説明

置換ビフェニル類を調製するためのテトラアリールボレートプロセス

本発明は、ハロゲン化アリールをパラジウム触媒の存在下でテトラアリールボレートと反応させることによる置換ビフェニル類の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されているビフェニル類を調製する方法に関し、ここで、該方法は、パラジウム触媒の存在下で、ハロゲン化アリールをテトラアリールボレートと反応させることによる。
【背景技術】
【0002】
ビアリール化合物、特に、ビフェニル化合物は、精密化学製品として、薬物、蛍光増白剤及び農薬のための中間体として、工業において重要である。
【0003】
実験室規模においてビフェニル類を合成するために頻繁に使用される方法は、スズキ反応であり、ここで、該反応においては、ヨード芳香族化合物又はブロモ化合物(例外的な場合には、クロロ芳香族化合物)を、パラジウム触媒の存在下で、アリールボロン酸誘導体、ビニルボロン酸誘導体又はアルキルボロン酸誘導体と反応させる。この方法について記載している総論は、例えば、「N.Miyaura, A.Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95, 2457」及び「Bellina,F. et al. Synthesis 2004, 2419」の中に見られる。Pdが触媒するクロロ芳香族化合物の反応においてトリアルキルホスフィンリガンドを使用することについての論評は、「Littke,A.F. & Fu,G.C. Angew. Chem. 2002, 114, 4350」の中に見られる。
【0004】
従来技術において記載されているスズキカップリングでは、カップリング成分として、多くの場合、アリールボロン酸が使用される。これらは、それぞれ等量のアリールボロン酸を使用して1つのアリールラジカルしか転位され得ないという不利点を有している。
【0005】
従来技術において記載されている全ての調製方法では、高価であるか若しくは調製するのが困難なパラジウム錯体が使用されているか、又は、良好な収率を達成するために過剰量のアリールボロン酸の存在下で実施する必要がある。このことは、高価なアリールボロン酸を浪費することによってのみではなく、余分なボロン酸とそれから形成される副産物(例えば、脱ホウ素芳香族化合物(deboronated aromatic)及びホモカップリング生成物など)を分離するために必要なより複雑な洗浄プロセス及び単離プロセスによっても、当該調製方法のコストを増大させる。
【0006】
WO 2006/092429には、水性溶媒系中で、とりわけトリアルキルホスフィンの存在下において、芳香族ボリン酸をハロゲン化アリールと反応させることが記載されている。しかしながら、ボリン酸はどのような場合においても容易に合成することが不可能であるという事実、及び、その反応性が対応するボロン酸の反応性よりも実質的に劣っているという事実は、この調製方法の不利点であると思われる。さらに、上記ボリン酸の場合には、転位可能なアリールラジカルの数を増加させることが望まれる。
【0007】
G.Luらは、「Tetrahedron Letters 2005, 46, 4255−4259」において、市販されている安定なボレート源としてテトラフェニルホウ酸ナトリウム及びテトラトリルホウ酸ナトリウムを使用することを記載している。
【0008】
WO 2009/003650には、スズキ反応の経過が、使用するボロン酸又はボリン酸の反応性によっても決定的に影響を受けるということ、特に、反応を遅くさせることができるか又はホモカップリング生成物をもたらし得る電子誘引性置換基によって、芳香族化合物が不活性化されるということが教示されている。しかしながら、この問題に対しては、当該文献中において殆ど注意が払われていない。それは、当該文献中においては大過剰量のボロン酸が一般的に使用され、且つ、収率がハロ芳香族化合物の変換のみに基づいているからである。
【0009】
従って、従来技術において既に記載されている調製方法のさらなる不利点は、有毒なポリハロゲン化ビフェニル類の形成を伴うハロ芳香族化合物の競合するホモカップリング反応である。
【0010】
従って、電子不足な(electron−poor)テトラアリールボレート類は、高い反応性を有していないと思われ、従って、スズキカップリングにおいて適していないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2006/092429号
【特許文献2】国際公開第2009/003650号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】N.Miyaura, A.Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95, 2457
【非特許文献2】Bellina,F. et al. Synthesis 2004, 2419
【非特許文献3】Littke,A.F. & Fu,G.C. Angew. Chem. 2002, 114, 4350
【非特許文献4】Tetrahedron Letters 2005, 46, 4255−4259
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第1の目的は、スズキカップリングの空時収量を改善することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、電子が不足しているビフェニル類、特に、複数のハロゲン原子(2個、3個又は4個のハロゲン原子)で置換されているビフェニル類を調製するための、既知調製方法の不利点を有していない新規方法を提供することである。該調製方法は、工業的規模で実施するのに適しており、及び、電子が不足しているビフェニル類を、最適な触媒生産性(productivity)で、高い収率及び純度で生成させる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、式(I)
【0016】
【化1】

〔式中、
及びXは、互いに独立して、ハロゲン原子及び直鎖又は分枝鎖のC1−12−アルキル基から選択され;
nは、0、1又は2であり;
mは、1、2、3、4又は5であり;
は、アミノ基(NHR)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択され;
、R及びRは、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基、環状C3−8−アルキル基、ベンジル基、ベンゾイル基、式(Ia)で表されるピラゾリル基又は式(Ib)で表されるピリジル基
【0017】
【化2】

から選択され;
は、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基又は1〜6個のハロゲン原子を有するC1−6−ハロアルキル基である〕
で表される置換ビフェニル類を調製する方法によって達成され、ここで、該方法は、式(II)
【0018】
【化3】

〔式中、
Halは、臭素、塩素及びヨウ素から選択され;
、X及びnは、上記定義に対応する〕
で表されるハロゲン化アリールを、溶媒中で、塩基及びパラジウム触媒の存在下に、式(III)
【0019】
【化4】

〔式中、
及びmは、上記定義に対応し;及び、
q+は、アンモニウムカチオン(q=1)、アルカリ金属カチオン(q=1)及びアルカリ土類金属カチオン(q=2)から選択されるカチオンである〕
