説明

置換ベンズイミダゾール化合物の製造方法

【課題】抗ウイルス活性を有する化合物の製造に有用な、2−ブロモ−5,6−ジクロロベンズイミダゾール等の置換ベンズイミダゾール化合物の新規製造方法の提供。
【解決手段】4,5−ジクロロ−O−フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化するステップ、およびPO(X)3と反応させるステップからなる次式(I)


で示される化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、置換ベンズイミダゾール化合物の新規な製造方法に関する。
【0002】
ある種の置換ベンズイミダゾールヌクレオシドは抗ウイルス活性を有することが示されている。PCT公報WO98/56761は抗ウイルス活性を有する一連の置換ベンズイミダゾールピラノシルおよびそれらの製造方法を開示している。PCT公報WO92/07867、96/01833、97/25337、99/06424は、抗ウイルス活性を有する置換ベンズイミダゾールフラノシルをはじめとする一連の置換ベンズイミダゾールフラノシル、およびそれらの製造方法を開示している。
【0003】
米国特許第5,003,079号はベンズイミダゾロンの製造方法に向けられている。E. Kawashimaら, Heterocyclic Compounds 4:24-26 (1991)は2,5,6-トリクロロベンズイミダゾールの製造方法に関するものである。L. Townsend, J. Med. Chem. 38:4098 (1995)はある種の2,5,6-トリハロ-1-(β-D-リボフラノシル)ベンズイミダゾールの合成方法に関するものである。
【0004】
発明の概要
一般に本発明は、置換ベンズイミダゾール化合物の新規な合成方法を提供する。
【0005】
第1の態様では、本発明は、式I:
【化1】

(式中、Xはハロである)
の化合物を製造する方法を提供する。本方法は、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式II:
【化2】

の化合物を生成するステップ、および、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3と反応させて式Iの化合物を製造する
ステップを含んでなる。
【0006】
さらなる態様では、本発明は2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを製造する方法を提供し、該方法は5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンをオキシ臭化リンと反応させることを含んでなる。
【0007】
本発明のさらなる態様では、式VI:
【化3】

(式中、Rはハロであり;R1は水素であり;かつ、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々独立して、H、ヒドロキシ基および保護ヒドロキシ基からなる群より選択される)
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法が提供される。該方法は、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式II:
【化4】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式I:
【化5】

の化合物を製造するステップ、および、
(c) 式Iの化合物を式IV:
【化6】

のピラノシドと反応させて式VIの化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造するステップを含んでなる。
【0008】
本発明のさらなる態様では、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-ベンズイミダゾール、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法が提供される。該方法は、(a)5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンをオキシ臭化リンと反応させて2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを生成し、(b)2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-β-D-リボピラノースと反応させて2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル)-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを生成し、さらに、(c)2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル)-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを脱保護して2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-ベンズイミダゾール、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを生成することを含んでなる。このように本発明は、上記ステップ(c)の脱保護(すなわちO-アセチル保護基の除去)を行わずに、ステップ(a)および(b)を行うことで、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル)-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを製造する方法を提供する。該方法は、4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化することにより5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンを製造する予備ステップをさらに含んでなってもよい。
【0009】
なおもう1つの態様では、本発明は、式VII:
【化7】

(式中、
Rは-NR8R9であり、ここで、R8およびR9は各々独立してH、C1-6アルキル、シアノC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルC3-7シクロアルキル、C2-6アルケニル、C3-7シクロアルキルC1-6アルキル、C2-6アルキニル、アリール、アリールC1-6アルキル、およびCOC1-6アルキルからなる群より選択され、かつ、
R10は各々独立してヒドロキシおよび保護ヒドロキシ基からなる群より選択される)
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法を提供する。該方法は、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化させて式II:
【化8】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式I:
【化9】

の化合物を製造するステップ、
(c) 式Iの化合物を式III:
【化10】

のフラノシルと反応させて式V:
【化11】

の化合物を製造するステップ、および、
(d) 式Vの化合物を式H-R8R9のアミンと反応させて式VIIの化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造するステップを含んでなる。
【0010】
なおもう1つの態様では、本発明は、式X:
【化12】

[式中、
Rはハロ、ヒドロキシ、アジド、C1-8アルキル、トリハロメチル、C1-8アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-14アリールC2-6アルケニル、C6-14アリールC2-6アルキニル、
-NR25R26(ここで、R25およびR26は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ハロ、C1-8アルキル、シアノC1-8アルキル、ヒドロキシC1-8アルキル、ハロC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-8アルキルC3-7シクロアルキル、C2-6アルケニル、C3-7シクロアルキルC1-8アルキル、C2-6アルキニル、C6-14アリール、C6-14アリールC1-6アルキル、ヘテロシクリルC1-8アルキル、C1-8アルキルカルボニル、およびC6-14アリールスルホニルからなる群より選択される)、
-NHNR30R31(ここで、R30およびR31は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してC1-6アルキルである)、
-N=NNC1-6アルキル、
-NHOC1-6アルキル、
-OR27(ここで、R27はC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、およびC6-14アリールからなる群より選択される)、
-SR28(ここで、R28はH、C1-8アルキル、ヒドロキシC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C6-14アリール、およびC6-14アリールC1-6アルキルからなる群より選択される)
からなる群より選択され、
R15はH、ハロ、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルからなる群より選択され、
R16およびR17は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ハロ、C1-8アルキル、C6-14アリール、ヘテロシクリル-C1-8アリール、C1-8アルコキシ、ハロC1-8アルキル、NO2、およびSR29からなる群より選択され、ここで、R29はH、C1-8アルキル、C6-14アリールまたはC6-14アリールC1-8アルキルからなる群より選択され、かつ、
R20
【化13】

{式中、
R21およびR22は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、ハロ、C1-8アルキル、C1-8アルキルヒドロキシ、ハロC1-8アルキル、またはC1-8アルコキシからなる群より選択され、
R23はH、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、CH2R32(ここで、R32はヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、ハロ、またはアジドである)、およびC(R33)3(ここで、R33はそれぞれハロである)からなる群より選択され、かつ、
R21、R22およびR23はα-またはβ-位であってもよい}
からなる群より選択されるD-またはL-糖である]
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法を提供する。該方法は、
(a) 式XI:
【化14】

のフェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式XII:
【化15】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式XIIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式XIII:
【化16】

