説明

耐火耐熱難燃性シート

【課題】非常時においても損傷しない強固な耐火性、耐熱性、難燃性を有する耐火耐熱難燃性シートを提供する。
【解決手段】ポリアミド系樹脂の繊維からなるシート2と、ガラス繊維からなるシート3を一体化した耐火耐熱難燃シート1。ガラス繊維からなるシートの外面側に、難燃性樹脂層が形成されていることが好ましい。またポリアミド系樹脂の繊維からなるシート2と、ガラス繊維からなるシート3の一体化を縫製加工により行うことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐火性、耐熱性、難燃性を有する耐火耐熱難燃性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来防火シャッターは鋼板を用いたものが使用されてきた。しかし、鋼板製は重量がかさみ、又設置性が悪いため、軽量で設置性がよい耐火クロス製のシートが用いられるようになった。代表的なものはガラス繊維からなるシートにより構成されているものである。
【0003】
しかし、ガラス繊維からなるシートは耐火性が優れているものの、強度が不足しているため、避難階段や主要避難経路では、火災時に多人数の渋滞がおこり、転倒等により圧力が加わったりした場合破損しやすかった。
又、倉庫、店舗などにおける、棚、家具、商品等の転倒、落下時においてもスクリーンが破損するおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−323733
【特許文献2】特開2002−235284
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、非常時においても損傷しない耐火性と耐久性を併せ持つ耐火耐熱難燃性シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための
請求項1の発明では、ポリアミド系樹脂の繊維からなるシートと、ガラス繊維からなるシートを一体化したことを特徴とする耐火耐熱難燃シートである。
請求項2の発明では、ガラス繊維からなるシートの外面側に、難燃性樹脂層が形成されている請求項1記載の耐火耐熱難燃シートである。
請求項3の発明では、ポリアミド系樹脂の繊維からなるシートと、ガラス繊維からなるシートを縫製して一体化したことを特徴とする、耐火耐熱断熱シートである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1発明は、耐火性の高いガラス繊維からなるシートと、耐火性耐久性があるポリアミド系樹脂の繊維からなるシートと組み合わせ一体化することにより耐火性に優れ、強度耐久性も備えた耐火耐熱難燃シートを提供することができる。
【0008】
請求項2発明は、請求項1の発明のガラス繊維からなるシートの外面側に難燃性樹脂層を形成したため、更に強度耐久性の優れた耐火耐熱難燃シートを提供することができる。
請求項1、請求項2の発明では、避難階段や避難経路において、多人数の停滞、転倒等のスクリーンの破損、倉庫や店舗等の棚、荷物の落下、家具の転倒等によるスクリーンの破損を防止することができる。
【0009】
請求項3発明は、請求項1又は請求項2の発明における一体化を、縫製加工により行うことで高熱時のおける接着剤等の損傷に弱点を補い、更なる強度、耐久性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0010】
以下にこの発明の好適実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は実施例1の耐火耐熱難燃シートを示す断面図である。
【0011】
図1において、1は耐火耐熱難燃シートであり、耐火耐熱難燃シート1は、ガラス繊維からなるシート3、とポリアミド系樹脂の繊維からなるシート2から構成されており、シート3と2は一体化されている。一体化の方法としては、接着剤を介しての一体化、又は図2の断面図で示すように
縫製加工による一体化のいずれでもよい。
このように、ガラス繊維からなるシートの弱点である破損し易い点を、強度耐久性の優れたポリアミド系樹脂の繊維からなるシートと、組み合わせ一体化することにより弱点をカバーでき、強度耐久性に優れた耐火耐熱難燃シートを実現できる。
発明者等の引っ張り強度試験によればポリアミド系樹脂の繊維からなる不燃シートは、ガラス繊維からなる不燃シートに比較して数倍から数十倍の引っ張り強度があることが確認された。
【実施例2】
【0012】
次に本発明実施例2を図2にもとづいて説明する。
図2は実施例2を示す断面図であり10は耐火耐熱難燃シートであり、該シート10は、ガラス繊維からなるシート13、とポリアミド系樹脂の繊維からなるシート12とからなり、更には、前記ガラス繊維からなるシート13の外側に形成された難燃性樹脂層14の三層構造となっている。
【0013】
そのため、損傷し易いガラス繊維からなるシートをポリアミド樹脂からなるシート12と、難燃性樹脂からなる層とからサンドイッチ状にカバーすることができ、より強固な、耐火耐熱難燃シートを実現できる。
難燃性樹脂層14樹脂は特にこだわらないが、例えばウレタン系樹脂が耐熱性、耐久性が高いので望ましい。
難燃性樹脂層14の形成は、強度、加工の簡素化等の理由により、ガラス繊維からなるシートに塗布するのが最も望ましいが、含浸させる、または、難燃性樹脂をシート状に加工し、それに接着剤を介して貼り付けてもよい。
【実施例3】
【0014】
次に、本発明実施例3、4を図3、図4、図5に基づいて説明する。
図3は、実施例3を示し、実施例1における一体化された耐火耐熱難燃シートに、更に必要部位を縫製加工することによって、より強度を高めものである。
【0015】
20は、一体化する為に縫製加工された部位を示している。
【0016】
図4は、実施例4を示し実施例2の一体化された耐火耐熱難燃シートに、更に必要箇所を縫製加工することにより、更に強度を高めた耐火耐熱難燃シートの状態を表す断面図である。
尚、一体化は実施例3、実施例4とも、例えば、前段階でガラス繊維からなるシート3、13とポリアミド樹脂からなるシート2、12とを前段で、接着剤等で一体化せず、二つのシートを直接縫製加工のみによって一体化してもよい。
【0017】
図5は縫製加工する部位をしめしている。通常縫製加工する部位は、シート端部のほつれを考慮に入れて、端部より少し離して、少なくとも使用時の上下となる対面の2箇所の部位を縫製するのが望ましい。
【0018】
しかし、耐火耐熱難燃シートの二次加工製品の形状より、4辺すべて、中央部等、状況に応じて最適な部位を選択する。
【0019】
縫製糸については、火災時等の高温に耐えられる仕様のものが望ましく、特に、ステンレス鋼繊維の糸を使用することがより望ましい。
【0020】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で種々設計しうること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明の実施例1の耐火耐熱難燃シートの構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施例2の耐火耐熱難燃シートの構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例1の耐火耐熱難燃シートの縫製一体化を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施例2の耐火耐熱難燃シートの縫製一体化を示す断面図である。
【図5】 本発明の各実施例の耐火耐熱難燃シートの縫製一体化の縫製部位を示す平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 10 耐火耐熱難燃シート
2 12 ポリアミド系樹脂繊維からなるシート
3 13 ガラス繊維からなるシート
14 難燃層樹脂層
20 縫製部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系樹脂の繊維からなるシートと、ガラス繊維からなるシートを一体化したことを特徴とする耐火耐熱難燃シート。
【請求項2】
ガラス繊維からなるシートの外面側に、難燃性樹脂層が形成されている請求項1記載の耐火耐熱難燃シート。
【請求項3】
ポリアミド系樹脂の繊維からなるシートと、ガラス繊維からなるシートの一体化を縫製加工により行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の耐火耐熱難燃シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−58487(P2010−58487A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257840(P2008−257840)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(599099526)株式会社光和 (9)
【Fターム(参考)】