この取り出す時点で対象設備において処理されている板状製品の属性に応じた制約に違反するか否かを判定することができる。したがって、置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画が、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約に違反しない実行可能な処理計画か否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、製品置場運用システムの全体構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、置場内の板状製品を処理する対象設備を示す模式図である。
【図3−1】図3−1は、板厚が小さい板状製品の置場状態の一例を示す図である。
【図3−2】図3−2は、板厚が小さい板状製品が対象設備に装入されてから抽出されるまでの時間を示す図である。
【図3−3】図3−3は、図3−1に示す置場状態の板状製品について実行可能な処理計画の一例を示す図である。
【図4−1】図4−1は、板厚が大きい板状製品の置場状態の一例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、板厚が大きい板状製品が対象設備に装入されてから抽出されるまでの時間を示す図である。
【図4−3】図4−3は、図4−1に示す置場状態の板状製品について実行可能な処理計画の一例を示す図である。
【図5】図5は、置場運用制約判定処理の原理を説明する説明図である。
【図6】図6は、図5に示す処理順序として定められた処理計画を示す図である。
【図7】図7は、置場運用制約判定処理の原理を説明する他の説明図である。
【図8】図8は、図7に示す処理順序として定められた処理計画を示す図である。
【図9】図9は、置場運用制約判定処理の原理を説明する他の説明図である。
【図10】図10は、図9に示す処理順序として定められた処理計画を示す図である。
【図11】図11は、置場運用制約判定装置が行う処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、注文ファイルのデータ構成例を示す図である。
【図13】図13は、置場状態ファイルのデータ構成例を示す図である。
【図14】図14は、処理順序ファイルのデータ構成例を示す図である。
【図15】図15は、運用制約マスタのデータ構成例を示す図である。
【図16】図16は、置場運用制約判定処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は、判定結果ファイルのデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の置場運用制約判定方法および置場運用制約判定装置を実施するための形態について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0014】
図1は、本実施の形態における製品置場運用システム1の全体構成例を示すブロック図である。図1に示すように、製品置場運用システム1は、置場運用制約判定装置2と、データベース3と、端末4と、物流機器5とを含み、データベース3、端末4および物流機器5が置場運用制約判定装置2と接続されて互いにデータの送受が可能に構成されている。
【0015】
置場運用制約判定装置2は、CPU、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAM等の各種ICメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記憶媒体といった各種記憶装置、通信装置、表示装置や印刷装置等の出力装置、入力装置、各部を接続し、あるいは外部入力を接続するインターフェース装置等を備えた公知のハードウェア構成で実現でき、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータを用いることができる。この置場運用制約判定装置2は、置場に積み重ねられて仕掛在庫として一時保管される板状製品の段積み状態(置場状態)の推移を仮想的に再現しながら、置場内の板状製品の所定の対象設備における処理順序および各処理順序で処理される板状製品の対象設備への装入時刻を定めた処理計画が、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約に違反しない実行可能な処理計画か否かの判定処理(置場運用制約判定処理)を行う。ここで、板状製品の処理計画は、事前に計画されるものである。
【0016】
