説明

耐摩耗用途のための鉄系焼結粉末金属

粉末金属材料は、プレアロイ型鉄系粉の0.25から1.50重量で存在する炭素を含む、プレアロイ型鉄系粉を含有する。黒鉛は、粉末金属材料の0.25から1.50重量%の量で混合される。混合された黒鉛は、混合された黒鉛の90.0重量%よりも多い量で200メッシュよりも微細な粒子を含む。二硫化モリブデンは、粉末金属材料の0.1から4.0重量%の量で混合され、銅は、粉末金属材料の1.0から5.0重量%の量で混合され、粉末金属材料は、リンを含有しない。次に、粉末金属材料は圧縮成形され、1030から1150℃の温度で焼結される。出発粉末金属材料の混合された黒鉛の少なくとも50%が、焼結後に遊離黒鉛として残存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、一般的に、粉末冶金に関し、より特定的には、自動車用バルブガイドなどの耐摩耗用途のための鉄系粉金属体に関する。
【背景技術】
【0002】
2.先行技術の説明
粉末金属バルブガイドおよび他の高温耐摩耗体は、鉄系粉金属混合物からしばしば形成される。典型的には、該高温耐摩耗体は、さまざまな粉末添加剤を元素鉄粉と混合し、次に、混合物を1000℃より高い温度で焼結することによって形成される。
【0003】
粉末金属体の潤滑性は、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を元素鉄粉と混合することによって、しばしば向上される。混合される二硫化モリブデンは優れた固体潤滑剤であるが、十分な潤滑性を与えるのに十分に多い量で存在すると、焼結過程の間に望ましくない成長をする傾向がある。二硫化モリブデンに関連する歪みは、バルブガイドおよびバルブシート挿入物など、低コスト高精度のネットシェイプ体の製造に悪影響を及ぼす。したがって、高濃度の二硫化モリブデンは、粉末金属用途では、典型的には回避される。
【0004】
遊離黒鉛は、粉末金属混合物で用いられる別の固体潤滑剤である。約200メッシュ以下の米国標準ふるい名(U.S. standard sieve designation)を有する粒子などの微細な黒鉛粒子は、処理しやすく、より優れた機械的特性を焼結体に与えることから、粗大な黒鉛粒子よりも好ましい。しかし、微細な黒鉛粒子は、焼結中に元素鉄粉へと容易に拡散するため、焼結体で固体潤滑剤として機能することができない。たとえば、1.0重量%の混合された黒鉛微粉を含む粉末混合物を1000℃を超える温度で焼結すると、ほとんどすべての混合された黒鉛が、焼結中に元素鉄素地へと容易に拡散し、最終焼結体中には遊離黒鉛はほとんど残存しない。最終焼結体中に有用な濃度の遊離黒鉛を保持するためには、200メッシュよりも粗大な粒子径を有する混合された黒鉛を使用することにより、焼結中に、粒子径が、混合された黒鉛の元素鉄粉への拡散を制限する必要がある。しかし、200メッシュよりも粗大な粒子径を有する混合された黒鉛は、しばしば、処理上の問題、および焼結体のより望ましくない機械的特性を引起してしまう。
【0005】
米国特許第5,507,257号は、元素鉄粉素地と、混合された粗大黒鉛(200から30メッシュ)と、混合された微細黒鉛(200メッシュよりも微細)と、混合された鉄−リンまたは混合された銅−リン粉と、を含む、バルブガイド用途のための鉄系粉金属混合物を開示している。上述のとおり、混合された微細黒鉛は、混合された粗大黒鉛よりも反応性が高く、焼結中に鉄粉素地へと容易に拡散する。混合された粗大黒鉛は、そのより大きな粒径のためより反応性が低く、焼結体中に高濃度の遊離黒鉛が保持されるように特定的に含有される。しかし、上記のとおり、混合された粗大黒鉛は、望ましくない粉末分離などの処理上の問題を起こしやすい。
【0006】
第‘257号特許の焼結体は、混合物が、混合されたモリブデン粉、鉄素地中の硬質Fe−C−P分散物および、混合された粗大黒鉛による遊離黒鉛を含むとき、炭化物を含む。混合されたリン粉は、過渡的な液相の形成により焼結を促進し、焼結中にアルファ鉄相に対する安定化効果を有する。アルファ鉄相への低い炭素溶解性は、焼結体における遊離黒鉛の有利な存在を促進する。しかし、部分的な液相焼結が、ネットシェイプ用途のための焼結体の公差に悪影響を及し得るような程度まで固化後の寸法変化を引起し得るという点において、混合されたリンは好ましくない。部分的な液相焼結の結果、硬質リン化合物およびセメンタイトが粒界で形成する。硬質リン化合物およびセメンタイトは、粉末金属体の機械加工性およびネットシェイプ安定化に悪影響を及ぼす。したがって、鉄系粉金属用途におけるリンの添加は、典型的には望ましくない。
【0007】