で表されるテトラアリールボレートと反応させることによる。
【0020】
本発明の調製方法によって、好ましくは、テトラアリールボレート(III)の4つの全てのアリールラジカルが式(II)で表されるハロゲン化アリールとカップリングすることが可能となる。従って、当該スズキカップリングの空時収量が改善される。
【0021】
本発明に関連して、用語ハロゲン(X)は、特に別途定義されていない限り、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択される元素を包含し、ここで、好ましくは、フッ素、塩素及び臭素が使用され、特に好ましくは、フッ素及び塩素が使用される。
【0022】
場合により置換されていてもよい基は、1置換又は多置換されることができ、多置換の場合には、当該置換基は同一であることも又は異なっていることも可能である。
【0023】
1個以上のハロゲン原子(−X)で置換されているアルキル基は、例えば、トリフルオロメチル(CF)、ジフルオロメチル(CHF)、CFCH、ClCH、CFCClから選択される。
【0024】
本発明に関連して、特に別途定義されていない限り、アルキル基は、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を場合により有していてもよい直鎖又は分枝鎖の炭化水素基である。さらに、本発明によるアルキル基は、−R’、ハロゲン(−X)、アルコキシ基(−OR’)、チオエーテル基又はメルカプト基(−SR’)、アミノ基(−NR’)、シリル基(−SiR’)、カルボキシル基(−COOR’)、シアノ基(−CN)、アシル基(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’)〔ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有し得るC1−12−アルキル基、好ましくは、C2−10−アルキル基、特に好ましくは、C3−8−アルキル基である〕から選択されるさらなる基で場合により置換されていてもよい。
【0025】
−C12−アルキルの定義は、アルキル基に関して本明細書中で定義されている最大範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、以下の意味を包含する:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル。
【0026】
本発明に関連して、特に別途定義されていない限り、シクロアルキル基は、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を場合により有していてもよい環状炭化水素基である。さらに、本発明によるシクロアルキル基は、−R’、ハロゲン(−X)、アルコキシ基(−OR’)、チオエーテル基又はメルカプト基(−SR’)、アミノ基(−NR’)、シリル基(−SiR’)、カルボキシル基(−COOR’)、シアノ基(−CN)、アシル基(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’)〔ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有し得るC1−12−アルキル基、好ましくは、C2−10−アルキル基、特に好ましくは、C3−8−アルキル基である〕から選択されるさらなる基で場合により置換されていてもよい。
【0027】
−C−シクロアルキルの定義は、シクロアルキル基に関して本明細書中で定義されている最大範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、以下の意味を包含する:シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及び、シクロオクチル。
【0028】
本発明に関連して、特に別途定義されていない限り、アリール基は、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を有していてもよく、且つ、−R’、ハロゲン(−X)、アルコキシ基(−OR’)、チオエーテル基又はメルカプト基(−SR’)、アミノ基(−NR’)、シリル基(−SiR’)、カルボキシル基(−COOR’)、シアノ基(−CN)、アシル基(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’)〔ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有し得るC1−12−アルキル基、好ましくは、C2−10−アルキル基、特に好ましくは、C3−8−アルキル基である〕から選択されるさらなる基で場合により置換されていてもよい、芳香族炭化水素基である。
【0029】
5−18−アリールの定義は、5〜18個の骨格原子(ここで、C原子はヘテロ原子と交換され得る)を有するアリール基に関して本明細書中で定義されている最大範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、以下の意味を包含する:シクロペンタジエニル、フェニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、ナフチル、及び、アントラセニル;2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、及び、1,3,4−トリアゾール−2−イル;1−ピロリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イル;3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、及び、1,2,4−トリアジン−3−イル。
【0030】
本発明に関連して、特に別途定義されていない限り、アリールアルキル基(アラルキル基)は、アリール基で置換されているアルキル基〔ここで、該アリールアルキル基は、C1−8−アルキレン鎖を有することができ、且つ、アリール骨格又はアルキレン鎖において、O、N、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子で置換されてもよく、並びに、−R’、ハロゲン(−X)、アルコキシ基(−OR’)、チオエーテル基又はメルカプト基(−SR’)、アミノ基(−NR’)、シリル基(−SiR’)、カルボキシル基(−COOR’)、シアノ基(−CN)、アシル基(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’)〔ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有し得るC1−12−アルキル基、好ましくは、C2−10−アルキル基、特に好ましくは、C3−8−アルキル基である〕から選択されるさらなる基で場合により置換されていてもよい〕である。
【0031】
7−19−アラルキル基の定義は、骨格及びアルキレン鎖に全体で7〜19個の原子を有するアリールアルキル基に関して本明細書中で定義されている最大範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、以下の意味を包含する:ベンジル、及び、フェニルエチル。
【0032】