データベース3は、板状製品の置場運用に関するデータを記憶・管理する。このデータベース3には、図11等を参照して後述する注文ファイル31、置場状態ファイル33、処理順序ファイル35、運用制約マスタ37、判定結果ファイル39が記憶される。
【0017】
端末4は、置場運用制約判定装置2との間でデータ通信を行い、置場運用制約判定装置2が行った置場運用制約判定処理の結果等を表示する。この端末4は、例えばパソコン等で実現される。
【0018】
物流機器5は、置場内の板状製品を移送して対象設備に装入するためのクレーン等のハンドリング設備を含む。この物流機器5は、クレーンによって置場に段積みされた板状製品を積み替える等のハンドリング操作を必要に応じて行いながら、置場内の板状製品を処理計画が定める処理順序に従ってその装入時刻までに順次対象設備に移送・装入する。
【0019】
図2は、置場内の板状製品を処理する対象設備7を示す模式図である。対象設備7は、例えば熱処理炉であり、同時に複数の板状製品(図2では3つの板状製品P11,P12,P13)を処理(熱処理)する。板状製品P11,P12,P13は、この対象設備7に対し、例えば図2に向かって左端の装入側から順番に装入される(矢印A11)。そして、装入された板状製品P11,P12,P13は、熱処理されながら図2の右端側へと搬送され、所定の処理時間の熱処理の後、右端の抽出側から抽出される(矢印A13)。対象設備7での処理時間は、個々の板状製品P11,P12,P13の属性(例えば板厚)によって異なり、板厚に比例して処理時間も長くなる。
【0020】
したがって、連続して処理する板状製品の板厚変化が小さいと対象設備7において発生する待ち時間が低減され、能率が良い。このため、処理計画は、処理順序の連続する板状製品の板厚変化が小さくなるように計画される。そして、この処理計画を実現するため、置場への板状製品の段積みは、板厚が類似するグループ単位で行われる。例えば板厚が30mm以下であれば、±10mmの範囲内(20mm〜40mm)の板厚の板状製品群を同一グループとし、グループ単位で段積みされる。
【0021】
しかしながら、上流工程における製造ロット単位での処理に起因し、あるいは上流工程での処理で処理順序が前後した等の要因で、必ずしも板厚の類似する板状製品が望ましい順番で置場に到着するとは限らない。また、置場に到着した板状製品は、例えば板厚毎に別々の山として段積みされて保管されるが、工場内のスペースの制約から置場面積には限りがあるため、板厚が異なる板状製品が混在する状態で段積みされる状態が発生し得る。
【0022】
一方で、高能率操業のためには、各板状製品を、その処理時間に応じた装入間隔で順次対象設備7に装入していく必要がある。装入間隔が必要以上に長くなれば、その分対象設備7において待ち時間が発生してしまうためである。このため、処理計画では、各板状製品が対象設備7において処理中の板状製品の処理時間に応じた装入間隔で順次対象設備7に装入されるように、各々の装入時刻が定められる。ここで、次に対象設備7に装入する板状製品が段積みされた山の下段に存在する場合、その板状製品よりも上段の板状製品を例えば別の置場に積み替える等のハンドリング操作を行って目的の板状製品を取り出す必要がある。このとき、装入間隔が短いと、目的の板状製品を取り出す作業が間に合わないという問題が生じる。
【0023】
このため、処理計画の作成に際しては、板状製品の置場状態や個々の板状製品の処理時間(この処理時間は、本実施の形態では、板厚から想定する)等をもとに、作成した処理計画が実行可能か否かを判定する必要がある。
【0024】
ここで、板状製品の置場状態および板状製品の処理時間と実行可能な処理計画との関係について説明する。図3−1は、板厚が小さい板状製品P21〜P28の置場状態の一例を示す図である。なお、図3−1では、置場内に段積みされる1つの山を示しているが、実際の置場は例えば複数に区画され、区画された複数の置場のそれぞれに複数の板状製品が段積みされて保管されるようになっている。また、図3−2は、図3−1に示す置場状態の板状製品P21〜P28を上から順番に処理する場合において、各板状製品P21,P22,P23,P24・・・が対象設備7に装入されてから抽出されるまでの時間を示す図である。そして、図3−3は、図3−1に示す置場状態の板状製品P21〜P28について実行可能な処理計画の一例を示す図であり、横軸を処理順序、縦軸を積順として、板状製品P21〜P28の処理順序を示している。なお、ここでは、注目する板状製品が置場の最下段から数えて何枚目に位置するのかを示す値を積順としている。
【0025】
