説明

置換されたキノリン類およびマイコバクテリア抑制剤としてのそれらの使用

【化1】


本発明は、一般式(Ia)または一般式(Ib)に従う新規な置換されたキノリン誘導体、それらの塩類、第四級アミン類、立体化学的異性体形態、の互変異性体形態およびN−オキシド形態に関する[式中、Rは水素、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、Ar、Het、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、pは1、2、3または4であり、Rは水素、ヒドロキシ、チオ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノまたは式(Ic)の基であり、Rはアルキル、Ar、Ar−アルキル、HetまたはHet−アルキルであり、Rは水素、アルキルまたはベンジルであり、Rは水素、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、Ar、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、或いは2個の隣接するR基はそれらが結合されているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することができ、rは1、2、3、4または5であり、Rは水素、アルキル、ArまたはHetであり、Rは水素またはアルキルであり、Rはオキソであり、或いはRおよびRは一緒になって基−CH=CH−N=を形成し、ZはCHまたはC(=O)である]。特許請求された化合物は、マイコバクテリア疾病、特に病原性マイコバクテリア、例えば結核菌、ウシ結核菌、M.アビアム、M.スメグマチスよびM.マリナム、により引き起こされる疾病、の処置に有用である。本発明の化合物を含有する製薬学的組成物、マイコバクテリア疾病の処置用薬品の製造のための特許請求された化合物または組成物の使用、並びに特許請求された化合物の製造方法も特許請求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコバクテリア疾病、特に病原性マイコバクテリア、例えば結核菌(Mycobacterium(M.) tuberculosis)、ウシ結核菌(M.bovis)、M.アビアム(M.avium)およびM.マリナム(M.marinum)により引き起こされる疾病の処置に有用な新規な置換されたキノリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、世界的に蔓延している重大で且つ潜在的に致死的な感染症である結核症(TB)を引き起こす剤である。世界保健機構からの推定は、毎年800万人より多い人間がTBにかかり、そして200万人が毎年結核症で死亡することを示している。最近の10年間では、TB症例は世界的に20%増えており、最貧困社会では最高の負担となっている。これらの傾向が続くなら、TB発生率は今後20年間に41%ほど増加するであろう。有効な化学療法の導入以来50年間において、TBは世界中の成人死亡率の第一位の感染原因であるエイズ(AIDS)の次である。TB流行の悪化は、多種薬品−耐性菌株およびHIVに伴う致死的な共生の上昇形勢である。HIV−陽性であり且つTBに感染している人間はHIV−陰性である人間より30倍以上活発にTBを進行させるようであり、そしてTBは世界的にHIV/AIDSのある人間の3人に1人の死亡に起因する。
【0003】
結核症の処置のための現存する方法は多種剤の組み合わせを全て包含する。例えば、米国公衆衛生局により推奨される処方は、2ヶ月間にわたるイソニアジド(isoniazid)、リファムピシン(rifampicin)およびピラジナミド(pyrazinamide)の組み合わせとその後のさらに2ヶ月間にわたる単独のイソニアジドおよびリファムピシンである。これらの薬品はHIVに感染した患者ではさらに7ヶ月間にわたり続けられる。結核菌の多種薬剤耐性菌株に感染した患者に対しては、例えばエタムブトール(ethambutol)、ストレプトマイシン(streptomycin)、カナマイシン(kanamycin)、アミカシン(amikacin)、カプレオマイシン(capreomycin)、エチオナミド(ethionamide)、シクロセリン(cycloserine)、シプロフォキサシン(ciprofoxacin)およびオフロキサシン(ofloxacin)の如き剤が組み合わせ療法に加えられる。結核症の臨床処置において有効である単独剤または6ヶ月間より短い期間の療法の可能性を与える剤の組み合わせは存在しない。
【0004】
患者および提供者のコンプライアンスを増進させる処方を可能にすることにより最新の処置を改良する新薬に関する大きな医学的要望がある。より短期間の処方およびより少ない監督を必要とするものがこれを達成するための最良の方法である。処置からの利点のほとんどは最初の2ヶ月間に、集中期間中に、または4種の薬品が一緒に与えられる時には殺細菌段階にあり、細菌負荷は大きく減じられ、そして患者は非感染性になる。残存する棹菌を排除するためおよび再発危険性を最少にするためには、4〜6ヶ月間の持続段階、すなわち殺菌段階、が必要である。処置を2ヶ月間もしくはそれ以下に短縮する有効な殺菌薬品は非常に有益であろう。より少ない集中的な監督を必要とすることによりコンプライアンスを増進させる薬品も要求される。もちろん、合計処置期間および薬品投与頻度の両者を減ずる化合物は最大の利点を与えるであろう。
【0005】
TB流行の悪化は、多種薬品−耐性菌株すなわちMDR−TBの発生増加である。世界
の全症例の4%まではMDR−TB、すなわち4種の薬品標準の最も有効な薬品であるイソニアジドおよびリファムピンに耐性であるもの、であると考えられる。MDR−TBは未処置の場合には致死性であり、そして2年間までの「第二系統」薬品を必要とする処置である標準的療法によっては適切に処置できない。これらの薬品はしばしば有毒であり、高価でありそしてかろうじて有効である。有効な療法の不存在下では、感染性MDR−TB患者は疾病を進行し続けて、MDR−TB菌株による新規な感染症を生ずる。MDR菌株に対する活性を示すような新規な活性機構を有する新薬に対する大きな医学的要望がある。
【0006】
以上でまたは以下で使用される用語「薬剤耐性」(“drug resistant”)は、微生物学における専門家に良く理解されている用語である。薬剤耐性マイコバクテリウムは、少なくとも1種のこれまでの有効な薬品にもはや感受性がなく、少なくとも1種のこれまでの有効な薬品による抗生物質攻撃に耐える能力を発生させたマイコバクテリウムである。薬剤耐性菌株はその耐性能力をその子孫に継代させる。該耐性は単一薬品または異なる薬品類に対する細胞の感受性を変える細菌細胞内の不規則的な遺伝的変異によりうる。MDR結核症が、現在では2種の最も強力な抗−TB薬品であるイソニアジドおよびリファムピシンの少なくとも1種に耐性である細菌(他の薬品に耐性であるかまたは耐性でない)による薬剤耐性結核症の具体的形態である。
【0007】
本発明の目的は、薬剤耐性または多種薬剤耐性マイコバクテリアを包含するマイコバクテリアの成長を抑制する性質を有しておりそしてその結果としてマイコバクテリア疾病、特に病原性マイコバクテリア、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ結核菌(M.bovis)、M.アビウム(M.avium)、M.スメグマチス(M.smegmatis)およびM.マリナム(M.marinum)により引き起こされる疾病の処置に有用である新規な化合物、特に、置換されたキノリン誘導体を提供することである。
【0008】
置換されたキノリン類は、特許文献1に抗生物質耐性感染症を処置するためにそして特許文献2に細菌性微生物の成長を抑制するために既に開示されている。これらの文献のどれも本発明に従う置換されたキノリン誘導体を開示していない。
【特許文献1】米国特許第5,965,572号明細書
【特許文献2】国際公開第00/34265号パンフレット
【発明の開示】
【0009】
発明の要旨
本発明は、式(Ia)および(Ib)
【0010】
【化1】

[式中、
は水素、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、Ar、Het、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、
pは1、2、3または4に等しい整数であり、
は水素、ヒドロキシ、チオ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノまたは式
【0011】
【化2】

