義足
【目的】 製作調整のための時間が不要で直ちに利用することができる即応性を有し、軽量で廉価であり、患部に肉体的な負担がかからず、開脚時の安定性に優れ、歩行バランスが取り易く、歩幅ストレスや走行中の違和感の少ない義足の実現を目的とする。
【構成】 障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸1と、この支軸1に設けられ片手で握って体重のバランスを取る支持レバー2と、前記支軸1を使用者の身体に装着し前記支軸にかかる力を分散するフレーム3、ハーネスシート4、腰ベルト5、懸垂ベルト6および連結部7などからなる装着手段とを具備することを特徴とする。
【構成】 障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸1と、この支軸1に設けられ片手で握って体重のバランスを取る支持レバー2と、前記支軸1を使用者の身体に装着し前記支軸にかかる力を分散するフレーム3、ハーネスシート4、腰ベルト5、懸垂ベルト6および連結部7などからなる装着手段とを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義足に関し、特に多くの利用者に汎用に利用することができ、且つ短い歩行訓練期間で利用することができる義足に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の義足は、利用者の障害位置(切断部位)や身長などに合わせて受注生産で作成される場合が殆どであり、そのため、型取りから納品まで約3ヶ月の長時間を要し、高額であるという問題を有していた。さらに、従来の義足は義足上部に設けられているソケットと呼ばれる筒状の部分に切断端(切断部位)を差し込む形式であるため、身長の概ね55〜58%の位置、つまり第一仙椎の前縁部の骨盤の中央部附近にある重心よりも低い位置の作用点で歩行バランスを取る必要があり、バランスが取り難く、また、切断端で体重荷重を支える必要があるため、肉体的負担が大であり、装着後に長期間の歩行訓練を必要としていた。さらに、成長に伴って新しい義足を用意しなくてはならないという問題もあった。また、義足製造担当者には国家資格免許が必要であって、これも、納期や価格の面での障害になっていた。
【0003】
このような問題を解決する手段として、例えば、股下にサドルを設け、ベルトで固定するようなサドル型の義足が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。図26にこのサドル型の義足の使用状況の模式図を示す。
この義足は、固定鞘管に回転自在のスライド管を回転自在に挿通して調節ピンで高さを調節できるようにした支軸11の天端に一輪車に用いるようなサドル12を固定し、支軸下部に締め付けバンド15を設け、さらに、サドル12を上方に牽引するための牽引ベルト16とこの牽引ベルト16を腰部で保持する腰ベルト17を設けたものである。
この方式では、患部(切断部)へ力がかからないため、患部の肉体的な負担はなく、リハビリも不要である。また、既製品を調節して用いることができるので、左右どちらにも対応でき、身長調整も容易であり、製作調整の期間は不要で、即応性があり、さらに廉価(従来の1/8程度)で提供することができるという長所がある。
しかし、このサドル型の義足は、重心よりも低い位置でバランスを取らねばならないので、開脚時には安定性が少なく、利用者が意図する歩幅に比べて実際の歩幅が小さくなり、歩行に違和感があるなどの問題があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−34717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の義足の問題を解決するために、発明者は先に、支軸と装着手段と体重支持手段と固定手段を設けた即応性、汎用性のある既製の義足を提案した。本発明は、この提案をさらに改良して、体重の分散とバランス面で一層の安定を図った既製の義足を提案する。
本発明は、比較的簡単な方法で従来の義足の問題を解決して、製作調整のための時間が不要で直ちに利用することができる即応性を有し、軽量で廉価であり、患部に肉体的な負担がかからず、開脚時の安定性に優れ、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、歩幅ストレスや走行中の違和感の少ない義足の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の義足は、 障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、この支軸に設けられ片手で握ることでこの支軸にかかる体重を分散し歩行バランスを取る支持レバーと、前記支軸を使用者の身体の一部に装着し、前記支軸にかかる力を分散する装着手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、腰部に固定され支軸にかかる力を逃す腰帯手段と、この腰帯手段と前記支軸を繋ぐ接続手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、障害のある側の大腿部にあるいは両方の大腿部のそれぞれに巻きつけて前記支軸を固定するように構成された巻装固定手段を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、前記支軸に固着され前記支軸にかかる力を身体の広い範囲に分散する緩衝手段を有することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、両脚の大腿部の根元に着く二つの輪状部分を具備する輪状固定手段を有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の義足において、前記輪状固定手段の輪状部分の一方を大腿部に巻きつけるように構成された巻装固定手段で置き換えたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、前記支軸の上部に腰掛可能に設けられた腰掛部を有することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の請求項8に記載の発明は、前記装着手段は、請求項2に記載の義足において、前記腰帯手段と装着手段の他の部分を繋ぐ懸垂手段を有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに1項に記載の義足において、 前記支軸は下方が身体の内側に向けて湾曲あるいは屈曲され、前記支軸先端の地面に接する部分が身体の重心の下に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の義足において、前記支軸は膝位置での屈曲を可能にする膝継手手段を有することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の義足において、前記支軸は腰位置での屈曲を可能にする腰継手手段を有することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の義足において、前記支軸はその長さを調整可能な長さ調整手段を有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の義足において、前記支持レバーは前記支軸に添って畳み込み可能に構成されていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の請求項14に記載の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の義足において、前記支持レバーは前記支軸に対して任意の角度で固定可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の請求項15に記載の発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の義足において、前記支持レバーは前記支軸に沿って高さ位置調節可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる義足は、以上のように、障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、この支軸に設けられ片手で握って体重を分散して歩行バランスを取る支持レバーと、支軸を使用者の身体に装着する装着手段とで構成した。これによって、