の化合物を製造するステップ、
(c) 式XIIIの化合物を
【化17】

(式中、
Lはα-またはβ-位にある脱離基である)
からなる群より選択される五または六員のD-またはL-糖と反応させて式X:
【化18】

(式中、R15、R16、R17およびR20は上記定義に同じであり、Rはハロである)の化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造するステップ、および、
(d) 式Xの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグを任意に求核置換によってさらなる式Xの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグへ変換するステップ、
を含んでなる。
【0011】
発明の詳細な説明
「アルキル」とは、単独でまたは他の用語と組み合わせて、特定の数の炭素原子、あるいは数が特定されていない場合には、好ましくは1〜10個、より好まし
くは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、n-ヘキシルなどが挙げられ、メチルおよびエチルが好ましい。
【0012】
「アルケニル」とは、単独でまたは他の用語と組み合わせて、特定の数の炭素原子、あるいは数が特定されていない場合には、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖一不飽和または多不飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルケニル基の例としてはEもしくはZ型、またはその混合物であってよい基が含まれ、それらが少なくとも3個の炭素原子を含む場合には分枝していてもよい。アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、エテニル、EおよびZ-プロペニル、イソプロペニル、EおよびZ-ブテニル、EおよびZ-イソブテニル、EおよびZ-ペンテニル、EおよびZ-ヘキセニル、E,E-、E,Z-、Z-、E-およびZ,Z-ヘキサジエニルなどが挙げられる。
【0013】
「アルキニル」とは、その鎖のいずれかの安定な位置に存在し得る1以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖構造または分枝鎖構造の炭化水素基を指し、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどがある。
【0014】
「アルコキシ」とは、アルキルエーテル基をさす(なお、「アルキル」は上記で定義)。安定なアルキルエーテル基の例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどが挙げられ、メトキシが好ましい。
【0015】
アルケニルおよびアルキニル置換基は任意に、窒素、硫黄、または酸素のような1以上のヘテロ原子を含み得る。
【0016】
「アリール」とは、単独でまたは他の用語と組み合わせて、特定の数の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子、より好ましくは6〜10個の炭素原子{任意にC1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ニトロ、ハロゲン(例えば、クロロ)、アミノ、カルボキシレートおよびヒドロキシから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい}を含む炭素環式芳香基(例えばフェニルまたはナフチル)を指す。アリールの例としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニルなどが挙げられる。
【0017】
「複素環」および「複素環式」基とは、特に断りのない限り、飽和または不飽和であって、単環の場合には任意にベンゾ縮合(benzofused)していてもよい、安定な3〜7員の単環式複素環または8〜11員の二環式複素環をさす。各複素環は1以上の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子からなる。本明細書において「窒素および硫黄ヘテロ原子」とは、いずれかの酸化型窒素および酸化型硫黄、ならびに任意の塩基性窒素の第四級化形態が挙げられる。複素環基はいずれかの環内の炭素またはヘテロ原子において結合し、それにより安定な構造を作り出し得る。好ましい複素環としては、5〜7員の単環式複素環および8〜10員の二環式複素環が挙げられる。かかる基の例としては、イミダゾリル、イミダゾリノイル、イミダゾリジニル、キノリル、イソキノリニル、インドリル、インダゾリル、インダゾリノリル、ペルヒドロピリダジル、ピリダジル、ピリジル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラジニル、キノキソリル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、フリル、チエニル、トリアゾリル、チアゾリル、カルボリニル、テトラゾリル、チアゾリジニル、ベンゾフラノイル、チオモルホリニルスルホン、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソキソゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、チアゾリル、チアジアゾリル、ジオキソリル、ジオキシニル、オキサチオリル、ベンゾジオキソリル、ジチオリル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、スルホラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフロジヒドロフラニル、テトラヒドロピラノジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロフロフラニル、およびテトラヒドロピラノフラニルが挙げられる。
【0018】
好ましくは複素環としては、イミダゾリル、ピロリル、ピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニルが挙げられる。
【0019】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の基を指す。
【0020】
「ハロC1-8アルキル」は、1以上の水素がハロで置換され、好ましくは1、2または3個のハロ基を含むC1-8アルキルを意味する。かかる基の例としてはトリフルオロメチルおよびフルオロイソプロピルが挙げられる。
【0021】
本明細書において、本発明に従って合成される化合物はその医薬上許容される誘導体またはプロドラッグを含むものと定義する。「医薬上許容される誘導体」または「医薬上許容されるプロドラッグ」とは、レシピエントに投与した際に本明細書に記載の化合物またはその阻害活性代謝物もしくは残留物を(直接的または間接的に)もたらし得る、本明細書に記載の化合物の医薬上許容される塩、エステル、エステルの塩、またはその他の誘導体のいずれをも意味する。特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、かかる化合物を哺乳類に投与した際に本明細書に記載の化合物のバイオアベラビリティーを(例えば、経口投与した化合物が血液により容易に吸収されるようにすることによって)高めるもの、または元の化合物の生体コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)への送達を、元の分子種よりも高めるものである。
【0022】
本明細書に記載の化合物は無機酸または有機酸から誘導される塩の形態で用いてもよい。かかる酸塩としては、例えば、以下のものが挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩。
【0023】
本明細書に記載の化合物の医薬上許容される塩としては、医薬上許容される無機および有機酸ならびに塩基から誘導されるものが挙げられる。好適な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸塩、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。シュウ酸などその他の塩も、それ自体医薬上許容されるものではないが、本明細書に記載の化合物およびそれらの医薬上許容される酸付加塩を得る上での中間体として有用な塩の製造に用いてもよい。
【0024】
適当な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN-W+4(ここで、WはC1-4アルキルである)が挙げられる。水素原子またはアミノ基の生理学上許容される塩としては、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、およびコハク酸のような有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸;ならびに塩酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸のような無機酸の塩が挙げられる。ヒドロキシ基を含有する化合物の生理学上許容される塩としては、Na+、NH4+、およびNW4+(ここで、WはC1-4アルキル基である)のような好適な陽イオンと組み合わせた該化合物の陰イオンが挙げられる。
【0025】
医薬上許容される塩としては、アスコルビン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、p-アミノ安息香酸および酒石酸のような有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸、ならびに塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、およびピロリン酸のような無機酸の塩が挙げられる。
【0026】
好ましい塩としては、塩酸、硫酸、酢酸、コハク酸、クエン酸およびアスコルビン酸から生じる塩が挙げられる。
【0027】
本明細書に記載の化合物の好ましいエステルは以下の群から独立して選択される:(1)ヒドロキシ基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル{ここで、エステル基のカルボン酸部分の非カルボニル部分は直鎖または分枝アルキル(例えば、アセチル、n-プロピル、t-ブチル、またはn-ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、例えばハロゲン、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシまたはアミノで任意に置換されていてもよいフェニル)から選択される};(2)アルキルスルホニルまたはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル)のようなスルホン酸エステル;(3)アミノ酸エステル(例えば、L-バリルまたはL-イソロイシル);(4)ホスホン酸エステルおよび(5)一、二または三リン酸エステル。リン酸エステルは例えばC1-20アルコールまたはその反応性誘導体により、あるいは2,3-ジ(C6-24)アシルグリセロールによりさらにエステル化されていてもよい。
【0028】
かかるエステルでは、特に断りのない限り、含まれるアルキル部分がいずれも1〜18個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含むのが有利である。かかるエステルに含まれるシクロアルキル部分がいずれも3〜6個の炭素原子を含むのが有利である。かかるエステルに存在するいずれのアリール部分もフェニル基を含むのが有利である。
【0029】
本発明の化合物の好ましいカルボン酸エステルとしては、酢酸エステル、酪酸エステルおよび吉草酸エステルが挙げられる。L-バリルは特に好ましいアミノ酸エステルである。
【0030】
本発明の方法によって合成され得るいずれの化合物について言及する場合であっても、その医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを含めて言及している。
【0031】
式I:
【化19】