本発明に関連して、特に別途定義されていない限り、アルキルアリール基(アルカリール基)は、アルキル基で置換されているアリール基〔ここで、該アルキルアリール基は、C1−8−アルキレン鎖を有することができ、且つ、アリール骨格又はアルキレン鎖において、O、N、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子で置換されてもよく、並びに、−R’、ハロゲン(−X)、アルコキシ基(−OR’)、チオエーテル基又はメルカプト基(−SR’)、アミノ基(−NR’)、シリル基(−SiR’)、カルボキシル基(−COOR’)、シアノ基(−CN)、アシル基(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’)〔ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有し得るC1−12−アルキル基、好ましくは、C2−10−アルキル基、特に好ましくは、C3−8−アルキル基である〕から選択されるさらなる基で場合により置換されていてもよい〕である。
【0033】
7−19−アルキルアリール基の定義は、骨格及びアルキレン鎖に全体で7〜19個の炭素原子を有するアルキルアリール基に関して本明細書中で定義されている最大範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、以下の意味を包含する:トリル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、又は、3,5−ジメチルフェニル。
【0034】
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルカリール基及びアラルキル基は、さらに、1個以上のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、特に別途定義されていない限り、N、O、P及びSから選択される)を有することができる。該ヘテロ原子は、番号が付けられた炭素原子と置き換えられる。本発明による化合物は、場合により、可能な種々の異性体形態の混合物として、特に、立体異性体(例えば、E−及びZ−、トレオ−及びエリトロ−)の混合物として、及び、光学異性体の混合物として存在することができ、さらに、場合により、互変異性体の混合物としても存在し得る。E−異性体とZ−異性体の両方、及び、トレオ−異性体とエリトロ−異性体の両方、及び、光学異性体、これら異性体の望ましい任意の混合物、及び、可能な互変異性体形態が開示されており、そして、特許請求されている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
式(I)で表される置換ビフェニル類を調製するための本発明による方法の好ましい実施形態においては、置換基は以下のように定義される:
は、5−フルオロである;
は、3/4−クロロである;
nは、1である;
mは、2である;
は、アミノ基(NH)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択される;
、R及びRは、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基又は環状C3−8−アルキル基から選択される。
【0036】
式(I)で表される置換ビフェニル類を調製するための本発明による方法の好ましいさらなる実施形態においては、置換基は以下のように定義される:
は、水素である;
は、3,4,5−フルオロである;
nは、1である;
mは、3である;
は、アミノ基(NH)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択される;
、R及びRは、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基又は環状C3−8−アルキル基から選択される。
【0037】
本発明に関連して、式(II)で表されるハロゲン化アリールは、クロロ芳香族化合物、ブロモ芳香族化合物又はヨード芳香族化合物である。
【0038】
【化5】

式(II)において、
は、ハロゲン原子及び直鎖又は分枝鎖のC1−12−アルキル基から選択され、好ましくは、5−フルオロである;
nは、0、1又は2であり、好ましくは、0又は1である;
は、アミノ基(NHR)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択され、好ましくは、アミノ基及びニトロ基から選択される;
、R及びRは、直鎖又は分枝鎖のC1−12−アルキル基又は環状C3−8−アルキル基、ベンジル基、ベンゾイル基、式(Ia)で表されるピラゾリル基、式(Ib)で表されるピリジル基から選択される。
【0039】
好ましい実施形態においては、式(II)で表されるハロゲン化アリールは、アニリン類(R=アミノ)から選択される;2−ブロモアニリン及び2−ブロモ−4−フルオロアニリンが特に好ましい。
【0040】
本発明の代替的な好ましい実施形態においては、式(II)で表されるハロゲン化アリールは、アセトアニリド類(R=CH−(CO)−NH−)から選択される;2−ブロモアセトアニリド及び2−ブロモ−4−フルオロアセトアニリドが特に好ましい。
【0041】
本発明の好ましいさらに別の実施形態においては、式(II)で表されるハロゲン化アリールは、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド、N−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)アセトアミド、N−(2−ブロモフェニル)アセトアミド、N−(2−クロロフェニル)アセトアミド、N−(2−クロロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(2−ブロモフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、2−ブロモ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリン、2−クロロ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリン、2−ブロモ−4−フルオロ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリン、2−クロロ−4−フルオロ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリンからなる群から選択される。
【0042】
本発明の好ましいさらに別の実施形態においては、式(II)で表されるハロゲン化アリールは、ピラゾリルアニリド類又はピリジルアニリド類(R=R−(CO)−NH−)から選択される〔ここで、該ピラゾリルアニリド類又はピリジルアニリド類は、式(Ia)(R=CHF)で表されるピラゾリル基又は式(Ib)で表されるピリジル基を含んでいる〕。
【0043】
【化6】

N−(2−ブロモフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド及びN−(2−ブロモフェニル)−2−クロロニコチンアミドが特に好ましい。
【0044】
本発明によるテトラアリールボレートは、式(III)
【0045】
【化7】

〔式中、
は、ハロゲン原子及び直鎖又は分枝鎖のC1−12−アルキル基から選択され、好ましくは、ハロゲン原子から選択され、Xは、特に好ましくは、塩素又はフッ素であり;
