説明

翻訳システム

【課題】
翻訳システムやそのインターフェイスの表示プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】
二カ国以上の言語で文章データを記憶する記憶部と、通信処理部と、翻訳処理部と、を備えており、記憶部では、文章データは、あらかじめ定められたワードの階層構造に対応づけられており、翻訳処理部は、ユーザ端末において階層構造におけるワードが選択されることにより、該ワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を受け付け、選択されたワードの下位の階層のワードに関するデータを記憶部から抽出してユーザ端末に送り、ユーザ端末において、ワードを選択することで絞り込まれた、記憶部における二カ国以上の言語で表記される文章データを表示させる、翻訳システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は翻訳システムに関する。
【背景技術】
【0002】
国際交流が活発になるにつれ、外国人が来日することも多い。その場合、当該外国人が日本語を理解しない場合、当該外国人とその相手方(たとえば日本人)が会話を行う場合には、日本語以外の互いに理解する言語で会話を行うか、あるいは何らかの翻訳システムを利用するなどの方法がある。
【0003】
前者の場合には、双方がもともと共通の言語を理解している必要があるので、双方に共通に理解する言語がない場合には会話を行うことは容易ではない。後者の場合には、さまざまな翻訳システムが提供されている。たとえば特許文献1乃至特許文献6に翻訳システムが開示されている(第1の方法)。これらの翻訳システムは、いずれも文章で入力を行うものである。また文章のほかに音声で入力を行うシステムもある。
【0004】
さらに文章や音声での入力のほか、非特許文献1に示すように、あらかじめ複数の場面における二カ国語の文章が図とともに表示されており、所望の文章を指で指し示すことで、意思の疎通を行うシステムもある(第2の方法)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−244291号公報
【特許文献2】特開2007−79946号公報
【特許文献3】特開2007−34425号公報
【特許文献4】特開2000−242642号公報
【特許文献5】特開平9−330319号公報
【特許文献6】特開平9−81566号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社情報センター出版局、[online]、インターネット<URL:http://www.yubisashi.com/free/app/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1乃至特許文献6などに代表される第1の方法のように、従来の翻訳システムでは、翻訳を希望するユーザが、自らが翻訳を望む文章を入力し、それに対して言語解析を行うことで、相手方の解する言語に自動的に翻訳をして表示、音声再生等の出力を行う構造となっている。そのため、翻訳の精度は、翻訳を行う翻訳エンジンに依存する。
【0008】
しかしながら日本語は言語構造が特に複雑であって、翻訳の精度が高いとは言えない。そのため、二者間で翻訳システムを利用して会話を行う場合、翻訳された文章を相手方が理解できず、会話が成立しない場合もある。
【0009】
また非特許文献1に代表される第2の方法の場合、対応する二言語がもともと一図に表示されているので、意思の疎通を行うことは可能である。しかしながら、あらかじめ登録されていない文章には用いることが出来ない。これを解消するためには多くの文章を登録しておく必要があるが、多くの文章を登録するには記憶容量が増大するし、また所望の文章を探す手間も生じ、さらに、多様な文章を表現することが出来ない。
【0010】
つまり、第1の方法の場合には多様な表現が可能となるが、その翻訳精度は翻訳エンジンに依存し、翻訳精度も高いとは言えない場合が多い問題点がある。一方、第2の方法の場合には翻訳精度は高いが、表現できるのがあらかじめ登録されている文章のみに限られ、登録する文章を増やすと記憶容量の増大および所望の文章を探す負担が増す問題点がある。また多様な文章を表現することも困難である。
【0011】
そこでこれらの問題点を解決する翻訳システムが望まれている。
【0012】
また、外国人のほか、聴覚障害者、機械などといった相手とコミュニケーションを取る際に、文章の選択を容易に行う方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は上記課題に鑑み、翻訳システムを発明した。
【0014】
第1の発明は、ユーザが操作するユーザ端末との間でネットワークを介して通信可能なサーバを備える翻訳システムであって、前記翻訳システムは、少なくとも二カ国以上の言語で基本となる文章データを記憶する記憶部と、前記ユーザとの間で通信を行う通信処理部と、前記ユーザ端末からの要求を前記通信処理部を介して受け付け、該要求に応じたデータを前記記憶部から抽出し、前記通信処理部を介して前記抽出したデータを前記ユーザ端末に送る翻訳処理部と、を備えており、前記記憶部では、前記文章データは、あらかじめ定められたワードの階層構造に対応づけられており、前記翻訳処理部は、前記ユーザ端末において前記階層構造におけるワードが選択されることにより、該ワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を受け付け、前記選択されたワードの下位の階層のワードに関するデータを前記記憶部から抽出して前記ユーザ端末に送り、前記ユーザ端末において、前記ワードを選択することで絞り込まれた、前記記憶部における二カ国以上の言語で表記される文章データを表示させる、翻訳システムである。
【0015】
本発明のように構成することで、ユーザは、ユーザ端末で表示された画面のアイコンを適宜選択するだけで、所望の文章にたどり着くことが出来る。本発明のように階層構造となるワードから文章データを選択する方式とすることで、翻訳エンジンに頼る必要がないので、誤訳が発生することがない。そのため、相手と適切に意思伝達を行うことが出来る。さらに、多くの文章例の中から所望の文章を探すのは従来は極めて困難であったが、本発明のように構成することで、ユーザは自らのシチュエーションに合わせて、ワードのアイコンを選択するだけで足りる。そのため、誰でもが容易に適切な文章の選択を行える。
【0016】
上述の発明において、前記翻訳処理部は、前記ワードに関するデータとしてアイコンのデータを含み、前記ユーザ端末において、前記ワードのアイコンが画面内の所定領域に移動させられることで、前記ワードの下位の階層のワードにおけるデータの取得要求を前記ユーザ端末から受け付ける、翻訳システムのように構成することもできる。
【0017】
アイコンの選択にはさまざまな方法があるが、本発明のように、選択したアイコンを所定領域に移動させることで選択可能としても良い。このようにすることで、選択したアイコンを複数表示することが出来、これによって自らがどのアイコンを選択したかを視認することが出来る。
【0018】
上述の発明において、前記翻訳処理部は、前記ユーザ端末において選択された文章データのうち、変数となるスロットが含まれている文章データの選択を受け付けた場合には、前記変数となるスロットのワードのデータの取得要求を前記ユーザ端末から受け付け、前記取得要求に対応するデータを前記記憶部から抽出し、前記ユーザ端末に送り、前記ユーザ端末において、前記選択された文章データにおける変数となるスロットに、前記ワードのデータから選択されたデータを代入した上で、前記文章データを表示させる、翻訳システムのように構成することもできる。
【0019】
多様な表現を可能とする為には、文章中に変数(スロット)を設けることが好ましい。これによって、単にひな形となる基本の文章データから選択するのみならず、表現形式の幅が広がる。そしてスロットを設けることで、基本となる文章データの数を減らすことにも繋がる。
【0020】
上述の発明において、前記記憶部は、さらに、前記文章データに対応づけて、前記文章データを修飾するための付随データを記憶しており、前記ユーザ端末において、前記文章データの表示とともに、対応する付随データを選択可能に表示させ、前記文章データおよび選択された付随データを少なくとも二カ国以上の言語で表示させる、翻訳システムのように構成することもできる。
【0021】
