説明

美肌剤

【課題】経口摂取により、肌の保湿、美肌、肌荒れ防止、しわ防止等の美容効果を有する美肌剤、及び美肌用飲食品又は飼料の提供。
【解決手段】乳由来リン脂質を美肌剤の有効成分とする。またこの乳由来リン脂質を有効成分とする美肌剤を配合して美肌用飲食品又は飼料とする。本発明によると、経口摂取により皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す美肌剤、美肌用飲食品又は飼料を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳由来リン脂質を有効成分とし、経口摂取により、肌の保湿、美肌、肌荒れ防止、しわ防止等の美容効果を有する美肌剤、及びこの美肌剤を配合した美肌用飲食品又は飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、生体と外界との接点であり、水分の体外喪失を防ぎ、また外界からの微生物やアレルゲン等の生体障害物質の侵入を阻止する皮膚バリア機能を有している。角質層においてセラミドを中心とした角質細胞間脂質や皮脂等がこれらの機能を担っている。角質層が正常な機能を果たし健康な状態を維持するためには、10〜20%の水分を含むことが必要とされ、皮膚バリア機能によって角質層に水分が保持され、皮膚の柔軟性・弾力性を保っている。
【0003】
角質層の水分が減少すると柔軟性が失われて硬くなり、ひび割れ等の発生の原因になる。皮紋が消失あるいは不鮮明な状態にある、いわゆる肌荒れした皮膚では、角質層の水分量は有意に低下する。肌荒れした皮膚は見栄えが悪いという美容だけの問題ではなく、皮膚疾患を惹起する準備段階であり、病態的意義を有する。また、肌荒れ状態を改善することにより、かさかさした皮膚表面がすべすべした滑らかな状態になることで、微細なしわの改善につながる。皮膚バリア機能の低下した角質層では、皮膚からの水分の消失が健康な状態に比べて激しいことが知られており、皮膚の水分蒸散量(Trans Epidermal Water Loss:TEWL)の増加が認められる。このTEWLは、角質層のバリア機能や保湿機能と密接に関連しており、皮膚バリア機能の指標とされている。したがって、皮膚の水分量を増加させたり、TEWLを低下、または、TEWLの増加を抑制させることで、皮膚を健康な状態、すなわち、美肌状態にすることができる。また、動物、特に、ペットにおいては、アレルギー等の影響で皮膚状態が悪化することが近年問題となっており、皮膚の保湿、保護をすることで改善され、健康な皮膚状態とすることができる。
【0004】
一方、セラミドは、ヒトの皮膚構成成分の1つで、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善の効果を有する。セラミドを利用した化粧品としては、セラミド、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等のセラミド類とジイソプロピルアミンジクロロアセテートまたは、γ-アミノ酪酸を配合した皮膚化粧料が知られている(特許文献1)。しかし、皮膚に補給したセラミドは、表皮脂質に阻まれて皮膚内に到達吸収できなかったり、セラミド以外の化粧品等の成分により、かぶれ、炎症を引き起こすという問題があった。また、スフィンゴシン、脂肪酸および糖からなるセラミド類を有効成分とする健康食品も知られている(特許文献2)。このスフィンゴシン、脂肪酸および糖からなるセラミド類の原料としては、こんにゃく芋や米、小麦、とうもろこし由来のものが上市されている。しかし、これらのセラミド類の原料は、セラミド類の含有量が僅かであるため、経口摂取による効果を期待するには原料を多量に摂取する必要があり、その価格も高価であるため、決して満足できるものではなかった。
【0005】
牛乳中のリン脂質の約30%を占めるスフィンゴミエリンは、スフィンゴシンと脂肪酸からなるセラミド骨格にホスホコリンが結合した構造を有しており、脳や神経組織に大量に存在することが知られている(非特許文献1)。また、卵黄等の食品中にも僅かに含まれることが知られている。スフィンゴミエリンは、経口摂取した場合、小腸から血管に取り込まれることが報告されている(非特許文献2)。皮膚顆粒層のスフィンゴミエリンは、スフィンゴミエリナーゼの作用により加水分解され角質層のセラミドとして供給されることが知られている(非特許文献3)。またスフィンゴミエリンは、それを含有する原料の摂取量が、セラミド類の原料よりも少量で、より優れた皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示すという報告がある(特許文献3)。しかし、一般にスフィンゴミエリンの純度を高めるには、エタノール等の有機溶剤を使用する必要があり、その安全性に問題がある。また、その経口摂取によって得られる美肌効果についても、必ずしも満足できるものではなかった。したがって、より安全で、より優れた美肌効果を示す素材の開発が望まれている。
【特許文献1】特開平1−22810号公報
【特許文献2】特開平11−113530号公報
【特許文献3】特開平2005−281257号公報
【非特許文献1】原書24版 ハーパー・生化学、162頁、1997年
【非特許文献2】Schmelzら、J. Nutr.、124、702-712頁、1994年