また、米国特許第6,632,263号は、バルブガイド用途のための鉄系粉金属混合物を開示している。混合物は、元素鉄粉素地と、混合された粗大黒鉛(325から100メッシュ)と、混合された微細黒鉛(325メッシュよりも微細)と、混合された二硫化モリブデンと、混合された銅と、を含む。第‘257号特許の混合物と同様、第‘263号特許の混合された微細黒鉛は、より反応性が高く、焼結中に鉄粉素地へと容易に拡散する一方、混合された粗大黒鉛は、最終焼結体中に高濃度の遊離黒鉛を保持するために特定的に含有される。ここでも、混合された粗大黒鉛は、処理中に望ましくない粉末分離を起こし、粗大な黒鉛粒子は、高温での望ましい機械的特性を保持し得ない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要および利点
粉末金属材料は、プレアロイ型鉄系粉と、粉末金属材料の約0.25から約1.50重量%の量で存在する、混合された黒鉛と、を含有する。該鉄系粉は、プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する、プレアロイ型炭素を含む。粉末金属焼結体は、プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する炭素を含む、プレアロイ型鉄系粉を含有する。粉末金属焼結体は、焼結体の約0.05から約1.50重量%の量で混合された遊離黒鉛を含む。焼結体は、焼結体の約1.0から約2.0重量%の量で、プレアロイ型鉄系粉の炭素と、混合された遊離黒鉛と、を含む、合計炭素含有量を有する。
【0009】
出発粉末金属材料を形成する方法は、鉄系粉を、粉末金属混合物を焼結した後に、混合された黒鉛の少なくとも約50%を遊離黒鉛として保持するのに十分な量の炭素と、プレアロイ化する工程を含む。粉末金属焼結体は、プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する炭素を含むプレアロイ型鉄系粉の粉末金属混合物を得て、粉末金属混合物の約0.25から約1.50重量%の量の黒鉛粉を混合し、焼結体中に、混合された黒鉛の少なくとも約50重量%を遊離黒鉛として保持する条件下で、粉末金属混合物を圧縮成形および焼結することによって得られる。
【0010】
鉄系粉を炭素とプレアロイ化すると、鉄系粉が焼結前に炭素で飽和されて、焼結過程中、混合された黒鉛が鉄系粉と合金化することが防止される。したがって、混合された黒鉛の少なくとも50%が、焼結体中で安定な遊離黒鉛として残存する。先行技術の粉末金属材料と異なり、混合された黒鉛の90重量%より多い量で、約200メッシュより微細な米国標準ふるい名を有する微粒子を含む混合された黒鉛は、焼結体中で安定な遊離黒鉛として保持される。焼結体中に大量の安定な遊離黒鉛を保持するために黒鉛粗粉は必要ない。
【0011】
粉末金属焼結体は、自動車用バルブガイドなどの高摩耗高温用途に好適な、優れた潤滑、耐摩耗性、および他の機械的特性を与えるのに十分な遊離黒鉛を含む。粉末金属材料は、標準粉末処理技術を用いて処理しやすく、良好な機械加工性を与え、かつ優れた熱安定性を与える。混合された微細な黒鉛粒子は、混合物から分離したり、焼結体中に炭素空隙を引起こさないため、粗大な黒鉛粒子に関連する処理上の問題は回避される。微細な黒鉛粒子は、高温で優れた機械的特性を維持する。粉末金属材料は、自動車用バルブガイドなどのネットシェイプ、高温、耐摩耗用途のために優れた寸法安定性を与える。
【0012】
本発明の他の利点は、付随の図面に関連して考慮されると、以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるため、容易に分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】同定された黒鉛粒子を用いて実施例1に従って調製された、例示の鉄系粉金属材料の顕微鏡写真である。
【図2】同定された黒鉛粒子を用いて比較例2に従って調製された、比較用の鉄系粉金属材料の顕微鏡写真である。
【図3】同定された黒鉛粒子を用いて比較例3に従って調製された、比較用の鉄系粉金属材料の顕微鏡写真である。
【図4】図1の例示の鉄系粉金属材料により形成されるバルブガイドを含む、典型的な内燃機関の縦方向断面図である。
【図5】実施例5のバルブガイドの摩耗試験の結果と、先行技術のバルブガイドの摩耗試験の結果とを比較した棒グラフである。
【図6】実施例5のバルブガイドで往復運動するバルブステムの摩耗試験の結果と、先行技術のバルブガイドで往復運動するバルブステムとを比較した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
