説明

置換ベンゾール〔e〕〔1,4〕オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール誘導体、それらの製造方法、及びそれらを含有する医薬組成物

本発明は、式(I)〔式中、W1は、それが結合している炭素原子と一緒にフェニル基またはピリジル基を表し;Zは、水素原子、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アリールアルキル、アリールオキシ、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アリールアルコキシ、ヒドロキシ、及び直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ基から選択される基を表し;R1は、明細書中で定義されているものであり;R2は、水素原子又は式:−CH2CH2O−R8で示される基を表し;R3及びR4は、各々、水素原子、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アリールアルキル基を表し;nは、1〜6までの整数を表す〕で示される化合物に関する。本発明は医薬の調整に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ベンゾール〔e〕〔1,4〕オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール化合物、それらの製造方法、及びそれらを含有する医薬組成物に関する。本発明の化合物は、抗腫瘍活性を有するため、治療用途において有用である。
【0002】
文献においては、J. Pharm. Sciences, 1974, 63(8), pp 1314-1316に、抗腫瘍特性を持つベンズオキサジノキノリン化合物の合成が記載されている。ヨーロッパ特許出願第0841337号は、置換7,12−ジオキサベンゾ〔a〕アントラセン化合物について特許請求をし、その抗癌特性について記載している。
【0003】
本発明の化合物の新規性は、それらの構造と抗腫瘍剤としての使用との両方に見出される。それらの生物学的利用能も、また従来技術の化合物と比較して明らかに優れている。
【0004】
本発明は、より詳細には、式(I):
【0005】
【化32】

【0006】
{式中、
● W1は、それが結合している炭素原子と一緒に、フェニル基またはピリジル基を表し、
● Zは、水素、ハロゲン、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、アリールオキシ、アリール−(C1−C6)アルコキシ(ここで、アルコキシ部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、ヒドロキシ及び直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ基から選択される基を表し、
● R1は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)及び−C(O)−R5基から選択される基を表すか、或いはハロゲン、並びにシアノ、−OR6、−NR67、−CO26、−C(O)R6及び−C(O)−NHR6基から選択される1個以上の同一又は異なる基によって置換されている直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキレン鎖を表し、
ここで:
⇒ R5は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)及びアリールオキシ基から選択される基を表し、
⇒ R6及びR7は、同一又は異なっていてもよく、各々は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール及びアリール−(C1−C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)から選択される基を表すか、或いは
6+R7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5個又は6個の環員を有し、そして場合により、酸素及び窒素から選択される第2のヘテロ原子を環系に含んでいる、単環式ヘテロ環を形成し、
● R2は、水素原子又は式:−CH2CH2O−R8で示される基を表し、ここで:
8は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、−S(O)t−R6(ここで、R6は前記と同義であり、tは0〜2までの整数を表す)及びT1−R9基〔ここで、T1は直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキレン鎖を表し、そしてR9はハロゲン、シアノ、−OR6、−NR67、−C(O)H、−C(O)OR6及び−C(O)NR67(ここで、R6及びR7は前記と同義である)から選択される基を表す〕から選択される基を表し、
● R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、各々は、互いに独立して、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール及びアリール−(C1−C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)から選択される基を表すか、或いは、
3及びR4は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5個又は6個の環員を有し、場合により、酸素及び窒素から選択される第2のヘテロ原子を環系に含んでいる、単環式ヘテロ環を形成し、
● nは、1〜6までの整数を表す}で示される化合物、
それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩
〔ここで、「アリール」は、フェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル又はインダニル基を意味すると理解され、それらの各基は、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)トリハロアルキル、ヒドロキシ、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ、及びアミノ(1又は2個の直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル基で場合により置換されている)から選択される1個以上の同一又は異なる基で、場合により置換されている〕に関する。
【0007】
薬学的に許容されうる酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸等を、非限定的な例として挙げることができる。
【0008】
薬学的に許容されうる塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン等を、非限定的な例として挙げることができる。
【0009】
本発明の好ましい化合物は、式(IA):
【0010】
【化33】

【0011】
(式中、R1、R2、R3、R4、W1、Z及びnは式(I)と同義である)に更に特別に対応する式(I)の化合物である。
【0012】
第2の有利な実施態様に従って、本発明の好ましい化合物は、式(IB):
【0013】
【化34】

【0014】
(式中、R1、R2、R3、R4、Z及びnは上記と同義である)に更に特別に対応する式(I)の化合物である。
【0015】
第3の有利な実施態様に従って、本発明の好ましい化合物は、式(IC):
【0016】
【化35】