1)重心よりも高い位置に作用点が設定されるため、歩行バランスが極めてよく、短い歩行訓練期間で使用することができる。
2)汎用性があり、製造に際して専門家による型取りなどを必要とせず、製造に国家資格が不要なので、事前の量産が可能で廉価に製造することができる。
3)患部以外で体重を支持するため患部に負担がかからず、患部である切断端が痛んだり、炎症を起こすことがない。
4)体の成長に応じて使用者自身で長さなどの調整が可能であり、従来のもののように、数年毎に作り変える必要がない。
などの利点が生まれる。また、装着手段を利用者の患部の状態や使用条件によって選べる複数の方法を選択できるようにしているので、利用者に適した義足を実現することができる。
さらに、膝や腰での屈曲部と長さを調整する伸縮部を設けたので、着席時に邪魔にならず、身長に対する対応も容易である。さらに構造が簡単で大腿部の外側に装着できるので、開脚時の安定性に優れ、歩幅ストレスや走行中の違和感が少ないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図面を参照にして詳細に説明する。
【0022】
図1に人体における身長に対する体重の分布状況と、従来の義足及び本発明の義足の概略構成を示した説明図である。図1において、符号1は支軸、符合1aは膝関節器、符号1dは足部、符号2は支持レバー、符号3はフレーム、符号5は腰ベルト、符号8は腰金具、符合18はソケット、符合19は膝継手、符合20は足部である。
人体の重心Aは、身長の概ね55〜58%の位置、つまり第一仙椎の前縁部の骨盤の中央部附近にあり、図1(a)に示す従来の義足ではこの重心よりも低い位置にある作用点で歩行バランスを取っていた。このために、バランスが取り難く、装着後に長期間の歩行訓練を必要としていた。また、ソケット18内の切断端で体重荷重を支える必要があるため、肉体的負担が大きいと言う問題を有していた。
これに対し、詳細を後述する図1(b)に示す本発明の義足では、作用点が身長の63%前後の高さにあたる腰ベルト5の位置Bにあり、さらに、手で支持レバー2を握った場合には作用点が肩位置Cに移るので、体重が一部にかからず広く分散され、バランスが容易にとれるという利点がある。
【0023】
図2に、本発明の義足の一実施の形態の使用状況の模式図を示す。この方式は、体重を支えるために、支持レバーのほかに大腿部に巻いたハーネスシート(請求項3の巻装固定手段にあたる。)とそれを支持する懸垂ベルト(請求項8の懸垂手段にあたる。)とを用いた例である。図2では、下腿切断の利用者に用いた場合を示しているが、サイム切断、大腿切断の利用者にも用いることができる。図2において、符号1は支軸、符合1aは膝関節器(請求項10の膝継手手段にあたる。)、符号1bは調節管(請求項12の調整手段を構成する。)、符号1cはスライド管(請求項12の調整手段を構成する。)、符号1dは足部、符号1eは股関節器(請求項11の腰継手手段にあたる。)、符号2は支持レバー、符号3はフレーム(請求項4の緩衝手段にあたる。)、符号4はハーネスシート、符号5は腰ベルト(請求項2の腰帯手段にあたる。)、符号6は懸垂ベルト、符号7は連結部(請求項2の接続手段にあたる。)、符号8は腰金具である。
【0024】
支軸1はアルミ合金などの金属からなる中空パイプで構成され、調節管1bにスライド管1cを回転自在に挿通して調節ピンで高さを調節できるようになっており、歩行時に利用者の体重を支える強度を有している。支軸1がこのように構成されているので、支軸1の全長を利用者の身長に合わせて自由に調節することができ、また、左右の足のどちらにも対応することができる。
【0025】
膝関節器1aは歩行時に支軸1をまっすぐに固定すると共に、休息時などにおいてはこの部分で蝶番状に折り曲げることが可能なような構成になっている。股関節器1eも歩行時には支軸1と連結部7とをまっすぐに固定し、休息時などにおいてはこの位置でも折り曲げることが可能なような構成になっている。膝関節器1aは市販されている膝継手を取り付けて使用することができる。
図3は、着席時の義足の使用状態の側面図である。図のAで股関節器1eを、図のBで膝関節器1aを折り曲げることで、支軸1の足部1dを膝下に位置させることができ、場所を取らず楽に坐ることができる。なお、図のCは支軸1の調節管1bにスライド管1cを挿通して高さを調節できる様子を示している。
【0026】
支軸1の足部1dはゴムやプラスチックなどの比較的弾力のあるあたりの柔らかな素材で構成され、支軸1の地面と接する部分を構成する。足部1dは支軸1に対して交換可能に構成されていて、義足の部材として一般に市販されているものを支軸1に取り付けて用いることができ、スポーツ用のもの、衝撃吸収用のもの、滑り摩擦を大きくしたものなど目的に応じて取り替えて用いることも可能である。図4に示すように、支軸1に対して足部1dは任意な角度に曲げることができ、歩行に楽な構成になっている。
【0027】
図5(a)に示すように、連結部7は腰金具8によって腰ベルト5に連結されており、歩行時には、図5(b)に示すように、腰金具8を軸に連結部7、股関節器1eおよび支軸1が一連の構成で前後に揺動するようになっている。これにより、支軸1にかかる圧力は腰ベルト5に分散されると共に、支軸1は大腿部の外側に装着されて歩行時に大腿部に沿って動く。従って、支軸1の天端や連結部7、支持レバー2などが歩行の邪魔になることがなく、歩行時、静止立脚時の安定性が高い。連結部7は強化プラスチックまたは金属から構成されており、充分な強度を有すると共にショックを吸収する弾性を有している。
腰金具8は腰ベルト5に対して着脱可能に取り付けることができる。図6(a)に示すように、連結部7は腰金具8に対してその長さl、l´を調整することができるように、また、図6(b)に示すように、腰金具8に対してその取付角度θ、θ´を調整することができるように構成されている。
【0028】
図7(a)、(b)や図8(a)、(b)に示すように、フレーム3はハーネスシート4と一体に構成された支持具であって、支軸1に対してハーネスシート4と共に上下に移動可能なように取り付けられており、支軸1を体側に密着するように働くと共に、支軸1の体側に対する当たりを和らげるように作用する。フレーム3はハーネスシート4側にクッションや緩衝材を設けても良い。図8(a)、(b)に示すように、フレーム3は膝関節器1aと股関節器1eの間の体側側で支軸1に取り付けられる。あるいは、図8(c)に示すように、フレーム3を股関節器1eや膝関節器1aと一体に構成しても良い。
【0029】
ハーネスシート4は、大腿部に巻きつけることで、フレーム3および支軸1を体側に沿わせる。ハーネスシート4は、図9(a)に示すような片脚に巻きつけるものでも、図9(b)に示すような両脚に巻きつけるものでも良い。また、簡易型として図9(c)に示すように、股部分に鋏み込む袋状ハーネス4bに懸垂ベルト6a、6bを通したものをハーネスシート4の代わりに用いても良い。
【0030】
ハーネスシート4は丈夫で汗を吸収し易い帆布などの繊維や皮革で形成し、図10(a)に示すようにベルトや、あるいは図10(b)に示すように面ファスナーなどで締める構成とする。図10(c)に面ファスナー型のハーネスシート4の全体形状を示した。
【0031】
ハーネスシート4には、懸垂ベルト6が取り付けられていて、この懸垂ベルト6の他の端は連結部7、腰金具8あるいは腰ベルト5に接続されている。これにより、支軸1に係る圧力をハーネスシート4から大腿部や、腰ベルト5を介して腰部分に分散することができる。懸垂ベルト6は連結部7と同様、強化プラスチックや合成繊維あるいは皮革などで形成する。懸垂ベルト6のハーネスシート4への固定は、縫製やはと目などによって行うこともできるが、強力マジックテープ(登録商標)を用いてハーネスシート4上の任意の場所を選んで取り付けることも可能である。図11に懸垂ベルト6の末端部の形状のデザイン例を示す。懸垂ベルト6の末端部は、形は特に決まったものではないが、大腿部や臀部に密着し易い形状にして、荷重を分散し部分的に力が加わることを避けるようにする。