一方、図4−1は、板厚が大きい板状製品P31〜P35の置場状態の一例を示す図である。また、図4−2は、図4−1に示す置場状態の板状製品P31〜P35を上から順番に処理する場合において、各板状製品31,P32,P33・・・が対象設備7に装入されてから抽出されるまでの時間を示す図である。そして、図4−3は、図4−1に示す置場状態の板状製品P31〜P35について実行可能な処理計画の一例を示す図であり、横軸を処理順序、縦軸を積順として、板状製品P31〜P35の処理順序を示している。
【0026】
図3−1に示す置場状態の板厚の小さい板状製品P21〜P28を上から順番に処理する場合、図3−2の最上段に示すように、先ず、最上段の板状製品P21が対象設備7へと装入される。この板状製品P21は、対象設備7内で所定の処理時間T21の間処理された後、対象設備7から抽出される。また、板状製品P21が対象設備7に装入された後は、順次板状製品P22,P23,P24が対象設備7に装入されていく。ここで、処理計画では、対象設備7において待ち時間が生じないようにするために、例えば2番目に対象設備7に装入する板状製品P22の装入時刻t22は、前回対象設備7に装入した板状製品P21の装入時刻t21からの装入間隔T22が、対象設備7内で処理中の板状製品の処理時間(例えば前回対象設備7に装入した板状製品P21の処理時間T21)に応じた時間間隔となるように定められる。3番目以降に対象設備7に装入される板状製品P23,P24についても同様である。そして、図3−2の例では、1番目に対象設備7に装入された板状製品P21が対象設備7内での処理を終えて対象設備7から抽出されるのと略入れ違いに、板状製品P24が対象設備7に装入される。
【0027】
図4−1に示す置場状態の板厚の大きい板状製品P31〜P35を上から順番に処理する場合も同様に、図4−2の最上段に示すように、先ず、最上段の板状製品P31が対象設備7へと装入される。この板状製品P31は、対象設備7内で所定の処理時間T31の間処理された後、対象設備7から抽出される。また、板状製品P31が対象設備7に装入された後は、順次板状製品P32,P33が対象設備7に装入されていく。このとき、例えば2番目に対象設備7に装入する板状製品P32の装入時刻t32は、前回対象設備7に装入した板状製品P31の装入時刻t31からの装入間隔T32が、対象設備7内で処理中の板状製品の処理時間(例えば前回対象設備7に装入した板状製品P31の処理時間T31)に応じた時間間隔となるように定められる。3番目に対象設備7に装入される板状製品P33についても同様である。
【0028】
ここで、上記したように、処理時間は板厚に比例する。例えば、板厚が小さい場合の処理時間T21(図3−2)よりも、板厚が大きい場合の処理時間T31(図4−2)の方が長い。そして、対象設備7内で処理されている板状製品の処理時間が長ければ、対象設備7への板状製品の装入間隔も長くなる。例えば、対象設備7内で処理されている板状製品の板厚が小さい場合の装入間隔T22(図3−2)よりも、対象設備7内で処理されている板状製品の板厚が大きい場合の装入間隔T32(図4−2)の方が長い。
【0029】
そして、図3−2のように装入間隔T22が短い場合、段積みされた板状製品を別の置場に積み替える等のハンドリング操作を行って山の下の方から板状製品を取り出す時間を確保するのが困難である。このような場合、すなわち、板厚が小さい板状製品を処理する場合に実行可能な処理順序は、例えば図3−3に示すように置場内の板状製品を置場の最上段から順番に処理する処理順序となり、例えば積順が「5」(図3−1の置場状態において置場の最上段から4枚目)の板状製品P24を1番目に処理するといった処理順序を定めた処理計画は実行不可能となる。
【0030】
一方、図4−2のように対象設備7に板状製品を装入する装入間隔T32が長く余裕がある場合には、置場内の板状製品を積み替えて置場の下の方から板状製品を取り出す作業が行える。このような場合、すなわち、板厚が大きい板状製品を処理する場合には、例えば図4−3に示すように、積順が「3」(図4−1の置場状態において置場の最上段から3枚目)の板状製品P33を1番目に処理する処理順序を定めた処理計画の実行が可能である。ここで、置場の上から最大で何枚まで取り出しが可能か(何枚の板状製品を積み替えるハンドリング操作が可能か)は、装入間隔の長さによって変わる。
【0031】