(ここでYはCH、O、S、NHまたはN−アルキルである)の基であり、
はアルキル、Ar、Ar−アルキル、HetまたはHet−アルキルであり、
は水素、アルキルまたはベンジルであり、
は水素、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、Ar、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、或いは
2個の隣接するR基はそれらが結合されているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することができ、
rは1、2、3、4または5に等しい整数であり、そして
は水素、アルキル、ArまたはHetであり、
は水素またはアルキルであり、
はオキソであり、或いは
およびRは一緒になって基−CH=CH−N=を形成し、
ZはCHまたはC(=O)であり、
アルキルは炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基であるか、または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であるか、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基に結合された炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで各炭素原
子は場合によりハロ、ヒドロキシ、アルキルオキシまたはオキソで置換されていてもよく、
Arは各々が場合により1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選択される同素環であり、各置換基はヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルおよびモノ−もしくはジアルキルアミノカルボニルの群から独立して選択され、
HetはN−フェノキシピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロべンゾ[1,4]ジオキシニルまたはべンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により炭素原子上でハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、
ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルは炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで1個もしくはそれ以上の炭素原子は1個もしくはそれ以上のハロ−原子で置換されている]
に従う新規な置換されたキノリン誘導体、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの第四級アミン類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態に関する。
【0012】
式(Ia)または(Ib)に従う化合物は、Rがオキソに相当する式(Ib)に従う化合物がRがヒドロキシに相当する式(Ia)に従う化合物の互変異性的同等物である(ケト−エノール互変異性)点で関連がある。
【0013】
詳細な記述
本出願の枠内で、アルキルは炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基であるか、または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であるか、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基に結合された炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで各炭素原子は場合によりハロ、ヒドロキシ、アルキルオキシまたはオキソで置換されていてもよい。好ましくは、アルキルはメチル、エチルまたはシクロヘキシルメチルである。
【0014】
本出願の枠内で、Arは各々が場合により1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選択される同素環であり、各置換基はヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルおよびモノ−もしくはジアルキルアミノカルボニルの群から独立して選択される。好ましくは、Arは各々が場合により1もしくは2個のハロ置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニルである。
【0015】
本出願の枠内で、HetはN−フェノキシピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、
ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロべンゾ[1,4]ジオキシニルまたはべンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により炭素原子上でハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、Hetはチエニルまたはフラニルまたはピリジルであり、最も好ましくはHetはフラニルである。
【0016】
本出願の枠内で、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルは1個もしくはそれ以上の炭素原子は1個もしくはそれ以上のハロ−原子で置換されている炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の炭化水素基または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり。好ましくは、ハロはブロモ、フルオロまたはクロロでありそして好ましくは、ハロアルキルはトリフルオロメチルである。
【0017】
以下で使用されるときには常に、用語「式(Ia)または(Ib)の化合物」は、それらのN−オキシド形態、それらの塩類、それらの第四級アミン類、それらの互変異性体形態およびそれらの立体化学的異性体形態も包含することを意味する。立体化学的に純粋である式(Ia)または(Ib)の化合物が特に興味がある。
【0018】
本発明の興味ある態様は、
ZがCHであり、
が水素、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、Ar、Het、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、
pが1、2、3または4に等しい整数であり、
が水素、ヒドロキシ、チオ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノまたは式
【0019】
【化3】

(ここでYはCH、O、S、NHまたはN−アルキルである)の基であり、
がアルキル、Ar、Ar−アルキル、HetまたはHet−アルキルであり、
が水素、アルキルまたはベンジルであり、
が水素、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、Ar、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、或いは
2個の隣接するR基がそれらが結合されているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することができ、
rが1、2、3、4または5に等しい整数であり、そして
が水素、アルキル、ArまたはHetであり、
が水素またはアルキルであり、
がオキソであり、或いは
およびRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成し、
アルキルが炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基であるか、または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であるか、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基に結合された炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで各炭素原子は場合によりハロ、ヒドロキシ、アルキルオキシまたはオキソで置換されていてもよく、
Arが各々が場合により1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選択される同素環であり、各置換基はヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルおよびモノ−もしくはジアルキルアミノカルボニルの群から独立して選択され、
HetがN−フェノキシピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロべンゾ[1,4]ジオキシニルまたはべンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により炭素原子上でハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、
ハロがフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルが炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで1個もしくはそれ以上の炭素原子は1個もしくはそれ以上のハロ−原子で置換されている、
式(Ia)または(Ib)の化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態に関する。
【0020】
好ましくは、Rは水素、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、Ar、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルである。
【0021】
好ましくは、本発明は
が水素、ハロ、シアノ、Ar、Het、アルキル、およびアルキルオキシであり、
pが1、2、3または4に等しい整数であり、
が水素、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオまたは式
【0022】
【化4】