【0017】
(式中、R1、R2、R3、R4、Z及びnは上記と同義である)に更に特別に対応する、式(I)の化合物である。
【0018】
興味ある1つの実施態様において、本発明による好ましい基Zは、水素原子である。
【0019】
興味ある別の実施態様において、本発明による好ましい基R1は、水素原子及び基−C(O)−R5(ここで、R5が更に特別には水素原子を表している)である。
【0020】
有利には、本発明による好ましい基R2は、水素原子及び基−CH2CH2O−R8(ここで、R8が更に特別には水素原子を表している)である。
【0021】
大変に有利には、本発明の好ましい化合物は、nが整数2を表す化合物である。
【0022】
特に有利には、本発明による好ましい基R3及びR4は、同一又は異なってもよく、各々は互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル基を表す。
【0023】
本発明による特に好ましい化合物は下記である:
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジエチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−8−カルバルデヒド−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕−フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエチルメタンスルホナート)ベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ〔e〕ピリド〔2′,3′:5,6〕〔1,4〕−オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール−1,3−ジオン。
【0024】
好ましい化合物の、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基との付加塩は、本発明に不可欠な部分を形成する。
【0025】
本発明は、また、式(I)の化合物の製造方法であって、式(II):
【0026】
【化36】

【0027】
(式中、W1及びZは式(I)と同義である)で示される化合物を出発材料として使用し、
式(II)の化合物のアミン官能基を、当業者に周知の保護基PGで保護して、式(III):
【0028】
【化37】

【0029】
(式中、PGはtert−ブトキシカルボニル又はフェノキシカルボニル基を表し、そしてW1及びZは前記と同義である)で示される化合物を得、
この式(III)の化合物を、リチウムジイソプロピルアミドで、続いてジフェニルクロロリン酸で処理し、式(IV):
【0030】
【化38】

【0031】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(IV)の化合物を、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウムの存在下、式(V):
【0032】
【化39】

【0033】
で示される化合物で処理して式(VI):
【0034】
【化40】

【0035】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(VI)の化合物を:
● 不活性雰囲気下、ジメチルアセチレンジカルボキシラートで処理して、式(VII):
【0036】
【化41】

【0037】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(VII)の化合物を:
◆ N−ブロモスクシンイミド及び過酸化ベンゾイルで処理して、式(VIII):
【0038】
【化42】

【0039】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(VIII)の化合物を、塩酸の作用に付して、式(IX):
【0040】
【化43】

【0041】
(式中、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(IX)で示される化合物を、4−ジメチルアミノピリジンの存在下、ジ−tert−ブチル−ジカルボナートの作用に付して、式(X):
【0042】
【化44】

【0043】
(式中、
【0044】
【化45】

【0045】
は、単結合又は二重結合を表し、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表し、そしてW1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(X)の化合物を、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンの作用に付して、式(XI):
【0046】
【化46】

【0047】
(式中、Boc、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XI)を、ナトリウムメタノラートの作用に付し、次に加水分解して、式(XII):
【0048】
【化47】

【0049】
(式中、Boc、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XII)の化合物を、式(XIII):
【0050】
【化48】

【0051】
(式中、R3、R4及びnは式(I)と同義である)で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/a):
【0052】
【化49】

【0053】
(式中、Boc、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(I/a)の化合物を、場合により、式(VIII)の化合物と同じ反応条件に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/b):
【0054】
【化50】

【0055】
(式中、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得るか、又は
この式(VII)の化合物を:
◆式(X)の化合物と同じ反応条件に付して、式(XIV):
【0056】
【化51】

【0057】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XIV)の化合物を、式(XII)の化合物と同じ反応条件に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/c):
【0058】
【化52】

【0059】
(式中、PG、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(I/c)の化合物を:
■ 場合により、ギ酸の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/d)及び(I/e):
【0060】
【化53】

【0061】
(式中、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得るか、又は
この式(I/c)の化合物を:
■ 場合により、式(XV):
【0062】
【化54】

【0063】
(式中、Gは離脱基を表し、そしてR8aは水素原子以外の式(I)のR8と同じ定義を有する)で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/f):
【0064】
【化55】

【0065】
(式中、PG、R3、R4、R8a、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
式(I/f)の化合物のアミン官能基を、場合により、従来の有機合成法に従って脱保護し、式(I)の化合物の特定な化合物である、式(I/g):
【0066】
【化56】

【0067】
(式中、R3、R4、R8a、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
式(I/b)、(I/d)及び(I/g)の化合物は、式(I/h):
【0068】
【化57】

【0069】
(式中、R2、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を構成し、
この式(I/h)の化合物を、場合により、式(XVI):
【0070】
【化58】

【0071】
(式中、R1aは水素原子以外の式(I)のR1と同じ定義を有し、そしてGは上記と同義である)で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/i):
【0072】
【化59】

【0073】
(式中、R1a、R2、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)を得るか、或いは
この式(VI)の化合物を:
● N−メチルマレイミドで処理して、式(XVII):
【0074】
【化60】

【0075】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XVII)の化合物を、式(VII)の化合物と同じ反応条件に付して、式(XVIII):
【0076】
【化61】