初めに図1を参照して、耐摩耗性鉄系粉金属材料が示される。粉末金属材料は、炭素を含むプレアロイ型鉄系粉と、混合された黒鉛と、混合された二硫化モリブデンと、混合された銅と、を含有する。粉末金属材料は、追加的なプレアロイ型元素および不純物を含み得る。粉末金属材料は、典型的には、圧縮成形および焼結されて、所定のネットシェイプを有し、相当な量の遊離黒鉛を含む焼結体を形成する。焼結体は、焼結体の約1.0から約2.0重量%の量で、プレアロイ型鉄系粉の炭素と、混合された遊離黒鉛と、を含む、合計炭素含有量を有する。粉末金属材料は、内燃機関のバルブガイドおよびバルブシート挿入物など、要求の厳しい摩耗表面への用途に好適である。
【0015】
炭素を含むプレアロイ型鉄系粉は、粉末金属材料の基材を構成する。炭素は、焼結前のプレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%、典型的には、約0.7から約1.1重量%の量で存在する。焼結後、炭素は、焼結条件に依存して、プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する。鉄系粉を炭素とプレアロイ化することにより、焼結前に鉄系粉が炭素で飽和され、焼結中に、混合された黒鉛粉が鉄系粉と合金化することを制限する。この結果、焼結体は、相当な量の安定な遊離黒鉛を含む。鉄系粉は、粉末金属材料を焼結した後に、混合された黒鉛の少なくとも約50%を遊離黒鉛として保持するのに十分な量の炭素とプレアロイ化される。鉄系粉を、鉄系粉の約0.25重量%未満の量の炭素とプレアロイ化しても、鉄系粉は適切に飽和されず、焼結中、混合された黒鉛が鉄系粉と合金化することが防止されない。典型的には、プレアロイ型鉄系粉は、プレアロイ型鉄系粉の約1.20重量%の量の炭素で完全に飽和されるため、酸素含有量、炉条件、またはさまざまな他の要素により炭素の消失が起きない限り、より多くの量の炭素は必要ない。
【0016】
プレアロイ型鉄系粉は、主にパーライト組織を含む。パーライト組織により、粉末金属材料を標準粉末冶金技術を用いて、容易に圧縮成形および焼結させることができる。プレアロイ型鉄系粉の鉄は、典型的には、約100メッシュの米国標準ふるい名を有する。鉄系粉は、追加的な合金を含み、耐摩耗性を増加させたり、他の機械的特性を改善することができる。このような特性を改善し得る多くの元素の中には、モリブデン、ニッケル、クロム、およびマンガンがある。これらの追加的な合金の各々は、プレアロイ型鉄系粉の約3.0重量%以下の量で、鉄系粉中でプレアロイ化される。鉄系粉は、少量の他の添加剤および不純物も含み得る。
【0017】
出発粉末金属材料の混合された黒鉛は、粉末金属材料の約0.25から約1.50重量%の量で存在する。混合された黒鉛は、約75ミクロン未満の粒子径に相当する、約200メッシュよりも微細な米国標準ふるい名を有する微粒子を含む。これらの微粒子は、混合された黒鉛の約90.0重量%よりも多い量で存在する。黒鉛の残りの10.0%は、約125ミクロン未満の粒子径に相当する、約100メッシュよりも微細な米国標準ふるい名を有する。上述のとおり、鉄系粉を炭素と合金化すると、焼結前に鉄系粉を炭素で飽和させ、焼結過程中に、混合された黒鉛が鉄系粉と合金化することを防止する。したがって、大量の混合された黒鉛粒子が、粉末金属焼結体中に遊離安定黒鉛として残存する。混合された黒鉛の少なくとも50%が、焼結後に、鉄系粉と合金化されないまま、遊離黒鉛として残る。プレアロイ型鉄系粉が炭素により完全に飽和されていないと、焼結中に、少量の混合された黒鉛が鉄粉と合金化する可能性があるため、焼結体中に存在する遊離黒鉛の量は、出発粉末金属材料中に存在する混合された黒鉛の量よりも若干少なくなり得る。粉末金属焼結体において、遊離黒鉛は、典型的には、焼結体の約0.05から約1.50重量%の量で存在する。
【0018】
焼結体中に存在する遊離黒鉛は、優れた固体潤滑剤として作用する。また、遊離黒鉛は、優れた耐摩耗性、強度、および硬さも与える。混合される黒鉛の少なくとも90重量%が200メッシュ以下であるため、従来技術で用いられていた粗大な黒鉛粒子に関連する処理上の問題が回避される。微細な黒鉛粒子は、高温で望ましい機械的特性を維持する点においても、粗大な黒鉛粒子より優れている。したがって、200メッシュ以下の粒子径を有する混合された黒鉛を含む粉末金属材料は、自動車用バルブガイドなどの高温高摩耗用途に、特に適している。上述のとおり、焼結体は、焼結体の約1.0から約2.0重量%の量で、プレアロイ型鉄系粉の炭素と、混合された遊離黒鉛と、を含む、合計炭素含有量を有する。
【0019】