mは、1、2、3、4又は5であり、好ましくは、1、2又は3であり、特に好ましくは、2又は3であり;
Mは、カチオンである(ここで、該カチオンは、例えば、アンモニウム(q=1)、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム(q=1)、アルカリ土類金属、例えば、マグネシウム、カルシウム若しくはバリウム(q=2)、又は、錯体ハロゲン化アルカリ土類金属、例えば、[MgCl]、[MgBr]、[CaBr]、[CaCl](q=1)からなる群から選択される)〕
で表される化合物である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態においては、式(III)で表されるテトラアリールボレートは、テトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸カリウム、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸カリウムからなる群から選択される。
【0047】
本発明に関連して、特に好ましいテトラアリールボレートは、テトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸ナトリウムである。
【0048】
該テトラアリールボレート類は、例えば、「J.Serwatoski et al. Tetrahedron Letters 2003, 44, 7329」に記載されている合成方法に従って、調製することができる。
【0049】
式(III)で表されるテトラアリールボレートの式(II)で表されるハロゲン化アリールへのカップリングは、好ましくは、少なくとも1種類の溶媒(ここで、該溶媒は、例えば、水、脂肪族エーテル類、場合によりハロゲン化されていてもよい芳香族又は脂肪族の炭化水素類、アルコール類、エステル類、芳香族又は脂肪族のニトリル類、及び、極性非プロトン性溶媒、例えば、ジアルキルスルホキシド類、脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド類又はアルキル化ラクタム類からなる群から選択される)の存在下で実施する。
【0050】
THF、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグリム、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、tert−アミルメチルエーテル(TAME)、ジメチルエーテル(DME)、2−メチル−THF、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエン、キシレン類、メシチレン、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒が特に好ましい。
【0051】
トルエン、THF又はジオキサンンと水との混合物が、極めて特に好ましい。
【0052】
有機溶媒に少量(当該溶媒の最大で20%まで)の水を添加することによって競合性のホモカップリング反応が実質的に抑制されるということも観察された。
【0053】
しかしながら、出発物質及び生じた生成物の溶解性に起因して、有機(非極性)溶媒を全く存在させないということは、一般に、可能ではない。従って、好ましくは、有機溶媒を補助溶媒として使用する。
【0054】
本発明による溶媒混合物は、水と有機溶媒の混合物に基づいて、0.1〜95体積%、好ましくは、1〜60体積%の水を含有し得る。
【0055】
当該反応において酸が形成されるので、生じた酸を塩基を添加することによって捕捉するのが有利である。そのような塩基は、最初から存在させ得るか、又は、反応中に連続的に計量供給し得る(半回分プロセス)。
【0056】
本発明に従って適している塩基は、例えば、以下のものである:第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン(これらは、脂環式又は開鎖式であり得る);脂肪族及び/又は芳香族のカルボン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、又は、安息香酸塩;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩及び/又は水酸化物;及び、金属アルコキシド、特に、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメタノラート、カリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、マグネシウムメタノラート、カルシウムエタノラート、ナトリウムtert−ブチラート、カリウムtert−ブチラート、又は、アルカリ金属イソアミラート。該塩基は、好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又はセシウムの炭酸塩、水酸化物又はリン酸塩である。NaOH、KOH、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムが特に好ましい。
【0057】
該スズキカップリングは、パラジウム触媒の存在下で実施される。原則として、スズキカップリングに関連して従来技術において記載されている全てのパラジウム触媒を使用することができる。
【0058】
使用するのが好ましいパラジウム触媒は、下記群(a)〜(c)から選択されるパラジウム触媒である:
(a) 酸化状態ゼロのパラジウムと一般式PR’〔式中、R’は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−5−シクロアルキル及びC6−12−アリールからなる群から選択される〕で表されるホスフィンリガンド又はホスフィノフェロセンリガンドを含んでいるパラジウム錯体;
(b) 一般式PR’〔式中、R’は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−5−シクロアルキル及びC6−12−アリールからなる群から選択される〕で表されるホスフィンリガンドの存在下におけるパラジウム塩、又は、ホスフィノフェロセンリガンドの存在下におけるパラジウム塩;
(c) 場合により支持体に適用されていてもよいパラジウム金属(場合により、一般式PR’〔式中、R’は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−5−シクロアルキル及びC6−12−アリールからなる群から選択される〕で表されるホスフィンリガンド又はホスフィノフェロセンリガンドを添加し得る)。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、カテゴリー(a)のパラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、アダマンタ−1−イル(アダマンタ−2−イル)ブチルホスフィンパラジウム、ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィンパラジウム、1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム、ペンタフェニル(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチレン)フェニルパラジウムからなる群から選択される。