以上のように、処理計画の作成においては、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作が制約となる。このため、本実施の形態では、置場の上から取り出し可能な板状製品の枚数(以下、「取出可能枚数」と呼ぶ。)を運用制約条件とし、予めこの運用制約条件を板厚毎に設定しておく。そして、置場運用制約判定装置2は、置場運用制約判定処理として、例えば1つ前の処理順序で対象設備7に装入される板状製品の板厚に応じた運用制約条件を用い、運用制約条件を充足するか否かを判定する処理を処理順序毎に繰り返し行う。これによって、置場運用制約判定装置2は、各処理順序において置場から該当する板状製品を取り出す際のハンドリング操作の制約違反を判定し、一連の処理順序および各処理順序で処理される板状製品の対象設備への装入時刻を定めた処理計画が実行可能か否かの判定を行う。
【0032】
なお、本実施の形態では、置場の上から取り出し可能な板状製品の枚数を運用制約条件とするが、ハンドリング操作の回数を運用制約条件として設定しておくこととしてもよい。また、板厚毎に、置場から目的の板状製品を取り出すハンドリング操作のために確保可能な時間を運用制約条件として設定しておくこととしてもよい。この場合には、例えば予め1回のハンドリング操作に要する時間を事前に設定しておく。そして、この1回当たりのハンドリング操作時間に目的の板状製品が位置する置場の上からの枚数を乗じて目的の板状製品を取り出すのに要する時間を算出し、この時間が運用制約条件を満たすか否かを判定する。
【0033】
図5は、本実施の形態の置場運用制約判定処理の原理を説明する説明図であり、図5(a)では、置場に段積みされた板状製品の製品IDおよび該当する板状製品の置場の上からの枚数を置場の初期状態として示すとともに、置場内の各板状製品が1番目に処理する板状製品として置場から取出し可能か否か(取出可否:可能=○/不可能=×)と、1番目の処理順序が運用制約条件を充足するか否かの条件判定結果(充足しており、該当する制約に違反しない=OK/充足せず、該当する制約に違反する=NG)とを示している。また、図5(b)は、図5(a)の置場状態から処理順序が1番目の板状製品を取り出した後の置場状態とともに、2番目の処理順序についての取出可否および条件判定結果を示し、図5(c)は、図5(b)の置場状態から処理順序が2番目の板状製品を取り出した後の置場状態とともに、3番目の処理順序についての取出可否および条件判定結果を示している。そして、図5(d)は、4番目以降の処理順序についての取出可否および条件判定結果を示している。なお、図5(d)では、4番目以降の処理順序の板状製品を取り出す際の置場状態の図示は省略している。
【0034】
図5では、処理順序を置場の上から順番に板状製品を取り出す順序としている。ここで、置場に保管されている製品IDが「1」〜「10」の10枚の板状製品の板厚に応じた取出可能枚数が「1」であったとする。この場合、図5(a)に示すように、1番目に処理する板状製品として置場から取り出すことが可能な板状製品は、置場の上からの枚数が「1」である製品IDが「10」の板状製品となる。図5(a)中にハッチングを付して示すように、処理順序が1番目の板状製品の製品IDは「10」であり、この1番目の処理順序の板状製品の取出可否は「○」となるので、運用制約条件を充足するか否かの条件判定結果は「OK」となる。2番目以降の処理順序についても同様であり、図5(b)〜図5(d)に示すように、取出可能枚数が「1」の場合、置場の上から順番に処理する処理順序は、全ての処理順序の条件判定結果が「OK」となり、この処理計画は実行可能と判定される。
【0035】
図6は、図5に示す処理順序として定められた処理計画を示す図であり、横軸を処理順序、縦軸を製品IDとして、各板状製品の処理順序を示している。また、図6では、取出可能枚数「1」を充足しない範囲E4を一点鎖線で囲って示しており、取出可能枚数「1」の場合、各処理順序に対する製品IDのプロットが範囲E4内となる処理計画は、実行不可能と判定されることとなる。
【0036】
また、図7は、本実施の形態の置場運用制約判定処理の原理を図5と同様に示した他の説明図である。ここでは、置場に保管されている製品IDが「1」〜「10」の10枚の板状製品の板厚に応じた取出可能枚数を「2」とする。この場合、図7(a)に示すように、1番目に処理する板状製品として置場から取り出し可能な板状製品は、置場の上からの枚数が「1」である製品IDが「10」の板状製品および置場の上からの枚数が「2」である製品IDが「9」の板状製品の2枚となる。図7(a)中にハッチングを付して示すように、処理順序が1番目の板状製品は、置場の上からの枚数が「2」である製品IDが「9」の板状製品であり、この1番目の処理順序の板状製品の取出可否は「○」となるので、運用制約条件を充足するか否かの条件判定結果は「OK」となる。
【0037】