粉末金属材料は、焼結前には、二硫化モリブデンを粉末金属材料の約0.1から約4.0重量%の量で含み、焼結後には、4.0重量%未満の量で含んでもよい。混合された二硫化モリブデンは、典型的には、約325メッシュの粒子径を有する。混合された二硫化モリブデンは、固体潤滑剤としても機能し、遊離黒鉛と混合された二硫化モリブデンとの組合せは、焼結体において特に有効な固体潤滑剤を与える。二硫化モリブデンを約4.0重量%よりも多い量で混合すると、焼結過程中に、望ましくない成長および、圧縮成形された粉末金属混合物の歪みを起こし得る。二硫化モリブデンを約0.1重量%未満の量で混合すると、粉末金属焼結体の潤滑性の大きな改善が得られない可能性がある。
【0020】
粉末金属材料は、焼結前には、混合された銅を粉末金属材料の約1.0から約5.0重量%の量で含み、焼結後には、5.0重量%未満の量で含む。混合された銅は、典型的には、約100メッシュの粒子径を有する。焼結中、混合された銅は、プレアロイ型鉄系粉と合金化し、改善された強度および他の望ましい機械的特性を与える。銅を約5.0重量%より多い量で混合すると、脆化したミクロ組織となり得る一方、銅を約1.0重量%未満の量で混合すると、機械的特性の大きな改善が得られない場合がある。
【0021】
焼結前、粉末金属材料は、粉末金属材料の約0.25から約1.50重量%、典型的には、約0.75重量%の量で存在する、エチレンビスステアロアミド(EBS)などの混合された有機ワックスも含む。EBSワックスは、一時的な圧縮成形潤滑剤として作用し、圧縮成形過程中に圧縮成形設備を潤滑する。しかし、EBSワックスは、その後、焼結過程中に消失し、焼結体中では検出不可である。
【0022】
出発粉末金属材料および粉末金属焼結体は、いずれもリンなしで形成される。プレアロイ型鉄系粉および混合される黒鉛の有効性により、従来技術のように、粉末金属焼結体中に遊離黒鉛を促進したり保持するためにリンは必要ない。したがって、リンに関連する処理上の問題、焼結体の歪み、および他の望ましくない効果が回避される。
【0023】
粉末金属焼結体は、ASTM B328法を用いて試験すると、約6.40から約7.10g/cm3の密度を含む。焼結体は、典型的には、ASTM B528法を用いて試験すると、約614MPaの抗折力(TRS)、さらに、ASTM E18法を用いて試験すると、硬度測定のロックウェル硬度B(HRB)スケールで約79から約83の硬度を含む。しかし、焼結体のTRSおよび硬度は変化し、合金、添加剤の量、および焼結体の密度に依存して、開示される値よりも高くも低くもなり得る。
【0024】
粉末金属焼結体は、典型的な内燃機関に用いられる。このようなエンジンは、典型的には、図4に示すように、排気または吸気通路22を有して形成されるシリンダヘッド20と、その中に往復動バルブ26が配置されるバルブ通路24と、を含む。粉末金属材料により形成されるバルブガイド28は、バルブ通路24内に配置され、往復動バルブ26のベアリングとして機能する。バルブ26のステム30は、典型的には、バルブガイド28のボア32内を非常に高速で往復運動する。さらに、バルブガイド28は、バルブガイド28の頂部に位置し、バルブガイドボア32を落ちるエンジンオイルの浸入を制限する、ステムシール34を含む。バルブガイド28は、燃焼室36に近接すること、往復動バルブ26による高速接触、さらに、ステムシール34による周辺部の潤滑の結果として、高温に晒される。粉末金属材料は、このような過酷な条件において、高い強度、耐摩耗性、および潤滑性を提供する。粉末金属材料は、バルブシート挿入物38などの、過酷な条件に晒される他のエンジン部品にも用いられ得る。
【0025】
上記のとおり、粉末金属材料を形成する方法は、プレアロイ型鉄系粉と、混合された黒鉛粉との粉末金属混合物を得る工程を含む。粉末金属混合物は、粉末金属混合物を焼結した後に、混合される黒鉛の少なくとも約50%を遊離黒鉛として保持するのに十分な量、典型的には、プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%で、鉄系粉中の炭素をプレアロイ化することによって形成され得る。方法は、鉄系粉を、モリブデン、ニッケル、クロム、およびマンガンの少なくとも1つとプレアロイ化することも含み得る。次に、方法は、黒鉛、銅、および二硫化モリブデンを粉末金属混合物に混合する工程を含む。方法は、エチレンビスステアロアミド(EBS)などの有機ワックスを粉末金属混合物に混合する工程も含む。
【0026】