(ここでYはOである)の基であり、
がアルキル、Ar、Ar−アルキルまたはHetであり、
が水素、アルキルまたはベンジルであり、
が水素、ハロまたはアルキルであり、或いは
2個の隣接するR基がそれらが結合されているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することができ、
rが1に等しい整数であり、そして
が水素であり、
が水素またはアルキルであり、
がオキソであり、或いは
およびRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成し、
アルキルが炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基であるか、または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であるか、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の
飽和炭化水素基に結合された炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで各炭素原子が場合によりハロまたはヒドロキシで置換されていてもよく、
Arが各々が場合により1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選択される同素環であり、各置換基がハロ、ハロアルキル、シアノ、アルキルオキシおよびモルホリニルの群から独立して選択され、
HetがN−フェノキシピペリジニル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニルの群から選択される単環式複素環、またはベンゾチエニル、2,3−ジヒドロべンゾ[1,4]ジオキシニルまたはべンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により炭素原子上で1、2または3個のアルキル置換基で置換されていてもよく、そして
ハロがフルオロ、クロロおよびブロモの群から選択される置換基である、
式(Ia)または(Ib)の化合物に関する。
【0023】
式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物に関しては、好ましくは、Rは水素、ハロ、Ar、Het、アルキルまたはアルキルオキシである。より好ましくは、Rはハロである。最も好ましくは、Rはブロモである。
【0024】
好ましくは、pは1に等しい。
【0025】
好ましくは、Rは水素、アルキルオキシまたはアルキルチオである。より好ましくは、Rはアルキルオキシである。最も好ましくは、Rはメチルオキシである。
【0026】
好ましくは、Rは1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいナフチル、フェニルまたHetであり、置換基は好ましくはハロおよびハロアルキルであり、最も好ましくはハロである。より好ましくは、Rはナフチルまたはフェニルである。最も好ましくは、Rはナフチルである。
【0027】
好ましくは、Rは水素またはアルキルであり、より好ましくはアルキル、例えばメチルまたはエチルである。最も好ましくはRはメチルである。
【0028】
好ましくは、Rは水素、アルキルまたはハロである。最も好ましくは、Rは水素である。
【0029】
好ましくは、rは1または2である。
【0030】
好ましくは、Rは水素またはメチルである。最も好ましくは、Rは水素である。
【0031】
好ましくは、ZはCHである。
【0032】
好ましくは、ZはC(=O)である。
【0033】
式(Ib)に従う化合物だけに関しては、好ましくは、Rはアルキル、好ましくはメチルであり、そしてRは酸素である。
【0034】
興味ある化合物群は、式(Ia)の化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの第四級アミン類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態である。
【0035】
興味ある化合物群は、Rが水素、ハロ、Ar、Het、アルキルまたはアルキルオキ
シであり、p=1であり、Rが水素、アルキルオキシまたはアルキルチオであり、Rが各々が場合によりハロおよびハロアルキルの群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいナフチル、フェニルまたHetであり、Rが水素またはアルキルであり、Rが水素、アルキルまたはハロであり、rが1に等しい整数でありそしてRが水素である、式(Ia)に従う化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの第四級アミン類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態である。
【0036】
興味ある化合物群は、Rが水素、ハロ、例えばブロモ、アルキル、例えばメチル、またはHet、例えばフラニルであり、Rがアルキルオキシ、例えばメチルオキシであり、Rが各々が場合によりハロで置換されていてもよいナフチル、フェニルまたHet、例えば場合によりハロで置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはフラニルであり、Rがアルキル、例えばメチルまたはエチルであり、Rが水素またはハロ、例えばクロロであり、Rが水素であり、ZがCHまたはC(=O)である、式(Ia)に従う化合物である。
【0037】
製薬学的に許容可能な酸付加塩は、式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物が形成しうる治療的に活性な無毒の酸付加塩形態を含んでなると定義される。該酸付加塩は、式(Ia)または(Ib)の化合物の塩基形態を適当な酸類、例えば無機酸類、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸および燐酸;有機酸類、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸で処理することにより、得られうる。
【0038】
酸性プロトンを含有する式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物は、適当な有機および無機塩基を用いる処理により、それらの治療的に活性な無毒の塩基付加塩形態に転化することもできる。適する塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩類、アルカリおよびアルカリ土類金属塩類、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩類、有機塩基類との塩類、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミン塩類、並びにアミノ酸類、例えばアルギニンおよびリシンとの塩類を含んでなる。
【0039】
逆に、該酸または塩基付加塩形態を適当な塩基または酸を用いる処理により遊離形態に転化させることもできる。
【0040】
本出願の枠内で使用される用語である付加塩は、式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物並びにそれらの塩類が形成しうる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば、水和物およびアルコレート、である。
【0041】
以上で使用された用語「第四級アミン」は、式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物が、式(Ia)または(Ib)の化合物の塩基性窒素と適当な第四級化剤、例えば、場合により置換されていてもよいアルキルハライド、アリールハライドまたはアリールアルキルハライド、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルとの間の反応により形成しうる第四級アンモニウム塩類を定義する。良好な脱離基を有する他の反応物、例えばトリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキル、およびp−トルエンスルホン酸アルキルを使用することもできる。第四級アミンは正に荷電された窒素を有する。製薬学的に許容可能な対イオンは、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテートおよびアセテートを包含する。選択される対イオンはイオン交換樹脂を用いて導入されうる。
【0042】
ここで使用される用語「立体化学的異性体形態」は、式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物が有することができる全ての可能な異性体形態を定義する。別に記載されるかまたは指示されない限り、化合物の化学的表示は可能な全ての立体化学的異性体形態の混合物を示し、該混合物は基本的分子構造の全てのジアステレオマー類およびエナンチオマー類を含有する。より特に、ステレオジェン中心はR−またはS−立体配置を有することができ、2価の環式(部分的)飽和基上の置換基はシス−またはトランス−立体配置のいずれかを有することができる。式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物の立体化学的異性体形態はもちろん本発明の範囲内に包括されることが意図される。
【0043】
CAS−命名協定に従い、既知の絶対的立体配置の2個のステレオジェン中心が分子内に存在する場合には、RまたはS表示は(カーン−インゴールド−プレログ(Cahn−Ingold−Prelog)配列則を基準として)最も低い番号が付いたキラル中心である参照中心に指定される。第二のステレオジェン中心の立体配置は相対的表示[R,R]または[R,S]を用いて示され、ここでRは常に参照中心として指定されそして[R,R]は同一キラル性を有する中心を示しそして[R,S]は異なるキラル性を有する中心を示す。例えば、分子内で最も低い番号が付いたキラル中心がS立体配置を有しそして第二中心がRである場合には、立体表示はS−[R,S]として指定されるであろう。「α」および「β」が使用される場合には、最も低い環番号を有する環系内の非対称性炭素原子上の最高優先度の置換基の位置は随意に常に環系により決められる中間面の「α」位置にある。参照原子上の最高優先度の置換基の位置に対する環系内の他の非対称性炭素原子上の最高優先度の置換基の位置は、それが環系により決められる中間面の同一側面上にある場合には「α」と命名され、またはそれが環系により決められる中間面の他の側面上にある場合には「β」と命名される。
【0044】
式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物および中間体化合物のあるものはそれらの構造内に少なくとも1個のステレオジェン中心を可変的に有し、それは少なくとも4種の立体化学的に異なる構造をもたらしうる。
【0045】
下記の方法で製造される式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物はエナンチオマー類のラセミ体混合物の形態で合成することができ、それらは当該技術で既知である分割工程に従い互いに分離されうる。式(Ia)または(Ib)のいずれかのラセミ体化合物を適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。該ジアステレオマー塩形態は引き続き、例えば、選択的または分別結晶化により分離され、そしてエナンチオマー類はそれらからアルカリにより遊離される。式(Ia)または(Ib)のいずれか化合物のエナンチオマー形態の別の分離方法は、キラル静止相を用いる液体クロマトグラフィーを包含する。該純粋な立体化学的異性体形態は対応する適当な出発物質の純粋な立体化学的異性体形態から、反応が立体特異的に起きる条件下で、誘導されうる。好ましくは、特異的立体異性体が所望される場合には、該化合物は立体特異的な製造方法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用するであろう。
【0046】
式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物の互変異性体形態は、例えばエノール基がケト基に転化されている(ケト−エノール互変異性)、式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物を含んでなることを意味する。
【0047】
式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されている式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物、特にアミン基の窒素が酸化されているN−オキシド類を含んでなることを意味する。
【0048】
本発明はまた、インビボで分解して本発明に従う化合物を生成する本発明に従う薬理学的に活性な化合物の誘導体化合物(一般に「プロ−ドラッグ」と称する)も含んでなる。プロ−ドラッグは(必ずしも必要でないが)一般にはそれらが分解されて生成する化合物より低い効力を標的受容体において有する。プロ−ドラッグは、所望する化合物がその投与を困難にするかまたは無効にする化学的または物理的性質を有する場合に、特に有用である。例えば、所望する化合物は劣悪にしか可溶性でないかもしれず、それは粘膜表皮を超えて劣悪に輸送されるかもしれず、またはそれは望ましくない短い血漿半減期を有するかもしれない。プロ−ドラッグに関するさらなる議論は、Stella,V.J.et al.,“Prodrugs”,Drug Delivery Systems,1985,pp.112−176およびDrugs,1985,29,pp.455−473に見ることができる。
【0049】
本発明に従う薬理学的に活性な化合物のプロ−ドラッグ形態は、一般に、エステル化またはアミド化される酸基を有する、式(Ia)または(Ib)のいずれかに従う化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態であろう。そのようなエステル化された酸基には式−COORの基が包含され、ここでRはC1−6アルキル、フェニル、ベンジルまたは下記の基:
【0050】
【化5】