一方、図7(b)に示すように、2番目に処理する板状製品として置場から取り出し可能な板状製品は、置場の上からの枚数が「1」である製品IDが「10」の板状製品および置場の上からの枚数が「2」である製品IDが「8」の板状製品の2枚となる。しかしながら、図7(b)中にハッチングを付して示すように、処理順序が2番目の板状製品は、置場の上からの枚数が「4」である製品IDが「6」の板状製品であり、この2番目の処理順序の板状製品の取出可否は「×」であるので、運用制約条件を充足するか否かの条件判定結果は「NG」となる。3番目以降の処理順序についても同様であり、図7(c)に示すように、3番目の処理順序が運用制約条件を充足するか否かの条件判定結果は「NG」となっている。また、図7(d)に示すように、4番目以降の処理順序が運用制約条件を充足するか否かの条件判定結果は「OK」となっている。運用制約条件を充足するか否かの判定が1つでも「NG」であれば、その処理計画は実行不可能と判定される。
【0038】
図8は、図7に示す処理順序として定められた処理計画を示す図であり、横軸を処理順序、縦軸を製品IDとして、各板状製品の処理順序を示している。また、図8では、取出可能枚数「2」を充足しない範囲E5を一点鎖線で囲って示している。図7に示す処理順序では、図8に示すように、2番目と3番目の処理順序に対する製品IDのプロットP51,P52が範囲E5内に存在しており、この処理計画は実行不可能と判定される。
【0039】
ところで、初期状態の置場から板状製品を取り出す場合、その板状製品が保管されている置場にクレーンがあるとは限らない。このような場合には、その板状製品が保管されている置場までクレーンを移動させる必要があるため、クレーンの移動に必要な時間を考慮する必要がある。また、上記したように、板状製品が保管される置場は区画された複数の置場を備えており、処理順序の連続する板状製品が別の置場に保管されている場合もある。ここで、異なる置場から板状製品を取り出す場合、該当する置場間でクレーンを移動させる必要があり、この場合も同様に、クレーンの移動に必要な時間を考慮する必要がある。逆に、同一の置場から板状製品を取り出す場合には、置場間のクレーンの移動に必要な時間を考慮する必要がないため、その分板状製品を取り出すための時間を長く確保することができる。
【0040】
そこで、本実施の形態では、初期の置場状態において最上段に位置する板状製品を取り出す場合を異なる置場から板状製品を取り出す場合と想定し、実際に異なる置場から板状製品を取り出す場合と併せて置場の移動ありの場合とする。また、それ以外の同一の置場から板状製品を取り出す場合を、置場の移動なしの場合とする。そして、運用制約条件として、置場の移動ありの場合の取出可能枚数と、同一の置場から板状製品を取り出す場合と想定する置場の移動なしの場合の取出可能枚数とを板厚毎に設定しておき、置場の移動のあり/なしに応じた取出可能枚数を選択的に用いて運用制約条件を充足するか否かを判定する。
【0041】
図9は、図7の処理順序について置場運用制約判定処理を行う場合に、置場に保管されている製品IDが「1」〜「10」の10枚の板状製品の板厚に応じた取出可能枚数のうち、置場の移動ありの場合の取出可能枚数を「2」とし、置場の移動なしの場合の取出可能枚数を「5」とした場合を示す図である。
【0042】
ここで、図9(a)に示すように、初期状態の置場から1番目に処理する板状製品を取り出す場合の取り出し可能な板状製品は、置場の上からの枚数が「1」である製品IDが「10」の板状製品および置場の上からの枚数が「2」である製品IDが「9」の板状製品の2枚となる。図9(a)中にハッチングを付して示すように、処理順序が1番目の板状製品は、置場の上からの枚数が「2」である製品IDが「9」の板状製品であり、この1番目の処理順序の板状製品の取出可否は「○」となるので、運用制約条件を充足するか否かのチェック結果は「OK」となる。
【0043】
また、図9(b)に示すように、同一の置場から2番目に処理する板状製品として置場から取り出し可能な板状製品は、置場の上からの枚数が「1」「2」「3」「4」「5」である製品IDが「10」「8」「7」「6」「5」の5枚の板状製品となる。図9(b)中にハッチングを付して示すように、処理順序が2番目の板状製品は、置場の上からの枚数が「4」である製品IDが「6」の板状製品であるので、この2番目の処理順序の板状製品の取出可否は「○」となり、運用制約条件を充足するか否かのチェック結果は「OK」となる。3番目以降の処理順序についても同様であり、図9(c),(d)に示すように、置場の移動あり/なしに応じた取出可能枚数を選択的に用いることで全ての処理順序の条件判定結果が「OK」となり、図9の処理順序は、図7と同じ処理順序にも関わらず、全ての処理順序で運用制約条件を充足すると判定される。
【0044】
