説明

耐油性電子機器およびその製造方法

【課題】材料表面からの薬液侵入だけでなく、ケーブルとジャケットとの界面からの薬液侵入についても十分な防止効果を有し、工作機械油等と頻繁に接触する過酷な使用環境下において長期間使用しても接触不良が発生しない、高い信頼性を保つことができる耐油性電子機器を提供する。
【解決手段】耐油性電子機器は、電子機器としての機能を有する機能部と、上記機能部に電気信号を伝送するケーブル3と、上記ケーブル3を被覆するジャケット2とを備え、上記ジャケット2は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、上記ケーブル3は、少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部とが、上記ジャケット2によって被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた屈曲性および耐油性を示すことができる樹脂組成物を用いた耐油性電子機器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル系樹脂などの、エンジニアリングプラスチックは、強度、伸度、耐薬品性等の諸性質に優れることから、産業機械用途のコネクタ、およびセンサなどの電子機器の材料として使用されている。
【0003】
コネクタやセンサ等の電子機器は、電気配線の取り回しのニーズから、ケーブル先端に、コネクタ本体やセンサ本体等のような、電子機器としての機能を有する機能部を配置する構造になっている。
【0004】
しかしながら、ポリエステル系樹脂は衝撃強度が低いため、ポリエステル系樹脂からなる電子機器は、運搬時または取り付け時に割れ、欠け、折れなどの破損を生じやすいという問題がある。また、産業機械用コネクタは高温条件下に晒されることが多いため、長時間にわたって使用するうちに耐衝撃性がさらに低下し、割れなどの破損が生じやすくなるという傾向がある。
【0005】
この問題に対する改善方法として、ポリエステル樹脂に柔軟なゴム的性質を有する樹脂成分を混合し、コネクタに使用することが試みられている(特許文献1、2)。
【0006】
さらに近年では、優れた耐加水分解性を有するポリブチレンテレフタレートに、ポリエステル・エーテル型のエラストマを配合することで、耐加水分解性に優れ、かつ柔軟で耐衝撃性に優れた新たな成形体をコネクタに使用する例が提案されている(特許文献3)。
【0007】
また、産業機械用途では、電子機器が機械油等の薬液に晒される過酷な使用環境が避けられないため、機能部内部への薬液の侵入を防ぐ必要がある。そのため、近年、材料劣化により、ケーブルを封止するジャケット表面から薬液が侵入することを防ぐ目的で、ジャケットおよびケーブルの材料自体の耐薬品性と耐加水分解性とを向上させることにより、材料劣化を防止する試みがなされている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08‐73698号公報(公開日:平成8(1996)年3月19日)
【特許文献2】特開2004‐143351号公報(公開日:平成16(2004)年5月20日)
【特許文献3】特開2007‐291277号公報(公開日:平成19(2007)年11月8日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コネクタやセンサ等のような、ケーブル先端に電子機器としての機能を有する機能部を配置する構造を有する電子機器は、通常、ケーブルを保護するため、ケーブルの少なくとも一部分がジャケットによって被覆されている。そして、上記機能部への薬液の侵入を防止するためには、ケーブルやジャケット等の材料表面からの薬液侵入のみならず、ケーブルとジャケットとの界面からの薬液侵入をも防止する必要がある。
【0010】
しかしながら、上記先行技術文献に記載の方法では、材料表面からの薬液侵入防止については一定の効果を発揮するものの、ケーブルとジャケットとの界面からの薬液侵入については十分な防止効果を発揮することができず、ワックス、工作機械油、洗浄液などの薬液が接触する工場などの過酷な使用環境においては、薬液がケーブルを伝って界面から機能部に侵入し、接点の絶縁抵抗低下、あるいは接触不良が発生するなど、電子機器としての信頼性を低下させるという問題が生じていた。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、材料表面からの薬液侵入だけでなく、ケーブルとジャケットとの界面からの薬液侵入についても十分な防止効果を有し、工作機械油等と頻繁に接触する過酷な使用環境下において長期間使用しても接触不良が発生しない、高い信頼性を保つことができる新規の耐油性電子機器およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる耐油性電子機器は、電子機器としての機能を有する機能部と、上記機能部に電気信号を伝送するケーブルと、上記ケーブルを被覆するジャケットとを備え、上記ジャケットは、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、上記ケーブルは、少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部とが、上記ジャケットによって被覆されていることを特徴としている。
【0013】
本発明者は、後述する実施例に示すように、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いて、ケーブル被覆用のジャケットを作製し、電子機器のケーブルを被覆した。その際、熱可塑性エラストマの量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、40重量部を超えると、上記樹脂組成物自体の耐油性が乏しくなるとともに、電子機器において、上記ジャケットと、当該ジャケットとは通常異種材料で構成されているケーブルとの界面の密着性(締め付け性)が乏しくなり、その結果、薬液が上記界面から機能部内部へ侵入しやすくなることを見出した。また、10重量部未満では上記樹脂組成物の屈曲性が乏しくなることを見出した。
【0014】
つまり、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有する樹脂組成物のみが、屈曲性と、材料自体の耐油性と、薬液の機能部内部への侵入防止性とを、十分に満足しうることを見出した。それゆえ、上記構成によれば、屈曲性と、耐油性と、異種材料間の界面の強い密着性とを全て満足する電子機器を提供することができる。さらに、ケーブルの外皮部が所定の長さ以上被覆されているため、上記ジャケットとケーブルとの界面からの薬液の侵入をより確実に防ぐことができる。したがって、工作機械油等と頻繁に接触する過酷な使用環境下において長期間使用しても接触不良が発生しない、高い信頼性を有する耐油性電子機器を提供することができる。
【0015】
本発明にかかる耐油性電子機器では、上記熱可塑性エラストマが、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマであることが好ましい。上記エラストマは、優れた柔軟性を有しているため、ポリブチレンテレフタレート樹脂に所定量混合することによって、上記樹脂組成物に適度な屈曲性を付与することができる。よって、耐油性電子機器の屈曲性と、材料自体の耐油性と、薬液の機能部内部への侵入防止性とをよりバランスよく実現することができる。
【0016】