【非特許文献3】内田良一ら、生化学、73巻、4号、269-272頁、2001年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、安全性が高く、経口摂取により優れた皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す美肌剤を提供することを課題とする。また、本発明は、経口摂取により優れた皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す美肌剤を配合した美肌用飲食品又は飼料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、これらの問題点を鑑み、原料の安全性が高く、より優れた皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す成分について、鋭意探索を進めたところ、乳由来リン脂質を経口摂取することにより、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果が得られることを見出し、乳由来リン脂質を有効成分とすることで本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、乳由来リン脂質を有効成分とする美肌剤や、この美肌剤を配合した美肌用飲食品又は飼料を提供することができる。本発明の美肌剤は、有効成分が食品由来でその調製に有機溶剤を使用していないため安全であり、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の優れた美容効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の特徴は、乳由来リン脂質を有効成分とすることにある。本発明に用いることができる乳由来リン脂質としては、ウシやヤギ、ヒツジ、ヒト等の哺乳類の乳から調製したものが挙げられる。また、これらの哺乳類の乳から調製したバターセーラム、バターミルクなどの乳素材から調製したものも挙げられる。実際、牛乳由来の乳由来リン脂質原料としては、乳由来リン脂質の含量が30%以上と高濃度で安価なものが上市されているので、このような原料を用いるとよい。本発明の美肌剤は、上記した乳由来リン脂質をそのまま美肌剤として用いることも可能であるが、乳由来リン脂質の他に糖類や脂質、タンパク質、ビタミン類、ミネラル類、フレーバー等、他の医薬品、飲食品や飼料に通常使用する原材料等を混合して栄養組成物とすることや、さらに常法に従い粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などに製剤化した形態とすることも可能である。また、乳由来リン脂質に加えて、他の美容効果を示す成分、例えば皮膚のコラーゲン産生を促進するコラーゲン、ビタミンCや鉄等とともに使用することも可能である。本発明の美肌剤の有効量としては、後述するヘアレスマウスを用いた動物試験により、マウス体重1kgあたり、乳由来リン脂質を6mg以上、好ましくは15mg以上経口摂取させることにより、皮膚の水分量が増加し、またTEWLが低下することが分かった。したがって、通常、成人一人一日あたり、乳由来リン脂質を6mg以上、好ましくは15mg以上摂取することにより皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果が期待できるので、この必要量を確保できるようにすればよい。
【0010】
また、本発明の美肌用飲食品は、通常の飲食品、例えばヨーグルト、乳飲料、ウエハース、デザート等に本発明の美肌剤を配合すればよい。これらの美肌用飲食品については、成人一人一日あたり、乳由来リン脂質を6mg以上摂取させるためには、飲食品の形態にもよるが飲食品100gあたり乳由来リン脂質が0.5〜2000mgとなるよう美肌剤を配合することが好ましい。また、本発明の美肌用飼料は、通常の飼料、例えば家畜用飼料やペットフード等に本発明の美肌剤を配合すればよい。これらの飼料については、一日あたり、乳由来リン脂質を6mg以上摂取させるためには、飼料100gあたり乳由来リン脂質が0.5〜2000mgとなるよう美肌剤を配合することが好ましい。
【0011】
本発明では、美肌剤を配合する方法に特に制限はないが、例えば、溶液中で添加、配合するには、美肌剤を脱イオン水に懸濁あるいは溶解し、撹拌混合した後、医薬品、飲食品や飼料の形態に調製して使用する。撹拌混合の条件としては、配合する美肌剤が均一に混合されればよく、ウルトラディスパーサーやTKホモミクサー等を使用して撹拌混合することも可能である。また、この乳由来リン脂質の溶液は、医薬品、飲食品や飼料に使用しやすいように、必要に応じて、逆浸透(RO)膜等で濃縮したり、凍結乾燥等により乾燥して使用することもできる。本発明では、医薬品、飲食品や飼料の製造に通常使用される殺菌処理が可能であり、粉末状であっては乾熱殺菌も可能である。従って、本発明の乳由来リン脂質を含有する液状、ゲル状、粉末状、顆粒状等様々な形態の医薬品、飲食品や飼料を製造することができる。
【0012】
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
バターセーラム粉(SM2、Corman社製)の25%溶液を調製し、5N塩酸を添加してpHを4.5に調整した。この溶液を50℃で1時間静置し、カゼインタンパク質を沈殿させた。フィルタープレスを用いてこの沈殿を除去し、得られた水溶液を孔径1.0μmのMF膜(SCT社製)で処理して濃縮液画分を得た。この濃縮液画分を凍結乾燥処理し、乳由来リン脂質含有組成物を得た。この乳由来リン脂質含有組成物は、全固形当たり脂質を53%、リン脂質を31%、タンパク質を24%、糖質を15%、灰分を8%含有していた。また、リン脂質の20%がスフィンゴミエリンであった。