方法は、炭素を含むプレアロイ型鉄系粉と、混合された黒鉛と、混合された銅と、混合された二硫化モリブデンと、混合されたEBSワックスと、さらに、存在する場合、他の添加剤と、を含有する粉末金属混合物を混合する工程を含む。典型的には、混合は、Y−コーン型ミキサまたはプロシアミキサで行なわれるが、他のミキサも使用できる。混合は、典型的には、約30分間行なわれるが、混合は、プロセス条件および混合物の成分に依存して、より長い期間またはより短い期間で行なうことができる。次に、方法は、粉末金属混合物を圧縮成形し、混合物を所定の密度にプレスする工程を含む。プレスした粉末金属材料の密度は、約6.40から約7.10g/cm3である。次に、方法は、粉末金属混合物を従来のメッシュベルト炉内で焼結する工程を含む。焼結は、典型的には、約1030から約1150℃の温度で行なわれる。また、焼結は、典型的には、約10%水素および約90%窒素の雰囲気中、または、解離性アンモニアの雰囲気中でも行なわれるが、焼結は他の雰囲気中でも行なわれ得る。
【実施例】
【0027】
特定の実施形態
以下の実施例を本発明の特定の実施形態として、その実施および利点を実証するために設ける。実施例は例示として設けられ、明細書または請求項を限定することを決して意図するものではない。
【0028】
実施例1
第1の実施例において、以下を含む出発粉末金属材料から例示の粉末金属焼結体を調製した。
【0029】
90.0重量%が200メッシュよりも微細な粒子径を有する、1.0重量%黒鉛粉;
1.0重量%二硫化モリブデン;
3.0重量%銅;
0.94重量%プレアロイ型炭素を含有する、94.25重量%鉄系粉;および
0.75重量%エチレンビスステアロアミド(EBS)系有機ワックス。
【0030】
粉末金属材料をY−コーン型ミキサで約30分間混合した。次に、粉末混合物を圧縮成形およびプレスして、約6.70g/cm3の密度を有する標準TRS試験バーとした。10%水素90%窒素雰囲気中、1040℃以下の従来のメッシュベルト炉で試験バーを焼結した。粉末金属焼結体は、614MPaの抗折力および、HRBスケールで83の平均硬度を有していた。粉末金属焼結体のミクロ組織を図1に示す。
【0031】
比較例2
第2の例においては、実施例1の焼結体の機械的特性における改善を実証するために、実施例1の焼結粉末金属TRS試験バーを、米国特許第5,507,257号に従って調製した標準TRS試験バーと比較した。第‘257号特許に従って調製した試験バーは、比較の目的のためのみに製造され、その意図は、実施例1の焼結体によって達成された改善を示すことのみである。
【0032】
粉末金属焼結体は、以下を含む出発粉末金属材料から第‘257号特許に従って調製した。
【0033】
100.0重量%が200メッシュより微細な粒子径を有する、1.0重量%黒鉛微粉;
100.0重量%が約200から約30メッシュの粒子径を有する、1.0重量%黒鉛粗粉;
3.0重量%銅;
0.30重量%リン;
0.75重量%エチレンビスステアロアミド(EBS)系有機ワックス;および
標準元素鉄粉である残余。
【0034】
黒鉛粗粉を、約200から約30メッシュの粒子径を有するように、丁寧にふるい分けた。次に、出発粉末金属材料をY−コーン型ミキサで約30分間混合した。次に、粉末混合物を圧縮成形およびプレスして、約6.70g/cm3の密度を有するTRS試験バーとした。試験バーは、10%水素90%窒素雰囲気中、1040℃以下の従来のメッシュベルト炉で焼結した。粉末金属焼結体は、440MPaの抗折力および、HRBスケールで75の平均硬度を有しており、その機械的特性は、実施例1の焼結体よりも著しく低いことがわかる。第‘257号特許に従って調製した、粉末金属焼結材料のミクロ組織を図2に示す。
【0035】
比較例3
第3の例においては、実施例1の焼結体の機械的特性における改善をさらに実証するために、実施例1の焼結粉末金属TRSバーを、米国特許第6,632,263号に従って調製した標準TRS試験バーと比較した。第‘263号特許に従って調製した試験バーは、比較の目的のためのみに製造され、その意図は、実施例1の焼結体によって達成された改善を示すことのみである。
【0036】
粉末金属焼結体は、以下を含む出発粉末金属材料から第‘263号特許に従って調製した。
【0037】
100.0重量%が325メッシュより微細な粒子径を有する、1.0重量%黒鉛微粉;
100.0重量%が約325から約100メッシュの粒径を有する、1.0重量%黒鉛粗粉;
3.0重量%銅;
1.0重量%二硫化モリブデン;
0.75重量%エチレンビスステアロアミド(EBS)系有機ワックス;および
標準元素鉄粉である残余。
【0038】
