説明

置換3−ヒドロキシピリジン及びその医薬組成物

本発明は、RはC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、Rは独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、Rは独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、Rは独立してC1−C8アルキル基又はその製薬学的に許容され得る塩よりなる群から選ばれる式(I)の新規な治療用化合物及びその薬学的に許容され得る塩、これを含む医薬組成物、医薬品として用いられるその化合物、及び特定の医薬品の製造におけるその化合物の使用に関する。また、本発明はその化合物の投与を含んだ治療法に関する。その新規な化合物はインスリン受容体シグナル伝達機能不全に伴う加齢による疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な治療用化合物及びその製薬学的に許容され得る塩、これを含む医薬組成物、医薬品として用いるその化合物、及び特定の医薬品の製造におけるその化合物の使用に関する。また、本発明は、その化合物の投与を含んだ治療法に関する。その新規な候補化合物は、インスリン受容体シグナル伝達機能不全に伴う加齢による疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
3−ヒドロキシピリジンは、市販薬の一種である。RF特許番号2168992、2168993、2185826、及び2190404は、2−エチル−6−メチル−3−ヒドロキシピリジンが関節炎、虚血、メタボリックシンドローム、及び粥状動脈硬化症の治療に有用であることを開示している。
【0003】
2−エチル−6−メチル−3−ヒドロキシピリジンは親水性であるため、神経組織及び脳への輸送能力に限界がある。したがって、親油性の増加した新規の3−ヒドロキシピリジン類を開発することが望ましい。
【0004】
本発明は、新規の置換3−ヒドロキシピリジン類、又はその製薬学的に許容され得る塩、及びその医薬組成物を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、式(I)の化合物であって、
【0006】
【化1】

【0007】
はC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれる
化合物又はその製薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0008】
「薬学的に許容され得る塩」とは、無毒の酸付加塩を意味する。本発明における薬学的に許容され得る塩は、本技術分野で周知の方法で式(I)の化合物と薬学的に許容され得る酸の反応によって調製される。当該塩は、塩酸、臭化水素酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、及び酢酸塩を含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明における薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、L−リンゴ酸塩、ケトグルタル酸塩、及びクエン酸塩よりなる群から選ばれる。
【0009】
本明細書中で「C2−C8アルキル基」という用語を用いるときは、2〜8個の炭素分子の直鎖又は分岐鎖ラジカルを意味し、その鎖長が限定されない限り、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びt−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘクシル、及びオクチル及びこれらの単純脂肪族異性体を含むが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書中で「C1−C8アルキル基」という用語を用いるときは、1〜8個の炭素分子の直鎖又は分岐鎖ラジカルを意味し、その鎖長が限定されない限り、メチル、メチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びt−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘクシル、及びオクチ及びこれらの単純脂肪族異性体を含むが、これらに限定されない。
【0011】
本発明の好ましい化合物は、2−メチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)、及び2−メチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)を含む。
【0012】
さらに、本発明は、式(I)の化合物であって、
【0013】
【化2】