(式中、Xはハロである)
の化合物は抗ウイルス活性を有する多くの化合物の合成に有用な中間体である。
式Iの化合物は本発明に従い、(a)4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式II:
【化20】

の化合物を生成するステップ、および、(b)式IIの化合物をPO(X)3と反応させて式Iの化合物を製造するステップにより製造される。
【0032】
各ステップの反応は典型的には溶媒中で行う。例えば、上記の方法のステップ(a)は、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で行えばよい。ステップ(b)は酢酸エチルなどの溶媒中で行えばよい。好ましくはステップ(b)は還流下で
行う。
【0033】
ある好ましい実施形態では、本方法は式Iの化合物を酢酸エチルから結晶化させるさらなるステップ(c)を含んでなる。
【0034】
好ましい実施形態によれば、本発明は、XがBrである式Iの化合物を製造する方法を提供する。別の実施形態では、XがClである式Iの化合物を合成する。
【0035】
ある好ましい実施形態では、本発明は、2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを製造する方法であって、5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンをオキシ臭化リンと反応させることを含んでなる方法を提供する。また本発明によれば、5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンは4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化することにより製造される。
【0036】
本発明の方法は、2-ハロ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールの従来の製造方法に優る多くの明白な利点を提供する。本発明の方法は従来法よりも2-ハロ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールの大規模合成にとってより確実でありかつより適している。例えば、5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンの2-ハロ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールへの変換の従来法は、大規模合成において不安定で確実ではない非水性ジアゾ化を含む。本発明の方法はまた、より穏和で毒性が低く、環境に配慮した試薬を用いる。
【0037】
従来、フェニレンジアミンの環化には臭化シアンが用いられていたが、本発明の方法ではカルボニルジイミダゾールを用いる。本発明の方法は従来法よりも収率が向上するというさらなる利点を提供する。
【0038】
式Iの化合物は、式X:
【化21】

[式中、
Rはハロ、ヒドロキシ、アジド、C1-8アルキル、トリハロメチル、C1-8アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-14アリールC2-6アルケニル、C6-14アリールC2-6アルキニル、
-NR25R26(ここで、R25およびR26は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ハロ、C1-8アルキル、シアノC1-8アルキル、ヒドロキシC1-8アルキル、ハロC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-8アルキルC3-7シクロアルキル、C2-6アルケニル、C3-7シクロアルキルC1-8アルキル、C2-6アルキニル、C6-14アリール、C6-14アリールC1-6アルキル、ヘテロシクリルC1-8アルキル、C1-8アルキルカルボニル、およびC6-14アリールスルホニルからなる群より選択されるか、あるいはR25およびR26はそれらが結合しているN原子とともに三、四、五または六員の複素環を形成する)、
-NHNR30R31(ここで、R30およびR31は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してC1-6アルキルである)、
-N=NNC1-6アルキル、
-NHOC1-6アルキル、
-OR27(ここで、R27はC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、およびC6-14アリールからなる群より選択される)、
-SR28(ここで、R28はH、C1-8アルキル、ヒドロキシC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C6-14アリール、およびC6-14アリールC1-6アルキルからなる群より選択される)
からなる群より選択され、
R15はH、ハロ、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルからなる群より選択され、 R16およびR17は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ハロ、C1-8アルキル、C6-14アリール、ヘテロシクリル-C1-8アリール、C1-8アルコキシ、ハロC1-8アルキル、NO2、およびSR29かなる群より選択され、ここで、R29はH、C1-8アルキル、C6-14アリールまたはC6-14アリールC1-8アルキルからなる群より選択され、かつ、
R20
【化22】

{式中、
R21およびR22は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、ハロ、C1-8アルキル、C1-8アルキルヒドロキシ、ハロC1-8アルキル、またはC1-8アルコキシからなる群より選択され、
R23はH、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、CH2R32(ここで、R32はヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、ハロ、またはアジドからなる群より選択される)、およびC(R33)3(ここで、R33はそれぞれハロである)からなる群より選択され、かつ、
R21、R22およびR23はα-またはβ-位であってよい}
からなる群より選択されるD-またはL-糖である]
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを合成する方法において中間体として役立ち得る。
【0039】
式Xの化合物を製造する方法は一般に以下のスキームI:
【化23】

に従って進行する。
【0040】
一般に、本方法は(a)式XIのフェニレンジアミンをカルボにリルジイミダゾールで環化して式XIIの化合物を生成するステップ、(b)式XIIの化合物をPO(X)3と反応させて式XIIIの化合物を製造するステップ、および、(c)式XIIIの化合物を、
【化24】