たとえば商品を購入したい場合には、その素材や色などが重要な場合もある。そのような場合には、「商品が欲しい」という文章のほかに、素材や色など、当該文章を修飾するための文章をあらかじめ対応づけて起き、それらから選択させ表示させることで、より適切な意思伝達を行うことが出来る。
【0022】
上述の発明において、前記記憶部は、さらに、前記文章データの回答データを対応づけて記憶しており、前記ユーザ端末において、前記文章データに対応する回答データを選択可能に表示させ、前記選択された回答データを少なくとも二カ国以上の言語で表示させる、翻訳システムのように構成することもできる。
【0023】
意思伝達を行うためには、自らの一方的意思のみならず、相手方からの回答も重要である。しかし相手方もどのように伝えたらよいかが分からない場合がある。そこで本発明のように、あらかじめ文章データに回答を対応づけて起き、その回答の中から文章を選択し、表示させることで、双方の意思伝達を的確に行えることとなる。
【0024】
上述の翻訳システムは、ユーザ端末において以下のようなインターフェイスのプログラムを機能させることで実現できる。すなわち、ユーザが操作するユーザ端末を、前記ユーザ端末の表示装置で表示する画面に、階層構造からなるワードに対応するアイコンを少なくとも二以上、選択可能に表示させる第一手段、前記画面に表示されたアイコンから一のアイコンの選択を受け付け、前記選択されたアイコンを前記画面内の所定領域へ移動させる第二手段、前記所定領域に前記選択されたアイコンが移動すると、前記アイコンが対応するワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を所定のサーバに送る第三手段、前記所定のサーバから、前記下位の階層のワードに対応するアイコンのデータを受け付け、前記第一手段で表示させる第四手段、前記画面内の所定箇所が選択されると、前記選択されたワードに対応する文章データが二カ国以上の言語で前記画面において表示する第五手段、として機能させる翻訳システムで用いる表示プログラムである。
【0025】
さらに以下の発明のように、汎用的な表示プログラムとしてユーザ端末を機能させることも可能となる。すなわち、ユーザが操作するユーザ端末を、前記ユーザ端末の表示装置で表示する画面に、階層構造からなるワードに対応するアイコンを少なくとも二以上、選択可能に表示させる第一手段、前記画面に表示されたアイコンから一のアイコンの選択を受け付け、前記選択されたアイコンを前記画面内の所定領域へ移動させる第二手段、前記所定領域に前記選択されたアイコンが移動すると、前記アイコンが対応するワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を所定のサーバに送る第三手段、前記所定のサーバから、前記下位の階層のワードに対応するアイコンのデータを受け付け、前記第一手段で表示させる第四手段、前記画面内の所定箇所が選択されると、前記選択されたワードに対応する文章データを前記画面において表示する第五手段、として機能させる表示プログラムである。
【0026】
本発明のように構成することで、日本語を理解しない外国人のほか、聴覚障害者、機械などといった相手とコミュニケーションを取る際に、所望の文章を容易に選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の翻訳システムやそのインターフェイスの表示プログラムを用いることで、ユーザは所望の意思伝達を容易な操作で行うことが出来る。また、単に登録されている文章を探すのではないので、文法を知らなくても多様な文章を適切に生成し、翻訳を行うことが出来るので、意思伝達の多様性を図ることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のシステム構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】サーバのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の処理プロセスの一例を模式的に示すフローチャートである。
【図4】データテーブルの関係を模式的に示す図である。
【図5】ワードクラスター構造テーブルに基づくワード同士の階層構造を模式的に示す図である。
【図6】トップ画面の一例である。
【図7】トップ画面の一例である。
【図8】メニュー画面の一例である。
【図9】トップ画面で履歴アイコン表示領域を表示させた状態の一例である。
【図10】トップ画面で「買う」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図11】トップ画面で「ファッション」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図12】トップ画面で「紳士服」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図13】トップ画面で「ジャケット」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図14】翻訳候補の一覧の画面の一例である。
【図15】翻訳文を選択した場合の画面の一例である。
【図16】翻訳文を選択した場合の画面の一例である。
【図17】付随情報として色を選択する場合の画面の一例である。
【図18】付随情報として色を選択した状態の翻訳文を選択した画面の一例である。
【図19】付随情報として素材を選択する場合の画面の一例である。
【図20】付随情報として色と素材を選択した状態の翻訳文を選択した画面の一例である。
【図21】回答の画面の一例である。
【図22】トップ画面で「ぜんそく」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図23】翻訳候補の一覧の画面の一例である。
【図24】スロットの候補の画面の一例である。
【図25】スロットとして、「母」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図26】スロットの引数として「母」が選択された翻訳文の画面の一例である。
【図27】トップ画面で「大倉山展望台」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図28】トップ画面で「大倉山展望台」アイコンをドラッグした状態の一例である。
【図29】翻訳候補の一覧の画面の一例である。
【図30】翻訳文を選択した場合の画面の一例である。
【図31】回答の候補の画面の一例である。
【図32】回答を選択した画面の一例である。
【図33】付随情報として地図を選択した場合の画面の一例である。
【図34】タブレット型のコンピュータ端末のトップ画面の一例である。
【図35】タブレット型のコンピュータ端末のトップ画面の一例である。
【図36】翻訳候補表示領域に翻訳候補が表示されたトップ画面の一例である。
【図37】本発明を別の実施形態である意思疎通システムに用いた場合のシステム構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の翻訳システム1のシステム構成の一例を図1に示す。
【0030】
本発明の翻訳システム1では、ユーザが利用をするユーザ端末3と、ユーザからの選択に基づいて処理を実行するサーバ2とを有する。
【0031】
サーバ2やユーザ端末3は、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と、ディスプレイ(画面)などの表示装置72と、キーボードやポインティングデバイス(マウスやテンキーなど)などの入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置70に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置71に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置71から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置70における処理に用いる。図2にサーバ2やユーザ端末3のハードウェア構成の一例を模式的に示す。また、サーバ2は、複数のコンピュータ端末またはサーバ2に、その機能が分散配置されていても良い。
【0032】
なおユーザが利用するユーザ端末3においても図2と同様のハードウェアを備えているが、ユーザ端末3の場合には、表示装置72がタッチパネルディスプレイであって、入力装置73がそれによって代替されていることが好ましい。しかしながらユーザ端末3としてパーソナルコンピュータなどを用いる場合には、上述のように入力装置73を備えていても良い。