【0077】
(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、この式(XVIII)の化合物を、式(XII)の化合物と同じ反応条件に付して、上記記載の式(I/d)の化合物を得、
式(I/a)〜(I/i)の化合物は、式(I)の化合物の全体を構成し、この化合物を、もし適切であれば、従来の精製技術に従って精製し、もし所望であれば、従来の分離技術に従ってそれらの異なる異性体に分離してもよく、もし所望であれば、N−オキシドに変換し、適切であれば、薬学的に許容されうる酸又は塩基とのそれらの付加塩に変換することを特徴とする方法にも及ぶ。
【0078】
本発明はまた、式(X)、(XI)、及び(XIV)の化合物にも関し、それらは、式(I)の化合物の製造において使用するための合成中間体である。
【0079】
式(II)、(V)、(XIII)、(XV)、及び(XVI)の化合物は、市販の化合物か、又は当業者が容易に利用可能な有機合成の方法に従って得られる化合物のいずれかである。
【0080】
式(I)の化合物は、有用な薬理学的特性を有する。それらは、白血病細胞株だけでなく充実性腫瘍に対しても優れたインビトロ細胞毒性を有し、また細胞周期に対する活性も有し、白血病モデルに対してインビボで活性である。それらの特性により、それらを抗腫瘍剤として治療用に使用することが可能である。
【0081】
本発明の化合物によって処置可能な癌の種類の中で、下記を非限定的な例として挙げることができる:腺癌及び癌腫、肉腫、神経膠腫及び白血病。
【0082】
本発明は、また、式(I)で示される生成物、それらの鏡像異性体若しくはジアステロ異性体又はそれらのN−オキシド、或いは塩基又は酸との薬学的に許容されうるその付加塩の一つを、そのままで又は1つ以上の不活性で非毒性の賦形剤若しくは担体と組み合わせて含む医薬組成物にも関する。
【0083】
本発明の医薬組成物として、更に特別には、経口、非経口、経鼻、直腸内、舌下、眼、呼吸器投与に適したもの、特に、錠剤若しくは糖衣錠、舌下錠、サッシュ、パケット、ゼラチンカプセル剤、グロセット(glossettes)、トローチ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、真皮ゲル剤、注射用若しくは飲用製剤、エアロゾル剤、点眼剤、又は点鼻剤等を挙げることができる。
【0084】
式(I)の化合物の薬理学的特徴的な特性の観点から、前記化合物を含む医薬組成物は、活性成分として、このように癌の処置において特に有用である。
【0085】
有用な用量は、患者の年齢及び体重、投与経路、治療適応症及び関連する処置の性質によって異なり、1日当たり0.1mg〜400mgに変えることができ、これを1回又は数回に分けて投与する。
【0086】
下記の実施例は本発明を説明するが、本発明をいかようにも制限するものではない。使用される出発物質は既知の生成物であるか、又は既知の方法に従って調製される。
【0087】
実施例に記載された化合物の構造は、通常の分光分析技術(赤外線、核磁気共鳴分析法,質量分析法等)に従って測定された。
【0088】
調製A: tert−ブチル3−〔(ジフェノキシホスホリル)オキシ〕−4H−1,4−ベンズオキサジン−4−カルボキシラート
工程A: tert−ブチル2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンズオキサジン−3−オン−4−カルボキシラート
不活性雰囲気下、2H−1,4−ベンズオキサジン−3−オン 73mmolを、4−ジメチルアミノピリジン3.65mmol及びジ−tert−ブチルジカルボナート80mmolの存在下、アセトニトリル100mlに溶解した。混合物を4時間撹拌した。濃縮した後、残渣を酢酸エチルに取った。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。溶媒を蒸発させ、シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:8/2)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:72℃。
IR (KBr):νC=O = 1713, 1779 cm-1;νCOC = 1148 cm-1
質量スペクトラム:m/z 250 (M + 1)。
【0089】
工程B: tert−ブチル3−〔(ジフェノキシホスホリル)オキシ〕−4H−1,4−ベンズオキサジン−4−カルボキシラート
無水雰囲気下、TMEDA 12mmolを、無水THF 50ml中の上記工程Aで得た生成物10mmolの溶液に加えた。溶液を−78℃に冷却した後、2M LDA(ヘプタン/THF溶液中)12mmolを滴加した。2時間撹拌した後、クロロリン酸ジフェニル12mmolを反応混合物に滴加し、それを−78℃で更に2時間保持した。周囲温度に戻した後、溶液を加水分解し、次に酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:9/1)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:64℃。
IR (KBr):νC=O = 1732 cm-1;νP=O = 1313 cm-1
質量スペクトラム:m/z 482 (M + 1)。
【0090】
調製B: フェニル3−〔(ジフェノキシホスホリル)オキシ〕−2,3−ジヒドロ−4H−ピリド〔3,2−b〕〔1,4〕オキサジン−4−カルボキシラート
【0091】
工程A: フェニル2,3−ジヒドロ−4H−ピリド〔3,2−b〕〔1,4〕オキサジン−3−オン−4−カルボキシラート
無水雰囲気下、テトラヒドロフラン50ml中の2H−ピリド〔3,2−b〕〔1,4〕オキサジン−3−オン10mmlの溶液を、−78℃に冷却した。この温度で、ヘキサン中のn−ブチルリチウム1.6M溶液11mmolを滴加した。−78℃で30分間の接触時間の後、クロロギ酸フェニル11mmolを滴加し、撹拌を更に2時間保持した。周囲温度に戻した後、溶液を加水分解し、次に酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:8/2)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:97℃
IR (KBr):νC=O = 1717 cm-1 ;1803 cm-1
質量スペクトラム:m/z 271 (M + 1)。
【0092】
工程B: フェニル3−〔(ジフェノキシホスホリル)オキシ〕−4H−ピリド〔3,2−b〕〔1,4〕オキサジン−4−カルボキシラート
目的生成物を、上記工程の化合物から出発して、調製Aの工程Bに記載の手順に従って得た。
融点:82℃。
IR (KBr): νC=O = 1749 cm-1;νP=O 1294 cm-1
質量スペクトラム:m/z 503 (M + 1)。
【0093】
調製C: 8−(ピナコールボロニル)−1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デカ−7−エン
【0094】