【実施例2】
【0014】
バターミルク粉(雪印乳業社製)の20%溶液を調製し、2N塩酸を添加してpHを4.5に調整した。この溶液を45℃で30分間静置してカゼインタンパク質を沈殿させた。クラリファイヤーを用いてこの沈殿を除去した後、得られた上清を孔径0.1μmのMF膜(SCT社製)で処理し、濃縮液画分を得た。この濃縮液画分を凍結乾燥処理し、乳由来リン脂質含有組成物を得た。この乳由来リン脂質含有組成物は、固形当たり脂質を62%、リン脂質を38%、タンパク質を15%、糖質を18%、灰分を5%含有していた。また、リン脂質の20%がスフィンゴミエリンであった。
[試験例1]
(動物実験)
実施例1、2で得た乳由来リン脂質含有組成物を使用して、乳由来リン脂質の美肌効果について評価した。実験には13週齢のヘアレスマウス(Hos:HR-1)を使用した。生理食塩水をマウス体重1kgあたり10g投与する群(A群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあたり6mg投与する群(B群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあたり15mg投与する群(C群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあたり30mg投与する群(D群)、実施例2の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあたり6mg投与する群(E群)、実施例2の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあたり15mg投与する群(F群)、実施例2の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあたり30mg投与する群(G群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物からスフィンゴミエリンを除いた画分をリン脂質としてマウス体重1kgあたり6mg投与する群(H群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物からスフィンゴミエリンを除いた画分をリン脂質としてマウス体重1kgあたり15mg投与する群(I群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物からスフィンゴミエリンを除いた画分をリン脂質としてマウス体重1kgあたり30mg投与する群(J群)、ポジティブコントロールとしてスフィンゴミエリンをマウス体重1kgあたり3mg投与する群(K群)の11試験群(各群8匹ずつ)にわけた。それぞれを毎日1回ゾンデで経口投与して3週間飼育した。実施例1、2で得た乳由来リン脂質含有組成物や実施例1の乳由来リン脂質組成物からスフィンゴミエリンを除いた画分、スフィンゴミエリンは、それぞれ10gの生理食塩水に懸濁して、それぞれB〜K群に経口投与した。試験開始時と試験終了時に、マウス尾尻部分の皮膚の水分量および水分蒸散量を測定し、試験開始時のそれぞれの値を100としたときの試験終了時の値(増加率)を算出した。皮膚の水分量および水分蒸散量は、それぞれCourage+Khazaka社製のCorneometerおよびTewameterを用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
この結果、3週間投与後の皮膚水分量は、A群では減少したが、B群およびE群では約1.25倍に、C群、F群およびD群、G群では約1.5倍にまで増加した。一方、ポジティブコントロールとしてスフィンゴミエリンを単独で投与したK群の3週間投与後の皮膚水分量は、A群の1.25倍であった。3週間投与後の皮膚水分蒸散量は、A群ではほとんど変化しなかったが、B群およびE群では約0.85倍、C群、F群およびD群、G群では約0.8倍まで低下した。一方、ポジティブコントロールとしてスフィンゴミエリンを単独で投与したK群の3週間投与後の皮膚水分量は、A群の約0.85倍であった。このことから、乳由来リン脂質を経口投与することにより、皮膚の水分量が増加し、皮膚からの水分蒸散量が減少することが明らかになった。また、当該効果は、スフィンゴミエリンを単独で投与した場合に比べ高かった。さらに、乳由来リン脂質を、マウス体重1kgあたり、6mg以上投与することにより、当該効果が認められ、15mg以上投与するとその効果が顕著に認められた。一方、スフィンゴミエリンを除いた乳由来リン脂質を含む乳由来リン脂質含有組成物を投与したH群及びI群、J群においても、皮膚の水分量及び水分蒸散量において改善が認められたが、その効果はスフィンゴミエリンを単独で投与したK群よりも低かった。また、C群及びF群と、I群、K群との比較から、スフィンゴミエリンとスフィンゴミエリン以外のリン脂質をそれぞれ単独で用いるよりも、これらを含有する乳由来リン脂質として用いることにより、より優れた効果を得られることが明らかとなった。
【実施例3】
【0017】