図10は、図9に示す処理順序として定められた処理計画を示す図であり、横軸を処理順序、縦軸を製品IDとして、各板状製品の処理順序を示している。また、図10では、1番目の処理順序において、取出可能枚数「2」を充足しない範囲E61を一点鎖線で囲うとともに、2番目以降の処理順序において、取出可能枚数「5」を充足しない範囲E63を二点鎖線で囲って示している。図10では、図8とは異なり、全ての処理順序に対する製品IDのプロットが範囲E61,E63外に存在しており、この処理計画は実行可能と判定される。
【0045】
このように、置場の移動なしの場合に比べて置場の移動ありの場合の制約(運用制約条件)が厳しくなるように置場の移動あり/なしに応じた取出可能枚数を設定しておくことで、ハンドリング操作のために確保可能な時間を適切に表した制約を用いて各処理順序の制約違反を判定することができる。これによれば、実際には処理が可能な処理計画を実行不可能と判定する事態を防止することができ、より高能率な処理計画を適切に実行可能と判定することができる。なお、この置場の移動あり/なしの場合の運用制約条件とする取出可能枚数の値は、板厚(板厚から想定される処理時間)をもとに適切な値を事前に求めておく必要がある。
【0046】
図11は、置場運用制約判定装置2が行う処理手順を示すフローチャートである。置場運用制約判定装置2は、図11の処理手順に従って処理を行うことで置場運用制約判定方法を実施する。なお、ここで説明する処理は、この処理を実現するためのプログラムを例えば置場運用制約判定装置2の記憶装置に記憶しておき、このプログラムを読み出して実行することで実現できる。
【0047】
図11に示すように、置場運用制約判定装置2は、先ず、置場状態入力手段として、置場状態入力処理を実行し、データベース3から注文ファイル31および置場状態ファイル33を読み出して入力する(ステップS1)。図12は、注文ファイル31のデータ構成例を示す図である。図12に示すように、注文ファイル31には、対象設備7での処理の対象となる各板状製品に固有に割り当てられる製品IDと対応付けて、該当する板状製品の板厚(mm)と、幅(m)と、長さ(m)とが設定されて登録される。また、図13は、置場状態ファイル33のデータ構成例を示す図である。図13に示すように、置場状態ファイル33には、上記したように区画された各置場に固有に割り当てられる置場IDと対応付けて、該当する置場における板状製品の初期の置場状態、具体的には該当する置場に段積みされる板状製品の積順と製品IDとの対応関係が設定されて登録される。
【0048】
次に、図11に示すように、置場運用制約判定装置2は、処理順序入力手段として、処理順序入力処理を実行し、データベース3から処理順序ファイル35を読み出して入力する(ステップS3)。図14は、処理順序ファイル35のデータ構成例を示す図である。この処理順序ファイル35は、判定対象の処理計画として定められた板状製品の処理順序を記憶する。具体的には、図14に示すように、処理順序ファイル35には、処理順序(通し番号)と対応付けて、判定対象の処理計画において該当する処理順序で処理すると定められた板状製品の製品IDが設定されて登録される。
【0049】
次に、図11に示すように、置場運用制約判定装置2は、制約条件入力手段として、データベース3から運用制約マスタ37を読み出し、置場運用制約判定手段として、置場運用制約判定処理を実行する(ステップS5)。図15は、運用制約マスタ37のデータ構成例を示す図である。図15に示すように、運用制約マスタ37は、板厚の範囲を定めた板厚下限(mm)および板厚上限(mm)と対応付けて、運用制約条件である取出可能枚数として、置場の移動ありの場合の取出可能枚数と、置場の移動なしの場合の取出可能枚数とが設定されて登録される。
【0050】
図16は、置場運用制約判定処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように、置場運用制約判定処理では、先ず、データベース3から運用制約マスタ37を読み出して入力する(ステップS51)。次に、図11のステップS1で入力した置場状態ファイル33を置場作業ファイルに展開し、区画された各置場における板状製品の初期の置場状態を仮想的に再現する(ステップS53)。この置場作業ファイルは、実際の置場の初期状態およびこの初期状態の置場から処理順序に従って順次板状製品を取り出すことによる置場状態の推移を再現するためのものである。その後、条件判定対象の処理順序を先頭の処理順序に設定する(ステップS55)。
【0051】
次に、置場作業ファイルを参照し、条件判定対象の処理順序の板状製品が保管される置場の置場IDを取得するとともに、この板状製品の現時点での置場状態における置場の上からの枚数を取得する(ステップS57)。
