説明

羽根駆動装置

【課題】簡易な構造であって小型化を維持しつつ羽根の移動量を確保できる羽根駆動装置を提供することである。
【解決手段】本実施例に係る羽根駆動装置1は、開口11を有した基板10と、直進移動可能に支持され開口11の開口量を調節すると共に、係合孔23a、23bを有した羽根20と、所定の範囲を回動して羽根20を駆動する駆動部材30と、駆動部材30に設けられ、駆動部材30の駆動力を羽根20に伝えるアーム32と、アーム32に設けられ係合孔23a、23bとそれぞれ係合する駆動ピン33a、33bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラなどに採用される羽根駆動装置が知られている。特許文献1には、ロータ軸に取り付けられた第1アームと、地板から突出した支軸に揺動可能に取り付けられ且つ第1アームに設けられた第1作動ピンと係合する第1長穴が設けられた第2アームと、第2アームに設けられた第2作動ピンと係合する第2長穴が設けられた羽根(セクタ)とを有するセクタ駆動装置が開示されている。第1及び第2アームを設けることにより、羽根の移動量を大きくすることができるものである。
【0003】
【特許文献1】特開2006−84895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている装置によれば、2つのアームを設ける必要があるため、部品点数が増大し、装置が複雑化する。
【0005】
また、単にアームの回動中心から駆動ピンまでの距離を長くすることによっても、駆動ピンの移動量を確保でき、これにより羽根の移動量を確保することも可能である。しかしながら、アームの回動中心から駆動ピンまでの距離を長くすると、アームの長さが長くなるので、羽根駆動装置内にアームの回動を許容する大きいスペースを確保する必要がある。このようなスペースを確保すると、羽根駆動装置が大型化する。
【0006】
そこで本発明は、簡易な構造であって小型化を維持しつつ羽根の移動量を確保できる羽根駆動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、開口を有した基板と、直進移動可能に支持され前記開口の開口量を調節すると共に、第1及び第2係合孔を有した羽根と、所定の範囲を回動して前記羽根を駆動する駆動部材と、前記駆動部材に設けられ、該駆動部材の駆動力を前記羽根に伝えるアームとを備え、前記アームには、前記第1及び第2係合孔とそれぞれ係合する第1及び第2駆動ピンが設けられている羽根駆動装置によって達成できる。
【0008】
この構成により、アームには、第1及び第2駆動ピンが設けられているので、アームの長さを短くした場合であっても、アームの回動範囲を変更することなく、羽根の移動量を確保することができる。従って、簡易な構造であって小型化を維持しつつ羽根の移動量を確保することができる。
【0009】
上記構成において、
前記第1及び第2駆動ピンは、前記アームの回動中心を中心とする周方向に並んでいる、構成を採用できる。これにより、アームの回動範囲を変更することなく、羽根の移動量を確保することができる。
【0010】
上記構成において、前記第1及び第2係合孔は、互いに沿うように設けられている、構成を採用できる。これにより、第1及び第2駆動ピンを最小スペースで配置できるので小型化を維持しつつ羽根の移動量を確保することができる。
【0011】
上記構成において、前記第1係合孔は、前記第1駆動ピンの動力が前記羽根へ伝達される駆動区間と、前記第1駆動ピンの動力を逃がす非駆動区間とを含み、前記第2係合孔は、前記第2駆動ピンの動力が前記羽根へ伝達される駆動区間と、前記第2駆動ピンの動力を逃がす非駆動区間とを含み、前記第1及び第2駆動ピンは、一方が前記駆動区間に位置する場合は、他方が前記非駆動区間に位置する、構成を採用できる。
【0012】
この構成により、アーム部には、係合孔と係合する複数の駆動ピンが設けられているので、アーム部の長さが短い場合であっても、ピンの移動量を確保することができる。
【0013】