実施例1で得られた乳由来リン脂質含有組成物50gを4950gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6000rpmで30分間撹拌混合して乳由来リン脂質310mg/100gの乳由来リン脂質溶液を得た。この乳由来リン脂質含有組成物溶液4.0kgに、カゼイン5.0kg、大豆タンパク質5.0kg、魚油1.0kg、シソ油3.0kg、デキストリン18.0kg、ミネラル混合物6.0kg、ビタミン混合物1.95kg、乳化剤2.0kg、安定剤4.0kg、香料0.05kgを配合し、200mlのレトルトパウチに充填し、レトルト殺菌機(第1種圧力容器、TYPE:RCS−4CRTGN、日阪製作所社製)で121℃、20分間殺菌して、本発明の美肌剤を配合した美肌用液状栄養組成物50kgを製造した。なお、この美肌用液状栄養組成物には、100gあたり、美肌剤の有効成分である乳由来リン脂質が24.8mg含まれていた。
【実施例4】
【0018】
実施例1で得られた乳由来リン脂質含有組成物10gを700gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA−TURRAX T−25;IKAジャパン社製)にて、9500rpmで30分間撹拌混合した。この溶液に、ソルビトール40g、酸味料2g、香料2g、ペクチン5g、乳清タンパク質濃縮物5g、乳酸カルシウム1g、脱イオン水235gを添加して、撹拌混合した後、200mlのチアパックに充填し、85℃、20分間殺菌後、密栓し、本発明の美肌剤を配合した美肌用ゲル状食品5袋(200g入り)を調製した。このようにして得られた美肌用ゲル状食品は、すべて沈殿等は認められず、風味に異常は感じられなかった。なお、この美肌用ゲル状食品には、100gあたり、美肌剤の有効成分である乳由来リン脂質が310mg含まれていた。
【実施例5】
【0019】
酸味料2gを700gの脱イオン水に溶解した後、実施例2で得られた乳由来リン脂質含有組成物10gを溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA−TURRAX T−25;IKAジャパン社製)にて、9500rpmで30分間撹拌混合した。マルチトール100g、還元水飴20g、香料2g、脱イオン水166gを添加した後、100mlのガラス瓶に充填し、90℃、15分間殺菌後、密栓し、本発明の美肌剤を配合した美肌用飲料10本(100ml入り)を調製した。このようにして得られた美肌用飲料は、すべて沈殿は認められず、風味に異常は感じられなかった。なお、この美肌用飲料には、100gあたり、美肌剤の有効成分である乳由来リン脂質が380mg含まれていた。
【実施例6】
【0020】
実施例2で得られた乳由来リン脂質含有組成物2kgを98kgの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー(MARKII 160型;特殊機化工業社製)にて、3600rpmで40分間撹拌混合して乳由来リン脂質760mg/100gの乳由来リン脂質溶液を得た。この乳由来リン脂質溶液10kgに大豆粕12kg、脱脂粉乳14kg、大豆油4kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル混合物2kgを配合し、120℃、4分間殺菌して、本発明の美肌剤を配合した美肌用イヌ飼育飼料100kgを製造した。なお、この美肌用イヌ飼育飼料には、100gあたり、美肌剤の有効成分である乳由来リン脂質が76mg含まれていた。
【実施例7】
【0021】
表2に示す配合で原料を混合後、常法1gに成型、打錠して本発明の美肌剤を製造した。なお、この美肌剤1g中には、有効成分である乳由来リン脂質が31mg含まれていた。
【0022】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳由来リン脂質を有効成分とする美肌剤。
【請求項2】
乳または乳素材から調製して得られる乳由来リン脂質含有組成物であって、全固形中40〜70重量%の脂質を含有し、かつ、全固形中30重量%以上の乳由来リン脂質を含有する組成物を乳由来リン脂質として使用する請求項1記載の美肌剤。
【請求項3】
乳由来リン脂質含有組成物が、乳または乳素材を孔径0.1〜2.0μmの精密濾過(MF)膜処理または分画分子量5〜500kDaの限外濾過(UF)膜処理をすることにより得られるものである請求項2記載の美肌剤。
【請求項4】
乳由来リン脂質含有組成物が、乳または乳素材に酸を加えてpHを4.0〜5.0に調整し、カゼインタンパク質を沈殿として除去した後、孔径0.1〜2.0μmの精密濾過(MF)膜処理または分画分子量5〜500kDaの限外濾過(UF)膜処理することにより得られるものである請求項2記載の美肌剤。
【請求項5】
乳または乳素材が、バターセーラムまたはバターミルクである請求項2〜4のいずれかに記載の美肌剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の美肌剤を配合した美肌用飲食品。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の美肌剤を配合した美肌用飼料。



【公開番号】特開2008−184428(P2008−184428A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19448(P2007−19448)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000006699)雪印乳業株式会社 (155)
【Fターム(参考)】