の1種である。
【0051】
アミド化された基は式−CONRの基を包含し、ここでRはC1−6アルキル、フェニルまたはベンジルでありそしてRは−OH、H、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルである。
【0052】
アミノ基を有する本発明に従う化合物は、ケトンまたはアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、を用いて誘導化されてマンニッヒ塩基を生成しうる。この塩基は水溶液中で一次速度則で加水分解するであろう。
【0053】
本発明に従う化合物は驚くべきことに、マイコバクテリア疾病、特に薬剤耐性および多種薬剤耐性マイコバクテリア、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ結核菌(bovis)、M.アビアム(M.avium)、M.スメグマチス(M.smegmatis)およびM.マリナム(M.marinum)を包含する病原性マイコバクテリア、により引き起こされる疾病の処置に適することが示された。本発明は、それ故、薬品としての使用のための、以上で定義された式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態にも関する。
【0054】
本発明はまた、製薬学的に許容可能な担体および、活性成分としての、治療的に有効な量の本発明に従う化合物を含んでなる組成物にも関する。本発明に従う化合物は投与目的用の種々の製薬学的形態に調合することができる。適する組成物として、全身投与薬品用に一般に使用されている全ての組成物が挙げられうる。本発明の製薬学的組成物を製造す
るためには、活性成分としての、有効量の特定化合物を、場合により付加塩形態で、投与に所望される調剤の形態によって多種の形態をとりうる製薬学的に許容可能な担体と密に混合して組み合わせる。これらの製薬学的組成物は、特に経口的投与または非経口的注射に適する単位薬用量形態が望ましい。例えば、経口的薬用量形態での組成物の製造においては、例えば懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤の如き経口的液体調剤の場合にはいずれかの一般的な製薬学的媒体、例えば、水、グリコール類、油類、アルコール類などを使用することができ、または粉剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には固体担体、例えば澱粉、糖類、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用することができる。それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口的薬用量単位形態であり、その場合には固体の製薬学的担体がもちろん使用される。非経口的組成物に関しては、担体は一般に少なくとも大部分では殺菌水を含んでなるが、例えば溶解を助けるための、他の成分を含むことができる。例えば、担体が食塩水、グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注射溶液を製造することができる。適切な液体担体、懸濁剤などを使用できる注射懸濁液を使用することもできる。使用直前に液体形態調剤に転化させることを意図する固体形態調剤も包含される。
【0055】
投与方式によって、製薬学的組成物は好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%の式(Ia)または(Ib)のいずれかの活性成分、および、1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%の製薬学的に許容可能な担体を含んでなり、全ての百分率は全組成物を基準とする。
【0056】
製薬学的組成物はさらに種々の当該技術で既知である他の成分、例えば、潤滑剤、安定剤、緩衝剤、乳化剤、粘度−調節剤、界面活性剤、防腐剤、香味剤または着色剤を含有しうる。
【0057】
投与の容易さおよび薬用量の均一性のためには、上記の製薬学的組成物を単位薬用量形態に調合することが特に有利である。ここで使用される単位薬用量形態は単位薬用量に適する物理的に分離した単位をさし、各々の単位は必要な製薬学的担体と共に所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性成分を含有する。そのような単位薬用量形態の例は、錠剤(刻み目付きまたはコーティング錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット剤、ウエファー剤、坐剤、注射溶液または懸濁液など、並びにそれらの分割された複数分である。本発明に従う化合物の1日薬用量は、もちろん、使用される化合物、投与方式、所望される処置および指示されるマイコバクテリア疾病に応じて変動するであろう。しかしながら、一般的には、本発明に従う化合物がkgの体重当たり1グラムを越えない、例えば10〜50mgの範囲内の、1日薬用量で投与される時に満足な結果が得られるであろう。
【0058】
さらに、本発明はマイコバクテリア疾病の予防または処置用の薬品の製造のための、式(Ia)または(Ib)のいずれかの化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、それらの立体化学的異性体形態、それらの互変異性体形態およびそれらのN−オキシド形態、並びに上記の製薬学的組成物の使用にも関する。
【0059】
従って、別の面で、本発明は患者に治療的に有効な量の本発明に従う化合物または製薬学的組成物を投与することを含んでなるマイコバクテリア疾病に罹っているかまたはその危険性のある患者を処置する方法を提供する。
【0060】
本発明の化合物は1種もしくはそれ以上の他の抗マイコバクテリア剤と組み合わせることができる。
【0061】
従って、本発明は、また、(a)式(Ia)または(Ib)の化合物および(b)1種
もしくはそれ以上の他の抗マイコバクテリア剤の組み合わせにも関する。
【0062】
本発明は、また、薬品としての使用のための(a)式(Ia)または(Ib)の化合物および(b)1種もしくはそれ以上の他の抗マイコバクテリア剤の組み合わせにも関する。
【0063】
製薬学的に許容可能な担体、並びに、活性成分としての、治療的に有効な量の(a)式(Ia)または(Ib)の化合物および(b)1種もしくはそれ以上の他の抗マイコバクテリア剤を含んでなる製薬学的組成物も本発明により含まれる。
【0064】
式(Ia)または(Ib)の化合物と組み合わせうる他のマイコバクテリア剤は、例えば、リファムピシン(rifampicin)(=リファムピン(rifampin))、イソニアジド(isoniazid)、ピラジナミド(pyrazinamide)、アミカシン(amikacin)、エチオナミド(ethionamide)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、エタムブトール(ethambutol)、ストレプトマイシン(streptomycin)、パラ−アミノサリチル酸、シクロセリン(cycloserine)、カプレオマイシン(cpreomycin)、カナマイシン(kanamycin)、チオアセタゾン(thioacetazone)、PA−824、キノロン類/フルオロキノロン類、例えばオフロキサシン(ofloxacin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、マクロライド類、例えばクラリスロマイシン(clarithromycin)、クロファジミン(clofazimine)、アモキシシリン(amoxycillin)とクラブラニック・アシド(clavulanic acid)、リファマイシン類(rifamycins)、リバブチン(rifabutin)、リファペンチン(rifapentine)である。
【0065】
好ましくは、式(Ia)または(Ib)の本化合物はリファペンチンおよびモキシフロキサシンと組み合わされる。
【0066】
一般的製造
本発明に従う化合物は一般的に連続的段階により製造することができ、それらの各々は当業者に既知である。
【0067】
式(Ia−1)および(Ib−1)により表示される化合物であるZがCHである式(Ia)および(Ib)の化合物は、適当な溶媒、例えばトルエン、の存在下で、式(IIa−1)および(IIb−1)の中間体をパラホルムアルデヒドと反応させることにより製造することができる。
【0068】
【化6】

式(Ia−2)および(Ib−2)により表示される化合物であるZがC(=O)である式(Ia)および(Ib)の化合物は、適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン中で、Wが適当な脱離基、例えばイミダゾール、アルコキシ基、例えばメトキシ、を表す式(III−a)および(III−b)の中間体を適当な塩基、例えば水素化ナトリウム、カリウムtert−ブチレートと反応させることにより製造することができる。
【0069】
【化7】

上記反応において、得られる式(Ia)または(Ib)の化合物は単離することができ、そして、必要な場合には、当該技術で一般的に既知である方式、例えば、抽出、結晶化、蒸留、粉砕およびクロマトグラフィーに従い精製することができる。式(Ia)または(Ib)の化合物が結晶化する場合には、それを濾過により単離することができる。そうでなければ、適当な溶媒、例えば水、アセトニトリル、アルコール、例えばメタノール、エタノール、および該溶媒の組み合わせ、の添加により結晶化を引き起こしうる。或いは、反応混合物を蒸発乾固し、引き続きクロマトグラフィー(例えば逆相HPLC、フラッシュクロマトグラフィーなど)により残渣を精製しうる。反応混合物を溶媒の予めの蒸発なしにクロマトグラフィーにより精製することもできる。式(Ia)または(Ib)の化合物は、溶媒の蒸発、その後の適当な溶媒、例えば水、アセトニトリル、アルコール、例えばメタノール、および該溶媒の混合物中での再結晶化により、単離することもできる。
【0070】
当業者は、どの方法を使用すべきか、どの溶媒が使用に最も適するかまたはそれが最適な単離方法を見出すための日常的実験に属することを認識するであろう。
【0071】
式(Ia)または(Ib)の化合物は、さらに、式(Ia)または(Ib)の化合物を当該技術で既知である変換法に従い互いに転化することによっても製造することができる。
【0072】
式(Ia)または(Ib)の化合物は、3価窒素をそのN−オキシド形態に転化させるための当該技術で既知である工程に従い、対応するN−オキシド形態に転化させることができる。該N−酸化反応は一般的に式(Ia)または(Ib)の出発物質を適当な有機または無機化酸化物と反応させることにより行うことができる。適する無機化酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり、適する有機過酸化物はペルオキシ酸類、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸類、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロ過酸化物、例えばヒドロ−過酸化t.ブチルを含んでなる。適する溶
媒は、例えば、水、低級アルコール類、例えばエタノールなど、炭化水素類、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化された炭化水素類、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物を含んでなりうる。
【0073】
がアルキルである式(Ia)または(Ib)の化合物は、適当な溶媒、例えばアセトンの存在下における、適当な第四級化剤、例えば、場合により置換されていてもよいアルキルハライド、例えばICHとの反応により、適当な第四級アミンに転化させることができる。
【0074】
本発明における式(I)の化合物のあるものおよび中間体のあるものは立体化学的異性体形態の混合物よりなりうる。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術で既知である工程の適用により得られうる。例えば、ジアステレオ異性体を物理的方法、例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば向流分布、液体クロマトグラフィーなど、により分離することができる。エナンチオマー類はラセミ体混合物から、最初に該ラセミ体混合物を適当な分割剤、例えば、キラル酸、を用いてジアステレオマー塩または化合物の混合物に転化し、次にジアステレオマー塩または化合物の該混合物を例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーなど、により物理的に分離し、そして最後に該分離されたジアステレオマー塩または化合物を対応するエナンチオマー類に転化させることにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体形態は適当な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体形態からも、介在する反応が立体特異的に起きるという条件下で得ることができる。
【0075】
式(I)の化合物および中間体のエナンチオマー形態を分離する別の方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル静止相を用いる液体クロマトグラフィーを包含する。
【0076】
上記のまたは下記の製造において、反応生成物は反応媒体から単離することができそして、必要な場合には、当該技術で一般的に既知である方式、例えば、抽出、結晶化、蒸留、粉砕およびクロマトグラフィーに従いさらに精製することができることを理解すべきである。
【0077】
中間体および出発物質のあるものは既知の化合物でありそして市販されているかまたは当該技術で既知である工程に従い製造することができる。
【0078】
式(II−a)および(II−b)の中間体は、適当な溶媒、例えば1,2−ジクロロエタン、および適当なアルコール、例えばメタノールなど中で、式(IV−a)および(IV−b)の中間体を適当な脱保護剤、例えばクロロ蟻酸1−クロロエチルと反応させることにより製造することができる。
【0079】
【化8】