【0032】
腰ベルト5は腰金具8を介して懸垂ベルト6や連結部7からの圧力を腰部分で受けて分散する役割を果たしている。腰部分にベルトをするのは、比較的自然で利用者も慣れているため、この部分に力が加わっても肉体的な負担は少ない。腰ベルト5のベルトは皮革または繊維などから作られる。
【0033】
支持レバー2は、図12(a)に示すように、支軸1に、膝関節器1aと股関節器1eの間で取り付けられている。その位置は図12(b)に示すように、利用者の腕の長さに応じて上下に調整できるようになっている。また、図13(a)に示す上方から見た図のように支軸1に対して水平な面内で前後に回転移動させて、その位置で固定可能な構成となっている。あるいは、水平面とは限らず、支軸1に対して任意な角度で固定できるように構成しても良い。さらに、図13(b)に示すように、支軸1に添って折畳み可能に構成し、支持レバー2を用いないときには畳んで邪魔にならないようにすることもできる。また、図13(c)に示すように、支持レバー2を股関節器1eと一体に構成し、高さの調節は支軸1の全長及び連結部7の長さの調節によって行っても良い。
支持レバー2は、上述の図面では体側に張り出したまっすぐな棒として表している。しかし、図14に示すように、体側に張り出した真っ直ぐな棒(a)、体側で前方に張り出した真っ直ぐな棒(b)、前方に直角に屈曲した棒(c)、T字形に構成された棒(d)など手で握って支持し易い種々の変形デザインを採ることも可能である。
【0034】
本実施の形態は以上のように構成したので、既製品として汎用性が高く、廉価に製造でき、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、患部に肉体的な負担がかからない義足を提供することができる。
【0035】
図15に、本発明の他の実施の形態の使用状況の模式図を示す。この方式は、体重を支えるために、支持レバーのほかに両脚の大腿部にはかす輪状ハーネスとそれを支持する懸垂ベルトとを用いた例である。図15では、下腿切断の利用者に用いた場合を示しているが、サイム切断、大腿切断の利用者にも同様に用いることができる。図15において、符号1は支軸、符号2は支持レバー、符号3はフレーム、符号4はハーネスシート、符号4aは固定ベルト、符号5は腰ベルト、符号6は懸垂ベルト、符号8は腰金具、符号9は輪状ハーネス(請求項5の輪状固定手段にあたる。)である。
【0036】
この実施の形態では、支軸1、支持レバー2、フレーム3、腰ベルト5及び腰金具8などは、図2の実施の形態で示したものと同様なものを用いることができる。この実施の形態が、図2のそれと異なる点は、ハーネスシート4は支軸1を体側に近づける役割だけを果たし、支軸1にかかる圧力は主として腰ベルト5と腰金具8と連結部7および輪状ハーネス9に分散される点である。従って、圧力は体の両側に分散され、障害のある側の負担が特に大きくなることはない。
【0037】
図15では懸垂ベルト6が何れも腰金具8側に接続されているが、輪状ハーネス9の両輪の部分から夫々腰ベルト5に向けて懸垂ベルト6を繋ぐようにしても良い。図16は輪状ハーネス9と懸垂ベルト6との関係をより分かり易くするために抽出して示した図であり、懸垂ベルト6が腰金具8側に接続されている。
【0038】
図17、図18及び図19に、懸垂ベルト6で輪状ハーネス9を懸垂する場合の輪状ハーネス9と懸垂ベルト6と腰ベルト5の接続の具体例を示す。図17が前から見た図、図18が後から見た図であり、図19には懸垂ベルト6の先端が二股に分かれている例を示している。
なお、図15では両脚の大腿部に輪状ハーネス9をはかすようにしたが、図20に示すように一方の脚(切断側の脚)は輪状ハーネス9に代えてハーネスシート4で置き換えても良い。
【0039】
この実施の形態も、以上のように構成したので図2に示した実施の形態と同じように、汎用性が高く、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、患部に肉体的な負担がかからない義足を廉価に提供することができる。
【0040】
図21に、本発明のさらに他の実施の形態の使用状況の模式図を示す。この方式は、体重を支えるために、支持レバーのほかにサドル式の腰掛器を用いた例である。図21は、左足が付け根から欠損している利用者に用いた場合を示している。図21において、符号1は支軸、符合1gは調節器、符合1fは水平管、符号2は支持レバー、符号4はハーネスシート、符号5は腰ベルト、符号6は懸垂ベルト、符号8は腰金具、符号10はサドル(請求項7の腰掛部にあたる。)、符合10aはサドル固定ベルト、符合10bはサドル補助板である。
【0041】
図21に示すこの実施の形態では、体重荷重を支えるのに自転車や一輪車などに用いられるサドル(腰掛台)10を体重維持に用いている。さらに障害のある大腿部の付け根部分をハーネスシート4によって包んで懸垂ベルト6による懸垂を併用している。
この形式では、調節器1gは水平管1fの長さを調整することで股間のサドル10と支軸1および支持レバー2の位置を変え、立脚時のバランスを取り易くしている。さらに、股間に設けたサドル10を支軸1と一体化させることで、利用者の立脚時の肉体的な負担を軽減することができる。
【0042】
この実施の形態によれば、汎用性が高く、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、立脚時に足にかかる負担を少なくすることができ、患部に肉体的な負担がかからない義足を廉価に提供することができる。
【0043】
ところで、歩行中は人間は身体の重心Aと足部1dの中心軸を垂直線上で合わせようとする。このため、図22に示すように、義足には身体の外側に向けて膨らむ力Xが働く。この力Xに対して義足を内側に引き寄せるように設けられるベルトの例を図23に示す。このようにベルトで支軸1を腰ベルト(a)や股部(b)、あるいは反対側の腰(c)に引き寄せることで重心を足部上に合わせやすくし歩行を容易にすることができる。
また、予め支軸1を屈曲あるいは湾曲させておいて、身体の重心を足部1dの中心軸の垂直線上に位置させることもできる。図24及び図25に支軸を1屈曲させた例を示す。図24は、膝関節器1aよりも上の部分で屈曲させた例であり、図25は、膝関節器1aよりも下の部分で屈曲させた例である。このようにすることによって、緊張感なく歩行バランスを取ることができ、楽に歩行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の義足は、以上のように構成したので、障害部位や利用者の身長などに関係なく、既製品として作成しておいて調整して汎用に利用することができる。従って、世界中のどのような場所のどのような人間に対しても広く利用が可能である。さらに即応性があるため、患部に支障のある場合やオーダーメイドの義足が出来上がるまでの仮使用などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】人体における身長に対する体重の分布状況と、従来の義足及び本発明の義足の概略構成を示した説明図である。
【図2】本発明の義足の一実施の形態の使用状況の模式図である。
【図3】本実施の形態の義足の着席時の使用状態の側面図である。
【図4】本実施の形態の義足の支軸と足部との屈曲状態を示す説明図である。
【図5】本実施の形態の義足の連結部、腰金具、腰ベルトおよび支軸の接続関係を示す説明図である。
【図6】本実施の形態の義足の連結部の調整状況を示す説明図である。
【図7】本実施の形態の義足の支軸とフレームとハーネスシートの位置関係を示す説明図である。
【図8】本実施の形態の義足のフレーム及びハーネスシートの支軸への取付状況を示す説明図である。
【図9】本実施の形態の義足のハーネスシートなどの取付状況を示す説明図である。
【図10】本実施の形態の義足のハーネスシートの構成を示す図である。
【図11】本実施の形態の義足の懸垂ベルトの末端部の形状を示す図である。
【図12】本実施の形態の義足の支持レバーの取り付け位置とその調整方法を示す説明図である。
【図13】本実施の形態の義足の支持レバーの取り付け角度などを示す説明図である。