工程A: 8−(トリフルオロメチル)スルホニルオキシ−1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デカ−7−エン
無水雰囲気下、THF/ヘプタンの混合物中のLDA 6.4mmolの2M溶液を、THF8mlで希釈した。温度を−78℃に下げ、次にTHF8mlに溶解した1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デカン−8−オン6.4mmolをゆっくりと加えた。反応混合物をその温度で2時間撹拌し、THF8mlに溶解したN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド9.6mmolを加えた。−78℃で15分間撹拌した後、次に一晩周囲温度に戻し、混合物を濃縮した。中性アルミナゲル(石油エーテル/酢酸エチル:95/5)で精製した後、目的生成物を単離した。
IR (NaCl film):νC=O = 1692 cm-1;νSO2 1418 cm-1
【0095】
工程B: 8−(ピナコールボロニル)−1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デカ−7−エン
不活性雰囲気下、上記工程Aで得た生成物0.7mmol、ピナコールボラン1.05mmol、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)0.028mmol、トリフェニルアリシン0.084mmol及びトリエチルアミン2.1mmolを、トルエン3ml中で混合し、次に80℃で2時間加熱した。冷却した後、残渣を酢酸エチルに取り、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:9/1)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:58℃。
IR (KBr):νC=C = 1635 cm-1;νCOC = 1115, 1143 cm-1
質量スペクトラム:m/z 267 (M + 1)。
【0096】
実施例1: 8−(tert−ブトキシカルボニル)−2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
【0097】
工程A: tert−ブチル3−(1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デカ−7−エン−8−イル)−4H−1,4−ベンズオキサジン−4−カルボキシラート
不活性雰囲気下、テトラヒドロフラン中の調製Aの生成物1mmolの1M溶液及び5%ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)を、周囲温度で10分間撹拌した。調製Cの生成物1.5mmol、エタノール数滴及び2M炭酸ナトリウム水溶液2mmolを、反応混合物に加え、それを次に1時間還流した。冷却し、加水分解した後、溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:6/4)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:92〜93℃。
IR (KBr):νC=O = 1711 cm-1;νCOC = 1113, 1163 cm-1
質量スペクトラム:m/z 372 (M + 1)。
【0098】
工程B: ジメチル12−(tert−ブトキシカルボニル)−3,3−(1,2−エチレンジオキシ)−1,2,3,4,4a,6a−ヘキサヒドロ−12H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
密閉系で、上記工程Aで得た生成物8mmol及びジメチルアセチレンジカルボキシラート40mmolを、80℃で22時間撹拌した。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:7/3)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:234〜235℃。
IR (KBr):νC=O = 1728 cm-1;νCOC = 1152 cm-1
質量スペクトラム:m/z 514 (M + 1)。
【0099】
工程C: ジメチル12−(tert−ブトキシカルボニル)−3,3−(1,2−エチレンジオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−12H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
不活性雰囲気下、上記工程Bで得た生成物0.92mmol及び蒸留した四塩化炭素23ml中の再結晶したN−ブロモスクシンイミド2.75mmolを、60Wランプを使用し、過酸化ベンゾイルの触媒量の存在下で、10分間加熱還流した。冷却後、溶液を濾過し、次に濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:6/4)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:<50℃。
IR (KBr):νC=O = 1701, 1717, 1733 cm-1;νCOC = 1152, 1195 cm-1
質量スペクトラム:m/z 512 (M + 1)。
【0100】
工程D: ジメチル3−オキソ−1,3,4,12−テトラヒドロ−2H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
12M塩酸3mlを、エタノール3ml中に溶解した上記工程Cで得た生成物0.6mmolに滴加した。混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で中和した後、酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:5/5〜0/10)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:250〜251℃。
IR (KBr):νC=O = 1695, 1720 cm-1;νNH = 3430 cm-1
質量スペクトラム:m/z 366 (M + 1)。
【0101】
工程E: ジメチル12−(tert−ブトキシカルボニル)−3−〔(tert−ブトキシカルボニル)オキシ〕−1,2−ジヒドロ−12H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
不活性雰囲気下、上記工程Dで得た化合物0.69mmolを、テトラヒドロフラン10mlに溶解した。4−ジメチル−アミノピリジン1.73mmol及びジ−tert−ブチルジカルボナート1.73mmolを加えた後、混合物を12時間撹拌した。濃縮した後、残渣を酢酸エチルに取り、1M塩酸溶液で2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、目的生成物を得た。
IR (NaClフィルム):νC=O = 1728, 1756 cm-1;νCOC = 1139 cm-1
質量スペクトラム:m/z 568 (M + 1)。