{式中、Lはα-またはβ-位にある脱離基、例えばハロ、アルキル-もしくはアリール-チオ(フェニルチオなど)、またはアリール基もしくは脂肪族エステル基(安息香酸エステル、酢酸エステルなど)である}
からなる群より選択される、五または六員のD-またはL-糖と反応させるステップを含んでなる。ある実施形態では、Lは酢酸エステル脱離基である。
【0041】
式XIIIの化合物の製造のための本方法の第1のステップは、先に記載した式Iの化合物の製造に関するものと同じである。式XIIIの化合物は式A〜Dの五または六員のD-またはL-糖と反応させて、Rがハロである式Xの好ましい化合物を製造してもよい。置換ベンズイミダゾール塩基を糖とカップリングする方法はPCT公報WO98/56761、WO92/07867、WO96/01833、WO97/25337およびWO99/06424(各々の主題は参照により本明細書にそのまま組み入れる)に記載されている。
【0042】
ベンズイミダゾール塩基とカップリングするのに好ましい五または六員のD-またはL-糖としては、式AおよびBの五員のD-およびL-糖、ならびに式Dの六員のD-糖が挙げられる。より好ましくは、糖は式Bの五員のL-糖または式Dの六員のD-糖である。
【0043】
糖はα型でもβ型でのよい。ベンズイミダゾール塩基とカップリングするのに好ましい糖はとしては、β-L-リボフラノシル、β-D-リボフラノシル、5’-デオキシ-β-D-リボフラノシル、β-D-リボフラノシルおよびα-L-リキソフラノシルが挙げられる。特に好ましい糖としては、β-L-リボフラノシルおよびβ-D-リボフラノシルが挙げられる。
【0044】
本発明の方法はまた、上記の五および六員の糖の代わりとして、式XIIIのベンズイミダゾール塩基を糖の代わりに五または六員の炭素環部分とカップリングさせることによる炭素環式置換ベンズイミダゾール誘導体の合成のために用いることができる。ベンズイミダゾール塩基を炭素環部分とカップリングさせるのに好適な炭素環部分および方法は当技術分野で公知である。
【0045】
所望により、以上の方法は1以上の付加的なステップを含んでもよい。ある好ましい実施形態では、その方法は、(i)式Xの化合物を式Xのさらなる化合物へ変換する付加的なステップを任意に含む。例えば、Rがハロである式Xの化合物は、Rがハロ以外のものである式Xの別の化合物へと変換し得る。
【0046】
一般に、Rがハロである式Xの化合物を、Rがハロ以外のものである式Xのさらなる化合物へ変換する方法は求核置換を含む。求核置換によって2-ハロベンズイミダゾール(例えば、Rがハロである式Xの化合物)を2-置換ベンズイミダゾール(例えば、Rが-NR8R9などである式Xの化合物)へ変換するための方法は当技術分野で公知である。例えば、かかる方法はすでに参照により本明細書の一部とされているPCT公報WO98/56761、WO92/07867、WO96/01833、WO97/25337およびWO99/06424に記載されている。Rがハロである式Xの化合物との反応に好適な求核分子の例としては、限定されるものではないが、アミン、アルコキシド、メルカプタン、ヒドラジン、アルキルアゾ、およびアルコキシアミンが挙げられる。例えば、Rが-NR8R9である式Xの化合物は、Rがハロである式Xの化合物を式H-NR8R9のアミン求核分子と反応させることにより製造し得る。典型的にはこの反応は高温70〜80℃にて、エタノールまたはジメチルスルホキシドのような有機溶媒中で行う。好適なアミン求核分子は市販されているか、あるいは当業者により容易に調製できる。
【0047】
本方法はまた、以下の付加的な工程のいずれか1以上を任意に含み得る(それらは望ましい順序、または必要な順序で行い得る):
(ii) 式X(例えば、R21、R22およびR23のいずれか1以上が保護ヒドロキシ基、例えばO-アセチルである場合)の化合物に残存する保護基を除去するステップ、
(iii)式Xの化合物を、その医薬上許容される誘導体またはプロドラッグへ変換するステップ、
(iv) 式Xの化合物の医薬上許容される誘導体またはプロドラッグの、式Xの化合物への変換、
(v) 式Xの化合物の医薬上許容される誘導体またはプロドラッグの、そのさらなる医薬上許容される誘導体またはプロドラッグへの変換、および
(vi) 式Xの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグのαおよびβアノマーの分離。
【0048】
以上の任意の付加的なステップの各々を実施する方法は当技術分野で公知であり、すでに参照により本明細書に組み入れられているPCT公報WO98/56761、WO92/07867、WO96/01833、WO97/25337およびWO99/06424にも記載されている。
【0049】
本発明はさらに式Xの特定の好ましい化合物を製造する方法を提供する。本発明の方法に従って製造できる式Xの好ましい化合物としては、限定されるものではないが、式VI:
【化25】

{式中、Rはハロであり;R1は水素であり;かつ、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々独立して、H、ヒドロキシ基および保護ヒドロキシ基からなる群より選択される}
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグが挙げられる。
【0050】
より詳しくは、本発明の方法に従って製造できる好ましい化合物は、限定されるものではないが、ピラノシル部分がβ-Dピラノシルである式VIの化合物;R2、R4およびR6が各々ヒドロキシまたはO-アセチルである式VIの化合物;R3、R5およびR7が各々Hである化合物;およびRがBrである化合物が挙げられる。特に好ましい式VIの化合物はとしては、ピラノシル部分がβ-Dピラノシルであり、R2、R4およびR6が各々ヒドロキシまたはO-アセチルであり、R3、R5およびR7が各々Hであり、かつ、RがBrである化合物が挙げられる。本発明のある好ましい実施態様では、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-弁ジイミダゾールならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグが製造される。好ましいもう1つの実施形態によれば、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,5-トリ-O-アセチル-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールならびにその医薬上許容される塩およびプロドラッグが製造される。
【0051】
式VIの化合物は、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式II:
【化26】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式I:
【化27】