【図14】本実施の形態の義足の支持レバーに関するいくつかの変形を示す説明図である。
【図15】本発明の義足の他の実施の形態の使用状況の模式図である。
【図16】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトとの接続を示す図である。
【図17】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトと腰ベルトの接続の具体例を前方から見た図である。
【図18】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトと腰ベルトの接続の具体例を後方から見た図である。
【図19】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトと腰ベルトの接続の具体例で懸垂ベルトの先端が二股に分かれた場合を示す図である。
【図20】本実施の形態の義足の輪状ハーネスとハーネスシートを用いたさらに他の実施の形態の使用状況の模式図である。
【図21】本発明の義足のさらに他の実施の形態の使用状況の模式図である。
【図22】義足の横方向に働く力の説明図である。
【図23】本発明の義足に用いられる横方向に働く力に抗するベルトの例を挙げた説明図である。
【図24】本発明の義足の支軸を屈曲した例の説明図である。
【図25】本発明の義足の支軸を屈曲した例の説明図である。
【図26】従来のサドル型義足の使用状況の模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 支軸
1a 膝関節器
1b 調節管
1c スライド管
1d 足部
1e 股関節器
1g 調節器
1f 水平管
2 支持レバー
3 フレーム
4 ハーネスシート
4a 固定ベルト
4b 袋状ハーネス
5 腰ベルト
6、6a、6b 懸垂ベルト
7 連結部
8 腰金具
9 輪状ハーネス
10 サドル
10a サドル固定ベルト
10b サドル補助板
11 支軸
12 サドル
15 締め付けバンド
16 牽引ベルト
17 腰ベルト
18 ソケット
19 膝継手
20 足部
【技術分野】
【0001】
本発明は、義足に関し、特に多くの利用者に汎用に利用することができ、且つ短い歩行訓練期間で利用することができる義足に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の義足は、利用者の障害位置(切断部位)や身長などに合わせて受注生産で作成される場合が殆どであり、そのため、型取りから納品まで約3ヶ月の長時間を要し、高額であるという問題を有していた。さらに、従来の義足は義足上部に設けられているソケットと呼ばれる筒状の部分に切断端(切断部位)を差し込む形式であるため、身長の概ね55〜58%の位置、つまり第一仙椎の前縁部の骨盤の中央部附近にある重心よりも低い位置の作用点で歩行バランスを取る必要があり、バランスが取り難く、また、切断端で体重荷重を支える必要があるため、肉体的負担が大であり、装着後に長期間の歩行訓練を必要としていた。さらに、成長に伴って新しい義足を用意しなくてはならないという問題もあった。また、義足製造担当者には国家資格免許が必要であって、これも、納期や価格の面での障害になっていた。
【0003】
このような問題を解決する手段として、例えば、股下にサドルを設け、ベルトで固定するようなサドル型の義足が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。図26にこのサドル型の義足の使用状況の模式図を示す。
この義足は、固定鞘管に回転自在のスライド管を回転自在に挿通して調節ピンで高さを調節できるようにした支軸11の天端に一輪車に用いるようなサドル12を固定し、支軸下部に締め付けバンド15を設け、さらに、サドル12を上方に牽引するための牽引ベルト16とこの牽引ベルト16を腰部で保持する腰ベルト17を設けたものである。
この方式では、患部(切断部)へ力がかからないため、患部の肉体的な負担はなく、リハビリも不要である。また、既製品を調節して用いることができるので、左右どちらにも対応でき、身長調整も容易であり、製作調整の期間は不要で、即応性があり、さらに廉価(従来の1/8程度)で提供することができるという長所がある。
しかし、このサドル型の義足は、重心よりも低い位置でバランスを取らねばならないので、開脚時には安定性が少なく、利用者が意図する歩幅に比べて実際の歩幅が小さくなり、歩行に違和感があるなどの問題があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−34717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の義足の問題を解決するために、発明者は先に、支軸と装着手段と体重支持手段と固定手段を設けた即応性、汎用性のある既製の義足を提案した。本発明は、この提案をさらに改良して、体重の分散とバランス面で一層の安定を図った既製の義足を提案する。
本発明は、比較的簡単な方法で従来の義足の問題を解決して、製作調整のための時間が不要で直ちに利用することができる即応性を有し、軽量で廉価であり、患部に肉体的な負担がかからず、開脚時の安定性に優れ、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、歩幅ストレスや走行中の違和感の少ない義足の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の義足は、 障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、この支軸に設けられ片手で握ることでこの支軸にかかる体重を分散し歩行バランスを取る支持レバーと、前記支軸を使用者の身体の一部に装着し、前記支軸にかかる力を分散する装着手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、腰部に固定され支軸にかかる力を逃す腰帯手段と、この腰帯手段と前記支軸を繋ぐ接続手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、障害のある側の大腿部にあるいは両方の大腿部のそれぞれに巻きつけて前記支軸を固定するように構成された巻装固定手段を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、前記支軸に固着され前記支軸にかかる力を身体の広い範囲に分散する緩衝手段を有することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、両脚の大腿部の根元に着く二つの輪状部分を具備する輪状固定手段を有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の義足において、前記輪状固定手段の輪状部分の一方を大腿部に巻きつけるように構成された巻装固定手段で置き換えたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の義足において、前記装着手段は、前記支軸の上部に腰掛可能に設けられた腰掛部を有することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の請求項8に記載の発明は、前記装着手段は、請求項2に記載の義足において、前記腰帯手段と装着手段の他の部分を繋ぐ懸垂手段を有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに1項に記載の義足において、 