【0102】
工程F: ジメチル12−(tert−ブトキシカルボニル)−3−〔(tert−ブトキシカルボニル)オキシ〕−12H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
不活性雰囲気下、上記工程Eで得た化合物0.62mmolを、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン4.96mmolの存在下、トルエン5mlに溶解し、混合物を90℃で24時間加熱した。冷却し、濃縮した後で、反応混合物をジクロロメタンに取り、8%水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。水相をジクロロメタンで抽出し、有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:7/3)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:101〜102℃。
IR (KBr):νC=O = 1731, 1739, 1756, 1766 cm-1;νCOC = 1149 cm-1
質量スペクトラム:m/z 566 (M + 1)。
【0103】
工程G: ジメチル12−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシ−12H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
不活性雰囲気下、上記工程Fで得た化合物0.28mmolを、ナトリウムメタノラート0.34mmolの存在下、メタノール2mlに溶解した。混合物を周囲温度で12時間撹拌した。濃縮して加水分解した後、混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:7/3)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:90〜91℃(分解)。
IR (KBr):νC=O = 1722 cm-1;νCOC = 1152 cm-1;νNH = 3442 cm-1
質量スペクトラム:m/z 466 (M + 1)。
【0104】
工程H: 8−(tert−ブトキシカルボニル)−2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕−フェノキサジン−1,3−ジオン
不活性雰囲気下、上記工程Gで得た化合物0.26mmolを、N,N−ジメチルエチレンジアミン4ml中で、100℃で7時間加熱した。冷却した後、過剰量のジアミンを蒸発させた。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:95/5)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:190℃(分解)。
IR (KBr):νC=O = 1705, 1762 cm-1;νCO = 1249 cm-1;νOH = 3446 cm-1
質量スペクトラム:m/z 490.5 (M + 1)。
【0105】
実施例2: 2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン塩酸塩
12M塩酸3mlを、エタノール4mLに溶解した実施例1の化合物0.2mmolに滴加した。反応混合物を周囲温度で1.5時間撹拌し、次に濃縮した。ジエチルエーテルを加えて、沈殿物が形成され、それを濾取して、目的生成物を得た。
IR (KBr):νC=O = 1686, 1744 cm-1;νNH, OH = 3431 cm-1
質量スペクトラム:m/z 390 (M + 1)。
【0106】
実施例3: 8−(tert−ブトキシカルボニル)−2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
【0107】
工程A: ジメチル12−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)−12H−ベンゾ〔a〕フェノキサジン−5,6−ジカルボキシラート
目的生成物を、実施例1の工程Bの化合物から出発して、実施例1の工程Fに記載の手順に従って得た。
融点:87〜88℃。
IR (KBr):νC=O = 1725 cm-1;νOH = 3440 cm-1
質量スペクトラム:m/z 510 (M + 1)。
【0108】
工程B: 8−(tert−ブトキシカルボニル)−2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
目的生成物を、上記工程Aの化合物から出発して、実施例1の工程Hに記載の手順に従って得た。
融点:>80℃(分解)。
IR (KBr):νC=O = 1707, 1763 cm-1;νOH = 3447 cm-1
質量スペクトラム:m/z 534 (M + 1)。
【0109】
実施例4: 8−(tert−ブトキシカルボニル)−2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−{2−〔(メチルスルホニル)オキシ〕エトキシ}−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
不活性雰囲気下、トリエチルアミン0.93mmol及び次に塩化メシル0.93mmolを、ジクロロメタン3mL中の実施例3の化合物0.06mmolの溶液に、0℃にて加えた。撹拌を0℃で8時間維持した。周囲温度で溶液を加水分解し、次にジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:95/5)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:70〜80℃(ガム)。
IR (KBr):νC=O = 1707, 1763 cm-1
質量スペクトラム:m/z 612 (M + 1)。
【0110】
実施例5: 2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−{2−〔(メチルスルホニル)オキシ〕エトキシ}−1,2,3,8−テトラヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
実施例4の化合物0.03mmolを、ギ酸1mLに溶解し、周囲温度で3時間撹拌した。濃縮した後、残渣をジクロロメタンに取り、2M炭酸ナトリウム溶液で、次に水で洗浄した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:9/1)で精製した後、目的生成物を単離した。
IR (KBr):νC=O = 1686, 1702 cm-1;νNH = 3432 cm-1
質量スペクトラム:m/z 512 (M + 1)。
【0111】
実施例6: 2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ−〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