式(II−a)または(II−b)の中間体はまた、木炭上のパラジウムの存在下で、そして適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどの存在下で、式(IV−a)または(IV−b)の中間体を蟻酸アンモニウムと反応させることにより製造することもできる。Rがハロである式(IV−a)または(IV−b)の中間体は該ハロ置換基を式(II−a)または(II−b)の中間体へのそれらの転換中に放出しうる。
【0080】
式(IV−a)および(IV−b)の中間体は、適当な還元剤、例えばn−BuLiの存在下で、適当な塩基、例えばN,N−ジイソプロピルアミンの存在下で、そして適当な溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下で、式(V−a)および(V−b)の中間体を式(VI)の中間体と反応させることにより製造することもができる。
【0081】
【化9】

式(IV−a−1)または(IV−b−1)により表示される中間体であるRがHetを表しそしてpが1である式(IV−a)または(IV−b)の中間体は、適当な触媒、例えばPd(PPh、適当な塩基、例えばKCO、並びに適当な溶媒、例えばジメチルエーテルおよび適当なアルコール、例えばメタノールなどの存在下で、式(IV−a−2)または(IV−b−2)により表示される中間体であるRがハロを表す式(IV−a)または(IV−b)の中間体を式(VII)の中間体と反応させることにより製造することもができる。
【0082】
【化10】

式(III−a)または(III−b)の中間体は、適当な溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下で、式(II−a)または(II−b)の中間体をW−(C=O)が導入すべき基を表しそしてRが中間体の残部を表す式(VIII)の中間体、例えば1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、クロロ蟻酸メチルまたはクロロ蟻酸エチルと反応させることにより製造することができる。
【0083】
【化11】

式(V−a)または(V−b)の中間体は、市販されているかまたは当該技術で既知である従来工程に従い製造することができる化合物である。例えば、式(V−a−1)の中間体は下記の反応スキーム(1)に従い製造することができる:
【0084】
【化12】

[式中、全ての変数は式(Ia)および(Ib)で定義された通りである]。

反応スキーム(1)は、適当な塩基、例えばトリエチルアミン、および適当な反応−不活性溶媒、例えば塩化メチレンまたは二塩化メチレン、の存在下で、適当に置換されたアニリンを適当な塩化アシル、例えば塩化3−フェニルプロピオニル、塩化3−フルオロベンゼンプロピオニルまたは塩化p−クロロベンゼンプロピオニル、と反応させる段階(a)を含んでなる。反応は簡便には室温と還流温度との間の範囲にわたる温度において実施することができる。次の段階(b)では、適当な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミ
ド、の存在下で、段階(a)で得られた付加物を塩化ホスホリル(POCl)と反応させる(フィルスマイヤー−ハーク・ホルミル化(Vilsmeier−Haack formylation)、その後の環化)。反応は簡便には室温と還流温度との間の範囲にわたる温度において実施することができる。次の段階(c)では、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール、の存在下で、段階(b)で得られた中間体化合物を化合物−X−Alk[式中、X=SまたはOでありそしてAlkは式(Ia)および(Ib)で定義された通りのアルキル基である]、例えばナトリウムメタノレ−ト、と反応させることにより、Rがアルキルオキシまたはアルキルチオ基である特定のR基が導入されうる。
【0085】
式(V−a−2)に従う中間体は下記の反応スキーム(2)に従い製造することができ、ここで最初の段階(a)では、適当な塩基、例えば水酸化ナトリウムの存在下で、置換されたインドール−2,3−ジオンを置換された3−フェニルプロピオンアルデヒドと反応させ(フィジンガー反応)、その後に次の段階(b)でカルボン酸化合物を高温において適当な反応−不活性溶媒、例えばジフェニルエーテルの存在下で脱カルボキシル化する。
【0086】
【化13】

上記のおよび下記の反応において、反応生成物を反応媒体から単離することができそして、必要な場合には、当該技術において一般的に既知である方法、例えば抽出、結晶化およびクロマトグラフィーに従いさらに精製することができることは明らかである。1種より多いエナンチオマー形態で存在する反応生成物をそれらの混合物から既知の技術、特に分取クロマトグラフィー、例えば分取HPLCにより単離できることも明らかである。典型的には、式(Ia)および(Ib)の化合物はそれらの異性体形態に分離されうる。
【0087】
式(VI)の中間体は、市販されているかまたは当該技術で既知である従来工程に従い製造することができる化合物である。例えば、式(VI)の中間化合物は下記の反応スキーム(3)に従い製造することができる:
【0088】
【化14】

反応スキーム(3)は、適当なルイス酸、例えばAlCl、FeCl、SnCl、TiClまたはZnCl、および場合により適当な反応−不活性溶媒、例えば塩化メチレンまたは二塩化エチレンの存在下で、R、例えば適当に置換されたフェニル、ナフチル、またはHet、をフリーデル−クラフツ反応により、適当な塩化アシル、例えば塩化3−クロロプロピオニルまたは塩化4−クロロブチリルと反応させる段階(a)を含んでなる。反応は簡便には室温と還流温度との間の範囲にわたる温度において実施することができる。次の段階(b)では、適当な溶媒、例えばアセトニトリルの存在下で、そして場合により適当な塩基、例えばKCOの存在下で、段階(a)で得られた中間化合物を第一級または第二級アミンと反応させることにより、アミノ基(−NR(CH−C)が導入される。
【0089】
下記の実施例は本発明を説明するものであり、本発明はそれらに限定されない。
【実施例】
【0090】
実験の部
ある種の化合物では、内部にある1個もしくは複数のステレオジェン炭素原子の絶対的な立体化学配置は実験的に決定されていなかった。それらの場合には、最初に単離された立体化学的異性体形態が「A」とそして第二のものは「B」と指定され、実際の立体化学的配置にはさらに言及しない。しかしながら、該「A」および「B」異性体形態は当業者により当該技術で既知である方法、例えば、X線回折、を使用して明確に同定することができる。単離方法は以下で詳細に記載される。
【0091】
中間体のあるものおよび最終化合物のあるものに関しては、立体化学的配置が構造において示される。これらの立体配置は中心になる基が分子の同一または反対面に置かれることを示す相対的立体配置である
【0092】
【化15】

Rは、キラル中心が絶対的Rまたは絶対的Sであることを意味する。
Sは、キラル中心が絶対的Rまたは絶対的Sであることを意味する。
【0093】
実験部分
以下で、用語「M.P.」は融点を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「DME」はジメチルエーテルを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「EtN」はトリエチルアミンを意味し、「Pd(PPh」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを意味し、「CDI」は1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾールを意味する。
【0094】
A.中間体の製造
実施例A1
中間体1の製造
【0095】
【化16】

