説明

耐久性帯電防止剤(静電気防止剤)の開発と処理法

【目的】 帯電(静電気)を発生する、繊維、電子部品類、印刷工程などに求められる耐久性のある帯電(静電気)防止効果を実現し衣料用、カーシート用、用紙印刷、電子部品類への応用で安定な性能を可能とした。
【構成】 ポリエチレングリコール分子の両端末にアミン基を結合反応させたポリエチレングリコールジアミノプロピルエーテルまたはポリエーテルアミンを帯電(静電気)防止剤として利用し、耐久性向上に、イソシアネート系、またはグリシジルエーテル系を併用することで性能維持する新規加工剤と処理法。

【発明の詳細な説明】
【従来の技術と課題】
【0001】
従来の帯電防止剤は4級アンモニウム塩、グアニジン塩などのカチオン系薬剤を使用しまたは樹脂と併用して耐久性を維持しているが、風合い、耐久性に問題点が多く帯電で問題のある業界(電子、印刷、繊維、自動車)から耐久性のある薬剤、処方が強く要望され長年の課題となっております。低湿度(乾燥)国で多発する事故、誤作動の防止に対策が急務となっております。
【課題解決の手段】
【0002】
本発明は、上記問題を解決すべく研究を重ねた結果以下に述べる新規加工薬剤と処理方法を完成するに至った
【0003】
本発明は、ポリエチレングリコールにアミン基を結合させた物質とイソシアネートまたはグリシジルエーテル系を適量な比率で混合し被処理物に付着させ熱乾燥処理することで薬剤同士が結合して耐久性のある帯電防止加工が可能ではないかと考え鋭意研究を重ねた。
以下本発明の詳細を説明する
【0004】
ポリエチレングリコールの分子量約400〜5000の物質から分子量約600と約4000の2点を選びアミン基を結合させた物質ポリエチレングリコールジアミノプロピルエーテル、またはポリエーテルアミンの2種類が完成。
【0005】
ポリエチレングリコールジアミノプロピルエーテルまたはポリエーテルアミンの物質を酸性薬剤でPH調整してPH5〜7とし0,5〜5%vol%水溶液とイソシアネート、またはグリシジルエーテル0,2〜1,5%の割合で混合し繊維に含浸させマングル機で均一に絞り繊維の重量に対し40〜200%の割合で付着して100〜120℃1分予備乾燥後130〜180℃1分乾燥する。その後耐久性の確認テストを実施する。
【0006】
分子量約600,4000の物質とイソシアネートまたはグリシジルエーテルで加工処理した[0005]の生地をjis規格洗濯法L−0217−103法で洗濯10回並びに生地摩擦処理後の帯電圧を測定。
スタテックメーターにて測定(単位はボルト)
分子量約600 分子量約4000
未処理布 3800 V 3800 V
洗濯10回後 100 V 800 V
摩擦後 400 V 600 V
結果は満たされ更に研究を重ねる。
【0007】
帯電性能については、良好な結果となったが、日光に対する堅牢度、耐熱性、熱変色性に対して分子量600の物質品にたいし更なる性能向上を研究するが、向上は困難と判断し分子量600の繊維向けは断念する。分子量約4000の物質は、日光に対する堅牢度、耐熱性、熱変色性が少なく研究を重ねた。
【0008】
分子量約4000のポリエチレングリコールジアミノプロピルエーテルまたはポリエーテルアミンとイソシアネートまたはグリシジルエーテルの加工処理方法は[0005]と同様とし性能試験を繰り返し日光に対する堅牢度、耐熱性、熱変色性についてJIS等級3級以上の結果が判明し帯電圧結果は次に示す
スタテックメーターにて測定(単位はボルト)
分子量約4000
未処理布 6300 V
洗濯10回後 300 V
摩擦後 800 V
結果は帯電性能に耐久性が確認出来た。
【実施例1】
【0009】
ポリエチレングリコールジアミノプロピルエーテルまたはポリエーテルアミンのPH調整品を0,5〜5 Vol%とイソシアネート、またはグリシジルエーテル0,2〜1,5Vol%の割合で水溶液として混合し帯電(静電気)の発生する電気部品、ブラウン管式テレビ画面、カーシートなどにスプレーしてドライヤーなどで乾燥することで、帯電(静電気)の発生は抑制されほこり、ゴミなどの付着は全くない。
乾燥温度が低い関係で耐久性は低い。
【実施例2】
ポリエチレングリコールジアミノプロピルエーテル、またはポリエーテルアミンの分子量約600,4000のPH調整品(PH5〜7)を0,1〜0,5vol%の水溶液を帯電(静電気)の発生する用紙印刷時、電子部品搬送時に生じる強烈な帯電から身を守るために作業服、台車、機械、発生源などにスプレーして乾燥すれば危険性から解放することができる。この場合は帯電(静電気)抑制の強い分子量約600が適正である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記に示された如く耐久性のある帯電防止効果が明確となり繊維、電子部品類、自動車関連、印刷関連など多くの業界に技術上有効なる手段を生み出すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレングリコールの両末端にアミン基を結合した物質を帯電防止剤として使用
【請求項2】
耐久性向上剤としてイソシアネート系またはグリシジルエーテル系を併用する

【公開番号】特開2009−280779(P2009−280779A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157205(P2008−157205)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(597115037)山東化学工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】