目的生成物を、実施例3の化合物から出発して、実施例5の手順に従って得た。
融点:216℃(ガム)。
IR (KBr):νC=O = 1690, 1741 cm-1;νNH = 3427 cm-1
質量スペクトラム:m/z 434 (M + 1)。
【0112】
実施例7: 8−(ホルミル)−2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
目的生成物を、実施例6のシリカゲルのクロマトグラフィーによる精製の過程で得た。
融点:202℃。
IR (KBr):νC=O = 1693, 1732 cm-1;νNH = 3428 cm-1
質量スペクトラム:m/z 462 (M + 1)。
【0113】
実施例8: 8−(フェノキシカルボニル)−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ〔e〕ピリド〔2′,3′:5,6〕〔1,4〕オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール−1,3−ジオン
【0114】
工程A: フェニル3−(1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デカ−7−エン−8−イル)−4H−ピリド〔3,2−b〕〔1,4〕オキサジン−4−カルボキシラート
目的生成物を、調製Bの化合物から出発して、実施例1の工程Aの手順に従って得た。
IR (KBr):νC=O = 1741 cm-1;νCOC = 1111, 1197 cm-1
質量スペクトラム:m/z 393 (M + 1)。
【0115】
工程B: 8−(フェノキシカルボニル)−5,5−(1,2−エチレンジオキシ)−2−メチル−2,3,3a,3b,4,5,6,7,13a,13b−デカヒドロベンゾ〔e〕ピリド〔2′,3′:5,6〕〔1,4〕オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール−1,3−ジオン
密閉系で、上記工程Aで得た生成物1mmol及びN−メチルマレイミド3mmolを、トルエン数滴の存在下、95℃で2時間撹拌した。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:6/4)で精製した後、目的生成物を単離した。
融点:150℃(ガム)。
IR (KBr):νC=O = 1701, 1786 cm-1
質量スペクトラム:m/z 504 (M + 1)。
【0116】
工程C: 8−(フェノキシカルボニル)−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ〔e〕ピリド〔2′,3′:5,6〕〔1,4〕オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール−1,3−ジオン
目的生成物を、上記工程Bの化合物から出発して、実施例1の工程Cに記載の手順に従って得た。
融点:250℃(ガム)。
IR (KBr):νC=O = 1707, 1752 cm-1;νCOC = 1191 cm-1OH = 3463 cm-1
質量スペクトラム:m/z 498 (M + 1)。
【0117】
実施例9: 2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ〔e〕ピリド〔2′,3′:5,6〕〔1,4〕オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール−1,3−ジオン
目的生成物を、実施例8の化合物から出発して、実施例1の工程Hに記載の手順に従って得た。
質量スペクトラム:m/z 435 (M + 1)。
【0118】
実施例10: 8−(tert−ブトキシカルボニル)−2−〔2−(ジエチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン
目的生成物を、実施例1の工程Gの化合物及びN,N−ジエチルエチレン−ジアミンから出発して、実施例1の工程Hに記載の手順に従って得た。
【0119】
実施例11: 2−〔2−(ジエチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジンー1,3−ジオン
目的生成物を、実施例10の化合物から出発して、実施例2の手順に従って得た。
【0120】
本発明化合物の薬理学的研究
実施例12: インビトロ活性
L1210マウス白血病
L1210マウス白血病をインビトロで使用した。細胞を、10%ウシ胎児血清、グルタミン2mM、ペニシリン50単位/ml、ストレプトマイシン50μg/ml及びヘペス10mM、pH=7.4を含む、RPMI 1640完全培地中で培養した。細胞をマイクロプレート上に分配し、細胞毒性化合物に、4回の倍増期間又は48時間、暴露した。次に生存している細胞の数を、比色定量アッセイのミクロ培養テトラゾリウムアッセイ(Microculture Tetrazolium Assay)(J. Carmichelら、Cancer Res.;47, 939-942 (1987)) により測定した。結果を、処理した細胞の増殖を50%阻害する細胞毒性剤の濃度である、IC50で表した。本発明の全ての化合物は、この細胞株に対して良好な細胞毒性を示す。一例として、実施例2の化合物は、L1210に対してIC50値は0.25μMである。
【0121】
ヒト細胞株
本発明の化合物を、充実性腫瘍に由来するヒト細胞株でも試験し、培養期間を2日間ではなく4日間にして、L1210マウス白血病について記載されたものと同様の試験手順に従って行った。説明の一つとして、実施例2の化合物は、IC50値がDU145前立腺がんに対して0.27μMを、A549非小細胞肺がんに対して0.16μMを、HT−29結腸がんに対して0.6μMを、及びKB−3−1表皮がんに対して0.26μMを示している。
【0122】
それらの種々結果は、本発明の化合物の白血病及び充実性腫瘍に対する強力な抗腫瘍潜在能力を明確に示している。
【0123】
実施例13: 細胞周期に対する活性
L1210細胞を、異なる濃度の試験化合物の存在下、37℃で21時間インキュベートした。次に細胞を、70%(v/v)エタノールを用いて固定し、PBS中で2回洗浄し、RNAse 100μg/ml及びヨウ化プロピジウム50μg/mlを含むPBS中、20℃で30分間インキュベートした。結果は、対照と比較して(対照:20%)、21時間後にG2+M相に滞留した細胞の百分率で表した。本発明の化合物は、21時間後にG2+M相において少なくとも80%の細胞の滞留をもたらした2.5μM未満の濃度について特に興味深い。
【0124】
実施例14: インビボ活性
P388白血病に対する抗腫瘍活性
細胞株P388(マウス白血病)は、National Cancer Institute (Frederick、米国)より提供された。腫瘍細胞(106細胞)を、雌B6D2F1マウス(Iffa-Credo、フランス)の腹腔内に0日目に接種した。体重18〜20gの6匹のマウスを、試験群ごとに使用した。生成物を、1日目に腹腔内経路で投与した。
抗腫瘍活性を%T/Cとして表した。
【0125】
【数1】