の化合物を製造するステップ、及び、
(c) 式Iの化合物を式IV:
【化28】

{式中、R2、R3、R4、R5、R6およびR7の各々は独立してH、ヒドロキシ、および置換ヒドロキシ基(例えば、O-アセチル)からなる群より選択される}
のピラノシドと反応させるステップを含んでなる方法によって製造できる。酢酸エステル脱離基(-Oac)はα位またはβ位にある。本方法の好ましい実施形態によれば、XはBrである。ある好ましい実施形態によれば、ピラノシドはβ-Dピラノシドである。
【0052】
式Iの化合物を製造するためのステップa)およびb)は本明細書の上記に記載されている。式Iのベンズイミダゾール塩基をピラノシドとカップリングさせるステップc)を行う方法は、すでに参照によりそのまま本明細書の一部とされているPCT WO98/56761に記載されている。
【0053】
式Xの化合物を製造する方法に関するのと同様に、式VIの化合物を製造する方法は1以上のさらなるステップを任意に含み得る(それらは望ましい順序、または必要な順序で行い得る):
(i) 例えば式VIの2-ハロ-5,6-ジクロロベンズイミダゾール-ピラノシド化合物の2位を求核置換するなどして、式VIのある化合物を式VIのさらなる化合物へ変換するステップ、
(ii) 式VI(例えば、R1〜R7のいずれか1以上が保護ヒドロキシ基である場合)の化合物に残存する保護基を除去するステップ、
(iii)式VIの化合物を、その医薬上許容される誘導体またはプロドラッグへ変換するステップ、
(iv) 式VIの化合物の医薬上許容される誘導体またはプロドラッグを式VIの化合物へ変換するステップ、
(v) 式VIの化合物の医薬上許容される誘導体またはプロドラッグを、そのさらなる医薬上許容される誘導体またはプロドラッグへ変換するステップ、および (vi) 式VIの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグのαおよびβアノマーを分離するステップ。
【0054】
これらの付加的な任意のステップを行う方法は、式Xの化合物を製造する方法
に関して先に記載されている。
【0055】
本発明はさらに、好ましいその他の式Xの化合物を製造する方法を提供する。
式Xの化合物のもう1つの好ましいクラスとしては、限定されるものではないが、式VまたはVII:
【化29】

{式中、
Xはハロであり;
Rは-NR8R9であり、ここで、R8およびR9は各々独立してH、C1-6アルキル、シアノC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルC3-7シクロアルキル、C2-6アルケニル、C3-7シクロアルキルC1-6アルキル、C2-6アルキニル、アリール、アリールC1-6アルキル、およびCOC1-6アルキルからなる群より選択され、
R10は各々独立してヒドロキシおよび保護ヒドロキシ基からなる群より選択される}
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグが挙げられる。
【0056】
より詳しくは、本発明の方法に従って製造できる好ましい化合物としては、限定されるものではないが、R8およびR9の一方がHである式VIIの化合物;R8がC1-6アルキルであって、R9がHである化合物;Rがイソプロピルアミノである化合物;フラノシル部分:
【化30】

がβ-L-リボフラノシルまたはα-D-リキソフラノシル、好ましくはβ-L-リボフ
ラノシルである化合物;R10が各々保護ヒドロキシ、好ましくはO-アセチルである化合物;および、R10が各々ヒドロキシである化合物が挙げられる。特に好ましい式VIの化合物としては、Rがイソプロピルアミノであり、フラノシル部分がβ-L-ルボフラノシルであり、かつ、R10が各々保護ヒドロキシ、好ましくはO-アセチルである化合物がある。その他の特に好ましい式VIIの化合物としては、Rがイソプロピルアミンであり、フラノシル部分がβ-L-リボフラノシルであり、かつ、R10が各々ヒドロキシである化合物がある。
【0057】
本発明のある好ましい実施形態によれば、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボフラノシル-1H-ベンズイミダゾールならびにその医薬上許容されるおよびプロドラッグが製造される。もう1つの好ましい実施形態によれば、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,53,5-トリ-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾールならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグが製造される。
【0058】
式Vの化合物を製造する方法は、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化させて式II:
【化31】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式I:
【化32】