上記構成において、前記駆動部材及び羽根は、前記基板を挟むように位置し、前記基板は、前記第1及び第2駆動ピンを逃がす単一の逃げ孔を有している、構成を採用できる。これにより、逃げ孔が一つであるため、アクチュエータの取り付け穴等の配置の自由度が増えるため、基板のスペースを有効に利用することができ小型化を維持しつつ羽根の移動量を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構造であって小型化を維持しつつ羽根の移動量を確保できる羽根駆動装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る羽根駆動装置について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る羽根駆動装置1の斜視図であり、図2は、基板10を一部省略した、実施例1に係る羽根駆動装置1の斜視図である。羽根駆動装置1は、中央部に開口11を有した基板10、開口11の開口量を調整すると共に直進移動可能に支持された羽根20、回動可能に支持されて羽根20を駆動する駆動部材30、駆動部材30を駆動する電磁アクチュエータ40を含む。羽根20、電磁アクチュエータ40は、基板10を挟むように配置されている。
【0017】
電磁アクチュエータ40は、U字状に形成されその両端部にそれぞれ磁極部を有するステータ41、周方向に異なる2極に着磁され円筒形状を成すロータ42、ステータ41の腕部に取り付けられたコイルボビン43、コイルボビン43に巻回されたコイル44を含む。コイル44への通電により、上述の磁極部がそれぞれ異なる極性に励磁され、ロータ42と磁極部との間に発生する吸着力及び反発力によって、ロータ42が回動する。
【0018】
駆動部材30は、ロータ42に固定されており、ロータ42と共に所定の角度範囲を回動する。駆動部材30は、樹脂により形成されている。また、駆動部材30は、駆動部材30の回動中心、即ち、ロータ42の回転中心から径方向外側に伸びたアーム32と、アーム32の先端部から立設した駆動ピン33a、33bとを含む。アーム32は駆動部材30の駆動力を、駆動ピン33a、33bに係合する羽根20に伝える。また、アーム32は、駆動部材30の回動中心から離れるに従って、幅が広くなるように形成されている。
【0019】
基板10は、樹脂により形成されており、基板10には、駆動ピン33a、33bの双方を逃がすための単一の逃げ孔13が円弧状に形成されている。また、羽根20は、一般的な光反射防止用フィルムや遮光フィルム、例えばソマブラックフィルム(ソマール社製)により形成されており、羽根20には、駆動ピン33a、33bとそれぞれ係合する係合孔23a、23bが形成されている。係合孔23a、23bは、ほぼ直線状であって互いに沿うように形成されている。図3は、羽根20の正面図である。羽根20には、開口11よりも径の小さい絞り開口21が形成されている。
【0020】
また、基板10には、ガイドピン12a、12bが形成されており、羽根20には、ガイドピン12a、12bとそれぞれ係合するガイド孔22a、22bが形成されている。ガイド孔22a、22bは、直線状であって平行に形成されている。ガイド孔22a、22bは、羽根20の移動が直進方向となるように羽根20を案内する機能を有している。尚、ガイド孔22a、22bと、係合孔23a、23bとは、平行ではない。
【0021】
また、図3に示すように、係合孔23aは、駆動区間23ad及び非駆動区間23anから構成され、係合孔23bも同様に、駆動区間23bd及び非駆動区間23bnから構成される。駆動区間23adに駆動ピン33aが位置する場合には、駆動ピン33aの動力が羽根20へと伝達される。非駆動区間23anに駆動ピン33aが位置する場合には、駆動ピン33aの動力を逃がされる。同様に、駆動区間23bdに駆動ピン33bが位置する場合には、駆動ピン33bの動力が羽根20へと伝達される。非駆動区間23bnに駆動ピン33bが位置する場合には、駆動ピン33bの動力が逃がされる。また、係合孔23aにおいては、図3の紙面左下から右上にかけて、駆動区間23ad、非駆動区間23anの順で連続しているのに対して、係合孔23bにおいては、図3の紙面左下から右上にかけて、非駆動区間23bn、駆動区間23bdの順で連続している。駆動区間23adよりも非駆動区間23anの方が幅広に形成されており、同様に、駆動区間23bdよりも非駆動区間23bnの方が幅広に形成されている。詳しくは後述する。