前記支軸は下方が身体の内側に向けて湾曲あるいは屈曲され、前記支軸先端の地面に接する部分が身体の重心の下に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の義足において、前記支軸は膝位置での屈曲を可能にする膝継手手段を有することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の義足において、前記支軸は腰位置での屈曲を可能にする腰継手手段を有することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の義足において、前記支軸はその長さを調整可能な長さ調整手段を有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の義足において、前記支持レバーは前記支軸に添って畳み込み可能に構成されていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の請求項14に記載の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の義足において、前記支持レバーは前記支軸に対して任意の角度で固定可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の請求項15に記載の発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の義足において、前記支持レバーは前記支軸に沿って高さ位置調節可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる義足は、以上のように、障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、この支軸に設けられ片手で握って体重を分散して歩行バランスを取る支持レバーと、支軸を使用者の身体に装着する装着手段とで構成した。これによって、
1)重心よりも高い位置に作用点が設定されるため、歩行バランスが極めてよく、短い歩行訓練期間で使用することができる。
2)汎用性があり、製造に際して専門家による型取りなどを必要とせず、製造に国家資格が不要なので、事前の量産が可能で廉価に製造することができる。
3)患部以外で体重を支持するため患部に負担がかからず、患部である切断端が痛んだり、炎症を起こすことがない。
4)体の成長に応じて使用者自身で長さなどの調整が可能であり、従来のもののように、数年毎に作り変える必要がない。
などの利点が生まれる。また、装着手段を利用者の患部の状態や使用条件によって選べる複数の方法を選択できるようにしているので、利用者に適した義足を実現することができる。
さらに、膝や腰での屈曲部と長さを調整する伸縮部を設けたので、着席時に邪魔にならず、身長に対する対応も容易である。さらに構造が簡単で大腿部の外側に装着できるので、開脚時の安定性に優れ、歩幅ストレスや走行中の違和感が少ないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図面を参照にして詳細に説明する。
【0022】
図1に人体における身長に対する体重の分布状況と、従来の義足及び本発明の義足の概略構成を示した説明図である。図1において、符号1は支軸、符合1aは膝関節器、符号1dは足部、符号2は支持レバー、符号3はフレーム、符号5は腰ベルト、符号8は腰金具、符合18はソケット、符合19は膝継手、符合20は足部である。
人体の重心Aは、身長の概ね55〜58%の位置、つまり第一仙椎の前縁部の骨盤の中央部附近にあり、図1(a)に示す従来の義足ではこの重心よりも低い位置にある作用点で歩行バランスを取っていた。このために、バランスが取り難く、装着後に長期間の歩行訓練を必要としていた。また、ソケット18内の切断端で体重荷重を支える必要があるため、肉体的負担が大きいと言う問題を有していた。
これに対し、詳細を後述する図1(b)に示す本発明の義足では、作用点が身長の63%前後の高さにあたる腰ベルト5の位置Bにあり、さらに、手で支持レバー2を握った場合には作用点が肩位置Cに移るので、体重が一部にかからず広く分散され、バランスが容易にとれるという利点がある。
【0023】
図2に、本発明の義足の一実施の形態の使用状況の模式図を示す。この方式は、体重を支えるために、支持レバーのほかに大腿部に巻いたハーネスシート(請求項3の巻装固定手段にあたる。)とそれを支持する懸垂ベルト(請求項8の懸垂手段にあたる。)とを用いた例である。図2では、下腿切断の利用者に用いた場合を示しているが、サイム切断、大腿切断の利用者にも用いることができる。図2において、符号1は支軸、符合1aは膝関節器(請求項10の膝継手手段にあたる。)、符号1bは調節管(請求項12の調整手段を構成する。)、符号1cはスライド管(請求項12の調整手段を構成する。)、符号1dは足部、符号1eは股関節器(請求項11の腰継手手段にあたる。)、符号2は支持レバー、符号3はフレーム(請求項4の緩衝手段にあたる。)、符号4はハーネスシート、符号5は腰ベルト(請求項2の腰帯手段にあたる。)、符号6は懸垂ベルト、符号7は連結部(請求項2の接続手段にあたる。)、符号8は腰金具である。
【0024】
支軸1はアルミ合金などの金属からなる中空パイプで構成され、調節管1bにスライド管1cを回転自在に挿通して調節ピンで高さを調節できるようになっており、歩行時に利用者の体重を支える強度を有している。支軸1がこのように構成されているので、支軸1の全長を利用者の身長に合わせて自由に調節することができ、また、左右の足のどちらにも対応することができる。
【0025】
膝関節器1aは歩行時に支軸1をまっすぐに固定すると共に、休息時などにおいてはこの部分で蝶番状に折り曲げることが可能なような構成になっている。股関節器1eも歩行時には支軸1と連結部7とをまっすぐに固定し、休息時などにおいてはこの位置でも折り曲げることが可能なような構成になっている。膝関節器1aは市販されている膝継手を取り付けて使用することができる。
図3は、着席時の義足の使用状態の側面図である。図のAで股関節器1eを、図のBで膝関節器1aを折り曲げることで、支軸1の足部1dを膝下に位置させることができ、場所を取らず楽に坐ることができる。なお、図のCは支軸1の調節管1bにスライド管1cを挿通して高さを調節できる様子を示している。
【0026】
支軸1の足部1dはゴムやプラスチックなどの比較的弾力のあるあたりの柔らかな素材で構成され、支軸1の地面と接する部分を構成する。足部1dは支軸1に対して交換可能に構成されていて、義足の部材として一般に市販されているものを支軸1に取り付けて用いることができ、スポーツ用のもの、衝撃吸収用のもの、滑り摩擦を大きくしたものなど目的に応じて取り替えて用いることも可能である。図4に示すように、支軸1に対して足部1dは任意な角度に曲げることができ、歩行に楽な構成になっている。
【0027】
図5(a)に示すように、連結部7は腰金具8によって腰ベルト5に連結されており、歩行時には、図5(b)に示すように、腰金具8を軸に連結部7、股関節器1eおよび支軸1が一連の構成で前後に揺動するようになっている。これにより、支軸1にかかる圧力は腰ベルト5に分散されると共に、支軸1は大腿部の外側に装着されて歩行時に大腿部に沿って動く。従って、支軸1の天端や連結部7、支持レバー2などが歩行の邪魔になることがなく、歩行時、静止立脚時の安定性が高い。連結部7は強化プラスチックまたは金属から構成されており、充分な強度を有すると共にショックを吸収する弾性を有している。
腰金具8は腰ベルト5に対して着脱可能に取り付けることができる。図6(a)に示すように、連結部7は腰金具8に対してその長さl、l´を調整することができるように、また、図6(b)に示すように、腰金具8に対してその取付角度θ、θ´を調整することができるように構成されている。
【0028】
図7(a)、(b)や図8(a)、(b)に示すように、フレーム3はハーネスシート4と一体に構成された支持具であって、支軸1に対してハーネスシート4と共に上下に移動可能なように取り付けられており、支軸1を体側に密着するように働くと共に、支軸1の体側に対する当たりを和らげるように作用する。フレーム3はハーネスシート4側にクッションや緩衝材を設けても良い。図8(a)、(b)に示すように、フレーム3は膝関節器1aと股関節器1eの間の体側側で支軸1に取り付けられる。あるいは、図8(c)に示すように、フレーム3を股関節器1eや膝関節器1aと一体に構成しても良い。
【0029】
ハーネスシート4は、大腿部に巻きつけることで、フレーム3および支軸1を体側に沿わせる。ハーネスシート4は、図9(a)に示すような片脚に巻きつけるものでも、図9(b)に示すような両脚に巻きつけるものでも良い。また、簡易型として図9(c)に示すように、股部分に鋏み込む袋状ハーネス4bに懸垂ベルト6a、6bを通したものをハーネスシート4の代わりに用いても良い。