【0052】
次に、処理順序が1つ前の板状製品の板厚をもとに、条件判定対象の処理順序に適用する置場制約条件を決定する(ステップS59)。具体的には先ず、図11のステップS1で入力した注文ファイル31およびステップS3で入力した処理順序ファイル35を参照して、1つ前の処理順序の板状製品の板厚を取得する。続いて、図16のステップS51で入力した運用制約マスタ37を参照し、取得した板厚が属する板厚範囲と対応付けられて置場の移動あり/なしの場合のそれぞれについて設定されている運用制約条件(取出可能枚数)のうちの一方を選択して、条件判定対象の処理順序に適用する運用制約条件を決定する。すなわち、ステップS57で取得した置場IDが、1つ前の処理順序の板状製品の置場IDと異なる場合には、置場の移動ありの場合の運用制約条件を選択する。処理順序が1番目であり初期状態の置場から板状製品を取り出す場合も同様に、置場の移動ありの場合の運用制約条件を選択する。ただし、条件判定対象の処理順序が1番目の場合は、1つ前の処理順序は存在しないため、その板状製品の板厚をもとに置場制約条件を決定する。なお、処理順序が1番目の場合の置場制約条件を別途設定して運用制約マスタ37に登録しておき、これを用いることとしてもよい。一方、ステップS57で取得した置場IDが、1つ前の処理順序の板状製品の置場IDと同じ場合には、置場の移動なしの場合の運用制約条件を選択する。1つ前の処理順序の板状製品の置場IDについては、置場運用制約判定装置2の記憶装置に一時的に記憶しておけばよい。
【0053】
そして、条件判定対象の処理順序が、ステップS59で決定した運用制約条件を充足するか否かを判定する。そして、運用制約条件を充足する場合には(ステップS61:Yes)、ステップS65に移行する。一方、運用制約条件を充足しない場合には(ステップS61:No)、条件判定対象の処理順序の板状製品に制約違反を設定し(ステップS63)、その後ステップS65に移行する。そして、ステップS65では、条件判定対象の処理順序の板状製品を置場作業ファイルから削除する。これにより、置場作業ファイルにおいて、条件判定対象の処理順序の板状製品を置場から取り出すことによる実際の置場状態の推移(条件判定対象の処理順序の板状製品を置場から取り出した時点での置場状態)が再現される。
【0054】
その後、条件判定対象の処理順序をインクリメントして更新する(ステップS67)。次に、図11のステップS3で入力した処理順序ファイル35を参照し、処理順序を最後まで処理したか否かを判定する。具体的には、処理順序を最後まで処理しておらず、インクリメント後の条件判定対象の処理順序が存在する場合には(ステップS69:Yes)、ステップS57に戻って上記した処理を行い、運用制約条件を充足するか否かを判定する。一方、処理順序を最後まで処理した場合、すなわち、インクリメント後の条件判定対象の処理順序が存在しない場合には(ステップS69:No)、置場運用制約判定処理を終え、図11のステップS5にリターンしてその後ステップS7に移行する。
【0055】
そして、ステップS7では、置場運用制約判定装置2は、判定結果出力処理を実行し、ステップS5で行った置場運用制約判定処理の判定結果をデータベース3に出力して判定結果ファイル39として記録する。また、このとき、置場運用制約判定装置2は、ステップS5の置場運用制約判定処理で全ての処理順序について運用制約条件を充足すると判定した場合にはその処理計画を実行可能とし、処理順序のうち1つでも運用制約条件を充足しないと判定した場合にはその処理計画を実行不可能として、処理計画の実行可否を端末4に送信して端末4に画面表示させる。
【0056】
図17は、判定結果ファイル39のデータ構成例を示す図である。図11に示すように、判定結果ファイル39は、処理順序と、製品IDと、置場の上からの枚数と、適用運用制約条件と、判定結果とが対応付けられたデータテーブルである。置場の上からの枚数は、該当する処理順序の板状製品が、その板状製品を取り出す際に置場において上から何枚目に位置していたのかの値である。適用運用制約条件には、該当する処理順序に対して運用制約条件として適用した取出可能枚数と、該当する処理順序での置場の移動のあり/なしとが設定される。判定結果には、該当する処理順序がこの処理順序に対して適用した運用制約条件を充足したか否かの判定結果が設定される。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態によれば、処理順序に従って板状製品を置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を仮想的に再現しながら、各処理順序が運用制約条件を充足するか否かを順次判定するシミュレーションを繰り返し行って、判定結果を出力することができる。したがって、置場に段積みされる板状製品の対象設備7における処理順序を定めた処理計画が、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約に違反しない実行可能な処理計画か否かを自動的にかつ高速に判定することができる。