【0126】
得られた結果はP388白血病モデルにおいて優れたインビボ活性を表し、50mg/kgの投与量でT/C=210%であり、化合物の低毒性と共に、優れた治療係数を示した。
【0127】
実施例15:医薬組成物:注射剤
実施例2の化合物 10mg
注射剤調製用蒸留水 25ml

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


{式中、
● W1は、それが結合している炭素原子と一緒にフェニル基またはピリジル基を表し、
● Zは、水素、ハロゲン、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、アリールオキシ、アリール−(C1−C6)アルコキシ(ここで、アルコキシ部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、ヒドロキシ、及び直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ基から選択される基を表し、
● R1は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)及び−C(O)−R5基から選択される基を表すか、或いはハロゲン、並びにシアノ、−OR6、−NR67、−CO26、−C(O)R6及び−C(O)−NHR6基から選択される1個以上の同一又は異なる基によって置換されている直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキレン鎖を表し、
ここで:
⇒ R5は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)及びアリールオキシ基から選択される基を表し、
⇒ R6及びR7は、同一又は異なっていてもよく、各々は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール及びアリール−(C1−C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)から選択される基を表すか、或いは
6+R7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5個又は6個の環員を有し、場合により、酸素及び窒素から選択される第2のヘテロ原子を環系に含んでいる、単環式ヘテロ環を形成し、
● R2は、水素原子又は式:−CH2CH2O−R8で示される基を表し、ここで:
8は、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール、アリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、−S(O)t−R6(ここで、R6は前記と同義であり、tは0〜2までの整数を表す)及びT1−R9基〔ここで、T1は直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキレン鎖を表し、そしてR9はハロゲン、シアノ、−OR6、−NR67、−C(O)H、−C(O)OR6及び−C(O)NR67(ここで、R6及びR7は前記と同義である)から選択される基を表す〕から選択される基を表し、
● R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、各々は、互いに独立して、水素、並びに直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、アリール及びアリール−(C1−C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は直鎖状でも分岐鎖状でもよい)から選択される基を表すか、或いはR3及びR4は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5個又は6個の環員を有し、場合により、酸素及び窒素から選択される第2のヘテロ原子を環系に含んでいる、単環式ヘテロ環を形成し、
● nは、1〜6までの整数を表す}で示される化合物、
それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩
〔ここで、「アリール」は、フェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル又はインダニル基を意味すると理解され、それらの各基は、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)トリハロアルキル、ヒドロキシ、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルコキシ、及びアミノ(1又は2個の直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル基で場合により置換されている)から選択される1個以上の同一又は異なる基で、場合により置換されている〕。
【請求項2】
式(IA):
【化2】


(式中、R1、R2、R3、R4、W1、Z及びnは、式(I)と同義である)で示される化合物を表すことを特徴とする請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項3】
式(IB):
【化3】


(式中、R1、R2、R3、R4、Z及びnは、前記と同義である)で示される化合物を表すことを特徴とする請求項1又は2記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項4】
式(IC):
【化4】


(式中、R1、R2、R3、R4、Z及びnは、前記と同義である)で示される化合物を表すことを特徴とする請求項1又は2記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項5】
Zが水素原子を表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項6】
1が水素原子又は−C(O)−R5基を表し、ここで、R5が更に特別には水素原子を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項7】
2が水素原子又は−CH2CH2O−R8基を表し、ここで、R8が更に特別には水素原子を表すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項8】
nが整数2を表すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項9】
3及びR4が、同一又は異なってもよく、各々が互いに独立して、直鎖状又は分岐鎖状(C1−C6)アルキル基を表すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項10】
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジエチルアミノ)エチル〕−5−ヒドロキシベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−8−カルバルデヒド−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕−フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエチルメタンスルホナート)ベンゾ〔a〕ピロロ〔3,4−c〕フェノキサジン−1,3−ジオン、
2−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾ〔e〕ピリド〔2′,3′:5,6〕〔1,4〕−オキサジノ〔3,2−g〕イソインドール−1,3−ジオン
である請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、N−オキシド、及び薬学的に許容されうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項11】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II):
【化5】