【0030】
ハーネスシート4は丈夫で汗を吸収し易い帆布などの繊維や皮革で形成し、図10(a)に示すようにベルトや、あるいは図10(b)に示すように面ファスナーなどで締める構成とする。図10(c)に面ファスナー型のハーネスシート4の全体形状を示した。
【0031】
ハーネスシート4には、懸垂ベルト6が取り付けられていて、この懸垂ベルト6の他の端は連結部7、腰金具8あるいは腰ベルト5に接続されている。これにより、支軸1に係る圧力をハーネスシート4から大腿部や、腰ベルト5を介して腰部分に分散することができる。懸垂ベルト6は連結部7と同様、強化プラスチックや合成繊維あるいは皮革などで形成する。懸垂ベルト6のハーネスシート4への固定は、縫製やはと目などによって行うこともできるが、強力マジックテープ(登録商標)を用いてハーネスシート4上の任意の場所を選んで取り付けることも可能である。図11に懸垂ベルト6の末端部の形状のデザイン例を示す。懸垂ベルト6の末端部は、形は特に決まったものではないが、大腿部や臀部に密着し易い形状にして、荷重を分散し部分的に力が加わることを避けるようにする。
【0032】
腰ベルト5は腰金具8を介して懸垂ベルト6や連結部7からの圧力を腰部分で受けて分散する役割を果たしている。腰部分にベルトをするのは、比較的自然で利用者も慣れているため、この部分に力が加わっても肉体的な負担は少ない。腰ベルト5のベルトは皮革または繊維などから作られる。
【0033】
支持レバー2は、図12(a)に示すように、支軸1に、膝関節器1aと股関節器1eの間で取り付けられている。その位置は図12(b)に示すように、利用者の腕の長さに応じて上下に調整できるようになっている。また、図13(a)に示す上方から見た図のように支軸1に対して水平な面内で前後に回転移動させて、その位置で固定可能な構成となっている。あるいは、水平面とは限らず、支軸1に対して任意な角度で固定できるように構成しても良い。さらに、図13(b)に示すように、支軸1に添って折畳み可能に構成し、支持レバー2を用いないときには畳んで邪魔にならないようにすることもできる。また、図13(c)に示すように、支持レバー2を股関節器1eと一体に構成し、高さの調節は支軸1の全長及び連結部7の長さの調節によって行っても良い。
支持レバー2は、上述の図面では体側に張り出したまっすぐな棒として表している。しかし、図14に示すように、体側に張り出した真っ直ぐな棒(a)、体側で前方に張り出した真っ直ぐな棒(b)、前方に直角に屈曲した棒(c)、T字形に構成された棒(d)など手で握って支持し易い種々の変形デザインを採ることも可能である。
【0034】
本実施の形態は以上のように構成したので、既製品として汎用性が高く、廉価に製造でき、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、患部に肉体的な負担がかからない義足を提供することができる。
【0035】
図15に、本発明の他の実施の形態の使用状況の模式図を示す。この方式は、体重を支えるために、支持レバーのほかに両脚の大腿部にはかす輪状ハーネスとそれを支持する懸垂ベルトとを用いた例である。図15では、下腿切断の利用者に用いた場合を示しているが、サイム切断、大腿切断の利用者にも同様に用いることができる。図15において、符号1は支軸、符号2は支持レバー、符号3はフレーム、符号4はハーネスシート、符号4aは固定ベルト、符号5は腰ベルト、符号6は懸垂ベルト、符号8は腰金具、符号9は輪状ハーネス(請求項5の輪状固定手段にあたる。)である。
【0036】
この実施の形態では、支軸1、支持レバー2、フレーム3、腰ベルト5及び腰金具8などは、図2の実施の形態で示したものと同様なものを用いることができる。この実施の形態が、図2のそれと異なる点は、ハーネスシート4は支軸1を体側に近づける役割だけを果たし、支軸1にかかる圧力は主として腰ベルト5と腰金具8と連結部7および輪状ハーネス9に分散される点である。従って、圧力は体の両側に分散され、障害のある側の負担が特に大きくなることはない。
【0037】
図15では懸垂ベルト6が何れも腰金具8側に接続されているが、輪状ハーネス9の両輪の部分から夫々腰ベルト5に向けて懸垂ベルト6を繋ぐようにしても良い。図16は輪状ハーネス9と懸垂ベルト6との関係をより分かり易くするために抽出して示した図であり、懸垂ベルト6が腰金具8側に接続されている。
【0038】
図17、図18及び図19に、懸垂ベルト6で輪状ハーネス9を懸垂する場合の輪状ハーネス9と懸垂ベルト6と腰ベルト5の接続の具体例を示す。図17が前から見た図、図18が後から見た図であり、図19には懸垂ベルト6の先端が二股に分かれている例を示している。
なお、図15では両脚の大腿部に輪状ハーネス9をはかすようにしたが、図20に示すように一方の脚(切断側の脚)は輪状ハーネス9に代えてハーネスシート4で置き換えても良い。
【0039】
この実施の形態も、以上のように構成したので図2に示した実施の形態と同じように、汎用性が高く、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、患部に肉体的な負担がかからない義足を廉価に提供することができる。
【0040】
図21に、本発明のさらに他の実施の形態の使用状況の模式図を示す。この方式は、体重を支えるために、支持レバーのほかにサドル式の腰掛器を用いた例である。図21は、左足が付け根から欠損している利用者に用いた場合を示している。図21において、符号1は支軸、符合1gは調節器、符合1fは水平管、符号2は支持レバー、符号4はハーネスシート、符号5は腰ベルト、符号6は懸垂ベルト、符号8は腰金具、符号10はサドル(請求項7の腰掛部にあたる。)、符合10aはサドル固定ベルト、符合10bはサドル補助板である。
【0041】
図21に示すこの実施の形態では、体重荷重を支えるのに自転車や一輪車などに用いられるサドル(腰掛台)10を体重維持に用いている。さらに障害のある大腿部の付け根部分をハーネスシート4によって包んで懸垂ベルト6による懸垂を併用している。
この形式では、調節器1gは水平管1fの長さを調整することで股間のサドル10と支軸1および支持レバー2の位置を変え、立脚時のバランスを取り易くしている。さらに、股間に設けたサドル10を支軸1と一体化させることで、利用者の立脚時の肉体的な負担を軽減することができる。
【0042】
この実施の形態によれば、汎用性が高く、体重が分散されて歩行バランスが取り易く、立脚時に足にかかる負担を少なくすることができ、患部に肉体的な負担がかからない義足を廉価に提供することができる。
【0043】
ところで、歩行中は人間は身体の重心Aと足部1dの中心軸を垂直線上で合わせようとする。このため、図22に示すように、義足には身体の外側に向けて膨らむ力Xが働く。この力Xに対して義足を内側に引き寄せるように設けられるベルトの例を図23に示す。このようにベルトで支軸1を腰ベルト(a)や股部(b)、あるいは反対側の腰(c)に引き寄せることで重心を足部上に合わせやすくし歩行を容易にすることができる。
また、予め支軸1を屈曲あるいは湾曲させておいて、身体の重心を足部1dの中心軸の垂直線上に位置させることもできる。図24及び図25に支軸を1屈曲させた例を示す。図24は、膝関節器1aよりも上の部分で屈曲させた例であり、図25は、膝関節器1aよりも下の部分で屈曲させた例である。このようにすることによって、緊張感なく歩行バランスを取ることができ、楽に歩行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の義足は、以上のように構成したので、障害部位や利用者の身長などに関係なく、既製品として作成しておいて調整して汎用に利用することができる。従って、世界中のどのような場所のどのような人間に対しても広く利用が可能である。さらに即応性があるため、患部に支障のある場合やオーダーメイドの義足が出来上がるまでの仮使用などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】人体における身長に対する体重の分布状況と、従来の義足及び本発明の義足の概略構成を示した説明図である。
【図2】本発明の義足の一実施の形態の使用状況の模式図である。