【0022】
次に、羽根駆動装置1の動作について説明する。図4は、全開状態での羽根駆動装置1の正面図、図5は、全開及び小絞り状態間の移行途中での羽根駆動装置1の正面図、図6は、小絞り状態での羽根駆動装置1の正面図である。尚、図4乃至図6においては、羽根駆動装置1の動作をわかりやすくするために、基板10を破線で示しており、電磁アクチュエータ40のロータ42と、駆動部材30とを実線で示している。
【0023】
図4に示すように、全開状態においては、羽根20は開口11から退避した位置に位置付けられる。また、この状態においては、駆動ピン33bが逃げ孔13の一端に当接して駆動部材30の時計方向の回動が制限されている。また、ガイドピン12a、12bも、それぞれガイド孔22a、22bの一端に当接して羽根20の、開口11から離れる方向への移動が規制されている。
【0024】
尚、駆動ピン33a、33bは、駆動部材30の回動中心C(ロータ42の回動中心)を中心とする周方向に並ぶように、アーム32に設けられている。詳細には、駆動ピン33a、33bは、駆動部材30の回動中心Cから距離Rを有した位置に形成されている。また、駆動ピン33a、33bは、周方向に所定の距離だけ離間している。換言すれば、駆動ピン33a、33bは、両者を結ぶ線が、アーム32の回動中心Cからの放射状の線と交差するように、配置されている。
【0025】
図4に示した状態から、ロータ42が反時計方向に回動すると、これに伴って駆動部材30も反時計方向に回動する。駆動部材30が回動すると、駆動ピン33a、33bは、逃げ孔13内を反時計方向に移動する。この移動の際に、駆動ピン33aは、駆動区間23ad内において、係合孔23aの内周面と摺接して、駆動ピン33aの動力が羽根20へ伝達される。一方、駆動ピン33bは、非駆動区間23bn内において、係合孔23bの内周面とは摺接せずに、駆動ピン33bの移動が逃がされる。このように、駆動ピン33aを介して、電磁アクチュエータ40の動力が羽根20へと伝達される。
【0026】
このようにロータ42が反時計方向に回動すると、羽根20は、ガイド孔22a、22bの方向に沿って左斜め下方向へと移動する。換言すると、駆動ピン33a、33bが、それぞれ係合孔23a、23b内を上るように、羽根20が相対的に左斜め下方向へと移動する。これにより、図5に示した状態へと移行する。
【0027】
図5に示した状態は、駆動ピン33aが、駆動区間23ad、非駆動区間23anの境界付近に位置し、駆動ピン33bも同様に、駆動区間23bd、非駆動区間23bnの境界付近に位置した状態を示している。この状態においては、駆動ピン33a、33bは、両者共に、その一部分が、それぞれ係合孔23a、23bの内周面と当接している。この状態から、ロータ42が更に反時計方向に回転すると、駆動ピン33aは、駆動区間23adを脱し、非駆動区間23anへ突入する。また、駆動ピン33bは、非駆動区間23bnを脱し、駆動区間23bdへと突入する。これにより、駆動ピン33aは、非駆動区間23anによって動力が逃がされるが、駆動ピン33bは、駆動区間23bdの内周面と当接して、駆動ピン33bの動力が羽根20へと伝達される。このように、図5に示した状態から、更にロータ42が反時計方向に回転した場合には、駆動ピン33bを介して、電磁アクチュエータ40の動力が羽根20へと伝達される。
【0028】
図6に示した状態は、駆動ピン33aが逃げ孔13の他端に当接して駆動部材30の反時計方向の回動が規制された状態を示している。この際、ガイドピン12a、12bも、それぞれガイド孔22a、22bの他端に当接して、羽根20の更なる左斜め下方向への移動が規制される。この際に、開口11と絞り開口21とが重なる。尚、図6に示した状態から、再びロータ42が時計方向に回動することにより、図5、図4に示した状態へと移行する。