の化合物を製造するステップ、および、
(c) 式Iの化合物を式III:
【化33】

のフラノシルと反応させるステップを含んでなる。
【0059】
この酢酸エステル脱離基(-OAc)はαまたはβ位にある。
【0060】
式VIIの化合物を製造する方法は上記ステップ(a)〜(c)、および式Vの化合物を式H-NR8R9のアミンと反応させるさらなるステップ(d)を含んでなる。
【0061】
式Iの化合物を製造するステップa)およびb)は本明細書中で先に記載されている。式Iのベンズイミダゾール塩基をピラノシドとカップリングさせるためのステップc)を行う方法は、その開示の全体がすでに参照により本明細書の一部とされているPCT WO96/01833、92/07867、97/25337および99/06424に記載されている。
【0062】
式Xの化合物を製造する方法に関するのと同様に、式VおよびVIIの化合物を製造する方法は1以上のさらなるステップを任意に含み得る(それらは望ましい順序、または必要な順序で行い得る):
(i) 式VまたはVII(例えば、R10のいずれか1以上が保護ヒドロキシ基である場合)の化合物に残存する保護基を除去するステップ、
(ii) 式VまたはVIIの化合物を、その医薬上許容される誘導体またはプロドラッグへ変換するステップ、
(iii) 式VまたはVIIの化合物の医薬上許容される誘導体またはプロドラッグを式VおよびVIIの化合物へ変換するステップ、
(iv) 式VまたはVIIの化合物の医薬上許容される誘導体またはプロドラッグを、そのさらなる医薬上許容される誘導体またはプロドラッグへ変換するステップ、および、
(v) 式VまたはVIIの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグのαおよびβアノマーを分離するステップ。
【0063】
ある好ましい実施形態によれば、本発明は、R10の1以上が保護ヒドロキシ基である式VIIの化合物の製造方法を提供し、その方法は保護基を除去する付加的なステップ(i)をさらに含んでなる。
【0064】
以下の実施例は単に説明のためのものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、本発明は特許請求の範囲で規定される。
【0065】
以下の実施例では、「g」はグラムを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「h」は時間を意味し、「℃」はセ氏度を意味し、パーセンテージ(%)はいずれも特に断りのない限り重量%である。
【0066】
実施例1:5,6-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
方法A:
テトラヒドロフラン(330ml)中の4,5-ジクロロフェニレンジアミン(72g, 407mmol)の攪拌溶液にカルボニルジイミダゾール(75g, 463mmol)を10〜15分間かけて少量ずつ加えた。反応混合物を冷却し、室温で3時間攪拌し、水(400ml)で希釈し、約10℃に冷却し、固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、白色固体として標題化合物(84g, 4l4mmol, 98%収率)を得た。
【0067】
方法B:
テトラヒドロフラン(10mL)中のカルボニルジイミダゾール(9.6g, 59mmol)の攪拌溶液に、テトラヒドロフラン(35 ml)中の4,5-ジクロロフェニルレンジアミン(10g, 56mmol)の溶液をゆっくり加えた。得られた懸濁液を室温まで冷却し、1時間攪拌し、水(60mL)で希釈し、約5℃まで冷却した。固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空乾燥させ、白色固体として標題化合物(10.9g, 54mmol, 95%収率)を得た。
【0068】
実施例2; 2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1H-ベンズイミダゾール
酢酸エチル(1.25L)中の実施例1の化合物(50g, 246mmol)の攪拌懸濁液に、オキシ臭化リン(211g, 738mmol)をゆっくり加えた。この攪拌混合物を還流下で29時間加熱し、約20℃に冷却した後、ゆっくり水(1L)に加えた。有機相を分離し、水(3L)で洗浄し、活性炭で処理し、蒸発させて固体を得、これを酢酸エチル:イソオクタン(1:1)混合物(200ml)中でスラリーにし、濾過して乾燥させた(50g, 189mmol, 77%収率)。固体の一部(28.5g)を加温した酢酸エチル(1.14L)に溶解することで精製し、得られた溶液を濾過により明澄化し、約140mlまで濃縮し、約5℃まで冷却した。この生成物を濾過により回収し、洗浄して真空濾過して、白色固体として標題の化合物(22g)を得た。
【0069】
実施例3:2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾール
2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾール(4.0g, 15mmol)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(Aldrich, 3.7mL, 15mmol)、および1,2-ジクロロエタン(Aldrich Sure Seal, 75ml)を合わせ、窒素下で0.5時間還流した。この溶液を室温まで冷却し、トリメチルシリルトリフレート(Aldrich, 3.2ml, 16mmol)を加えた。すぐに4.8g(15mmol)の固体1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-b-D-リボピラノース(β-D-リボピラノース1,2,3,4-テトラアセテート, Aldrich, Milwaukee)を加えた。この溶液を窒素下、還流しながら0.5時間攪拌した後、7%重炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム(無水
物)で乾燥させ、濾過して蒸発させた。粗残渣をシリカゲルカラム(5x20cm, 230-400メッシュ)にてCH2Cl2を用いて精製し、2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを得、溶出に基づき2部分に分画した。速い方の生成物画分は不純であり(1.9g)、第2のカラムにより精製して1.4g(2.7mmol)を得た。遅い方の生成物画分は総収率56%で3.0g (5.7mmol)あった。融点100〜110℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 8.39 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 5.95-5.92 (d, 1H, J=9.6 Hz), 5.73-5.70 (d, 1H, J=9.6 Hz), 5.67 (bs, 2H), 4.13-4.09 (dd, 1H, J= 6.3 Hz および J= 5.8 Hz), 4.00-3.95 (重複 dd, 1H), 2.19 (s, 3H), 1.98 (s, 3H), 1.74 (s, 3H).
元素分析: C18H17N2O7Cl2Brについての計算値: C, 41.25; H, 3.27; N, 5.34.
実測値: C, 41.35; H, 3.28; N, 5.38.
【0070】
実施例4:2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-ベンズイミダゾール
3.0g(5.7mmol)の2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを、60mlジオキサン中に溶解することで先の記載で要約した一般法を用いて脱保護し、得られた溶液を0〜5℃の氷浴で冷却した。この溶液に、22ml(22mmol)のLiOH 1M水溶液を全て一度に加えた。混合物を氷浴から取り出し、周囲温度で1時間攪拌した。この混合物をpH7のリン酸バッファー120mlで希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウム(無水物)で乾燥させ、濾過して溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタン中で粉砕し、1.7g(4.3mmol, 75%収率)の2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-ベンズイミダゾールを真空濾過により回収した。この生成物を50℃の真空炉で一晩乾燥させた。融点175℃(分解)。1H NMR (DMSO-d6) δ 7.96 (s, 1H), 7.07 (s, 1H), 5.64-5.62 (d, J=9.2 Hz), 5.19-5.17 (d, 1H, J=6.4 Hz), 5.13-5.12 (d, 1H, J=3.2 Hz), 4.86-4.84 (d, 1H, J=6.5 Hz), 4.12-4.06 (m, 1H), 3.98-3.92 (m, 2H), 3.68-3.63 (m, 2H).
元素分析: C12H11N2O4Cl2Brについての計算値: C, 36.21; H, 2.79; N, 7.04.
実測値: C, 36.18; H, 2.91; N, 6.88.
【0071】
実施例5:2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル-β-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール
2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾール(1.0g, 3.8mmol)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(Aldrich, 0.94mL, 3.8mmol)、およびアセトニトリル(Aldrich Sure Seal, 25ml)を合わせ、窒素下で1時間還流した。この溶液を室温まで冷却し、トリメチルシリルトリフレート(Aldrich, 1.5mL, 7.6mmol)を加えた。15分後、出発材料としてL-リボースを用いたこと以外はGuthrieおよびSmith (Chemistry and Industry, 1968, pp547-548)の方法によって製造した固体1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-L-リボフラノース(1.2g, 3.8mmol)を加えた。この溶液を窒素下、室温で18時間攪拌した後、10%重炭酸ナトリウム水溶液(100ml)に注ぎ、ジクロロメタン(2x150mL)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウム(無水物)で乾燥させ、濾過して蒸発させた。粗残渣をシリカゲルカラム(5x20cm, 230-400メッシュ)にて1:30アセトン:CH2Cl2を用いて精製し、標題の化合物(1.2g, 2.2mmol, 60%)を得た。融点 142℃; [α]20D= (+) 87.4 (c=0.5 DMF); UVλmax (E) pH=7.0: 298 nm (7,600), 289 (7,400), 254 (8,800); 0.1 nNaOH: 298 nm (7,600), 289 (7,400), 256 (7,300); MS (EI): m/z (相対強度) 524 (0.15, M+); 1H NMR (DMSO-d6) d 8.08 (s, 1H, Ar-H), 8.01 (s, 1H, Ar-H), 6.22 (d, 1H, H-1’, J=7.1 Hz), 5.56 (dd, 1H, H-2’, J=7.1 Hz, J=7.2 Hz), 5.45 (dd, 1H, H-3’, J=7.2 Hz, J=4.5 Hz), 4.55-4.47 (m, 2H, H-4’および 5’), 4.37 (d, 1H, H-5", J=9.7 Hz), 2.15 (s, 3H, OAc), 2.14 (s, 3H, OAc), 2.01 (s, 3H, OAc).
元素分析:C18H17N2O7Cl2Brについての計算値:C, 41.25; H, 3.27; N, 5.34.
実測値: C, 41.16; H, 3.39; N, 5.20.
【0072】
さらに、少量のαアノマー(2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,5-トリ-O-アセチル-α-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール)を得た(0.11g, 0.22mmol, 6%)。融点 < 65℃; [α]20D= (-) 206.8 (c=0.5 DMF); MS (AP+): m/z (相対強度): 524 (0.8, M+); 1H NMR (DMSO-d6) d 7.95 (s, 1H, Ar-H), 7.91 (s, 1H, Ar-H), 6.66 (d, 1H, H-1’, J=4.2 Hz), 5.68 (t, 1H, H-2’, J=4.6 Hz), 5.52 (t, 1H, H-3’, J=5.9 Hz), 4.87-4.81 (m, 1H, H4’), 4.37-4.24 (m, 2H, H-5’), 2.08 (s, 3H, OAc), 2.03 (s, 3H, OAc), 1.51 (s, 3H, OAc).
元素分析: C18H17N2O7Cl2Brについての計算値: C, 41.25; H, 3.27; N, 5.34.
実測値: C, 41.39; H, 3.35; N, 5.29.
【0073】
実施例6:2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(β-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール
炭酸ナトリウム(0.28g, 2.65mmol)および2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,5-トリ-O-アセチル-β-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール(1.39g, 2.65mmol)を水(4mL)、メタノール(20mL)およびエタノール(20mL)と合わせ、室温で1.5時間攪拌した。酢酸(03.mL, 5.3mmol)を加え、この懸濁液を濃縮乾固した。シリカゲルカラム(2.5x20cm, 230-400メッシュ)にて1:9エタノール:CH2Cl2を用いて残留物を精製して、標題の化合物を白色の非晶質固体として得た(0.79g, 2.0mmol, 75%)。融点 169℃; [α]20D= (+) 105 (c=0.5 DMF); UVλmax (E) pH=7.0: 298 nm (6,700), 289 (6,500), 255 (6,900); 0.1 nNaOH: 298 nm (6,700), 295 (5,400), 256 (6,700); MS (CI): m/z 399 (M+); 1H NMR (DMSO-d6) d 8.57 (s, 1H, Ar-H), 7.96 (s, 1H, Ar-H), 5.89 (d, J=7.9 Hz, H-1’), 5.48 (d, 1H, OH, J=6.3 Hz), 5.42 (t, 1H, OH, J=4.5 Hz), 5.29 (d, 1H, OH, J=4.2 Hz), 4.43 (見かけ上(apparent)dd, 1H, H-2’, J=13.3 Hz, J=6.1 Hz), 4.14 (見かけ上 t, 1H, H-3’, J=4.3 Hz), 4.01 (見かけ上 d, 1H, H-4’, J=1.7 Hz), 3.77-3.63 (m, 2H, H-5’).
元素分析: C12H11N2O4Cl2Br-0.20 C2H6Oについての計算値: C, 36.57; H, 3.02; N, 6.88.
実測値: C, 36.68; H, 2.85; N, 7.05.
【0074】
実施例7:5,6-ジクロロ-2-(イソプロピルアミノ)-1-(β-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール イソプロピルアミノ(10mL)および2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,5-トリ-O-アセチル-β-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール(1.0g, 1.9mmol)を無水エタノール(20mL)と合わせ、75℃で48時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラム(2.5vm x 16cm, 230-400メッシュ)にて1:20メタノール:ジクロロメタンを用いて精製し、Rf値がより高い物質が少量混入した精製物を得た。これを2mmシリカゲルローターを取り付けたクロマトトロンにて、1:25メタノール:ジクロロメタンを用いて精製し、白色固体を得た(0.43g, 1.15mmol, 60%)。[α]20D= (-) 22.4 (c=0.5 DMF); UVλmax (E): pH 7.0: 304 nm (95,00), 275 (1,800) 260 (8,300); 0.1 NaOH: 304 nm (9,900), 275 (19,00), 260 (8,100); MS (CI): m/z (相対強度) 376 (100, M+1); 1H NMR (DMSO-d6) d 7.59 (s, 1H, Ar-H), 7.35 (s, 1H, Ar-H), 6.90 (d, 1H, NH, J=7.8 Hz), 5.73 (d, 1H, H-1’, J=6.5 Hz), 5.62 (t, 1H, OH, J=4.2 Hz), 5.27-5.23 (m, 2H, OH), 4.27 (見かけ上 dd, 1H, J=13.4 Hz, J=7.6 Hz), 4.11-3.99 (m, 2H), 3.97 (ブロード s, 1H), 3.72-3.61 (m, 2H, H-5’), 1.18 (d, 6H, CH (CH3)2, J=6.6 Hz).
元素分析: C15H19N3O4Cl2・1.00H2Oについての計算値: C, 45.70; H, 5.37; N, 10.66.
実測値: C, 45.75; H, 4.98; N, 10.50.
【0075】
実施例10:5,6-ジクロロ-2-(シクロプロピルアミノ)-1-(β-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール
シクロペンチルアミン(5mL)および2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,5-トリ-O-アセチル-β-L-リボフラノシル)-1H-ベンズイミダゾール(0.6g, 1.1mmol)を無水エタノール(10mL)を合わせ、70℃で24時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラム(2.5vm x 16cm, 230-400メッシュ)にて1:9エタノール:ジクロロメタンを用いて精製して、白色固体を得た(0.27g, 0.68mmol, 59%)。融点 140℃; [α]20D= (-) 24.0 (c=0.5 DMF); UVλmax (E): pH 7.0: 305 nm (12,700), 276 (2,400) 260 (10,600), 245 (7400); 0.1 N NaOH: 305 nm (12,600), 276 (2,200), 260 (9,900), 247 (7,300); MS (CI): m/z (相対強度) 402 (100, M+1); 1H NMR (DMSO-d6) d 7.60 (s, 1H, Ar-H), 7.36 (s, 1H, Ar-H), 6.91 (d, 1H, NH, J=6.8 Hz), 5.74 (d, 1H, H-1’, J=7.6 Hz), 5.61 (t, 1H, OH, J=4.2 Hz), 5.26 (d, 1H, OH, J=8.1 Hz), 5.23 (d, 1H, OH, J=5.5 Hz), 4.30-4.14 (m, 2H, NHCH, H-2’), 4.05 (見かけ上 t, 1H, H-3’, J=4.9 Hz), 3.96 (ブロード s, 1H, H-4’), 3.72-3.59 (m, 2H, H-5’), 1.91 (ブロード s, 2H, CH2), 1.66 (ブロード s, 2H, CH2), 1.52 (ブロード s, 4H, CH2).
元素分析: C17H21N3O4Cl2-0.20 H2Oについての計算値: C, 50.31; H, 5.31; N, 10.38.
実測値: C, 50.13; H, 5.31; N, 10.05.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Xはハロである)
の化合物を製造する方法であって、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式II:
【化2】