黒鉛粗粉を、約325から約100メッシュの粒子径を有するように、丁寧にふるい分けた。粉末金属材料をY−コーン型ミキサで約30分間混合した。次に、粉末混合物を圧縮成形およびプレスして、約6.70g/cm3の密度を有する標準TRS試験バーとした。次に、試験バーを、10%水素90%窒素雰囲気中、1040℃以下の従来のメッシュベルト炉で焼結した。粉末金属焼結体は、実施例1の焼結体とほぼ同等である617MPaの抗折力を有していたが、HRBスケールでの平均硬度は75であり、実施例1の焼結体よりも著しく低かった。第‘263号特許に従って調製した焼結材料のミクロ組織を図3に示す。
【0039】
実施例4
第4の例において、以下を含む出発粉末金属材料から例示の粉末金属焼結体を調製した。
【0040】
90.0重量%が200メッシュより微細な粒子径を有する、1.0重量%黒鉛粉;
1.0重量%二硫化モリブデン;
4.0重量%銅;
0.94重量%のプレアロイ型炭素を含有する、93.25重量%鉄系粉;および
0.75重量%エチレンビスステアロアミド(EBS)系有機ワックス。
【0041】
粉末金属材料をY−コーン型ミキサで約30分間混合した。次に、粉末混合物を圧縮成形およびプレスして、典型的な自動車用バルブガイドのサイズを代表する、15.2mmの外径、4.5mmの内径、55mmの長さ、6.65g/cm3の密度を有する長い中空円柱体とした。次に、中空円柱体を、10%水素90%窒素雰囲気中、1055℃以下の従来のメッシュベルト炉で焼結した。長い円柱体は、実施例1のずっと小さなTRS試験バーと同様に焼結した。焼結中、円柱体の歪みまたはサイズ変化はほとんどなかった。粉末金属焼結体は、HRBスケールで80の平均硬度を有していた。実施例1のTRS試験バーと比較して、長い円柱状焼結体のより低い硬度値は、該円柱状焼結体のより低い密度を反映している。
【0042】
実施例5
第5の例においては、以下を含む出発粉末金属材料から例示の粉末金属焼結体を調製した。
【0043】
90.0重量%が200メッシュより微細な粒子径を有する、1.0重量%黒鉛粉;
1.0重量%二硫化モリブデン;
4.0重量%銅;
1.01重量%のプレアロイ型炭素を含有する、93.25重量%鉄系粉;および
0.75重量%エチレンビスステアロアミド(EBS)系有機ワックス。
【0044】
粉末金属材料をY−コーン型ミキサで約30分間混合した。次に、粉末混合物を圧縮成形およびプレスして、典型的な自動車用バルブガイドのサイズを代表する、15.2mmの外径、4.5mmの内径、60mmの長さ、6.60g/cm3の密度を有する長い中空円柱体とした。次に、中空円柱体を、10%水素90%窒素雰囲気中、1055℃以下の従来のメッシュベルト炉で焼結した。円柱状粒子は、ずっと小さな実施例1のTRS試験バーおよび実施例4の円柱体と同様に焼結した。焼結中、円柱体の歪みまたはサイズ変化はほとんどなかった。粉末金属焼結体は、HRBスケールで77の平均硬度を有していた。実施例1および4の焼結体と比較して、実施例5の焼結体のより低い硬度は、該円柱体のより低い密度を反映している。
【0045】
フェデラル・モーグル製バルブガイドベンチリグ摩耗試験機(Valve Guide Bench Rig Wear test machine)で、実施例5の焼結体を試験し、既存の産業標準材料であるPMF−11およびPMF−10と比較した。摩耗試験は、熱および側面からの負荷をかけて(heat and side loading)往復動バルブ行程動作をさせて、所望のバルブステムを、長い円柱状焼結体の内径(I.D.)に対して特定の期間動作させることを含んだ。円柱体のI.D.への摩耗の深さを試験後に測定し、結果を図5に示す。バルブステム外径(O.D.)上の摩耗の深さも試験後に測定し、図6に結果を示す。試験結果は、産業標準材料であるPMF−11およびPMF−10よりも、実施例5の粉末金属体を用いた方がより少ない摩耗を示している。
【0046】
実施例6
粉末金属焼結体を2リットルのE85燃料エンジンにおいても試験した。粉末金属焼結体は、実施例5に従って調製し、次に、約11mmのO.D.、約5mmのI.D.、約40mmの長さを有する自動車用バルブガイドへと機械加工した。バルブガイドを2リットルエンジンのシリンダヘッド内に設置し、エンジンを300時間の全試験時間の間動作させた。各バルブガイドの摩耗を、試験前後のI.D.を比較することによって求めた。
【0047】
比較例7
第7の例において、実施例6のバルブガイドの性能を、同じ2リットルエンジンで既存の標準市販バルブガイド(PMF−11グレード)の性能と比較した。標準バルブガイドは、実施例6のバルブガイドと同じ寸法に製造した。実施例6および7のいずれのバルブガイドも、2リットルエンジンにおいて許容可能な程度に機能した。実施例6のバルブガイドと実施例7の標準市販バルブガイドとの間には、有意な統計的差異はなかった。
【0048】
当然のことながら、上記の教示に照らして、本発明のさまざまな変形例および変更例が可能であり、添付の請求の範囲内であれば、特定的に記載されたのと異なる形で実施されてもよい。これらの記載は、発明の新規性がその有用性を行使する如何なる組合せも網羅するように解釈されるべきである。さらに、請求項中の参照番号は便宜のためのみであり、決して限定的に読まれるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末金属材料であって、
プレアロイ型鉄系粉と、
前記粉末金属材料の約0.25から約1.50重量%の量で存在する、混合された黒鉛と、を含有し、
前記プレアロイ型鉄系粉は、前記プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する炭素を含む、粉末金属材料。
【請求項2】
前記混合された黒鉛は、約200メッシュよりも微細な米国標準ふるい名を有し、かつ前記混合された黒鉛の約90.0重量%よりも多い量で存在する粒子を含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項3】
前記プレアロイ型鉄系粉の前記炭素は、前記プレアロイ型鉄系粉の約1.1重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項4】
前記プレアロイ型鉄系粉の前記炭素は、前記プレアロイ型鉄系粉の約0.7重量%よりも多い量で存在する、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項5】
前記粉末金属材料は、リンを含有しない、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項6】
前記粉末金属材料の約0.1から約4.0重量%の量で存在する、混合された二硫化モリブデンを含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項7】
前記粉末金属材料の約1.0から約5.0重量%の量で存在する、混合された銅を含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項8】
前記プレアロイ型鉄系粉は、意図的に加えられたモリブデン、ニッケル、クロム、およびマンガンのうち少なくとも1つを含み、各々は、前記プレアロイ型鉄系粉の約3.0重量%以下の量で存在する、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項9】
前記プレアロイ型鉄系粉は、パーライト組織を含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項10】
前記粉末金属材料の約0.25から約1.5重量%の量で存在する、意図的に加えられた、混合された有機ワックスを含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項11】
粉末金属材料であって、
プレアロイ型鉄系粉を含有し、前記プレアロイ型鉄系粉は、前記プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する炭素を含み、前記粉末金属材料はさらに、
前記粉末金属材料の約0.25から約1.50重量%の量で存在する、混合された黒鉛を含有し、前記混合された黒鉛は、前記混合された黒鉛の約90.0重量%よりも多い量で存在する、約200メッシュよりも微細な米国標準ふるい名を有する粒子を含み、前記粉末金属材料はさらに、
前記粉末金属材料の約0.1から約4.0重量%の量で存在する、混合された二硫化モリブデンと、
前記粉末金属材料の約1.0から約5.0重量%の量で存在する、混合された銅と、を含有し、
前記粉末金属材料は、リンを含有しない、粉末金属材料。
【請求項12】
粉末金属焼結体であって、
プレアロイ型鉄系粉を含有し、前記プレアロイ型鉄系粉は、前記プレアロイ型鉄系粉の約0.25から約1.50重量%の量で存在する炭素を含み、前記粉末金属焼結体はさらに、
前記粉末金属焼結体の約0.05から約1.50重量%の量で存在する、混合された遊離黒鉛を含有する、粉末金属焼結体。
【請求項13】
前記混合された黒鉛は、前記混合された黒鉛の約90.0重量%よりも多い量で存在する、約200メッシュよりも微細な米国標準ふるい名を有する粒子を含む、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項14】
前記粉末金属焼結体の約4.0重量%未満の量で存在する、意図的に加えられた、混合された二硫化モリブデンを含む、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項15】
前記粉末金属焼結体の約5.0重量%未満の量で存在する、意図的に加えられた、混合された銅を含む、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項16】
前記プレアロイ型鉄系粉は、パーライト組織を含む、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項17】
約6.40から7.10g/cm3の密度を有する、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項18】
リンを含有せずに形成される、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項19】
前記粉末金属材料を約1030から1150℃の温度で焼結することによって形成される、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項20】
前記粉末金属焼結体は、バルブガイドを含む、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項21】
前記焼結体の約1.0から約2.0重量%の量で存在する合計炭素含有量を含み、
前記合計炭素含有量は、前記プレアロイ型鉄系粉の前記炭素と、前記混合された遊離黒鉛と、を含む、請求項12に記載の粉末金属焼結体。
【請求項22】
粉末金属焼結体であって、
前記焼結体の約1.0から約2.0重量%の量で存在する、合計炭素含有量を含み、
前記合計炭素含有量は、プレアロイ型鉄系粉の炭素と、混合された遊離黒鉛と、を含む、粉末金属焼結体。
【請求項23】
粉末金属焼結体であって、
炭素を含むプレアロイ型鉄系粉と、
前記粉末金属焼結材料の約0.05から約1.50重量%の量で存在する、混合された遊離黒鉛と、を含有し、
前記プレアロイ型鉄系粉の前記炭素は、焼結後に遊離黒鉛として、焼結前に存在する前記混合された黒鉛の少なくとも約50%を保持するのに十分な量で存在する、粉末金属焼結体。
【請求項24】
粉末金属材料から形成される粉末金属焼結体であって、
プレアロイ型鉄系粉を含有し、前記プレアロイ型鉄系粉は、前記プレアロイ型鉄系粉の約0.25から1.50重量%の量で存在する炭素を含み、前記粉末金属焼結体はさらに、
前記粉末金属材料の約0.25から1.50重量%の量で存在する、混合された黒鉛を含有する、粉末金属焼結体。
【請求項25】
プレアロイ型鉄系粉と混合された黒鉛粉との粉末金属混合物を得る工程と、
前記鉄系粉を、前記粉末金属混合物を焼結した後に、前記混合された黒鉛の少なくとも約50%を遊離黒鉛として保持するのに十分な量の炭素とプレアロイ化する工程と、を含む、粉末金属材料を形成する方法。
【請求項26】
二硫化モリブデンおよび銅を前記粉末金属混合物に混合する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
炭素を含むプレアロイ型鉄系粉と混合された黒鉛粉との粉末金属混合物を得る工程と、
前記粉末金属混合物を焼結した後に、前記混合された黒鉛の少なくとも約50%を遊離黒鉛として保持する工程と、を含む、粉末金属焼結材料を形成する方法。
【請求項28】
前記粉末金属混合物を約6.40から約7.10g/cm3の密度にプレスする工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記保持工程は、前記粉末金属混合物を圧縮成形および焼結する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記焼結工程は、約1030から約1150℃の温度で行なわれる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記焼結工程は、水素および窒素の雰囲気中で行なわれる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記焼結工程は、解離性アンモニアの雰囲気中で行なわれる、請求項29に記載の方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−508540(P2013−508540A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534204(P2012−534204)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049600
【国際公開番号】WO2011/046718
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】