本発明にかかる電子機器は、コネクタまたはセンサであることが好ましい。コネクタまたはセンサは、端子や基板を固定した機能部とケーブルとを有しており、自動車工場など、高温多湿環境の中で工作機械油や薬液等に長時間晒される過酷な条件下で使用される機会が多い電子機器である。本発明にかかる電子機器は、ジャケットとケーブルとの界面からの薬液の侵入を十分に防止できるため、上記構成によれば、耐水性、耐油性に優れ、長時間にわたって端子や基板の接触信頼性が保たれるコネクタまたはセンサを提供することができる。
【0017】
本発明にかかる耐油性電子機器の製造方法は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によって、ケーブルの少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域であるケーブルの外皮部とを被覆する工程を含むことを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、耐油性および屈曲性に優れる上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によって、ケーブルの断面と、一定以上の領域を占めるケーブルの外皮部とが被覆される。それゆえ、ケーブルとジャケットとの界面の密着性が高い、耐油性および屈曲性に優れた電子機器を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる耐油性電子機器は、電子機器としての機能を有する機能部と、上記機能部に電気信号を伝送するケーブルと、上記ケーブルを被覆するジャケットとを備え、上記ジャケットは、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、上記ケーブルは、少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部とが、上記ジャケットによって被覆されているという構成である。上記樹脂組成物は、耐水性、耐油性、および屈曲性に優れるため、薬液が頻繁に接触する過酷な使用環境下でも長期間使用できる電子機器を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器の一例であるコネクタの要部構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は図1の(a)におけるA−A線矢視断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るセンサの要部構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は図2(a)におけるB−B線矢視断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電子機器の耐屈曲性の評価方法を示す模式図であり、(a)はケーブルの屈曲前の固定状態を示す模式図であり、(b)はケーブルを最大に屈曲させた場合の模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子機器の重量変化率を測定することによる耐油性の評価方法を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電子機器の引張強度変化率を測定することによる耐油性の評価方法の模式図であり、(a)はジャケットとケーブル外皮とを接合させた試験片を試験油に浸漬させることを示す模式図であり、(b)は試験片を試験油に浸漬させる前後の試験片の引張強度の測定方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、本明細書中において範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
【0022】
(1.耐油性電子機器)
(1−1.ポリブチレンテレフタレート樹脂)
本発明にかかる耐油性電子機器は、電子機器としての機能を有する機能部と、上記機能部に電気信号を伝送するケーブルと、上記ケーブルを被覆するジャケットとを備え、上記ジャケットは、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(以下「本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物」ともいう)からなり、上記ケーブルは、少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部とが、上記ジャケットによって被覆されている。
【0023】
なお、本明細書における「耐油性電子機器」とは、後述する実施例に記載した耐屈曲性評価、耐油性評価および製品形状での耐油性の評価のいずれにおいても実用に耐えると判断される電子機器をいう。
【0024】
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の構成成分であるポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と称することもある)樹脂とは、テレフタル酸単位および1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有し、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位から成り、ジオール成分の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位からなる高分子を言う。
【0025】
テレフタル酸単位または1,4−ブタンジオール単位が少なすぎると、例えば50モル
%より少ないと、PBT樹脂の結晶化速度が低下し、得られるポリブチレンテレフタレー
ト樹脂の成形性が低下する場合がある。よって全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位
の割合は、通常70モル%以上、中でも80モル%以上、更には95モル%以上、特に98モル%以上であることが好ましく、また全ジオール単位中の1,4−ブタンジオール単位の割合は、通常70モル%以上、中でも80モル%以上、更には95モル%以上、特に98モル%以上であることが好ましい。
【0026】
上記PBT樹脂には、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位からなる限り、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分が含まれていてもよい。具体的には例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4´−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6− ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類; マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸類; 等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、ジカルボン酸として、または、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料として、ポリマー骨格に導入できる。
【0027】