【0060】
本発明の好ましい別の実施形態では、カテゴリー(b)のパラジウム触媒は、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビスアセトニトリルパラジウムクロリド、パラジウム(II)ジベンジリデンアセトン、ビスアセチルアセトナトパラジウムからなる群から選択される。
【0061】
使用するパラジウム触媒は、一般に、少なくとも1種類のパラジウム(II)塩又はパラジウム(0)化合物と対応するホスフィンリガンドからその場で生成させる。しかしながら、それらは、初期の触媒活性が低減されることなく、パラジウム(0)化合物として直接使用することもできる。
【0062】
適切なパラジウム源は、例えば、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムフルオロアセチルアセトナート、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、Pd(OCOCHCH、Pd(OH)、PdBr、ビスアセチルアセトナートパラジウム、Pd(NO、パラジウムジベンジリデンアセトン、Pddba(dba=ジベンジリデンアセトン)、Pd(CHCN)Cl、Pd(PhCN)Cl、Li[PdCl]、Pd/C又はパラジウムナノ粒子からなる群から選択される。
【0063】
本発明によれば、電子不足なボレート類をカップリングさせるために、好ましくは、電子豊富な(electron−rich)及び/又は立体障害性のホスフィンをパラジウム(0)源と組み合わせて使用する。
【0064】
これらの例は、アルキル部分が分岐しているメチルジ(C3−8−アルキル)ホスフィンリガンド又はトリ(C3−8−アルキル)ホスフィンリガンド又はそれらの塩であり、特に好ましくは、メチルジ(tert−ブチル)ホスフィン及びトリ(tert−ブチル)ホスフィンの塩である。さらなる例は、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチレン)フェニル、アダマンタ−1−イル(アダマンタ−2−イル)ブチルホスフィン、ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィン、1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチレン)フェニル、ペンタフェニル(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンである。
【0065】
トリ(tert−ブチル)ホスフィンとPddbaの組合せが、反応性及びホモカップリング生成物の形成に関して、特に有利であるということが分かった。
【0066】
上記トリアルキルホスフィンは、トリアルキルホスホニウム塩として、例えば、テトラフルオロホウ酸塩(Org. Lett. 2001, 3, 4295)、過塩素酸塩又は硫酸水素塩として使用することも可能であり、及び、これらの塩からその場で塩基によって遊離させることも可能である。
【0067】
パラジウムとホスフィンリガンド又はホスフィノフェロセニルリガンドのモル比は、4:1〜1:50であるべきであり、そして、好ましくは、1:1〜1:5、特に好ましくは、1:1〜1:2である。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、カテゴリー(b)のパラジウム触媒は、1当量のパラジウム塩当たり、6〜60当量のトリフェニルホスフィン又はトリ−tert−ブチルホスフィンを含んでいる。
【0069】
しかしながら、本発明によれば、Pd[P(tert−But)を直接使用することも可能であり、その調製については、「JACS 1976, 98, 5850」、「JACS 1977, 99, 2134」及び「JACS 2001, 123, 2719」に記載されている。
【0070】
上記反応を実施する場合、触媒系(Pd+リガンド)は、室温で、又は、高温下で、一緒に添加し得るか、又は、別々に添加し得る。当該触媒系は、使用する直前にPd塩とリガンドを合することによって独立して調製することができるか、又は、結晶形態にあるものを購入することができる。当該バッチに、直接、最初にリガンドを添加し、次いでパラジウム塩を添加することも可能である(「in situ」プロセス)。
【0071】
本発明によれば、式(II)で表されるハロゲン化アリールと式(III)で表されるテトラアリールボレートは、4:1〔(II):(III)〕の比率で、好ましくは、3:1〔(II):(III)〕の比率で使用する。しかしながら、代替的に、2成分のうちの一方〔(II)又は(III)〕、好ましくは、テトラアリールボレート(III)を、過剰に使用することも可能である。当該反応を制御された計量添加で実施することも可能である(反応中に、当該2種類の反応性分のうちの一方をゆっくりと計量添加する)。本目的のために、好ましくは、テトラアリールボレート(III)の溶液を計量添加し、ハロゲン化アリール(II)と触媒と場合により塩基は最初に導入する。本発明によるこの手順によってホモカップリングの生成物であるポリ塩化ビフェニル類の形成が低減されるということが観察された。
【0072】
該反応は、一般に、100バール以下の圧力、好ましくは、大気圧〜40バールの圧力下に、20〜200℃の温度、好ましくは、40〜100℃の温度、特に好ましくは、60〜90℃の温度で、実施する。
【0073】
該反応は、好ましくは、不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下で、大気酸素の非存在下で実施する。
【0074】
触媒の活性及び安定性に起因して、本発明による調製方法では、極めて少量の触媒を使用することが可能であり、その結果、触媒のコストは、既知スズキ反応と比較して、対応する調製方法に対する制限とはならない。
【0075】
本発明による調製方法においては、式(II)で表されるハロゲン化アリールに基づいて、0.001〜10.0mol%、好ましくは、0.005〜3.0mol%、特に好ましくは、0.01〜1.0mol%のパラジウム触媒が使用される。
【0076】
触媒の量が少ないので、該触媒は、殆どの場合、最終生成物の中に残存し得る。あるいは、しかしながら、得られたビアリール類を濾過(例えば、セライト上での濾過)によって精製することも可能である。
【0077】
以下の実施例は、本発明による調製方法を例証するためのものであって、本発明をそれに限定するものではない。
【実施例】
【0078】
合成実施例
実施例1: ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、96mg[414μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと71.6mg[116μmol]のテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムと91.3mg[861μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、4.76mg[16μmol]のビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィン(トルエン中の標準的な溶液)及び9.4mg[10μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で19時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド:3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=99.5:0.5:0。