塩化ベンゼンプロパノイル(0.488モル)を室温において4−ブロモベンゼンアミン(0.407モル)のEtN(70ml)およびCHCl(700ml)中溶液に滴下しそして混合物を室温において一晩にわたり撹拌した。混合物を水および濃NHOHの中に注ぎ、そしてCHCHで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから結晶化させた。残渣(119.67g)をCHCl中に加えそして1NHClで洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:107.67gの中間体1。
【0096】
実施例A2
中間体2の製造
【0097】
【化17】

反応を2回行った。POCl(1.225モル)を10℃においてDMF(0.525モル)に滴下した。中間体1(0.175モル)を室温において加えた。混合物を一晩にわたり80℃において撹拌し、氷上に注ぎそしてCHClで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、77.62g(67%)の中間体2を生成した。生成物をさらなる精製なしに使用した。
【0098】
実施例A3
中間体3の製造
【0099】
【化18】

MeOH(222.32ml)中のCHONa(30%)中の中間体2(0.233モル)およびMeOH(776ml)の混合物を一晩にわたり撹拌しそして還流し、次に氷上に注ぎそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCH/シクロヘキサン20/80および次に100/0;20−45μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:25g(33%)の中間体3(融点:84℃)。
【0100】
実施例A4
a)中間体4および5の製造
【0101】
【化19】

塩化アルミニウム(34.3g、0.257モル)および塩化3−クロロプロパノイル(29.7g、0.234モル)の1,2−ジクロロエタン(150ml)中混合物を0℃において撹拌した。ナフタレン(30g、0.234モル)の1,2−ジクロロエタン(50ml)中溶液を加えた。混合物を5℃において2時間にわたり撹拌しそして氷水中に注いだ。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(56g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/CHCl60/40;20−45μm)上で精製した。2つの画分を集めそして溶媒を蒸発させて、中間体4(31g、61%)を油状で与えた。第二画分(14g)をDIPE中に加えて、中間体5(8.2g、16%、融点:68℃)を薄黄色固体状で与えた。
【0102】
【表1】

b)中間体6の製造
【0103】
【化20】

塩化アルミニウム(0.3モル)を1,3−ジフルオロベンゼン(0.26モル)に注意深く加えそして激しく撹拌しながら50℃まで加熱した。塩化3−クロロプロパノイル(0.26モル)を15分間の期間にわたり40℃(氷上で冷却された)において滴下しそして混合物を50℃において撹拌した。混合物を水(250ml)、氷(250g)およびHCl(25ml)の中に注ぎそしてそれを20分間にわたり撹拌した。生成した沈殿を濾別しそしてCHClおよび水で抽出した。収量:40gの中間体6(75%)。
【0104】
実施例A5
a)中間体7の製造
【0105】
【化21】

中間体4(3g、0.0137モル)、N−ベンジルメチルアミン(2ml、0.01
50モル)のアセトニトリル(100ml)中混合物を80℃において2時間にわたり撹拌した。室温において水を加えた。混合物をCHClで抽出した。有機層を分離しそして乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(6g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/MeOH97/3;20−45μm)上で精製して、油を与えた。収量:4.2gの中間体7。
【0106】
【表2】

b)中間体8の製造
【0107】
【化22】

中間体6(0.015モル)、N−エチルベンゼンメタナミン(0.016モル)およびKCO(0.016モル)のアセトニトリル(30ml)中混合物を70℃において2時間にわたり撹拌し、HO中に注ぎそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:4gの中間体8(88%)。
【0108】
実施例A6
a)中間体9の製造
【0109】
【化23】

n−ブチルリチウム(0.0075モル)を−20℃においてジイソプロピルアミン(0.0075モル)のTHF(50ml)中溶液に加えた。混合物を−70℃に冷却した。中間体3(0.0062モル)を加えた。混合物を−70℃において1時間30分にわたり撹拌した。中間体7(0.0075モル)を加えた。混合物を1時間30分にわたり撹拌した。HOを加えた。混合物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(3g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc90/10;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:1.5gの2種のジアステレオ異性体の混合物、すなわち中間体9、(38%)。
【0110】
【表3】

b)中間体10の製造
【0111】
【化24】

n−ブチルリチウム(0.0075モル)を−20℃においてジイソプロピルアミン(0.0075モル)のTHF(50ml)中溶液に加えた。混合物を−70℃に冷却した。中間体3(0.0061モル)を加えた。混合物を−70℃において1時間30分にわたり撹拌した。4−[メチル(フェニルメチル)アミノ]−1−フェニル−1−ブタノン(0.0073モル)を加えた。混合物を1時間30分にわたり撹拌した。HOを加えた。混合物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(4.9g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:100%CHCl;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、1.43gの中間体10(40%、ジアステレオ異性体の混合物:60/40)を生成した。
【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

c)中間体11および12の製造
【0114】
【化25】

n−ブチルリチウム(0.0075モル)を−20℃においてジイソプロピルアミン(0.0075モル)のTHF(50ml)中溶液に加えた。混合物を−70℃に冷却した。中間体3(0.00824モル)を加えた。混合物を−70℃において1時間30分にわたり撹拌した。中間体8(0.0099モル)を加えた。混合物を1時間30分にわたり撹拌した。HOを加えた。混合物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(5.4g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/シクロヘキサン60/40;15−40μm)上で精製した。2つの画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.95gのジアステレオ異性体Aとしての中間体11(15%、融点:171℃)および0.83gのジアステレオ異性体Bとしての中間体12(13%、MH+:631)。
【0115】
実施例A7
中間体17の製造
【0116】
【化26】

中間体9(1.58ミリモル)、2−フランボロン酸(2.69ミリモル)、Pd(PPh(0.158ミリモル)、DME(30ml)、MeOH(10ml)およびKCO(1.6ml)をマイクロ波(300W、68℃)下で10分間にわたり加熱した。混合物を冷却し、水中に注ぎそしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(1.4g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc90/10;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.47gのジアステレオ異性体の混合物(60/40)としての中間体17(41%)。
【0117】
実施例A8
a−1)中間体13および14の製造
【0118】
【化27】

クロロ蟻酸1−クロロエチル(15ml)を室温において中間体9(0.0023モル)の1,2−ジクロロエタン(30ml)中混合物に加えた。混合物を80℃において1時間にわたり撹拌した。溶媒を蒸発させた。MeOH(15ml)を加えた。混合物を30分間にわたり撹拌しそして還流した。溶媒を蒸発させた。残渣()(1.49g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/MeOH/NHOH97/3/0.1;15−40μm)上で精製した。2つの画分を集めそして溶媒を蒸発させた。第一残渣(0.23g)をDIPEから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.168g(13%)の中間体13(ジアステレオ異性体A)(融点:204℃)を生成した。第二残渣(0.32g)をDIPEから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した。収量:0.298g(23%)の中間体14(ジアステレオ異性体B)(融点:225℃)を生成した。
【0119】
【表6】

【0120】
【表7】

【0121】
【表8】

【0122】
【表9】

【0123】
a−2)中間体15および16の製造
【0124】
【化28】

中間体13(ジアステレオ異性体A)(0.9g)をキラルクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:100%エタノール)上で精製した。2つの画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.420gの中間体15(エナンチオマーA1)(融点:161℃、MH+:541)および0.397gの中間体16(エナンチオマーA2)(融点:158℃、MH+:541)。
【0125】
a−3)中間体44および45の製造
【0126】
【化29】

中間体43(A6.aに従い製造された)(1.5g、2.62モル)、蟻酸アンモニウム(0.83g、0.013モル)および木炭上パラジウム(10%、1.5g)のメタノール(30ml)中混合物を還流下で1時間にわたり加熱した。混合物を冷却しそしてセライトの短いパッドの上で濾過した。水を加えた。有機層を酢酸エチルで抽出し、分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(1.3g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:MeOH/AcNH60/40、クロマシル(kromasil)C18、5μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて2つの画分を生成した。収量:0.14gのジアステレオ異性体Aとしての中間体44(12%)および0.26gのジアステレオ異性体Bとしての中間体45(22%)。
【0127】
実施例A9
中間体18の製造
【0128】
【化30】