【0014】
はC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれる
化合物又はその薬学的に許容され得る塩、及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
「薬学的に許容され得る担体」とは、ほ乳類、好ましくはヒトの任意の体の部位への投与に適した、一又は複数の混和性の固体又は液体充填希釈剤、又はカプセル化するための材料をいう。
【0016】
本発明の組成物は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, seventeenth edition, ed. Alfonso R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, Pa., Eighteenth edition (1990)に記載されたような承認された薬学的な手順に従い、本技術分野で周知の方法で調製される。
【0017】
本発明による式(I)の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩は、遊離塩基又は薬学的に許容され得る酸との塩、又はその溶液の形態において、例えば、承認された薬学的な手順に従った経口、経腸、経皮、経静脈、経鼻、又は経肺経路を経由した投与のための組成物などの適切な用量形態とすることができる。この本発明による医薬組成物は、本技術分野で周知となっている混和性の薬学的に許容される担体材料、又は希釈剤を加えた本発明による化合物により構成されている。担体は、投与に適したあらゆる不活性物質、有機物又は無機物、例えば:水、ゼラチン、アラビアガム、乳糖、結晶セルロース、澱粉、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、及びその類似物であることができる。該組成物は、他の薬学的に活性な薬剤及び一般添加剤、例えば、安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味料、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、固結防止剤、推進剤及びその類似物なども含むことができる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の内容量は、組成物の0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
【0018】
本発明の組成物は、様々な単位用量形態で調製することができる。前記の形態は、注射、点眼、噴霧、ゲル、軟膏、錠剤、カプセル剤、徐放剤及び粉末剤を含むが、これらに限定されない。
【0019】
本発明による式(I)の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩は、任意の適切な方法で治療上有効な量を投与されることができる。本発明による組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、シロップ、エリクシル剤及びその類似物、エアゾール剤、無菌溶液、懸濁剤、乳剤などの、固体又は液体の形態で調製されることができる。
【0020】
「治療上有効な量」とは、望ましい治療効果を提供するための活性な薬剤の無毒かつ十分な量のことを指す。好ましくは、式(I)の化合物の治療上有効な量は、本発明の組成物の単位用量形態あたり1〜500mgである。さらに好ましくは、単位用量形態あたり50〜150mgである。
【0021】
本発明による特定の化合物の用量は、化合物の強度、投与形態、患者の年齢及び体重、及び治療状況の深刻さに依存して変化する。例えば、医薬品は、一日一回あるいは二回、又は低頻度あるいは断続的に経口投与されることができる。
【0022】
本発明の化合物及び組成物は、代謝疾患、神経変性疾患、炎症性障害、及び中枢神経障害など、加齢疾患の治療のために使うことができる。好ましくは、本発明の化合物及び組成物は、低下したインスリン活性と関連した疾患、状態又は障害の治療に有用であり、その治療は、該治療を必要とするほ乳類に式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の治療上有効な用量を投与するステップを含み、低下したインスリン活性と関連した前記の疾患、状態又は障害は、糖尿病及びその合併症、2型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセリンの血中濃度上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド血症、脂質代謝異常、X症候群、粥状動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、加齢、又はメタボリックシンドロームよりなる群から選ばれる。
【0023】
本明細書で、「疾患の治療」という用語を用いるときは、ほ乳類が必要としているその一又は複数の疾患の臨床兆候(症候群など)を治療、コントロール、予防及び/又は減らすことを意味する。
【0024】
本発明のほ乳類の非排他的な例としては、ヒト及び猫と犬などの愛玩動物が含まれる。好ましくは、ほ乳類はヒトである。
【0025】
さらに、本発明は、式(II)の化合物であって、
【0026】
【化3】