の化合物を生成するステップ、および
(b) 式IIの化合物をPO(X)3と反応させて式Iの化合物を製造するステップ、を含んでなる方法。
【請求項2】
XがBrである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを製造する方法であって、5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンをオキシ臭化リンと反応させることを含んでなる、方法。
【請求項4】
式VI:
【化3】

(式中、
Rはハロであり;
R1は水素であり;かつ、
R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々独立して、H、ヒドロキシ基および保護ヒドロキシ基からなる群より選択される)
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法であって、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式II:
【化4】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式I:
【化5】

の化合物を製造するステップ、および
(c) 式Iの化合物を式IV:
【化6】

のピラノシドと反応させて式VIの化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造するステップ、
を含んでなる方法。
【請求項5】
式IVのピラノシドがβ-Dピラノシドであり、R2、R4、およびR5が各々ヒドロキシ基またはO-アセチルであり、R3、R5、およびR7が各々Hであり、かつ、XおよびRがBrである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-ベンズイミダゾール、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法であって、
(a) 5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンをオキシ臭化リンと反応させて2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを生成し、
(b) 2-ブロモ-5,6-ジクロロベンズイミダゾールを1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-β-D-リボピラノースと反応させて2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル)-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを生成し、さらに
(c) 2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-(2,3,4-トリ-O-アセチル)-β-D-リボピラノシル)-1H-ベンズイミダゾールを脱保護して2-ブロモ-5,6-ジクロロ-1-β-D-リボピラノシル-1H-ベンズイミダゾール、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを生成するステップ、
を含んでなる方法。
【請求項7】
4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化することにより5,6-ジクロロベンズイミダゾール-2-オンを製造するステップをさらに含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式VII:
【化7】

(式中、
Rは-NR8R9であり、ここで、R8およびR9は各々独立してH、C1-6アルキル、シアノC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルC3-7シクロアルキル、C2-6アルケニル、C3-7シクロアルキルC1-6アルキル、C2-6アルキニル、アリール、アリールC1-6アルキル、およびCOC1-6アルキルからなる群より選択され、かつ、
R10は各々独立してヒドロキシおよび保護ヒドロキシ基からなる群より選択される)
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法であって、
(a) 4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化させて式II:
【化8】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式IIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式I:
【化9】

の化合物を製造するステップ、
(c) 式Iの化合物を式III:
【化10】

のフラノシルと反応させて式V:
【化11】

の化合物を製造するステップ、および
(d) 式Vの化合物を式H-R8R9のアミンと反応させて式VIIの化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造するステップ、
を含んでなる方法。
【請求項9】
1以上のR10が保護ヒドロキシ基であって、保護基を除去するステップをさらに含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Rがイソプロピルアミノであって、フラノシル部分:
【化12】

がβ-L-リボフラノシルである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
式X:
【化13】

[式中、
Rはハロ、ヒドロキシ、アジド、C1-8アルキル、トリハロメチル、C1-8アルコキシ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-14アリールC2-6アルケニル、C6-14アリールC2-6アルキニル、
-NR25R26(ここで、R25およびR26は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ハロ、C1-8アルキル、シアノC1-8アルキル、ヒドロキシC1-8アルキル、ハロC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-8アルキルC3-7シクロアルキル、C2-6アルケニル、C3-7シクロアルキルC1-8アルキル、C2-6アルキニル、C6-14アリール、C6-14アリールC1-6アルキル、ヘテロシクリルC1-8アルキル、C1-8アルキルカルボニル、およびC6-14アリールスルホニルからなる群より選択される)、
-NHNR30R31(ここで、R30およびR31は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してC1-6アルキルである)、
-N=NNC1-6アルキル、
-NHOC1-6アルキル、
-OR27(ここで、R27はC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、およびC6-14アリールからなる群より選択される)、
-SR28(ここで、R28はH、C1-8アルキル、ヒドロキシC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル、C6-14アリール、およびC6-14アリールC1-6アルキルからなる群より選択される)
からなる群より選択され、
R15はH、ハロ、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルからなる群より選択され、
R16およびR17は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ハロ、C1-8アルキル、C6-14アリール、ヘテロシクリル-C1-8アリール、C1-8アルコキシ、ハロC1-8アルキル、NO2、およびSR29からなる群より選択され、ここで、R29はH、C1-8アルキル、C6-14アリールまたはC6-14アリールC1-8アルキルからなる群より選択され、かつ、
R20
【化14】

{式中、
R21およびR22は同一であっても異なっていてもよく、各々独立してH、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ基、ハロ、C1-8アルキル、C1-8アルキルヒドロキシ、ハロC1-8アルキル、またはC1-8アルコキシからなる群より選択され、
R23はH、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、CH2R32(ここで、R32はヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ハロ、またはアジドである)、およびC(R33)3(ここで、R33はハロである)からなる群より選択され、かつ、
R21、R22およびR23はα-またはβ-位であってもよい}
からなる群より選択されるD-またはL-糖である]
で示される化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造する方法であって、
(a) 式XI:
【化15】

のフェニレンジアミンをカルボニルジイミダゾールで環化して式XII:
【化16】

の化合物を生成するステップ、
(b) 式XIIの化合物をPO(X)3(ここで、Xはハロである)と反応させて式XIII:
【化17】

の化合物を製造するステップ、
(c) 式XIIIの化合物を
【化18】

(式中、
Lはα-またはβ-位にある脱離基である)
からなる群より選択される5または6員のD-またはL-糖と反応させて式X:
【化19】

(式中、R15、R16、R17およびR20は上記定義に同じであり、Rはハロである)の化合物、ならびにその医薬上許容される誘導体およびプロドラッグを製造するステップ、および
(d) 式Xの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグを、任意に求核置換によってさらなる式Xの化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくはプロドラッグに変換するステップ、
を含んでなる方法。

【公開番号】特開2011−173906(P2011−173906A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95407(P2011−95407)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【分割の表示】特願2001−575558(P2001−575558)の分割
【原出願日】平成13年4月10日(2001.4.10)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】