【図3】本実施の形態の義足の着席時の使用状態の側面図である。
【図4】本実施の形態の義足の支軸と足部との屈曲状態を示す説明図である。
【図5】本実施の形態の義足の連結部、腰金具、腰ベルトおよび支軸の接続関係を示す説明図である。
【図6】本実施の形態の義足の連結部の調整状況を示す説明図である。
【図7】本実施の形態の義足の支軸とフレームとハーネスシートの位置関係を示す説明図である。
【図8】本実施の形態の義足のフレーム及びハーネスシートの支軸への取付状況を示す説明図である。
【図9】本実施の形態の義足のハーネスシートなどの取付状況を示す説明図である。
【図10】本実施の形態の義足のハーネスシートの構成を示す図である。
【図11】本実施の形態の義足の懸垂ベルトの末端部の形状を示す図である。
【図12】本実施の形態の義足の支持レバーの取り付け位置とその調整方法を示す説明図である。
【図13】本実施の形態の義足の支持レバーの取り付け角度などを示す説明図である。
【図14】本実施の形態の義足の支持レバーに関するいくつかの変形を示す説明図である。
【図15】本発明の義足の他の実施の形態の使用状況の模式図である。
【図16】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトとの接続を示す図である。
【図17】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトと腰ベルトの接続の具体例を前方から見た図である。
【図18】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトと腰ベルトの接続の具体例を後方から見た図である。
【図19】本実施の形態の義足の輪状ハーネスと懸垂ベルトと腰ベルトの接続の具体例で懸垂ベルトの先端が二股に分かれた場合を示す図である。
【図20】本実施の形態の義足の輪状ハーネスとハーネスシートを用いたさらに他の実施の形態の使用状況の模式図である。
【図21】本発明の義足のさらに他の実施の形態の使用状況の模式図である。
【図22】義足の横方向に働く力の説明図である。
【図23】本発明の義足に用いられる横方向に働く力に抗するベルトの例を挙げた説明図である。
【図24】本発明の義足の支軸を屈曲した例の説明図である。
【図25】本発明の義足の支軸を屈曲した例の説明図である。
【図26】従来のサドル型義足の使用状況の模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 支軸
1a 膝関節器
1b 調節管
1c スライド管
1d 足部
1e 股関節器
1g 調節器
1f 水平管
2 支持レバー
3 フレーム
4 ハーネスシート
4a 固定ベルト
4b 袋状ハーネス
5 腰ベルト
6、6a、6b 懸垂ベルト
7 連結部
8 腰金具
9 輪状ハーネス
10 サドル
10a サドル固定ベルト
10b サドル補助板
11 支軸
12 サドル
15 締め付けバンド
16 牽引ベルト
17 腰ベルト
18 ソケット
19 膝継手
20 足部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、
この支軸に設けられ片手で握ることでこの支軸にかかる体重を分散し歩行バランスを取る支持レバーと、
前記支軸を使用者の身体の一部に装着し、前記支軸にかかる力を分散する装着手段とを具備することを特徴とする義足。
【請求項2】
前記装着手段は、腰部に固定され支軸にかかる力を逃す腰帯手段と、この腰帯手段と前記支軸を繋ぐ接続手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項3】
前記装着手段は、障害のある側の大腿部にあるいは両方の大腿部のそれぞれに巻きつけて前記支軸を固定するように構成された巻装固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項4】
前記装着手段は、前記支軸に固着され前記支軸にかかる力を身体の広い範囲に分散する緩衝手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項5】
前記装着手段は、両脚の大腿部の根元に着く二つの輪状部分を具備する輪状固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項6】
前記輪状固定手段の輪状部分の一方を大腿部に巻きつけるように構成された巻装固定手段で置き換えたことを特徴とする請求項5に記載の義足。
【請求項7】
前記装着手段は、前記支軸の上部に腰掛可能に設けられた腰掛部を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項8】
前記装着手段は、前記腰帯手段と装着手段の他の部分を繋ぐ懸垂手段を有することを特徴とする請求項2に記載の義足。
【請求項9】
前記支軸は下方が身体の内側に向けて湾曲あるいは屈曲され、前記支軸先端の地面に接する部分が身体の重心の下に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の義足。
【請求項10】
前記支軸は膝位置での屈曲を可能にする膝継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の義足。
【請求項11】
前記支軸は腰位置での屈曲を可能にする腰継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の義足。
【請求項12】
前記支軸はその長さを調整可能な長さ調整手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の義足。
【請求項13】
前記支持レバーは前記支軸に添って畳み込み可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の義足。
【請求項14】
前記支持レバーは前記支軸に対して任意の角度で固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の義足。
【請求項15】
前記支持レバーは前記支軸に沿って高さ位置調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の義足。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、
この支軸に畳み込み可能に設けられ、前記支軸から起こした状態で片手で握ることでこの支軸にかかる体重を分散し歩行バランスを取る支持レバーと、
前記支軸を使用者の身体の一部に装着し、前記支軸にかかる力を分散する装着手段とを具備することを特徴とする義足。
【請求項2】
前記装着手段は、腰部に固定され支軸にかかる力を逃す腰帯手段と、この腰帯手段と前記支軸を繋ぐ接続手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項3】
前記装着手段は、障害のある側の大腿部にあるいは両方の大腿部のそれぞれに巻きつけて前記支軸を固定するように構成された巻装固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項4】
前記装着手段は、前記支軸に固着され前記支軸にかかる力を身体の広い範囲に分散する緩衝手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項5】
前記装着手段は、両脚の大腿部の根元に着く二つの輪状部分を具備する輪状固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項6】
前記輪状固定手段の輪状部分の一方を大腿部に巻きつけるように構成された巻装固定手段で置き換えたことを特徴とする請求項5に記載の義足。
【請求項7】
前記装着手段は、前記支軸の上部に腰掛可能に設けられた腰掛部を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項8】
前記装着手段は、前記腰帯手段と装着手段の他の部分を繋ぐ懸垂手段を有することを特徴とする請求項2に記載の義足。
【請求項9】