上記PBT樹脂には、ジオール成分の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位からなる限り、1,4−ブタンジオール以外の他のジオール成分を含んでいてもよい。具体的には例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール類;1,2− シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール類; キシリレングリコール、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール類;等が挙げられる。
【0028】
さらに、本発明に用いるPBT樹脂は、さらに、従来公知の任意のモノマー単位を共重合させたものであってもよい。このモノマー成分としては、具体的には例えば、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類;アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分;トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分;等が挙げられる。
【0029】
上記PBT樹脂を製造する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の触媒を用いて従来公知の方法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸を主原料とする方法(直接重合法)を用いてもよいし、ジカルボン酸ジアルキルエステルを主原料とする方法(エステル交換法)を用いてもよい。また、上記PBT樹脂としては、市販品を用いてもよい。
【0030】
上記PBT樹脂の平均分子量は、特に限定されるものではないが、成形品には耐衝撃性が必要であるため、20,000〜80,000であることが好ましく、40,000〜60,000であることがより好ましい。
【0031】
上記PBT樹脂は、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカンなどの臭素化合物や、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機化合物等を含んでいてもよい。これらは難燃剤成分であり、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。上記難燃剤成分の含有量は、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂および熱可塑性エラストマの合計重量を100重量部としたときに、当該100重量部に対して、5〜40重量部であることが好ましく、15〜25重量部であることがより好ましい。
【0032】
上記PBT樹脂は、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物類;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート類、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート類などの金属添加物や、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1族金属化合物、また、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2族金属化合物、およびこれらの水酸化物類、酸化物類、アルコラート類、酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の各種有機酸塩類等の各種化合物を含有してもよい。
【0033】
これら各種化合物は、PBT樹脂を製造する際に、触媒から微量成分として本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に入ってくる可能性がある金属化合物である。これら各種化合物の含有量は、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂および熱可塑性エラストマの合計重量の3〜70ppmであることが好ましく、10〜40ppmであることがより好ましい。上記含有量であれば、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の物性に影響を与えることはない。
【0034】
上記PBT樹脂は、その他、スズまたはスズ化合物として、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸等を含有してもよい。
【0035】
これらの物質は、PBT樹脂を合成する過程で発生し、PBT樹脂中に残留する可能性のある物質である。これらの物質の含有量は、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に対して低いほど良く、多くとも、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂および熱可塑性エラストマの合計重量の200ppm以下であることが好ましく、中でも100ppm以下であることがより好ましい。上記含有量であれば、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の物性に影響を与えることはない。
【0036】
(1−2.熱可塑性エラストマ)
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の構成成分である熱可塑性エラストマは、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に屈曲性を付与するために用いられる。熱可塑性エラストマとしては、特に限定されるものではなく、例えばポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ、天然ゴム、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、クロロプレンなどのジエン系モノマーの重合体もしくは共重合体、ブチレン−エチレン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オルガノポリシロキサン等のシリコーンゴム、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、オレフィン系エラストマ(TPO)、スチレン系エラストマ(TPS)、ウレタン系エラストマ(TPU)、アミド系エラストマ(TPA)、エステル系エラストマ(TPEE)、塩化ビニル系エラストマ(TPVC)などを用いることができる。
【0037】
本発明では、中でも、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ(以下、「熱可塑性エラストマA」と称する)を用いることが好ましい。熱可塑性エラストマAは、ハードセグメントである芳香族ポリエステルブロックと、ソフトセグメントである脂肪族ポリエーテルブロックとから構成される、ポリエステル・エーテル型のブロック共重合体であって、脂肪族ポリエーテルブロックが、主としてポリアルキレンエーテルグリコールからなるものである。
【0038】
芳香族ポリエステルブロックは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、低分子量グリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをモノマー単位として含むものである。