【0027】
はC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれる
化合物とアンモニアを反応させるステップを含む式(I)の化合物の調製方法を提供する。
【0028】
式(II)の出発化合物は、本技術分野で周知の方法で調製することができる。例えば、式(II)の化合物は、本技術分野で周知のアルキル基置換フランとカルボン酸無水物を触媒好ましくはリン酸存在下で反応させることで調製することができる。2−アシルフランから3−ヒドロキシピリジンを調製するための反応は、文献により周知である。P. Bosshard, C. H. Eugster, Adv. Heterocycl. Chem. 7, 377, 1966. 本発明の好ましい実施様態において、気体アンモニアの溶媒としての無水エタノール中でこのステップが実行される。好ましくは、この反応は高温のオートクレーブ内で行われるが、反応は様々な条件にも影響されうる。最後の薬学的に許容される塩は、得られた3−ヒドロキシピリジンと無水溶液中の酸との反応により得られる。
【0029】
本発明を説明するために、以下の実施例を示す。この実施例は例示のためだけであり、いかなる場合であっても本発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例1】
【0030】
2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)。
【0031】
(1)2−プロピオニル−3,4,5−トリメチルフラン
40℃に加熱した2,3,4−ジメチルフラン(0.3モル、CAS登録番号[10599−57−2])と無水プロピオン酸(78.1g、0.6モル)の混合物中に、85%リン酸(0.05モル)をゆっくりと滴下した。反応混合物を60℃で2時間加熱した。温度が室温になるまで放置し、その後120mlの水を加え、さらに1時間攪拌した。有機相を分離して炭酸ナトリウム飽和溶液で処理し、24時間撹拌して、未反応の無水物及び酸を無効化した。その後、溶液をクロロホルムで抽出し(300ml×3)、そして混合された有機相を硫酸ナトリウムで乾燥しエバポレートして真空下で蒸留される油性残留物を得て、86〜89℃(0.6mm)で蒸発する画分を回収した。純粋なケトンが得られた(25.1g、49%)。
【0032】
(2)2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジン
20℃で得られた無水エタノール(50ml)中のアンモニア飽和溶液をオートクレーブ内に配置し、上記で調製したケトン(0.36モル)を加えた。反応混合物を攪拌しながら、170℃で15時間加熱した。冷却後、減圧下でエタノールを留去して油性残留物を得て、これを2N水酸化ナトリウム溶液(400ml)中で処理した。攪拌して十分に摩砕した後、アルカリ溶液をクロロホルム抽出(100ml×4)して反応していないケトンを回収した。アルカリ液を濃塩酸で中和して2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンを分離した。液体をクロロホルム(200ml×8)で抽出し、有機抽出物をいくらかの水で洗浄し、硫酸ナトリウム乾燥し、濾過しエバポレートして、さらに生成物を得た。二つの固体画分を合わせ、無水エーテル(250ml×6)で繰り返し処理し、この塩化物を分離した。エーテル溶液から、濃縮の間に、2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンが徐々に結晶化した(27g、61%);Rf−0.39(AcOEt)。
【0033】
(3)標題の生成物
無水エタノール中のコハク酸飽和溶液(0.1モル)を無水エタノール中の2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジン(0.1モル)溶液中に加えた。エタノールを蒸発させ、生成物をイソプロパノール−アセトンにより再結晶化して精製した。元素分析はC1421NO(283.3):計算% C 59.35、H 7.47、N 4.94;検出% C 59.42、H 7.52、N 4.89。H−NMR分析は予想された構造を確認した
【実施例2】
【0034】
2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)
(1)2−プロピオニル−3,5−トリメチルフラン
40℃に加熱した2,4−ジメチルフラン(0.3モル、CAS登録番号[3710−43−8])と無水プロピオン酸(78.1g、0.6モル)の混合物中に、85%リン酸(0.05モル)をゆっくりと滴下した。反応混合物を60℃で2時間加熱した。温度が室温になるまで放置し、その後120mlの水を加え、さらに1時間攪拌した。有機相を分離して炭酸ナトリウム飽和溶液で処理し、24時間攪拌して、未反応の無水物及び酸を無効化した。その後、溶液をクロロホルムで抽出し(300ml×3)、そして混合された有機相を硫酸ナトリウムで乾燥しエバポレートして真空下で蒸留される油性残留物を得て、71〜75℃(0.6mm)で蒸発する画分を回収した。純粋なケトンが得られた(19.6g、41%)。
【0035】
(2)2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジン
15℃で得られた無水エタノール(50ml)中のアンモニア飽和溶液をオートクレーブ内に配置し、上記で調製したケトン(0.36モル)を加えた。反応混合物を攪拌しながら、170℃で15時間加熱した。冷却後、減圧下でエタノールを留去して油性残留物を得て、これを2N水酸化ナトリウム溶液(400ml)中で処理した。攪拌して十分に摩砕した後、アルカリ溶液をクロロホルム抽出(100ml×4)して反応していないケトンを回収した。アルカリ液を濃塩酸で中和して2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンを分離した。液体をクロロホルム(200ml×8)で抽出し、有機抽出物をいくらかの水で洗浄し、硫酸ナトリウム乾燥し、濾過しエバポレートして、さらに生成物を得た。二つの固体画分を合わせ、無水エーテル(250ml×6)で繰り返し処理し、この塩化物を分離した。エーテル溶液から、濃縮の間に、2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンが徐々に結晶化した(29g、67%);Rf−0.37(AcOEt)。
【0036】
(3)標題の生成物
無水エタノール中のコハク酸飽和溶液(0.1モル)を無水エタノール中の2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジン(0.1モル)溶液中に加えた。エタノールを蒸発させ、生成物をイソプロパノール−アセトンにより再結晶化して精製した。元素分析はC1319NO(269.3):計算% C 57.98、H 7.11、N 5.20;検出% C 57.92、H 7.19、N 5.12。H−NMR分析は予想された構造を確認した。
【実施例3】
【0037】
この実施例では、式(I)の化合物を含む注射処方について説明する。
【0038】
【表1】

【0039】
式(I)の化合物を注射用の水に溶解して所望の体積とし、pH5.0になるまで0.4Mのリン酸2ナトリウムを加えた。このようにして、式(I)の化合物の濃度が5%の溶液を調製した。溶液を滅菌フィルター(0.2μm)に通して濾過し、アンプルに封入した。
【実施例4】
【0040】
この実施例では、2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)を含む注射処方について示す。
【0041】
【表2】