【0079】
実施例2: トリ(tert−ブチル)ホスフィンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、95.7mg[412μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと69.2mg[112μmol]のテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムと94.3mg[890μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、3.16mg[16μmol]のトリ(tert−ブチル)ホスフィン(トルエン中の標準的な溶液)及び16.4mg[18μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で19時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド:3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=96.7:1.15:2.15。
【0080】
実施例3: 1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、102.1mg[440μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと65.3mg[106μmol]のテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムと100.5mg[948μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、6.89mg[14μmol]の1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(トルエン中の標準的な溶液)及び10.1mg[11μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で19時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド:3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=94.21:0.64:5.15。
【0081】
実施例4: 1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチレン)フェニルの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、96mg[413μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと85.1mg[0.137mmol]のテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムと92.6mg[873μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、6.68mg[16.9μmol]の1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチレン)フェニル(トルエン中の標準的な溶液)及び8.71mg[9.5μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で19時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド:3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=99.3:0.70:0。
【0082】
実施例5: 1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、104.8mg[452μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと74.2mg[120μmol]のテトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウムと90.9mg[857μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、13.79mg[19.4μmol]の1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(トルエン中の標準的な溶液)及び8.60mg[9.4μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で19時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド:3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=97.96:1.31:0.73。
【0083】
実施例6: ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、104.1mg[449μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと59.0mg[106μmol]のテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムと111.3mg[1050μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、4.55mg[15.3μmol]のビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィン(トルエン中の標準的な溶液)及び10.6mg[11.7μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で65時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’,5’−トリフルオロ−5−フルオロビフェニル)アセトアミド:3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサフルオロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=90.62:1.48:7.90。
【0084】