【0039】
芳香族ポリエステルブロックを構成するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、特に限定されるものではないが、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−または2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはそのアルキルエステルが挙げられる。
【0040】
低分子量グリコールまたはそのエステル形成性誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4´−ジヒドロキシビフェニル、2,2− ビス(4´−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール類;等が挙げられる。熱可塑性エラストマAは、上記ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、上記低分子量グリコールまたはそのエステル形成性誘導体を、一種または二種以上を含有していてもよい。
【0041】
芳香族ポリエステルブロックとしては、中でもテレフタル酸とテトラメチレングリコールからなるブロックが、相溶性および耐熱性等の観点より好ましい。具体的には、主としてテレフタル酸とテトラメチレングリコールからなり、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体成分中のテレフタル酸が、50モル%以上、さらには70モル%以上であるものが好ましく、低分子量グリコール又はそのエステル形成性誘導体成分中のテトラメチレングリコールが50モル%以上、さらには70モル%以上であるものが好ましい。
【0042】
脂肪族ポリエーテルブロックの主成分であるポリアルキレンエーテルグリコールとしては、具体的には例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体等の炭素数1〜8、好ましくは炭素数2〜6のポリアルキレンエーテルグリコールが挙げられる。中でも、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。
【0043】
脂肪族ポリエーテルブロックは、主としてポリアルキレンエーテルグリコールからなるが、具体的には、脂肪族ポリエーテルブロック中におけるポリアルキレンエーテルグリコールが、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
【0044】
脂肪族ポリエーテルブロックを構成するポリアルキレンエーテルグリコールの重量平均分子量は400〜6000であり、中でも500〜4000、特に600〜3000であることが好ましい。また熱可塑性エラストマA全体に占めるポリアルキレンエーテルグリコール構成単位の含有量は5〜80重量%であり、中でも8〜70重量%、特に10〜60重量%であることが好ましい。
【0045】
本発明に用いる熱可塑性エラストマA全体におけるポリアルキレンエーテルグリコール構成単位の含有量が5重量%未満では、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐衝撃性改善効果が低下してしまい、逆に80重量%を超えると、PBT樹脂との親和性が低下し、機械特性が低下する。
【0046】
熱可塑性エラストマAの製造方法は任意であるが、一般的には、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量グリコール又はそのエステル形成性誘導体とを反応させてポリエステルオリゴマーとし、次いでこのポリエステルオリゴマーに、所定分子量のポリアルキレンエーテルグリコールを所定量混合し、必要に応じて錫触媒等を用いて共重合する方法が挙げられる。
【0047】
(1−3.ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物)
本発明にかかる電子機器に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、PBT樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有する。
【0048】
コネクタやセンサ等の、ケーブル先端に電子機器としての機能を有する機能部を配置する構造を有する電子機器は、例えば自動車工場など、高温多湿の環境下で、ワックス、工作機械油および洗浄液等の薬液に長時間晒されるという過酷な条件下で使用される。上述のように、上記電子機器は、通常、ケーブルを保護するため、ケーブルの少なくとも一部分がジャケットによって被覆されているが、ケーブルとジャケットとの界面からの薬液侵入をも防止する有効な手段がないことが問題となっていた。
【0049】
PBT樹脂は、機械的性質、電気的性質等に優れるが、衝撃強度が低いため、熱可塑性エラストマを含有させ、衝撃強度を向上させることが行われている。また、特許文献3には、所定のPBT樹脂に対して、上記熱可塑性エラストマAを所定量含有させたPBT樹脂組成物が、衝撃強度、引張伸度および耐加水分解性に優れることが開示されている。ここでいう耐加水分解性とは、高温下でのスチームによる劣化に対する耐性であるとされている。
【0050】
一方、コネクタ等の電子機器については、機能部内部を保護するため、ケーブルやジャケットの材料自体からの薬液の侵入のみならず、薬液がケーブルを伝ってジャケットとケーブルとの界面から機能部内部へ侵入することをも防がなくてはならない。
【0051】
工場などにおいて、機能部内部へ侵入する可能性のある薬液としては、親水性のもの(洗浄液、スチームなど)もあれば親油性のもの(工作機械油、ワックス等)もある。ケーブルを保護するためのジャケットは、通常、樹脂を用いて構成されているため、親油性であるといえる。そのため、ジャケットは親水性の薬液よりも親油性の薬液となじみやすい。それゆえ、親油性の薬液の方が親水性の薬液よりもジャケットとケーブルとの界面から機能部内部へ侵入しやすいといえるため、耐水性があることをもって、同時に十分な耐油性を持っているとはいえない。
【0052】
したがって、耐加水分解性(耐水性)を有する特許文献3に開示の樹脂組成物が、親油性の薬液がジャケットとケーブルとの界面から機能部内部へ侵入することを十分に防ぐだけの耐油性を有しているとはいえず、特許文献3には耐油性については一切開示されていないといえる。一方、耐油性が優れていれば、ジャケットの構成成分は疎水性であるため、耐水性についても十分な性能を示すと考えられる。
【0053】
ジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入を防ぐ方法としては、上記界面におけるジャケットとケーブルとの密着性を向上させることが考えられる。本発明者は、PBT樹脂組成物に含まれる熱可塑性エラストマの量を減らすことにより、上記密着性を向上させることができることを見出した。しかしながら、熱可塑性エラストマの含有量が少ないと、PBT樹脂の屈曲性が乏しくなり、電子機器に適用すると断線しやすくなることが分かった。また、逆に、熱可塑性エラストマの含有量が多いと、PBT樹脂組成物の劣化が進行しやすくなり、PBT樹脂組成物からの薬液侵入が起こるとともに、上記密着性が低下し、ジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入も十分防止できなくなることが分かった。
【0054】
そこで、本発明者は、PBT樹脂組成物において、PBT樹脂の衝撃強度を向上させ、十分な屈曲性を確保した上で、PBT樹脂組成物をジャケットに使用した場合、樹脂組成物自体からの薬液侵入およびジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入を十分に防止するという課題を解決可能な、熱可塑性エラストマの含有量について鋭意検討を行った。その結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させることによってのみ、上記課題を解決できることを見出したものである。
【0055】
なお、本発明においては、ジャケットに柔軟性を付与する目的で上記熱可塑性エラストマを配合している。上記目的においては、熱可塑性エラストマに限らず、他のエラストマでもあっても、熱可塑性エラストマと同様の性能を発揮できる。それゆえ、本発明に用いる熱可塑性エラストマは、熱可塑性エラストマAには限られない。
【0056】
ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対する熱可塑性エラストマの含有量は10〜40重量部であればよく、10〜25重量部であることがより好ましい。10重量部未満である場合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の衝撃強度を向上させることができず、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は屈曲性に乏しいものとなるため好ましくない。
【0057】
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対する熱可塑性エラストマの含有量が40重量部を超える場合は、熱可塑性エラストマが耐油性に乏しいことに起因して、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐油性が弱くなり、ジャケットに使用した場合、樹脂組成物自体からの薬液侵入およびジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入を十分に防止できなくなるため好ましくない。
【0058】
上記「ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部」とは、上述の難燃剤成分、各種化合物、スズ化合物等を含む場合は、これらを含まない状態のポリブチレンテレフタレート樹脂の使用量をいい、これらを含まない状態のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマが10〜40重量部となるように混合する。
【0059】
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマ10〜40重量部を、例えば二軸混練装置等を用いて混練分散させることによって製造することができる。上記樹脂組成物の形態は特に限定されるものではなく、ペレット状、粉体状、スラリー状、液状等、用途に応じて、従来公知の方法によって適宜形態を調整すればよい。
【0060】
(1−4.ジャケット)
本発明にかかる電子機器に用いるジャケット(ケーブル被覆用ジャケット)は、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなるものであり、コネクタやセンサ等のように、ケーブル先端にコネクタ本体やセンサ本体のような機能部が配置される電子機器において、ケーブルを被覆して保護するためのものである。
【0061】
上記ケーブル被覆用ジャケットは、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、通常の樹脂成形方法、例えばインサート成形、押出成形、圧縮成形、中空成形等を用いて所望の形状に成形することによって得ることができる。
【0062】
また、上記ケーブル被覆用ジャケットは、それ単独で製造してもよいし、電子機器の部材の一部として製造してもよい。後者の例としては、例えば、金型内にケーブルや電子機器本体を設置しておき、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を金型内に投入して、インサート成形によって、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物でケーブルを被覆する方法を挙げることができる。これにより、上記ジャケット単独ではなく、予めケーブルを被覆した電子機器の一部材として上記ジャケットを得ることができる。
【0063】
上記ケーブル被覆用ジャケットとケーブルとの界面における密着性を十分に確保するためには、上記ケーブル被覆用ジャケットは、電子機器の部材の一部として製造する方が好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、上記ケーブル被覆用ジャケットを単独で製造した場合であっても、上記ケーブル被覆用ジャケットの形状を、ケーブルが嵌合可能なように作製し、上記ジャケットにケーブルを嵌合させた後にジャケットとケーブルとの界面を加熱すること等によって、上記ジャケットとケーブルとの界面を強固に密着させることが可能である。
【0064】
なお、本明細書において、「ジャケットとケーブルとの界面」とは、ジャケットがケーブルを被覆している場合において、ジャケットおよびケーブルの双方に共有される面のことをいう。また、「被覆」とは、部材の断面または外皮部の一部または全部を覆うことをいう。
【0065】
上記ケーブル被覆用ジャケットは、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなるものであるため、屈曲性、ジャケット自体の耐油性を備えるとともに、ジャケットとケーブルとの界面を強固に密着させることができるものである。よって、薬液に長時間晒されるコネクタやセンサなどの電子機器において、上記ケーブル被覆用ジャケットを用いてケーブルを被覆することにより、機能部への薬液侵入を十分に阻止することができる。
【0066】
(1−5.ジャケットによるケーブルの被覆)
電子機器としての機能を有する機能部とは、その部分がなければ電子機器としての機能を果たし得なくなる部分をいう。例えば、端子を内蔵しているコネクタ本体部や、基板が実装されているセンサ本体等が該当する。したがって、機能部の機能を十分に発揮させるためには、機能部内部への薬液侵入を防止する必要がある。
【0067】
上記ケーブルとは、電気信号を伝送するためのものであればよく、従来公知のものを使用することができる。例えば、内部に銅線等からなるリード線を含むケーブルを挙げることができる。電子機器において、リード線は、通常、ジャケット内部を貫通してコネクタ本体等の機能部と接続されており、電気信号を機能部に伝える役割を果たす。したがって、上記ジャケットが屈曲性に乏しく割れやすい場合は、ジャケット自体から、あるいはジャケットとケーブルとの界面から薬液が侵入すると断線する可能性がある。本発明にかかる電子機器では、ジャケットの材料として、屈曲性および耐油性に優れる上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いるため、リード線の損傷を防ぐことができる。なお、リード線の本数は限定されるものではない。
【0068】
上記ケーブルの外皮部を構成する材料は特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、PEエラストマ樹脂、PVCエラストマ樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂材料であればよい。中でも、特にポリ塩化ビニル樹脂および、ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
【0069】
本発明にかかる電子機器としては、特に限定されるものではないが、薬液に長時間晒される可能性のある電子機器であることが好ましい。例えば、コネクタ、センサ、およびスイッチ等を挙げることができる。また、センサとしては特に限定されるものではないが、例えば近接センサ、光電センサ等を挙げることができる。
【0070】
ケーブルを被覆するジャケットについては、(1−4.)で説明したとおりである。上記ジャケットは、後述するように少なくともケーブルの所定の部分を被覆している必要がある。また、機能部の一部をも被覆していてもよい。
【0071】
なお、ジャケットと機能部との界面からも、薬液が侵入する可能性はあるが、機能部は、実使用上は金具等が装着されて保護されていることが多い。一方、通常、ジャケットとケーブルとの界面にはそのような保護はなされない。それゆえ、ジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入と比較すると、機能部内部に与える影響は小さいといえる。そのため、ジャケットは、機能部を必ずしも被覆していなくてもよい。
【0072】
「上記ケーブルは、少なくとも一つの端部の断面全体が上記ジャケットによって被覆されている」、とは、ケーブルには少なくとも2つの端部が存在するため、少なくとも一つの端部の断面の全体が、上記ジャケットによって被覆されていることが必要であることを意味する。もちろん、他の端部も被覆されていても構わない。
【0073】
図1は、本発明の電子機器の一例であるコネクタ10の要部構成を示す図である。図1の(a)は上記コネクタ10の平面図であり、図1の(b)は、図1の(a)におけるA−A線矢視断面図である。図1の(b)に示すように、本実施の形態に係るコネクタ10は、ケーブル3、当該ケーブル3に接続されるコネクタ本体(機能部)1、およびケーブル3とコネクタ本体(機能部)1とを被覆するジャケット2を備える。ケーブル3は、2本のリード線4と当該リード線4を覆うケーブル外皮部5から構成されている。また、コネクタ10は、ケーブル内に設けられた2本のリード線4により、ケーブル3とコネクタ本体(機能部)1とが接続されている。コネクタ本体(機能部)1は、端子6を備えている。
【0074】
図1の(b)に示すように、ケーブル3は、ジャケット2に嵌合しており、一つの端部の断面7の全体がジャケット2により被覆されており、外皮部のうち、被覆部8がジャケット2により被覆されている。
【0075】
上記ケーブルは、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部が、上記ジャケットによって被覆されている。「上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部」とは、例えば図1の(b)に示す被覆部8のことであり、ケーブルの外皮部のうち、ジャケットによって被覆されているケーブル端部の断面の周(図1の(b)では、ケーブル端部の断面7の周)から、ケーブルの長軸に平行に2.5mm以上の長さの線を引いたとしたときに、当該線の末端をつなぎ合わせることによって得られる領域のことである。
【0076】
上記外皮部が被覆されている距離(以下、単に「被覆距離」という。図1の(b)では被覆部8の長さ)が、上記端部を起点として長軸方向に2.5mm未満である場合は、屈曲時の曲げ角度が大きくなり、界面部に応力が集中することでジャケットが破壊されやすくなるため、ジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入を十分に防止することができない。
【0077】
一方、本発明にかかる電子機器は、ジャケットが、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、かつ、上記被覆距離が上記端部を起点として長軸方向に2.5mm以上あるため、ジャケットとケーブルとの界面からの薬液侵入を十分に防止することができる。
【0078】
上記被覆を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば、金型内にケーブルや電子機器本体を設置しておき、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を金型内に注入して、インサート成形の手法を用いることにより、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物でケーブルを被覆することができる。また、2.5mm以上の距離を確実に被覆するためには、ジャケットの成形時に、ケーブルの端部からの被服距離が、上記端部を起点として長軸方向に2.5mm以上になるように金型内にジャケットを配置する必要がある。
【0079】
なお、上記被覆距離の上限は、特に限定されるものではないが、屈曲性が必要であるため、20mm以下であることが好ましい。
【0080】
図2は、本発明にかかる電子機器の一例であるセンサの要部構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は図2(a)におけるB−B線矢視断面図である。図2において、図1と同じ部材については図1と同じ部材番号を付している。センサ20は、センサ本体(機能部)21に、基板22が装着されており、リード線4が基板22と接続している構成を取っている。センサ20においても、ジャケット2が上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、かつ、被覆部8において上記被覆距離が上記端部を起点として長軸方向に2.5mm以上あるため、ジャケット2とケーブル3との界面からの薬液侵入を十分に防止することができる。
【0081】
(2.耐油性電子機器の製造方法)
本発明にかかる耐油性電子機器の製造方法は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によって、ケーブルの少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域であるケーブルの外皮部とを被覆する工程を含む方法である。
【0082】
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、ケーブルについては既に上述したものを用いることができる。
【0083】
上記樹脂組成物を用いて、ケーブルの少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部とを被覆する工程を実施する方法は、特に限定されるものではない。例えば、金型内にケーブルや電子機器本体を設置しておき、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を金型内に注入して、インサート成形の手法を用いることにより、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物でケーブルを被覆することができる。
【0084】
ケーブルを被覆する際の成形温度は、特に限定されるものではないが、インサート成形を用いる場合、ノズル温度が245℃〜255℃、前部バレル温度が240℃〜250℃、後部バレル温度が235℃〜245℃、金型温度が55℃〜65℃であることが好ましい。
【0085】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種種の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
(実施例1)
ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンプラ製 ノバデュラン5010N6)100重量部に対して、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分を10重量部用いて、2軸混練装置を用いて混練分散した。混練分散後、混合物をペレタイザーによりペレット化し、射出成形用樹脂ペレットを作製した。なお、上記ポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分は、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメント、ポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとし、これらを定法にて共重合することにより得たものを使用した。
【0088】
上記ペレットを用いて、以下の評価方法(A〜C)を用いて、耐屈曲性と耐油性とを評価した。
【0089】
〔耐屈曲性および耐油性の評価〕
〔A.耐屈曲性の評価(製品形状での評価)〕
日精樹脂製の縦型射出成形機ST10を使用し、金型内に塩化ビニル製ケーブル(φ6mm)とPBT製ハーネス(φ8mm)を設置し、インサート成形により、各実施例および比較例にて得られた樹脂組成物がジャケットとなるようにして、上記ケーブルおよびハーネスを被覆し、コネクタを作製した。また、ケーブル表皮と接するジャケットの被覆距離は10mmとした。成形温度は、ノズル温度245℃、前部バレル温度240℃、後部バレル温度230℃、金型温度60℃とした。
【0090】
上記コネクタの耐屈曲性は、島津製作所のオートグラフ(AGS20kNG)を使用し、以下に示す試験方法で評価した。
【0091】
図3は、本発明の実施形態に係る電子機器の耐屈曲性の評価方法を示す模式図であり、(a)はケーブルの屈曲前の固定状態を示す模式図であり、(b)はケーブルを最大に屈曲させた場合の模式図である。なお、図3において、図1と同じ部材については図1と同じ部材番号を付している。
【0092】
まず、図3の(a)に示すように、ネジ式平面形つかみ具30により、コネクタ10のジャケット2を固定し、ケーブル側のジャケットの端から50mm(可動ケーブル長)の位置でケーブルをくさび形つかみ具40により固定した。続いて、図3の(b)に示すように、引張り速度10mm/minで、くさび形つかみ具40で固定されたケーブル端を引き上げた。
【0093】
なお、図3(b)に示すように、コネクタ10は、中心がネジ式平面形つかみ具30の両端から25mmとなるようにネジ式平面形つかみ具30の上下中央部にセットした。また、くさび形つかみ具40は、ケーブルの最大引き上げ時に、ネジ式平面形つかみ具30の上端からくさび形つかみ具40の下端までの距離が20mmとなるようにセットした。
【0094】
コネクタ10の使用環境では、このような固定状態においてケーブル一端が移動する場合が想定される。このとき、ジャケット2とケーブル3との接続部には外力が加わるため、応力集中によりジャケット2の樹脂が破壊する恐れがある。コネクタ10は、この最大変形時においても各材料が破壊せずに形状を保持している必要がある。
【0095】
本試験では、ジャケット2が損傷するまでのケーブル端の変移量を測定した。本試験では、可動ケーブル長を50mmとし、当該可動ケーブル長に対するケーブル端が移動した距離の割合をケーブルの変異率とした。例えば、ケーブル端が10mm変移すると、変移率は20%に相当する。本評価方法において、20%以下の変移率でジャケットが損傷するものを「×:使用不可」とした。
【0096】
〔B.耐油性の評価(テストピースでの評価)〕
〔B−1.樹脂の耐油性の評価〕
FANUC製の射出成形機(Robo-shot α30B)を使用して、各実施例および比較例にて得られた樹脂ペレットで短冊試験片(79.6×9.3×3.2mm)を作製した。成形パラメータは、ノズル温度245℃、前部バレル温度240℃、後部バレル温度230℃、金型温度60℃とした。機械油(マルチクールCSF9000、協同油脂(株)製)を水道水で20倍希釈した水溶液を50℃に加熱し、上記短冊試験片を上記水溶液中に240時間浸漬した。図4は、上記樹脂ペレットの重量変化率を測定することによる耐油性の評価方法を示す模式図である。浸漬前後の上記短冊試験片の重量を測定し、重量変化率Xを測定した。
【0097】
重量変化率Xは、X≦2.0%:○(実用に耐える)、X>2.0%:×(実用に耐えない)という評価基準で耐油性を評価した。
【0098】
B−1と同様の方法において、ケーブル外皮部5の材料である塩化ビニルの重量変化率Xは、5%である。コネクタの形状では、ジャケット2の厚み(図1に示す距離11)がケーブル外皮部5の厚み(図1に示す距離9)の1/2である。そこで、ジャケット2に求められる重量変化率は2.5%以下、好ましくは2.0%以下であることを、実用に耐える基準とした。
【0099】
〔B−2.界面の耐油性〕
ケーブル外皮部5の材料である塩化ビニルの短冊試験片(39.8×9.3×3.2mm)を金型内に設置し、ノズル温度245℃、前部バレル温度240℃、後部バレル温度230℃、金型温度60℃において、各実施例および比較例にて得られた樹脂組成物をインサート成形することで、試験片を得た。次に、評価方法B−1と同様に、機械油(マルチクールCSF9000)を水道水で20倍希釈した水溶液を50℃に加熱し、当該試験片を240時間浸漬した。浸漬前後の試験片の界面接合強度を測定し、ジャケットとケーブルとの界面の耐油性(上記界面からの薬液の侵入防止性)を評価した。
【0100】
界面接合強度の測定は、オートグラフ(AGS20kNG、島津製作所製)を使用し、10mm/minの速度で試験片の両端を反対方向に引っ張ることで試験を行なった。図5は、本発明の実施形態に係る電子機器の引張強度変化率を測定することによる耐油性の評価方法の模式図であり、(a)はジャケット2とケーブル外皮部5とを接合させた試験片を試験油に浸漬させることを示す模式図であり、(b)は試験片を試験油に浸漬させる前後の試験片の引張強度の測定方法を示す模式図である。浸漬前後の引張強度変化率Yが、Y≦5%:○(実用に耐える)、Y>5%:×(実用に耐えない)であることを評価基準として、耐油性を評価した。
【0101】
本評価方法において、引張強度変化率Yはゼロで推移するのが理想である。そこで、閾値は、この理想からのずれの大きさとして許容できるか否かを基準として、Yが5%を超える場合は実用に耐えないと評価した。
【0102】
〔C.製品形状での耐油性の評価〕
日精樹脂製の縦型射出成形機ST10を使用し、金型内に塩化ビニル製ケーブル(φ6mm)とハーネスを設置し、インサート成形により、各実施例および比較例にて得られた樹脂組成物がジャケットとなるようにして、上記ケーブルおよびハーネスを被覆し、コネクタを作製した。ケーブル表皮と接するジャケットの被覆距離は10mmとした。成形温度は、ノズル温度245℃、前部バレル温度240℃、後部バレル温度230℃、金型温度60℃とした。次に、機械油(マルチクールCSF9000)を水道水で20倍希釈した水溶液を50℃に加熱し、コネクタ本体、およびジャケットとケーブルとの接続部(ジャケットによって被覆されているケーブル端部)から20cmの長さでケーブルを200時間浸漬した。浸漬後、絶縁抵抗試験(JISC5442)を実施した。絶縁抵抗値Zが、Z≧120MΩ:○(実用に耐える)、Z<120MΩ:×(実用に耐えない)という評価基準で製品形状での耐油性を評価した。
【0103】
ジャケットで被覆していないポリ塩化ビニルケーブル単体を上記C.の耐油性試験を実施した場合の絶縁抵抗値Zは120MΩであった。ケーブルをジャケットで被覆したコネクタやセンサにおいては、ケーブル単体時よりも絶縁抵抗の劣化が小さいことが求められる。そこで、これを基準として閾値を120MΩと定めた。
【0104】
尚、以下の実施例2〜5、および比較例1〜4についても同様に評価した。得られた評価結果は全て表1に示した。
【0105】
【表1】

【0106】
実施例1において得られた樹脂でケーブルを被覆したコネクタについて、変移率は32%、重量変化率は0.8%、引張強度変化率は0%、絶縁抵抗は160MΩであった。このことから、実施例1で得られた樹脂は、耐屈曲性と耐油性が製品としての実用に耐えると評価した。
【0107】
(実施例2)
ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分を25重量部とした以外は、実施例1と同様の条件で検証を行った。
【0108】
(実施例3)
ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分を40重量部とした以外は、実施例1と同様の条件で検証を行った。
【0109】
(実施例4)
ケーブルの被覆距離を2.5mmに変更した以外は、実施例2と同様の条件で検証を行った。
【0110】
(実施例5)
ケーブルの材質をポリウレタンに変更した以外は、実施例2と同様の条件で検証を行った。
【0111】
(比較例1)
ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分を0重量部とした以外は、実施例1と同様の条件で検証を行った。
【0112】
(比較例2)
ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分を50重量部とした以外は、実施例1と同様の条件で検証を行った。
【0113】
(比較例3)
ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分100重量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂を0重量部とした以外は、実施例1と同様の条件で検証を行った。
【0114】
(比較例4)
ケーブル被覆距離を1mmとした以外は、実施例2と同様の条件で検証を行った。
【0115】
以上の実施例および比較例の結果から、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いた場合のみが、上記Aの屈曲試験、Bの耐油試験、Cの製品形状での耐油性試験の全てにおいて満足できる結果を得ることができた。
【0116】
比較例1では、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマ樹脂成分が含まれていないため、屈曲性が乏しかった。また、PBT樹脂は耐油性が優れているため、材料の重量変化率は小さかったが、上記エラストマ樹脂成分が含まれていないため、ジャケットとケーブルとの界面の接合強度は不十分であり、製品形状での耐油性評価も不十分であった。
【0117】
比較例2では、エラストマ樹脂成分が多い分、屈曲性は優れているが、上記エラストマ樹脂成分の含有量がPBT樹脂に対して40重量部を超えているため、材料の重量変化率、ジャケットとケーブルとの界面の接合強度、製品形状での耐油性評価は何れも不十分な結果しか示さなかった。
【0118】
比較例3では、PBT樹脂が含まれていないため、当然屈曲性は優れているが、材料の重量変化率、ジャケットとケーブルとの界面の接合強度、製品形状での耐油性評価は何れも不十分な結果しか示さなかった。
【0119】
比較例4では、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いているが、被覆距離が1mmと短いため、屈曲時の曲げ角度が大きくなり、界面部に応力が集中することでジャケットが破壊されやすい。そのため、屈曲性、材料の重量変化率、ジャケットとケーブルとの界面の接合強度は優れているが、製品形状での耐油性評価は不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明にかかる耐油性電子機器は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有するジャケットを用いてケーブルを被覆するため、屈曲性、耐水性、および耐油性に優れる。このため、高温多湿環境の中で工作機械油や薬液等に長時間晒される過酷な条件下で使用される機会が多いコネクタ等の電子機器の品質向上、製造効率向上に大いに貢献することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 コネクタ本体(機能部)
2 ジャケット
3 ケーブル
4 リード線
5 ケーブル外皮部
6 端子
7 ケーブル端部の断面
8 被覆部
10 コネクタ
20 センサ
21 センサ本体(機能部)
30 ネジ式平面形つかみ具
40 くさび型つかみ具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器としての機能を有する機能部と、上記機能部に電気信号を伝送するケーブルと、上記ケーブルを被覆するジャケットとを備え、
上記ジャケットは、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなり、
上記ケーブルは、少なくとも一つの端部の断面全体と、上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域である外皮部とが、上記ジャケットによって被覆されていることを特徴とする耐油性電子機器。
【請求項2】
上記熱可塑性エラストマが、ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマであることを特徴とする請求項1に記載の耐油性電子機器。
【請求項3】
上記耐油性電子機器がコネクタまたはセンサであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐油性電子機器。
【請求項4】
ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して熱可塑性エラストマを10〜40重量部含有させたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によって、
ケーブルの少なくとも一つの端部の断面全体と、
上記端部から長軸方向に2.5mm以上の領域であるケーブルの外皮部とを被覆する工程を含むことを特徴とする、耐油性電子機器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−277748(P2010−277748A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127316(P2009−127316)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】