中間体39(実施例A8.a−1に従い製造された)(0.0002モル)およびCDI(0.0003モル)のTHF(7ml)中混合物を2時間にわたり撹拌しそして還流
し、HO中に注ぎそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.15gの中間体18(ジアステレオ異性体A)(84%)。
【0129】
B.化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【0130】
【化31】

中間体13(実施例A8.a−1に従い製造された)(0.00009モル)およびパラホルムアルデヒド(0.0001モル)のトルエン(5ml)中混合物を80℃において撹拌した。混合物を蒸発させた。残渣()をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/MeOH99/1;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.025gの化合物1(ジアステレオ異性体A)(49%、融点:112℃)。
【0131】
【表10】

【0132】
【表11】

【0133】
実施例B2
化合物2の製造
【0134】
【化32】

中間体37(実施例A8.a−1に従い製造されたジアステレオ異性体A)(0.00009モル)およびパラホルムアルデヒド(0.0001モル)のトルエン(5ml)中混合物を80℃において撹拌した。混合物を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/MeOH99/1;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.06g、92%)をDIPEから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した。収量:0.026gの化合物2(ジアステレオ異性体A)(40%、融点:201℃)。
【0135】
実施例B3
化合物3の製造
【0136】
【化33】

中間体30(実施例A8.a−1に従い製造されたジアステレオ異性体B)(0.00009モル)およびパラホルムアルデヒド(0.0001モル)のトルエン(5ml)中混合物を80℃において撹拌した。混合物を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/MeOH99/1;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.11g、100%)をジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した。収量:0.033gの化合物3(ジアステレオ異性体B)(33%、融点:189℃)。
【0137】
実施例B4
化合物4の製造
【0138】
【化34】

化合物7(実施例B1に従い製造されたジアステレオ異性体A)(0.1ミリモル)およびヨードメタン(0.1ミリモル)のアセトン(2ml)中混合物を室温において2.5時間にわたり撹拌した。沈殿を濾過し、アセトンで洗浄しそして乾燥した。収量:0.031gのヨウ化水素酸塩としての化合物4(ジアステレオ異性体A)(48%、融点:211℃)。
【0139】
【表12】

【0140】
実施例B5
化合物5の製造
【0141】
【化35】

水素化ナトリウム(0.011g)を0℃において中間体18(実施例A9に従い製造された)(0.0001モル)のTHF(10ml)中混合物にN流の下で加えた。混合物を0℃において30分間にわたり撹拌し、HO中に注ぎそしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc80/20;15−40μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.09g、67%)をDIPEから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した。収量:0.034gの化合物5(ジアステレオ異性体A)(融点:192℃)。
【0142】
【表13】

【0143】
実施例B6
化合物20の製造
【0144】
【化36】

中間体44(実施例A8.a−3に従い製造されたジアステレオ異性体A)(0.12g、0.298ミリモル)およびパラホルムアルデヒド(0.358ミリモル)のトルエン(5ml)中混合物を80℃において2時間にわたり撹拌した。水を室温において加えそして有機層を酢酸エチルで抽出し、分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.13g)をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH99/1/0.1;10μm)上で精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:0.075gの化合物20(ジアステレオ異性体A)(61%、MH+:415)。
【0145】
【表14】

【0146】
C.分析方法
化合物の質量をLCMS(液体クロマトグラフィー質量分光法)で記録した。下記の3種の方法を使用した。データは以下の表1にまとめられている。
【0147】
LCMS−方法1
LCMS分析(正方式における電子噴霧イオン化、100〜900amuの走査方式)をクロマシルC18カラム(インターキム(Interchim)、モントルコン、フランス;5μm、4.6×150mm)上で1ml/分の流速を用いて行った。2つの移動相(移動相A:30%の6.5mM酢酸アンモニウム+40%のアセトニトリル+30%の蟻酸(2ml/l);移動相B:100%のアセトニトリル)を使用して1分間にわたる100%Aから4分間にわたる100%Bまで、5分間にわたる100%Bから3分間にわたる100%Aまで、および2分間にわたる100%Aでの再均衡の勾配条件を行った。
【0148】
LCMS−方法2
LCMS分析(100〜1000amuで走査する正および負(パルス)方式の両者における電子噴霧イオン化)をクロマシルC18カラム(インターキム、モントルコン、フランス;3.5μm、4.6×100mm)上で0.8ml/分の流速を用いて行った。2つの移動相(移動相A:35%の6.5mM酢酸アンモニウム+30%のアセトニトリル+35%の蟻酸(2ml/l);移動相B:100%のアセトニトリル)を使用して1分間にわたる100%Aから4分間にわたる100%Bまで、4分間にわたる1.2ml/分の流速における100%Bから3分間にわたる0.8ml/分における100%Aまで、および1.5分間にわたる100%Aでの再均衡の勾配条件を行った。
【0149】
LCMS−方法3
LCMS分析(100〜1000amuで走査する正および負(パルス)方式の両者における電子噴霧イオン化)をサンファイアー(Sunfire)C18カラム(ウォーターズ(Waters)、ミルフォード、米国;3.5μm、4.6×100mm)上で0.8ml/分の流速を用いて行った。2つの移動相(移動相A:35%の6.5mM酢酸アンモニウム+30%のアセトニトリル+35%の蟻酸(2ml/l);移動相B:100%のアセトニトリル)を使用して1分間にわたる100%Aから4分間にわたる100%Bまで、4分間にわたる1.2ml/分の流速における100%Bから3分間にわたる0.8ml/分における100%Aまで、および1.5分間にわたる100%Aでの再均衡の勾配条件を行った。
【0150】
LCMS−方法4
LCMS分析(100〜1000amuで走査する正および負(パルス)方式の両者における電子噴霧イオン化)をサンファイアーC18カラム(ウォーターズ、ミルフォード、米国;3.5μm、4.6×100mm)上で0.8ml/分の流速を用いて行った。2つの移動相(移動相A:25%の6.5mM酢酸アンモニウム+50%のアセトニトリル+25%の蟻酸(2ml/l);移動相B:100%のアセトニトリル)を使用して1分間にわたる100%Aから4分間にわたる100%Bまで、4分間にわたる1.2ml/分の流速における100%Bから3分間にわたる0.8ml/分における100%Aまで、および1.5分間にわたる100%Aでの再均衡の勾配条件を行った。
【0151】
【表15】

