説明

美白化粧料及び美白化粧料セット

【課題】 美白効果に優れ、シミ・ソバカスを十分に防止することができる美白化粧料や、この美白化粧料による美白効果を一層高めるために、この美白化粧料と角質を除去するための成分をセットにした美白化粧料セットを提供すること。
【解決手段】 ハイドロキノン又はその誘導体と、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも3種以上のアスコルビン酸を組み合せて用いる。さらに、角質を除去するための成分として、乳精(ホエー)を用いることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロキノン又はその誘導体と3〜5種類のアスコルビン酸類とを含有する美白化粧料や、該美白化粧料と角質を除去するための成分である乳精を含む美白化粧料セットに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしみ、そばかすなどの色素沈着は、日光の紫外線暴露による刺激、ホルモンの異常、遺伝的要素などを原因としてメラノサイトが活性化され、その結果メラノサイトにて合成されたメラニン色素が皮膚内に異常沈着することにより発生する。この色素沈着を改善もしくは予防するために従来より、メラニン色素生成抑制作用を有する美白成分、例えばハイドロキノンやアスコルビン酸等を含有した美白化粧料が数多く提案されている。
【0003】
例えば、アスコルビン酸およびその誘導体、プラセンタエキス、ハイドロキノン、β−D−グルコース、コウジ酸、トラネキサム酸およびエラグ酸よりなる群から選ばれた一種または二種以上と、ヨウバイヒの抽出物とを配合した皮膚美白効果が著しく改良された安全性の高い化粧料(例えば、特許文献1参照)や、(A)L−アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン誘導体、胎盤抽出物並びにエラグ酸及びその誘導体から選ばれる1種以上の美白剤、(B)営実及び地楡の抽出物から選ばれる1種以上の植物エキスを含有する、美白効果に優れ、シミ・ソバカスも十分に予防及び治療することができる美白化粧料(例えば、特許文献2参照)や、L−アスコルビン酸のグルコース配糖体及びユキノシタエキス、パセリエキス、リンゴエキス、ブドウ種子エキス、ホエイから選ばれる一種または二種以上を組合わせて含有する、シミやソバカス、色黒に対する優れた美白効果を持つ美白化粧料(例えば、特許文献3参照)や、従来の美白化粧料に用いられてきたアスコルビン酸及びその誘導体、コウジ酸、ルシノール、アルブチン、ハイドロキノン等の経時的不安定性を改善し、美白効果を増大させた、田七人参抽出物を含有する美白化粧料(例えば、特許文献4参照)や、フキタンポポ(Tussilago farfafa L. 款冬)抽出物と、L−アスコルビン酸およびその誘導体、ハイドロキノン誘導体、エラグ酸およびその誘導体、レゾルシノール誘導体、胎盤抽出物、油溶性甘草エキスからなる美白成分より選ばれる1種または2種以上を含有する美白化粧料(例えば、特許文献5参照)や、(A)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、コンフリーエキス等から選ばれた抗炎症剤、(B)プラセンタエキス、カッコンエキス、又はアスコルビン酸等から選ばれたメラニン生合成阻害剤、(C)グリコール酸、乳酸等から選ばれたメラニン排泄促進剤を組み合わせて配合した美白化粧料(例えば、特許文献6参照)などが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−302125号公報
【特許文献2】特開2000−143479号公報
【特許文献3】特開2001−335455号公報
【特許文献4】特開2002−128655号公報
【特許文献5】特開2002−128655号公報
【特許文献6】特開2002−179547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、美白効果に優れ、シミ・ソバカスを十分に防止することができる美白化粧料や、この美白化粧料による美白効果を一層高めるために、この美白化粧料と角質を除去するための成分をセットにした美白化粧料セット提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、ハイドロキノン又はその誘導体と、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも3種以上のアスコルビン酸を組み合せて用いれば、優れた美白効果及びシミ・ソバカス防止効果を有する美白化粧料が得られることを見い出した。また、乳精(ホエー)で角質を除去した後に、上記美白化粧料を用いると、一層美白効果が高まることを見い出した。本発明は以上の知見に基づき完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち本発明は、(1)ハイドロキノン又はその誘導体とアスコルビン酸類とを含有し、アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも3種以上が配合されていることを特徴とする美白化粧料や、(2)アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも4種以上が配合されていることを特徴とする前記(1)記載の美白化粧料や、(3)アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも5種以上が配合されていることを特徴とする前記(2)記載の美白化粧料に関する。
【0008】
また本発明は、(4)さらに、ポリグルタミン酸、オリゴ糖、酵母エキス、オタネニンジンエキス、甘草フラボノイド、アロエエキス、カッコンエキス、クロレラエキスから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の美白化粧料や、(5)前記(1)〜(4)のいずれか記載の美白化粧料と、角質を除去するための成分である乳精を含む美白化粧料セットに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、美白効果に優れ、シミ・ソバカスを十分に防止することができる美白化粧料や、この美白化粧料による美白効果を一層高めるために、この美白化粧料と角質を除去するための成分をセットにした美白化粧料セット提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の美白化粧料としては、ハイドロキノン又はその誘導体とアスコルビン酸類とを含有し、アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも3種以上、好ましくは4種以上、より好ましくは5種配合されているものであれば特に制限されるものではなく、また、本発明の美白化粧料セットとしては、本発明の美白化粧料に、角質を除去するための成分である乳精(ホエー)を含むものであれば特に制限されない。
【0011】
上記ハイドロキノン誘導体としては、ハイドロキノンと糖の縮合物、ハイドロキノンに炭素数1〜4のアルキル基を導入したアルキルハイドロキノンと糖の縮合物が挙げられ、これらのうちアルブチン等が特に好ましい。
【0012】