【0029】
以上のように、全開状態及び小絞り状態間の移行過程において、電磁アクチュエータ40の動力を羽根20へと伝達する役割が、駆動ピン33a及び駆動ピン33bの一方から他方へと切り替わる。換言すれば、羽根20が移動する過程において、駆動ピン33a、33bのうち、何れか一方の動力が、羽根20へと伝達されるように、係合孔23a、23bが形成されている。この理由は、アーム32の先端部に、2つの駆動ピン33a、33bを設けたことに起因する。
【0030】
例えば、係合孔23a、23bがほぼ平行に形成され、その両者がそれぞれ、全区間に渡って駆動ピン33a、33bと常に摺接していると、部分的に摺動抵抗が増大し、駆動部材30がスムーズに回動しなくなるからである。詳しく述べると、駆動ピン33a、33b間の距離は常に不変であるが、駆動部材30の回動により、係合孔23a、23bが伸びた方向に垂直な方向での、駆動ピン33a、33b間の距離が変化するからである。例えば、図5に示す位置において係合孔23a、23bが、それぞれ全区間に渡って駆動ピン33a、33bと常に摺接していると、図4及び6に示した状態では、駆動ピン33a、33b間の距離よりも、係合孔23a、23b間の距離の方が長くなり、駆動ピン33a、33bと、係合孔23a、23bとの摺動抵抗が増すためである。
【0031】
また、このようにアーム32に2つの駆動ピン33a、33bを設けた理由について以下で説明する。
【0032】
まず、従来の羽根駆動装置1xについて説明する。図7は、全開状態での従来の羽根駆動装置1xの正面図であり、図8は、小絞り状態での従来の羽根駆動装置1xの正面図である。尚、理解を容易にするために、基板10xを破線で示しており、そのほか部分的に省略してある。
【0033】
羽根駆動装置1xは、羽根20xを有しており、羽根20xの移動量は、羽根駆動装置1の羽根20とほぼ同じである。駆動部材30xは、アーム32xと駆動ピン33xとを含む。また、アーム32xの先端には、単一の駆動ピン33xが立設されている。また、基板10xには、駆動ピン33xを逃がす逃げ孔13xが、羽根20xには、駆動ピン33xと係合する単一の係合孔23xが形成されている。係合孔23xは、直線状に形成されている。また、係合孔23xは、全区間で常に駆動ピン33xと摺接している。即ち、係合孔23xは、駆動ピン33xの動力が、常に羽根20へと伝達され得るように構成されている。尚、羽根20xには、基板10xに形成されたガイドピン12ax、12bxと係合する単一のガイド孔22xが直線状に形成されている。羽根駆動装置1xは、本実施例に係る羽根駆動装置1と同様に、駆動部材30xが反時計方向に回動することにより、図7に示した全開状態から図8に示した小絞り状態へと移行する。
【0034】
図4、図7に示すように、駆動部材30xの回動中心Cxから駆動ピン33xまでの距離Rxは、本実施例に係る羽根駆動装置1の、駆動部材30の回動中心Cから駆動ピン33a、33bまでの距離Rよりも長い。これは、直進移動する羽根の移動量を確保するためには、駆動ピンの移動量を確保することが必要であり、駆動ピンの移動量を確保するためには、アームの回動中心から駆動ピンまでの距離が長い方が好ましいためである。駆動部材の回動範囲が一定の場合には、アームの回動中心から駆動ピンまでの距離が長い方が、駆動ピンの移動量が大きいからである。しかしながら、図7に示すように、駆動部材30xの回動中心Cxから駆動ピン33xまでの距離Rxが長いと、羽根駆動装置1x内に駆動部材30xの回動を許容する大きいスペースを確保する必要があり、羽根駆動装置1xが大型化する。
【0035】
しかしながら、アームの長さを短くすると、羽根駆動装置を小型化することができるが、これに伴い、駆動ピンの移動量も減少する。従って、羽根の移動量を確保することができないことになる。この解決案として、ロータの回動範囲を拡大することによって、駆動ピンの移動量を確保することも考えられる。しかしながら、ロータの回動範囲を拡大するためには、ステータに形成された、ロータと対向する磁極部の厳密な位置設定や、トルクの確保などの問題があり、ロータの回動範囲を拡大することなく、駆動ピンの移動量を確保できることが望まれる。