【0152】
D.薬理学的実施例
D.1.結核菌(M.tuberculosis)に対して化合物を試験するためのインビトロ方法。
平底の殺菌性96−ウェルプラスチックマイクロタイター板に100μlのミドルブルック(Middlebrook)(1×)ブロス培地を充填した。引き続き、化合物の株溶液(10×最終試験濃度)を25μl量でカラム2中の一連の重複ウェルに加えて細菌成長に対するそれらの影響を評価した。順次5倍希釈物をカラム2〜11からのマイクロ
タイター板の中で注文製作されたロボットシステム(ジマーク・コーポレーション(Zymark Corp.)、ホプキントン、マサチューセッツ州)を用いて直接製造した。ピペット先端を3種の希釈物後毎に変えて高疎水性化合物によるピペット操作誤差を最少にした。接種材料あり(カラム1)およびなし(カラム12)の未処理対照試料が各々のマイクロタイター板に包含された。1個のウェル当たり約5000CFUの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(菌株H37RV)を、ミドロブルック(1×)ブロス培地中100μl量で、カラム12を除いて、列A〜Hに加えた。カラム12には接種材料なしの同量のブロス培地を列A〜Hに加えた。培養物を37℃において7日間にわたり湿った雰囲気(開放空気弁および連続的排気のあるインキュベーター)中でインキュベートした。インキュベーション最終日の1日前である接種後6日目に、レサズリン(Resazurin)(1:5)を全てのウェルに20μl量で加えそして板をさらに24時間にわたり37℃においてインキュベートした。7日目に、細菌成長を蛍光法で定量化した。
【0153】
蛍光をコンピューター−調節された蛍光計(スペクトラマックス・ジェミニ(Spectramax Gemini)・EM、モレキュラー・デバイセス(Molecular
Devices))中で530nmの励起波長および590nmの発光波長において読み取った。化合物により得られた百分率成長抑制を標準的方法に従い計算し、そしてMICデータ(マイクログラム/mlで表示されるIC90を表す)を計算した。
【0154】
D.2.菌株M.スメグマチス(Smegmatis)ATCC607に対して化合物を試験するためのインビトロ方法。
平底の殺菌性96−ウェル・プラスチック・マイクロタイター板に0.25%のBSAが補充された180μlの殺菌性脱イオン水を充填した。引き続き、化合物の株溶液(7.8×最終試験濃度)を45μl量でカラム2中の一連の重複ウェルに加えて細菌成長に対するそれらの影響を評価した。順次5倍希釈物(180μl中45μl)をカラム2〜11からのマイクロタイター板の中で注文製作されたロボットシステム(ジマーク・コーポレーション、ホプキントン、マサチューセッツ州)を用いて直接製造した。ピペット先端を3種の希釈物後毎に変えて高疎水性化合物によるピペット操作誤差を最少にした。接種材料あり(カラム1)およびなし(カラム12)の未処理対照試料が各々のマイクロタイター板に包含された。1個のウェル当たり約250CFUの細菌接種材料を、2.8×ムエラー−ヒントン(Mueller−Hinton)ブロス培地中100μl量で、カラム12を除いて、列A〜Hに加えた。カラム12には接種材料なしの同量のブロス培地を列A〜Hに加えた。培養物を37℃において48時間にわたり湿った5%CO雰囲気(開放空気弁および連続的排気のあるインキュベーター)中でインキュベートした。インキュベーションの最終日である接種後2日目に、細菌成長を蛍光法で定量化した。従って、アラマル・ブルー(Alamar Blue)(10×)を全てのウェルに20μl量で加えそして板をさらに2時間にわたり50℃においてインキュベートした。
【0155】
蛍光をコンピューター−調節された蛍光計(シトフルオル(Cytofluor)、バイオサーチ(Biosearch))中で530nmの励起波長および590nm(増加(gain)30)の発光波長において読み取った。化合物により得られた%成長抑制を標準的方法に従い計算した。pIC50を細菌成長に関する50%抑制濃度として定義した。結果を表2に示す。
【0156】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
は水素、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、Ar、Het、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、
pは1、2、3または4に等しい整数であり、
は水素、ヒドロキシ、チオ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノまたは式
【化2】

(ここでYはCH、O、S、NHまたはN−アルキルである)の基であり、
はアルキル、Ar、Ar−アルキル、HetまたはHet−アルキルであり、
は水素、アルキルまたはベンジルであり、
は水素、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、Ar、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルであり、或いは
2個の隣接するR基はそれらが結合されているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することができ、
rは1、2、3、4または5に等しい整数であり、そして
は水素、アルキル、ArまたはHetであり、
は水素またはアルキルであり、
はオキソであり、或いは
およびRは一緒になって基−CH=CH−N=を形成し、
ZはCHまたはC(=O)であり、
アルキルは炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基であるか、または炭素
数3〜6の環式飽和炭化水素基であるか、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基に結合された炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで各炭素原子は場合によりハロ、ヒドロキシ、アルキルオキシまたはオキソで置換されていてもよく、
Arは各々が場合により1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選択される同素環であり、各置換基はヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルおよびモノ−もしくはジアルキルアミノカルボニルの群から独立して選択され、
HetはN−フェノキシピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロべンゾ[1,4]ジオキシニルまたはべンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により炭素原子上でハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、
ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルは炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで1個もしくはそれ以上の炭素原子は1個もしくはそれ以上のハロ−原子で置換されている]
の化合物、その製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩類、その第四級アミン類、その立体化学的異性体形態、その互変異性体形態およびそのN−オキシド形態。
【請求項2】
ZがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、Ar、アルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、Ar−アルキルまたはジ(Ar)アルキルである前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
が水素、ハロ、シアノ、Ar、Het、アルキル、およびアルキルオキシであり、pが1、2、3または4に等しい整数であり、
が水素、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオまたは式
【化3】

(ここでYはOである)の基であり、
がアルキル、Ar、Ar−アルキルまたはHetであり、
が水素、アルキルまたはベンジルであり、
が水素、ハロまたはアルキルであり、或いは
2個の隣接するR基がそれらが結合されているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することができ、
rが1に等しい整数であり、そして
が水素であり、
が水素またはアルキルであり、
がオキソであり、或いは
およびRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成し、
アルキルが炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基であるか、または炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であるか、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基に結合された炭素数3〜6の環式飽和炭化水素基であり、ここで各炭素原子が場合によりハロまたはヒドロキシで置換されていてもよく、
Arが各々が場合により1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選択される同素環であり、各置換基がハロ、ハロアルキル、シアノ、アルキルオキシおよびモルホリニルの群から独立して選択され、
HetがN−フェノキシピペリジニル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニルの群から選択される単環式複素環、またはベンゾチエニル、2,3−ジヒドロべンゾ[1,4]ジオキシニルまたはべンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により炭素原子上で1、2または3個のアルキル置換基で置換されていてもよく、そして
ハロがフルオロ、クロロおよびブロモの群から選択される置換基である、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が式(Ia)の化合物であり、ここでRが水素、ハロ、Ar、Het、アルキルまたはアルキルオキシであり、p=1であり、Rが水素、アルキルオキシまたはアルキルチオであり、Rが各々が場合によりハロおよびハロアルキルの群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいナフチル、フェニルまたHetであり、Rが水素またはアルキルであり、Rが水素、アルキルまたはハロであり、rが1に等しい整数でありそしてRが水素である前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
化合物が式(Ia)の化合物であり、ここでRが水素、ハロ、アルキル、またはHetであり、Rがアルキルオキシであり、Rが各々が場合によりハロで置換されていてもよいナフチル、フェニルまたHetであり、Rがアルキルであり、Rが水素またはハロであり、Rが水素であり、ZがCHまたはC(=O)である請求項1、3、4または5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
インビボで分解して前記請求項のいずれか1項に記載の化合物を生成する化合物。
【請求項8】
薬品としての使用のための前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
製薬学的に許容可能な担体および、活性成分として、治療的に有効な量の請求項1〜6のいずれか1項で定義された化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項10】
マイコバクテリア疾病の処置のための薬品の製造用の請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項11】
a)適当な溶媒中で、式(II−a)および(II−b)の中間体をパラホルムアルデヒドと反応させ、
【化4】

[式中、R〜R、pおよびrは請求項1で定義された通りである]、
b)適当な溶媒中で、式(III−a)および(III−b)の中間体を適当な塩基と反応させ、
【化5】

[式中、R〜R、pおよびrは請求項1で定義された通りでありそしてWは適当な脱離基である]、
或いは、所望に応じて、式(Ia)または(Ib)の化合物を当該技術分野で既知の変換
法に従い互いに転化し、そしてさらに、所望に応じて、式(Ia)または(Ib)の化合物を酸を用いる処理により治療的に活性な無毒の酸付加塩にまたは塩基を用いる処理により治療的に活性な無毒の塩基付加塩に転化し、或いは逆に、酸付加塩形態をアルカリを用いる処理により遊離塩基に転化し、または塩基付加塩を酸を用いる処理により遊離酸付加塩に転化し、そして、所望に応じて、その立体化学的異性体形態、第四級アミン類、互変異性体形態またはN−オキシド形態を製造することを特徴とする請求項1に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2007−518775(P2007−518775A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550174(P2006−550174)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050267
【国際公開番号】WO2005/070924
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】