本発明の美白化粧料は、上記アスコルビン酸類を少なくとも3種以上、好ましくは4種以上、より好ましくは5種以上配合されているものであれば制限されるものではなく、美白効果、保存安定性及び使用感の点から、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、及びテトラへキシルデカン酸アスコルビルの組み合わせ、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、及びリン酸アスコルビルアミノプロピルの組み合わせ、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、及びリン酸アスコルビルアミノプロピルの組み合わせ、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、及びリン酸アスコルビルアミノプロピルの組み合わせ、好ましくはアスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、及びリン酸アスコルビルアミノプロピルの組み合わせ、中でもアスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、及びアスコルビン酸リン酸ナトリウムの組み合わせを好適に例示できる。
【0013】
本発明の美白化粧料の美白成分として用いられる、ハイドロキノン又はその誘導体や、アスコルビン酸類はいずれも公知の手法により得られ、市販されている
ものを用いることもできる。
【0014】
本発明の美白化粧料中の前記美白成分の含有量は、特に限定されるものではないが、美白効果、保存安定性及び使用感の点から、化粧料全体に対して、10〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは、10〜20重量%であり、特に好ましくは10〜15重量%である。また、これら美白成分の配合比はハイドロキノン又はその誘導体と、アスコルビン酸類とが1:0.005〜1:0.050(重量比)、好ましくは1:0.005〜1:0.025(重量比)の比率であることが好ましく、より好ましくは、1:0.005〜1:0.010である。また、アスコルビン酸類における各種のアスコルビン酸類の比率は、最小・最大添加量間で1:5、好ましくは1:2の範囲内であり、等量用いることがより好ましくい。
【0015】
また、本発明の美白化粧料には、更に、ポリグルタミン酸、オリゴ糖、酵母エキス、オタネニンジンエキス、甘草フラボノイド、アロエエキス、カッコンエキス、クロレラエキスから選ばれる1種又は2種以上を含有すると、美白効果が向上するので好ましい。また、これら成分を配合する場合は、その含有量は、美白効果及び保存安定性の点から、美白化粧料全体に対して0.1〜1.0重量%含有することが好ましく、より好ましくは、0.3〜0.9重量%であり、特に好ましくは、0.4〜0.7重量%である。
【0016】
本発明の美白化粧料セットに用いられる乳精(ホエー)は、牛乳、脱脂粉乳に酸または凝乳酵素等を加えて生じた凝固物(カゼインと脂肪が主として構成成分である)を除去するなど、公知の方法により製法されたものを使用することができ、例えば、牛乳たん白質の水溶液又は脱脂粉乳及びブドウ糖の水溶液を乳酸連鎖球菌又は乳酸かん菌で発酵させた液をろ過したものを使用することができる。また、乳精は市販のものを利用することができ、例えば、共同乳業株式会社製、商品名「乳精ミネラル」を挙げることができる。
【0017】
本発明の美白化粧料には、上記成分の他に通常化粧品や医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような任意成分としては、例えば、水、エタノール、油性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、顔料、香料、乳化安定剤、pH調整剤等を挙げることができる。
【0018】
具体的には油性成分としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン、オリーブ油、ヤシ油、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸のエステル、シリコーン油等が挙げられる。保湿剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ベントナイト等の粘土鉱物等が挙げられる。乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、大豆リン脂質等の両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤が挙げられる。薬効成分としては、例えば、各種ビタミンおよびその誘導体、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、各種動植物抽出物等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、セーレンセンの緩衝液、クラーク−ラプス緩衝液、コルトフ緩衝液、酢酸と酢酸ナトリウムでつくるワルポール緩衝液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムでつくるメンツエル緩衝液、クエン酸とリン酸水素二ナトリウムでつくるマッキルペイン緩衝液、バルビタールのナトリウム塩を用いるミハエリス緩衝液、リン酸、ホウ酸、酢酸および水酸化ナトリウムを混合してつくるブリトンーロビンソン緩衝液等が挙げられる。
【0019】
本発明の美白化粧料は、常法に従って製造することができる。また、本発明の美白化粧料は、一般の皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、外用医薬品等を包含するものであり、その剤型も目的に応じて任意に選択することができ、クリーム、軟膏、乳液、ローション、溶液、ゲル等の剤型やパック、パウダー、スティック等の形態とすることができる。
【0020】
上記配合成分を含有する美白化粧料をエッセンスとして調製し、使用したところ、使用感はさっぱりし、美白効果に優れ、シミ・ソバカスを予防・治療することができた。さらに、美白効果は、角質を除去するための成分として乳精を添加することでさらに向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロキノン又はその誘導体とアスコルビン酸類とを含有し、アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも3種以上が配合されていることを特徴とする美白化粧料。
【請求項2】
アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも4種以上が配合されていることを特徴とする請求項1記載の美白化粧料。
【請求項3】
アスコルビン酸類として、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸リン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも5種以上が配合されていることを特徴とする請求項2記載の美白化粧料。
【請求項4】
さらに、ポリグルタミン酸、オリゴ糖、酵母エキス、オタネニンジンエキス、甘草フラボノイド、アロエエキス、カッコンエキス、クロレラエキスから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の美白化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の美白化粧料と、角質を除去するための成分である乳精を含む美白化粧料セット。

【公開番号】特開2006−249000(P2006−249000A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68413(P2005−68413)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(598143918)株式会社エージング研究所 (4)
【Fターム(参考)】