前記支軸は下方が身体の内側に向けて湾曲あるいは屈曲され、前記支軸先端の地面に接する部分が身体の重心の下に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の義足。
【請求項10】
前記支軸は膝位置での屈曲を可能にする膝継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の義足。
【請求項11】
前記支軸は腰位置での屈曲を可能にする腰継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の義足。
【請求項12】
前記支軸はその長さを調整可能な長さ調整手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の義足。
【請求項13】
前記支持レバーは前記支軸に対して任意の角度で固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の義足。
【請求項14】
前記支持レバーは前記支軸に沿って高さ位置調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の義足。
【請求項1】
障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、
この支軸に設けられ片手で握ることでこの支軸にかかる体重を分散し歩行バランスを取る支持レバーと、
前記支軸を使用者の身体の一部に装着し、前記支軸にかかる力を分散する装着手段とを具備することを特徴とする義足。
【請求項2】
前記装着手段は、腰部に固定され支軸にかかる力を逃す腰帯手段と、この腰帯手段と前記支軸を繋ぐ接続手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項3】
前記装着手段は、障害のある側の大腿部にあるいは両方の大腿部のそれぞれに巻きつけて前記支軸を固定するように構成された巻装固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項4】
前記装着手段は、前記支軸に固着され前記支軸にかかる力を身体の広い範囲に分散する緩衝手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項5】
前記装着手段は、両脚の大腿部の根元に着く二つの輪状部分を具備する輪状固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項6】
前記輪状固定手段の輪状部分の一方を大腿部に巻きつけるように構成された巻装固定手段で置き換えたことを特徴とする請求項5に記載の義足。
【請求項7】
前記装着手段は、前記支軸の上部に腰掛可能に設けられた腰掛部を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項8】
前記装着手段は、前記腰帯手段と装着手段の他の部分を繋ぐ懸垂手段を有することを特徴とする請求項2に記載の義足。
【請求項9】
前記支軸は下方が身体の内側に向けて湾曲あるいは屈曲され、前記支軸先端の地面に接する部分が身体の重心の下に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の義足。
【請求項10】
前記支軸は膝位置での屈曲を可能にする膝継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の義足。
【請求項11】
前記支軸は腰位置での屈曲を可能にする腰継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の義足。
【請求項12】
前記支軸はその長さを調整可能な長さ調整手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の義足。
【請求項13】
前記支持レバーは前記支軸に添って畳み込み可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の義足。
【請求項14】
前記支持レバーは前記支軸に対して任意の角度で固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の義足。
【請求項15】
前記支持レバーは前記支軸に沿って高さ位置調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の義足。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害のある側の体側に沿って体重を支える支軸と、
この支軸に畳み込み可能に設けられ、前記支軸から起こした状態で片手で握ることでこの支軸にかかる体重を分散し歩行バランスを取る支持レバーと、
前記支軸を使用者の身体の一部に装着し、前記支軸にかかる力を分散する装着手段とを具備することを特徴とする義足。
【請求項2】
前記装着手段は、腰部に固定され支軸にかかる力を逃す腰帯手段と、この腰帯手段と前記支軸を繋ぐ接続手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項3】
前記装着手段は、障害のある側の大腿部にあるいは両方の大腿部のそれぞれに巻きつけて前記支軸を固定するように構成された巻装固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項4】
前記装着手段は、前記支軸に固着され前記支軸にかかる力を身体の広い範囲に分散する緩衝手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項5】
前記装着手段は、両脚の大腿部の根元に着く二つの輪状部分を具備する輪状固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項6】
前記輪状固定手段の輪状部分の一方を大腿部に巻きつけるように構成された巻装固定手段で置き換えたことを特徴とする請求項5に記載の義足。
【請求項7】
前記装着手段は、前記支軸の上部に腰掛可能に設けられた腰掛部を有することを特徴とする請求項1に記載の義足。
【請求項8】
前記装着手段は、前記腰帯手段と装着手段の他の部分を繋ぐ懸垂手段を有することを特徴とする請求項2に記載の義足。
【請求項9】
前記支軸は下方が身体の内側に向けて湾曲あるいは屈曲され、前記支軸先端の地面に接する部分が身体の重心の下に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の義足。
【請求項10】
前記支軸は膝位置での屈曲を可能にする膝継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の義足。
【請求項11】
前記支軸は腰位置での屈曲を可能にする腰継手手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の義足。
【請求項12】
前記支軸はその長さを調整可能な長さ調整手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の義足。
【請求項13】
前記支持レバーは前記支軸に対して任意の角度で固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の義足。
【請求項14】
前記支持レバーは前記支軸に沿って高さ位置調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の義足。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−305123(P2006−305123A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132427(P2005−132427)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599166024)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599166024)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]