説明

耐ゴム欠け性能評価方法

【課題】市場でのタイヤのゴム欠けの評価に近い精度を有して、耐ゴム欠け性能の優劣を容易にかつ正確に評価する。
【解決手段】アーム先端に打撃片を設けた振子の前記打撃片を、ゴム試験片の前面に衝突させ、振子の落下エネルギと、ゴム試験片のゴム欠けの状態とから耐ゴム欠け性能を評価する。ゴム試験片は、前面と上面との前上コーナ部に、前記上面から下方に向かって軸心i方向と直角にのびる複数の切れ込みが、軸心i方向に等間隔で隔設される切れ込み形成領域が設けられる。打撃片は、衝突時に前記前面に向く対向面と下方に向く下方面とが60〜100°の角度θで交わる下コーナ部を有し、しかもアームの鉛直線通過時又は鉛直線通過直後に、前記下コーナ部を前記前面かつ前記切れ込み形成領域に衝突させる。前記ゴム試験片は、前記衝突時の温度が80〜100℃となるように予め加温される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々な組成のゴムに対して、その耐ゴム欠け性能を容易にかつ正確に評価しうる耐ゴム欠け性能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ寿命やタイヤ強度に影響を与える要因の一つに、トレッドゴムやサイドウォールゴムなどにおける耐ゴム欠け性能があり、この耐ゴム欠け性能が低いと、走行中、路面から受ける衝撃などによってタイヤにゴム欠けが発生し、早期のタイヤ交換が余儀なくされる。
【0003】
そこで従来より、耐ゴム欠け性能を高めるための種々なゴム開発がなされており、又その耐ゴム欠け性能の評価方法として、例えば、JIS K6251の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、ダンベル状試験片の引張強度と切断時伸びとを測定し、そこから破壊エネルギーを算出してその大きさで評価することが行われている。
【0004】
しかし、この引張試験に基づく評価方法では、市場で生じるタイヤのゴム欠け現象と不一致となる場合も多く、耐ゴム欠け性能の優劣を正確に評価することが出来ないという問題がある。
【0005】
又手動により、ハンマーでタイヤを実際に叩く打撃試験を行い、その時のゴムの欠け方、ゴム欠けの大きさなどにより優劣を評価することも一部に実施されている。しかしこのものは、ゴム欠けまでに多数回の打撃が要求されるなど、多くの時間と労力が必要となるため実用的と言い難い。しかもこのものは、再現性に劣るため精度の良い評価を期待することも難しい。
【0006】
なお下記の特許文献1には、先端に打撃片を設けた振子を用い、タイヤのサイド部を打撃することにより、サイド部における部材の強度及び耐久性を評価する試験装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−273299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、先端に打撃片を設けた振子を用い、支持具によって支持したゴム試験片の前面を打撃するとともに、前記ゴム試験片の打撃部分の形状や状態、打撃片の形状、及び打撃位置などを特定することを基本として、市場でのタイヤのゴム欠けの評価に近い精度を有して、耐ゴム欠け性能の優劣を容易にかつ正確に評価でき、しかも試験時間の短縮を図りうる耐ゴム欠け性能評価方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、水平な軸心iにて一端部が枢支されるアームの他端に打撃片を設けた振子の前記打撃片を、支持具により支持したゴム試験片の前面に衝突させて、振子の落下エネルギと、ゴム試験片のゴム欠けの状態とから耐ゴム欠け性能を評価する耐ゴム欠け性能評価方法であって、
前記ゴム試験片は、前後面と上下面と両側面とで囲む矩形ブロック状をなし、かつ前記前面を軸心i方向と平行に支持されるとともに、前記前面と上面とが交わる前上エッジを含む前上コーナ部に、前記上面から下方に向かって軸心i方向と直角にのびる複数の切れ込みが、軸心i方向に等間隔で隔設される切れ込み形成領域が設けられ、
前記振子の打撃片は、衝突時に前記前面に向く対向面、下方に向く下方面、及びこの対向面と下方面とが60〜100°の角度θで交わる下コーナ部を有し、しかも前記アームが前記軸心iからのびる鉛直線を通過する鉛直線通過時又は鉛直線通過直後に、前記下コーナ部を前記前面かつ前記切れ込み形成領域に衝突させるとともに、
前記ゴム試験片は、前記衝突時の温度が80〜100℃となるように予め加温されたことを特徴としている。
【0010】
又請求項2の発明では、前記ゴム試験片の前面は、前記鉛直線通過時における前記打撃片の下コーナ部から0〜6.0mmの距離Lを隔たるように支持されることにより、前記振子の打撃片は、鉛直線通過時又は鉛直線通過直後に前記ゴム試験片と衝突することを特徴としている。
【0011】
又請求項3の発明では、前記切れ込みは、ゴム試験片の上面からの縦深さHbが5〜10mm、前面からの横深さHaが5〜10mm、切れ込み巾tが0.5mm以下であることを特徴としている。
【0012】
又請求項4の発明では、前記打撃片の下コーナ部が前記ゴム試験片と衝突する衝突範囲に配される前記切れ込みの本数は、3又は4本であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は叙上の如く、振子の端部に設けた打撃片をゴム試験片の前面に衝突させ、その時の振子の落下エネルギと、ゴム試験片のゴム欠けの状態とから耐ゴム欠け性能の評価を行う。
【0014】
このとき、ゴム試験片の上面と前面とが交わる前上コーナ部には、その上面から下方に向かって軸心i方向と直角にのびる複数の切れ込みが、軸心i方向に等間隔で隔設される切れ込み形成領域が設けられており、この切れ込み形成領域内かつゴム試験片の前面に、前記打撃片の下コーナ部を衝突させている。しかも前記ゴム試験片は、前記衝突時の温度が80〜100℃となるように予め加温されている。
【0015】
このように、ゴム試験片に切れ込み形成領域を形成すること、この切れ込み形成領域を打撃片の下コーナ部で打撃すること、及びゴム試験片の温度を80℃以上に加温することで、ゴム欠けを促進させて発生させることができ、市場でのゴム欠けの破壊現象を容易にかつ正確に再現させることができる。又1回の打撃で行いうるため、試験時間と労力とを改善できる。
【0016】
又耐ゴム欠け性能の差が、大きなゴム欠け状態(例えばゴム欠けの大きさ)の差となって現れるなど、ゴム欠けを増幅して発生させることができ、耐ゴム欠け性能の優劣の評価をより精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の耐ゴム欠け性能評価方法に用いる試験装置を示す正面図である。
【図2】ゴム試験片を示す斜視図である。
【図3】打撃片によるゴム試験片への衝突状態を説明する断面図である。
【図4】打撃片の他の例を示す断面図である。
【図5】ゴム試験片のゴム欠け状態の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の試験装置1は、ゴム試験片2を支持する支持具3と、支持された前記ゴム試験片2に、振子4の打撃片5を衝突させてゴム欠けを発生させる振子衝撃具6とを具える。
【0019】
前記振子衝撃具6は、基台7A上に支柱7Bを立ち上げたスタンド7と、前記支柱7Bの上端部に設けた水平な支持軸8により振上げ振下ろし自在に枢支される振子4とを具える。この振子4は、前記支持軸8の軸芯iにて一端部が枢支されるアーム9と、このアーム9の他端部に設けられる前記打撃片5とを具える。なお前記スタンド7には、本例では、前記軸心iからのびる鉛直線Xを0°として前記アーム9の振り上げ角度αを表示する表示部10が付設される。
【0020】
前記打撃片5は、前記ゴム試験片2の前面Sa1に衝突する前方側の打撃片本体5Aと、その後方側の重り部5Bとからなり、該重り部5Bは、その重量を調整可能に構成されている。
【0021】
又前記打撃片本体5Aは、図2に示すように、衝突時に前記前面Sa1に向く対向面K1と、下方に向く下方面K2とが60〜100°の角度θで交わる下コーナ部Qを有する。本例では、前記打撃片本体5Aが、直方体状をなし前記角度θを90°とした好ましい場合が例示される。
【0022】
又前記ゴム試験片2は、前後面Sa1、Sa2と、上下面Sb1、Sb2と両側面Sc、Scとで囲む矩形ブロック状をなし、前記前面Sa1を前記軸心i方向と平行に向けて前記支持具3に支持される。なお前記支持具3は、衝撃時(打撃時)にゴム試験片2が移動しなければ、特に規制されるものではなく、本例では、所謂万力が使用され、前記下面Sb2を受ける底板11と、前記側面Sc、Scを受ける側板12、12と、前記後面Sa2を受ける背板13との間で前記ゴム試験片2を狭持している。
【0023】
又前記ゴム試験片2は、前記前面Sa1と上面Sb1とが交わる前上エッジPeを含む前上コーナ部Pに、切れ込み形成領域Yが設けられる。この切れ込み形成領域Yは、前記上面Sb1から下方に向かって軸心i方向と直角にのびる複数の切れ込み15が、軸心i方向に等間隔を隔てて形成される領域である。
【0024】
前記切れ込み15は、前面Sa1及び上面Sb1で開口する切り込みであって、前記上面Sb1からの縦深さHbは、前記ゴム試験片2の高さHBよりも小、かつ前面Sa1からの横深さHaは前記ゴム試験片2の奥行きHAよりも小に設定される。又前記切れ込み15の切れ込み巾tは0.5mm以下であって、前記支持具3に装着時には、切れ込み15の壁面同士は実質的に圧接している。又前記縦深さHbは5〜10mm、かつ横深さHaは5〜10mmに設定される。
【0025】
そして前記試験装置1を用いてゴム試験片2の前上コーナ部Pにゴム欠けを発生させ、そのときの前記振子4の落下エネルギと、例えば図5に示す如きゴム試験片2のゴム欠け状態とから、耐ゴム欠け性能の評価を行う。ゴム欠け状態としては特に規定されないが、同図に示すように、例えばゴム欠けが発生した部分Vの軸心i方向の最大巾VLc、上面Sb1からの最大縦深さVLb、前面Sa1からの最大横深さVLaなどであるゴム欠けの大きさ、及び欠けたゴムの重量などを指標として評価することができる。
【0026】
詳しくは、前記振子4を、予め定めた振り上げ高さ位置から振り下ろし、図3に示すように、打撃片5の前記下コーナ部Qを、ゴム試験片2の前記前面Sa1かつ前記切れ込み形成領域Yに衝突させる。このとき、前記アーム9が前記鉛直線Xを通過する鉛直線通過時T1、又は鉛直線通過直後T2に前記衝突を行う。具体的には、前記鉛直線通過時T1における前記下コーナ部Qから、前記ゴム試験片2の前面Sa1までの距離Lが6.0mm以下の位置に前記ゴム試験片2を取り付けて、衝突させる。従って、前記鉛直線通過直後T2とは、鉛直線通過時T1から前記打撃片5が前方側に6.0mmの距離Lを移動するまでの範囲を意味する。
【0027】
ここで、前記打撃片5が、その下コーナ部Qにて前記前面Sa1と衝突(線接触)せずに、前記対向面K1にて衝突(面接触)した場合には、接触面積が大きくなるため衝撃が小さくなってゴム欠けを発生させることができなくなる。又前記打撃片5を、鉛直線通過前に衝突させた場合には、衝突エネルギのベクトルが斜め下方に向いてしまうため、前記前上コーナ部Pのゴム欠けに関与するエネルギの割合が減じ、ゴム欠けの促進効果を低下させる。従って、ゴム欠けの促進効果を高めるためには、衝突エネルギのベクトルが斜め下方に向かないように、少なくとも鉛直線通過時T1に衝突させる、より好ましくは本例の如く、鉛直線通過直後T2に衝突させて、衝突エネルギのベクトルを斜め上方に向けることが望ましい。なお衝突が、前記鉛直線通過時T1から離れ過ぎると、落下エネルギ自体が減少するため、前記距離Lは前述の6.0mm以下が好ましい。
【0028】
又前記下コーナ部Qの角度θは、大き過ぎると衝撃が緩和されてゴム欠けの促進効果が低くなり、逆に小さ過ぎると、前記下コーナ部Qのエッジ自体でゴムが損傷してしまい、市場でのゴム欠け現象を正確に再現させることができなくなる。このような観点から、前記角度θは、前述の60〜100°の範囲が好ましい。
【0029】
又前記前上コーナ部Pに切れ込み形成領域Yを設けることにより、ゴム欠けを促進させることができる。このとき、前記打撃片5がゴム試験片2と衝突する衝突範囲J(図2に示す。)に配される前記切れ込み15の本数は、3又は4本であるのが好ましく、3本を下回ると、ゴムの剛性が依然として高く、ゴム欠けの促進効果が充分に得られなくなる。逆に4本を上回ると、ゴム欠けがし易くなり過ぎ、ゴム配合の相違に基づく耐ゴム欠け性能の差を識別することが難しくなる。又前記下コーナ部Qが前記前面Sa1と衝突する衝突位置Pjの前記上面Sb1からの高さHp(衝突高さHp)は、切れ込み15の前記縦深さHbの50%以下であるのが好ましく、これにより、前上コーナ部Pへのゴム欠けをより促進できる。
【0030】
又前記切れ込み15の大きさ、即ち、縦深さHb及び横深さHaが大きすぎると、切れ込み15、15間に区分されるゴム部分が動きやすくなり、衝撃が緩和されてゴム欠けし難くなるなど、ゴム欠けの促進効果が低下する。逆に、縦深さHb及び横深さHaが小さすぎると、ゴム欠け量が少なくなって、ゴム配合の相違に基づく耐ゴム欠け性能の差を識別することが難しくなる。このような観点から前記縦深さHb、及び横深さHaは、それぞれ5〜10mmの範囲が好ましく、さらには、縦深さHbと横深さHaとを等しく設定するのがより好ましい。
【0031】
前記ゴム試験片2は、前記衝突時の温度が80〜100℃となるように予め加温されることが必要であり、この加温により破壊強度が弱まり、ゴム欠けを促進できる。もし前記温度が80℃未満では、ゴム欠けの促進効果が充分に得られなくなり、逆に100℃を越えると、加温自体によってゴムの加硫度などが変化してしまうなどゴムの変質を招く恐れが生じ、ゴム試験片2の耐ゴム欠け性能を正確に評価することが難しくなる。なお前記温度は、ゴム試験片2の表面及び内部の温度であって、例えば周知のオーブンを用い、前記温度範囲で3時間以上放置することで前記加温を行いうる。
【0032】
図4に打撃片本体5Aの他の例を示す。本例では、打撃片本体5Aは、前記下コーナ部Qが前方に突出して形成されている。係る場合には、同図のように、鉛直線通過時T1において、下コーナ部Qを前面Sa1に衝突させることができる。従って本例では、前記距離L=0mmとして、ゴム試験片2を支持している。
【0033】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0034】
本発明の効果を確認するため、前記試験装置1を用いて、表1に示す5種類のゴム組成物A〜Eに対して本発明に係わるゴム欠けテストを下記の仕様に基づいて行った。そして、その時のゴム試験片のゴム欠け状態から、各ゴム組成物A〜Eの耐ゴム欠け性能を評価し、その結果を表2に実施例1として記載した。なお前記評価は、ゴム欠けテストによって欠けたゴムの重量を測定し、ゴム組成物Dを100とした指数で表している。数値が小さいほど耐ゴム欠け性能に優れている。
【0035】
「テスト仕様」
<試験装置>
・振子のアーム長さ=450mm
・打撃片の重さ=300g
・振り下ろしの角度α=90°
・打撃片本体の大きさ(直方体:高さ=29mm、奥行き=29mm、軸心i方向の巾39mm)
・下コーナ部Qの角度θ=90°
<ゴム試験片>
・ゴム試験片の大きさ(直方体:高さHB=24mm、奥行きHA=39mm、軸心i方向の巾W=59mm)
・切れ込みの大きさ(縦深さHb=7.0mm、横深さHa=7.0mm、切れ込み巾t=0.2mm)
・切れ込みの間隔=13mm
<衝突状況>
・鉛直線通過直後T2に衝突(L=2.0mm)
・下コーナ部Qにて衝突(線接触)
・衝突高さHp=3.5mm(0.5×Hb)
・衝突範囲に配される切れ込みの本数=3本
<加温状態>
・温度=80℃
【0036】
又比較例1として、JIS K6251の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、前記ゴム組成物A〜Eを用いたダンベル状試験片を作成して、その引張強度と切断時伸びとを測定した。そして、下記式から破壊エネルギーを計算するとともに、その計算結果を、ゴム組成物Dを100とした指数で表している。
(破壊エネルギー)=(引張強度)×(切断時伸び)/2
【0037】
前記ゴム組成物A〜Eをトレッドゴムとして採用した空気入りタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を作成し、市場での実車走行により、各ゴム組成A〜Eの耐ゴム欠け性能を評価(市場評価)した。市場評価では、A>B>C>D>Eの順で、左に行くほど耐ゴム欠け性能に優れているという結果を得た。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
比較例1に示すように、JIS K6251の引張試験に基づく評価方法では、市場評価と不一致となる場合も多く、耐ゴム欠け性能の優劣を正確に評価することが出来ない。これに対して本発明に係わる実施例1では、市場評価と一致した評価を得られるのが確認できる。
【0041】
又表3の試用に基づいてゴム欠けテストを行い、同様に各ゴム組成物A〜Eの耐ゴム欠け性能を評価した。
【表3】


【0042】
比較例2〜4に示すように、切れ込みが形成されない場合、予熱がなされていない場合、打撃の部位が対向面(平面)となる場合には、ゴム欠けが充分促進されずに、ゴム欠けの評価精度の低下を招く。
【符号の説明】
【0043】
2 ゴム試験片
3 支持具
4 振子
5 打撃片
9 アーム
15 切れ込み
K1 対向面
K2 下方面
P 前上コーナ部
Pe 前上エッジ
Q 下コーナ部
Sa1 前面
Sa2 後面
Sb1 上面
Sb2 下面
Sc 側面
X 鉛直線
Y 切れ込み形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な軸心iにて一端部が枢支されるアームの他端に打撃片を設けた振子の前記打撃片を、支持具により支持したゴム試験片の前面に衝突させて、振子の落下エネルギと、ゴム試験片のゴム欠けの状態とから耐ゴム欠け性能を評価する耐ゴム欠け性能評価方法であって、
前記ゴム試験片は、前後面と上下面と両側面とで囲む矩形ブロック状をなし、かつ前記前面を軸心i方向と平行に支持されるとともに、前記前面と上面とが交わる前上エッジを含む前上コーナ部に、前記上面から下方に向かって軸心i方向と直角にのびる複数の切れ込みが、軸心i方向に等間隔で隔設される切れ込み形成領域が設けられ、
前記振子の打撃片は、衝突時に前記前面に向く対向面、下方に向く下方面、及びこの対向面と下方面とが60〜100°の角度θで交わる下コーナ部を有し、しかも前記アームが前記軸心iからのびる鉛直線を通過する鉛直線通過時又は鉛直線通過直後に、前記下コーナ部を前記前面かつ前記切れ込み形成領域に衝突させるとともに、
前記ゴム試験片は、前記衝突時の温度が80〜100℃となるように予め加温されたことを特徴とする耐ゴム欠け性能評価方法。
【請求項2】
前記ゴム試験片の前面は、前記鉛直線通過時における前記打撃片の下コーナ部から0〜6.0mmの距離Lを隔たるように支持されることにより、前記振子の打撃片は、鉛直線通過時又は鉛直線通過直後に前記ゴム試験片と衝突することを特徴とする請求項1記載の耐ゴム欠け性能評価方法。
【請求項3】
前記切れ込みは、ゴム試験片の上面からの縦深さHbが5〜10mm、前面からの横深さHaが5〜10mm、切れ込み巾tが0.5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐ゴム欠け性能評価方法。
【請求項4】
前記打撃片の下コーナ部が前記ゴム試験片と衝突する衝突範囲に配される前記切れ込みの本数は、3又は4本であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の耐ゴム欠け性能評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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