(式中、W1及びZは式(I)と同義である)で示される化合物を出発材料として使用し、
式(II)の化合物のアミン官能基を、当業者に周知の保護基PGで保護して、式(III):
【化6】


(式中、PGはtert−ブトキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基を表し、そしてW1及びZは前記と同義である)で示される化合物を得、
この式(III)の化合物を、リチウムジイソプロピルアミドで、続いてジフェニルクロロリン酸で処理し、式(IV):
【化7】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(IV)の化合物を、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウムの存在下、式(V):
【化8】


で示される化合物で処理して式(VI):
【化9】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(VI)の化合物を:
● 不活性雰囲気下、ジメチルアセチレンジカルボキシラートで処理して、式(VII):
【化10】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(VII)の化合物を:
◆ N−ブロモスクシンイミド及び過酸化ベンゾイルで処理して、式(VIII):
【化11】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(VIII)の化合物を、塩酸の作用に付して、式(IX):
【化12】


(式中、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(IX)で示される化合物を、4−ジメチルアミノピリジンの存在下、ジ−tert−ブチル−ジカルボナートの作用に付して、式(X):
【化13】


(式中、
【化14】


は単結合又は二重結合を表し、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表し、そしてW1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(X)の化合物を、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンの作用に付して、式(XI):
【化15】


(式中、Boc、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XI)の化合物を、ナトリウムメタノラートの作用に付し、次に加水分解して、式(XII):
【化16】


(式中、Boc、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XII)の化合物を、式(XIII):
【化17】


(式中、R3、R4及びnは式(I)と同義である)で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/a):
【化18】


(式中、Boc、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(I/a)の化合物を、場合により、式(VIII)の化合物と同じ反応条件に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/b):
【化19】


(式中、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得るか、又は、
この式(VII)の化合物を:
◆式(X)の化合物と同じ反応条件に付して、式(XIV):
【化20】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XIV)の化合物を、式(XII)の化合物と同じ反応条件に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/c):
【化21】


(式中、PG、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(I/c)の化合物を:
■ 場合により、ギ酸の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/d)及び(I/e):
【化22】


(式中、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得るか、又は
この式(I/c)の化合物を:
■ 場合により、式(XV):
【化23】


(式中、Gは離脱基を表し、そしてR8aは水素原子以外の式(I)のR8と同じ定義を有する)で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/f):
【化24】


(式中、PG、R3、R4、R8a、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
式(I/f)の化合物のアミン官能基を、場合により、従来の有機合成法に従って脱保護し、式(I)の化合物の特定な化合物である、式(I/g):
【化25】


(式中、R3、R4、R8a、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を得、
式(I/b)、(I/d)及び(I/g)の化合物は、式(I/h):
【化26】


(式中、R2、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)で示される化合物を構成し、
この式(I/h)の化合物を、場合により、式(XVI):
【化27】


(式中、R1aは水素原子以外の式(I)のR1と同じ定義を有し、そしてGは上記と同義である)で示される化合物の作用に付して、式(I)の化合物の特定の化合物である、式(I/i):
【化28】


(式中、R1a、R2、R3、R4、W1、Z及びnは上記と同義である)を得るか、或いは
この式(VI)の化合物を:
● N−メチルマレイミドで処理して、式(XVII):
【化29】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XVII)の化合物を、式(VII)の化合物と同じ反応条件に付して、式(XVIII):
【化30】


(式中、PG、W1及びZは上記と同義である)で示される化合物を得、
この式(XVIII)の化合物を、式(XII)の化合物と同じ反応条件に付して、上記記載の式(I/d)の化合物を得、
式(I/a)〜(I/i)の化合物は、式(I)の化合物の全体を構成し、この化合物を、もし適切であれば、従来の精製技術に従って精製し、もし所望であれば、従来の分離技術に従ってそれらの異なる異性体に分離してもよく、もし所望であれば、N−オキシドに変換し、適切であれば、薬学的に許容されうる酸又は塩基とのそれらの付加塩に変換することを特徴とする方法。
【請求項12】
活性成分として、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)の少なくとも1個の化合物を、そのまま又は1個以上の薬学的に許容されうる不活性で非毒性の賦形剤もしくは担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項13】
癌の処置において医薬として有用である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
式(X)、(XI)及び(XIV):
【化31】


で示される、式(I)の化合物の合成中間体として使用するための化合物。

【公表番号】特表2006−506375(P2006−506375A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546097(P2004−546097)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003068
【国際公開番号】WO2004/037830
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】