【0033】
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【0034】
ユーザ端末3はユーザが操作する端末である。ユーザ端末3としては、デスクトップ形式のコンピュータのほか、可搬型の通信端末であっても良い。可搬型の通信端末としては、たとえばスマートフォンやタブレット型のコンピュータ端末のように、タッチパネル形式の可搬型の通信端末などがあるが、それらに限定されるものではなく、後述するように、画面に表示されるアイコンを選択可能であるならば、如何なる形式であっても良い。
【0035】
サーバ2には、通信処理部20と翻訳処理部21と記憶部22とを有する。
【0036】
通信処理部20は、ユーザ端末3との間での通信処理を実行する。すなわち、ユーザ端末3からの要求(リクエスト)を受け取ると、それを翻訳処理部21に渡し、翻訳処理部21での処理結果(たとえば次の候補(対象や文章など)、生成した文章など)をユーザ端末3に送る。通信処理部20としては、たとえばHTTPサーバ2などがあるがそれに限定されない。
【0037】
翻訳処理部21は、ユーザ端末3からの要求に応じて、対応するデータを記憶部22から抽出し、ユーザ端末3に送る。また文章によっては、スロットと呼ばれる引数の選択を受け付け、当該引数に対応するデータを記憶部22から抽出し、スロットに、対応するデータを代入した文章を生成し、ユーザ端末3に送る。また、各ワード、文型の表示順の重み付け処理などを実行する。
【0038】
記憶部22は、各種のデータを記憶する。データの記憶形式としてはさまざまな形式を採ることができ、データベース、データテーブル、データファイルなど如何なる形式であっても良い。記憶部22には、たとえば以下のような関係で各データテーブルが格納されている。このデータテーブルの関係を図4に示す。
【0039】
ワードテーブルは、文章を構成する要素となるオブジェクト(対象・動詞など)を格納するテーブルである。ワードテーブルは、ワードを一意に識別するワードID、ワードを示す画像データであるアイコン、要素を表す文章データ、トップレベルの要素を表すフラグ、音声データ、リンク先となるウェブサイトのURL、当該ワードテーブルの所在地情報であるアドレス、表示時の優先順位などのデータが格納されている。
【0040】
ワードクラスター構造テーブルは、ワード同士の階層構造を格納するテーブルである。ワードクラスター構造テーブルは、当該ワードの親となるワードのワードID、当該ワードの子となるワードのワードID、表示時の順序などのデータが格納されている。ワードクラスター構造テーブルに基づくワード同士の階層構造を模式的に示すのが図5である。ワードクラスター構造の一例としては、たとえば「買う」、「食べる」、「観光名所」、「観光イベント」、「レジャー」、「移動」、「ホテルで」、「トラブル」、「基本会話」などがあり、また「買う」のワードの下位のワードとして、「ファッション」、「コスメ」、「ブランド」、「電化製品」、「おみやげ」、「医薬品」、「日用品」、「買い物の場所」、「お店で」、「文房具」、「インテリア」、「スポーツ用品」、「旅行用品」、「書籍」、「ホビー雑貨」、「ベビー用品」、「キッズ用品」、「食料品」などがある。このように各ワードに対してそれぞれの下位のワードが定められ、階層化されている。ワードクラスター構造は、任意に作成することが可能であり、上記に限定されるものではない。
【0041】
ワード翻訳テーブルは、ワードの翻訳を格納するテーブルである。ワード翻訳テーブルは、ワードID、翻訳先の言語の言語コード、当該ワードの翻訳文のデータ、音声データなどが格納されている。
【0042】
スロットテーブルは、スロットを一意に識別するスロットIDと、スロットの呼称であるスロット名などが格納されている。スロットとは、文章における引数となるワードを、あらかじめ定められた概念でまとめたものである。たとえば「母がぜんそくです。」という文章の場合、「<人物>がぜんそくです。」という文章の母型(後述)が存在し、そこに「人物」のスロットに対応するワードが代入される。従って、「<人物>」がスロットになる。
【0043】
スロットワードテーブルは、スロットと、スロットに代入されるワードとの紐付けを格納するテーブルである。スロットワードテーブルは、スロットIDと、当該スロットに紐づけられたワードのワードIDなどが格納されている。たとえば上述の例では、スロット「人物」に対しては、「この人」、「夫」、「妻」、「私」、「母」、「父」、「息子」、「娘」などのワードが紐づけられている。
【0044】
スロット翻訳テーブルは、スロットの翻訳を格納するテーブルである。スロット翻訳テーブルは、スロットID、翻訳先言語の言語コード、スロットの翻訳文のデータなどが格納されている。
【0045】
母型テーブルは、文の母型となる文章データを格納するテーブルである。母型テーブルは、母型を一意に識別する母型IDと、母型文のデータと、表示時の優先順位などが格納されている。
【0046】
母型構造テーブルは、母型と要素となるオブジェクトのワードの紐付けを格納するテーブルである。母型構造テーブルは、母型IDと、母型文中に含まれるスロット番号と、当該母型に紐づけられる要素(ワード)のワードIDなどが格納されている。
【0047】
母型翻訳テーブルは、母型の翻訳を格納するテーブルである。母型翻訳テーブルは、母型IDと、翻訳先言語の言語コードと、母型の翻訳文のデータなどが格納されている。
【0048】
母型回答テーブルは、ある母型に対する回答となる母型を紐づけるテーブルである。母型回答テーブルは、母型IDと、当該母型に対する回答となる母型IDを示す回答母型IDなどが格納されている。
【0049】
母型履歴テーブルは、実際に使用された母型を格納するテーブルである。母型履歴テーブルは、母型が使用された日時と、当該母型IDなどが格納されている。
【0050】
ワード履歴テーブルは、実際に使用されたワードの履歴を格納するテーブルである。ワード履歴テーブルは、ワードが使用された日時と、当該ワードのワードIDなどが格納されている。
【0051】
このように各テーブルが記憶部22に記憶されており、翻訳処理部21が必要なテーブルを参照することで、処理を実行する。なお記憶部22における上記テーブルは一例であって、データテーブルの構造そのものは、さまざまな構成を採ることが出来る。
【実施例1】
【0052】
次に本発明の翻訳システム1の処理の一例を図3のフローチャートなどを用いて説明する。なお以下の説明においては、ユーザ端末3が、タッチパネル型の携帯電話、たとえばOSとしてGoogle社が提供するAndroidを搭載した携帯電話の場合を示す。また、本実施例では、ユーザがジャケットを買い、その色および素材を指定する意思を店員に伝達したい場合を例として説明する。
【0053】
まずあらかじめ本発明の翻訳システム1のユーザ端末3側における処理を行うためのアプリケーションソフトウェアをユーザ端末3にインストールをしておく。この際のアプリケーションの機能としては、ユーザ端末3におけるインターフェイス機能は少なくとも備えておくことが好ましい。インターフェイス機能とは、ユーザ端末3の表示装置72において、ユーザに表示を行い、あるいは後述するようにアイコンの選択、移動、翻訳された文章の表示等の処理を行う機能である。またアプリケーション機能として、音声データもあらかじめ含めておくことが好ましい。これによって、データ量が多い音声データをサーバ2からそのたびに取得せずとも済む。
【0054】
ユーザ端末3において所定の操作を行うことで翻訳システム1のアプリケーションソフトウェアを起動させる(S100)。起動した際のトップ画面300の一例が図6、図7である(S110)。図7に示すように、トップ画面300には、ユーザの状況におけるワードクラスター構造に対応するアイコンを表示するアイコンパネル表示領域301、メニュー画面を開くためのメニューボタン302、言語を切り替えるための言語切替ボタン303、現在選択中のアイコンを表示する履歴アイコン表示領域304、アイコンパネル表示領域301をスクロールさせるためのアイコンパネルスクロールボタン305、ユーザが選択したアイコンをおいておくための翻訳トレイ306、翻訳トレイ306をスクロールさせるための翻訳トレイスクロールボタン307、翻訳トレイ306においてあるアイコンをクリアするための翻訳トレイクリアボタン308、翻訳トレイ306においてあるアイコンで絞り込まれた翻訳候補の件数を表示する翻訳候補ガイド表示領域309がある。なお、翻訳トレイ306におかれた任意のアイコンを除外したい場合には、翻訳トレイ306から当該アイコンを移動させればよい。
【0055】
本発明の翻訳システム1の基本的な操作としては、ユーザがアイコンパネル表示領域301に表示されたアイコンから所望のアイコンを選択し、それを翻訳トレイ306にドラッグすることで、翻訳候補を絞り込む。そして翻訳候補ガイド表示領域309をタップ(当該表示領域を選択)することで、その翻訳候補が表示され、その中から所望の文章を選択する。なおこれらの処理の詳細は後述する。
【0056】
ユーザがメニューボタン302を選択した場合、図8に示すようなメニュー画面が表示される。メニュー画面では、翻訳システム1を用いるにあたってサポートする機能を起動させるための画面である。たとえば翻訳履歴やカレンダー、時計、計算機、地図などを表示させることができる。
【0057】
言語切替ボタン303を選択した場合、画面で表示される言語を切り替えることができる。たとえば図6の場合、中国語が選択されているので、中国語から日本語への翻訳が行われる。また図6において日本語が選択された場合、日本語から中国語への翻訳が行われ、トップ画面300の各言語表記の上下が入れ替わって表示される。
【0058】
たとえばトップ画面300のアイコンパネル表示領域301から「レジャー」、「レジャー」の下位のアイコンとして「雪遊び」がすでに選択されている状態で、履歴アイコン表示領域310を選択した場合、図9に示すような履歴画面が表示される。図9の場合、トップ画面300、「レジャー」アイコン、「雪遊び」アイコンが、それぞれ選択された履歴として履歴アイコン表示領域310に表示される。
【0059】
アプリケーションソフトウェアの起動後は、まだ最初なので文章の選択は行われていないことから(S120)、ユーザは自らの状況に最も近い分類のアイコンを表示装置72において選択し、そのアイコンをそのまま翻訳トレイ306までドラッグする(S130)。本実施例では、ユーザは、ジャケットを買うことを所望しているので、ユーザ端末3の表示装置のトップ画面300におけるアイコンパネル表示領域301に表示されたアイコンのうち、「買う」を示すアイコンを選択し、そのアイコンを翻訳トレイ306にドラッグ(移動)させる。
【0060】
翻訳トレイ306に「買う」アイコンをドラッグすることで、ユーザ端末3からサーバ2に対して、翻訳トレイ306にドラッグ(選択)された「買う」アイコンのワードIDと、「買う」の下位のワードのワード情報の取得要求と、翻訳トレイ306に入っているアイコン「買う」のワードIDと、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードに合致する候補分の取得要求と、が送られる(S140)。
【0061】
ユーザ端末3からの取得要求を通信処理部20を介して受け取った翻訳処理部21は、「買う」アイコンのワードIDに基づいて、記憶部22を参照する。ワードクラスター構造テーブルには、親IDとして「買う」のワードID、子ワードIDとして、「買う」の下位のワード(「ファッション」、「コスメ」、「ブランド」、「電化製品」、「おみやげ」、「医薬品」、「日用品」、「買い物の場所」、「お店で」、「文房具」、「インテリア」、「スポーツ用品」、「旅行用品」、「書籍」、「ホビー雑貨」、「ベビー用品」、「キッズ用品」、「食料品」)のワードIDが対応づけられているので、「買う」のワードIDに基づいて、それに対応づけられている子ワードIDを抽出する。そして特定した各子ワードID(「ファッション」、「コスメ」、「ブランド」、「電化製品」、「おみやげ」、「医薬品」、「日用品」、「買い物の場所」、「お店で」、「文房具」、「インテリア」、「スポーツ用品」、「旅行用品」、「書籍」、「ホビー雑貨」、「ベビー用品」、「キッズ用品」、「食料品」のワードID)に基づいて、ワードテーブルにおけるワード情報を抽出する(S150)。また、子ワードIDに基づいて、ワード翻訳テーブルを参照し、各子ワードの(言語コードに沿った)翻訳文を抽出する(言語が複数ある場合には、「買う」のワードIDの取得要求の際に、その言語コードもサーバ2に送られている)。
【0062】
さらに翻訳処理部21は、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワード(ここでは「買う」)のワードIDに基づいて、母型構造テーブルを参照し、当該ワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。つまり、「買う」のワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。
【0063】
そして翻訳処理部21は特定した母型IDに基づいて母型テーブルを参照し、母型文、音声データ、表示の優先順位などの情報を抽出する。また、母型IDに基づいて、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルを参照し、母型翻訳テーブルでは翻訳文、付随情報テーブルではツールとスロットIDを抽出する。そして翻訳処理部21は、母型テーブル、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルから抽出した各情報をユーザ端末3に送る。この各情報は、上述のワード情報と併せてユーザ端末3に送っても良い。また、音声データをあらかじめユーザ端末3の記憶装置71に記憶させている場合には、音声データを抽出しなくても良い。
【0064】
このように、翻訳トレイ306にドラッグされたアイコンが対応するワードの子ワードのワード情報と翻訳文、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補と、を翻訳処理部21は、通信処理部20を介してユーザ端末3に送る。
【0065】
ユーザ端末3では、サーバ2から受け取った、「買う」のワードの下位のワード(子ワード)のワード情報、特にアイコンと、その翻訳文をアイコンパネル表示領域301に表示させる(S160)。なおアイコンパネル表示領域301には一度で表示できるアイコン数に限りがあるので、スクロールして表示可能とすればよい。また、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補数をカウントし、その数を翻訳候補ガイド表示領域309に表示する。この状態のトップ画面300の一例が図10である。
【0066】
そしてユーザはジャケットを買うことを所望しているので、まだ翻訳候補文の選択処理は行わずに(S120)(この段階で翻訳候補文の選択処理を行っても良いが、まだ候補分の数が多いので、通常は絞り込みを継続する)、この状態のトップ画面300から、「ファッション」のアイコンを選択し(S130)、翻訳トレイ306にドラッグする。
【0067】
翻訳トレイ306に「ファッション」アイコンをドラッグすることで、ユーザ端末3からサーバ2に対して、翻訳トレイ306にドラッグ(選択)された「ファッション」アイコンのワードIDと、「ファッション」の下位のワードのワード情報の取得要求と、翻訳トレイ306に入っているアイコン「買う」と「ファッション」のワードIDと、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードに合致する候補分の取得要求と、が送られる(S140)。
【0068】
そしてこの取得要求を通信処理部20を介して受け取った翻訳処理部21は、上述の「買う」の場合と同様に、「ファッション」アイコンのワードIDに基づいて、ワードクラスター構造テーブルを参照し、親IDとして「ファッション」のワードIDに対応づけられた子ワードのワードIDを抽出する。ここでは、「婦人服」、「婦人雑貨」、「紳士服」、「紳士雑貨」、「時計」、「メガネ」、「和服」、「スポーツ」のワードIDが子ワードIDとして抽出される。また、抽出した子ワードIDに基づいて、ワード翻訳テーブルを参照し、各子ワードの翻訳文を抽出する。そして抽出した子ワードのワード情報と翻訳文を翻訳処理部21は、通信処理部20を介してユーザ端末3に送る。
【0069】
さらに翻訳処理部21は、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワード(ここでは「買う」、「ファッション」)のワードIDに基づいて、母型構造テーブルを参照し、当該ワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。つまり、「買う」のワードIDおよび「ファッション」のワードに対応する母型ID、スロットIDを特定する。
【0070】
そして翻訳処理部21は特定した母型IDに基づいて母型テーブルを参照し、母型文、音声データ、表示の優先順位などの情報を抽出する。また、母型IDに基づいて、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルを参照し、母型翻訳テーブルでは翻訳文、付随情報テーブルではツールとスロットIDを抽出し、ユーザ端末3に送る。
【0071】
このように、翻訳トレイ306にドラッグされたアイコンが対応するワードの子ワードのワード情報と翻訳文、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補と、を翻訳処理部21は、通信処理部20を介してユーザ端末3に送る。
【0072】
ユーザ端末3では、サーバ2から受け取った、「ファッション」のワードの下位のワード(子ワード)のワード情報、特にアイコンと、その翻訳文をアイコンパネル表示領域301に表示させる(S160)。また、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補数をカウントし、その数を翻訳候補ガイド表示領域309に表示する。この状態のトップ画面300の一例が図11である。
【0073】
このように、ユーザは絞り込みを行っていく。すなわち、ユーザはジャケットを買うことを所望しているので、まだ翻訳候補文の選択処理は行わずに(S120)、この状態のトップ画面300から、「紳士服」のアイコンを選択し(S130)、翻訳トレイにドラッグする。
【0074】
翻訳トレイ306に「紳士服」アイコンをドラッグすることで、ユーザ端末3からサーバ2に対して、翻訳トレイ306にドラッグ(選択)された「紳士服」アイコンのワードID、「紳士服」の下位のワードのワード情報の取得要求と、翻訳トレイ306に入っているアイコン「買う」、「ファッション」、「紳士服」のワードIDと、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードに合致する候補分の取得要求と、が少なくとも送られる(S140)。
【0075】
そしてこの取得要求を通信処理部20を介して受け取った翻訳処理部21は、「紳士服」アイコンのワードIDに基づいて、ワードクラスター構造テーブルを参照し、親IDとして「紳士服」のワードIDに対応づけられた子ワードのワードIDを抽出する。ここでは、「スーツ」、「フォーマル」、「コート」、「ジャケット」、「ダウン」、「パンツ」、「ジーンズ」、「シャツ」、「カットソー」のワードIDが子ワードIDとして抽出される。また、抽出した子ワードIDに基づいて、ワード翻訳テーブルを参照し、各子ワードの翻訳文を抽出する。そして抽出した子ワードのワード情報と翻訳文を翻訳処理部21は、通信処理部20を介してユーザ端末3に送る。
【0076】
さらに翻訳処理部21は、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワード(ここでは「買う」、「ファッション」、「紳士服」)のワードIDに基づいて、母型構造テーブルを参照し、当該ワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。つまり、「買う」のワードID、「ファッション」のワードID、「紳士服」のワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。
【0077】
そして翻訳処理部21は特定した母型IDに基づいて母型テーブルを参照し、母型文、音声データ、表示の優先順位などの情報を抽出する。また、母型IDに基づいて、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルを参照し、母型翻訳テーブルでは翻訳文、付随情報テーブルではツールとスロットIDを抽出し、ユーザ端末3に送る。
【0078】
このように、翻訳トレイ306にドラッグされたアイコンが対応するワードの子ワードのワード情報と翻訳文、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補と、を翻訳処理部21は、通信処理部20を介してユーザ端末3に送る。
【0079】
ユーザ端末3では、サーバ2から受け取った、「紳士服」のワードの下位のワード(子ワード)のワード情報、特にアイコンと、その翻訳文をアイコンパネル表示領域301に表示させる(S160)。また、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補数をカウントし、その数を翻訳候補ガイド表示領域309に表示する。この状態のトップ画面300の一例が図12である。
【0080】
ユーザはジャケットを買うことを所望しているので、まだ翻訳候補文の選択処理は行わずに(S120)、この状態のトップ画面300から、「ジャケット」のアイコンを選択し(S130)、翻訳トレイにドラッグする。
【0081】
翻訳トレイ306に「紳士服」アイコンをドラッグすることで、ユーザ端末3からサーバ2に対して、翻訳トレイ306に入っているアイコン「買う」、「ファッション」、「紳士服」のワードIDと、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードに合致する候補分の取得要求と、が送られる(S140)。ここで、「ジャケット」のワードIDは、最下層のワードIDであることから、子ワードのワードIDの取得要求は行わない。なお、ワードクラスター構造における最下層のワードのアイコンと、それ以外のアイコンととでは、最下層か否かを容易に識別可能とする為、その形状を異なるものとしても良い。上述の各図の例では、最下層のワードである「ジャケット」のアイコンは通常の略四角形の形状をしているが、最下層以外のワードのアイコンは略四角形が複数重なっている形状をしていることで、識別可能としている。
【0082】
翻訳処理部21は、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワード(ここでは「買う」、「ファッション」、「紳士服」、「ジャケット」)のワードIDに基づいて、母型構造テーブルを参照し、当該ワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。つまり、「買う」のワードID、「ファッション」のワードID、「紳士服」のワードID、「ジャケット」のワードIDに対応する母型ID、スロットIDを特定する。
【0083】
そして翻訳処理部21は特定した母型IDに基づいて母型テーブルを参照し、母型文、音声データ、表示の優先順位などの情報を抽出する。また、母型IDに基づいて、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルを参照し、母型翻訳テーブルでは翻訳文、付随情報テーブルではツールとスロットIDを抽出し、ユーザ端末3に送る。
【0084】
このように、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補を翻訳処理部21は、通信処理部20を介してユーザ端末3に送る。そしてユーザ端末3では、翻訳トレイ306に入っているアイコンが対応するワードの翻訳文の候補数をカウントし、その数を翻訳候補ガイド表示領域309に表示する。
【0085】
以上の操作によって、「ジャケット」までの絞り込みが行えたので、翻訳候補ガイド表示領域309をタップする(S120)。
【0086】
翻訳候補ガイド表示領域309がタップされることで、ユーザ端末3では、図14に示すように、「買う」、「ファッション」、「紳士服」、「ジャケット」に対応づけられた翻訳文の候補を表示する(S170)。すなわち、ここで表示される翻訳文は、ユーザが選択し絞り込んだ状況、「ジャケットを買う」という状況に対応した文章が表示される。翻訳文は、翻訳前の言語(上記では中国語)による表記と翻訳後の言語(上記では日本語)による表記とが併記されていることが好ましい。
【0087】
なお、上述の処理では、ワードのアイコンが選択(翻訳トレイ306にドラッグ)されるたびに、当該選択されたワードに対応づけられた母型構造テーブルを参照することで、母型テーブル、母型対訳テーブル、付随情報テーブル、母型回答テーブルから翻訳文、ツールとスロットID、回答母型IDなどの情報を抽出する処理を実行した。しかし、ワードのアイコンが選択されるごとに、翻訳トレイ306に入っているすべてのワードIDを送るのではなく、新しく入ったワードIDのみを送り、すでにユーザ端末3で格納している翻訳候補文のワードIDのうち、新たに選択されたアイコンのワードのワードIDと一致する翻訳候補文のみを選択可能とし、一致しない翻訳候補文をユーザ端末3から削除(あるいは表示させない)構成としても良い。この場合には、同じデータは送らずに、差分となるデータのみをサーバ2からユーザ端末3に送ればよい。また、一致しない翻訳候補文を表示させない構成とするには、表示するか否かを示すフラグをそれぞれの翻訳候補文に対応づけておき、そのフラグの有無を制御することで、表示の有無を制御することが出来る。すなわち、すべてのワードIDに対応する翻訳候補文のフラグを表示ありを示すフラグとし、そうでない翻訳候補文のフラグを表示なしを示すフラグとする。
【0088】
また、翻訳候補ガイド表示領域309がタップされた段階で、翻訳トレイ306に入っているワードに対応づけられた母型構造テーブルを参照することで、母型テーブル、母型対訳テーブル、付随情報テーブル、母型回答テーブルから翻訳文、ツールとスロットID、回答母型IDなどの情報を抽出するように構成することもできる。
【0089】
なお、翻訳文中には、図14の311に示すように文章中に<>が含まれている文章がある。この<>の中は上述のようにスロットであり、文章中に引数として代入するものである。従って、このような文章を翻訳文として選択した場合、付随情報ありとして、付随情報の選択処理を実行する(S180)。
【0090】
ここでは「ジャケットを買う」という翻訳文を選択するので、翻訳文中にはスロットは含まれていない。「ジャケットを買う」という翻訳文を選択した場合の画面の一例を図15に示す。
【0091】
ここで「ジャケットを買う」という翻訳文を選択することで、ユーザ端末3は、選択した翻訳文の母型IDと、当該母型IDに対応づけられた回答の取得要求とを、サーバ2に送る。通信処理部20を介して、上記母型IDと回答の取得要求とを受け付けた翻訳処理部21は、当該母型IDに基づいて母型回答テーブルを参照し、回答文の母型IDを抽出する。そして抽出した回答文の母型IDに基づいて母型テーブル、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルを参照し、母型翻訳テーブルでは翻訳文、付随情報テーブルではツールとスロットIDを抽出し、ユーザ端末3に送る。ユーザ端末3では、この回答の文の翻訳文などを記憶しておく。
【0092】
図16(図15)の画面には、翻訳文を表示する翻訳表示欄312、翻訳文を音声で再生・停止するための再生/停止ボタン313、翻訳文に対する回答を表示するための回答ボタン314、翻訳表示欄で表示される翻訳文に対して有効な付随情報、たとえば素材、色などの付随情報の入力を受け付ける付随情報欄315、選択した付随情報をクリアするための条件クリアボタン316などがある。
【0093】
すなわち、図16の状態でそのまま翻訳をして、たとえば店員に伝えて良ければ(すなわち付随情報がない場合には)(S180)、ユーザは、再生/停止ボタン313を選択することで、ユーザ端末3は、対応するワードIDの音声データを記憶装置71から抽出して出力する(S220)。これによって、ユーザは店員に対して「ジャケットを下さい。」という自らの意思を伝達することが出来る。なお、音を再生することがはばかられる状況では、翻訳表示欄312の表示をそのまま見せるだけであっても良い。
【0094】
しかしながら、より細かい情報をユーザが伝えたい場合、たとえばジャケットの素材や色などの付随情報(もととなる文章を修飾するための文章)を伝えたい場合には(すなわち付随情報がある場合には(S180)、ユーザは、付随情報欄315から付随情報を選択する(S190)。
【0095】
たとえばまず「カラー」をタップすると、ユーザ端末3からサーバ2に色の付随情報の関連データの取得要求が送られ(S200)、それを通信処理部20を介して受け付けた翻訳処理部21は、記憶部22に記憶する色のデータテーブル(図示せず)から、当該色のデータをユーザ端末3に送る。その結果、ユーザ端末3では図17に示すように、色の選択画面が表示される。そして、ユーザが所望の色を選択し「OK」を選択することで、選択された色のワードIDがユーザ端末3からサーバ2に送られ、通信処理部20を介して翻訳処理部21で受け付ける。そして翻訳処理部21は、当該ワードIDに対応する翻訳文をワードテーブルから抽出し、ユーザ端末3に送る(S210)。たとえば「青」を選択した場合、「青」のワードIDがユーザ端末3からサーバ2に送られ、それを受け付けた翻訳処理部21は、記憶部22のワードテーブルから「青」のワードIDに基づいて、「色は青」の翻訳文を抽出し、それをユーザ端末3に送る。ユーザ端末3では、それを表示する。この状態を示すのが図18である。
【0096】
さらに、ユーザが素材を選択した場合も同様の処理が実行される。すなわち、付随情報欄315から、「素材」をタップすると、ユーザ端末3からサーバ2に素材の付随情報の関連データの取得要求が送られ(S200)、それを通信処理部20を介して受け付けた翻訳処理部21は、記憶部22に記憶する素材のデータテーブル(図示せず)から、当該素材のデータをユーザ端末3に送る。その結果、ユーザ端末3では図19に示すように、素材の選択画面が表示される。そして、ユーザが所望の素材を選択し「OK」を選択することで、選択された素材のワードIDがユーザ端末3からサーバ2に送られ、通信処理部20を介して翻訳処理部21で受け付ける。そして翻訳処理部21は、当該ワードIDに対応する翻訳文をワードテーブルから抽出し、ユーザ端末3に送る(S210)。たとえば「麻」を選択した場合、「麻」のワードIDがユーザ端末3からサーバ2に送られ、それを受け付けた翻訳処理部21は、記憶部22のワードテーブルから「麻」のワードIDに基づいて、「素材は麻」の翻訳文を抽出し、それをユーザ端末3に送る。ユーザ端末3では、それを表示する。この状態を示すのが図20である。
【0097】
以上のようにして付随情報をユーザが選択し、その翻訳文を店員に伝えて良ければ(S180)、ユーザは、再生/停止ボタン313を選択することで、ユーザ端末3は、対応するワードIDの音声データを記憶装置71から抽出して出力する(S220)。これによって、ユーザは店員に対して「ジャケットを下さい。色は青。素材は麻」という自らの意思を伝達することが出来る。なお、音を再生することがはばかられる状況では、翻訳表示欄312の表示をそのまま見せるだけであっても良い。
【0098】
そしてそれに対しての回答を店員から受け付けたい場合には(S230)、ユーザは、「回答」ボタンをタップすることで、図21に示すような回答の画面を表示させ、店員からの受け付けを待つ。なおここで表示される回答は、上述の処理で取得した回答文の母型IDに対応する翻訳文などである。
【0099】
店員はこの回答の中から一つを選択することで(S240)、その回答の母型IDに基づいて、対応する回答IDの音声データを記憶装置71から抽出して出力する(S250)。
【0100】
以上のような処理を実行することで、ユーザと店員との間で意思の伝達が行える。
【実施例2】
【0101】
つぎに、文章中にスロットが含まれる場合を説明する。本実施例においては、ユーザは、「母親がぜんそくである」ことを伝えたい場合とする。
【0102】
この場合であっても実施例1と同様に、アイコンパネル表示領域301に表示されるアイコンから翻訳トレイ306にアイコンをドラッグすることで絞り込みを行う。たとえば「トラブル」、「病名」、「ぜんそく」をそれぞれ上述と同様にドラッグする。この状態のトップ画面300の一例を図22に示す。
【0103】
以上の操作によって、「ぜんそく」までの絞り込みが行えたので、翻訳候補ガイド表示領域309をタップする(S120)。
【0104】
翻訳候補ガイド表示領域309がタップされることで、ユーザ端末3では、図23に示すように、上記に対応づけられた翻訳文の候補を表示する(S170)。すなわち、ここで表示される翻訳文は、ユーザが選択し絞り込んだ状況、「ぜんそく」という状況に対応した文章が表示される。
【0105】
ここでユーザは、「母親」がぜんそくであることの意思伝達を所望しているので、「<人物>はぜんそくです。」という翻訳文を選択することになる(S180、S190)。この翻訳文にはスロットが含まれている。そこで、そこで翻訳文を選択すると、そのスロット番号に対応するスロットの情報の取得要求をユーザ端末3からサーバ2に行う(S200)。すなわち「<人物>」に対応するスロット番号がユーザ端末3からサーバ2に送られる。通信処理部20を介してそれを受け付けた翻訳処理部21は、スロット番号に基づいて、対応するワードIDをスロットワードテーブルを参照することで特定し、当該ワードIDに対応するワード情報をワードテーブルから抽出する(S210)。ここでは「人物」に対応するワードID、たとえば「私」、「この人」、「夫」、「妻」、「父」、「母」、「息子」、「娘」などのワードIDをスロットワードテーブルから特定する。そして特定したワードIDに基づいて、「私」、「この人」、「夫」、「妻」、「父」、「母」、「息子」、「娘」などのワードIDに対応するワード情報をワードテーブルから抽出し、ユーザ端末3に送る。
【0106】
ユーザ端末3は、サーバ2から受け取ったワード情報をアイコンパネル表示領域301に表示させる。この状態を模式的に示すのが図24である。
【0107】
ユーザはこのように表示されたアイコンパネル表示領域301から、該当者、ここでは「母」を選択し、翻訳トレイにドラッグする。この状態を模式的に示すのが図25である。
【0108】
そしてユーザは、翻訳候補ガイド表示領域309をタップする。これによって、上記で選択したスロットの引数に値(母)が代入できたので、それを代入した翻訳文を表示させる。この状態を模式的に示すのが図26である。
【0109】
以上のようにして付随情報であるスロットをユーザが選択し、その翻訳文を店員に伝えて良ければ(S180)、ユーザは、再生/停止ボタン313を選択することで、ユーザ端末3は、対応するワードIDの音声データを記憶装置71から抽出して出力する(S220)。これによって、ユーザは店員に対して「母はぜんそくです」という自らの意思を伝達することが出来る。
【0110】
そしてこれは一方的な意思の伝達であることから回答文がない。そのため、そのまま終了する。なお、その症状についての質問を回答として受け付けても良い。
【0111】
以上のような処理を実行することで、ユーザと店員との間で意思の伝達が行える。
【実施例3】
【0112】
つぎに、インターネット上の情報と連携する場合を説明する。本実施例においては、ユーザが、「大倉山展望台はどこですか。」との意思を伝達したい場合とする。
【0113】
この場合であっても実施例1、実施例2と同様に、アイコンパネル表示領域301に表示されるアイコンから翻訳トレイ306にアイコンをドラッグすることで絞り込みを行う。たとえば「観光名所」を上述と同様にドラッグする。この状態のトップ画面300の一例を図27に示す。
【0114】
図27では、当該アイコンに、特定の情報があることを示すマーク317が付されている。このようなアイコンの場合、ドラッグする前にそのアイコンをタップすることによって、当該ワードIDに対応するURLの取得要求がユーザ端末3からサーバ2に送られる。そしてその取得要求を通信処理部20を介して受け付けた翻訳処理部21は、記憶部22のワードテーブルにおける、当該ワードID(たとえば大倉山展望台のワードID)に対応するURLを抽出し、ユーザ端末3に送る。ユーザではそのURLを受け取ると、当該URLにアクセスし、そのURLにおける情報を表示する。このURLは、当該アイコンに対応する情報が記載されたウェブサイトのURLであることが好ましい。
【0115】
ユーザは「大倉山展望台」について知りたいので、「大倉山展望台」を翻訳トレイにドラッグする。この状態を模式的に示すのが、図28である。
【0116】
以上の操作によって、「大倉山展望台」までの絞り込みが行えたので、翻訳候補ガイド表示領域309をタップする(S120)。なお、ここまでの処理において、実施例1と同様に、それぞれの翻訳候補文などのデータをユーザ端末3で受け取っている。
【0117】
翻訳候補ガイド表示領域309がタップされることで、図29に示すように、上記に対応づけられた翻訳文の候補を表示する。
【0118】
ここでは「大倉山展望台はどこですか」という翻訳文を選択するので、翻訳文中にはスロットは含まれていない。この翻訳文を選択した場合の画面の一例を図30に示す。
【0119】
そして、ユーザが再生/停止ボタン313を選択することで、ユーザ端末3は、対応するワードIDの音声データを記憶装置71から抽出して出力する。これによって、ユーザは相手に対して「大倉山展望台はどこですか」という自らの意思を伝達することが出来る。
【0120】
そしてそれに対しての回答を相手から受け付けたい場合には、ユーザは、「回答」ボタンをタップすることで、図31に示すような回答の画面を表示させ、相手からの受け付けを待つ。なおここで表示される回答は、上述の実施例と同様に、翻訳文を表示させる際に、その翻訳文の母型IDと、当該母型IDに対応する回答の取得要求とをユーザ端末3からサーバ2に送ることで取得できる。つまり、通信処理部20を介して受け付けたサーバ2の翻訳処理部21が、当該母型IDの対応する回答の母型IDを母型回答テーブルから抽出する。そして回答の母型IDに基づいて、母型テーブル、母型翻訳テーブル、付随情報テーブルなどを参照することで、翻訳文を母型テーブル、母型翻訳テーブルから抽出し、ツールを付随情報テーブルから抽出し、それらをユーザ端末3に送る。そしてユーザ端末3でその表示を行えばよい。
【0121】
相手はこの回答の中から一つを選択することで、その回答の母型IDに基づいて、対応する回答IDの音声データを記憶装置71から抽出して出力する。たとえば、「地図をご覧下さい」を選択すると、それに対応する母型IDがユーザ端末3からサーバ2に送られ、通信処理部20を介して受け取った翻訳処理部21は、該当する翻訳文を母型翻訳テーブルを参照することで、ユーザ端末3に送る。そしてその結果を、図32に示すようにユーザ端末3で表示させる。
【0122】
そして付随情報である地図を選択することで、当該地図情報に対応するURLにアクセスし、地図情報が表示される。これを模式的に示すのが図33である。
【0123】
以上のような処理を実行することで、ユーザと相手との間で意思の伝達が行える。また、インターネット上の情報との連携も可能となる。
【実施例4】
【0124】
上述の実施例1乃至実施例3は小型の表示装置を備える携帯端末の場合で説明したが、それよりも若干大きめの表示装置を備えるタブレット型のコンピュータ端末(たとえばアップル社が提供するiPADなど)であっても良い。ただしこの場合にはトップ画面300などの表示が若干異なるが基本的な操作は上述の各実施例と同様である。
【0125】
タブレット型のコンピュータ端末の場合のトップ画面300の一例を図34、図35に示す。図35に示すように、基本的には図6(図7)のトップ画面300と同じであるが、タブレット型のコンピュータ端末は携帯端末よりも表示装置が大きいので、メニューボタン302、アイコンパネルスクロールボタン305、翻訳候補ガイド表示領域309などは設けない。メニューボタン302の代わりに、メニュー画面(図8)で表示されていた各内容をそのままアイコンとして表示させる。また、翻訳トレイの下方に、翻訳候補表示領域309bを設ける。すなわち、図36に示すように、翻訳候補文が逐次、表示される。
【0126】
このような構成とすることで、画面遷移を極力減らすことができる。
【実施例5】
【0127】
記憶部22における各テーブルには、優先順位、表示順位などのデータが格納されている場合がある。それらは、履歴データにおける選択頻度などに基づいて使用頻度の高い母型IDの文やワードから順にソートすることで、アイコンや翻訳文などの表示位置を調整することが出来る。
【0128】
たとえば母型履歴テーブルやワード履歴テーブルでは、それぞれワードや候補文が選択されたことを記録し、次回の表示位置に反映をする。
【0129】
たとえば、「買う」の下位のワードは、「ファッション」、「コスメ」、「ブランド」、「電化製品」、「おみやげ」というような順序になっているが、「電化製品」の使用頻度が高ければ、1番目に「電化製品」が表示されるようになる。
【実施例6】
【0130】
さらに本発明の翻訳システム1を別の用途に用いることが出来る。たとえば任意の二者間の意思疎通に用いることが出来る。また、意思疎通の相手方が聴覚障害者であって、他方が健常者の場合、聴覚障害者と健常者との間で本システムを用いて意思疎通を行うことが出来る。その場合の態様を図37に示す。
【0131】
すなわち意思疎通システム1’として用いる場合には、上述の各実施例のように、記憶部22には翻訳文のテーブル、データは不要となり、日本語のみが記憶されていればよい。そして、聴覚障害者によるユーザがユーザ端末3を操作し、伝えたい意思の内容を、上述の各実施例と同様に、ユーザ端末3のトップ画面の翻訳トレイ306に相当する領域にアイコンを集める。アイコンを集めることで、各ワードに対応づけられた文章の絞り込みが行われ、ユーザが所望の段階で翻訳候補ガイド表示領域309に相当する領域がタップされることで、翻訳トレイ306に相当する領域に集められたアイコンのワードの各ワードIDに基づいて、候補となる文章の絞り込みが行われる。なお絞り込みは、処理部23により、上述の各実施例と同様に記憶部22に記憶するテーブルのうち、ワードテーブル、母型構造テーブル、母型テーブル、などに基づいてデータの特定が行われれば良い。
【0132】
このようにして候補となる文章の中からユーザが特定の文章を選択することで、その文章が相手方に表示され、聴覚障害者であるユーザが、その相手方に対して、意思を伝達することが出来る。当該相手方からの回答も同様に処理可能である。
【0133】
以上のように、ユーザ端末の所定領域にアイコンを集め、その集められた各アイコンの対応するワードIDに基づいて、ワードIDに対応づけられた候補文の絞り込みを行い、候補文の選択、表示などを行えることで、翻訳以外の場面でも意思疎通を行うことが出来る。また、ユーザが行う操作は、アイコンを集める、文章を選択する、といった極めて簡単な操作だけなので、誰でもが容易に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
上述の翻訳システム1やそのインターフェイスの表示プログラムを用いることで、ユーザは所望の意思伝達を容易な操作で行うことが出来る。また、単に登録されている文章を探すのではなく、文法を知らなくても適切に文章を生成し、翻訳を行うことが出来るので、意思伝達の多様性を図ることも出来る。
【符号の説明】
【0135】
1:翻訳システム
1’:意思疎通システム
2:サーバ
3:ユーザ端末
20:通信処理部
21:翻訳処理部
22:記憶部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
300:トップ画面
301:アイコンパネル表示領域
302:メニューボタン
303:言語切替ボタン
304:履歴アイコン表示領域
305:アイコンパネルスクロールボタン
306:翻訳トレイ
307:翻訳トレイスクロールボタン
308:翻訳トレイクリアボタン
309:翻訳候補ガイド表示領域
309b:翻訳候補表示領域
310:履歴アイコン表示領域
311:スロットを含む翻訳文
312:翻訳表示欄
313:再生/停止ボタン
314:回答ボタン
315:付随情報欄
316:条件クリアボタン
317:情報があることを示すマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作するユーザ端末との間でネットワークを介して通信可能なサーバを備える翻訳システムであって、
前記翻訳システムは、
少なくとも二カ国以上の言語で基本となる文章データを記憶する記憶部と、
前記ユーザとの間で通信を行う通信処理部と、
前記ユーザ端末からの要求を前記通信処理部を介して受け付け、該要求に応じたデータを前記記憶部から抽出し、前記通信処理部を介して前記抽出したデータを前記ユーザ端末に送る翻訳処理部と、を備えており、
前記記憶部では、
前記文章データは、あらかじめ定められたワードの階層構造に対応づけられており、
前記翻訳処理部は、
前記ユーザ端末において前記階層構造におけるワードが選択されることにより、該ワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を受け付け、
前記選択されたワードの下位の階層のワードに関するデータを前記記憶部から抽出して前記ユーザ端末に送り、
前記ユーザ端末において、
前記ワードを選択することで絞り込まれた、前記記憶部における二カ国以上の言語で表記される文章データを表示させる、
ことを特徴とする翻訳システム。
【請求項2】
前記翻訳処理部は、
前記ワードに関するデータとしてアイコンのデータを含み、
前記ユーザ端末において、前記ワードのアイコンが画面内の所定領域に移動させられることで、前記ワードの下位の階層のワードにおけるデータの取得要求を前記ユーザ端末3から受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の翻訳システム。
【請求項3】
前記翻訳処理部は、
前記ユーザ端末において選択された文章データのうち、変数となるスロットが含まれている文章データの選択を受け付けた場合には、前記変数となるスロットのワードのデータの取得要求を前記ユーザ端末から受け付け、
前記取得要求に対応するデータを前記記憶部から抽出し、前記ユーザ端末に送り、
前記ユーザ端末において、前記選択された文章データにおける変数となるスロットに、前記ワードのデータから選択されたデータを代入した上で、前記文章データを表示させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の翻訳システム。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに、
前記文章データに対応づけて、前記文章データを修飾するための付随データを記憶しており、
前記ユーザ端末において、
前記文章データの表示とともに、対応する付随データを選択可能に表示させ、
前記文章データおよび選択された付随データを少なくとも二カ国以上の言語で表示させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の翻訳システム。
【請求項5】
前記記憶部は、さらに、
前記文章データの回答データを対応づけて記憶しており、
前記ユーザ端末において、
前記文章データに対応する回答データを選択可能に表示させ、
前記選択された回答データを少なくとも二カ国以上の言語で表示させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の翻訳システム。
【請求項6】
ユーザが操作するユーザ端末を、
前記ユーザ端末の表示装置で表示する画面に、階層構造からなるワードに対応するアイコンを少なくとも二以上、選択可能に表示させる第一手段、
前記画面に表示されたアイコンから一のアイコンの選択を受け付け、前記選択されたアイコンを前記画面内の所定領域へ移動させる第二手段、
前記所定領域に前記選択されたアイコンが移動すると、前記アイコンが対応するワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を所定のサーバに送る第三手段、
前記所定のサーバから、前記下位の階層のワードに対応するアイコンのデータを受け付け、前記第一手段で表示させる第四手段、
前記画面内の所定箇所が選択されると、前記選択されたワードに対応する文章データが二カ国以上の言語で前記画面において表示する第五手段、
として機能させることを特徴とする翻訳システムで用いる表示プログラム。
【請求項7】
ユーザが操作するユーザ端末を、
前記ユーザ端末の表示装置で表示する画面に、階層構造からなるワードに対応するアイコンを少なくとも二以上、選択可能に表示させる第一手段、
前記画面に表示されたアイコンから一のアイコンの選択を受け付け、前記選択されたアイコンを前記画面内の所定領域へ移動させる第二手段、
前記所定領域に前記選択されたアイコンが移動すると、前記アイコンが対応するワードの下位の階層のワードに関するデータの取得要求を所定のサーバに送る第三手段、
前記所定のサーバから、前記下位の階層のワードに対応するアイコンのデータを受け付け、前記第一手段で表示させる第四手段、
前記画面内の所定箇所が選択されると、前記選択されたワードに対応する文章データを前記画面において表示する第五手段、
として機能させることを特徴とする表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図37】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−243060(P2012−243060A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112083(P2011−112083)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(598123334)ダットジャパン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】