【0058】
この処理計画の実行可否の判定は、処理計画を作成する際に用いられる。これによれば、本実施の形態の置場運用制約判定装置2によって、処理計画の作成時においてその実行可否を適切に判定することができるので、実行可能性を担保した高能率な処理計画の立案が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明の置場運用制約判定方法および置場運用制約判定装置は、置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画が、置場から板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約に違反しない実行可能な処理計画か否かを判定するのに適している。
【符号の説明】
【0060】
1 製品置場運用システム
2 置場運用制約判定装置
3 データベース
31 注文ファイル
33 置場状態ファイル
35 処理順序ファイル
37 運用制約マスタ
39 判定結果ファイル
4 端末
5 物流機器
7 対象設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画の置場運用制約判定方法であって、
前記板状製品の属性と、該板状製品の前記置場における段積順序とを入力する置場状態入力工程と、
前記板状製品の前記処理順序を入力する処理順序入力工程と、
前記置場から前記板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約を前記板状製品の属性毎に定めた運用制約条件を入力する制約条件入力工程と、
前記処理順序に従って前記板状製品を前記置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を前記段積順序をもとに仮想的に再現しながら、前記処理順序毎に、前記取り出す時点で前記対象設備において処理されている前記板状製品の属性に応じた前記運用制約条件を用いて前記取り出す際のハンドリング操作の制約違反を判定する置場運用制約判定工程と、
前記判定の結果を出力する判定結果出力工程と、
を含むことを特徴とする置場運用制約判定方法。
【請求項2】
前記置場運用制約判定工程は、1つ前の処理順序の前記板状製品の属性に応じた前記運用制約条件を用いて前記制約違反を判定することを特徴とする請求項1に記載の置場運用制約判定方法。
【請求項3】
前記置場は、前記板状製品が別々の山として段積みされる複数の置場で構成され、
前記運用制約条件は、異なる置場から前記板状製品を取り出す場合の制約と、同一の置場から前記板状製品を取り出す場合の制約とを前記板状製品の属性毎に定めたものであり、
前記置場運用制約判定工程は、今回判定する処理順序の前記板状製品の置場が、初期の置場状態の置場か否かおよび/または1つ前の処理順序の前記板状製品の置場と同一か否かに応じて前記運用制約条件を選択的に用い、前記制約違反を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の置場運用制約判定方法。
【請求項4】
置場に段積みされる板状製品の所定の対象設備における処理順序を定めた処理計画の置場運用制約判定装置であって、
前記板状製品の属性と、該板状製品の前記置場における段積順序とを入力する置場状態入力手段と、
前記板状製品の前記処理順序を入力する処理順序入力手段と、
前記置場から前記板状製品を取り出す際のハンドリング操作に関する制約を前記板状製品の属性毎に定めた運用制約条件を入力する制約条件入力手段と、
前記処理順序に従って前記板状製品を前記置場から順次取り出すことによる置場状態の推移を前記段積順序をもとに仮想的に再現しながら、前記処理順序毎に、前記取り出す時点で前記対象設備において処理されている前記板状製品の属性に応じた前記運用制約条件を用いて前記取り出す際のハンドリング操作の制約違反を判定する置場運用制約判定手段と、
前記判定の結果を出力する判定結果出力手段と、
を備えることを特徴とする置場運用制約判定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図4−3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate