説明

耐久性に優れた熱可塑性繊維及びこれを含む布

【課題】耐久性に優れた熱可塑性繊維及びこれを含む布を提供する。
【解決手段】特に、熱可塑性繊維は繊維を構成する熱可塑性樹脂内に平均粒径が0.01〜5.0μmのフルオロ重合体粒子を含む。本発明の熱可塑性繊維は熱可塑性樹脂を放射して熱可塑性繊維を製造するとき、熱可塑性樹脂内にフルオロ重合体粒子を添加する方法で製造される。本発明の熱可塑性繊維は摩擦及び変形に対する耐久性に優れ、履物用糸、家具用糸、リュックサック用糸、研磨材用糸、スポーツウエア用糸などに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐久性に優れた熱可塑性繊維及びこれを含む布に関するもので、より詳細には、繊維を構成する熱可塑性樹脂内に平均粒径が0.01〜5.0μmのフルオロ重合体粒子を含んでいて、摩擦及び変形に対する耐久性に優れた熱可塑性繊維、及びこれを含む布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドやポリエチレンテレフタルレートのような熱可塑性繊維の耐久性を強化するためには、一般的には次のような方法が使用されている。
【0003】
第一は、ポリマー重合段階で熱可塑性繊維における基本樹脂の分子量を上昇させて、糸自体の機械的物性を上昇させる方法である。
【0004】
第二は、糸の放射段階において熱可塑性繊維束の基本的な太さを上昇させる方法である。すなわち、糸の太さ、いわゆる全体繊度が太くなればなるほど、単位面積当りに与えられる荷重レベルが減少する。1デニールより10デニールが、10デニールより100デニールが、より一層強いということは一般的な事実である。
【0005】
第三は、糸の延伸条件の変更により前述した2種類の条件のうち一つまたは全部を満足させた状態で、放射延伸状態で高配向、高結晶化を与え、多段延伸及び熱処理を通じて強度を上昇させる方法である。
【0006】
重合段階において、熱可塑性繊維を構成する基本樹脂の分子量を上昇させる方法は大きく2種類の方法に分類される。一つは重合時間を長く維持する方法で、重合時間が長くなればなるほど重合される分子量は大きくなる。しかし、これは基本的に時間的及び効率性の面で限界がある。ポリエチレンテレフタルレートの場合、初期分子量の増加速度は時間と線形的に相関するが、固有粘度が0.6以上の領域では、時間による分子量上昇が非常に緩やかになる傾向がある。すなわち、多くの重合時間に対して、それほど分子量が上昇しないという問題点が発生する。さらに、一定水準の固有粘度を頂点として、副反応が発生して分子量が減少する傾向を示す。
【0007】
このような問題点を解決するために、ポリエチレンテレフタルレートの場合、固有粘度が0.5〜0.7になるように重合した後、さらに150℃以上の高温を均一に加えることができる固相重合乾燥機に通過させて、ポリマーの結晶化を向上させる。これを通常「固相重合」と呼び、通常、固有粘度を1.0〜1.3水準まで上昇させる。このような方式は、ポリマー重合工程で多くの時間的な損失があり、生産量及び生産コストの側面で損失が非常に大きい。特に、固相重合の途中に時間と熱風を適切に調節しないと、ポリエステルの場合には絡みつきあう現象が発生し、ポリアミド素材の場合は色相が黄色に変化する黄変現象などの付加的な問題点が多く発生する。したがって、固相重合には特殊な用途以外には適用することが困難という問題がある。
【0008】
放射段階において、糸の総繊度を増加させながら所要の水準の耐久性及び摩耗性を確保する方法には、用途によって無制限に繊維の繊度を上昇できないという問題がある。例えば、衣類用素材として適用する際、布の標準重量は50〜300g/m水準が適当である。布の重量がそれ以下である場合は、糸の素材があまりにひらひらして製織/編織することが難しくなる。反対に、それ以上である場合には、人が着るには重すぎて、活動性に制限を与える。特に、繊度が高くなればなるほど、布自体のソフト感と柔軟性が減少してゴワゴワする。すなわち、繊維は用途によってその繊度の限界が存在するのである。
【0009】
さらに、延伸条件の変更により糸の強度を強化させる方法としては、延伸を一度に完了せず、目的に応じて2段から3段、4段のように多段に延伸する方法が広く使用されている。このとき、多段の延伸段階によって、糸の伸度減少率対比強度の増加が大きくなる。このとき、強度を向上させるために熱処理を併行すると、効果的である。
【0010】
しかし、多段熱処理方法には、限界が予想される。すなわち、母糸は生産された後、一定時間が経過するように放置し、その後多段延伸機でさらに再延伸する。あるいは、母糸はマルチステップ放射の即時延伸機で生産される。しかし、熱処理には大規模の設備が必要であり、初期の放射スピードに比べて、最終の延伸巻取速度が低くなって生産性が低下し、工程が複雑になって収率が低下する。したがって、この方法は生産性の側面で好ましくない。
【0011】
前述した耐久性の改善条件は、軽量化のための基本条件である。しかし、商業的な前提として軽量化を要する場合が多い。耐久性が確保されるならば、低い繊度の細糸素材を使用して軽量化効果を実現でき、さらに外観を同一形態で維持しながら布の重量を低くする。
【0012】
大部分の場合は、後者に属するもので、重量を低くしても見かけ外観は同一に維持しなければならない。すなわち、極細糸を使用することによる布の密度及び厚さの低下に耐えられない場合が多い。
【0013】
このような条件に最適な素材が中空繊維であり、内部の中空率によって糸の見かけ比重が水の比重、すなわち1.0以下に低下する。特に、ポリアミド素材の場合は約15重量%以上、ポリエステル素材の場合は25重量%以上の軽量化を達成すると、見かけ比重が1.0以下に低くなって、意味のある軽量化を達成できる。このとき、内部中空率は、繊維の全断面積に対する繊維の断面積内における中空部全体面積の割合で測定される。
【0014】
中空繊維の場合、内部中空率は軽量化の一つの条件である。中空率が高いほど外観上の軽量化を達成することができるが、実質的に糸自体の強度及び伸度が低下する。中空繊維の場合は、放射時の一般的な円状断面の糸を製造するときより、5〜10倍以上の高い放射ドラフトが発生するため、糸自体の強度及び伸度の両方が低下する。したがって、前述した重合、放射及び延伸の条件を適用しても実質的には耐久性が急激に低下する。同一繊度や軽量化した繊度と比較しても、中空繊維の耐久性は非常に低い。これは断面積の影響と実質的に過度な延伸により激しく変形するためである。
【0015】
一方、海島型複合繊維(「海島繊維」とも称する)は熱可塑性樹脂である島成分と、アルカリ易溶出性樹脂の海成分とが海島型になった複合糸として、布製造後の加工段階で海成分を溶出させることで、布を構成している海島型複合繊維を極細化させて、布上で海島型複合繊維の島成分だけになった超極細糸を製造するために主に使用する。
【0016】
人工皮革やスエード素材として使用する海島型複合繊維は、海成分の溶出後単糸繊度が0.0001〜0.3デニール級の超極細糸になる。このような超極細糸のポリエステル系糸の直径は、約0.1μm〜3μm水準である。このような超極細糸の繊度により、製造される布は、非常にソフトな触感とライティングエフェクト(すなわち、軽量化の効果)などの独特な固有の効果によって重要な合繊素材として、一つの領域を構築している。
【0017】
しかし、超極細糸束の1デニールに換算した単位繊度別強度及び耐久力は非常に優れるが、実質的に極細繊度によって摩擦耐久力が非常に劣悪である。このような人工皮革やスエード布は、従来衣類用に限定して使用していたが、その用途が家具用、シート用などの非衣類用、研磨剤やワイピング布地(wiping cloth)などの産業用用途まで、その範囲が拡大している。
【0018】
このような趨勢により、スエード固有の特性に機械的物性値の改善が要求されている。すなわち、非衣類用や産業用にその用途を拡大するためには、耐久性、すなわち摩擦堅牢度/耐摩耗性の特性を改善しなければならない。現在までの摩擦堅牢度の水準は1級ないし1〜2級水準で、劣悪であるというのが事実である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、糸の耐久性を向上することが難しいという従来の問題を解決することによって、耐久性に優れた熱可塑性繊維及びこれを含む布を提供することにある。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、耐久性および軽量性の両方に優れた熱可塑性中空繊維、及びこれを含む布を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、海島型複合繊維の海成分が溶出し、その島成分のみを有する超極細糸の耐久性、すなわち摩擦堅牢度及び耐摩耗性を改善することにある。
【0022】
本発明のまた他の目的は、海島型複合繊維の耐久性を向上して、海島型複合繊維を衣類用糸はもちろん、家具用糸、シート用糸、研磨用糸などに使用できることにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明の熱可塑性繊維は、熱可塑性樹脂を含み、熱可塑性樹脂内に平均粒径が0.01〜5.0μmのフルオロ重合体粒子を含む。
【0025】
フルオロ重合体は、ポリテトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、及びこれらの三元共重合体からなる群より選択される一つ以上である。
【0026】
ペルフルオロアルキルビニルエーテルの例としては、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテルなどがある。
【0027】
フルオロ重合体の粒子は、繊維を構成する熱可塑性樹脂内に含まれて、繊維の摩擦係数を低下させる役目を果たす。
【0028】
すなわち、熱可塑性樹脂内のフルオロ重合体の粒子が繊維の表面に位置する場合、糸の金属摩擦係数を低下させて熱可塑性繊維自体を保護する。
【0029】
熱可塑性樹脂内のフルオロ重合体粒子の含有量は0.1〜9.0重量%が好ましい。
【0030】
この含有量が0.1重量%未満である場合は、繊維の耐摩耗性及び耐久性を確保することが難しくなる。反対に、含有量が9重量%を超過する場合は、所要の水準以上の耐摩耗性及び耐久性を実現できる。しかし、繊維を生産するためには一定水準以上の張力及び摩擦力が必要であり、放射中に糸道の揺れが非常に深刻になり、巻取ドラム上に巻き取られる糸の角度を調節しても糸道が崩壊されてしまうなど、工程性が非常に脆弱になる。
【0031】
フルオロ重合体粒子の平均粒径は光学顕微鏡や電子顕微鏡で測定したとき、0.01〜5.0μm、さらに0.1〜1.0μmであることがより好ましい。0.01μm未満の場合にはフルオロ重合体を粉砕して得ることができる収率と、超微細直径により絡まりあう現象とを解決することが困難である。反対に、平均粒径が5.0μmを超過する場合には、無機物としての粒子が連続性を示さず、熱可塑性樹脂で繊維を生産する際の放射中に最弱点として機能し、切糸及び工程性能が低下する直接的な原因になる。
【0032】
熱可塑性繊維としては、熱可塑性樹脂を含む通常の糸、単糸繊度0.01〜0.3デニールの島成分がアルカリ易溶出性ポリマーの海成分内に分散している海島型複合繊維、または糸断面上に中空部が形成されている熱可塑性中空繊維などが挙げられる。
【0033】
熱可塑性繊維が海島型複合繊維である場合、平均粒径が0.01〜5.0μmのフルオロ重合体粒子は島成分内に含まれている。
【0034】
熱可塑性中空繊維の中空率は熱可塑性樹脂の種類によって差があるが、総じて10〜40%水準であれば、十分である。中空率が10%より低い場合は、実質的な軽量化の効果が得られにくい。また、40%より高い場合は、中空が良好に形成されても外力により容易に崩れる傾向がある。
【0035】
本発明は、熱可塑性樹脂内に平均粒径が0.01〜5.0μmのフルオロ重合体粒子が含まれている熱可塑性繊維を有する布を包含する。布内の熱可塑性繊維の含有量は40〜100重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る布は耐久性及び軽量感に優れる。
【0037】
例えば、ASTM−D3884条件下で2000回の耐摩耗度が要求されるポリエステルカーペットである場合には、150デニールの従来のポリエステル糸を使用すると、カーペットの組織や染色加工条件を変更しても1400回以上の耐摩耗度を得ることが難しい。
【0038】
しかし、本発明に係る熱可塑性繊維(共通の繊維)を使用すると、150デニール素材でも2000回以上の耐摩耗度を実現できる。
【0039】
さらに、耐摩擦回数が350回水準の75デニール級素材に対しても、その水準を500回以上に改善でき、仮延伸工程を施すとその効果は倍になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る熱可塑性中空繊維の断面例示図である。
【図2】本発明に係る熱可塑性中空繊維の断面例示図である。
【符号の説明】
【0041】
1 中空繊維
A 熱可塑性樹脂
B 中空部
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、添付図面を参照して次の実施例及び比較例を通じて本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例にその権利範囲が限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
ポリエチレンテレフタルレートを基本ポリマーとして、電子顕微鏡で測定した平均粒径が0.5μmのポリテトラフルオロエチレン粒子を15重量%含有するマスターバッチ(master batch)を製造した。
【0044】
このマスターバッチとポリエチレンテレフタルレートの基本ポリマーとを使用して、75デニールの36フィラメントを含むポリエチレンテレフタルレート繊維を放射直接延伸方法で製造した。このとき、繊維内のポリテトラフルオロエチレン粒子の含有量が1重量%になるように、マスターバッチの含有量を調節した。
【0045】
これをさらに4kgのドラムで88本ずつ生産し、これを22ゲージのインターラック丸編機で製織した後、130℃で60分間染色した。続いて、熱風乾燥機で30m/分の速度で乾燥し、丸編地を製造した。
【0046】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例2】
【0047】
ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒径を1.0μmに変更し、ポリエチレンテレフタルレート繊維内のポリテトラフルオロエチレン粒子の含有量を2重量%に変更した点を除き、実施例1と同様にポリエチレンテレフタルレート繊維及びその丸編地を製造した。
【0048】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例3】
【0049】
実施例1と同じ条件下で製造したポリエチレンテレフタルレート繊維(繊維内のポリテトラフルオロエチレン含有量は1重量%)を仮延伸処理してポリエチレンテレフタルレート仮延伸糸を製造した後、これを使用して実施例1と同じ条件下で丸編地を製造した。
【0050】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例4】
【0051】
実施例2と同じ条件下で製造したポリエチレンテレフタルレート繊維(繊維内のポリテトラフルオロエチレン含有量:2重量%)を仮延伸処理してポリエチレンテレフタルレート仮延伸糸を製造した後、これを使用して実施例1と同じ条件下で丸編地を製造した。
【0052】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例5】
【0053】
島成分としてのポリエチレンテレフタルレートを基本ポリマーとして用い、電子顕微鏡で測定した平均粒径が2.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子を15重量%含有するマスターバッチを製造した。
【0054】
このマスターバッチを使用して、75デニールの24フィラメントの糸を含む36分割型の海島型複合繊維を放射直接延伸方法で製造した。繊維内の島成分の比率は70重量%で、アルカリ易溶出性ポリマーを海成分として30重量%の割合で添加した。このとき、島成分であるポリマー内のポリテトラフルオロエチレン粒子の含有量が1重量%になるように、マスターバッチの含有量を調節した。
【0055】
海島型複合繊維88本をさらに4kg容量ドラム内で生産し、仮延伸し、30デニールの12フィラメントを含む高収縮性糸(100℃の熱水で30分間浸漬したとき、糸の収縮率が25%を示す)と合糸して105デニール36フィラメントの糸を製造した。これを32ゲージインターラック丸編機で製織した後、起毛機で布幅が50%に縮小するように加工し、せん断して基本布を製造した。続いて、これに100℃の熱水で純度50%のNaOH強アルカリ溶液を添加し、全体的な減量液の濃度を1重量%に調節した。このとき、減量液の総量と投入する布との重量比が40:1になるように調節した。これを60分間かけて布総重量の24重量%程度まで減量した後、精練し水洗した。これをさらに130℃で60分間かけて染色した後、180℃の熱風乾燥機で30m/分の速度で乾燥した後、ブラッシング工程を経て、丸編地を製編した。
【0056】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例6】
【0057】
ポリエチレンテレフタルレートを基本ポリマーとして用い、電子顕微鏡で測定した平均粒径が0.5μmのポリテトラフルオロエチレンを15重量%含有するマスターバッチを製造した。
【0058】
前述のマスターバッチを使用して、150デニールの48フィラメントを含むポリエチレンテレフタルレート中空繊維を放射直接延伸方法で製造した。このとき、中空繊維内のポリテトラフルオロエチレン含有量が1重量%になるように、マスターバッチの含有量を調節した。中空繊維の中空率は30%であった。
【0059】
これをさらに4kg容量ドラムで88本生産して22ゲージインターラック丸編機で製織した後、130℃で60分間染色した。続いて、180℃の熱風乾燥機で30m/分の速度で乾燥して、丸編地を製編した。
【0060】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例7】
【0061】
ポリエチレンテレフタルレートを基本ポリマーとして用い、電子顕微鏡で測定した平均粒径が1.8μmのポリテトラフルオロエチレンを15重量%含有するマスターバッチを製造した。
【0062】
前述のマスターバッチを使用して150デニールの48フィラメントを含むポリエチレンテレフタルレート中空繊維を放射直接延伸方法で製造した。このとき、中空繊維内のポリテトラフルオロエチレン含有量が2重量%になるように、マスターバッチの含有量を調節した。中空繊維の中空率は30%であった。
これをさらに4kg容量ドラムで88本生産して22ゲージインターラック丸編機で製織した後、130℃で60分間染色した。続いて、180℃の熱風乾燥機で30m/分の速度で乾燥して丸編地を製編した
【0063】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【0064】
<比較例1>
ポリテトラフルオロエチレンを含有しないポリエチレンテレフタルレートを使用したことを除き、実施例1と同様に75デニール/36フィラメントのポリエチレンテレフタルレート繊維及びその丸編地を製造した。
【0065】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【0066】
<比較例2>
ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒径を0.001μmに変更したことを除き、実施例1と同様にポリエチレンテレフタルレート繊維及びその丸編地を製造した。
【0067】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【0068】
<比較例3>
ポリテトラフルオロエチレンを含有しないポリエチレンテレフタルレートを島成分として使用することを除き、実施例5と同様に海島型複合繊維及びこれを含む丸編地を製造した。
【0069】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【0070】
<比較例4>
ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒径を0.001μmに変更したことを除き、実施例5と同様に海島型複合繊維及びこれを含む丸編地を製造した。
【0071】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【0072】
<比較例5>
ポリテトラフルオロエチレンを含有しないポリエチレンテレフタルレートを使用したことを除き、実施例6と同様に150デニール/48フィラメントのポリエチレンテレフタルレート中空繊維及びその丸編地を製造した。
【0073】
製造した丸編地の耐摩耗回数を測定し、その結果を表1に示した。
【0074】
<比較例6>
ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒径を7.0μmに変更したことを除き、実施例6と同様にポリエチレンテレフタルレート中空繊維を製造しようとしたが、放射中糸の切糸が非常に多いため、商業的規模でポリエチレンテレフタルレート中空繊維を製造することができなかった。
【0075】
実施例1〜7及び比較例1〜6について、丸編地の耐摩耗回数はASTM−D3884の編成物試験方法で測定し、評価機器はマーチン(Martin)耐摩耗測定器を使用した。使用した摩擦布は320Cwサンドペーパーであり、荷重は500gであった。
【0076】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0077】
以上で詳細に説明したように、本発明の熱可塑性繊維は耐久性に優れ、多様な分野に適用できる。特に、本発明の熱可塑性繊維は、全体繊度が低い軽量素材の耐久性及び耐摩耗性を補完でき、衣類として利用できる。他方、本発明の熱可塑性繊維は、強度及び耐摩耗などが重要な履物や家具、オートバイや乗馬服などの衣服製品の素材に適用でき、登山用や山岳用バックパック布などの素材としても幅広く使用することができる。さらに、表面摩擦特性が重要な研磨材として適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含み、この熱可塑性樹脂に平均粒径が0.01〜5.0μmであるフルオロ重合体粒子が含まれている耐久性に優れた熱可塑性繊維。
【請求項2】
単糸繊度が20デニール以下である請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂におけるフルオロ重合体の含有量が0.1〜9.0重量%である請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項4】
前記フルオロ重合体の平均粒径が0.1〜1.0μmである請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項5】
前記フルオロ重合体は、ポリテトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、及びこれらの三元共重合体からなる群より選ばれる一つ以上を含む請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項6】
単糸繊度が0.001〜0.3デニールであり且つアルカリ易溶出性ポリマーの海成分内に分散された島成分を含む海島型複合繊維である請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項7】
島成分内に平均粒径が0.01〜5.0μmであるフルオロ重合体粒子を含む請求項5に記載の熱可塑性繊維。
【請求項8】
糸断面に中空部が形成されている熱可塑性中空繊維である請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項9】
熱可塑性中空繊維の中空率が10〜40%である請求項1に記載の熱可塑性繊維。
【請求項10】
請求項1に記載の熱可塑性繊維を含む布。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−519422(P2010−519422A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550809(P2009−550809)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001098
【国際公開番号】WO2008/105615
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509031707)
【Fターム(参考)】