実施例7: トリ(tert−ブチル)ホスフィンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、102.9mg[443μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと70.7mg[127μmol]のテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムと100.7mg[950μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、3.50mg[17.3μmol]のトリ(tert−ブチル)ホスフィン(トルエン中の標準的な溶液)及び6.90mg[7.5μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で65時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’,5’−トリフルオロ−5−フルオロビフェニル)アセトアミド:3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサフルオロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=96.5:3.5:0。
【0085】
実施例8: 1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、106.1mg[457μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと66.6mg[119μmol]のテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムと87.0mg[821μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、8.02mg[16.9μmol]の1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(トルエン中の標準的な溶液)及び13mg[14.2μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で65時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’,5’−トリフルオロ−5−フルオロビフェニル)アセトアミド:3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサフルオロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=99.0:1.0:0。
【0086】
実施例9: 1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、0.8mLのトルエンと0.2mLの水の中に、102.7mg[443μmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと65.8mg[118μmol]のテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムと92.2mg[870μmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、11.95mg[16.8μmol]の1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(トルエン中の標準的な溶液)及び8.1mg[8.9μmol]のPddbaを添加する。その反応混合物を82℃で65時間撹拌する。反応が完了した後(HPLCによる確認)、その反応混合物を室温まで冷却し、2mLのアセトニトリルを添加し、次いで、ナイロン製フィルター(細孔径 0.45μm)で濾過する。当該混合物をHPLC分析に付すことよって、以下の比率が示された: N−(3’,4’,5’−トリフルオロ−5−フルオロビフェニル)アセトアミド:3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサフルオロビフェニル:N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド=98.5:1.5:0。
【0087】
実施例10: トリ(tert−ブチル)ホスフィンの存在下における、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドのテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムへのカップリング
酸素の非存在下、30mLのトルエンと10mLの水の中に、5g[21.55mmol]のN−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミドと3.25g[5.82mmol]のテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムと4.57g[43.1mmol]の炭酸ナトリウムを最初に入れる。その混合物に、348mg[1.724mmol]のトリ(tert−ブチル)ホスフィンと786mg[0.858mmol]のPddbaを10mLのトルエンに溶解させた溶液を添加する。その反応混合物を82℃で24時間撹拌する。その反応混合物を室温まで冷却し、次いで、70mLのトルエン及び50mLの水を添加する。その有機相をセライトで濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。GCによる純度が69.8%である5.83gのN−(3’,4’,5’−トリフルオロ−5−フルオロビフェニル)アセトアミドが得られる。
【0088】
実施例11: テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムの調製
50mLのジエチルエーテルの中の4.15g[171mmol]のマグネシウムと4.74g[43mmol]のテトラフルオロホウ酸ナトリウムの懸濁液に、酸素の非存在下、穏やかに還流しながら、100mLのジエチルエーテルの中の35g[166mmol]の5−ブロモ−1,2,3−トリフルオロベンゼンを約2時間で滴下して加える。約5%の5−ブロモ−1,2,3−トリフルオロベンゼンを添加した後、グリニャール反応が開始する。その反応混合物を室温でさらに12時間撹拌する。その混合物を、50gの炭酸ナトリウムを700mLの水に溶解させた溶液に混合させる。ジエチルエーテルを留去した後、その水相をメチルtert−ブチルエーテルで抽出する。その有機相を合してNaSOで脱水し、溶媒を減圧下に除去する。少量の水で洗浄し、乾燥させた後、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウムが得られた。
H NMR(CDCN)δ 6.80−6.71(m,8H);
13C NMR δ 157.4;150.8;137.0;118.1。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
及びXは、互いに独立して、ハロゲン原子及び直鎖又は分枝鎖のC1−12−アルキル基から選択され;
nは、0、1又は2であり;
mは、1、2、3、4又は5であり;
は、アミノ基(NHR)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択され;
、R及びRは、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基、環状C3−8−アルキル基、ベンジル基、ベンゾイル基、式(Ia)で表されるピラゾリル基又は式(Ib)で表されるピリジル基
【化2】

から選択され;
は、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基又は1〜6個のハロゲン原子を有するC1−6−ハロアルキル基である〕
で表される置換ビフェニル類を調製する方法であって、式(II)
【化3】

〔式中、
Halは、臭素、塩素及びヨウ素から選択され;
、X及びnは、上記定義に対応する〕
で表されるハロゲン化アリールを、溶媒中で、塩基及びパラジウム触媒の存在下に、式(III)
【化4】

〔式中、
及びmは、上記定義に対応し;及び、
q+は、アンモニウムカチオン(q=1)、アルカリ金属カチオン(q=1)及びアルカリ土類金属カチオン(q=2)から選択されるカチオンである〕
で表されるテトラアリールボレートと反応させることによる、前記方法。
【請求項2】
が、5−フルオロであり;
が、3/4−クロロであり;
nが、1であり;
mが、2であり;
が、アミノ基(NH)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択され;
、R及びRが、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基又は環状C3−8−アルキル基から選択される;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、水素であり;
が、3,4,5−フルオロであり;
nが、1であり;
mが、3であり;
が、アミノ基(NH)、ニトロ基(NO)、アミド基(R−(CO)−NH−)又はシッフ塩基(RC=N−)からなる群から選択され;
、R及びRが、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル基又は環状C3−8−アルキル基から選択される;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)で表されるハロゲン化アリールが、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド、N−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)アセトアミド、N−(2−ブロモフェニル)アセトアミド、N−(2−クロロフェニル)アセトアミド、N−(2−クロロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(2−ブロモフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、2−ブロモ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリン、2−クロロ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリン、2−ブロモ−4−フルオロ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリン、2−クロロ−4−フルオロ−N−(プロパ−2−イリデン)アニリンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(III)で表されるテトラアリールボレートが、テトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(3,4−ジクロロフェニル)ホウ酸カリウム、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ酸カリウムからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記パラジウム触媒が、
(a) 酸化状態ゼロのパラジウムと一般式PR’〔式中、R’は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−5−シクロアルキル及びC6−12−アリールからなる群から選択される〕で表されるホスフィンリガンド又はホスフィノフェロセンリガンドを含んでいるパラジウム錯体;
(b) 一般式PR’〔式中、R’は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−5−シクロアルキル及びC6−12−アリールからなる群から選択される〕で表されるホスフィンリガンドの存在下におけるパラジウム塩、又は、ホスフィノフェロセンリガンドの存在下におけるパラジウム塩;
(c) 場合により支持体に適用されていてもよいパラジウム金属(場合により、一般式PR’〔式中、R’は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−5−シクロアルキル及びC6−12−アリールからなる群から選択される〕で表されるホスフィンリガンド又はホスフィノフェロセンリガンドを添加し得る);
から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
カテゴリー(a)のパラジウム触媒が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、アダマンタ−1−イル(アダマンタ−2−イル)ブチルホスフィンパラジウム、ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィンパラジウム、1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム、ペンタフェニル(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチレン)フェニルパラジウムからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
カテゴリー(b)のパラジウム触媒が、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビスアセトニトリルパラジウムクロリド、パラジウム(II)ジベンジリデンアセトン、ビスアセチルアセトナトパラジウムからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
式(II)で表されるハロゲン化アリールに基づいて、0.001〜10.0mol%のパラジウム触媒が使用される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記反応が20〜100℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が水と少なくとも1種類の有機溶媒の混合物である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記有機溶媒がトルエンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(III)
【化5】

〔式中、M及びqは、上記定義に対応する〕
で表される、テトラアリールボレート。

【公表番号】特表2013−503118(P2013−503118A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525909(P2012−525909)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005060
【国際公開番号】WO2011/023324
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】