【0036】
従って、本実施例に係る羽根駆動装置1のように、アーム32に、2つの駆動ピン33a、33bを設けることにより、ロータ42の回動範囲を拡大することなく、羽根20の移動量を確保することができる。
【0037】
この点について詳細に説明する。図6、図8に示すように、逃げ孔13、13xの長さはほぼ一致している。しかしながら、駆動ピン33bの移動量Dは、駆動ピン33xの移動量Dxよりも短い。これは、全開状態において駆動ピン33bが逃げ孔13の一端で当接し、絞り状態において駆動ピン33aが逃げ孔13の他端で当接するからであるのに対して、羽根駆動装置1xにおいては、いずれの状態においても、単一の駆動ピン33xが、逃げ孔13xの一端又は他端と当接するからである。即ち、本実施例に係る羽根駆動装置1の場合、駆動ピン33a、33b間の距離だけ、駆動部材30の回動範囲を削減することができる。これにより、ロータ42の回動範囲を拡大することなく、羽根20の移動量を確保することができ、羽根駆動装置1の小型化を維持することができる。また、本実施例に係る羽根駆動装置1のように、アーム32の先端部に2つの駆動ピン33a、33bを設けるという、簡易な構造によって、装置の小型化を維持しつつ、羽根20の移動量を確保することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、実施例2に係る羽根駆動装置1Aについて説明する。図9乃至図11は、実施例2に係る羽根駆動装置1Aの説明図である。図9は、全開状態での実施例2に係る羽根駆動装置1Aの正面図、図10は、全開及び小絞り状態間の移行途中での実施例2に係る羽根駆動装置1Aの正面図、図11は、小絞り状態での実施例2に係る羽根駆動装置1Aの正面図である。図9乃至図11においては、羽根駆動装置1Aの動作をわかりやすくするために、基板50の破線で示し、そのほか、一部の構成について省略してある。羽根駆動装置1Aは、所謂ギロチン式シャッターである。
【0039】
図9乃至図11に示すように、羽根駆動装置1Aは、基板50、羽根60などを含む。基板50は、矩形状に形成されている。また、基板50には、開口51が形成されている。羽根60には、絞り開口61が形成されている。基板50には、ガイドピン52a、52bが形成されており、ガイドピン52a、52bは、羽根60に形成されたガイド孔62a、62bにそれぞれ係合する。また、ガイド孔62a、62bは、ほぼ平行に形成されている。ガイド孔62a、62bが、それぞれガイドピン52a、52bと係合することにより、羽根60は、基板50の長手方向への移動が支持されている。また、基板50には、駆動ピン33a、33bの両者の移動を逃がすための単一の逃げ孔53が形成されている。
【0040】
羽根60には、駆動ピン33a、33bとそれぞれ係合する係合孔63a、63bが、形成されている。係合孔63a、63bも、実施例1に係る羽根駆動装置1と同様に、それぞれ駆動区間63ad及び非駆動区間63an、駆動区間63bd及び非駆動区間63bnを有している。
【0041】
また、羽根駆動装置1Aは、実施例1に係る羽根駆動装置1と同様に、駆動源として電磁アクチュエータが採用されている。尚、図9乃至図11においては、電磁アクチュエータについては、ロータ42のみを示している。
【0042】
全開状態においては、駆動ピン33aは、駆動区間63adに、駆動ピン33bは、非駆動区間63bnに位置する。この状態から、ロータ42が反時計方向に回動すると、羽根60は、ガイド孔62a、62bの方向に沿って左方向へと移動し、図10に示した状態へと移行する。更に、ロータ42が反時計方向に回動すると、駆動ピン33aは、駆動区間63adを脱して非駆動区間63anに突入し、駆動ピン33bは、非駆動区間63bnを脱して駆動区間63bdに突入して、図11に示した絞り状態へと移行する。以上のように本発明は、所謂ギロチン式シャッターにも採用できる。
【0043】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0044】