【0042】
2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)を注射用の水に溶解して所望の体積とし、pH5.5になるまで0.4Mのリン酸2ナトリウムを加えた。このようにして、2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)の濃度が5%の溶液を調製した。溶液を滅菌フィルター(0.2μm)に通して濾過し、アンプルに封入した。
【実施例5】
【0043】
この実施例では、2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)を含む注射処方について示す。
【0044】
【表3】

【0045】
2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)を注射用の水に溶解して所望の体積とし、pH5.5になるまで0.4Mのリン酸2ナトリウムを加えた。このようにして、2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)の濃度が5%の溶液を調製した。溶液を滅菌フィルター(0.2μm)に通して濾過し、アンプルに封入した
【実施例6】
【0046】
この実施例では、インスリン受容体の活性化増強に関する本発明の化合物の効果を示す。
【0047】
5mMのグルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水中において、5nMのインスリン、50μMの2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)、50μMの2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)、又はそれらの組み合わせにより、ヒト肝細胞癌HepG2を10分間処理した。細胞のインスリン受容体の活性化は、PhosphoDetect(商標)インスリン受容体(pTyr1162/1163)ELISAキット(Calbiochem社)を用いて、受容体キナーゼドメイン領域のチロシン第1162/1163残基のリン酸化によって評価した。リン酸化により、リン酸化前のものと比較すると、受容体の活性が約200倍増大することは一般に認められている。その結果を、100nMのインスリンに対して生じた反応の百分率として表現し、平均±標準誤差(n=8)として表に示した。
【0048】
【表4】

【0049】
表は本発明の化合物がインスリン受容体活性化を有意に増強していることを示している。
【実施例7】
【0050】
この実施例は、インスリン抵抗性、脂質代謝異常、及び糖尿病の治療に関する本発明の化合物の効果を示す。
【0051】
クエン酸緩衝液(0.05M、pH5.5)に溶解したストレプトゾトシン(Sigma社、米国ミズーリ州)を、雄のウイスター系アルビノラットの尾静脈に動物体重のkg当たり35mgの用量で注射して、非代償性インスリン抵抗性を誘発した。ストレプトゾトシン注射の1週間後に、血糖値が14.0mmol/lを超えたラットを実験に用いた。グルコース酸素法により空腹時血清グルコース濃度を測定し、二重抗体ラジオイムノアッセイキットにより血清インスリン濃度を測定し、そして、酵素法により血清トリグリセリドを測定した。
【0052】
コントロールラット(n=10)及び実験ラット(n=20)の3群にストレプトゾトシン誘発ラットを割り当てた。コントロールラットには毎日、生理食塩水の腹腔内注射を7日間受けさせた。実験ラットには毎日、10mg/kgの2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)、又は2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)の腹腔内注射を7日間受けさせた。治療開始直前及び治療の開始から14日目に生化学的指標を測定した。
【0053】
その結果を平均±標準誤差(n=10)として表に示した。
【0054】
【表5】

【0055】
表は本発明の化合物が糖尿病、インスリン抵抗性、及び高脂血症の治療に有用であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

はC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれる
化合物又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
薬学的に許容され得る塩が塩酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、L−リンゴ酸塩、ケトグルタル酸塩、及びクエン酸塩よりなる群から選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2−エチル−4,6−ジメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)又は2−エチル−4,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンのコハク酸塩(1:1)。
【請求項4】
式(I)の化合物であって、
【化2】

はC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれる
化合物又はその薬学的に許容され得る塩、及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項5】
式(II)の化合物であって、
【化3】

はC2−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してH及びC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれ、
は独立してC1−C8アルキル基よりなる群から選ばれる
化合物とアンモニアを反応させるステップを含む式(I)の化合物の調製方法。
【請求項6】
化合物が2−エチル−3,4−ジメチル−3−ヒドロキシピリジン又は2−エチル−3,4,5−トリメチル−3−ヒドロキシピリジンである請求項5記載の方法。
【請求項7】
低下したインスリン活性と関連した疾患、状態又は障害の治療方法であって、該治療を必要とするほ乳類に請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療上有効な用量を投与するステップを含み、低下したインスリン活性と関連した前記の疾患、状態又は障害は、糖尿病及びその合併症、2型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセリンの血中濃度上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド血症、脂質代謝異常、X症候群、粥状動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、加齢、又はメタボリックシンドロームよりなる群から選ばれる方法。

【公表番号】特表2011−506597(P2011−506597A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539343(P2010−539343)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/RU2007/000715
【国際公開番号】WO2009/078746
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(510166870)
【出願人】(510069869)
【出願人】(510166881)
【Fターム(参考)】