基板に形成された開口を全閉状態にする羽根に本発明を採用してもよい。羽根に形成された絞り開口に、ND(Neutral Density)フィルタを貼り付けたものであってもよい。
【0045】
上記実施例では羽根20を一般的な光反射防止用フィルムや遮光フィルムにより形成した例を示したが、樹脂により成型された羽根を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施例に係る羽根駆動装置の斜視図である。
【図2】基板を一部省略した羽根駆動装置の斜視図である。
【図3】羽根の正面図である。
【図4】全開状態での羽根駆動装置の正面図である。
【図5】全開及び小絞り状態間の移行途中での羽根駆動装置の正面図である。
【図6】小絞り状態での羽根駆動装置の正面図である。
【図7】全開状態での従来の羽根駆動装置の正面図である。
【図8】小絞り状態での従来の羽根駆動装置の正面図である。
【図9】全開状態での実施例2に係る羽根駆動装置の正面図である。
【図10】全開及び小絞り状態間の移行途中での実施例2に係る羽根駆動装置の正面図である。
【図11】小絞り状態での実施例2に係る羽根駆動装置の正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1、1A 羽根駆動装置
10、50 基板
11、51 開口
12a、12b、52a、52b ガイドピン
13、53 逃げ孔
20、60 羽根
21、61 絞り開口
22a、22b、62a、62b ガイド孔
23a、23b、63a、63b 係合孔
23ad、23bd、63ad、63bd 駆動区間
23an、23bn 、63an、63bn 非駆動区間
30 駆動部材
32 アーム
33a、33b 駆動ピン
40 電磁アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有した基板と、
直進移動可能に支持され前記開口の開口量を調節すると共に、第1及び第2係合孔を有した羽根と、
所定の範囲を回動して前記羽根を駆動する駆動部材と、
前記駆動部材に設けられ、該駆動部材の駆動力を前記羽根に伝えるアームと、を備え、
前記アームには、前記第1及び第2係合孔とそれぞれ係合する第1及び第2駆動ピンが設けられている、ことを特徴とする羽根駆動装置。
【請求項2】
前記第1及び第2駆動ピンは、前記アームの回動中心を中心とする周方向に並んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の羽根駆動装置。
【請求項3】
前記第1及び第2係合孔は、互いに沿うように設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の羽根駆動装置。
【請求項4】
前記第1係合孔は、前記第1駆動ピンの動力が前記羽根へ伝達される駆動区間と、前記第1駆動ピンの動力を逃がす非駆動区間とを含み、
前記第2係合孔は、前記第2駆動ピンの動力が前記羽根へ伝達される駆動区間と、前記第2駆動ピンの動力を逃がす非駆動区間とを含み、
前記第1及び第2駆動ピンは、一方が前記駆動区間に位置する場合は、他方が前記非駆動区間に位置する、ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の羽根駆動装置。
【請求項5】
前記駆動部材及び羽根は、前記基板を挟むように位置し、
前記基板は、前記1及び第2駆動ピンを逃がす単一の逃げ孔を有している、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の羽根駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−229591(P2009−229591A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72290(P2008−72290)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】